2024年07月12日更新
ゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継の動向!事例6選、価格が急上昇する理由も紹介【倒産情報あり】
この記事では、ゴルフ場のM&A・売買・買収・売却(譲渡)について分析しました。ゴルフ場におけるM&A・売買・買収・売却の動向やメリット、実施する場合の流れなど、会員権・相場価格・アコーディアやPGMの事例情報などとともに解説します。
目次
1. ゴルフ場業界の特徴・市場動向
ゴルフ場業界に見られる特徴
ゴルフ場における運営上の特徴は2つです。まず、顧客ターゲットの違いにより、コースの設計内容が分かれます。
初心者を含めた幅広いゴルフ愛好者に向けたゴルフ場は、プレー難易度の低いコース設計がされたレジャー用のゴルフ場です。一方、上級者用、あるいはプロゴルフプレイヤーの大会に使用されることを想定し、プレー難易度が高く設計された競技(大会)用のゴルフ場もあります。
もう1つの特徴は、運営の仕組み上における違いです。以下の2種類があります。
- メンバーシップコース:会員制のゴルフ場。会員は会員権を購入し、それを資金にゴルフ場が造られ運営されている。会員の同伴・紹介がなければ非会員はプレーできない。ゴルフ場のほとんどを占める。
- パブリックコース:基本的に会員の概念がないゴルフ場。特定人物への優遇措置はなく、誰でも平等にプレーできる。公営ゴルフ場で取られる運営形態。
ゴルフ場業界の歴史
ゴルフ場業界の歴史を知ることは、今後におけるゴルフ場業界の動向や、ゴルフ場をM&A・売買する際の重要性を理解するうえで役立つでしょう。ゴルフ場業界の歴史を抑えるうえでのポイントは、以下のとおりです。
- バブル時代に激増
- バブル終了後に経営破綻が続出
- 2000(平成12)年以降も縮小傾向
バブル時代に激増
ゴルフ場の歴史をひもといていくと、現在のゴルフ場がどういった局面に立たされているかがわかります。ゴルフ場は、バブル期(1986(昭和61)年~1991(平成3)年)に激増しました。
それ以前は、ゴルフといえば「企業の接待」といったイメージがつくほど、企業における接待の場としてゴルフ場が使用されていました。
バブル景気に突入すると、企業の活動が活発化し、企業の接待という側面を持っていたゴルフプレー人口が増加します。1990年代に、2,000以上のゴルフ場が日本国内に誕生し、それに伴ってゴルフ会員権も高値で売買されるようになりました。
バブル終了後に経営破綻が続出
バブルが崩壊した後、高値で販売されていたゴルフ会員権の価格相場は急落し、接待としてゴルフを利用する企業も減少していきました。それから年を増すごとにゴルフプレー人口も減っていき、それに伴って経営破綻してしまうゴルフ場も増加しています。
2000年以降も縮小傾向
その後、ゴルフ場の市場規模は縮小傾向です。日本国内のゴルフプレー人口は、2000年以降年々減少しており、バブル期に増加していたゴルフ場の数も同様に減少しています。
ゴルフ場を運営してきた会社の倒産は少なくありませんが、倒産したゴルフ場の中でも、経営を立て直せそうなところは、M&Aで再生を図っている状況です。
ゴルフ場業界の市場規模
日本生産性本部が発表した「レジャー白書2022」によると、2021年のゴルフ場市場は8,340億円に達し、2020年の7,180億円から大幅に増加しました。しかし、1992年のピーク時の1兆9,610億円と比較すると、まだ完全な回復には至っていません。
国内には2,207のゴルフ場があり、2021年には延べ8,969万人が利用しました。ただし、ゴルフ場の数は2002年のピーク時から253カ所減少しており、利用者数も1992年のピーク時から約1,263万人減少しています(2021年、日本ゴルフ場経営者協会調べ)。
ゴルフ場業界の現状
ここからは、ゴルフ場業界の現状を説明します。ゴルフ場業界を取り巻く環境・経営状況を把握することで、ゴルフ場のM&A・売買動向を深く理解することが可能です。ゴルフ場の現状によって、M&A・売買の相場価格にも変化が出てきます。
ゴルフ場業界の現状を知るために押さえるべきポイントは以下の2点です。
- 会員の高齢化
- インバウンドの取り込み
会員の高齢化
ゴルフ場の現状として、「会員の高齢化」が挙げられます。企業の接待目的で利用者が増え続けたバブル期をピークに、ゴルフのプレー人口は減少しました。特に、若年層のゴルフ離れが進んでおり、会員権を持つゴルフ会員の多くが高齢者です。
