株主総会議事録の必要性は?「株式譲渡承認の件」の書き方や注意点も解説【雛形あり】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

譲渡制限付きが設けられている株式を譲渡する場合、株主総会または取締役会で株式譲渡承認を得る必要があり、株主総会後は株主総会議事録を作成し保管しなければなりません。本記事では、株式譲渡時に作成する株主総会議事録の書き方や注意点などを解説します。

目次

  1. 株主総会議事録とは
  2. 株式譲渡承認における株主総会議事録の必要性
  3. 株式譲渡承認の件の株主総会議事録への記載項目
  4. 株式譲渡承認における株主総会の招集
  5. 株式譲渡承認における株主総会の種類
  6. 株主総会議事録作成の注意点
  7. 株式譲渡の株主総会議事録に関する相談先
  8. 株主総会議事録のまとめ
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1. 株主総会議事録とは

株主総会議事録とは

株主総会議事録とは、以下に紹介する株主総会における議事録のことです。

「株主総会で決議すべき項目」の事項を会社で決定するには、株主総会で決議する必要があります。ただし、株主総会で決議しなければならない事項や権限は定められていますが、株主総会自体は決議のために何回開いてもかまいません。

また、株主総会議事録は会社法により必ず作成し、株主総会議事録は保管の義務が定められています。

株式譲渡において株主総会決議が必要なのは、譲渡制限付き株式を譲渡(売却)する場合ですが、その承認機関が株主総会となっている場合(承認機関が取締役会の場合もあります)です。

なお、本記事では株式譲渡における譲渡側の株主総会議事録について解説します。

株主総会の権限

株主総会の権限は、取締役会設置会社と、取締役会非設置会社で違いがあります。ただし、いずれの場合も株主総会議事録を作成しなければなりません。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

取締役会設置会社

取締役会設置会社における株主総会の権限は、会社法の規定あるいは定款で定めた範囲に限られます。業務執行に関する権限は、取締役会にあるからです。

ただし、株主総会の権限にしたい事項を定款にあらかじめ定めておけば、それを株主総会の権限に盛り込めます。定款の変更も、株主総会の権限です。

取締役会非設置会社

取締役会非設置会社における株主総会の権限は、あらゆる会社の基本的事項のみならず、業務執行に関する意思決定にもおよびます。

株主総会で決議すべき項目

取締役会設置会社、取締役会非設置会社のどちらも、株主総会で決議すべき事項は以下のとおりです。
 

  • 会社の基礎的事項に変動をもたらす事項(定款の変更、合併株式交換・移転、会社分割、資本減少、解散など)
  • 会社機関の選任・解任に関する事項(取締役、監査役、会計参与、会計監査人の選任・解任、精算人の選任・解任など)
  • 会社の計算に関する事項(計算書類の承認)
  • 株主の重要な利害関係※1に関する事項
  • 取締役・取締役会に委ねると利益相反※2の恐れがある事項

※1 利害関係については以下で紹介
※2 利益相反については以下で紹介

どの議題でも、株主総会議事録は作成しなければなりません。

利害関係と株主総会

ここでいう利害関係は、当該行為で生じる株主間の利害関係です。例えば、以下における会社の行為によって、株主間で有利・不利の利害関係が生じます。
 

  • 余剰金の処分による利害関係
  • 特に有利な条件による新株予約権の発行による利害関係
  • 第三者に対する新株の有利な発行による利害関係
  • 自己株式取得による利害関係

利益相反取引と株主総会

株式会社でいう利益相反とは、会社と取締役との利害が相反することをさします。利益相反取引には直接取引と間接取引、2つの類型があり、それぞれ以下のとおりです。

【直接取引】

  • 取締役と会社との間における売買契約による利益相反
  • 会社から取締役への贈与による利益相反
  • 取締役から会社への金銭貸付(利息が発生するもの)による利益相反
  • 会社が取締役に対して行う債務免除による利益相反
  • 会社による取締役を受取人とする手形の振出による利益相反

【間接取引】
  • 会社が取締役の第三者に対する債務を保証する行為による利益相反
  • 取締役の第三者に対する債務の担保とするため会社の不動産に抵当権を設定する行為による利益相反
  • 会社が取締役の第三者に対する債務を引き受ける行為による利益相反

