【2023年最新版】印刷業界のM&A動向と事例を紹介!最新の市場の動きも解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

印刷業界では、既存事業強化や海外進出を目的としたM&Aが増えています。中堅・中小企業に関しては、後継者問題の解消や共同仕入によるコスト削減などのメリットもあります。今回は、印刷業界のM&A動向の解説やM&A事例・異業種M&A事例を紹介します。

目次

  1. 印刷業界の現状
  2. 印刷業界のM&A動向
  3. 印刷業界のM&A相場
  4. 印刷業界のM&Aを行うメリット
  5. 印刷業界のM&A事例11選
  6. 異業種企業による印刷会社の買収事例3選
  7. 印刷業界のM&Aを成功させるためには
  8. まとめ
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1. 印刷業界の現状

近年、印刷業界は市場規模の縮小が加速しています。インターネットの普及でデジタルメディアへの移行が加速して、新聞・折込チラシ・カタログなど紙媒体の印刷需要が減少しているためです。

このような構造的な不況に対応するため、印刷業界ではM&Aによる海外進出や事業領域の拡大を目指す動きもみられます。

本記事では印刷業界のM&A動向や事例を紹介していますが、この章ではまず、印刷業界の市場規模や現状、特性について確認していきます。

印刷業界とは

印刷業界は「出版印刷」と「商業印刷」に大別されます。扱う分野は異なりますが、どちらもインターネット普及の影響で市場規模が縮小しつつあります。

出版印刷は、出版社や新聞社が発行する書籍・雑誌などの商業出版物を扱う分野です。印刷したものは取次店・書店を介して消費者に届けられます。

商業印刷は、チラシ・パンフレットなどの宣伝用印刷や、カタログ・マニュアルなどの業務用印刷を扱う分野で、事業会社と印刷会社の間でやり取りが行われます。

市場規模

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2531

印刷業界の市場規模は、年々縮小傾向にあります。製品出荷額を比較した場合、2007年から2017年の10年間で7兆1417億円から2017年の5兆2378億円まで減少(経済産業省調べ)しています。

印刷業界の市場縮小の主な原因は、前述した通りインターネット普及による紙媒体の需要減少によるもので、出版印刷・商業印刷ともに縮小を続けています。

また、2020年の新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、外出制限による販促需要の大幅減少によって印刷業界でも特に商業印刷は大きな煽りを受けました。

矢野研究所が発表した「一般印刷市場に関する調査を実施(2020年)」によると、コロナ禍により消費者の購買意欲を喚起すべく、個別にアプローチしやすいデジタルメディアが重要視されることで販促施策のデジタル化がさらに加速すると見込まれます。将来的にも印刷需要の減少が進むでしょう。

印刷業界の特性

印刷業界のM&Aを検討する際は、印刷業界の現状や特性を確認しておくと計画を立てやすくなります。特に押さえておきたい印刷業界の特性は以下の4つです。

【印刷業界の特性】

  1. 業界の多くを小規模事業者が占めている
  2. 相場変動のリスクが大きい
  3. エンドユーザーの影響が大きい
  4. 周辺環境への配慮が求められる

業界の多くを小規模事業者が占めている

印刷業界の事業者は、売上高1兆円を超える大手印刷会社が存在する一方で、従業員300人未満で売上高も少ない中小・小規模事業者が大半を占めています。

そのため、印刷業界では大手印刷会社が出版社や新聞社から受注して、印刷業務の一部を中小・小規模事業者に下請け発注するケースが多いのが現状です。

相場変動のリスクが大きい

印刷業界の原材料(紙・フィルム・インク・溶剤等)は原油価格相場の影響を受けるため、生産コスト増や相場変動のリスクが大きくなります

また、印刷業界は製品別の原価を把握しづらく、受注・発注する際の相場が安定しないという特性もあります。

製品別原価は製造間接費や製造部門費から計算しますが、印刷業界は多品種少ロット生産を基本としており、人間による労働力の業務の割合が大きいため、製品別原価計算の実施に多大な時間を要します。

