2022年06月08日更新
ゴルフ場のM&A・買収・売却の動向!事例11選、価格が急上昇する理由も紹介【倒産情報あり】
この記事では、ゴルフ場のM&A・売買・買収・売却(譲渡)について分析しました。ゴルフ場におけるM&A・売買・買収・売却の動向やメリット、実施する場合の流れなど、会員権・相場価格・アコーディアやPGMの事例情報などとともに解説します。
目次
1. ゴルフ場業界とは
ゴルフ場業界の定義
ゴルフ場とは、ゴルフ競技を行える施設を営んでいる事業所のことです。具体的な定義として、以下のいずれかを満たしている必要があります。
- ホール数が18ホール以上で、コースの総延長をホール数で除した数値が100m以上
- ホール数が9ホール以上18ホール未満で、ホールの平均距離が150m以上
ゴルフ場は以下のタイプに大別されます。
- シーサイドコース:海岸の近くに造られたコース。リンクスコースともいう。
- インランドコース:内陸部に造られたコース。日本に多い。
ゴルフクラブ、カントリークラブなどと名乗っているゴルフ場もありますが、そこに特別な区分けはありません。カントリークラブにおける本来の意味は、ゴルフ、乗馬、ポロ、テニス、水泳など多くのスポーツを自然環境の中でプレーできる場のことです。
したがって、ゴルフしかできないゴルフ場がカントリークラブと名乗るのは、日本における誤用といえるでしょう。
ゴルフ場業界に見られる特徴
ゴルフ場における運営上の特徴は2つです。まず、顧客ターゲットの違いにより、コースの設計内容が分かれます。
初心者を含めた幅広いゴルフ愛好者に向けたゴルフ場は、プレー難易度の低いコース設計がされたレジャー用のゴルフ場です。一方、上級者用、あるいはプロゴルフプレイヤーの大会に使用されることを想定し、プレー難易度が高く設計された競技(大会)用のゴルフ場もあります。
もう1つの特徴は、運営の仕組み上における違いです。以下の2種類があります。
- メンバーシップコース:会員制のゴルフ場。会員は会員権を購入し、それを資金にゴルフ場が造られ運営されている。会員の同伴・紹介がなければ非会員はプレーできない。ゴルフ場のほとんどを占める。
- パブリックコース:基本的に会員の概念がないゴルフ場。特定人物への優遇措置はなく、誰でも平等にプレーできる。公営ゴルフ場で取られる運営形態。
ゴルフ場業界の歴史
ゴルフ場業界の歴史を知ることは、今後におけるゴルフ場業界の動向や、ゴルフ場をM&A・売買する際の重要性を理解するうえで役立つでしょう。ゴルフ場業界の歴史を押さえるうえでのポイントは、以下です。
- バブル時代に激増
- バブル終了後に経営破綻が続出
- 2000(平成12)年以降も縮小傾向
バブル時代に激増
ゴルフ場の歴史をひもといていくと、現在のゴルフ場がどういった局面に立たされているかがわかります。ゴルフ場は、バブル期(1986(昭和61)年~1991(平成3)年)に激増しました。
それ以前は、ゴルフといえば「企業の接待」といったイメージがつくほど、企業における接待の場としてゴルフ場が使用されていました。
バブル景気に突入すると、企業の活動が活発化し、企業の接待という側面を持っていたゴルフプレー人口が増加します。1990年代に、2,000以上のゴルフ場が日本国内に誕生し、それに伴ってゴルフ会員権も高値で売買されるようになりました。
バブル終了後に経営破綻が続出