これらを行う場合は、株主総会または取締役会の承認を得なくてはなりません。株主総会議事録の作成も必須です。

電磁記録での作成も可能

こうした決議を行う際、株主総会の記録は、必ず株主総会議事録として残さなければなりません

株主総会議事録は、電磁記録での作成・保管も可能です。株主総会議事録は、株主や債権者から閲覧または謄写の請求があった場合、プリントアウトまたは映像として表示するなどの方法で、請求に応じる義務があります。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

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2. 株式譲渡承認における株主総会議事録の必要性

株式譲渡承認における株主総会議事録の必要性

この章では、株主総会議事録を正しく作成しなかった場合のリスクと合わせて、株式譲渡承認における株主総会議事録の必要性を紹介します。

①商業登記申請時に必要

株主総会議事録は、登記の際における添付書類です。実際の総会における決議と異なるケースが株主総会議事録に記載されていた場合、誤った登記がなされるリスクがあります。

②裁判上の証拠種類になる

株主総会議事録は、総会決議の成立や内容に関する重要な証拠です。

決議の成立や内容が争われる裁判などになった場合、株主総会議事録を作成していなかったり、株主総会議事録の内容に不備があったりしたら、有効な証拠を示せず不利な立場になるリスクがあります。

③債権者や株主に対する情報公開資料として必要

株主総会議事録は、原本を本店に10年間、コピーを支店に5年間保管する義務があります。その間に、株主や債権者による株主総会議事録の閲覧・謄写における請求があれば、応じなければなりません。

株主総会議事録の閲覧や謄写の請求はそれほど頻繁には起こりませんが、法的義務なので即座に応じなければ法令違反です。

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3. 株式譲渡承認の件の株主総会議事録への記載項目

株式譲渡承認の件の株主総会議事録への記載項目

株式譲渡の決議における、株主総会議事録に記載すべき項目を見ていきましょう。株主総会議事録の雛形(架空の人物・会社による)も併せて載せておきます。

①開催日時と場所

まず、株主総会議事録で記載するべきことは、開催日時と場所です。開催日の注意事項は、すでに述べました。

場所は、株式譲渡を承認するための株主総会を開催した場所だけでなく、その場所にいなくても会議に参加した人物がいた場合その旨も株主総会議事録に記載する必要があります。

例えば、テレビ会議システムで参加した取締役(取締役会を置いた場合、3人の取締役と監査役が最低必要)がいたとすれば、「テレビ会議システム」を株主総会議事録に記載するのです。

ただし、厳密に「株式譲渡を承認するための株主総会に出席をした」と見なせる場合のみです。例えば、テレビ会議システムで株主総会の様子が中継されているだけで、質問や採決に参加できない場合は株主総会に参加したとは見なされません。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

②出席者や株式の情報

出席者は、参加株主の情報を株主総会議事録に記載します。一般的に氏名までは不要です。また、株式の情報を記載します。これらは、以下の項目を数字で端的に株主総会議事録に記載すれば十分です。
 

  • 株式譲渡をしたい会社の発行済株式総数
  • 株式譲渡をしたい会社の議決権を有する総株主の数
  • 株式譲渡をしたい会社の総株主における議決権の数
  • 株式譲渡をしたい会社の出席株主数(委任状出席を含む) 
  • 株式譲渡をしたい会社の出席株主における議決権の数 

③株主総会議事録の作成取締役名と議長名

議事録の作成者についても会社法上の規定はありませんが、議事録の作成を行った取締役の氏名を株主総会議事録に記載します。

株式譲渡を承認するための株主総会における議長についても、会社法上選任方法に関する規定はありませんが、議長を務めた人物の氏名も株主総会議事録に記載します。議長は多くの場合、代表取締役が務める場合が多いです。署名・印鑑が必要な旨を定款で定めていれば、署名・印鑑が必要となります。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

④出席した取締役・監査役名

株式譲渡を承認するための株主総会に出席した取締役・監査役の役職と氏名を株主総会議事録に記載します。なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

⑤株主総会の議案

株式譲渡を承認するための株主総会における議案を株主総会議事録に記載します。

ただし、株式譲渡の対象となっている株式について詳しく株主総会議事録に記載がなされていれば、議案の部分は「第〇号議案 株式譲渡承認の件」など簡単な株主総会議事録の記載でも十分です。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

