給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A動向!売却・買収事例、相場、成功ポイントも解説

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

本記事では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A動向を分析しました。給食業・テイクアウト・配達飲食会社の売却(譲渡)・買収のメリット・デメリット、M&Aを成功させるポイント、売却・買収相場や最新事例などを解説します。

目次

  1. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社とは
  2. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A動向
  3. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・売却案件情報【2024年最新】
  4. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・売却・買収・譲渡の事例
  5. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aの流れ
  6. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A手法
  7. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡の相場
  8. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡のメリット
  9. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡のデメリット
  10. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡における注意点
  11. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡の成功ポイント
  12. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A動向まとめ
  13. 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧
  14. 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧
  • 給食業・給食サービス会社のM&A・事業承継

1. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社とは

給食業とは、多数の顧客に対し一斉に飲食サービスを行う事業のことです。旅館などに代表される宿泊客向け=不特定多数の顧客に飲食サービスする「営業給食」と、学校給食や社員食堂などに代表される特定多数の顧客に継続的に飲食サービスする「集団給食」に分かれます。

テイクアウト・配達飲食会社とは、調理した食品を顧客が店舗から持ち帰って食べたり、調理した食品を自宅まで届けたりする形態の事業のことです。これは、飲食業界のうちの中食(なかしょく)業界に該当します。

飲食業は、飲食店で食事をする「外食」、家庭内で調理して食事する「内食」、配達された物または買ってきた物を食べる「中食」に分けられており、給食は外食に該当するのです。本記事における給食業は、集団給食事業を述べるものとします。

給食業・テイクアウト・配達飲食会社に見られる特色

給食業には、先に挙げた学校給食や社員食堂以外にも、保育所給食・病院給食・官公庁の職員食堂などがあります。いずれも、サービス提供先の学校・企業・保育所・病院・官公庁と契約を結んで継続的に行われる点が特徴的です。コントラクトフードサービスといった別称もあります。

テイクアウト・配達飲食会社に含まれるのは、総菜や弁当などの持ち帰り専門店や、ピザ・寿司・中華料理などの宅配店などです。弁当・調理パン・総菜類の販売をしているスーパーやコンビニエンスストアも、この中に含まれます。

給食業・テイクアウト・配達飲食会社の業界構造

一般社団法人日本フードサービスの資料によると、2021(令和3)年の営業給食の推計市場規模は11兆9639億円で、前年より 5.9%減少している状況です。このうち「集団給食」の市場規模は2兆9409 億円で、前年より4.0%増加しています。

集団給食の推計市場規模の内訳は、以下のとおりです。

  • 社員食堂など:9,768億円
  • 病院:7,428億円
  • 事業所向け弁当給食:4,196億円
  • 学校:4,679億円
  • 保育所:3,338億円

資料には、「料理品小売業」という分類もあります。これが配達飲食に該当するかどうか言及はないものの、料理品小売業の2021年の推計市場規模は7兆5,357億円でした。

参考:一般社団法人 日本フードサービス協会「令和 33年(令和3年1月~令和3年12月)外食産業市場規模推計について」

出典:出典:https://www.nsouzai-kyoukai.or.jp/wp-content/uploads/hpb-media/hakusho2022_digest.pdf

一般社団法人日本惣菜協会の「2024年版惣菜白書-ダイジェスト版-」によると、2023年の総菜市場規模は10兆9,827億円でした。コロナ禍を乗り越え惣菜市場の売上高は10兆円台に回復し、再び成長しています。

総菜市場規模の業態別の内訳は、以下のとおりです。

  • 惣菜専門店:2兆9,426億円
  • 百貨店:3431億円 
  • 総合スーパー:9,754億円
  • 食料品スーパー:3兆2,586億円
  • コンビニエンスストア:3兆4,631億円

参照:一般社団法人日本惣菜協会「2024年版 惣菜白書-ダイジェスト版-」

給食業・テイクアウト・配達飲食会社の現状

給食業・テイクアウト・配達飲食会社の近年の動向は、以下のとおり推移しています。

  • 需要が高く今後も発展が予測される
  • 地域性の高い業界なので配達などに限れば売上減少
  • コロナ禍による事業環境の変化

需要が高く今後も発展が予測される

給食業・テイクアウト・配達飲食会社の需要は高く、今後も発展していくと予測されています。

学校給食における外部委託比率は年々上昇しており、文部科学省の「令和3年度学校給食実施状況等調査」によると、2021年度における公立学校の外部委託比率は54.7%とおよそ半分です。少子化による人口減少が問題となっている一方で、保育所などの利用児童数が増加している現状も見られます。

厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)」によると、2020年4月1日時点で保育所などを利用している児童の数は305万人(前年比7,000人増加)であり、今後も保育所給食のニーズが増加していく見込みです。

そのほか、需要を向上させている要因には、個食化の進行・働く女性の増加・高齢化の進行などが挙げられます。最近は、今後の市場動向を見越して、外食業界などの関連業界からの参入も相次いでいる状況です。

参考:文部科学省「令和3年度学校給食実施状況等調査の結果について」
   厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)及び「子育て安心プラン」集計結果を公表」

地域性の高い業界なので配達などに限れば売上減少

給食業・テイクアウト・配達飲食会社は、商圏が狭く地域性の高い業態が多いため、売上を伸ばせずに苦戦している企業が多く存在します。人材の確保が難しくなっている点も、売上を減少させている要因です。

コロナ禍による事業環境の変化

2020年にはじまった新型コロナウィルス感染拡大問題は、日本では終息の兆しがありますが、依然として予断を許しません。コロナ禍により飲食業界のうち特に外食業界は、大きなダメージを負いました。

給食業・テイクアウト・配達飲食会社の場合、テイクアウト・配達飲食会社は需要が高まった一方で、給食業は企業のリモートワークなどが定着すると社員食堂は減少していくおそれがあります。

今後は、ウィズコロナ・アフターコロナ時代において、従来とは変わってしまった社会環境・事業環境の中で、各社の新たな対応・経営戦略が必要になるでしょう。

【関連】新型コロナで事業承継・譲渡が急増?買い手はいる?【失敗事例あり】

2. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A動向

給食業・テイクアウト・配達飲食会社業界のM&A動向は、以下のように推移しています。

  • 売上維持のためのM&Aが注目されている
  • 顧客層に対応するためのM&Aも増えている
  • コンペスタイルの受注形式に対応するためのM&Aも増加している

①売上維持のためのM&Aが注目されている

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、関連業界からの参入などにより市場規模は伸びているものの、売上が伸びずに厳しい経営を強いられている企業も多いです。したがって、近年は売上を維持するためのM&A・資本業務提携が注目されています。

②顧客層に対応するためのM&Aも増えている

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、消費者のライフスタイルの多様化・新業態の創出などにより、対象となる顧客層が拡大している状況です。消費者動向の変化に対応するため、各企業はM&Aによる買収・売却を進めています。

③コンペスタイルの受注形式に対応するためのM&Aも増加している

行事・パーティーなどのデリバリーやケータリングでは、発注する会社をコンペ形式で選ぶケースが見られます。コンペ形式での大口受注を獲得するために、M&Aにより関連企業・ノウハウのある企業などを取得するケースも増加している状況です。

3. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・売却案件情報【2024年最新】

本章では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連の売却案件を紹介します。

【セントラルキッチン保有】給食受託事業(関東)

学校給食、企業食堂、病院食、福祉施設院内食等、広く対応しています。自社工場も保有しており、仕出し弁当やケータリングサービスも提供可能です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 10億円〜25億円
譲渡希望額 希望なし
譲渡理由 財務的理由、戦略の見直し

【関連】【セントラルキッチン保有】給食受託事業(関東)(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【借入なし/3期連続増収】食品製造販売・給食事業

民間・公共の施設と「給食業務提携契約」を締結しており、1億円ほどの安定収入を得ています。上記契約期間は更新され続ける可能性が高く、また、豊富な実績と優秀な人材を抱えています。
 

エリア 東北
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 希望なし
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【関連】【借入なし/3期連続増収】食品製造販売・給食事業(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

この売却希望案件は、M&A総合研究所が担当している案件の一部です。これ以外の売却希望案件の情報をご希望の場合は、M&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください。

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4. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・売却・買収・譲渡の事例