バブルが崩壊した後、高値で販売されていたゴルフ会員権の価格相場は急落し、接待としてゴルフを利用する企業も減少していきました。それから年を増すごとにゴルフプレー人口も減っていき、それに伴って経営破綻してしまうゴルフ場も増加しています。
2000年以降も縮小傾向
その後、ゴルフ場の市場規模は縮小傾向です。日本国内のゴルフプレー人口は、2000年以降年々減少しており、バブル期に増加していたゴルフ場の数も同様に減少しています。
ゴルフ場を運営してきた会社の倒産は少なくありませんが、倒産したゴルフ場の中でも、経営を立て直せそうなところは、M&Aで再生を図っている状況です。
ゴルフ場業界の市場規模
経済産業省が2020(令和2)年3月に発表した資料「令和元年度 商取引・サービス環境の適正化に係る事業(個別スポーツの需要喚起策可能性調査)報告書」によると、ゴルフ場の市場規模は、2018(平成30)年において、8,540億円となっています。
ゴルフ用品は3,430億円、ゴルフ練習場は1,240億円の市場規模ですが、いずれにしても、ゴルフ場の市場規模は減少傾向です。特に、1996(平成8)年の市場規模と比較すると、当時は1兆7,630億円なので22年間でほぼ半減しています。
現在の市場規模が縮小している主な原因は、「ゴルフプレー人口の減少」と「プレー単価の減少」でしょう。ただし、この数年間における市場規模は、横ばいに近い緩やかな減少なので、現状から大きく数値を減らす事態にはならないと予測されます。
ゴルフ場業界の現状
ここからは、ゴルフ場業界の現状を説明します。ゴルフ場業界を取り巻く環境・経営状況を把握することで、ゴルフ場のM&A・売買動向を深く理解することが可能です。ゴルフ場の現状によって、M&A・売買の相場価格にも変化が出てきます。
ゴルフ場業界の現状を知るために押さえるべきポイントは以下の2点です。
- 会員の高齢化
- インバウンドの取り込み
会員の高齢化
ゴルフ場の現状として、「会員の高齢化」が挙げられます。企業の接待目的で利用者が増え続けたバブル期をピークに、ゴルフのプレー人口は減少しました。特に、若年層のゴルフ離れが進んでおり、会員権を持つゴルフ会員の多くが高齢者です。
ゴルフ場の市場規模を回復させるためには、若年層のゴルフプレー人口を伸ばすことが求められます。ゴルフ場運営会社の中でも大手企業であるPGMホールディングスは、若年層のゴルファーを育てようと動いている状況です。
若年層のゴルファーもトーナメントに出られるようにするなど、業界を変えようとしています。
インバウンドの取り込み
バブル期に多数のゴルフ場が建設されたと説明しましたが、実は、日本のゴルフ場・ゴルフインフラは、世界屈指ともいわれています。日本のゴルフ場数は、アメリカに次いで世界で2番目に多いのです。
逆にいえば、多くのゴルフ場があるにもかかわらず、利用されていない状況になります。そこで、海外からの観光客をゴルフ場に誘致することで、日本が持つゴルフ場の資源を活用しようとする動きがあるのです。
他の業種と同様に、インバウンド需要を増やすことが実現すれば、ゴルフ場の市場を再び活性化させられるでしょう。
2. ゴルフ場のM&A・買収・売却動向
ここでは、近年のゴルフ場を取り巻くM&A・売買動向がどのようになっているのか、ゴルフ場におけるM&A・売買の相場価格はどのくらいなのか、以下のポイントをチェックします。
- ゴルフ場の売買価格が急上昇?
- 単一ゴルフ場の破綻・売却
- 大手の寡占化
①ゴルフ場の売買価格が急上昇?
