株式の取得価額の確認方法!不明な場合の対処法も解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

株式の取得価額は、納税額を算定する際に必要になります。しかし、その確認方法が複雑でわかりづらいという声があるのも現実です。本記事では、株式の取得価額の確認方法と、必要書類が手に入らず取得価額が不明な場合の対処法も合わせて解説します。

目次

  1. 株式の取得価額とは
  2. 購入や払込み以外で取得した株式の取得価額
  3. 株式の取得価額を知っておくべき理由
  4. 株式の取得価額を計算する方法
  5. 株式の取得価額の確認方法
  6. 株式の取得価額を知るフローチャート
  7. 株式の取得価額が不明の際の対処法
  8. 株式を取得した際の手数料などの扱い
  9. 株式の取得価額に関する相談におすすめの仲介会社
  10. 株式の取得価額まとめ
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1. 株式の取得価額とは

株式の取得価額とは、大まかにいうと取得した株式の平均取得費のことです。

株式などを売却した際の譲渡所得の金額は、売却金額から取得価額と売却手数料などを引いて計算します。株式の取得価額は、株式を購入した時価に、手数料や消費税、名義書換料など株式を取得するために要した費用を足したものも含まれます。

上場株式を複数株購入したり期間を空けて購入したりすると株価にばらつきが出ますが、その場合は平均取得費を取得価額とし、それを上回った分が利益として課税される仕組みです。

例えば、1,000円で1株と900円で1株を買ったとすると、取得価額は1,000円と900円の平均950円になります。これを売却した場合、950円を上回った部分が課税対象となります。

その日のうちに買い戻した場合

保有していた株式を売却してその日のうちに買い戻した場合は、もともと保有していた価格と買い戻した価格の平均が取得価額です。

例えば、1,000円の株式を1株所有していてそれを1,100円で売却し、その日のうちに1,090円で買い戻したとします。

その場合、1,000円と1,090円の平均1,045円が取得価額となり、売却額1,100円との差額55円が課税対象です。1,100円と1,000円の差額ではないところに注意しましょう。

なお、買い戻したのが次の日以降の場合は、もともと保有していた価格1,000円がそのまま取得価額となり、売却額1,100円との差額100円が課税対象になります。

株式の時価との違い

株式には、取得価額以外に時価がありますが、これらは一見、似ているようで意味が異なります。時価とは通常の株式取引で形成されている株価のことで、上場株式なら株式市場での取引価格が時価です。

非上場株式の場合は、市場で自然に時価が形成されることがないので、所得税法で定められた方法によって時価が決定されます。

一般的に、非上場株式の取引価格は、当事者間の主観が入るので必ずしも適正な価格ではない場合があるのが前提です。

そこで、所得税法上の時価は、そういった主観をできるだけ排除して、非上場株式の適正な価格を算定するために定められました。

【関連】株式取得とは?手続き方法や目的、買収との違い、メリット・デメリットを解説!

2. 購入や払込み以外で取得した株式の取得価額

ここまで株式の取得価額を解説してきましたが、これらは購入や払込みの場合に適用されるものです。

相続や新株予約権など、それ以外の方法で株式を取得した場合、その取得価額はどうなるのでしょうか。以下では、購入や払込み以外で取得した株式の取得価額を解説します。

相続などにより取得した場合

相続や贈与で株式を取得した場合は、もとの所有者がその株式を取得したときの所得価額がそのまま引き継がれます。もとの所有者とは、例えば被相続人や遺贈者・贈与者などです。

取得価額の計算方法は、通常の場合と変わりません。もとの所有者が1,000円の株式を1株、900円の株式を1株所有していてそれを相続した場合は、1,000円と900円の平均である950円が取得価額となります。

発行法人の権利により取得した場合

2001(平成13)年に商法が大幅に改正され、株式譲渡請求権や新株予約権など、発行法人の権利により取得した株式に関して制度の変更がありました。

商法改正前に取得したこれらの権利には以下の3つがあり、これらの権利を行使して株式を取得した場合、権利行使日における価額が取得価額となります。
 

  • 2001年法律第79号による改正前の商法に規定する株式譲渡請求権
  • 2001年法律第128号による改正前の商法に規定する新株の引受権
  • 2005(平成17)年法律第87号による改正前の商法に規定する新株予約権

以下2つの権利は、それぞれ「その権利の行使の日における価額を取得価額とする」「その権利に基づく払込み又は給付の期日における価額を取得価額とする」と定められています。
 
  • 会社法第238条第2項の決議などに基づき交付された新株予約権
  • 株式と引換えに払い込むべき金額が有利な場合におけるその株式を取得する権利

新株予約権などで取得した場合

新株予約権を行使して株式を取得した場合、その権利を行使したときに税金が課せられるため、新株予約権を取得した時点では課税されません。

課税対象となるのは、「権利を行使した時点での株式時価と権利行使価額との差額」です。

権利行使価額とは、新株予約権を発行する際にあらかじめ定められた価額のことで、時価に関係なく権利行使価額で株式を取得できることを意味します。

法人の場合は、権利行使時でも課税はされず、株式譲渡時に課税されるので注意しましょう。

【関連】新株予約権とは?仕組みや手続き方法、メリット・リスクを解説!

