印刷業界のM&A動向と事例!市場動向や案件例も紹介【2025年最新】

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

印刷業界では、既存事業強化や海外進出を目的としたM&Aが増えています。中堅・中小規模の印刷会社では後継者問題の解消や共同仕入によるコスト削減などのメリットもあります。今回は、印刷業界のM&A動向や事例・案件例を紹介します。

目次

  1. 印刷業界の現状
  2. 印刷業界のM&A動向
  3. 印刷業界のM&A相場
  4. 印刷業界のM&Aを行うメリット
  5. 印刷業界のM&A案件例
  6. 印刷業界のM&A事例
  7. 印刷会社のM&Aでおすすめの相談先
  8. 印刷業界のM&A動向と事例まとめ
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1. 印刷業界の現状

近年、印刷業界は市場規模の縮小が加速しています。インターネットの普及でデジタルメディアへの移行が加速して、新聞・折込チラシ・カタログなど紙媒体の印刷需要が減少しているためです。

このような構造的な不況に対応するため、印刷業界ではM&Aによる海外進出や事業領域の拡大を目指す動きもみられます。

本記事では印刷業界のM&A動向や事例を紹介していますが、この章ではまず、印刷業界の市場規模や現状、特性について確認していきます。

印刷業界とは

印刷業界は「出版印刷」と「商業印刷」に大別されます。扱う分野は異なりますが、どちらもインターネット普及の影響で市場規模が縮小しつつあります。

出版印刷は、出版社や新聞社が発行する書籍・雑誌などの商業出版物を扱う分野です。印刷したものは取次店・書店を介して消費者に届けられます。

商業印刷は、チラシ・パンフレットなどの宣伝用印刷や、カタログ・マニュアルなどの業務用印刷を扱う分野で、事業会社と印刷会社の間でやり取りが行われます。

市場規模

参考:一般社団法人 日本印刷産業連合会「印刷産業 Anuaally Report Vol.3」

参考:一般社団法人 日本印刷産業連合会「印刷産業 Anuaally Report Vol.3」

出典:https://www.jfpi.or.jp/files/user/pdf/Annually_Report_Vol3.pdf

一般社団法人 日本印刷産業連合会の資料によると、印刷産業の出荷額は4兆8,555億円となり、4年連続で5兆円を下回りました。一方で、印刷産業の付加価値額は2兆2,342億円となり、2020年(令和2年)以降やや回復しています。

参考:一般社団法人 日本印刷産業連合会「印刷産業 Anuaally Report Vol.3」

従業者数は前年比で増加に転じ252,593人を記録

一般社団法人 日本印刷産業連合会の資料によると、印刷産業の従業者数は増加に転じ、252,593人となりました。特に、印刷業、製版業、印刷物加工業で従業者数が増加しています。なお、印刷産業においては、1事業所あたりの従業者数が100人未満の中小企業が全体の97.3%を占めており、中小企業が業界の大部分を支えている状況です。

印刷産業の事業所数は若干増加も長期的な減少傾向

一般社団法人 日本印刷産業連合会の資料によると、印刷産業の事業所数は13,536件となり、わずかに増加しました。ただし、平成14年から比較して2万件以上減少しており、長期的な減少傾向にある状況です。

特に、印刷業、製本業、印刷物加工業、印刷関連サービス業の分野で事業所数が増えています。印刷産業の事業所数は、製造業24業種の中で金属製品、食料品、生産用機械器具、プラスチック製品に次ぐ5番目の規模となっています。

印刷業界の特性

印刷業界のM&Aを検討する際は、印刷業界の現状や特性を確認しておくと計画を立てやすくなります。特に押さえておきたい印刷業界の特性は以下の4つです。

【印刷業界の特性】

  1. 業界の多くを小規模事業者が占めている
  2. 相場変動のリスクが大きい
  3. エンドユーザーの影響が大きい
  4. 周辺環境への配慮が求められる

業界の多くを小規模事業者が占めている

印刷業界の事業者は、売上高1兆円を超える大手印刷会社が存在する一方で、従業員300人未満で売上高も少ない中小・小規模事業者が大半を占めています。

そのため、印刷業界では大手印刷会社が出版社や新聞社から受注して、印刷業務の一部を中小・小規模事業者に下請け発注するケースが多いのが現状です。

相場変動のリスクが大きい

印刷業界の原材料(紙・フィルム・インク・溶剤等)は原油価格相場の影響を受けるため、生産コスト増や相場変動のリスクが大きくなります

また、印刷業界は製品別の原価を把握しづらく、受注・発注する際の相場が安定しないという特性もあります。

製品別原価は製造間接費や製造部門費から計算しますが、印刷業界は多品種少ロット生産を基本としており、人間による労働力の業務の割合が大きいため、製品別原価計算の実施に多大な時間を要します。

