2022年06月07日更新
太陽光発電の売電・売買は廃止?2021年最新の売電価格は?
太陽光発電の売電が、廃止されるとのうわさがあります。太陽光発電の売電が廃止されると、その影響を受ける人は少なくありません。この記事では、太陽光発電における売電価格の推移などを参考に、今後の太陽光発電における売電について解説します。
目次
1. 太陽光発電の売電・売買の基本
太陽光発電の売電価格などが話題となっており、中には「太陽光発電が売電できなくなるのでは」という売電廃止論を聞くこともあります。
これは太陽光発電買取義務の期限となる10年後を迎え、買取義務期間を過ぎた11年目以降の方針が見えてこない点にあります。
太陽光発電の電力売電廃止などの処置が事実であれば、住宅や企業にとって太陽光発電を導入した10年後に大きな課題となるのは間違いありません。まずは、太陽光発電の売電について確認しましょう。
余剰買取
太陽光発電パネルの総出力が10kW未満の場合に適用される買取制度で、住宅などの太陽光発電で売買する買取制度は、この「余剰買取」が一般的です。
買取制度は太陽光発電で発電された電力のうち、自身で使用した電力以外の余った電力を電力会社に売買する制度です。買取義務期間は10年間と定められ、売電価格は変動しません。
全量買取
太陽光発電パネルの総出力が10kW以上の場合は、「全量買取」が適用できます。
全量買取は自身が使用した電力とは関係なく、太陽光発電の電力を全て売電できる制度です。一般的には事業者や工場、学校などで設置される太陽光発電システムです。
買取義務期間は20年間で余剰買取同様に、売電価格は変動しません。
余剰買取と全量買取の違い
太陽光発電の余剰買取と全量買取の仕組みをさらに解説します。余剰買取は、太陽光発電で得た電力を自宅使用で余った電力を売電するので、自宅での使用電力量が超えなければ売電する電力がないため、売電できない仕組みです。
すなわち、節電すれば余剰電力が大きくなるため、売電で得られる収入も増える仕組みです。
一方、太陽光発電の全量買取は、使用した電力とは関係なく太陽光発電で作り出した電力を全て売買できます。
そのため、電力の消費を考える必要がなく、節電の概念も必要がないといえます。このことから、余剰買取制度は節電を意識する側面があるといえるでしょう。
2. 2021年最新の太陽光発電による電気の売却価格
2021年度における太陽光発電の売電価格は、下記です。
区分 | 2021年度 | 売電期間 |
10kW未満 | 19円/kWh | 10年間 |
10kW以上50kW未満 | 12円/kWh | 20年間 |
50kW以上250kW未満 | 11円/kWh | 20年間 |
参考:2021年度以降の価格表(経済産業省資源エネルギー庁)
10kW未満と10kW以上では売電の仕組みが違い、10kW未満は、余剰買取制度のルールで売電します。10kW以上は、2019年以前は「余剰買取制度」か「全量買取制度」を選択できました。しかし、2020年度は「余剰買取制度」のみです。
また、災害時の利用やエネルギーの地産地消という見解により、一定以上の自家消費比率が必要なので、自家消費が難しい土地などへ10kW以上の太陽光発電は設置できません。
2021年度の国の政策動向
2021年度における国の政策は、太陽光発電システムよりも家庭用蓄電池や電気自動車用の充電設備(V2H)の補助金など、充電設備の普及促進が重視されると推測できます。
太陽光発電システム設置による売電収益における源の再生可能エネルギー発電促進賦課金がかなり増加し、2020年度における再生可能エネルギー発電促進賦課金の総額は2.4兆円(経済産業省 資源エネルギー庁による)となっているからです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、太陽光発電システムを設置していても設置していなくても全消費者から徴収され、負担額の増加が問題となっています。
太陽光システムの費用対効果
太陽光システムを早く設置するほうが利益が大きいですが、それは売電価格が高いからではありません。
例を挙げると、2011年における発電電力の売電価格は1kwh48円でしたが、機器の導入費用は高額でした。2020年における売電価格は21円と下がりましたが、機器の導入費用も下がっています。