近年におけるゴルフ場のM&A・売買価格は急上昇しています。ゴルフ場事業の拡大を積極的に推し進めようとしている企業や、ゴルフ場のM&A関係者が増加し、ゴルフ場の買収希望者・新興勢力が多い状況になっているからです。
ゴルフ場を買収しようと考えている新興勢力の中には、ゴルフ場のM&A・売買における相場価格を無視した買収価格を提示するところもあります。これにより、ゴルフ場のM&A・売買価格は急上昇しているのです。
したがって、ゴルフ場を売却するのであれば、高額な売却が狙える可能性があります。
②単一ゴルフ場の破綻・売却
ゴルフ場のM&A・売買動向として、単一ゴルフ場の破綻・売却が見られます。グループを形成しているゴルフ場よりも、単一であるゴルフ場の方が経営が難しいのです。
単一ゴルフ場が売却を希望する例も多く、他業種企業による買収や外国系企業による買収、また個人的な買収も見られます。
他業種企業による買収
近年は、他業種の新興勢力によるゴルフ場の買収が目立ちます。たとえば2017(平成29)年には、「近鉄グループ」「東京建物グループ」「産経観光グループ」といった他業種企業のゴルフ場買収がありました。
したがって、ゴルフ場売却を行う際は、他業種企業が買い手になることも視野に入れて相手探しを進めましょう。
外国系企業による買収
ゴルフ場のM&A・売買動向として、外国系企業のゴルフ場買収も目立ってきました。特に有名なのが、アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスによる国内ゴルフ場の買収です。
利益改善を図るために、積極的にM&Aによるゴルフ場買収を行っている会社はいくつかあるので、売却の際は相手が見つかりやすいでしょう。
個人的な買収も
近年におけるゴルフ場のM&A・売買動向として、個人的な買収も見られます。たとえば、プロゴルファーである石川遼選手の母親が社長を務めるケーアイ企画が、福島県の老舗コースである「棚倉田舎倶楽部」を買収しています。
M&Aでゴルフ場を売却する場合は、個人が買い手候補になることもあるのです。多いケースではありませんが、幅広いネットワークで売却先を探すのが良いでしょう。
③大手の寡占化
近年におけるゴルフ場のM&A・売買動向として指摘されるのが、「大手による寡占化」です。ここでいう大手とは、「アコーディア・ゴルフ」と「PGMホールディングス」になります。
アコーディアとPGMの2社がリーディングカンパニー
国内ゴルフ場における市場では、アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスの2社がリーディングカンパニーです。
アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスは、もともとは外資系ファンドの傘下で、外資系ファンドが持つ巨額の資金を利用して、バブル期をピークに「ゴルフプレー人口の減少」や「プレーフィーの下落」に伴い経営状況が悪化したゴルフ場を買収し、再生させてきました。
その結果、ゴルフ場の保有・運営数は、アコーディア・ゴルフとPGMホールディングスがそれぞれTOP2となっており、実質的な寡占状態です。
アコーディア・ゴルフ vs PGMホールディングス
2014(平成26)年まで、ゴルフ場保有数1位は「アコーディア・ゴルフ」、2位が「PGMホールディングス」でした。しかし、ゴルフ場所有数2位のPGMホールディングスがアコーディア・ゴルフに対して、敵対的TOB(株式公開買付)を仕掛けたことから、この順位に変動が起こります。
アコーディア・ゴルフは、PGMホールディングスから仕掛けられたTOBの対抗策として、「スコーチド・アース(焦土作戦)」を実施しました。「スコーチド・アース」とは、優良資産や収益性のある事業を売却して、企業価値を下げる手法のことです。
アコーディア・ゴルフが「スコーチド・アース」を実施し、その当時アコーディアが保有していた133コースにおけるゴルフ場のうち90コースを、アコーディア・ゴルフが設立した特別目的会社(SPC)へ売却しました。
アコーディア・ゴルフが「スコーチド・アース」を行って、保有するゴルフ場の半数以上を売却したことで、PGMホールディングスにとってはアコーディア・ゴルフを買収・経営統合する魅力がなくなります。
TOB・経営統合をめぐるアコーディア・ゴルフとPGMホールディングスの戦いによって、ゴルフ場の保有・運営数は、PGMが1位、アコーディアが2位へと入れ替わりました。
その後、アコーディア・ゴルフは、投資ファンドであるMBKパートナーズの傘下におけるMBKP Resortの完全子会社となり、PGMホールディングスは、パチンコメーカーである平和の完全子会社となっています。
ゴルフ場業界はM&Aが活発です。買い手は大手企業から個人までさまざまなので、ゴルフ場を売却したいのであれば、幅広いネットワークで相手を探し、できるだけメリットが多い相手を見つけ、適切な金額で譲渡しましょう。
そして、そのためには、実力あるM&A仲介会社のサポートを受けることをおすすめします。
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3. ゴルフ場のM&A・買収・売却事例11選!
