2025年01月24日更新
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の動向!事例も解説
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の動向を分析しました。給食業・テイクアウト・配達飲食会社の売却(譲渡)・買収のメリット・デメリット、M&A・事業承継を成功させるポイント、売却・買収相場や最新事例などを解説します。
目次
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社の現状
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の動向
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・事業承継の案件一覧【2025年最新】
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・事業承継の事例
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の相場
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aの売却メリット・デメリット
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aの買収メリット・デメリット
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の注意点
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の成功ポイント
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継でおすすめの相談先
- 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の動向まとめ
- 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧
- 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧
1. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社の現状
給食業とは、企業・官公庁・学校・病院・福祉施設などの施設において、日常的に食事を提供するサービスをさします。飲食店やホテル、旅館など宿泊施設で提供される「営業給食」、学校・病院、企業の社員食堂などで提供する「集団給食」とに分かれます。
また、飲食サービスを提供する際に、配達・宅配事業を行うケースもあります。これは、食品宅配事業・食材宅配事業であり、昨今多くの企業で展開中です。また、関連事業としてテイクアウト業があります。ここでは、給食業・テイクアウト・配達飲食会社の近年の現状を解説します。
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の業界構造
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の需要は高く、今後も発展していくと予測されています。
公益財団法人食の安全・安心財団の資料によると、2023(令和5)年における集団給食業界の市場規模(推計)は、3兆1,741億円でした。
また、学校給食における外部委託比率は年々上昇しており、文部科学省の資料によると、2023年度における公立学校給食の調理の外部委託比率は59.2%です。少子化による人口減少が問題となっている一方で、保育所などの利用児童数が増加している現状も見られます。
厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)」によると、2020年4月1日時点で保育所などを利用している児童の数は305万人(前年比7,000人増加)であり、今後も保育所給食のニーズが増加していく見込みです。
そのほか、需要を向上させている要因には、個食化の進行・働く女性の増加・高齢化の進行などが挙げられます。最近は、今後の市場動向を見越して、外食業界などの関連業界からの参入も相次いでいる状況です。
テイクアウト・配達飲食業界においては、一般社団法人日本惣菜協会の資料「2021年惣菜白書ダイジェスト版」によると、2020年の市場規模は9兆8,195億円でした。
参考:文部科学省「学校給食実施状況調査(令和5年5月1日現在)」
厚生労働省「保育所等関連状況取りまとめ(令和5年4月1日)及び「子育て安心プラン」集計結果を公表」
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の市場動向
給食業・テイクアウト・配達飲食会社は、商圏が狭く地域性の高い業態が多いため、売上を伸ばせずに苦戦している企業が多く存在します。人材の確保が難しくなっている点も、売上を減少させている要因です。