2011年における太陽光発電システムの導入費用は1kw約50万円でしたが、2021年は1kw約23万円と下がっています。つまり、いつ購入しても、約8年~10年で設置費用の回収が可能な金額となるように、設置費用と売電価格が調整されているのです。
ただ、太陽光発電システムを早く設置するほうが、後で設置するよりも収益が早く受けられ、そのぶん他の投資や必要な物の購入が早くできます。特に投資においては、時間の価値も含まれるため、早めに現金を得ることはかなり重要です。
「時期を待つほうが機器費用を安く買える」と考える人も少なくありません。しかし、売電価格も連動して低くなり、投資利回りはほとんど変わらないため、早く投資して早く収益を得るほうが経済的にメリットが大きいでしょう。
3. 2021年から予測される今後の太陽光事業動向
今後予測される太陽光事業の動向について見ていきましょう。
2021年以降、売却を考える事業者のメリット
矢野経済研究所による「太陽光発電所セカンダリー市場の市場規模推移・予測」の2020年におけるデータでは、太陽光発電所セカンダリー市場は売り手市場で、売却を予定する太陽光発電所に買収側の需要が上回り、取引価格は高止まり(2020年上半期)です。
そのため、発電事業者や投資ファンド、個人投資家などによる需要がこれからも続くと見込まれます。
また、売電収入が期待できる太陽光発電所をリスクの低い資産として、株式投資から切り替える投資ファンド・個人投資家もいるので、需要が減ることは少ないと見られます。
2021年以降、買収を考える事業者のメリット
太陽光発電所における地域活用要件の導入やFIP制度などで、将来的に新規開発のハードルが上がるかもしれません。そのため、買収側は、早いうちに太陽光発電事業へ参入するために現在稼働する太陽光発電所を得るとよいでしょう。
また、新型コロナウイルスの影響により、事業の低調な企業が経営資源の集中・事業資金確保として、太陽光発電所を売却するケースもあるので、安定した売電収入が見込める太陽光発電所を低リスク資産として買収することも可能です。
4. 太陽光発電の売電価格は年々下落
太陽光発電の売電が制度化されたのは2009年度です。制度化された2009年の売電価格が余剰買取で1kWhあたり約48円と定められました。
これは売電が制度化される以前の価格における約2倍となる売電価格です。全量買取は余剰買取から3年後の2012年に売電価格40円+税と定められました。
また、太陽光発電の余剰買取制度では申請した年から10年後まで、全量買取制度では申請した年から20年後までは売電価格に変動がない固定価格での買取を義務化しています。この固定価格は、経済産業省が売電価格を年ごとに定めています。
逆に考えると義務化されている10年後以降となる11年目からは、太陽光発電の買取する義務がなくなるため、売電できなくなる可能性も出てきます。導入から10年後について定めている法令がないからです。
それに加え太陽光発電の買取制度を定めた2009年11月の余剰買取の売電価格が48円でしたが、約10年後の2020年度は21円へと下落の推移をたどっています。
売電価格の推移
FITが制度化される前年の2008年度から2018年度まで、年度ごとの太陽光発電売電価格の推移を10kW未満と10kW以上に分けて一覧にしました。
申請年度 | 10kW未満の売電価格 (10年間固定) |
10kW以上の売電価格 (20年間固定) |
---|---|---|
2008年(平成20年)まで | 約24円で電力会社が自主的に買取 | |
2009年(平成21年) | 48円 | 約24円で電力会社が 自主的に買取 |
2010年(平成22年) | ||
2011年(平成23年) | 42円 | |
2012年(平成24年) | 40円+税 | |
2013年(平成25年) | 38円 | 36円+税 |
2014年(平成26年) | 37円 | 32円+税 |
2015年(平成27年) | 33円(出力抑制なし) 35円(出力抑制あり) |
29円+税 |
2016年(平成28年) | 31円(出力抑制なし) 33円(出力抑制あり) |
24円+税 |
2017年(平成29年) | 28円(出力抑制なし) 30円(出力抑制あり) |
21円+税 |
2018年(平成30年) | 26円(出力抑制なし) 28円(出力抑制あり) |