ここでは、給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例を見ていきましょう。

  1. 柿安本店による赤塚興産のM&A
  2. キーコーヒーによるイタリアントマトの株式譲渡
  3. プレミアムウォーターHDによるラストワンマイルのM&A
  4. オイシックス・ラ・大地によるシダックスのM&A
  5. トーカンによる三給のM&A
  6. ダスキンといちごホールディングス間の事業譲渡

①柿安本店による赤塚興産のM&A

柿安本店は、赤塚興産の株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。

柿安本店は、レストラン、惣菜、和菓子、食品、精肉といった「外食」「中食」「内食」のすべてのカテゴリーで事業を展開しています。

赤塚興産は、柿安本店の創業家の資産管理会社であり、有価証券の売買も行っています。

株式取得の目的は以下のとおりです。

  • 本取引後に予定されている資本政策により、株主価値の向上が期待できること
  • 実質的な自己株式取得により、柿安本店の一株当たり当期純利益(EPS)が増加し、株主価値と株主資本利益率(ROE)が向上し、株主の皆様にさらなる利益をもたらすこと

株式会社赤塚興産の完全子会社化(特定の株主からの自己株式取得に準ずる手続による取得)に関するお知らせ

②キーコーヒーによるイタリアントマトの株式譲渡

キーコーヒーは、連結子会社であるイタリアントマトの株式および貸付債権を日本共創プラットフォーム(JPiX)に譲渡することを決定しました。この譲渡により、イタリアントマトはキーコーヒーの連結対象から外れますが、今後も重要な取引先として関係を続けます。

キーコーヒーは、コーヒー農園事業から製造・販売までを手掛ける総合企業です。一方、イタリアントマトは飲食店経営や洋菓子の製造販売を行っています。

キーコーヒーグループは新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、収益力の回復を目指して事業構造改革を進めています。JPiXは競争力のある企業に投資し、企業価値を向上させる実績があるため、イタリアントマトの成長が期待できると判断し、譲渡に合意しました。

JPiXによる株式会社イタリアントマトの株式譲受に関するお知らせ

③プレミアムウォーターHDによるラストワンマイルのM&A

給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、プレミアムウォーターHDによるラストワンマイルのM&Aです。

2023年2月、プレミアムウォーターHDはラストワンマイルの株式をTOBにより取得しました。本件M&Aの取得価額は4億8,856万円です。

プレミアムウォーターホールディングスは、一般消費者向けに天然水を製造・宅配している企業です。対するラストワンマイルは、電気・ガス・宅配水・インターネットなどのインフラサービスの販売を行う企業です。

今回のM&Aにより、人材や営業ノウハウの共有、経営資源の相互活用をすることで、さらなる経営効率化と競争力強化を目指します。

株式会社ラストワンマイルの普通株式(証券コード:9252)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ

④オイシックス・ラ・大地によるシダックスのM&A

給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、トーカンによる三給のM&Aです。

2022年8月、オイシックス・ラ・大地は、シダックスをTOBにより取得しました。オイシックス・ラ・大地は、ウェブサイトやカタログでの有機野菜、特別栽培農産物、無添加加工食品などの食品・食材の販売を行っている企業です。

対して、シダックスは、フードサービス事業、車両運行サービス事業、社会サービス事業など幅広い事業を行う企業です。今回のM&Aにより、各種事業におけるシナジー効果創出を目指します。

【お知らせ】シダックス株式会社の株式に対する公開買付けについてQ&Aページ開設のお知らせ

⑤トーカンによる三給のM&A

給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、トーカンによる三給のM&Aです。

2021年4月、セントラルフォレストグループは、子会社であるトーカンを通じて、三給の株式すべてを取得し、子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。

買収側は、トーカンと国分中部の経営統合に伴い設立された共同持株会社です。食品・酒類等の商品に関する卸売業などを行う会社の経営管理および、これに付帯関連する一切の業務を手掛けています。

対する売却側は、愛知県岡崎市を拠点に、外食・給食事業者の仕入パートナー(業務用食材料の卸売業)事業を展開している企業です。

本件M&Aにより、買収側では、売却側が給食市場や中食・惣菜市場に強みを有することを受けて、当事会社双方でシナジー効果を獲得するとともに、給食市場への参入および中食・惣菜向けの売上拡大を図ることで、さらなる企業価値の向上を目指しています。