矢野経済研究所の「メディカル給食・在宅配食サービス市場に関する調査を実施(2023年)」の資料によると、病院や高齢者施設向けの「メディカル給食」分野において、2027年度の国内メディカル給食、在宅配食サービス市場規模は、2兆4,793億円になると予測されています。
また同じく矢野経済研究所の「給食市場に関する調査を実施(2024年)」によると、2023年度における給食市場は、4兆7,915億円でした。給食市場は回復基調にあり、2026年度には総市場規模が5兆円を超え、2028年度には5兆1,254億円に達する予想です。
分野別では、事業所対面給食や弁当給食、高齢者施設給食が拡大していきますが、病院給食と幼稚園・保育所給食は減少傾向にあり、学校給食は横ばいで推移すると予測されています。
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の今後の展望
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の今後の展望について、4つのトピックに分けて解説します。
超高齢社会への対応
日本は世界でも有数の高齢化社会であり、今後もその進展が見込まれています。このような状況を背景に、給食事業では高齢者向けのサービス提供へとシフトする動きが加速しています。
厚生労働省が発表した「令和4年度衛生行政報告例の概況」によると、給食施設として運営される介護老人保健施設の数は2,813施設、老人福祉施設は5,109施設に達しています。これらの施設は、2015年度以降増加傾向にあり、高齢者向け給食の需要がますます高まっています。
給食事業は人口構成の変化に柔軟に対応する性質を持ち、高齢者施設向けのサービスは特に需要が大きい分野です。このため、事業売却や投資の対象としても注目を集めやすい特徴があります。
参考:厚生労働省「令和4年度衛生行政報告例の概況」
学校給食の外部委託の進展
文部科学省が実施する「学校給食実施状況等調査」によれば、公立学校の給食を外部の給食事業者が担当する割合は年々増加しています。この背景には、給食業務を外部委託することで学校側が経費削減を図れるという期待があります。このため、今後も外部委託の動きが拡大していくと見込まれます。
給食事業は市町村の方針に大きく左右されるため、外部委託の増加に伴い、学校給食事業への参入を希望する企業が増加する可能性があります。結果として、学校給食事業の譲渡を巡る動きも活発化することが予想されます。
参考:文部科学省「学校給食実施状況等調査」
病院給食の需要拡大
日本では超高齢化社会の進行に伴い、病院や高齢者施設での給食需要が拡大すると予測されています。特に、老人ホーム向けの事業展開が有望視されています。
公益社団法人日本メディカル給食協会に登録されている医療・介護向けの給食施設数は増加傾向にあり、2015年から2021年の間に全国で約13,000施設が運営されています。
この分野の給食サービスは安定的な供給が確保されている一方で、老人ホーム向けの市場にはさらなる成長の余地があります。そのため、他業種との提携や事業譲渡を通じた発展が期待されています。
在宅配食サービスの拡大
弁当給食事業では、工場や社員食堂の減少、さらにはコンビニエンスストアの普及などにより、従来の企業向け需要が縮小しています。しかし、新たな供給先として、自宅で暮らす高齢者、介護施設、保育園などが注目されています。これにより、減少した売上を補填する可能性があります。
また、給食事業者の強みとして、提供先のニーズに応じて食材や調理方法を柔軟に変更できる点が挙げられます。このような対応力を持つ事業者は、事業譲渡の場面でも高い評価を受けることが期待されています。
2. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の動向
給食業・テイクアウト・配達飲食会社業界のM&A・事業承継の動向は、以下のように推移しています。
- 売上維持のためのM&Aが注目されている
- 顧客層に対応するためのM&Aも増えている
- コンペスタイルの受注形式に対応するためのM&Aも増加している
①売上維持のためのM&Aが注目されている
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、関連業界からの参入などにより市場規模は伸びているものの、売上が伸びずに厳しい経営を強いられている企業も多いです。したがって、近年は売上を維持するためのM&A・資本業務提携が注目されています。
②顧客層に対応するためのM&Aも増えている
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、消費者のライフスタイルの多様化・新業態の創出などにより、対象となる顧客層が拡大している状況です。消費者動向の変化に対応するため、各企業はM&Aによる買収・売却を進めています。
例えば、2024年11月、食のインテグレーション企業であるハークスレイ、惣菜製造・販売のホソヤコーポレーションを買収しました。
本件M&Aの目的は、両社の製造拠点や販路の相互活用等にによる、顧客ニーズへの対応や、さらなる企業価値の向上です。
③コンペスタイルの受注形式に対応するためのM&Aも増加している