その他

上述した方法以外で株式を取得した場合は、「その取得の時におけるその株式等の取得のために通常要する価額」を取得価額とすると定められています。

「通常要する価額」がいくらになるかは専門家でないとわからない部分があるので、株式を取得した際は、会計士や税理士に相談するのがおすめです。

【関連】非上場株式を取得する方法や取得価額の決め方、税務周りも解説!

3. 株式の取得価額を知っておくべき理由

株式の取得価額には、株式を購入した価格である時価とは違う概念もあります。しかし、税金を計算するときは取得価額を用いるので、株式を取得する際は取得価額を正しく知っておくことが重要です。

株式の取得価額を知らずに不正確な確定申告をすると、後で修正を求められる可能性もあります。

株式や税務に詳しくない人にとって、取得価額はややわかりにくい部分があるかもしれませんが、正しい確定申告をするためにも、株式の取得価額を間違えないように注意しましょう。

【関連】株式譲渡した際の確定申告方法!かかる税金や必要書類の書き方を解説!

4. 株式の取得価額を計算する方法

株式の取得価額の計算方法に関して説明します。以下のような計算式によって、取得価額が決定されるのです。詳しくみていきましょう。

株式の取得価額を計算する際の1単位当たりの調整

取得価額は、株式などの取得にかかった1単位当たりの価額に株数などを乗じて計算します。株式などの分割や併合が行われた際や株式などの取得があった場合は、1株当たりの価額が調整されるケースがあります。取得価額の計算式は以下のとおりです。

  • 1株当たりの取得費=((単価×数)+委託手数料+消費税)÷株数
  • 譲渡株式の取得費=1株当たりの取得費×株式数

上記が一般的な計算公式になります。次に同一銘柄の株式などを2回以上にわたって取得した場合はどのようになるのでしょうか。以下で説明しましょう。

同じ銘柄を2回以上購入している場合の取得価額

同じ銘柄の株式を2回以上購入している場合の取得価額はどのように計算するのでしょうか。株式などの一部を譲り渡した場合の取得価額は、総平均法に準じた計算方法によって1単位当たりの金額をベースに計算します。

総平均法に準じた方法は、株式などをその種類および銘柄ごとに区分して、その種類などの同じものに関しては以下のとおりです。

  • (A+B)÷(C+D)=1単位当たりの金額

A=株式などを最初に購入した際の購入価額総額
B=株式などを最初に購入した後から譲渡時までの購入価額総額
C=Aに関する株式などの総数
D=Bに関する株式などの総数

過去の取引事実に基づいて算定されることから、客観性が求められるために、取引に関する書類を整理し、保管しておくのが重要です。

概算取得費(譲渡代金の5%相当額)で税務申告を進めるのも可能ですが、課税対象の譲渡益が高くなる恐れもあるため、取得価額をしっかりと計算します。取得価額の計算は複雑なため、会計士や税理士などM&Aの専門家に相談するのが良いでしょう。

5. 株式の取得価額の確認方法

この章では、株式の取得価額の確認方法を解説します。株式の取得価額の確認方法は、以下の3つです。

【株式の取得価額の確認方法】

  1. 取引報告書にて確認する
  2. 証券会社に確認する
  3. 手元にある預金通帳などで確認する

①取引報告書にて確認する

株式の取得価額を知りたいとき、まず確認すべきなのが、証券会社が発行する取引報告書です。

取引報告書には取得費が記載されているので、それを見ればすぐに取得価額がわかります。取引報告書は、各証券会社が郵送や電子交付で発行しているので、なくさずに保管するようにしましょう。

取引報告書以外に、取引残高報告書・月次報告書・受渡計算書などでも、取得金額を確認できます。

②証券会社に確認する

証券会社などの金融商品取引業者は、「法定帳簿」といった帳簿を作成して保管しておかなければならない旨が、金融商品取引法で定められています。

証券会社は「顧客勘定元帳」の法定帳簿を必ず保管しているので、これを請求すれば取得金額がわかる算段です。顧客勘定元帳は、各証券会社に電話などで請求すれば有料で入手できます。