エンドユーザーの影響が大きい

印刷業界は、エンドユーザー(最終消費者)が属する業界によって、季節変動による売上高への影響が大きいため製品生産の安定化が難しいという特性があります。

近年の印刷業界は、エンドユーザーの価値観が多様化する傾向にあり、印刷会社の対応力が求められる時代になってきています。

特に、商業印刷は情報の賞味期間が短く、必要なタイミングでの迅速な製品生産が求められます。打ち合わせなどの人件費や生産体制の構築でも時間を要することになります。

周辺環境への配慮が求められる

印刷業界の基本構造は、大手による受注から下請けの発注となっています。納期を守るために夜間に工場を稼働させることがあり、周辺への騒音が問題になることも珍しくありません。

また、印刷業界は原材料の塗料・着色料や溶剤に含まれる有害物質による土壌汚染リスクという問題があります。

印刷業界では、トリクロロエチレンやジクロロメタンによる土壌汚染が懸念されており、工場の閉鎖・撤退の際は土壌汚染調査を行い、周辺への悪影響を最小限に抑えるように努める必要があります。

【関連】会社売却のメリット・デメリットを徹底分析!リスクはある?

2. 印刷業界のM&A動向

印刷業界では、業界の特性や現状を踏まえて課題解決に向けた対策が実施されています。特にM&Aが課題解決に有効として注目を集めており、印刷業界全体に再編の動きがみられています。

業界内ではM&Aが活発化している

印刷業界全体でM&Aが活発化していますが、各印刷会社はどのようなM&Aを実施しているのでしょうか。ここでは、印刷業界のM&A動向を確認していきます。

【印刷業界のM&A動向】

  1. 既存事業強化のためのM&A
  2. 海外企業とのM&A
  3. 電子書籍対応や事業拡大のためのM&A
  4. 異業種企業とのM&A

既存事業強化のためのM&A

印刷業界のM&Aの目的の一つに既存事業の強化があります。売り手と買い手の顧客基盤や販路等の経営資源を共有することでグループ全体の競争力を高めることができます。

目的達成が自社のみでは難しい場合、あるいは達成できるとしても時間がかかり過ぎると判断された場合に、既存事業強化のためのM&Aが実施されます。

海外企業とのM&A

印刷業界では、新たな市場を獲得する目的で海外企業を買収するM&Aが増加しています。

特にアジア圏は経済成長が著しく、印刷業界にとって事業拡大のビジネスチャンスが多い地域と考えられています。

また、海外拠点を設けることで人件費を削減する効果も期待できます。印刷業界は労働集約的な側面があるので、人件費削減は製品別原価に大きく影響することになります。

電子書籍対応や事業拡大のためのM&A

現代においては、紙媒体のほかにWEB・タブレットなど、様々な媒体から情報を入手することができます。

特に、若年層は紙媒体以外を情報源とすることが多く、印刷業界では紙媒体の売上高が減少傾向にあることが課題となっています。

印刷業界も現状のままでは業績回復は難しいという結論を出しており、M&Aでデジタルメディア領域に進出して、電子書籍対応や事業拡大を図る動きがみられます。

異業種企業とのM&A

印刷会社が事業の多角化や事業の安定化を目的として行われる異業種企業とのM&Aも多く見受けられています。

ITやデジタルマーケティング領域の強化をはじめとした様々な目的で、多様な異業種企業の買収が行われています。

また、印刷会社のなかでも特殊印刷やパッケージ印刷技術を持つ企業のニーズが高く、異業種企業がそれらの印刷技術の内製化や、新製品の開発を目的として買収を行うケースが見られます。

【関連】印刷会社のM&A・買収・売却!業界動向・相場・手法を解説!【成功事例あり】

3. 印刷業界のM&A相場

印刷業界のM&Aは、大規模であれば億単位、小規模であれば数千万程度の取引価格になることが多いです。しかし、M&Aの目的や規模で大きく変動するため、正確な費用・相場の把握は難しいのが実情です。

M&Aの取引価格には、売上高や従業員などの要素も影響します。印刷業界においては、海外進出や新事業領域への進出などでM&Aが多様化していることもあり、相場も複雑化しています。