ゴルフ場の市場規模を回復させるためには、若年層のゴルフプレー人口を伸ばすことが求められます。ゴルフ場運営会社の中でも大手企業であるPGMホールディングスは、若年層のゴルファーを育てようと動いている状況です。
若年層のゴルファーもトーナメントに出られるようにするなど、業界を変えようとしています。
インバウンドの取り込み
バブル期に多数のゴルフ場が建設されたと説明しましたが、実は、日本のゴルフ場・ゴルフインフラは、世界屈指ともいわれています。日本のゴルフ場数は、アメリカに次いで世界で2番目に多いのです。
逆にいえば、多くのゴルフ場があるにもかかわらず、利用されていない状況になります。そこで、海外からの観光客をゴルフ場に誘致することで、日本が持つゴルフ場の資源を活用しようとする動きがあるのです。
他の業種と同様に、インバウンド需要を増やすことが実現すれば、ゴルフ場の市場を再び活性化させられるでしょう。
2. ゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継動向
ここでは、近年のゴルフ場を取り巻くM&A・売買動向がどのようになっているのか、ゴルフ場におけるM&A・売買の相場価格はどのくらいなのか、以下のポイントをチェックします。
- ゴルフ場の売買価格が急上昇?
- 単一ゴルフ場の破綻・売却
- 大手の寡占化
①ゴルフ場の売買価格が急上昇
近年におけるゴルフ場のM&A・売買価格は急上昇しています。ゴルフ場事業の拡大を積極的に推し進めようとしている企業や、ゴルフ場のM&A関係者が増加し、ゴルフ場の買収希望者・新興勢力が多い状況になっているからです。
ゴルフ場を買収しようと考えている新興勢力の中には、ゴルフ場のM&A・売買における相場価格を無視した買収価格を提示するところもあります。これにより、ゴルフ場のM&A・売買価格は急上昇しているのです。
したがって、ゴルフ場を売却するのであれば、高額な売却が狙える可能性があります。
②単一ゴルフ場の破綻・売却
ゴルフ場のM&A・売買動向として、一つのゴルフ場のみを運営している経営主体の破綻・売却が見られます。グループを形成しているゴルフ場よりも、単一であるゴルフ場の方が経営が難しいのです。
単一ゴルフ場が売却を希望する例も多く、他業種企業による買収や外国系企業による買収、また個人的な買収も見られます。
他業種企業による買収
近年は、他業種の新興勢力によるゴルフ場の買収が目立ちます。たとえば2017(平成29)年には、「近鉄グループ」「東京建物グループ」「産経観光グループ」といった他業種企業のゴルフ場買収がありました。
したがって、ゴルフ場売却を行う際は、他業種企業が買い手になることも視野に入れて相手探しを進めましょう。
外国系企業による買収
ゴルフ場のM&A・売買動向として、外国系企業のゴルフ場買収も目立ってきました。特に有名なのが、アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスによる国内ゴルフ場の買収です。
利益改善を図るために、積極的にM&Aによるゴルフ場買収を行っている会社はいくつかあるので、売却の際は相手が見つかりやすいでしょう。
個人的な買収も
近年におけるゴルフ場のM&A・売買動向として、個人的な買収も見られます。たとえば、プロゴルファーである石川遼選手の母親が社長を務めるケーアイ企画が、福島県の老舗コースである「棚倉田舎倶楽部」を買収しています。
M&Aでゴルフ場を売却する場合は、個人が買い手候補になることもあるのです。多いケースではありませんが、幅広いネットワークで売却先を探すのが良いでしょう。
③大手の寡占化
近年におけるゴルフ場のM&A・売買動向として指摘されるのが、「大手による寡占化」です。ここでいう大手とは、「アコーディア・ゴルフ」と「PGMホールディングス」になります。
アコーディアとPGMの2社がリーディングカンパニー
国内ゴルフ場における市場では、アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスの2社がリーディングカンパニーです。
アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスは、もともとは外資系ファンドの傘下で、外資系ファンドが持つ巨額の資金を利用して、バブル期をピークに「ゴルフプレー人口の減少」や「プレーフィーの下落」に伴い経営状況が悪化したゴルフ場を買収し、再生させてきました。
その結果、ゴルフ場の保有・運営数は、アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスがそれぞれTOP2となっており、実質的な寡占状態です。