エンドユーザーの影響が大きい

印刷業界は、エンドユーザー(最終消費者)が属する業界によって、季節変動による売上高への影響が大きいため製品生産の安定化が難しいという特性があります。

近年の印刷業界は、エンドユーザーの価値観が多様化する傾向にあり、印刷会社の対応力が求められる時代になってきています。

特に、商業印刷は情報の賞味期間が短く、必要なタイミングでの迅速な製品生産が求められます。打ち合わせなどの人件費や生産体制の構築でも時間を要することになります。

周辺環境への配慮が求められる

印刷業界の基本構造は、大手による受注から下請けの発注となっています。納期を守るために夜間に工場を稼働させることがあり、周辺への騒音が問題になることも珍しくありません。

また、印刷業界は原材料の塗料・着色料や溶剤に含まれる有害物質による土壌汚染リスクという問題があります。

印刷業界では、トリクロロエチレンやジクロロメタンによる土壌汚染が懸念されており、工場の閉鎖・撤退の際は土壌汚染調査を行い、周辺への悪影響を最小限に抑えるように努める必要があります。

【関連】会社売却のメリット・デメリットを徹底分析!リスクはある?

2. 印刷業界のM&A動向

印刷業界では、業界の特性や現状を踏まえて課題解決に向けた対策が実施されています。特にM&Aが課題解決に有効として注目を集めており、印刷業界全体に再編の動きがみられています。

業界内ではM&Aが活発化している

印刷業界全体でM&Aが活発化していますが、各印刷会社はどのようなM&Aを実施しているのでしょうか。ここでは、印刷業界のM&A動向を確認していきます。

【印刷業界のM&A動向】

  1. 既存事業強化のためのM&A
  2. 海外企業とのM&A
  3. 電子書籍対応や事業拡大のためのM&A
  4. 異業種企業とのM&A

既存事業強化のためのM&A

印刷業界のM&Aの目的の一つに既存事業の強化があります。売り手と買い手の顧客基盤や販路等の経営資源を共有することでグループ全体の競争力を高めることができます。

目的達成が自社のみでは難しい場合、あるいは達成できるとしても時間がかかり過ぎると判断された場合に、既存事業強化のためのM&Aが実施されます。

海外企業とのM&A

印刷業界では、新たな市場を獲得する目的で海外企業を買収するM&Aが増加しています。例えば、2023年10月、朝日印刷は、マレーシアの印刷会社Kinta Press & Packagingを子会社化しました。

特にアジア圏は経済成長が著しく、印刷業界にとって事業拡大のビジネスチャンスが多い地域と考えられています。

また、海外拠点を設けることで人件費を削減する効果も期待できます。印刷業界は労働集約的な側面があるので、人件費削減は製品別原価に大きく影響することになります。

電子書籍対応や事業拡大のためのM&A

現代においては、紙媒体のほかにWEB・タブレットなど、様々な媒体から情報を入手することができます。

特に、若年層は紙媒体以外を情報源とすることが多く、印刷業界では紙媒体の売上高が減少傾向にあることが課題となっています。

印刷業界も現状のままでは業績回復は難しいという結論を出しており、M&Aでデジタルメディア領域に進出して、電子書籍対応や事業拡大を図る動きがみられます。

例えば、2024年7月、KYORITSU子会社の西川印刷、バッハベルクを買収しました。KYORITSUは、情報デジタル事業をグループの中核事業と位置づけ、購買履歴や個人情報を活用したDXプロモーションの拡大、電子書籍データ制作の強化、IP事業の推進を通じて収益向上を目指しています。

今回のM&Aにより、情報デジタル事業を展開する西川印刷を子会社化し、TV通販映像制作の技術・ノウハウを活用することで、DMサービスからデジタルコンテンツまでのクロスメディア対応が可能となります。