それでも印刷業界のM&A相場を把握したい時は、企業価値評価を行うと大まかな目安を付けることができます。

M&Aにおいては、企業価値評価で算出された価値を基準として価格交渉することが一般的であり、企業価値評価は時価純資産法やDCF法などから適切な方法を選択して行います。

M&Aの専門家に依頼すると、印刷業界のM&A事例を比較しつつ自社の状況に合った方法で適正な企業価値を算出しやすくなります。

【関連】M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法を解説【事例あり】

4. 印刷業界のM&Aを行うメリット

印刷業界のM&Aは売り手・買い手の双方に沢山のメリットがあります。印刷業界が抱える課題解決に活かせるメリットもあり、多くの印刷会社がM&A実施を検討しています。

この章では、印刷業界のM&Aを行うメリットを売り手・買い手のそれぞれの視点から解説します。

売り手のメリット

まずは印刷業界のM&Aの売り手側のメリットについて解説します。主なメリットは以下の5つが挙げられます。

【印刷業界のM&Aの売り手のメリット】

  1. 買い手の資本力を活用して経営安定
  2. 後継者問題の解決
  3. 従業員の雇用維持
  4. 経営者の個人保証や借入金の解消
  5. 売却・譲渡益の獲得

買い手の資本力を活用して経営安定

印刷業界のM&Aの買い手は、経営資源の共有によりグループ全体の企業価値向上を目指していることが多いので、売り手側は買い手が持つ資本力を活用できることが多いです。

特に印刷業界では、売上・業績に取引先や顧客基盤の有無が大きく影響します。大手の印刷会社の傘下に加われば、単価の高い案件を優先的に受注することも期待できます。

後継者問題の解決

印刷業界は70年代のバブル期に創業した会社・事業者も多いですが、その時に創業した経営者は現在は引退適齢期に差し掛かっていることもあり、事業承継のタイミングを迎えつつあります。

中小企業の事業承継は子や兄弟等の親族に引き継ぐケースが一般的ですが、現代は少子高齢化や人口の都市部集中の影響で後継者問題が深刻化しています。

後継者をみつけなければ事業を引き継いでの引退ができないため、親族に代わる後継者をM&Aで探そうとする経営者が増加しています。

従業員の雇用維持

M&Aでは、売り手から買い手に従業員を引き継ぐことができます。業務を通して培った経験やノウハウを失うことなく、引継ぎ先でさらなる成長を期待することができます。

従業員の雇用維持は買い手側の意向が強く影響しますが、印刷業界のM&Aにおいては引継ぎを拒絶されるケースはほとんどありません。

大手の印刷会社は出版社・新聞社からの案件を優先的に受注できるため、とにかく労働力を欲しています。印刷業界のM&Aは目的が従業員の確保であることも多いので、従業員の雇用維持に好意的な買い手が多い傾向にあります。

経営者の個人保証や借入金の解消

印刷業界は事業を行うための工場や施設、原材料費の確保で初期費用が必要になります。経営者の個人的な資金で抽出することは難しいため、金融機関等から借金しているケースが多いです。

借入の際は金融機関に対して個人保証を提供します。中堅・中小企業は大手企業よりも経営基盤がぜい弱だったり信用力が低いことが多いため、それらを補完するために個人保証が必要になります。

これらは経営者にとって悩みの種ですが、M&Aであれば個人保証や借入金を買い手に引き継いでもらうことも可能です。

売却・譲渡益の獲得

印刷業界のM&A売却では、企業価値に応じた売却益を獲得できます。会社を経営してきた実績として大きな見返りを得られるので、引退後のライフプランを充実させることができます。

なお、売却益の獲得者はM&Aの手法によって変わります。中小企業のM&Aで一般的とされる株式譲渡であれば、経営者(株主)が獲得できるので自由に使うことができます。

ただし、事業譲渡を用いた場合の獲得者は会社となります。用途は会社の事業資金に限られるため、経営者や家族に還元するためには配当金や退職金等を介する必要があります。

買い手のメリット

続いて印刷業界のM&Aの買い手側のメリットを紹介します。特に高い効果が期待できるメリットは以下の4つです。

【印刷業界のM&Aの買い手のメリット】

  1. 新たな技術の獲得
  2. スムーズな新規事業立ち上げ
  3. 設備投資の低減
  4. 事業規模の拡大

新たな技術の獲得

M&A買収すると売り手が持つ技術を獲得することができます。印刷業界は長年かけて技術を培っているので、会社の規模に関係なく魅力的な技術を持つ売り手も少なくありません。