三給株式会社の株式取得に関する株式譲渡契約書締結についてのお知らせ

⑥ダスキンといちごホールディングス間の事業譲渡

給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、ダスキンといちごホールディングス間の事業譲渡です。2020年6月、環境衛生事業とフード事業を行うダスキンは、いちごホールディングスとその完全子会社ストロベリーコーンズが行う宅配ピザ事業の譲渡を受け、そのために新会社を設立することを発表しました。

元来、ダスキンとストロベリーコーンズは2016(平成28)年に業務提携を締結し、ダスキンが運営する「ミスタードーナツ」において、ストロベリーコーンズのピザ商品「ナポリの窯」を販売しています。

その業務提携が順調に推移していることから、ダスキンとしては、フード事業の第二の柱として、宅配ピザ事業の譲受を決めた模様です。譲渡価額は公表されていません。

しかし、当初、同年11月に実施予定だった事業譲渡は、新型コロナウィルス感染症拡大問題が終息しない現状を鑑み時期未定の延期処置が取られ、最終的に事業譲渡と業務提携の中止が2021年4月に発表されました。

事業譲受の中止及び業務提携契約の終了に関するお知らせ
【関連】お弁当・惣菜屋のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例17選を徹底解説【2024年最新】

5. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aの流れ

給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aは、大まかに以下の流れで進みます。

  1. M&A専門家への相談
  2. M&A専門家との仲介契約・事前準備
  3. 買収先・売却先探し
  4. トップ面談・条件交渉
  5. 基本合意契約
  6. デューデリジェンス(買収側による相手企業の調査)
  7. 最終契約
  8. PMI(買収側で実施されるM&A完了後の経営統合プロセス)

M&Aの詳しい流れは、以下の記事でも解説しておりますので参考にしてください。

【関連】M&Aの流れ・手順を徹底解説!初期の検討〜クロージング後のPMI【実務担当・経営者向け】

6. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A手法

給食業・テイクアウト・配達飲食会社業界でM&Aを行う際の手法は、大きく分けると以下のとおりです。

  • 株式譲渡
  • 事業譲渡
  • 会社分割
  • 合併
  • 資本業務提携

上記の手法はさらにいくつかの種類に分けられ、それぞれで特徴やメリット・デメリットが異なります。M&A手法の詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

なお、上記のうち資本業務提携は、その他のM&A手法のように経営権は移動しないものの、資本の移動は伴いますので広義のM&Aに該当します。

【関連】M&Aの種類とは?区別方法や各手法のメリット・デメリットの比較・税金・事例をわかりやすく解説【2024年最新】

7. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡の相場

給食業・テイクアウト・配達飲食会社は、比較的小規模の設備で経営している企業が多い点・参入障壁が低い点・労働集約型のビジネスモデルである点などの理由から、M&A相場が他業界に比べて安価となる傾向にあります。

しかし、給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、新しい業態・サービスの誕生が続いており、こうした将来性のある新事業は相場が高くなるケースも目立っている状況です。

具体的な相場金額は、各社の業務・収益状況、所有資産、負債状況などが異なるため、不動産のような相場の見積り・提示は難しいでしょう。したがって、各社個別に企業価値評価を実施し、売買価額を算定するのが常です。

【関連】M&Aのバリュエーションとは?企業価値評価の算定方法やメリット・デメリットを解説【事例・動画あり】

8. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡のメリット

本章では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aを行うメリットを、売却側と買収側に分けて解説します。

売却側のメリット

売却側は、M&Aによって主に以下のメリットが得られます。

  • 従業員の雇用確保
  • 後継者問題の解決
  • 売却・譲渡益の獲得
  • 大手買収によるスケールメリットを受けられる
  • 債務・個人保証・担保などの解消

従業員の雇用確保

これまで給食業・テイクアウト・配達飲食会社でノウハウを身につけてきた従業員の失職は、本人にとっても業界にとっても大きな損失です。M&Aによる売却が実現すれば、会社は継続されるため、基本的に雇用環境が維持されます。

後継者問題の解決

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、新規参入する企業が多い一方で、後継者不在によって廃業する企業も多く存在します。M&Aによる売却が実現すれば、給食業・テイクアウト・配達飲食会社の事業継続が可能です。

