2025年02月20日更新
群馬県のM&A・事業承継の現状は?案件一覧や事例・公的支援も紹介
この記事では、群馬県のM&A・事業承継の現状を紹介します。併せて、群馬県および近郊のM&A・事業承継の案件一覧や事例、M&A仲介会社選びの秘訣なども紹介します。M&A・事業承継を検討されている方はぜひ参考にしてください。
目次
1. 群馬県の産業の特徴
群馬県の主要産業(出荷額ベース)は、輸送用機械、食料品、業務用機械です。品目別では、こんにゃく粉、製糸、亜鉛地金の出荷額が全国で1位を誇っています。
市町村別に見ると、太田市が事業所数の13.8%、従業者数の17.5%、出荷額の26.2%を占めています。群馬県全体の事業所数では、太田市が13.8%を占め、次いで桐生市、高崎市、伊勢崎市、前橋市が続きます。
従業者数は、太田市が17.5%を占め、伊勢崎市、高崎市、前橋市、大泉町がそれに続きます。出荷額では、太田市が26.2%を占め、次いで伊勢崎市、高崎市、大泉町、前橋市の順です。
参考:群馬県「輸送用機械が3割以上を占める群馬県 」
関東地方のM&A・事業承継・会社売却の最新動向・仲介会社選びのポイントについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
2. 群馬県の事業承継の現状
群馬県の事業承継の現状を3つのトピックに分けて解説します。
帝国データバンクが2023年に発表した「群馬県社長年齢分析」によると、群馬県の企業経営者の平均年齢は60.8歳でした。これは15年連続の上昇で過去最高年齢であり、超高齢社会の日本の実情が反映されていることがわかります。
同社の「全国企業『後継者不在率』動向調査(2022年)」によると、群馬県の中小企業の後継者不在率は53.9%でした。
後継者不在のまま社長が引退時期を迎えれば、会社は廃業せざるを得ません。同社の「群⾺県内企業『休廃業・解散』動向調査(2023年)」によると、2023年に休廃業・解散した群馬県の企業は977社でした。
すべてが後継者不在を理由とする休廃業・解散であったかどうかは明らかではありませんが、多くの企業が該当するものと推察されます。この後継者不在で事業承継ができない問題は、全国的な課題です。
昨今は、その解決手段として、M&Aによる第三者への事業承継が着目されています。M&Aで会社売却すれば、買い手が後継者(新たな経営者)となって事業承継が実現し、会社は存続できるのです。
群馬県では、県内中小企業の事業承継準備を促すため、各関係機関が積極的な施策を行っています。群馬県内の商工会議所と金融機関は連携協定を結び、全県規模で事業承継の支援体制を整えているのです。
県や市町村などの自治体側も、中小企業の事業承継を後押しするためにプッシュ型の支援事業を進めています。レコフの調査によると、2022年の群馬県のM&A件数は過去最高となる32件でした。今後も中小企業のM&Aは増加する見込みです。
後継者不在率は過去最低を記録(改善傾向)
2024年における群馬県の後継者不在率は51.8%で、前年比2.1%の減少が見られました。なお、2023年は53.9%、2022年は58.0%で、2024年は過去最低を記録しています(改善傾向)。
参考:帝国データバンク「全国「後継者不在率」動向調査(2024 年)」
休廃業件数が増加
民間の信用調査会社の調査によると、群馬県内で2023年に休業や廃業、解散した企業は692件となり、前年より45件増加しました。県内で前年を上回るのは3年ぶりです。
業種別では、「サービス業」が最も多く201件に上り、特に「飲食業」は前年より約61%増加するなど、飲食関連の廃業が目立っています。次いで「建設業」が142件、「製造業」が110件となりました。
増加の背景には、新型コロナの5類移行による企業支援の縮小に加え、人件費や原材料価格の高騰が影響しているとみられます。東京商工リサーチ前橋支店は、事業再構築が進まず、生産性向上や利益率の改善が難しい状況が続けば、今後さらに企業の退出が加速する可能性があると指摘しています。
参考:NHK「群馬県内 休廃業した企業は去年692件 3年ぶりに増加」
群馬県企業によるM&A件数
2021年の登録M&A支援機関の報告によると、群馬県企業におけるM&A件数は、譲渡側で40件、譲受側で30件を記録しています。関東地方の他の自治体と比べて最も少ない水準にあることがわかっています。
参考:中小企業庁「M&A支援機関登録制度実績報告等について」
3. 群馬県近郊のM&A・事業承継の案件一覧