買い手は豊富な資本力を活かして技術開発を目指すことも可能ですが、開発に要する時間や費用を考慮するとM&Aで買収したほうが効率的という判断になることが多くなっています。

スムーズな新規事業立ち上げ

M&Aで買収するとスムーズに新規事業を立ち上げることができます。印刷業界における顧客基盤や取引先のように、他業界・事業で必要になる経営資源を即座に獲得することができます。

立ち上げの難易度は業界や市場によって変わりますが、基本的に難易度が高い市場は事業者が少なく利益を確保しやすい傾向にあります。

M&Aという障壁を乗り越えて新規事業に参入することで、安定した事業を展開することが期待できます。

設備投資の低減

印刷業界のM&A買収では、売り手が保有する工場や設備を獲得することができます。既に稼働している工場や設備を取得することで、新規に投資するよりも費用を大幅に抑えることができます。

ただし、使い古された工場や設備はメンテナンスで余計なコストがかかることがありので、印刷業界のM&A買収検討時は事前のデューデリジェンスを徹底しておく必要があります。

事業規模の拡大

印刷業界でM&A買収すると、グループ規模が大きくなり事業規模も拡大させることができます。

グループ全体で使用する原材料を一括で大量仕入れすることで、コストカット等のスケールメリットが期待できます。

また、未進出エリアの売り手を買収することで、新規開拓を図ることも可能です。印刷業界は地域密着型の会社も多いので、大手会社がエリア進出を目的にM&A買収を実施するケースも多くみられます。

【関連】M&Aによる買収の目的は?目的別にメリット・課題を分類!

5. 印刷業界のM&A事例11選

印刷業界のM&A動向やメリットをみてきましたが、実際に実施されているM&Aはどのような事例があるのでしょうか。この章では、印刷業界のM&A事例を紹介します。

1.大日本印刷によるハコスコの子会社化

 2023年7月、大日本印刷は、ハコスコの株式を5割取得し、グループ会社としました。

大日本印刷は、印刷・情報技術を基として、雑誌や書籍、包装、エネルギーやライフサイエンス分野などにも幅広く進出している総合印刷会社です。対象会社のハコスコはスタートアップ企業で、VR、メタバース、ブレインテックサービスの事業を展開しています。

今回のM&Aにより大日本印刷は、XRコミュニケーション事業拡大を目指し、新規事業を図る予定です。

2.大日本印刷によるJTBプランニングネットワークの子会社化

2020年4月、大日本印刷株式会社はJTBプランニングネットワークの株式を取得して子会社化することを公表しました。株式の取得割合は95%となります。

JTBプランニングネットワークは、旅行業界の国内最大手JTBグループの子会社であり、旅行パンフレットの広告・制作やキャンペーンの企画・運営を手掛けています。

今後は、JTBグループで培われたネットワークやノウハウを活用することで、観光業のさらなる事業拡大を目指すとしています。

3.日本創発グループによる研精堂印刷の子会社化

2019年12月、日本創発グループは研精堂印刷の株式の一部を取得して持分法適用関連会社とすることを公表しました。株式取得価額は譲渡側の要望により非公表となっています。

研精堂印刷は岡山県岡山市に本社と2つの工場を持つ印刷会社です。徹底した生産部門での品質管理に定評があり、豊富な取引実績を有しています。

今後は研精堂印刷とのシナジー効果により事業拡大・ワンストップサービスの拡充を通してグループの企業価値の一層の向上を目指すとしています。

4.図書印刷によるシー・ティー・エスの株式取得

2018年11月、図書印刷は子会社KGエデュケーションホールディングスを通じてシー・ティー・エスの全株式を取得し、完全子会社化することを決議しました。株式買取価格は非公表です。