売却・譲渡益の獲得

M&Aによって売却・譲渡益を得れば、次の事業資金やリタイア資金として活用可能です。ただし、給食業・テイクアウト・配達飲食会社は売却相場が安い傾向にあるため、M&Aの専門家に相談するなどして、事前に企業価値を高めておくと良いでしょう。

大手買収によるスケールメリットを受けられる

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、会社の規模が大きくなるほど、仕入れや輸送コストを抑えられるスケールメリットを獲得できます。M&Aにより大手傘下に入れば、スケールメリットの恩恵を受けやすいです。

債務・個人保証・担保などの解消

多くの中小企業や小規模事業者は、債務を抱えています。小規模事業者も多い給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、融資を受けるために経営者が個人保証や担保の差し入れをしている場合がほとんどです。

M&Aによる会社売却(株式譲渡)であれば、債務は買収側に引き継がれそれと同時に個人保証・担保も解消されます。

買収側のメリット

買収側はM&Aによって、主に以下のメリットが得られます。

  • 従業員の確保
  • 低リスクで未進出のエリアへ進出
  • 関連・周辺サービスとの相乗効果
  • 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
  • 新商品・新サービスの開発など

従業員の確保

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、従業員が確保できず廃業に追い込まれる企業・店舗などが増えている状況です。しかし、M&Aによる買収で従業員を獲得できます。

低リスクで未進出のエリアへ進出

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では商圏の確保が売上の上昇に直結しますが、M&Aによる買収であれば低リスクで事業エリアを拡大できます。

関連・周辺サービスとの相乗効果

M&Aによる買収で外食業界などの関連業界と連携すると、給食業・テイクアウト・配達飲食会社におけるシナジー効果を得られる可能性があるでしょう。

顧客・取引先・ノウハウなどの獲得

給食業・テイクアウト・配達飲食会社は地域性が高いため、事業エリアを広げるためには顧客・取引先・ノウハウの獲得が重要です。M&Aによる買収では、短期間かつ比較的低コストで経営資源を獲得できます。

新商品・新サービスの開発など

給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、大手を中心にM&Aにより新商品や新サービスの開発を進める企業が増えています。M&Aによって他社の技術・ノウハウを獲得すると、開発力を高めながら差別化を図ることが可能です。

【関連】給食会社の事業譲渡のメリットとは?M&A動向と事例・今後の業界展望を解説

9. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡のデメリット

給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aでは、リスクやデメリットもあります。ここでは、売却側と買収側それぞれのデメリットを見ていきましょう。

売却側のデメリット

給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aにおける売却側のデメリットは、主に以下があります。

  • M&Aに不安感や反発心を持った従業員が退職してしまう可能性がある
  • 顧客や取引先がM&Aをナーバスに捉えた場合、今後の取引に悪影響が出る
  • M&A後も経営陣として会社に在籍する場合、全て買い手の経営方針に従わねばならない(従前の権限はない)
  • PMIへの協力が契約条件にある場合、すぐに会社を辞められず一定期間、会社に残らねばならない(ロックアップ)
  • M&Aスキーム(手法)を事業譲渡とした場合、会社法で規定された競業避止義務がある(20年間、売却した事業と同一事業を同一区市町村および隣接区市町村で行えない)
  • 買い手の交渉術が巧みだと、想定していた条件で売却できないことがある
  • 買い手が見つからなければ、M&A自体が成立しない

買収側のデメリット

給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aにおける買収側のデメリットは、主に以下です。

  • M&Aスキームを株式譲渡とした場合、包括承継であるため簿外債務などの経営上リスクとなる要員を引き継いでしまう可能性がある
  • M&Aスキームを株式譲渡や事業譲渡とした場合、対価には多額の現金が必要であり、資金を用意できないとM&A自体を行えない
  • M&A後のPMIが計画どおりに進捗しないと、想定していたシナジー効果の創出が得られず業績向上も見込めない(M&Aの失敗)
  • 想定した業績が出せない場合、買収価格の中に上乗せしていた「のれん」の減損処理の必要が生じ、決算に大きなマイナスダメージが出る
  • PMIで従業員の融合がうまくいかなかった場合、退職者が出る(人材の流出)
  • 条件がそろった買収先と出会えなければM&A自体が成立しない