⑥株式譲渡承認請求株主の住所氏名と株式枚数

株式譲渡承認請求を行っている株主の住所氏名、および株式枚数(持ち株数)を株主総会議事録に記載します。

⑦譲渡の相手方の住所氏名

議案となっている株式譲渡承認請求が可決された場合、株式譲渡により株式を譲り受ける人物の氏名または会社名を株主総会議事録に記載します。住所まで書きましょう。

⑧発言内容や意見、およびその結果

発言内容や意見および結果は、ひと言でいえば議事経過です。

議事経過には以下のとおり、株式譲渡を承認するための株主総会開会から閉会に至るまでの間に行われた総会の経過・内容を株主総会議事録に記載し、全会一致の場合は、こと細かな記載は省略し、要点のみ株主総会議事録へ記載します。
 

  • 報告事項についての報告およびそれに対する質疑応答の内容
  • 決議事項についての議案や審議の内容、動議、採決方法など
結果は、株主総会に付議された議案の可否(原案どおりか、原案を修正してからかを含む)を株主総会議事録に記載します。賛成および反対の数や株主の氏名は省略してかまいません。議案が否決となった場合は、株主提案権の行使を制限する事由となり、それらを株主総会議事録に記載します。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

株主譲渡の件の株主総会議事録の雛形

株主譲渡の件における株主総会議事録の雛形を紹介します。

臨時株主総会議事録
 
第1  日時
令和〇〇年〇〇月〇〇日 午後4時30分

第2  場所
新潟県南魚沼市〇〇町△△△ー△

第3  株主の出席および議決権の状況
株主総数 100名
発行済み株式の総数 1,000株
議決権を行使することができる株主数 82名
その議決権数 820株
出席株主数(委任状による出席を含む) 82名
その議決権数 820個

第4  出席役員
出席取締役 桑田和博、桑田和寿、高木守
出席執行役 志村隆司
出席会計参与 大島敦子
出席監査役 渡辺優子
出席会計監査人 山根正人

第5  議長
代表取締役 桑田和博

第6  議事の経過の要領およびその結果
定刻、代表取締役 桑田和博は議長席につき、開会を宣し、上記のとおり定足数を充足すると述べ、議事に入った。
 
議案 株式譲渡承認の件

議長は、令和〇〇年〇〇月〇〇日、当会社の株主から下記のとおり株式譲渡の承認の請求があった旨を述べ、賛否を議場に諮った。 総会は出席株主の議決権の過半数の賛成をもってこれを承認可決した。


株式譲渡の承認を請求する株主および株式の数
株式譲渡の承認を請求する株主:新潟県西蒲原郡弥彦村〇〇△△ー△ 桑田和博   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:鹿児島県いちき串木野市〇〇△丁目ー△△ 古田克也 10株
株式譲渡の承認を請求する株主:北海道札幌市〇〇町△△△ー△ 落合昭雄 10株
株式譲渡の承認を請求する株主:秋田県大仙市〇〇 石田信秀   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:埼玉県坂戸市〇〇町△△△ー△ 三浦博之   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:大分県大分市〇〇△△ー△ 原博満   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:新潟県新潟市西蒲区〇〇△丁目ー△△ 野村達也   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:東京都千代田区〇〇△丁目ー△△ 高橋みどり   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:東京都八王子市〇〇△丁目ー△△ 松下宗一郎   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:愛知県名古屋市中村区〇〇△丁目ー△△ 清原彰   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:北海道稚内市〇〇△丁目ー△△ 桜井圭祐   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:神奈川県横浜市港北区〇〇△丁目ー△△ 内田秀明   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:京都府京都市左京区〇〇△丁目ー△△ 三橋茂   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:群馬県高崎市〇〇△丁目ー△△ 北島忠司   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:栃木県宇都宮市〇〇△丁目ー△△ 鈴木二朗   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:山口県宇部市〇〇△丁目ー△△ 井上奈津子   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:石川県金沢市〇〇△丁目ー△△ 鈴木まゆみ   10株
株式譲渡の承認を請求する株主:山形県酒田市〇〇△丁目ー△△ 新藤麻由子   10株