群馬県を含む関東・甲信越地域の売却希望案件一覧を紹介します。
【関東地方/ファブレス経営】設計ノウハウを自社で有する精密金属部品製造業
高い技術力・設計ノウハウを有し、複雑な形状の部品でも高精度・高品質に対応可能です。手のひらサイズの部品であれば、難削材も対応可能です。ファブレス経営で、日本外注だけでなく中国外注を活用し、事業を展開しています。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【EBITDA50M/PR支援/広告制作】教育機関向けコンサルティングサービス
教育機関のブランディング、学生募集の支援を実施しています。営業利益率20%と高利益率な点も強みです。突破難度の高い学校法人のキーマンとの接点が豊富にあります。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 5000万円〜1億円 |
総資産額 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡希望額 | 4億5,000万円(応相談) |
譲渡理由 | 事業成長のために譲渡を検討 |
【財務・収益力良好】北関東エリア/総合建設コンサル業
官公庁を中心に測量業務から補償業務まで幅広く受注をしており、県内ではトップクラスの実績を誇っています。有資格者が多く在籍しており、幅広い業務に対応可能です。BS/PL共に健全な財務状況です。
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
営業利益 | 5000万円〜1億円 |
総資産額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡希望額 | 5億円〜7.5億円 |
譲渡理由 | 非公開 |
【財務良好/大手顧客多数】北関東の一般廃棄物収集運搬業
直近3年における平均の実態営業利益は約1,800万円、実態EBITDAは約2,400万円。金融機関からの借入金はなく財務は安定しています。対象エリアでは希少な積替保管の許認可を保有しています。来期において、家庭ごみ収集運搬業務の入札で受託することが出来れば、大きく売上拡大予定です。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
【純資産以下での譲渡】北関東の測量業及び建設コンサルタント業
主に公共事業の測量や都市計画・公園緑地計画及び土木設計などを手掛けています。官公庁発注が主体で近年の受注は堅調に推移しています。技術士、RCCM等資格者の在籍も強みです。永年の業歴から当地での実績が多数です。
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
営業利益 | 1000万円〜5000万円 |
総資産額 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡希望額 | 9,000万円以上(純資産以下) |
譲渡理由 | 後継者不在(事業承継) |
会社売却については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
4. 群馬県のM&A・事業承継の事例
群馬県の企業が対象となったM&A・事業承継の事例を紹介します。
THKによる日本ベアリング桐生のM&A・事業承継
THKは、2024年5月24日の取締役会で、日本ベアリング桐生(群馬県桐生市)の全株式を取得し、子会社化することを決定しました。株式は日本ベアリング(新潟県小千谷市)から取得し、子会社化後は「THK桐生株式会社」に商号変更される予定です。
THKは、LMガイドやボールねじなどの機械要素部品をはじめ、精密機器や自動車部品、免震システムの開発・製造・販売を行う企業です。一方、日本ベアリングはリニアシステムの総合メーカーとして直線運動案内機器を製造しています。
今回の買収の目的は、産業機器事業のさらなる成長を見据え、生産能力を拡充することにあります。
丸の内キャピタルによる日本結晶光学のM&A・事業承継
丸の内キャピタル(東京都千代田区)が管理・運営する「丸の内キャピタル第三号投資事業有限責任組合」は、特別目的会社を通じて、日本結晶光学(群馬県館林市)の全株式を三井金属鉱業から取得することで合意しました。
丸の内キャピタルは、投資事業の管理や運営を行う企業で、日本結晶光学は工業用および学術研究用の光学単結晶とその応用製品を製造・販売しています。
