株式の取得価額の確認方法!不明な場合の対処法も解説!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

株式の取得価額は、納税額を算定する際に必要になりますが、確認方法が複雑なためよく分からない方も多いのではないでしょうか。本記事では、株式の取得価額の確認方法を解説します。また、必要書類が手に入らず取得価額が不明な場合の対処法も併せて解説しています。

目次

  1. 株式の取得価額とは
  2. 株式の取得価額を知っておくべき理由
  3. 株式の取得価額の確認方法
  4. 株式の取得価額が不明の際の対処法
  5. 株式の取得価額を知るフローチャート
  6. 購入や払込み以外で取得した株式の取得価額
  7. 株式を取得した際の手数料などの扱い
  8. 株式の取得価額の相談におすすめの仲介会社
  9. まとめ
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1. 株式の取得価額とは

株式の取得価額

株式の取得価額とは、大まかに言うと取得した株式の平均取得費のことです。株式を購入した時価に、手数料や消費税を足したものを平均します。

上場株式を複数株購入したり期間を空けて購入したりすると株価にばらつきが出ますが、その場合は平均取得費を取得価額とし、それを上回った分が利益として課税されます

例えば、1,000円で1株と900円で1株を買ったとすると、取得価額は1,000円と900円の平均950円になります。これを売却した場合、950円を上回った部分が課税対象になります。

その日のうちに買い戻した場合

保有していた株式を売却してその日のうちに買い戻した場合は、元々保有していた価格と買い戻した価格の平均が取得価額になります

例えば、1,000円の株式を1株所有していてそれを1,100円で売却し、その日のうちに1,090円で買い戻したとします。

その場合、1,000円と1,090円の平均1,045円が取得価額となり、売却額1,100円との差額55円が課税対象となります。1,100円と1,000円の差額ではないところに注意が必要です。

なお、買い戻したのが次の日以降の場合は、元々保有していた価格1,000円がそのまま取得価額となり、売却額1,100円との差額100円が課税対象になります。

株式の時価との違い

株式には、取得価額以外に時価というものがありますが、これらは一見似ているようで意味が異なります。

時価とは通常の株式取引で形成されている株価のことで、上場株式なら株式市場での取引価格が時価となります。

非上場株式の場合は、市場で自然に時価が形成されることがないので、所得税法で定められた方法によって時価が決定されます

非上場株式の取引価格は当事者間の主観が入るので、必ずしも適正な価格ではない場合があります。

所得税法上の時価は、そういった主観をできるだけ排除して、非上場株式の適正な価格を算定しようとするものです。

2. 株式の取得価額を知っておくべき理由

知っておくべき理由

株式の取得価額には、株式を購入した価格である時価とは違う概念があります。税金を計算する時は取得価額を使用するので、株式を取得する際は取得価額を正しく知っておくことが重要になります。

株式の取得価額を知らずに不正確な確定申告をすると、後で修正を求められる可能性もあります。

株式や税務に詳しくない人にとって、取得価額というのはやや分かりにくい部分があると思いますが、正しい確定申告をするためにも、株式の取得価額を間違えないように注意しましょう。

【関連】株式譲渡した際の確定申告方法!かかる税金や必要書類の書き方を解説!

3. 株式の取得価額の確認方法

確認方法

この章では、株式の取得価額の確認方法について解説します。株式の取得価額の確認方法には、以下の3つがあります。

【株式の取得価額の確認方法】

  1. 取引報告書にて確認する
  2. 証券会社に確認する
  3. 手元にある預金通帳などで確認する

①取引報告書にて確認する

株式の取得価額を知りたい時、まず最初に確認すべきなのが、証券会社が発行する取引報告書です。

取引報告書には取得費が記載されているので、それを見ればすぐに取得価額が分かります。取引報告書は、各証券会社が郵送や電子交付で発行しているので、なくさずに保管するようにしましょう。

また、取引報告書以外に、取引残高報告書・月次報告書・受渡計算書などでも、取得金額を確認することができます。

②証券会社に確認する

証券会社などの金融商品取引業者は、「法定帳簿」という帳簿を作成して保管しておかなければならない旨が、金融商品取引法で定められています。

証券会社は「顧客勘定元帳」という法定帳簿を必ず保管しているので、これを請求すれば取得金額が分かります。顧客勘定元帳は、各証券会社に電話などで請求すれば有料で入手することが可能です。