行事・パーティーなどのデリバリーやケータリングでは、発注する会社をコンペ形式で選ぶケースが見られます。コンペ形式での大口受注を獲得するために、M&Aにより関連企業・ノウハウのある企業などを取得するケースも増加している状況です。
3. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・事業承継の案件一覧【2025年最新】
本章では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・事業承継の案件を紹介します。
【セントラルキッチン保有】給食受託事業(関東)
学校給食、企業食堂、病院食、福祉施設院内食等、広く対応しています。自社工場も保有しており、仕出し弁当やケータリングサービスも提供可能です。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 10億円〜25億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 財務的理由、戦略の見直し |
【借入なし/3期連続増収】食品製造販売・給食事業
民間・公共の施設と「給食業務提携契約」を締結しており、1億円ほどの安定収入を得ています。上記契約期間は更新され続ける可能性が高く、また、豊富な実績と優秀な人材を抱えています。
エリア | 東北 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 希望なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【四国・業績回復傾向】給食仕出し弁当製造業
九州で病院・介護施設への給食事業を手掛けています。九州6県の70箇所以上の市町村郡に配達可能です。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 1,000万円〜5,000万円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【四国】給食仕出し弁当製造業
老人ホーム等の介護施設への安定した販売ルートを保有しています。クックチル調理法を採用し、作り置きとは異なる美味しい状態の料理を顧客に提供することが可能です。
エリア | 中国・四国 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1000万円〜5000万円 |
譲渡理由 | 財務的理由 |
関東地方×お弁当製造・販売
コロナ明け直近3期で前年比150%程度で拡大中です。直近拠点増設で、単月の売上を3,500万円前後製造・人材の確保を実現しています。
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 応相談 |
譲渡理由 | 財務的理由、事業存続に対する不安 |
4. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・事業承継の事例
ここでは、給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A・事業承継の事例を見ていきましょう。
双日によるSushi Avenue Inc.のM&A
2024年7月、双日は双日米国会社を通じて、Sushi Avenue Inc.の全ての事業を取得しました。
双日グループは、日本の総合商社で自動車、航空・社会インフラ、エネルギー・ヘルスケア、金属・資源・リサイクル、化学など、国内外での、多岐に渡る事業を展開しています。対象会社のSushi Avenue Inc.は、アメリカ中西部を中心にスーパーマーケット300店舗以上でテイクアウトの寿司事業を展開しています。
今回のM&Aにより、双日グループの水産事業における調達力と商品開発力を基盤とし、アメリカの寿司事業に参入し、水産バリューチェーンの拡大を目指します。
NGFホールディングスによる東京ケータリング・ホールディングスのM&A
2024年8月、NGFホールディングスは、東京ケータリング・ホールディングス(以下「TCHD」)の全株式を取得しました。この株式は、大和PIパートナーズが運営する投資事業組合「DPIP企業支援1号」から譲り受けたものです。
NGFホールディングスは、NGFグループ全体の経営および各社の管理業務を担当しています。一方、TCHDは、関東地方を中心に学校や企業、病院などで給食を提供し、また企業や大学の寮、保養所、レストランの運営も手掛ける給食事業者で、連結売上高は100億円を超えています。
今回のM&Aにより、NGFホールディングスは、TCHDグループが持つ関東圏での営業基盤を活用し、関東以北の市場でのシェア拡大を目指します。
柿安本店による赤塚興産のM&A
柿安本店は、赤塚興産の株式を取得し、完全子会社化することを決定しました。
柿安本店は、レストラン、惣菜、和菓子、食品、精肉といった「外食」「中食」「内食」のすべてのカテゴリーで事業を展開しています。
赤塚興産は、柿安本店の創業家の資産管理会社であり、有価証券の売買も行っています。
株式取得の目的は以下のとおりです。