18円+税 |
参考:買取価格の歴史と推移(ネットリーチ)
なお、推移の表には記述しませんでしたが2019年度分の売電価格は、10kW未満は出力抑制なしが24円、出力制限ありが26円と定められました。10kW以上の売電価格は、14円+税です。
そして2020年は、10kW未満が21円、10kW以上50kW未満が13円+税、50kW以上250kW未満が12円+税となっています。
2020年度までの推移を見ると、太陽光発電の売電価格は10kW未満で2円から3円ぐらい、10kW以上で大きいときには売電価格が5円ずつの下落で推移してきたことがわかります。
なお、経済産業省は太陽光発電の売電価格の目標数値は2025年度に11円まで値下げすると発表しています。2018年度の売電価格からみても半額以下、2009年度当初からは4分の1以下の価格です。
出力制御対応機器設置義務とは
出力制御対応機器とは、発電した電気を使えるようにするパワーコンディショナの出力を抑制する機器のことです。電気の供給が需要を大きく上回った場合、電力会社が電気を買い取らなくてもよくするための機器です。
通常、電気はためることができないため、電力会社が電力をコントロールしています。しかし、太陽光発電が普及して電力会社が家庭や企業から電気を買い取るようになると、コントロールできない電気量を引き受けてしまう恐れがあります。電気をコントロールできないと、大規模な停電となる可能性があるのです。
そこで、2015年に太陽光発電の出力制御対応機器の設置が義務付けられました。住宅用の場合、出力制御対応機器設置義務「あり」と「なし」がありますが、どちらに該当するかはどのエリアに住んでいるかによります。
出力制御対応機器設置義務ありの地域は、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、沖縄です。
出力制御対応機器は、パワーコンディショナと一体型になっていることが多く20万円~50万円が相場です。さらに電力会社から制御情報を受け取るユニットも必要で、ユニットは5万円~10万円です。
出力制御対応機器設置義務ありの地域では、太陽光発電に出力制御対応機器が含まれており、購入に際し特別気にする必要はありません。
出力制御対応機器設置義務のない地域は、今後義務付けられる可能性があります。最初から出力制御対応機器を導入する方が、義務ありとなったときに追加で費用がかかりません。
費用もそれほど変わらないため、最初から出力制御対応のパワーコンディショナを入れても良いでしょう。
売電価格の決定方法
太陽光発電における売電価格は、経済産業省が決定します。算出方法は設置費用の基準価格を定め、その数値から太陽光発電を設置したユーザーに利益が出る売電価格を導き出します。
また、太陽光発電の設置を早めにしたり申請したりした人に収益が上がるようにも定められています。その結果が価格の推移に反映されているのです。
売電収支のシミュレーション
ここで、2018年度における太陽光発電の売電価格を参考にして売電収支をシミュレーションしてみます。2018年度の10kW以下制限なしの売電価格は26kWです。
一般的な電力消費から算出される年間の収益は13.8万円です。そこに2018年度の基本価格となる161万円と年間のメンテナンス費用を考えて算出します。
その結果、基本価格となる設置費用を回収できる期間が15年弱となります。利益金額は20年目に約28万円となる見込みです。
今後の固定価格買取制度における買取価格推移予想
2020年の固定価格買取制度の買取価格は、21円です。電力会社の平均買取価格の8円を上回る10円を下限とし、毎年2円くらい買取価格が下がっていることを考慮すると、2026年に10円と予想されます。
しかし、固定価格買取制度を決める調達価格等算定委員会は、住宅用は2024年に10.3円/kWh、産業用は2022年に8.5円/kWhを目標とする方針を決定しました。そのため、買取価格は数年の内に急下落する可能性があります。
固定価格買取制度は、制度利用を始めた年の買取価格から下がることはありません。もし固定価格買取制度が廃止されても、廃止前に制度を利用していれば制度利用できるでしょう。そのため、太陽光発電を導入する際は早めに導入する方がお得です。
買取期間満了後はどうすれば良い?