ここでは、ゴルフ場のM&A・売買事例を掲示します。過去に、どのようなゴルフ場のM&Aが行われてきたのか、売却価格はどのくらいなのかなど、チェックしてください。
- マミヤ・オーピーのM&A
- パシフィックゴルフマネージメントのM&Aその1
- パシフィックゴルフマネージメントのM&Aその2
- パシフィックゴルフマネージメントのM&Aその3
- 太子ゴルフ観光のM&A
- 市川興業のM&A
- サクセスファクトリーのM&A
- ゼクスのM&Aその1
- ゼクスのM&Aその2
- 東京建物のM&A
- ライオンゲインのM&A
①マミヤ・オーピーのM&A
時期 | 2022年3月 |
売却側 | シャフトラボ |
買収側 | マミヤ・オーピー |
対象ゴルフ場 | なし |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
まずは、ゴルフ関連のM&A事例です。マミヤ・オーピーは、イーシー都市開発からゴルフシャフトの製造や販売などを手掛けるシャフトラボの全株式を得て、子会社とすることを決めました。
マミヤ・オーピーは、カーボンシャフト事業にスポーツ事業の経営資源を集中し、グローバルマーケティングの強化などを図り、企業価値を向上させるためにシャフトラボにおける株式のすべてを取得します。
②パシフィックゴルフマネージメントのM&Aその1
時期 | 2021年10月 |
売却側 | 東茨城ゴルフ |
買収側 | パシフィックゴルフマネージメント |
対象ゴルフ場 | オールドオーチャードゴルフクラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
M&Aの対象となったゴルフ場は、大林組の100%子会社である茨城グリーン開発が運営していました。今回のM&Aにあたって、ゴルフ場事業のみを譲渡するために東茨城ゴルフを新設して会社分割し、その東茨城ゴルフをパシフィックゴルフマネージメントが買収しています。
なお、パシフィックゴルフマネージメントは、平和の100%子会社です。
③パシフィックゴルフマネージメントのM&Aその2
時期 | 2020年12月 |
売却側 | ゴルフプロパティーズ1 |
買収側 | パシフィックゴルフマネージメント |
対象ゴルフ場 | 石岡ゴルフ倶楽部 南市原ゴルフクラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
M&Aの対象となったゴルフ場は、アコーディア・ゴルフの100%子会社であるアコーディアAH02が運営してきました。
今回のM&Aにあたって、ゴルフ場事業のみを譲渡するために、ゴルフプロパティーズ1を新設して会社分割し、その新設会社株式を譲渡する手法が取られています。
④パシフィックゴルフマネージメントのM&Aその3
時期 | 2020年12月 |
売却側 | ゴルフプロパティーズ2 |
買収側 | パシフィックゴルフマネージメント |
対象ゴルフ場 | 武蔵ゴルフクラブ きみさらずゴルフリンクス |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
M&Aの対象となったゴルフ場は、Green Golf Managementの100%子会社であるネクスト・ゴルフ・マネジメントが運営してきました。
今回のM&Aにあたって、ゴルフ場事業のみを譲渡するために、ゴルフプロパティーズ2を新設して当該ゴルフ場事業を会社分割し、その新設会社株式をパシフィックゴルフマネージメントに譲渡する手法が取られています。
⑤太子ゴルフ観光のM&A
時期 | 2020年6月 |
売却側 | 西日本開発 |
買収側 | 太子ゴルフ観光 |
対象ゴルフ場 | 玄海ゴルフクラブ 筑紫野カントリークラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