株式を譲り受ける者および譲り受ける株式の数
群馬県吾妻郡嬬恋村〇〇〇△△△ー△△   株式会社みずほ 2,000株
 
以上をもって本総会のすべての議事が終了したので、議長は午後6時00分閉会を宣した。
 
令和〇〇年〇〇月〇〇日 桑田商事株式会社臨時株主総会
 
本議事録の作成に係る職務を行った取締役
代表取締役 桑田和博    代表印

4. 株式譲渡承認における株主総会の招集

株式譲渡承認における株主総会の招集

株式譲渡を承認するための株主総会における招集は、会社法で手続きが定められています。しかし、取締役会設置会社と取締役会非設置会社で異なるので、それぞれの手続きを見ていきましょう。

なお、ここでいう手続きとは「招集の決定」と「召集の通知」です。また、通知とは、「招集通知を発する」行為のことをさします。

①取締役会設置会社の場合

取締役会設置会社における株主総会開催手続きです。招集の通知期限が法的に定められていますが、それより早くてもかまわないので、株主総会にかける重大な議題はなるべく早めに通知を行いましょう。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

招集の決定

取締役会設置会社においては、取締役会が以下の事項を決定し、代表取締役が株式譲渡を承認するための株主総会を招集します。
 

  • 日時
  • 場所
  • 株主総会の目的(議題)
  • 株主総会に出席しない株主が「書面によって議決権を行使できる」とするときは、その旨
  • 株主総会に出席しない株主が「電磁的方法によって議決権を行使できる」とするときは、その旨
  • その他法務省令で定める事項

招集の通知

取締役会設置会社では、代表取締役が招集の通知を書面で行ってください。あらかじめ株主から書面、または電磁的方法でよいとの承諾がある場合は、電子メールなど電磁的方法によって招集通知を発することも可能です。

通知する期限は原則として、株主総会開催日の1週間前(株式非公開会社の場合)までですが、書面議決あるいは電磁的方法での議決を可とした株主総会を開く場合は2週間前までです。なお、株式公開会社の場合は例外なく株主総会開催日の2週間前までになります。

②取締役会非設置会社の場合

取締役会非設置会社における株主総会開催手続きです。

取締役会非設置会社では、株主総会における招集の通知期限が法的に定められていますが、それより早くてもかまわないので、株主総会にかける重大な議題はなるべく早めに通知を行いましょう。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

招集の決定

取締役会非設置会社は、取締役が株主総会を招集します。その際に決めるべき事項は、取締役会非設置会社においても取締役会設置会社における場合と同様です。

招集の通知

取締役会非設置会社の場合、株主総会の招集通知を書面で行う必要はなく、どの方法でも可能です。通知する期限は原則、株主総会の1週間前までですが、取締役会非設置会社は定款で定めれば、1週間より短くできます(取締役会設置会社では不可です)。

ただし、書面議決あるいは電磁的方法での議決を可とした株主総会を開く場合は2週間前までです。

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5. 株式譲渡承認における株主総会の種類

株式譲渡承認における株主総会の種類

株主総会は、定例総会と臨時総会に分けられますが、それは株式会社の場合で、2006年の会社法施行以前に設立された有限会社の場合は異なる部分があります。有限会社における株主総会は特別な状況として、簡単に解説します。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。ただし、どの場合でも、株主総会議事録の作成は必須です。

①臨時総会

臨時総会は、定例総会のとき以外に招集する株主総会をさします。株主総会はいつ、何回開催してもかまいませんが、決議すべき内容があるときで、定例総会のとき以外に行う必要がある場合は、臨時総会を開催するのです。

議題も特に制限はなく、何でもかまいませんが、会社法に株主総会の決議が必要である事項を予定しているときは、定例総会ではなく、臨時総会を開催して決議をするのが通例になります。

②定例総会

株主総会は、事業年度の終了後、一定の時期に開催しなければならないと会社法に定められています。これに則って開催される株主総会が定例総会です。決算日から3ヶ月以内に招集される場合が多いです。

定例総会は、前期の事業年度における決算に関する内容と、翌事業年度の事業計画に関する内容が中心です。よくある議題は以下のとおりですが、議題はこれらに制限されません。
 