また、成長するeコマースやオンライン広告市場での競争力を高めるとともに、販売チャネルの拡大や新規顧客の獲得を促進し、グループ全体の事業成長を図ります。

異業種企業とのM&A

印刷会社が事業の多角化や事業の安定化を目的として行われる異業種企業とのM&Aも多く見受けられています。

例えば、2016年7月、印刷業界の日本創発グループは、コンテンツ企画制作を手掛けるソニックジャムを子会社化しました。

このようにITやデジタルマーケティング領域の強化をはじめとした様々な目的で、多様な異業種企業の買収が行われています。

また、印刷会社のなかでも特殊印刷やパッケージ印刷技術を持つ企業のニーズが高く、異業種企業がそれらの印刷技術の内製化や、新製品の開発を目的として買収を行うケースが見られます。

【関連】印刷会社のM&A・買収・売却!業界動向・相場・手法を解説!【成功事例あり】

3. 印刷業界のM&A相場

印刷業界のM&Aは、大規模であれば億単位、小規模であれば数千万程度の取引価格になることが多いです。しかし、M&Aの目的や規模で大きく変動するため、正確な費用・相場の把握は難しいのが実情です。

M&Aの取引価格には、売上高や従業員などの要素も影響します。印刷業界においては、海外進出や新事業領域への進出などでM&Aが多様化していることもあり、相場も複雑化しています。

それでも印刷業界のM&A相場を把握したい時は、企業価値評価を行うと大まかな目安を付けることができます。

M&Aにおいては、企業価値評価で算出された価値を基準として価格交渉することが一般的であり、企業価値評価は時価純資産法やDCF法などから適切な方法を選択して行います。

M&Aの専門家に依頼すると、印刷業界のM&A事例を比較しつつ自社の状況に合った方法で適正な企業価値を算出しやすくなります。

【関連】M&Aの企業価値評価(バリュエーション)とは?算定方法を解説【事例あり】

4. 印刷業界のM&Aを行うメリット

印刷業界のM&Aは売り手・買い手の双方に沢山のメリットがあります。印刷業界が抱える課題解決に活かせるメリットもあり、多くの印刷会社がM&A実施を検討しています。

この章では、印刷業界のM&Aを行うメリットを売り手・買い手のそれぞれの視点から解説します。

売り手のメリット

まずは印刷業界のM&Aの売り手側のメリットについて解説します。主なメリットは以下の5つが挙げられます。

【印刷業界のM&Aの売り手のメリット】

  1. 買い手の資本力を活用して経営安定
  2. 後継者問題の解決
  3. 従業員の雇用維持
  4. 経営者の個人保証や借入金の解消
  5. 売却・譲渡益の獲得

買い手の資本力を活用して経営安定

印刷業界のM&Aの買い手は、経営資源の共有によりグループ全体の企業価値向上を目指していることが多いので、売り手側は買い手が持つ資本力を活用できることが多いです。

特に印刷業界では、売上・業績に取引先や顧客基盤の有無が大きく影響します。大手の印刷会社の傘下に加われば、単価の高い案件を優先的に受注することも期待できます。

後継者問題の解決

印刷業界は70年代のバブル期に創業した会社・事業者も多いですが、その時に創業した経営者は現在は引退適齢期に差し掛かっていることもあり、事業承継のタイミングを迎えつつあります。

中小企業の事業承継は子や兄弟等の親族に引き継ぐケースが一般的ですが、現代は少子高齢化や人口の都市部集中の影響で後継者問題が深刻化しています。

後継者をみつけなければ事業を引き継いでの引退ができないため、親族に代わる後継者をM&Aで探そうとする経営者が増加しています。

従業員の雇用維持

M&Aでは、売り手から買い手に従業員を引き継ぐことができます。業務を通して培った経験やノウハウを失うことなく、引継ぎ先でさらなる成長を期待することができます。

従業員の雇用維持は買い手側の意向が強く影響しますが、印刷業界のM&Aにおいては引継ぎを拒絶されるケースはほとんどありません。

大手の印刷会社は出版社・新聞社からの案件を優先的に受注できるため、とにかく労働力を欲しています。印刷業界のM&Aは目的が従業員の確保であることも多いので、従業員の雇用維持に好意的な買い手が多い傾向にあります。

経営者の個人保証や借入金の解消

印刷業界は事業を行うための工場や施設、原材料費の確保で初期費用が必要になります。経営者の個人的な資金で抽出することは難しいため、金融機関等から借金しているケースが多いです。