西日本開発は三菱マテリアルの100%子会社です。三菱マテリアルは西日本開発の全株式を太子ゴルフ観光に譲渡しました。太子ゴルフ観光は、平川商事のグループ会社です。
⑥市川興業のM&A
時期 | 2020年3月 |
売却側 | 宇部72カントリークラブ |
買収側 | 市川興業 |
対象ゴルフ場 | 宇部72カントリークラブ |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 未公表 |
化学製品・建設資材・産業用機械などの製造販売を行っている宇部興産の子会社である宇部興産開発が、その100%子会社である宇部72カントリークラブの株式全てを、市川興業に譲渡したM&Aです。
譲渡決定までは宇部興産開発が直接ゴルフ場を運営していましたが、譲渡のためにゴルフ場運営事業を会社分割しています。宇部興産側は、このM&Aでゴルフ場運営から撤退しました。
株式譲渡価額は未公表ですが、宇部興産はこの孫会社売却にあたり、特別損失として約48億円を計上しました。
⑦サクセスファクトリーのM&A
時期 | 2005(平成17)年1月 |
売却側 | 不二観光開発 |
買収側 | サクセスパーク札幌(サクセスファクトリー子会社) |
対象ゴルフ場 | ゴールド札幌カントリークラブ(旧名:札幌不二ロイヤルゴルフ倶楽部) |
M&Aスキーム | 事業譲渡 |
取得価額 | 未公表(推定10億~12億円) |
このM&Aでは、取得価額は未公表でしたが、ゴルフ場の運営規模から換算し、上表に記載のとおり、10億~12億円と推定されています。
⑧ゼクスのM&Aその1
時期 | 2004(平成16)年10月 |
売却側 | 藤岡ゴルフ倶楽部 |
買収側 | チャーミング・リゾート藤岡ゴルフ倶楽部(ゼクスの孫会社) |
対象ゴルフ場 | チャーミング・リゾート藤岡ゴルフ倶楽部(旧名:藤岡ゴルフ倶楽部) |
M&Aスキーム | 事業譲渡 |
取得価額 | 9億円 |
ゼクスの100%子会社がチャーミング・リゾートであり、そのチャーミング・リゾートが子会社チャーミング・リゾート藤岡ゴルフ倶楽部を設立しました。藤岡ゴルフ倶楽部は、売却と同時期に東京地裁から破産宣告を受けています。
⑨ゼクスのM&Aその2
時期 | 2004年10月 |
売却側 | 関越ハイランドゴルフクラブ |
買収側 | チャーミング・リゾート関越ハイランドゴルフクラブ(ゼクスの孫会社) |
対象ゴルフ場 | チャーミング・リゾート関越ハイランドゴルフクラブ (旧名:関越ハイランドゴルフクラブ) |
M&Aスキーム | 事業譲渡 |
取得価額 | 6億円 |
この買収にあたり、ゼクスの100%子会社チャーミング・リゾートが、子会社チャーミング・リゾート関越ハイランドゴルフクラブを設立しました。
売却側の関越ハイランドゴルフクラブは、上述の事例にある藤岡ゴルフ倶楽部とグループ会社ですが、藤岡ゴルフ倶楽部と同様、売却と同時期に東京地裁から破産宣告を受けています。
⑩東京建物のM&A
時期 | 2004年3月 |
売却側 | 日光泉観光 |
買収側 | 東京建物 |
対象ゴルフ場 | 日光ゴルフパーク:ハレル(旧名:日光インターカントリークラブ) |
M&Aスキーム | 株式譲渡 |
取得価額 | 2億円 |
このM&A時に、東京建物はゴルフ場運営会社ジェイゴルフを設立し、日光泉観光はジェイゴルフの100%子会社となりました。しかし、2009(平成21)年12月、ジェイゴルフは、日光泉観光を含む6社のゴルフ場運営会社全てをアコーディア・ゴルフに株式譲渡しています。
その後、ジェイゴルフは、グループ内における東京建物リゾートとの合併により消滅し、東京建物はこのM&A実行時点でゴルフ場運営事業から撤退しました。
⑪ライオンゲインのM&A
時期 | 2003(平成15)年12月 |
売却側 | 廣済堂開発 |
買収側 | 新たいらカントリークラブ(ライオンゲイン子会社) |