【関連】キーマン条項(ロックアップ)とは?意味や期間、注意点を解説【具体例あり】

10. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡における注意点

給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aを行う際は、売却側・買収側ともに以下の2点に注意しましょう。

  1. M&Aを行う目的の明確化
  2. M&Aの相手企業の慎重な選択

①M&Aを行う目的の明確化

中小企業のM&Aで多く見られるのが、いつの間にかM&Aの実施自体が目的化してしまっているケースです。特に買収側の場合、本来はM&Aによって実現したい目的があったはずが、なかなか有望な買収先が見つからないでいると、それが形骸化してしまうことが多いです。

M&A実施を決める際は、準備段階で明確な目的・ゴールを定めましょう。

②M&Aの相手企業の慎重な選択

いうまでもなく、M&Aは大きな取引です。売却側の経営者は売却後に自身がリタイアしても、従業員は新たな経営者のもとで勤務が続いていきます。この点を踏まえると、単に金額条件だけでなく、会社と従業員を安心して任せられる買い手を見極めなければなりません。

買収側としても、買収後の経営統合がスムーズに進む相手であるかどうかや、会社間の相性(企業風土の類似性や経営方針の近似性など)にも着目して売り手を選ぶことが肝要です。

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11. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・売却・買収・譲渡の成功ポイント

本章では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社がM&Aを成功させるポイントについて、売却側と買収側に分けて見ていきましょう。

売却側のポイント

売却側は、主に以下のポイントを押さえる必要があります。

  • 安全性確保のための管理が行き届いている
  • 取引先や顧客など効率的な運営が行われている
  • 将来性のある顧客を抱えている
  • ノウハウ・教育などがしっかりしている
  • M&Aの専門家に相談する

安全性確保のための管理が行き届いている

買収側は、統合後のリスクが少ない買収先を求めています。給食業・テイクアウト・配達飲食会社の売却側は、食材の管理やアルバイトの管理などを徹底しておくと買い手が見つかりやすいです。

取引先や顧客など効率的な運営が行われている

給食業・テイクアウト・配達飲食会社の中には売上に対して利益率の低い企業も多いため、事業を効率化しながら業界平均よりも高い利益率で運営できていると企業価値が高まります。

将来性のある顧客を抱えている

給食業・テイクアウト・配達飲食会社が経営を安定させるには、大口の常連顧客の獲得も重要です。将来性のある顧客を抱えていると、買い手からの評価も上がります。

ノウハウ・教育などがしっかりしている

買収側は、統合後のノウハウ共有や人材の教育コストに多くの時間と費用をかけます。売却側のノウハウや人材教育がしっかりしていると統合の負担を減らせるため、買収側は魅力を感じやすいです。

M&Aの専門家に相談する

給食業・テイクアウト・配達飲食会社を売却する際は、事前に戦略を構築しながら企業価値を上げるなどの施策をしたうえで、最適な売却先を探すことが重要です。M&Aの専門家に相談すれば、M&Aの準備・プロセスを最適かつ円滑に進められます。

買収側のポイント

買収側は、主に以下のポイントを押さえましょう。

  • デューデリジェンスの徹底
  • 統合プロセスの実施
  • M&Aの専門家に相談する

デューデリジェンスの徹底

買収側が行う重要なプロセスに、デューデリジェンス(売却企業の調査)があります。売却企業のデューデリジェンスを徹底して行うと、買収後のトラブルを減らしたうえで、スムーズな統合が実現可能です。

統合プロセスの実施

買収側では、PMI(経営統合プロセス)も重要です。即座に結果を出そうと統合を急いだ結果、十分なシナジー効果が得られないまま失敗に終わるケースも多くあるため、統合プロセスを徹底して実施する必要があります。

M&Aの専門家に相談する

上記のデューデリジェンスやPMIには、専門的な知識や実務経験が必要です。したがって、M&Aの専門家に相談すると、買収の成功率が高まります。

【関連】M&Aアドバイザーとは?仕事内容や手数料・選ぶポイントを徹底解説

12. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A動向まとめ

コロナ禍により転換点を迎えている給食業・テイクアウト・配達飲食会社ですが、その中でM&Aは経営戦略のカギとなります。M&Aの成功率を高めるには、M&A専門家のサポートを受けるのが得策です。

13. 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧

14. 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧

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