  • 決算の承認または報告
  • 利益処分に関する承認
  • 役員の定期選任

③特別な状況

2006年の会社法施行以降に設立できなくなった有限会社は、上記の株主総会と事情が異なります。

会社法施行以前に設立された有限会社は、今でも有限会社として残っていますが、昨今は法的類型としては株式会社です。しかし、会社法における例外規定の元で引き続き「特例有限会社」として、かつての有限会社法(会社法施行により廃止)とほぼ同じ規定のもとで事業を継続しています。

特例有限会社は株主総会においても、かつての有限会社法における規定(=昨今における会社法の例外規定)に沿って行いますが、有限会社の株主総会は株式会社の会社法に則った株主総会とは異なる場合があるため注意が必要です。

有限会社の株主総会は、特別決議の議決権要件などが厳しいです。

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6. 株主総会議事録作成の注意点

株主総会議事録作成の注意点

株式譲渡を承認するための株主総会議事録作成における注意点を解説します。

①株主総会の開催日に注意

株式譲渡を承認するための株主総会議事録は、客観的な正確性さえあれば事足りるともいえますが、日付が誤っていた場合は株主総会議事録の客観的な正確性が一瞬で崩れます。悪意がなくても株主総会議事録の虚偽記載になってしまう恐れがあるのです。

したがって、開催日はよく確認して株主総会議事録に記載しましょう。株主総会議事録には時間や場所の記載も忘れないようにしてください。なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

②記載内容の不備に注意

株主総会議事録は、商業登記や裁判での証拠資料となるものです。

株主総会で決まったとおりのことを行っても、それが株主総会議事録の記載内容と異なっていた場合、株主総会議事録の記載が正しいと見なされてしまう恐れがあります。

したがって、作成した株主総会議事録がきちんと株主総会の内容かをよく確認し、株主総会議事録の記載内容に不備がないよう注意しましょう。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どのような株主総会にも共通します。

③署名や印鑑の必要性に注意

株主総会についても定めている会社法自体には株主総会議事録の署名・印鑑における義務の定めはありません。したがって、法的には署名・印鑑がなくても株主総会議事録は成立します。

しかし、多くの会社は定款に「株主総会議事録作成と印鑑を押す人物」について条項を設けています。株主総会議事録には議長と出席取締役、および株主総会議事録作成者の印鑑が必要と定められているケースが多いです。定款で定められていれば、署名・印鑑がなければ株主総会議事録が成立しないので注意が必要です。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

④作成者の署名に注意

会社法では、株主総会議事録の作成者について、取締役がその役目を果たすとしています。株主総会議事録の作成者に関する署名・印鑑の注意事項は、前述のとおりです。定款に定められていれば、株主総会議事録に署名・印鑑が必要となります。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

⑤作成時期に注意

株主総会議事録は、総会後速やかに作成する必要があります。例えば、登記に関する事項において株主総会で決議された場合は、2週間以内に登記申請をしなければなりません。

登記申請には議事録の添付が必要になるため、株主総会終了後は速やかに作成しましょう。

⑥保管期間に注意

株主総会議事録は、株主や債権者に対する情報公開資料の役目があります。

会社法にて、株主総会議事録の原本を本店に10年間、コピーを支店に5年間保管し、株主総会議事録の閲覧・謄写における請求に応じる義務があります。安易に株主総会議事録を廃棄したり、支店に株主総会議事録のコピーを送る手続きを怠ったりすると法令違反です。

なお、本項目は株式譲渡に限った話ではなく、どの株主総会にも共通します。

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7. 株式譲渡の株主総会議事録に関する相談先

株式譲渡の株主総会議事録に関する相談先

株式譲渡を行う際は、取引先との契約手続きを不備やトラブルがないよう進めなくてはなりません。契約手続きには、法律・税金・会計など幅広い知識が必要な場面も多いため、M&A専門家のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

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8. 株主総会議事録のまとめ

株主総会議事録のまとめ

株式譲渡において株主総会の承認が必要なのは、譲渡制限付き株式を譲渡(売却)する場合で、その承認機関が株主総会となっている場合です。

株式譲渡を承認するための株主総会では、株主総会議事録の作成を行わなければなりません。記載すべき事項や注意点をあらかじめ把握することが大切です。

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