- 本取引後に予定されている資本政策により、株主価値の向上が期待できること
- 実質的な自己株式取得により、柿安本店の一株当たり当期純利益(EPS)が増加し、株主価値と株主資本利益率(ROE)が向上し、株主の皆様にさらなる利益をもたらすこと
コロワイドによるニフスとアミスのM&A
2024年2月、コロワイドの子会社であるコロワイドMDは、病院や介護施設向けに給食受託事業を展開するニフスとその子会社アミスの全株式を取得する契約を締結しました。
コロワイドMDは食料品の製造や販売を行い、ニフスとアミスは給食受託事業に加え、食材セットの販売や食事宅配も手掛けています。
今回の取引は、コロワイドグループが給食事業分野での成長を目指し、病院や介護施設向けの給食受託事業の効率化や、嚥下食のノウハウを活かしたミールキット製造・販売を拡大するためです。
これにより、コロワイドグループの成長戦略を強化し、企業価値の向上を図ることが目的とされています。
キーコーヒーによるイタリアントマトの株式譲渡
キーコーヒーは、連結子会社であるイタリアントマトの株式および貸付債権を日本共創プラットフォーム(JPiX)に譲渡することを決定しました。この譲渡により、イタリアントマトはキーコーヒーの連結対象から外れますが、今後も重要な取引先として関係を続けます。
キーコーヒーは、コーヒー農園事業から製造・販売までを手掛ける総合企業です。一方、イタリアントマトは飲食店経営や洋菓子の製造販売を行っています。
キーコーヒーグループは新型コロナウイルスの影響で業績が悪化し、収益力の回復を目指して事業構造改革を進めています。JPiXは競争力のある企業に投資し、企業価値を向上させる実績があるため、イタリアントマトの成長が期待できると判断し、譲渡に合意しました。
プレミアムウォーターHDによるラストワンマイルのM&A
給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、プレミアムウォーターHDによるラストワンマイルのM&Aです。
2023年2月、プレミアムウォーターHDはラストワンマイルの株式をTOBにより取得しました。本件M&Aの取得価額は4億8,856万円です。
プレミアムウォーターホールディングスは、一般消費者向けに天然水を製造・宅配している企業です。対するラストワンマイルは、電気・ガス・宅配水・インターネットなどのインフラサービスの販売を行う企業です。
今回のM&Aにより、人材や営業ノウハウの共有、経営資源の相互活用をすることで、さらなる経営効率化と競争力強化を目指します。
オイシックス・ラ・大地によるシダックスのM&A
給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、トーカンによる三給のM&Aです。
2022年8月、オイシックス・ラ・大地は、シダックスをTOBにより取得しました。オイシックス・ラ・大地は、ウェブサイトやカタログでの有機野菜、特別栽培農産物、無添加加工食品などの食品・食材の販売を行っている企業です。
対して、シダックスは、フードサービス事業、車両運行サービス事業、社会サービス事業など幅広い事業を行う企業です。今回のM&Aにより、各種事業におけるシナジー効果創出を目指します。
トーカンによる三給のM&A
給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、トーカンによる三給のM&Aです。
2021年4月、セントラルフォレストグループは、子会社であるトーカンを通じて、三給の株式すべてを取得し、子会社化すると発表しました。本件M&Aの取得価額は非公開です。
買収側は、トーカンと国分中部の経営統合に伴い設立された共同持株会社です。食品・酒類等の商品に関する卸売業などを行う会社の経営管理および、これに付帯関連する一切の業務を手掛けています。
対する売却側は、愛知県岡崎市を拠点に、外食・給食事業者の仕入パートナー(業務用食材料の卸売業)事業を展開している企業です。
本件M&Aにより、買収側では、売却側が給食市場や中食・惣菜市場に強みを有することを受けて、当事会社双方でシナジー効果を獲得するとともに、給食市場への参入および中食・惣菜向けの売上拡大を図ることで、さらなる企業価値の向上を目指しています。
ダスキンといちごホールディングス間の事業譲渡
給食業・テイクアウト・配達飲食会社関連のM&A事例は、ダスキンといちごホールディングス間の事業譲渡です。2020年6月、環境衛生事業とフード事業を行うダスキンは、いちごホールディングスとその完全子会社ストロベリーコーンズが行う宅配ピザ事業の譲渡を受け、そのために新会社を設立することを発表しました。
元来、ダスキンとストロベリーコーンズは2016(平成28)年に業務提携を締結し、ダスキンが運営する「ミスタードーナツ」において、ストロベリーコーンズのピザ商品「ナポリの窯」を販売しています。
その業務提携が順調に推移していることから、ダスキンとしては、フード事業の第二の柱として、宅配ピザ事業の譲受を決めた模様です。譲渡価額は公表されていません。
しかし、当初、同年11月に実施予定だった事業譲渡は、新型コロナウィルス感染症拡大問題が終息しない現状を鑑み時期未定の延期処置が取られ、最終的に事業譲渡と業務提携の中止が2021年4月に発表されました。
5. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の相場
給食業・テイクアウト・配達飲食会社は、比較的小規模の設備で経営している企業が多い点・参入障壁が低い点・労働集約型のビジネスモデルである点などの理由から、M&A相場が他業界に比べて安価となる傾向にあります。
しかし、給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、新しい業態・サービスの誕生が続いており、こうした将来性のある新事業は相場が高くなるケースも目立っている状況です。
具体的な相場金額は、各社の業務・収益状況、所有資産、負債状況などが異なるため、不動産のような相場の見積り・提示は難しいでしょう。したがって、各社個別に企業価値評価を実施し、売買価額を算定するのが常です。
6. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aの売却メリット・デメリット
本章では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社をM&Aにより売却するメリット・デメリットを解説します。
売却側のメリット
売却側は、M&Aによって主に以下のメリットが得られます。
- 従業員の雇用確保
- 後継者問題の解決
- 売却・譲渡益の獲得
- 大手買収によるスケールメリットを受けられる
- 債務・個人保証・担保などの解消
従業員の雇用確保
これまで給食業・テイクアウト・配達飲食会社でノウハウを身につけてきた従業員の失職は、本人にとっても業界にとっても大きな損失です。M&Aによる売却が実現すれば、会社は継続されるため、基本的に雇用環境が維持されます。
後継者問題の解決
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、新規参入する企業が多い一方で、後継者不在によって廃業する企業も多く存在します。M&Aによる売却が実現すれば、給食業・テイクアウト・配達飲食会社の事業継続が可能です。
売却・譲渡益の獲得
M&Aによって売却・譲渡益を得れば、次の事業資金やリタイア資金として活用可能です。ただし、給食業・テイクアウト・配達飲食会社は売却相場が安い傾向にあるため、M&Aの専門家に相談するなどして、事前に企業価値を高めておくと良いでしょう。
大手買収によるスケールメリットを受けられる
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、会社の規模が大きくなるほど、仕入れや輸送コストを抑えられるスケールメリットを獲得できます。M&Aにより大手傘下に入れば、スケールメリットの恩恵を受けやすいです。
債務・個人保証・担保などの解消
多くの中小企業や小規模事業者は、債務を抱えています。小規模事業者も多い給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、融資を受けるために経営者が個人保証や担保の差し入れをしている場合がほとんどです。
M&Aによる会社売却(株式譲渡)であれば、債務は買収側に引き継がれ、それと同時に個人保証・担保も解消されます。
売却側のデメリット
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aにおける売却側のデメリットは、主に以下があります。
- M&Aに不安感や反発心を持った従業員が退職してしまう可能性がある
- 顧客や取引先がM&Aをナーバスに捉えた場合、今後の取引に悪影響が出る
- M&A後も経営陣として会社に在籍する場合、全て買い手の経営方針に従わねばならない(従前の権限はない)
- PMIへの協力が契約条件にある場合、すぐに会社を辞められず一定期間、会社に残らねばならない(ロックアップ)
- M&Aスキーム(手法)を事業譲渡とした場合、会社法で規定された競業避止義務がある(20年間、売却した事業と同一事業を同一区市町村および隣接区市町村で行えない)
- 買い手の交渉術が巧みだと、想定していた条件で売却できないことがある
- 買い手が見つからなければ、M&A自体が成立しない
7. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aの買収メリット・デメリット
次に、給食業・テイクアウト・配達飲食会社をM&Aにより買収するメリット・デメリットを解説します。
買収側のメリット
買収側はM&Aによって、主に以下のメリットが得られます。
- 従業員の確保
- 低リスクで未進出のエリアへ進出
- 関連・周辺サービスとの相乗効果
- 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
- 新商品・新サービスの開発など
従業員の確保
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、従業員が確保できず廃業に追い込まれる企業・店舗などが増えている状況です。しかし、M&Aによる買収で従業員を獲得できます。
低リスクで未進出のエリアへ進出