今回の株式取得の目的は、日本結晶光学が持つ強みや企業文化を継承しつつ、丸の内キャピタルの経営ノウハウやグループ企業との協力を生かし、国内外のネットワークを最大限に活用することで、長期的な事業成長を目指すことにあります。
相模屋食料による丸福食品のM&A・事業承継
豆腐製造最大手の相模屋食料は2023年9月15日、民事再生手続き中だった同業の丸福食品から豆腐製造事業を譲り受けたと発表しました。取得額は公開されていません。相模屋は新たに全額出資子会社を設立し、その子会社が丸福食品の製造拠点や従業員を引き継ぎます。今回のM&Aは相模屋にとって11社目の同業買収となります。
相模屋グループは、この子会社に人材を派遣し、生産、販売、物流の一体的な改善を支援します。丸福食品は1969年に創業しましたが、原材料やエネルギー価格の高騰により経営が悪化し、4月に民事再生手続きを申請しました。
相模屋は2012年から経営不振の豆腐メーカーを次々と子会社化し、各地域の伝統的な製造方法を守ることに力を入れています。同社によれば、丸福食品は絹豆腐を使った厚揚げに強みがあるとのことです。
富士紡ホールディングスによる藤岡モールドのM&A・事業承継
2020年1月、富士紡ホールディングスの連結子会社である東京金型が、群馬県藤岡市の藤岡モールドの全株式を取得し完全子会社化しました。なお、取得価額は公表されていません。藤岡モールドは、プラスチック用金型の設計・製造・販売を行っている企業です。
富士紡ホールディングスは、グループとして研磨材事業、化学工業品事業、繊維事業、化成品事業を行っています。その中の化成品事業を行っている東京金型としては、優れた技術力を持つ藤岡モールドを子会社化することで、業績拡大が望めると判断しました。
栃木県のM&A・会社売却・事業承継の最新動向や現状・M&A案件については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
5. 群馬県のM&A・事業承継・会社売却案件を探す3つの手段
群馬県でM&A・事業承継・会社売却案件を探す手段には、以下の方法があります。
- 公的機関・地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
①公的機関・地元の金融機関などに相談する
群馬県でM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段として、公的機関や群馬の地方銀行に相談する方法もあります。
群馬県事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置された公的機関です。旧事業引継ぎ支援センターと旧事業承継ネットワークが2021年4月に統合され、事業承継・引継ぎ支援センターとなりました。
群馬県事業承継・引継ぎ支援センターが行っている業務は、各種事業承継に関する相談と支援、各種士業事務所やM&A専門家の紹介、後継者候補のマッチング(後継者人材バンク)などさまざまです。公的機関ですから、各種相談・支援は無料で利用できます。
群馬県事業承継・引継ぎ支援センター
群馬県事業承継ネットワーク
前述したとおり、事業承継ネットワークの機能は、事業承継・引継ぎ支援センターに統合されました。そもそも事業承継ネットワークとは何かというと、各都道府県の中小企業の事業承継を支援するための連携組織のことです。
地域内の商工団体・金融機関・士業団体・公的機関などが構成メンバーとなり、情報を共有し連携した事業承継支援を行ってきました。
群馬県事業承継ネットワーク
経営承継円滑化法による支援
群馬県では、経営承継円滑化法に基づく以下の支援が、県の判断で行われるようになっています。
- 事業承継税制(法人および個人事業主)
- 金融支援措置
- 所在不明株主に関する会社法の特例
- 遺留分に関する民法の特例
上記の支援に関する問い合わせ先は、群馬県庁産業経済部経営支援課(電話027-226-3339)です。ただし、遺留分に関する民法の特例は、中小企業庁事業環境部財務課(電話03-3501-5803)になります。
群馬銀行
群馬銀行は、事業承継を支援するために、経営者の課題を深く理解し、適切な解決策を提案する取り組みを行っています。後継者不足や株式移転の問題など、企業ごとに異なる課題を整理し、承継の進め方をサポートすることが重要だと考えています。