固定価格買取制度は、住宅用の場合制度を利用してから10年、産業用は20年で買取期間を終えます。買取期間を終えると、続けて固定価格買取制度は利用できません。
固定価格買取制度の買取期間満了を迎えた場合、選択肢は次の2つがあります。
- 自家消費する
- 電力会社と直接契約して売電を続ける
固定価格買取制度の買取期間が終わっても、太陽光発電は行えます。そのため、自家消費すると引き続き電気代の節約が可能です。
また、電力会社と直接契約して売電を行う方法もあります。固定価格買取制度より買取価格は安くなりますが、売電して収入を得られるでしょう。
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産業用太陽光発電を投資目的で導入した場合は、太陽光発電や環境事業として事業譲渡することも可能です。事業譲渡すれば、初期投資を回収できる可能性もあります。
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5. 太陽光発電の2019年問題
早期に申請したユーザーほどメリットの多い太陽光発電ですが、制度開始から10年後となる2019年に、11年目以降の不透明さなどいろいろと問題が取りざたされました。
それは2009年度に、買取制度に申請した固定価格が11年目以降はどのような価格になるか提示されなかったからです。
FIT制度(固定価格買取制度)とは
FIT制度(固定価格買取制度)とは、経済産業省が再生可能エネルギーの普及を目的に「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス」の5つに対して、10年後までの安定的な収益を保証した制度です。
10年後までの売電価格と設置の容易さから太陽光発電が一般用に需要が集まりました。
申請年度によって太陽光発電の買取固定価格が決定するとあり、余る土地などを活用するために企業なども身を乗り出しました。2009年度には住宅、2012年度には産業用で多くの太陽光発電が設置・申請されています。
2008年度まで24円だった太陽光発電の売電価格が、2009年度に申請をすれば、倍の48円で10年後まで固定売買できるため大きな話題となりました。
2019年問題とは
太陽光発電の電力買取制度によって急速に普及した太陽光発電ですが、制度化初年度の2009年度に申請した太陽光発電は、10年後となる2019年度に固定買取の義務期間が終了します。
48円という2018年度申請の価格に比べると、倍に近い価格だった太陽光発電の買取価格が11年目以降となる2019年度に、どのように推移するか不透明な状態だったので、こうした状況が2019年問題といわれます。
売電できなくなる?
2019年問題として最初に懸念されたのが、11年目以降の電力について売電できなくなる電力買取の廃止という考えです。
売電できなくなる買取廃止が行われると太陽光発電の電力は、自身で消費する以外の使い道がなくなります。また、家計にも大きな影響をおよぼす可能性があるなど、売電できなくなる場合のリスクは小さくありません。
では本当に、11年目以降は売電できなくなったのでしょうか。
一説にはFITが制度化された2009年に、太陽光発電を設置したユーザーの数が50万といわれました。そのため、これだけの太陽光発電が発電した電力が売買できなくなる売電廃止の方針を取ることは考えにくいと見られました。
実際には、2021年も売電は可能ですが、2019年までの固定価格買取制度(FIT)と比べると、制度が複雑です。
11年目以降の売電価格
11年目以降における太陽光発電の売電価格に目を向ける前に、2018年度(平成30年度)までの売電価格における推移に目を向けます。
10kWの太陽光発電で3円程度の価格下落で推移している売電価格は申請年度の価格であり、11年目以降に適用される価格ではありません。そのため、3円程度の下落推移では新たに申請するメリットはないといえます。
経済産業省は、2025年度までに太陽光発電の売電価格を11円まで抑える目標を公表しています。このことから、11年目以降の太陽光発電における電力売買価格は、11円ぐらいまで下がると予想できるでしょう。
この価格は当初の価格における4分の1、2018年の半分ほどの価格です。
今まで48円であった太陽光発電の売電価格が11年目以降に11円まで下がると仮定しましょう。
3kWを3時間発電した場合、今まで432円の売り上げだったものが11年目以降は99円まで下がることになります。この数字が11年目以降の問題となるのです。
買取価格固定制度の廃止は?
