食品業界のM&A動向【2025年最新】| 食品加工会社の売却・買収事例、メリット・成功ポイントを解説

取締役副社長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

後継者不足や原材料高騰に直面する食品業界では、事業成長や承継の手段としてM&Aが活発です。本記事では、食品 M&Aの最新動向やメリット、成功事例をわかりやすく解説します。売却・買収を検討中の方はぜひ参考にしてください。

目次

  1. 食品業界の現状とM&Aの必要性
  2. 食品業界におけるM&Aの最新動向
  3. 食品 M&Aで得られる買い手側のメリット
  4. 食品 M&Aを成功させるためのポイント
  5. 食品加工会社のM&A・買収・売却事例5選
  6. まとめ:M&Aで食品事業の未来を拓く
  7. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界の成約事例一覧
  8. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界のM&A案件一覧
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1. 食品業界の現状とM&Aの必要性

食品加工会社の概要と動向です。

食品加工会社とは?食品製造会社との違い

食品加工会社とは、農産物や水産物、畜産物などの一次産品に処理を加え、保存性や付加価値を高めた食品を製造する会社を指します。

例えば、魚肉からかまぼこやちくわ、食肉からハムやソーセージ、生乳からチーズやヨーグルトを作る会社が該当します。

一方で食品製造会社はより広義な言葉で、小麦粉からパンを作るベーカリーのように、原材料から新たな食品を生み出す会社全般を含みます。

食品業界の市場規模と課題

業界動向サーチによると、2023-2024年の食品業界の市場規模(主要対象企業129社の売上高合計)は、44兆3,196億円(前年比7.1%増) となりました。国内の人口減少による数量減はあるものの、原材料価格高騰に伴う値上げが浸透したことで、金額ベースでの市場規模は拡大しています。

参考:業界動向サーチ「食品業界の動向や現状、今後などを分析

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2. 食品業界におけるM&Aの最新動向

食品業界では、M&Aの動きが活発化しています。

世界的な原材料費やエネルギー価格の高騰、後継者不足といった課題を背景に、スケールメリット追求や事業承継を目的としたM&Aによる再編が加速しています。

大手企業は、成長市場である海外企業の買収や、ヘルステックなど異分野の技術獲得による事業ポートフォリオの多角化を進めています。

中小企業においても、販路拡大や商品ラインナップの拡充、DX化の推進などを目的としたM&Aが増加しており、今後もこの傾向は続くと予測されます。


食品加工会社を含む食品業界について、当社のアドバイザーが動画で解説しておりますので、よければそちらもご視聴ください。

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3. 食品 M&Aで得られる買い手側のメリット

食品加工会社をM&A買収するメリットについて解説します。

【同業種間】スケールメリットの創出

同業の食品関連会社とのM&Aでは、特にスケールメリットの創出が大きな利点です。

例えば、同じ原材料を扱う企業同士が統合すれば、仕入れ量を増やすことで調達コストの削減が期待できます。

また、生産拠点の統廃合による生産効率の向上や、物流網の共有によるコスト削減も可能です。

さらに、互いの持つ製造技術や商品開発ノウハウを組み合わせることで新たなヒット商品を生み出したり、海外販路を持つ企業を買収してグローバル展開を加速させたりするメリットもあります。
 

【異業種間】サプライチェーン強化や販路拡大

異業種企業が食品加工会社を買収するM&Aも増加しており、買い手は多岐にわたるメリットを享受できます。

例えば、総合商社や卸売業者が買収すれば、製造から販売まで一貫したサプライチェーンを構築し、商品ラインナップを強化できます。

外食・小売業者が買収すれば、プライベートブランド(PB)商品の開発・安定供給が可能になります。

また、食品加工会社側が物流会社を買収して物流を内製化したり、IT企業を買収してECサイトの強化やDXを推進したりする事例も見られます。
 

食品加工会社のM&Aを検討中なら

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、食品加工業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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4. 食品 M&Aを成功させるためのポイント

食品業界のM&Aを成功に導くためには、いくつか押さえておくべき重要なポイントがあります。
 

企業価値評価(バリュエーション)の重要性

M&Aにおける売買価格の根拠となるのが企業価値評価(バリュエーション)です。将来の収益性を見込むDCF法や、類似企業と比較する類似会社比較法、純資産を基準とする純資産法など、様々な算定方法があります。客観的かつ適正な企業価値を把握し、交渉に臨むことが成功の第一歩です。
 

M&Aスキームの選定

M&Aには、会社の経営権を包括的に移転する「株式譲渡」や、事業の一部のみを売買する「事業譲渡」など、様々な手法(スキーム)があります。税務や法務、従業員の処遇なども含め、自社の目的や状況に最も適したスキームを選択することが重要です。
 

シナジー効果の事前検証とPMI計画

M&Aの最大の目的の一つがシナジー(相乗効果)の創出です。生産・販売網の共有によるコスト削減や、新たな販路獲得による売上向上など、期待できるシナジーを事前に具体的に検証しましょう。また、M&A成立後の統合プロセス(PMI)をあらかじめ計画しておくことで、スムーズな経営統合とシナジーの早期実現が可能になります。
 