借入の際は金融機関に対して個人保証を提供します。中堅・中小企業は大手企業よりも経営基盤がぜい弱だったり信用力が低かったりすることが多いため、それらを補完するために個人保証が必要になります。

これらは経営者にとって悩みの種ですが、M&Aであれば個人保証や借入金を買い手に引き継いでもらうことも可能です。

売却・譲渡益の獲得

印刷業界のM&A売却では、企業価値に応じた売却益を獲得できます。会社を経営してきた実績として大きな見返りを得られるので、引退後のライフプランを充実させることができます。

なお、売却益の獲得者はM&Aの手法によって変わります。中小企業のM&Aで一般的とされる株式譲渡であれば、経営者(株主)が獲得できるので自由に使うことができます。

ただし、事業譲渡を用いた場合の獲得者は会社となります。用途は会社の事業資金に限られるため、経営者や家族に還元するためには配当金や退職金等を介する必要があります。

買い手のメリット

続いて印刷業界のM&Aの買い手側のメリットを紹介します。特に高い効果が期待できるメリットは以下の4つです。

【印刷業界のM&Aの買い手のメリット】

  1. 新たな技術の獲得
  2. スムーズな新規事業立ち上げ
  3. 設備投資の低減
  4. 事業規模の拡大

新たな技術の獲得

M&A買収すると売り手が持つ技術を獲得することができます。印刷業界は長年かけて技術を培っているので、会社の規模に関係なく魅力的な技術を持つ売り手も少なくありません。

買い手は豊富な資本力を活かして技術開発を目指すことも可能ですが、開発に要する時間や費用を考慮するとM&Aで買収したほうが効率的という判断になることが多くなっています。

スムーズな新規事業立ち上げ

M&Aで買収するとスムーズに新規事業を立ち上げることができます。印刷業界における顧客基盤や取引先のように、他業界・事業で必要になる経営資源を即座に獲得することができます。

立ち上げの難易度は業界や市場によって変わりますが、基本的に難易度が高い市場は事業者が少なく利益を確保しやすい傾向にあります。

M&Aという障壁を乗り越えて新規事業に参入することで、安定した事業を展開することが期待できます。

設備投資の低減

印刷業界のM&A買収では、売り手が保有する工場や設備を獲得することができます。既に稼働している工場や設備を取得することで、新規に投資するよりも費用を大幅に抑えることができます。

ただし、使い古された工場や設備はメンテナンスで余計なコストがかかることがありので、印刷業界のM&A買収検討時は事前のデューデリジェンスを徹底しておく必要があります。

事業規模の拡大

印刷業界でM&A買収すると、グループ規模が大きくなり事業規模も拡大させることができます。

グループ全体で使用する原材料を一括で大量仕入れすることで、コストカット等のスケールメリットが期待できます。

また、未進出エリアの売り手を買収することで、新規開拓を図ることも可能です。印刷業界は地域密着型の会社も多いので、大手会社がエリア進出を目的にM&A買収を実施するケースも多くみられます。

【関連】M&Aによる買収の目的は?目的別にメリット・課題を分類!

5. 印刷業界のM&A案件例

弊社M&A総合研究所が取り扱っている印刷業界のM&A案件例をご紹介します。

【東京都】自社工場を2拠点保有する都内の印刷業

地域密着型の印刷業で、お客様毎にオーダーメイド制作物を作成しています。自社工場を2拠点保有し、製品の企画から印刷、加工までワンストップ対応が可能です。カタログや手提げ紙袋などを提供することで、安定的な需要を維持しています。
 

エリア 東京都
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 5000万円〜1億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【関連】【東京都】自社工場を2拠点保有する都内の印刷業(その他サービス等) | M&A総合研究所

【時価純資産程度/業歴50年以上】首都圏×印刷業

データ処理や画像処理等製版作業を得意としている印刷業です。金融機関の販売促進資料や、大手企業の名刺や社内報も作成しています。CTP出力やオンデマンド印刷、本紙校正など対応可能です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 財務的理由、事業存続に対する不安、資金調達

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【関東】官公庁と直取引のある印刷業

40年以上に渡り官公庁や大手民間企業から、帳票などの印刷を安定的に受注しています。民間企業の取引先は100社以上あり、年間を通して安定的な受注があります。ビジネスフォーム印刷を主体に行っている会社です。
 