群馬銀行は、地域経済の発展を支えることを使命とし、今後も事業承継支援に全力で取り組んでいく方針です。
群馬銀行
②M&Aマッチングサイトを活用する
群馬県でM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段として、M&Aマッチングサイトなどを活用する方法もあります。
M&A総合研究所
M&A総合研究所が運営しているM&Aプラットフォームは、精度の高いマッチングシステムサービスに特徴があります。マッチングサイトに登録することで、群馬県だけでなく全国の豊富な案件から最適な相手を探すことが可能です。
Batonz(バトンズ)
日本M&Aセンターの関連会社バトンズが運営するBatonzは、国内最大級規模の支援実績がある小規模企業向けマッチングサイトです。専門家による仲介を受けたい場合は、日本M&Aセンターのサポートが受けられます。
TRANBI(トランビ)
トランビが運営するTRANBIは、国内最大級規模の案件数を持っているのが特徴です。全国の金融機関や専門家などと提携することにより、特に事業承継支援に注力しています。
M&Aサーチ(VANDDD)
VANDDD(バンド)が運営しているM&Aサーチは、M&A・事業承継の売却案件を探すこととともに、売却側が業務を依頼したいM&Aアドバイザーを探せるマッチングサイトです。
③M&A仲介会社に相談する
M&A仲介会社は、売却企業と買収企業の双方と契約し、中立的な立場で交渉をまとめる役割を担います。仲介型の支援形式を採用し、初期相談から相手企業の選定、スケジュール管理、企業価値評価、必要書類の作成まで、一貫したサポートを提供するケースが一般的です。
M&A仲介会社を利用する最大のメリットは、多くの候補企業の中から最適な交渉相手を見つけられることです。売却・買収の双方が納得できる企業を探しやすく、満足度の高いM&Aが実現しやすくなります。
また、M&Aに不慣れな企業でもスムーズに進行できるよう、実務面の支援を提供します。さらに、相手企業とのコミュニケーションを仲介することで、情報の整理や伝達が円滑になり、M&A成立の可能性が高まる点も大きな利点です。
6. M&A仲介会社を選ぶ5つのポイント
群馬でM&A仲介会社を選ぶ際、特に押さえておくべきポイントを5つご紹介します。
①該当する分野の専門的知識・M&A実績がある
M&Aは担当する業種などによって必要な対応が変わってきます。依頼する仲介会社が、どのような業種の仲介実績を持っているか確認することが重要です。
②同様の案件規模・地元企業のM&A実績がある
M&Aは業種だけでなく、案件規模や地域によっても求められる知識が変わります。群馬県で自社と同規模の案件実績があるか、群馬県の各種専門家とネットワークがあるかなども確認が必要です。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&A仲介では、資格よりも経験によって得られる知識が重要です。仲介会社や担当者が、どの程度M&Aの経験があるかも確認すべきでしょう。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
仲介会社に依頼する際、手数料の価格は気になるポイントですが、価格だけでなく、シンプルな報酬体系かどうかも選ぶポイントです。報酬体系が複雑だと、思わぬコストがかかり費用計画に誤算が生じるかもしれません。
⑤担当スタッフの対応・相性が良い
仲介会社に依頼する際は手数料も気になるところですが、同等に重要なポイントが、担当者の対応性と相性です。M&A仲介は担当者との信頼関係が結果と満足度を大きく左右します。事前にしっかりとコミュニケーションを図り、相性を見極めておくことが大事です。
M&A仲介については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。
7. 群馬県のM&A・事業承継まとめ
本記事では、群馬県におけるM&Aおよび事業承継の現状について詳しく解説しました。
県内の中小企業が抱える課題や、地域特有の事情に合わせたM&Aの戦略についても触れています。また、成功事例や失敗を防ぐポイントについても具体的な事例を交えて紹介しました。
これからM&Aや事業承継を考えている企業にとって、本記事が少しでも役に立つ情報源となれば幸いです。
8. 群馬県の成約事例一覧
9. 群馬県のM&A案件一覧
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