5. 食品加工会社のM&A・買収・売却事例5選

食品加工会社のM&Aの事例を紹介します。

わらべや日洋ホールディングスがヒガシヤデリカの食品製造事業をM&Aした事例

2022年10月にわらべや日洋ホールディングス株式会社が、株式会社ヒガシヤデリカの食品製造事業を譲り受けるM&Aが実施されました。譲渡金額は約24億円です。

このM&Aにより、ヒガシヤデリカの北関東工場の建物や設備などが親会社のエスビー食品から、わらべや日洋ホールディングスへ譲渡されました。

わらべや日洋ホールディングス株式会社の子会社であるわらべや日洋食品株式会社では、主にセブンイレブンで販売している弁当やサンドイッチを1日300万食製造しています。

ヒガシヤデリカは、1990年にエスビー食品の100%子会社として設立されました。主にセブンイレブン向けの調理麺や焼きたてパンなどの惣菜の製造を専門としています。

このM&Aは、わらべや日洋ホールディングス株式会社の、生産体制の再構築と、成長性のある新たなカテゴリーへの参入を目指す施策の一環だとのことです。

参考:わらべや日洋ホールディングス株式会社「当社子会社における事業譲受に関するお知らせ

ヨシムラ・フードHDが細川食品と細川フーズをM&Aした事例

2022年9月に株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスが、有限会社細川フーズの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが実施されました。ヨシムラ・フード・ホールディングスの株式取得金額は約11億円です。

株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングスは中小の食品会社を傘下に持つ持株会社です。

優秀な技術力がありながら、後継者不足や資金調達力不足などで事業の継続が難しい中小食品会社を子会社化して、各社の持つ強みを活かしながら事業を拡大するビジネスモデルを持っています。

有限会社細川フーズは、創業時の青果販売から食品加工会社へ発展した会社で、国産野菜を使用したかき揚げやチヂミ、赤飯などの冷凍食品の加工製造を行っています。元々が青果店であったことから、国内の新鮮な野菜に対する調達力と野菜の加工力に強みがあります。

ヨシムラ・フード・ホールディングスとしては、細川フーズの良質な国産野菜の調達力や、高い製造技術力に裏付けされた、安定した事業基盤に魅力を感じてのM&Aだとのことです。

参考:株式会社ヨシムラ・フード・ホールディングス「株式会社細川食品及び有限会社細川フーズの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

エバラ食品工業がヤマキンをM&Aした事例

2022年4月にエバラ食品工業の子会社である株式会社エバラビジネス・マネジメントがヤマキン株式会社の全ての株式を取得して子会社化するM&Aを実施しました。株式の取得金額は非公表です。

エバラ食品は焼肉のたれなどを製造販売する国内の大手食品メーカーです。株式会社エバラビジネス・マネジメントはエバラ食品グループの経営管理などを行っています。

ヤマキン株式会社は静岡県焼津市で1948年に設立された液体調味料の製造販売を行っている会社です。めんつゆや焼肉のたれなどを製造しています。

エバラ食品としては、ヤマキンの小ロット生産対応力や柔軟で機動的な生産体制を評価してのM&Aです。今後、食品業界でも少子高齢化により小容量製品の需要が伸びることが予想される中で、生産体制の強化ができると判断してのことです。

参考:エバラ食品工業株式会社「当社子会社によるヤマキン株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ブロンコビリーが松屋栄食品本舗をM&Aした事例

2022年6月に株式会社ブロンコビリーが株式会社松屋栄食品本舗の全株式を取得して子会社化しました。取得金額は公表されていません。

ブロンコビリーは東海地方を中心に主にステーキレストランチェーンを展開している会社です。株式会社松屋栄食品本舗は、愛知県で焼肉のたれやドレッシング、調理ソースなどの調味料を生産しています。

ブロンコビリーではステーキやハンバーグなどの肉製品、サラダバー、スープなどのレストランで提供する製品を自社工場で生産しています。

このM&Aにより、調味料の生産体制も強化することで差別化を図るとともに、ソースやドレッシングなどの外部販売も目指したいとのことです。

参考:株式会社ブロンコビリー「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

双日がマリンフーズをM&Aした事例

2022年2月に、双日が日本ハム株式会社の子会社であったマリンフーズ株式会社の全株式を取得して、子会社化するM&Aが実施されました。取得金額は非公表です。

双日は総合商社で幅広い事業部門を日本だけでなく世界でも展開しています。

マリンフーズ株式会社は、水産物の輸入販売及び、水産加工品の製造販売を行う会社です。

双日としては、健康意識の高まりの中で、今後水産物や水産加工品へのニーズが高まる可能性が高いことから、マリンフーズ株式会社が持つ水産物輸入の世界的なネットワークや加工技術などを生かして、水産食品の流通を拡大したいとの目的でM&Aを実施しました。

参考:双日株式会社「双日、日本ハム子会社である水産食品加工会社の全株式を取得

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6. まとめ:M&Aで食品事業の未来を拓く

国内の人口減少により食品市場の縮小が予測される中、多くの食品加工会社は厳しい経営環境に直面しています。しかし、M&Aはこうした課題を乗り越え、持続的な成長を実現するための有効な選択肢です。

事業承継や販路拡大、経営基盤の強化など、目的は様々ですが、会社の未来を切り拓く手段としてM&Aによる売却や買収を前向きに検討する価値は大きいでしょう。

7. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界の成約事例一覧

8. 食品メーカー・食品加工・食品工場業界のM&A案件一覧

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