アコーディア・ゴルフ vs PGMホールディングス
2014(平成26)年まで、ゴルフ場保有数1位は「アコーディア・ゴルフ」、2位が「PGMホールディングス」でした。しかし、ゴルフ場所有数2位のPGMホールディングスがアコーディア・ゴルフに対して、敵対的TOB(株式公開買付)を仕掛けたことから、この順位に変動が起こります。
アコーディア・ゴルフは、PGMホールディングスから仕掛けられたTOBの対抗策として、「スコーチド・アース(焦土作戦)」を実施しました。「スコーチド・アース」とは、優良資産や収益性のある事業を売却して、企業価値を下げる手法のことです。
アコーディア・ゴルフが「スコーチド・アース」を実施し、その当時アコーディアが保有していた133コースにおけるゴルフ場のうち90コースを、アコーディア・ゴルフが設立した特別目的会社(SPC)へ売却しました。
アコーディア・ゴルフが「スコーチド・アース」を行って、保有するゴルフ場の半数以上を売却したことで、PGMホールディングスにとってはアコーディア・ゴルフを買収・経営統合する魅力がなくなります。
TOB・経営統合をめぐるアコーディア・ゴルフとPGMホールディングスの戦いによって、ゴルフ場の保有・運営数は、PGMが1位、アコーディアが2位へと入れ替わりました。
その後、アコーディア・ゴルフは、投資ファンドであるMBKパートナーズの傘下におけるMBKP Resortの完全子会社となり、PGMホールディングスは、パチンコメーカーである平和の完全子会社となっています。
ゴルフ場業界はM&Aが活発です。買い手は大手企業から個人までさまざまなので、ゴルフ場を売却したいのであれば、幅広いネットワークで相手を探し、できるだけメリットが多い相手を見つけ、適切な金額で譲渡しましょう。
そして、そのためには、実力あるM&A仲介会社のサポートを受けることをおすすめします。
3. ゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継事例6選
ここでは、ゴルフ場のM&A・売買事例を掲載します。過去に、どのようなゴルフ場のM&Aが行われてきたのか、売却価格はどのくらいなのかなど、チェックしてください。
- マミヤ・オーピーによるシャフトラボの買収
- 茨城グリーン開発によるパシフィックゴルフマネージメントへの事業譲渡
- アコーディアAH02によるパシフィックゴルフマネージメントへの事業譲渡
- ネクスト・ゴルフ・マネジメントによるパシフィックゴルフマネージメントへの事業譲渡
- 太子ゴルフ観光による西日本開発の買収
- 宇部興産開発による市川興業への事業譲渡
①マミヤ・オーピーによるシャフトラボの買収
時期 | 2022年3月 |
売却側 | シャフトラボ |
買収側 | マミヤ・オーピー |
対象ゴルフ場 | なし |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
まずは、ゴルフ関連のM&A事例です。マミヤ・オーピーは、イーシー都市開発からゴルフシャフトの製造や販売などを手掛けるシャフトラボの全株式を取得し、子会社とすることを決めました。
マミヤ・オーピーは、カーボンシャフト事業にスポーツ事業の経営資源を集中し、グローバルマーケティングの強化などを図り、企業価値を向上させるためにシャフトラボにおける株式のすべてを取得します。
②茨城グリーン開発によるパシフィックゴルフマネージメントへの事業譲渡
時期 | 2021年10月 |
売却側 | 東茨城ゴルフ |
買収側 | パシフィックゴルフマネージメント |
対象ゴルフ場 | オールドオーチャードゴルフクラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
M&Aの対象となったゴルフ場は、大林組の100%子会社である茨城グリーン開発が運営していました。今回のM&Aにあたって、ゴルフ場事業のみを譲渡するために東茨城ゴルフを新設して会社分割し、その東茨城ゴルフをパシフィックゴルフマネージメントが買収しています。
なお、パシフィックゴルフマネージメントは、平和の100%子会社です。
③アコーディアAH02によるパシフィックゴルフマネージメントへの事業譲渡
時期 | 2020年12月 |
売却側 | ゴルフプロパティーズ1 |
買収側 | パシフィックゴルフマネージメント |
対象ゴルフ場 | 石岡ゴルフ倶楽部 南市原ゴルフクラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
M&Aの対象となったゴルフ場は、アコーディア・ゴルフの100%子会社であるアコーディアAH02が運営してきました。