対象ゴルフ場 | 新たいらカントリークラブ(旧名:廣済堂平ゴルフ倶楽部) |
M&Aスキーム | 事業譲渡 |
取得価額 | 16億円 |
このM&A後における2008(平成20)年6月に、新たいらカントリークラブの全株式は、当事、東京都港区にあったイーエムエスの代表者に譲渡され経営体制が変わりました。
しかし、福島県いわき市に位置していた新たいらカントリークラブは、東日本大震災で被災して閉鎖され、現在、その跡地はメガソーラーに転用されています。
4. ゴルフ場をM&A・買収・売却するメリット
ここからは、M&Aを実施してゴルフ場を売却・譲渡したり、買収したりするメリットを解説します。ゴルフ場を売却・譲渡する側のメリット、買収する側のメリット、それぞれに分けて見ていきましょう。
売却・譲渡側のメリット
まずは、M&A・売買によって、ゴルフ場を売却・譲渡する側のメリットです。ゴルフ場を売却・譲渡するメリットには以下の3点が挙げられます。
- 後継者問題が解決する
- 会員権・ゴルフ場を維持できる
- 負債の解消が狙える
後継者問題が解決する
ゴルフ場に限らず、昨今の中小企業では、経営者の高齢化と人材不足に伴って「後継者不在問題」が発生する傾向にあります。経営権を受け継いでくれる後継者がいないため、廃業を余儀なくされるケースも多いです。
M&Aを実施して、ゴルフ場・会社を売却・譲渡できれば、「後継者問題」を解消できます。また、ゴルフ場における従業員の雇用も確保できるのです。
会員権・ゴルフ場を維持できる
M&Aによってゴルフ場を売却・譲渡できれば、「会員権」や「ゴルフ場そのもの」は存続します。ゴルフ場の現状でも説明したとおり、最近はゴルフプレー人口が減少していることに伴って、ゴルフ場の経営も悪化してきました。
ゴルフ場が廃業・倒産してしまえば、ゴルフ場という資産、そして、それに付随する会員権サービスを維持できなくなります。
利用者側にとっては、会員権を持つことでゴルフ場で非会員よりも低価格でプレーができたり、競技大会への参加権を獲得できたりするのがメリットです。この会員権を手に入れるためには、基本的にゴルフ場に対して高額な年会費を支払う必要があります。
ゴルフ場を維持できなければ、高額な年会費を支払った会員・顧客へのサービスを提供できなくなるので、訴訟問題に発展するかもしれません。
しかし、M&Aによってゴルフ場を売却・譲渡して、大手グループの傘下に入れば、会員権・ゴルフ場を維持し、会員へのサービス提供を継続できます。
負債の解消が狙える
M&Aによってゴルフ場・会社を売却・譲渡することで、現在抱えている負債を解消できる可能性があります。ゴルフ場がM&Aによって売却・譲渡されると、少なくとも数億円の売却金額になるでしょう。
ゴルフ場を売却・譲渡した際に受け取る金額を負債返済に使えば、今抱えている負債を解消できます。あるいは、負債そのものを買収側が引き取ってくれるかもしれません。
買収側のメリット
続いて、M&Aによってゴルフ場を買収する側のメリットを説明します。ゴルフ場のM&Aに要する相場価格は、非常に高額です。それにもかかわらず、ゴルフ場を買収する意図を確認しましょう。
- 拠点を増やせる
- 会員を増やせる
- スケールメリットを生かせる
拠点を増やせる
M&Aによってゴルフ場を買収するメリットの1つが、「拠点を増やせる」ことです。ゴルフ場を買収して拠点を増やすと、事業基盤を安定させられるので、利益を増大させたり、コストを削減させたりできるチャンスがあります。
ゴルフ場業界が縮小傾向の中で拠点を増やすことに悩むかもしれませんが、逆に経営が安定することも多いので検討すると良いでしょう。
会員を増やせる
ゴルフ場を買収できれば、単純に「会員権を持つ顧客を増やせる」メリットがあります。会員権を持った会員を増やすことで、ゴルフ市場で自社のシェアを拡大でき、影響力も高めることが可能です。