太陽光発電の買取固定価格制度が廃止となる可能性も考えられます。そもそも、FIT制度には申請による電力の売買だけでなく省エネ化、環境保護の側面があります。そのため、場合によっては買取制度が廃止される可能性もなくはありません。
ただ、すぐに廃止され売電できなくなる可能性はないでしょう。
すぐに廃止されない根拠は、経済産業省が掲げている2025年の目標です。2025年に対する目標数値を提示したことは、逆にいえば2025年まで売電制度は廃止しないと見て良いでしょう。
また、10年後の2035年および20年後となる2045年までは、太陽光発電の買取制度は廃止されないと考えられます。
もし太陽光発電の買取制度がなくなり、売電できなくなるとしても、発電した電力を自身で使用することで電気代は節約可能です。また、環境保全といった本来の目的に対するメリットがあります。
そのため、売電できなくなるデメリットだけに目を向けること自体がナンセンスかもしれません。
海外の事例
海外のFITは、固定価格制度終了後をどのように乗り越えているのでしょうか。また、現状はどのような状況にあるのかも見ていきましょう。
ドイツ
ドイツはFITの元祖といわれるほど太陽光発電による売電などが進んでいた都市です。太陽光発電だけでなく、その他のFITに対しても複数の買取価格を設定し、いろいろな業者がFITを申請できるよう工夫してきました。
ドイツでFIPの申請が始まったのは1991年までさかのぼります。開始当時は家庭用の電気に付与していたため、企業からの申請は少なくFIPの普及までは至りませんでした。
そこでFIP開始から約10年後となった2000年に法整備を行い電力会社に20年間の固定価格買取を義務づけたことで普及が進みました。
さらに2004年に買取価格を値上すると急速にFIPの申請は普及します。一方で、FITがもたらすデメリットである国民の負担金が増大し、国民からの不満が高まります。そして、2014年にはFIPが導入されました。
FIPは、売電価格を固定価格として定めたFITと違い、売電価格を市場価格と連動させる制度です。
ドイツは500kW以上の新設発電設備にFIPを義務付けました。これによりFITは事実上の廃止です。その後もドイツは入札の導入や義務付けを100kW以上に広げるなどして、FIPの普及に努めます。
イギリス
イギリスは、世界初となる「熱のFIT」を実現しています。イギリスのFITは太陽光発電や風力発電のほか、小規模なボイラーやストーブなどから生産される熱源への買取価格を高価格で20年間固定に設定しました。これにより申請が殺到したのです。
当初イギリス政府は2012年でのFIT申請者は75万人と予想していたものの2017年末時点で80万人に到達してしまいます。これにより、国民の電気料金への転嫁が2020年には16億ポンド(約2,300億円)に到達します。
そして、国民の負担を防ぐためにも2017年度から予算に上限を設けました。2019年度末にはFITの申請受付を中止しています。
イギリスが公表した報告書によると、家庭用の申請を開始した2014年の4月から9月までに新たに申請を認可した件数が1,755件で、このうちのバイオマスシステムが44%と最もシェアが高いです。
家庭部門に目を向けるとヒートポンプが36%、太陽熱が20%の導入率です。
2020年におけるFIT買取価格
経済産業省は、2020年の固定価格買取制度(FIT制度)の買取価格などを決定しています。
- 10kW以上50kW未満:13円(税別)
- 50kW以上250kW未満:12円(税別)
- 250kW以上:入札
また、10kW以上50kW未満は、災害のときの活用などが必須の「自家消費型の地域活用要件」が決められ、自家消費比率30%以上が要件で、自立運転ができる(災害時に電源として使用可能)必要があります。
6. 太陽光発電は全国民にかかわる問題
紹介した海外の例からもわかるように、FITとは安易に売電できなくなる制度ではありません。しかし、太陽光発電などのFIT制度における売電で使われる資金のもとは、電気料金に賦課金として全国民から徴収されます。
すなわち、太陽光発電でFITを申請している人も申請していない人も、一定の負担金を払っているのです。
日本におけるFITでも世界の例にもれず、太陽光発電における売電などの売買金額は国民の負担です。そうしたことから、太陽光発電における売電価格の低下や売電できなくなることは、デメリットのみをもたらすのではなく、全体で見るとメリットも生まれます。
7. 太陽光発電の導入メリットはなくなったのか?