今回のM&Aにあたって、ゴルフ場事業のみを譲渡するために、ゴルフプロパティーズ1を新設して会社分割し、その新設会社株式を譲渡する手法が取られています。
④ネクスト・ゴルフ・マネジメントによるパシフィックゴルフマネージメントへの事業譲渡
時期 | 2020年12月 |
売却側 | ゴルフプロパティーズ2 |
買収側 | パシフィックゴルフマネージメント |
対象ゴルフ場 | 武蔵ゴルフクラブ きみさらずゴルフリンクス |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
M&Aの対象となったゴルフ場は、Green Golf Managementの100%子会社であるネクスト・ゴルフ・マネジメントが運営してきました。
今回のM&Aにあたって、ゴルフ場事業のみを譲渡するために、ゴルフプロパティーズ2を新設して当該ゴルフ場事業を会社分割し、その新設会社株式をパシフィックゴルフマネージメントに譲渡する手法が取られています。
⑤太子ゴルフ観光による西日本開発の買収
時期 | 2020年6月 |
売却側 | 西日本開発 |
買収側 | 太子ゴルフ観光 |
対象ゴルフ場 | 玄海ゴルフクラブ 筑紫野カントリークラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
西日本開発は三菱マテリアルの100%子会社です。三菱マテリアルは西日本開発の全株式を太子ゴルフ観光に譲渡しました。太子ゴルフ観光は、平川商事のグループ会社です。
⑥宇部興産開発による市川興業への事業譲渡
時期 | 2020年3月 |
売却側 | 宇部72カントリークラブ |
買収側 | 市川興業 |
対象ゴルフ場 | 宇部72カントリークラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
化学製品・建設資材・産業用機械などの製造販売を行っている宇部興産の子会社である宇部興産開発が、その100%子会社である宇部72カントリークラブの株式全てを、市川興業に譲渡したM&Aです。
譲渡決定までは宇部興産開発が直接ゴルフ場を運営していましたが、譲渡のためにゴルフ場運営事業を会社分割しています。宇部興産側は、このM&Aでゴルフ場運営から撤退しました。
株式譲渡価額は未公表ですが、宇部興産はこの孫会社売却にあたり、特別損失として約48億円を計上しました。
4. ゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継案件例
ここでは、弊社M&A総合研究所が取り扱っているゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継案件例をご紹介します。
【複数案件】日本各地でゴルフ場を運営する企業の譲渡
ゴルフ場の所在地は、北海道から九州にかけて複数あります。そのほか、以下の強みが特徴的です。
- ホテル付ゴルフ場あり
- 27コースのゴルフ場あり
- 空港から近いゴルフ場あり
- 海外の買い手様もご検討可能なゴルフ場あり
エリア | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜5億円 |
譲渡希望価格 | 希望なし |
譲渡理由 | 非公開 |
案件の詳細は以下のリンクからご覧ください。
【希少なゴルフ場案件】東北地方の有名ゴルフ場2施設の同時譲渡
東北地方にてゴルフ場を2施設運営管理しています。金融機関等からの借り入れはなく、健全な運営を継続しています。その一方で直近期は営業損失を計上しており、純資産程度での譲渡を想定しています。
エリア | 東北 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望価格 | 希望なし |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
案件の詳細は以下のリンクからご覧ください。
5. ゴルフ場をM&A・買収・売却・事業承継するメリット
ここからは、M&Aを実施してゴルフ場を売却・譲渡したり、買収したりするメリットを解説します。ゴルフ場を売却・譲渡する側のメリット、買収する側のメリット、それぞれに分けて見ていきましょう。
売却・譲渡側のメリット
まずは、M&A・売買によって、ゴルフ場を売却・譲渡する側のメリットです。ゴルフ場を売却・譲渡するメリットには以下の3点が挙げられます。
- 後継者問題が解決する
- 会員権・ゴルフ場を維持できる
- 負債の解消が狙える
後継者問題が解決する