顧客勘定元帳の法律上の保存義務期間は10年なので、10年以上前の取引に関しては請求しても入手できないかもしれません。

しかし、証券会社によっては、10年以上前の顧客勘定元帳を保管している場合もあるため、確認するのが良いでしょう。

顧客勘定元帳を請求する際は、必ず取得日を含む期間を指定します。顧客勘定元帳には損益が記載されていないため、取得日を含む期間でないと取得金額がわからなくなるからです。

③手元にある預金通帳などで確認する

取引報告書がなく顧客勘定元帳もない場合でも、取得価額を確認する方法はあります。例えば、預金通帳から取得費がわかれば、その額を取得価額としてよいのです。

預金通帳のような公式な記録でなくても、個人的な日記やメモなども、取得価額の確認に使用できる場合があります。

【関連】株式(有価証券)の取得でかかる取得関連費用の会計処理を徹底解説!

6. 株式の取得価額を知るフローチャート

国税庁のホームページには「上場株式等の取得価額の確認方法」というページがあり、株式の取得価額を知るための手続きをフローチャートで見られます。

取得方法がわからなくなったときは、このフローチャートを参考にするとよいでしょう。フローチャートの内容は以下のとおりです。
 

  1. 取引報告書を確認する
  2. 顧客勘定元帳を確認する
  3. 自身の控え(通帳や日記など)を確認する
  4. 名義書換日から取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定する

①取引報告書を確認する

取引報告書以外に、取引残高報告書・月次報告書・受渡計算書なども、取得価額の確認に使用可能です。

②顧客勘定元帳を確認する

顧客勘定元帳の法律上の保存義務期間は10年ですが、証券会社によっては10年以上前のものを保管している場合があります。

③自身の控え(通帳や日記など)を確認する

預金通帳などの正式な記録以外に、自分がつけた日記なども取得価額の確認に使用できます。

④名義書換日から取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定する

上場株式の場合、取得日の新聞に載っている株価なども、取得価額の確認に使用できるでしょう。

7. 株式の取得価額が不明の際の対処法

前章で株式の取得価額の確認方法を見てきましたが、取引報告書も顧客勘定元帳もなく、通帳や日記を見ても取得価額が不明なケースもあるかもしれません。

このような場合の対処法としては、以下の2つが考えられます。この章では、株式の取得価額が不明の際の2つの対処法について見てみましょう。

【株式の取得価額が不明の際の対処法】

  1. 名義書簡の日の株価を見る
  2. 売却額の5%で計算する

①名義書簡の日の株価を見る

株式の取得価額が不明の場合、何らかの方法で名義書換日を調べて、その日の株価を基に取得価額を算出する方法が可能です。

例えば、名義書換業務をしている株式の発行会社に問い合わせて、株主名簿や株式異動証明書から取得時期を調べるのです。

そして取得日がわかれば、上場株式の場合はヤフーファイナンスや新聞の株式欄などで、当時の株価を確認できます。

②売却額の5%で計算する

どうしても株式の取得価額が不明な場合は、売却額の5%を取得価額とする「概算取得費」といった計算方法もあります。

概算取得費とは、土地・建物・株式などの売却額がどうしても不明なとき、一律で売却額の5%を取得価額とみなしてよいものです。

概算取得費は本来、先祖代々受け継がれている土地建物など、取得価額を調べようがないものに対して適用されるものですが、株式の取得価額が不明な場合にも適用されることがあります。

これに従うと、例えば10万円で売却した株式の概算取得費は5,000円となり、残りの9万5,000円分が課税対象です。

ただし、株式の取得価額が売却額の5%以下であることはまれなので、概算取得費を株式に適用すると、ほとんどの場合、損をしてしまいます。

取得価額を調べるのが面倒だから概算取得費で良いのではなく、やはりきちんと取得価額を調べることが重要です。

【関連】株式取得時にかかる税金一覧まとめ!計算方法も解説!

8. 株式を取得した際の手数料などの扱い

株式を取得するとき、株式の時価や権利行使価額に加えて、証券会社に支払う手数料や消費税がかかります。

手数料や消費税は、時価とともに取得価額に含まれ、購入価格と手数料の合計が取得価額です。

ただし、名義書換料など一部の費用は、取得価額に含まれないことがあります。これらは専門家でないと判断が難しいので、会計士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。

9. 株式の取得価額に関する相談におすすめの仲介会社

株式の取得価額の算定は難しい部分も多く、専門家でないと正確な額がわからないケースもあります。

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10. 株式の取得価額まとめ

本記事では株式の取得価額の確認方法を解説しました。特殊な事例を除いて、以下の基本的な確認方法を行えば、ほとんどの場合取得価額がわかります。

新株予約権など特殊な事例は、税務が複雑になるので、会計士など専門家のサポートを受けることをおすすめします。

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