シー・ティー・エスは、企業向けに語学研修サービス事業を手掛ける会社です。顧客ニーズへのきめ細やかな対応が好評で、メイン顧客は海外進出を目指す企業やインバウンド需要に対応する企業です。

図書印刷は、今回の買収を機会に教育ソリューション事業に参入します。同事業をグループの事業ラインナップに加え、グループ全体の企業価値向上に向けてサービスの品質向上・拡大を行うとしています。

5.光村印刷による新村印刷の子会社化

2018年9月、光村印刷は新村印刷の全株式を取得して、完全子会社化することを公表しました。株式取得価格は17億円とされています。

新村印刷は、商業印刷や証券印刷等の印刷事業を主とする印刷会社です。包装・パッケージ分野においても強みを持っており、高品質な製品生産により一定数のシェアを維持しています。

光村印刷は新村印刷を買収することで、新事業への進出と既存事業強化の両面においてシナジー効果が期待できるとしています。

6.凸版印刷によるDECOTEC PRINTING, S.A.U.の子会社化

2017年9月、凸版印刷は欧州現地法人を通じて、DECOTEC PRINTING, S.A.U.(デコテック,スペイン・カタルーニャ州)の株式を過半数取得しました。

デコテックはスペインの建装材メーカーです。メラミン化粧板やメラミンラミネート床材用厚紙化粧シートの製造・販売を行っています。

凸版印刷は、今回の買収で欧州初の拠点を獲得しました。今後は既存の日米拠点と合わせてグローバル市場における建装材事業の強化に努めるとしています。

7.竹田印刷による東京プロセスサービスの子会社化

2017年8月、日本創発グループは日経印刷を子会社に持つグラフィックグループ株式会社の株式を取得することを決定しました。株式の取得価格は約47億円、株式の持分比率は69.01%となります。

日経印刷は、教育関連事業向けや金融事業向けの印刷物を扱う印刷会社です。白書の印刷等で官公庁との豊富な実績がありノウハウも培っています。

両社が保有する製造設備や印刷技術等の経営資源を共有することで、製造効率の向上やワンストップサービスなどの顧客対応力を強めていくとしています。

8.共同印刷によるPT Arisu Graphic Primaの子会社化

2017年4月、共同印刷は持分法適用関連会社PT Arisu Graphic Prima(アリス,インドネシア・スラバヤ)の株式を追加取得して子会社化することを公表しました。株式持分は23.4%から96.2%に引き上げています。

アリスは、インドネシアでラミネートチューブ及びキャップ・ショルダーなどを製造している会社で、東南アジア市場における市場開拓力や、高品質製品を作りだす技術力が高く評価されています。

共同印刷は生活・産業資材分野の事業拡大に注力しており、今後さらなる発展が期待される東南アジア市場で大きな影響力を持つアリスを子会社化することで、積極的な事業拡大を目指すとしています。

9.大王製紙による三浦印刷の子会社化

2017年4月、大王製紙は三浦印刷に対してTOBを実施して完全子会社化しました。TOBは同年2月28日から4月11日にかけて行われ、株式の買付代金は83億6400万円となりました。

三浦印刷はパンフレット・カタログ等の商業印刷を手掛ける印刷会社です。東京証券取引所2部に上場しており、直前期の業績は連結売上高120億円、純利益3億円となっています。

大王製紙はグループ会社を通じて印刷事業を手掛けています。三浦印刷が持つ顧客基盤を獲得することでグループの印刷事業の強化を図り、自社の洋紙の供給拡大へと繋げる狙いです。

10.日本創発グループによる日経印刷の子会社化

2016年8月、竹田印刷は東京プロセスサービス株式会社の株式を取得して子会社することを公表しました。取得価額は非公表となっています。

東京プロセスサービスは、フォトマスク・メタルマスクなどのスクリーン印刷用版の製造を扱う会社です。製造から試作開発まで、幅広くマスク製造の課題解決に携わっています。