ゴルフ人口が減っている中、会員を増やせるM&Aでの買収は魅力的といえます。
スケールメリットを生かせる
ゴルフ場のM&Aに限った話ではありませんが、M&Aによって会社を買収することで、スケールメリットを生かせます。「スケールメリット」は「規模の経済」と訳され、収益力の増大・コスト削減のことです。
ゴルフ場を買収すれば、共通する備品をまとめて安く購入できるなど、コストを減らして収益性を高められるでしょう。
5. ゴルフ場のM&A・売却を行う流れ
ここでは、M&Aによってゴルフ場を売却する流れを解説します。ゴルフ場における売却の流れは、以下です。
- ゴルフ場物件実査
- 価格査定と売却目標額の設定
- 買収者募集方式とスケジュールの作成
- 資料を作成し募集開始
- 買収者の決定
- 譲渡条件を確定し契約
①ゴルフ場物件実査
M&Aによるゴルフ場の売却を決めてから、1週間程度で「ゴルフ場の実査」が行われます。この段階で行われるのは、M&Aの対象となるゴルフ場がどれくらいのゴルフ場なのかの調査です。
②価格査定と売却目標額の設定
「ゴルフ場の実査」が完了したら、1~2週間程度で「価格査定と売却目標額の設定」が行われます。「売却目標額」が設定されたら、ゴルフ場売却の相場価格と照らし合わせましょう。
M&Aの売却価格相場を理解しておくことは、M&Aを成功させるコツともいえます。売却相場価格をあまり理解していないままM&A手続きを進めると、相場価格よりも安い値段で売却してしまう危険性があるからです。
ゴルフ場の売却価格相場は、ゴルフ場の規模・会社の規模・企業価値などによって異なります。したがって、一概にいくらと断定できませんが、ゴルフ場M&Aの事例などを確認して、同規模のゴルフ場がいくらで売却されているか確認しておくことが大切です。
③買収者募集方式とスケジュールの作成
次に行われるのが、「買収者募集の決定」と「スケジュールの作成」です。ここまでで、1カ月程度かかるでしょう。
④資料を作成し募集開始
「スケジュールの作成」が完了したら、必要資料を作成し、いよいよ購入者の募集を開始します。
⑤買収者の決定
ゴルフ場の売却・譲渡価格に納得し、他の条件も理解してくれる買収希望者が見つかったら、ゴルフ場における売却先の決定です。
⑥譲渡条件を確定し契約
ゴルフ場の売却先が決定したら、さまざまな細かい条件を確定したうえで、その内容を反映した売却・譲渡契約書を作成します。全ての条件が成立し契約が締結されたら、ゴルフ場を売却先に引き渡してゴルフ場のM&Aが完了です。
6. ゴルフ場の倒産情報
ゴルフ場は倒産することも多い業界です。最後に、ゴルフ場の倒産情報を見ていきましょう。「民事再生法を申請したゴルフ場」と「売却されたゴルフ場」に分けて紹介します。
民事再生法を申請したゴルフ場
近年におけるゴルフ場市場の動向・市況などが影響して、民事再生法を申請するゴルフ場が増えてきています。一例として、2018(平成30年)に民事再生法を申請したゴルフ場は、以下4つです。
- 鳳凰ゴルフ倶楽部
- 児玉カントリー倶楽部
- 鳩山カントリークラブ
- 四街道ゴルフ倶楽部
売却されたゴルフ場
続いて、2018年に売却されたゴルフ場をまとめます。売却されたゴルフ場と、そのゴルフ場を取得した会社は以下です。
- 【売却ゴルフ場】麻生カントリークラブ :【取得企業】アコーディア・ゴルフ
- 【売却ゴルフ場】富士の杜ゴルフクラブ :【取得企業】アコーディア・ゴルフ
- 【売却ゴルフ場】宇津峰カントリークラブ : 【取得企業】アコーディア・ゴルフ
- 【売却ゴルフ場】安達太良カントリークラブ : 【取得企業】グリーンドリーム
ゴルフ場は倒産することもあるので気をつけなければなりません。M&Aの際は、ゴルフ場が倒産しないよう経営戦略もしっかり考えておきましょう。
7. ゴルフ場のM&A・買収・売却まとめ
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