ゴルフ場に限らず、昨今の中小企業では、経営者の高齢化と人材不足に伴って「後継者不在問題」が発生する傾向にあります。経営権を受け継いでくれる後継者がいないため、廃業を余儀なくされるケースも多いです。
M&Aを実施して、ゴルフ場・会社を売却・譲渡できれば、「後継者問題」を解消できます。また、ゴルフ場における従業員の雇用も確保できるのです。
会員権・ゴルフ場を維持できる
M&Aによってゴルフ場を売却・譲渡できれば、「会員権」や「ゴルフ場そのもの」は存続します。ゴルフ場の現状でも説明したとおり、最近はゴルフプレー人口が減少していることに伴って、ゴルフ場の経営も悪化してきました。
ゴルフ場が廃業・倒産してしまえば、ゴルフ場という資産、そして、それに付随する会員権サービスを維持できなくなります。
利用者側にとっては、会員権を持つことでゴルフ場で非会員よりも低価格でプレーができたり、競技大会への参加権を獲得できたりするのがメリットです。この会員権を手に入れるためには、基本的にゴルフ場に対して高額な年会費を支払う必要があります。
ゴルフ場を維持できなければ、高額な年会費を支払った会員・顧客へのサービスを提供できなくなるので、訴訟問題に発展するかもしれません。
しかし、M&Aによってゴルフ場を売却・譲渡して、大手グループの傘下に入れば、会員権・ゴルフ場を維持し、会員へのサービス提供を継続できます。
負債の解消が狙える
M&Aによってゴルフ場・会社を売却・譲渡することで、現在抱えている負債を解消できる可能性があります。ゴルフ場がM&Aによって売却・譲渡されると、少なくとも数億円の売却金額になるでしょう。
ゴルフ場を売却・譲渡した際に受け取る金額を負債返済に使えば、今抱えている負債を解消できます。あるいは、負債そのものを買収側が引き取ってくれるかもしれません。
買収側のメリット
続いて、M&Aによってゴルフ場を買収する側のメリットを説明します。ゴルフ場のM&Aに要する相場価格は、非常に高額です。それにもかかわらず、ゴルフ場を買収する意図を確認しましょう。
- 拠点を増やせる
- 会員を増やせる
- スケールメリットを生かせる
拠点を増やせる
M&Aによってゴルフ場を買収するメリットの1つが、「拠点を増やせる」ことです。ゴルフ場を買収して拠点を増やすと、事業基盤を安定させられるので、利益を増大させたり、コストを削減させたりできるチャンスがあります。
ゴルフ場業界が縮小傾向の中で拠点を増やすことに悩むかもしれませんが、逆に経営が安定することも多いので検討すると良いでしょう。
会員を増やせる
ゴルフ場を買収できれば、単純に「会員権を持つ顧客を増やせる」メリットがあります。会員権を持った会員を増やすことで、ゴルフ市場で自社のシェアを拡大でき、影響力も高めることが可能です。
ゴルフ人口が減っている中、会員を増やせるM&Aでの買収は魅力的といえます。
スケールメリットを生かせる
ゴルフ場のM&Aに限った話ではありませんが、M&Aによって会社を買収することで、スケールメリットを生かせます。「スケールメリット」は「規模の経済」と訳され、収益力の増大・コスト削減のことです。
ゴルフ場を買収すれば、共通する備品をまとめて安く購入できるなど、コストを減らして収益性を高められるでしょう。
6. ゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継を行う流れ
ここでは、M&Aによってゴルフ場を売却する流れを解説します。ゴルフ場における売却の流れは、以下です。
- ゴルフ場物件実査
- 価格査定と売却目標額の設定
- 買収者募集方式とスケジュールの作成
- 資料を作成し募集開始
- 買収者の決定
- 譲渡条件を確定し契約
①ゴルフ場物件実査
M&Aによるゴルフ場の売却を決めてから、1週間程度で「ゴルフ場の実査」が行われます。この段階で行われるのは、M&Aの対象となるゴルフ場がどれくらいのゴルフ場なのかの調査です。
②価格査定と売却目標額の設定
「ゴルフ場の実査」が完了したら、1~2週間程度で「価格査定と売却目標額の設定」が行われます。「売却目標額」が設定されたら、ゴルフ場売却の相場価格と照らし合わせましょう。
M&Aの売却価格相場を理解しておくことは、M&Aを成功させるコツともいえます。売却相場価格をあまり理解していないままM&A手続きを進めると、相場価格よりも安い値段で売却してしまう危険性があるからです。
ゴルフ場の売却価格相場は、ゴルフ場の規模・会社の規模・企業価値などによって異なります。したがって、一概にいくらと断定できませんが、ゴルフ場M&Aの事例などを確認して、同規模のゴルフ場がいくらで売却されているか確認しておくことが大切です。