FIT制度が開始された当時より、売電価格を大幅に下げている太陽光発電における売電制度ですが、これから太陽光発電を導入する場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
メリットは以下のとおりです。
- 設備コストが下がっている
- 発電効率が上がっている
- 自家消費のコスパは改善されている
- 非常時の電源確保ができる
- 蓄電池の活用
順番にメリットを見ていきましょう。
①設備コストが下がっている
まず一番のメリットが、太陽光発電を導入する際に最も負担を抱える部分の導入コストです。2012年度における一般家庭用の太陽光発電導入コストは約216万円でした。
ところが、最近の技術進歩は目覚ましく、設備導入のコストが大幅に低下し、2021年では5年前の半額くらいに下がっています。
太陽光発電における売電価格の低下は招いているものの初期投資の低下が著しいため、2012年に太陽光発電を導入した場合と、2021年に太陽光発電を導入した場合における10年間の収支の差は大差がなく、2021年の方が、収支的にはプラスになる場合もあるようです。
②発電効率が上がっている
太陽光発電設備における高性能化の恩恵は設置におけるメリットだけではありません。太陽エネルギーに対する太陽光発電の発電効率がここ数年で飛躍的に向上しているのです。
そのため、太陽光発電設備の設置面積に対して、従来における発電量以上の発電量が期待でき、余剰電力も増えるほど効率が良くなっています。
③自家消費のコスパは改善されている
太陽光発電設備の性能が向上する中、家電設備なども飛躍的に省エネ化が図られてきました。特に冷房などの空調機器や冷蔵庫などは省エネタイプの商品が多く出回っています。
FIT制度が開始された当初より格段に性能が向上した省エネタイプの家電は、性能が向上した太陽光発電と相まって今まで以上に余剰電力を作り出しているのです。
④非常時の電源確保ができる
災害などが起こると電力などのライフラインが切断されることもあります。実際に北海道で起こった地震では電力が切断され、長期間に渡り停電している地域が数多くありました。
こうした予期しない災害に対しても、太陽光発電設備があれば電力を確保できます。
⑤蓄電池の活用
売電だけを目的としない場合は、太陽光発電設備に蓄電池を活用することをおすすめします。
蓄電池を使えば、通常よりも大きな電力を自己消費電力で蓄え、消費できるからです。また、買取が廃止されても柔軟に対応できるのもメリットでしょう。
8. お得に太陽光発電を導入する方法
太陽光発電を導入するときは、「お得に導入したい」と誰もが考えます。設置費用を抑えることは、その後の収支結果にもつながります。
ここでは、太陽光発電設備の補助金や一括見積について見ていきましょう。
自治体の補助金活用
太陽光発電システムを導入するときに、必ず調べてほしいのが補助金です。
補助金とは、政府や自治体が住民の設備投資に対して一定の金額を補助金として補填する制度のことです。以前は、国で補助金制度が行われていましたが、現在では、国の太陽光発電に対する補助金制度は終了しています。
しかし、都道府県での補助金や市町村の補助金など、まだ補助金制度を導入している自治体も少なくありません。補助金を申請する際は、条件や申請上限数などがありますので、自治体に問い合わせましょう。
また、施工業者に補助金を伺うのも一つの方法です。補助金に空きがある場合は、速やかに申請を進めて補助金を確保してください。
一括見積もりの活用
太陽光発電を設置する場合は設置業者に頼むことがほとんどです。見積もりにはいろいろな方法がありますが、インターネットなどを活用して一括見積もりすることをおすすめします。
一括見積もりであれば、複数の施工業者が見積もりを同時に提示するため、見積もりが安くなりやすいメリットがあるのです。
また、太陽光発電を営業する業者には、怪しい業者が多いです。疑わしい太陽光発電設備業者を選ばないためにも、インターネットによる一括見積は有効といえるでしょう。
9. まとめ
太陽光発電における売電の価格は下がっているため、導入するのであれば早めに検討を進めるべきです。太陽光発電の導入には多額の費用が掛かるため、しっかり発電量のシミュレーションをして導入計画を立てましょう。
産業用の太陽光発電を導入したものの継続運用をやめたい場合は、施設の売却や太陽光発電事業として事業譲渡を行えます。
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