今後は竹田印刷及び子会社のプロセス・ラボ・ミクロンとのノウハウ共有により、半導体関連マスク事業におけるシナジー効果の創出を目指すとしています。

11.共立印刷による西川印刷の子会社化

2015年7月、共立印刷は西川印刷の全株式を取得して完全子会社化することを公表しました。買収費用は10億円であることも公表されています。

西川印刷は熊本県を拠点とする印刷会社で、オフセット輪転印刷機やオンデマンド印刷機などを所有しており、九州エリアで高いシェアを維持しています。

共立印刷は関東に拠点を置く印刷会社です。互いの営業活動エリアが競合しないことから、生産体制や地理的な面におけるシナジー効果を発揮しやすいという判断でM&Aを行っています。

6. 異業種企業による印刷会社の買収事例3選

続いて、異業種企業による印刷会社の買収事例をご紹介します。

1.ハシモトコーポレーションをイムラ封筒が完全子会社化

2022年1月、オーダーメイド封筒を中心とするパッケージソリューション事業を展開している「イムラ封筒」は、印刷物のデザイン事業を中心に展開している「ハシモトコーポレーション」を完全子会社化しました。

本M&Aで、パッケージソリューション事業の運営を安定化させると同時に、印刷工程の内製化による業務効率化を実現しています。

2.金羊社をレンゴーが子会社化

2021年3月、板紙・段ボール製造の大手企業である「レンゴー」は、エンターテインメント系メディアのパッケージ印刷を手掛ける「金羊社」を子会社化しました。

本M&Aで、メディアパッケージ分野への進出や軟包装・販促ツール事業の事業拡充を行っています。株式譲渡にて行われたM&Aで、レンゴーが金羊社株式の50%、レンゴー100%子会社明和産業が金羊社株式の20%を取得しています。

3.昌栄印刷を巴川製紙所が子会社化

2020年3月、紙・不織布・パルプ・プラスチックなどを用いた部品などの製造事業を展開している「巴川製紙所」は、特殊印刷技術・情報加工技術を用いた事業を展開している「昌栄印刷」を子会社化しました。

本M&Aにより、印刷加工・情報加工技術を取り込む新製品開発機能を拡充しています。本M&Aで保有比率を40.01%に高め連結子会社化することに成功しています。

7. 印刷業界のM&Aを成功させるためには

印刷業界のM&Aを検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。主に中堅・中小規模のM&A仲介を得意としており、幅広い業種における豊富な実績があります。

M&A経験豊富なアドバイザーがご相談からクロージングまで一貫サポートします。印刷業界の動向を敏感に察知しながら、M&A成約に向けて進めてまいります。

当社の仲介サポートは機動力に強みがあり、最短3ヵ月での成約実績があります。日常の業務への支障や身体的負担を軽減しつつ、M&A成約を目指すことができます。

M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

印刷業界のM&Aに関して無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】印刷会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所
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8. まとめ

印刷業界では会社の規模に関わらずM&Aが活発化しています。印刷業界の課題に対してM&Aが有効なこともあり、今後もさまざまな会社がM&Aを実施することが予測されます。

いつM&Aの必要に迫られるかは分からないので、普段から印刷業界の動向に気を配っておくと対応しやすくなります。M&Aに必要な知識に関してはM&Aの専門家に相談することで補うことができます。

【印刷業界の特性】

  1. 業界の多くを小規模事業者が占めている
  2. 相場変動のリスクが大きい
  3. エンドユーザーの影響が大きい
  4. 周辺環境への配慮が求められる

【印刷業界のM&A動向】
  1. 既存事業強化のためのM&A
  2. 海外企業とのM&A
  3. 電子書籍対応や事業拡大のためのM&A

【印刷業界のM&Aの売り手のメリット】
  1. 買い手の資本力を活用して経営安定
  2. 後継者問題の解決
  3. 従業員の雇用維持
  4. 経営者の個人保証や借入金の解消
  5. 売却・譲渡益の獲得

【印刷業界のM&Aの買い手のメリット】
  1. 新たな技術の獲得
  2. スムーズな新規事業立ち上げ
  3. 設備投資の低減
  4. 事業規模の拡大

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