顧客勘定元帳の法律上の保存義務期間は10年なので、10年以上前の取引については請求しても入手できない可能性があります

しかし証券会社によっては、10年以上前の顧客勘定元帳を保管している場合もあるため、確認してみるとよいでしょう。

顧客勘定元帳を請求する時は、必ず取得日を含む期間を指定しましょう。顧客勘定元帳には損益が記載されていないので、取得日を含む期間でないと取得金額が分からなくなります。

③手元にある預金通帳などで確認する

取引報告書がなく顧客勘定元帳もない場合でも、取得価額を確認する方法があります。例えば、預金通帳から取得費が分かれば、その額を取得価額としてよいとされています

預金通帳のような公式な記録でなくても、個人的な日記やメモなども、取得価額の確認に使用できる場合があります

4. 株式の取得価額が不明の際の対処法

不明の際の対処法

前章で株式の取得価額の確認方法を見てきましたが、取引報告書も顧客勘定元帳もなく、通帳や日記を見ても取得価額が不明なケースもあると思います。

このような場合の対処法としては、以下の2つが考えられます。この章では、株式の取得価額が不明の際の2つの対処法について解説します。

【株式の取得価額が不明の際の対処法】

  1. 名義書簡の日の株価を見る
  2. 売却額の5%で計算する

①名義書簡の日の株価を見る

株式の取得価額が不明の場合、何らかの方法で名義書換日を調べて、その日の株価をもとに取得価額を算出するという方法がとられます。

例えば、名義書換業務をしている株式の発行会社に問い合わせて、株主名簿や株式異動証明書から取得時期を調べます。

そして取得日が分かれば、上場株式の場合はヤフーファイナンスや新聞の株式欄で、当時の株価を確認することができます。

②売却額の5%で計算する

どうしても株式の取得価額が不明な場合は、売却額の5%を取得価額とする「概算取得費」という計算方法もあります

概算取得費とは、土地・建物・株式などの売却額がどうしても不明な時、一律で売却額の5%を取得価額とみなしてよいというものです。

概算取得費は本来、先祖代々受け継がれている土地建物など、取得価額を調べようがないものに対して適用されるものですが、株式の取得価額が不明な場合にも適用されることがあります。

これに従うと、例えば10万円で売却した株式の概算取得費は5,000円となり、残りの9万5000円分に税が課せられます。

ただし、株式の取得価額が売却額の5%以下であることは稀なので、概算取得費を株式に適用すると、ほとんどの場合損をすることになります。

取得価額を調べるのが面倒だから概算取得費でいいというのではなく、やはりきちんと取得価額を調べることが重要です。

5. 株式の取得価額を知るフローチャート

フローチャート

国税庁の「上場株式等の取得価額の確認方法」というページでは、株式の取得価額を知るための手続きをフローチャートで見ることができます。

取得方法が分からなくなった時は、このフローチャートを参考にするとよいでしょう。フローチャートは以下の通りです。

  1. 取引報告書を確認する
  2. 取引報告書がない場合、顧客勘定元帳を確認する
  3. 顧客勘定元帳がない場合、自身の控え(通帳や日記など)を確認する
  4. 自身の控えがない場合、名義書換日から取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定する

①取引報告書を確認する

取引報告書以外に、取引残高報告書・月次報告書・受渡計算書なども、取得価額の確認に使用することができます。

②顧客勘定元帳を確認する

顧客勘定元帳の法律上の保存義務期間は10年ですが、証券会社によっては10年以上前のものも保管している場合があります。

③自身の控え(通帳や日記など)を確認する

預金通帳などの正式な記録以外に、自分がつけた日記なども、取得価額の確認に使用することができます。

④名義書換日から取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定する

上場株式の場合、取得日の新聞に載っている株価なども、取得価額の確認に使用することができます。

6. 購入や払込み以外で取得した株式の取得価額

購入や払込み以外の取得価額

ここまで株式の取得価額について解説してきましたが、これらは購入や払込みの場合に適用されるものです。

相続や新株予約権など、それ以外の方法で株式を取得した場合、その取得価額はどうなるのでしょうか。以下では、購入や払込み以外で取得した株式の取得価額について解説します。