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では商圏の確保が売上の上昇に直結しますが、M&Aによる買収であれば低リスクで事業エリアを拡大できます。
関連・周辺サービスとの相乗効果
M&Aによる買収で外食業界などの関連業界と連携すると、給食業・テイクアウト・配達飲食会社におけるシナジー効果を得られる可能性があるでしょう。
顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
給食業・テイクアウト・配達飲食会社は地域性が高いため、事業エリアを広げるためには顧客・取引先・ノウハウの獲得が重要です。M&Aによる買収では、短期間かつ比較的低コストで経営資源を獲得できます。
新商品・新サービスの開発など
給食業・テイクアウト・配達飲食会社では、大手を中心にM&Aにより新商品や新サービスの開発を進める企業が増えています。M&Aによって他社の技術・ノウハウを獲得すると、開発力を高めながら差別化を図ることが可能です。
買収側のデメリット
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aにおける買収側のデメリットは、主に以下です。
- M&Aスキームを株式譲渡とした場合、包括承継であるため簿外債務などの経営上リスクとなる要員を引き継いでしまう可能性がある
- M&Aスキームを株式譲渡や事業譲渡とした場合、対価には多額の現金が必要であり、資金を用意できないとM&A自体を行えない
- M&A後のPMIが計画どおりに進捗しないと、想定していたシナジー効果の創出が得られず業績向上も見込めない(M&Aの失敗)
- 想定した業績が出せない場合、買収価格の中に上乗せしていた「のれん」の減損処理の必要が生じ、決算に大きなマイナスダメージが出る
- PMIで従業員の融合がうまくいかなかった場合、退職者が出る(人材の流出)
- 条件がそろった買収先と出会えなければM&A自体が成立しない
8. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の注意点
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&Aを行う際は、売却側・買収側ともに以下の2点に注意しましょう。
- M&Aを行う目的の明確化
- M&Aの相手企業の慎重な選択
①M&Aを行う目的の明確化
中小企業のM&Aで多く見られるのが、いつの間にかM&Aの実施自体が目的化してしまっているケースです。特に買収側の場合、本来はM&Aによって実現したい目的があったはずが、なかなか有望な買収先が見つからないでいると、それが形骸化してしまうことが多いです。
M&A実施を決める際は、準備段階で明確な目的・ゴールを定めましょう。
②M&Aの相手企業の慎重な選択
いうまでもなく、M&Aは大きな取引です。売却側の経営者は売却後に自身がリタイアしても、従業員は新たな経営者のもとで勤務が続いていきます。この点を踏まえると、単に金額条件だけでなく、会社と従業員を安心して任せられる買い手を見極めなければなりません。
買収側としても、買収後の経営統合がスムーズに進む相手であるかどうかや、会社間の相性(企業風土の類似性や経営方針の近似性など)にも着目して売り手を選ぶことが肝要です。
9. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の成功ポイント
本章では、給食業・テイクアウト・配達飲食会社がM&Aを成功させるポイントについて、売却側と買収側に分けて見ていきましょう。
売却側のポイント
売却側は、主に以下のポイントを押さえる必要があります。
- 安全性確保のための管理が行き届いている
- 取引先や顧客など効率的な運営が行われている
- 将来性のある顧客を抱えている
- ノウハウ・教育などがしっかりしている
- M&Aの専門家に相談する
安全性確保のための管理が行き届いている
買収側は、統合後のリスクが少ない買収先を求めています。給食業・テイクアウト・配達飲食会社の売却側は、食材の管理やアルバイトの管理などを徹底しておくと買い手が見つかりやすいです。
取引先や顧客など効率的な運営が行われている
給食業・テイクアウト・配達飲食会社の中には売上に対して利益率の低い企業も多いため、事業を効率化しながら業界平均よりも高い利益率で運営できていると企業価値が高まります。
将来性のある顧客を抱えている
給食業・テイクアウト・配達飲食会社が経営を安定させるには、大口の常連顧客の獲得も重要です。将来性のある顧客を抱えていると、買い手からの評価も上がります。
ノウハウ・教育などがしっかりしている
買収側は、統合後のノウハウ共有や人材の教育コストに多くの時間と費用をかけます。売却側のノウハウや人材教育がしっかりしていると統合の負担を減らせるため、買収側は魅力を感じやすいです。
M&Aの専門家に相談する
給食業・テイクアウト・配達飲食会社を売却する際は、事前に戦略を構築しながら企業価値を上げるなどの施策をしたうえで、最適な売却先を探すことが重要です。M&Aの専門家に相談すれば、M&Aの準備・プロセスを最適かつ円滑に進められます。