エリア 関東・甲信越
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 安定的な事業継続のため

【関連】【関東】官公庁と直取引のある印刷業(その他サービス等) | M&A総合研究所

他にもM&A総合研究所で取り扱っている案件について詳しく知りたい方は以下の「M&A・事業承継案件一覧」のページよりご確認ください。

【関連】M&A・事業承継案件一覧 | M&A総合研究所

6. 印刷業界のM&A事例

印刷業界のM&A動向やメリットをみてきましたが、実際に実施されているM&Aはどのような事例があるのでしょうか。この章では、印刷業界のM&A事例を紹介します。

同業種・周辺業種によるM&A事例

まずは、同業種・周辺業種によるM&A事例をご紹介します。

大日本印刷による出版印刷事業のDNP書籍ファクトリーへの承継

大日本印刷(DNP)は、2025年4月1日を効力発生日として、出版印刷事業を完全子会社のDNP書籍ファクトリーへ吸収分割により承継することを決定しました。併せて、DNP書籍ファクトリーは、同じく完全子会社であるDNPメディア・アートを吸収合併し、営業・製造体制を一体化します。

これにより、DNPグループの出版印刷事業は、意思決定の迅速化や部門間の連携強化が可能となり、市場環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築します。また、吸収分割の効力発生日には、DNP書籍ファクトリーの商号を「株式会社DNP出版プロダクツ」に変更する予定です。

出版印刷事業に関する組織再編(当社子会社との吸収分割)に関するお知らせ

ラクスルによるネットスクウェアのオンデマンド印刷事業の譲受

2013年3月、ラクスルは、ネットスクウェア(東京都江東区)からオンデマンド印刷事業を譲り受けることを決定しました。

この取引では、ネットスクウェアのオンデマンド印刷事業を会社分割により新設する株式会社ラクスルファクトリー(仮称)に承継させ、ラクスルがその全株式を取得し、子会社化します。また、ラクスルが保有するネットスクウェアの株式については、ネットスクウェアが自己株式を取得することで、同社はラクスルの持分法適用会社から外れる予定です。

本件により、ラクスルはネットスクウェアのアセットを活用し、品質・コスト・納期(QCD)の向上を図りながら、シェアリングビジネスモデルの柔軟性を維持し、サービス提供価値のさらなる向上を目指します。

株式取得(子会社化)の基本合意に関するお知らせ

大日本印刷によるハコスコの子会社化

 2023年7月、大日本印刷は、ハコスコの株式を5割取得し、グループ会社としました。

大日本印刷は、印刷・情報技術を基として、雑誌や書籍、包装、エネルギーやライフサイエンス分野などにも幅広く進出している総合印刷会社です。対象会社のハコスコはスタートアップ企業で、VR、メタバース、ブレインテックサービスの事業を展開しています。

今回のM&Aにより大日本印刷は、XRコミュニケーション事業拡大を目指し、新規事業を図る予定です。

大日本印刷によるJTBプランニングネットワークの子会社化

2020年4月、大日本印刷株式会社はJTBプランニングネットワークの株式を取得して子会社化することを公表しました。株式の取得割合は95%となります。

JTBプランニングネットワークは、旅行業界の国内最大手JTBグループの子会社であり、旅行パンフレットの広告・制作やキャンペーンの企画・運営を手掛けています。

今後は、JTBグループで培われたネットワークやノウハウを活用することで、観光業のさらなる事業拡大を目指すとしています。

異業種企業による印刷会社の買収事例

続いて、異業種企業による印刷会社の買収事例をご紹介します。

ハシモトコーポレーションをイムラ封筒が完全子会社化

2022年1月、オーダーメイド封筒を中心とするパッケージソリューション事業を展開している「イムラ封筒」は、印刷物のデザイン事業を中心に展開している「ハシモトコーポレーション」を完全子会社化しました。

本M&Aで、パッケージソリューション事業の運営を安定化させると同時に、印刷工程の内製化による業務効率化を実現しています。

金羊社をレンゴーが子会社化

2021年3月、板紙・段ボール製造の大手企業である「レンゴー」は、エンターテインメント系メディアのパッケージ印刷を手掛ける「金羊社」を子会社化しました。

本M&Aで、メディアパッケージ分野への進出や軟包装・販促ツール事業の事業拡充を行っています。株式譲渡にて行われたM&Aで、レンゴーが金羊社株式の50%、レンゴー100%子会社明和産業が金羊社株式の20%を取得しています。