③買収者募集方式とスケジュールの作成
次に行われるのが、「買収者募集の決定」と「スケジュールの作成」です。ここまでで、1カ月程度かかるでしょう。
④資料を作成し募集開始
「スケジュールの作成」が完了したら、必要資料を作成し、いよいよ購入者の募集を開始します。
⑤買収者の決定
ゴルフ場の売却・譲渡価格に納得し、他の条件も理解してくれる買収希望者が見つかったら、ゴルフ場における売却先の決定です。
⑥譲渡条件を確定し契約
ゴルフ場の売却先が決定したら、さまざまな細かい条件を確定したうえで、その内容を反映した売却・譲渡契約書を作成します。全ての条件が成立し契約が締結されたら、ゴルフ場を売却先に引き渡してゴルフ場のM&Aが完了です。
7. ゴルフ場の倒産情報
ゴルフ場は倒産することも多い業界です。最後に、ゴルフ場の倒産情報を見ていきましょう。「民事再生法を申請したゴルフ場」と「売却されたゴルフ場」に分けて紹介します。
民事再生法を申請したゴルフ場
近年におけるゴルフ場市場の動向・市況などが影響して、民事再生法を申請するゴルフ場が増えてきています。一例として、2018(平成30年)に民事再生法を申請したゴルフ場は、以下4つです。
- 鳳凰ゴルフ倶楽部
- 児玉カントリー倶楽部
- 鳩山カントリークラブ
- 四街道ゴルフ倶楽部
売却されたゴルフ場
続いて、2018年に売却されたゴルフ場をまとめます。売却されたゴルフ場と、そのゴルフ場を取得した会社は以下です。
- 【売却ゴルフ場】麻生カントリークラブ :【取得企業】アコーディア・ゴルフ
- 【売却ゴルフ場】富士の杜ゴルフクラブ :【取得企業】アコーディア・ゴルフ
- 【売却ゴルフ場】宇津峰カントリークラブ : 【取得企業】アコーディア・ゴルフ
- 【売却ゴルフ場】安達太良カントリークラブ : 【取得企業】グリーンドリーム
ゴルフ場は倒産することもあるため、注意が必要です。M&Aの際には、ゴルフ場が倒産しないように、経営戦略をしっかりと考えましょう。
8. ゴルフ場のM&A・買収・売却・事業承継まとめ
ゴルフ場のM&Aを安心・スピーディーに進めるには、M&A仲介会社の利用がおすすめです。M&A仲介会社を利用すれば、M&Aの取引相手探しから最終契約締結まで、M&Aに詳しい専門スタッフによるサポートを受けられます。
9. ゴルフ場業界の成約事例一覧
10. ゴルフ場業界のM&A案件一覧
【首都圏×関西の駅近好立地/EBITDA1億程度】室内ゴルフ練習場、スクールの運営
娯楽・スポーツ/関東・甲信越案件ID:2333公開日:2024年10月17日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
希望なし
室内ゴルフ練習場及び室内ゴルフスクールを複数店舗運営。 その他、ゴルフ用品の小売りや室内ゴルフ場の施工を手掛ける。
【東北地方/主要ターミナルからのアクセス抜群】土地自社保有のゴルフ場
娯楽・スポーツ/東北案件ID:2241公開日:2024年09月11日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
18ホールのゴルフ場運営
【設備充実/高評価】関東圏のグランピング施設(事業譲渡案件)
ホテル・旅館・温泉/娯楽・スポーツ/関東・甲信越案件ID:1995公開日:2024年07月03日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
本件対象事業は関東圏のグランピング施設運営事業でございます。 高級感にこだわった施設で、設備から食事まで、インターネットの口コミで非常に高評価を獲得しております。 オープン間もない施設に...
ゴルフ場【複数案件あり】
娯楽・スポーツ/関東・甲信越案件ID:1532公開日:2024年01月16日売上高
1億円〜5億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
希望なし
ゴルフ場の運営会社のM&A案件でございます。 複数の案件取り扱っておりますので、ご関心のある買手様はご連絡くださいませ。
【希少なゴルフ場案件】東北地方の有名ゴルフ場2施設の同時譲渡
娯楽・スポーツ/東北案件ID:1125公開日:2023年07月22日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
希望なし
東北地方にてゴルフ場を2施設運営管理しています。
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