相続などにより取得した場合

相続や贈与で株式を取得した場合は、元の所有者がその株式を取得した時の所得価額がそのまま引き継がれます。元の所有者とは、例えば被相続人や遺贈者・贈与者などです。

取得価額の計算方法は、通常の場合と同じです。元の所有者が1,000円の株式を1株、900円の株式を1株所有していてそれを相続した場合は、1,000円と900円の平均である950円が取得価額となります。

発行法人の権利により取得した場合

平成13年に商法が大幅に改正され、株式譲渡請求権や新株予約権など、発行法人の権利により取得した株式について制度の変更がありました。

商法改正前に取得したこれらの権利には以下の3つがあり、これらの権利を行使して株式を取得した場合、権利行使日における価額が取得価額となります

  1. 平成13年法律第79号による改正前の商法に規定する株式譲渡請求権
  2. 平成13年法律第128号による改正前の商法に規定する新株の引受権
  3. 平成17年法律第87号による改正前の商法に規定する新株予約権

また、以下2つの権利については、それぞれ「その権利の行使の日における価額を取得価額とする」「その権利に基づく払込み又は給付の期日における価額を取得価額とする」と定められています。
  1. 会社法第238条第2項の決議等に基づき交付された新株予約権
  2. 株式と引換えに払い込むべき金額が有利な場合におけるその株式を取得する権利

新株予約権などで取得した場合

新株予約権を権利行使して株式を取得した場合、その権利を行使した時に税金が課せられるため、新株予約権を取得した時点では課税されません。

課税対象となるのは、「権利を行使した時点での株式時価と権利行使価額との差額」です。

権利行使価額とは、新株予約権を発行する際にあらかじめ定められた価額のことで、時価に関係なく権利行使価額で株式を取得できるというものです。

また法人の場合は、権利行使時でも課税はされず、株式譲渡時に課税されることになります。

【関連】新株予約権とは?仕組みや手続き方法、メリット・リスクを解説!

その他

上で挙げた方法以外で株式を取得した場合は、「その取得の時におけるその株式等の取得のために通常要する価額」を取得価額とすると定められています。

「通常要する価額」がいくらになるかは専門家でないと分からない部分があるので、株式を取得した際は、会計士や税理士に相談することをおすすめします。

7. 株式を取得した際の手数料などの扱い

手数料などの扱い

株式を取得する時、株式の時価や権利行使価額に加えて、証券会社に支払う手数料や消費税がかかります。

手数料や消費税は、時価とともに取得価額に含まれ、購入価格と手数料の合計が取得価額になります。

ただし、名義書換料など一部の費用は、取得価額に含まれないことがあります。このあたりは専門家でないと判断が難しいので、会計士などの専門家に相談したほうがよいでしょう。

8. 株式の取得価額の相談におすすめの仲介会社

おすすめの仲介会社

株式の取得価額の算定は難しい部分も多く、専門家でないと正確な額が分からないケースもあります。そのため、株式を取得した際は会計士・税理士などの専門家に相談しておいたほうがよいでしょう。

M&A総合研究所では、株式譲渡でのM&Aなど正確な株式の取得価額を算定する際も、経験豊富な会計士が親身になってサポートします

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9. まとめ

まとめ

本記事では株式の取得価額の確認方法について解説しました。特殊な事例を除いて、以下の基本的な確認方法を行えば、ほとんどの場合取得価額が分かります。

【株式の取得価額の確認方法】

  1. 取引報告書にて確認する
  2. 証券会社に確認する
  3. 手元にある預金通帳などで確認する


それでも取得価額が不明な時は、以下の方法で対処することも可能です。

【株式の取得価額が不明の際の対処法】
  1. 名義書簡の日の株価を見る
  2. 売却額の5%で計算する

取得価額の確認方法が分からない時は、以下のフローチャートに従いましょう。

【株式の取得価額を知るフローチャート】
  1. 取引報告書を確認する
  2. 取引報告書がない場合、顧客勘定元帳を確認する
  3. 顧客勘定元帳がない場合、自身の控え(通帳や日記など)を確認する
  4. 自身の控えがない場合、名義書換日から取得時期を把握し、その時期の相場を基に取得価額を算定する
新株予約権など特殊な事例は、税務が複雑になるので、会計士など専門家のサポートを受けることをおすすめします。

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