昌栄印刷を巴川製紙所が子会社化

2020年3月、紙・不織布・パルプ・プラスチックなどを用いた部品などの製造事業を展開している「巴川製紙所」は、特殊印刷技術・情報加工技術を用いた事業を展開している「昌栄印刷」を子会社化しました。

本M&Aにより、印刷加工・情報加工技術を取り込む新製品開発機能を拡充しています。本M&Aで保有比率を40.01%に高め連結子会社化することに成功しています。

7. 印刷会社のM&Aでおすすめの相談先

印刷会社のM&Aでおすすめの相談先をご紹介します。

金融機関

M&Aを検討する際、普段から取引のある銀行や証券会社に相談するのも一つの選択肢です。特に資金調達や資金繰りに関する課題が多いため、金融機関の専門知識を活用することで、適切なアドバイスを受けられます。

金融機関は広範なネットワークを持ち、定期的な訪問を通じて企業と信頼関係を築いています。また、大手の金融機関ではM&A専門部署があり、経験豊富なスタッフによるサポートを受けられる点も強みです。取引関係が深い企業であれば、スムーズな対応が期待できます。

一方で、金融機関は中小企業向けのM&Aには対応しにくく、適切な買い手や売り手を見つけるのが難しい傾向にあります。また、手数料が高額であることや、組織の規模が大きいため迅速な対応が難しい点もデメリットです。

【関連】M&Aにおける銀行の役割とは?融資やアドバイザリーの特徴・成功のコツ・利益相反の注意点を解説

公的機関

商工会議所や自治体などの公的機関も、M&Aの相談先として活用できます。特に地方の企業とのネットワークが強く、地域密着型のM&Aを検討する際に有効です。

商工会や商工会議所では、中小企業向けの助成金や補助金制度を提供している場合があり、資金面でのサポートを受けられます。これらの制度は返済不要のため、資金調達に課題のある企業にとって有用です。

ただし、公的機関はM&A専門の機関ではないため、相手企業の紹介や資金支援は可能でも、手続き面の支援は受けにくいです。また、支援を受けるには会員登録が必要で、費用がかかることがあります。助成金や補助金の申請には期限があり、受給までに1年ほどかかる場合もあるため、事前の確認が重要です。

M&A仲介会社

M&A仲介会社は、M&Aを専門に扱う企業で、豊富な知識と実績を持つため、相談から実行、アフターフォローまで幅広く対応できます。

M&Aに関する専門知識や業界の最新動向、費用の相場に精通しているため、適切なアドバイスを受けられます。また、広範なネットワークを活用して買い手・売り手の候補を見つけやすく、希望に沿ったM&Aを進めやすい点が強みです。さらに、金融機関と比較して成功報酬が低い場合が多いことも利点です。

仲介会社によっては、相談料や着手金が発生するため、事前に費用体系を確認する必要があります。また、報酬目的でM&Aの成約を急かす場合があり、最低でも300万円程度の成功報酬がかかる点も考慮すべきポイントです。M&Aの成立を優先し、十分なサポートを提供しない仲介会社も存在するため、選定には注意が必要です。

【関連】M&Aの相談先9種類!メリットデメリットや選び方と相談時の注意点も解説!

8. 印刷業界のM&A動向と事例まとめ

印刷業界では会社の規模に関わらずM&Aが活発化しています。印刷業界の課題に対してM&Aが有効なこともあり、今後もさまざまな会社がM&Aを実施することが予測されます。

いつM&Aの必要に迫られるかは分からないので、普段から印刷業界の動向に気を配っておくと対応しやすくなります。M&Aに必要な知識に関してはM&Aの専門家に相談することで補うことができます。

印刷業界のM&Aを検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。主に中堅・中小規模のM&A仲介を得意としており、幅広い業種における豊富な実績があります。

M&A経験豊富なアドバイザーがご相談からクロージングまで一貫サポートします。印刷業界の動向を敏感に察知しながら、M&A成約に向けて進めてまいります。

当社の仲介サポートは機動力に強みがあり、最短3ヵ月での成約実績があります。日常の業務への支障や身体的負担を軽減しつつ、M&A成約を目指すことができます。

M&A総合研究所の料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

印刷業界のM&Aに関して無料相談をお受けしておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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