買収側のポイント
買収側は、主に以下のポイントを押さえましょう。
- デューデリジェンスの徹底
- 統合プロセスの実施
- M&Aの専門家に相談する
デューデリジェンスの徹底
買収側が行う重要なプロセスに、デューデリジェンス(売却企業の調査)があります。売却企業のデューデリジェンスを徹底して行うと、買収後のトラブルを減らしたうえで、スムーズな統合が実現可能です。
統合プロセスの実施
買収側では、PMI(経営統合プロセス)も重要です。即座に結果を出そうと統合を急いだ結果、十分なシナジー効果が得られないまま失敗に終わるケースも多くあるため、統合プロセスを徹底して実施する必要があります。
M&Aの専門家に相談する
上記のデューデリジェンスやPMIには、専門的な知識や実務経験が必要です。したがって、M&Aの専門家に相談すると、買収の成功率が高まります。
10. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継でおすすめの相談先
給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継でおすすめの相談先をご紹介します。
金融機関
投資銀行や商業銀行、証券会社などの金融機関は、M&Aのファイナンシャル・アドバイザー(FA)として活動することが多いです。外資系投資銀行は高額なM&A案件を得意とし、成功報酬は2億円以上、日系証券会社では2千万円以上が一般的です。商業銀行の成功報酬は、メガバンクで2千万円以上、地方銀行では数百万円以上が目安とされています。
これらの金融機関をFAとして活用するメリットは、高度な専門知識や資金調達への相談が可能な点です。一方で、中小企業向けの案件では規模感が合わず専門性を十分に発揮できない場合があり、また報酬が高額になることがデメリットとなります。
公的機関
商工会議所などの公的機関は、中小企業向けにM&A業務を提供しています。政府主導の「事業承継ガイドライン」でもM&Aが重要な手法として位置付けられています。
商工会議所は中小企業の業務経験が豊富で、企業特有の文化や課題への理解が深い点が強みです。買い手・売り手が中小企業の場合、的確な支援を受けられる可能性が高いです。
商工会議所の会員になるために費用がかかる点が課題です。会員であれば初期費用無料でM&Aの相談が可能ですが、会員登録の費用負担が利用のハードルになる場合があります。
M&A仲介会社
M&A仲介会社はM&A業務を専門に扱い、各社ごとに能力や得意分野が異なるため、自社に適した会社を選ぶことが重要です。
M&A仲介会社を利用することで、幅広い選択肢の中から適切な相手先を探してもらえる点が大きな強みです。また、報酬が銀行や証券会社などの金融機関より低いケースが多い点も利点です。
一部の仲介会社は成功報酬を重視し、契約締結やM&A成立を急がせる対応を取る場合があります。そのため、質の高い相談対応が期待できないこともあります。利用時には注意が必要です。
11. 給食業・テイクアウト・配達飲食会社のM&A・事業承継の動向まとめ
コロナ禍により転換点を迎えている給食業・テイクアウト・配達飲食会社ですが、その中でM&A・事業承継は経営戦略のカギとなります。M&A・事業承継の成功率を高めるには、M&A専門家のサポートを受けるのが得策です。
12. 給食業・給食サービス業界の成約事例一覧
13. 給食業・給食サービス業界のM&A案件一覧
【東北エリア】仕出し業・飲食店運営
食品卸・小売/飲食店/東北案件ID:2586公開日:2025年01月30日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
希望なし
東北エリアです仕出し業をメインに飲食店の運営を行う企業
関東地方×お弁当製造・販売
食品製造/食品卸・小売/飲食店/関東・甲信越案件ID:2507公開日:2024年12月17日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
損益なし
譲渡希望価格
応相談
関東地方にて子供向けにお弁当の製造・販売を行っている企業様になります。
【四国】給食仕出し弁当製造業
食品製造/中国・四国案件ID:2436公開日:2024年11月21日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
四国エリアにて、給食仕出し弁当製造業を手掛ける企業
【セントラルキッチン保有】給食受託事業(関東)
食品製造/食品卸・小売/関東・甲信越案件ID:1712公開日:2024年03月26日売上高
10億円〜25億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
希望なし
給食受託事業の運営
【借入なし/3期連続増収】食品製造販売・給食事業
食品製造/東北案件ID:1680公開日:2024年03月11日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
希望なし
惣菜弁当製造販売・給食事業
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