2023年12月26日更新
ドラッグストアのM&A動向と事例を紹介!行われる背景と成功のポイントとは?
生活に欠かせないドラッグストアですが、人材不足や後継者不足などでM&Aが行われることも多い業界です。本記事では、ドラッグストア業界のM&A動向や売却・買収・譲渡事例・買収に積極的な会社をまとめました。ドラッグストア業界でM&Aを成功するポイントもあわせて紹介します。
目次
1. ドラッグストア業界の現状
まずは、ドラッグストア業界の実情やM&Aの定義を見ていきましょう。
ドラッグストア業界とは
ドラッグストアとは、医薬品を中心に食品・日用品・化粧品などを販売している店舗をさします。近年は、調剤薬局を併営するドラッグストアも増えてきました。
ドラッグストア業界の大きな特徴は、食品や日用品などを他業態よりも安く販売することで集客し、利益率の高い医薬品で収益を上げるビジネスモデルである点です。ただし、改正されることの多い薬事法による規制への対応など、柔軟な経営が必要な業界でもあります。
ドラッグストア業界の歴史・変遷
近年、ドラッグストア業界に影響を与えた主な法改正として、以下の3つが挙げられます。
- 2009(平成21)年の薬事法改正:一般用医薬品(医師の処方箋がいらない薬)のコンビニにおける販売解禁
- 2013(平成25)年の薬事法改正:第一類医薬品、第二類医薬品のインターネット販売解禁(従前は薬剤師による対面販売が義務)
- 2017(平成29)年のセルフメディケーション税制導入:特定の医薬品購入額における所得控除制度
セルフメディケーション税制における特定の医薬品とは、スイッチOTC医薬品(薬局やドラッグストアなどで自由に買えるように転用された一般用医薬品と要指導医薬品)のことです。2021(令和3)年12月では、2,550種類の医薬品が指定されています。
一例として、頭痛薬の「バファリン」、風邪薬の「パブロンS」、胃薬の「ガスター10」などです。2022(令和4)年1月1日からは、非スイッチOTC医薬品3,457種類が対象に追加されました。
ドラッグストア業界の現状
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会の「2022年度版 日本のドラッグストア実態調査(速報版)」によると、2022(令和4)年度におけるドラッグストア業界の推計市場規模は8兆7134億円、全国総店舗数は22,084店でした。
2020年度におけるドラッグストア業界の推計市場規模は8兆363億円なので、約8.4%増加したことになります。2022年度におけるドラッグストア業界の推計総売上高における販売カテゴリーの構成比は以下のとおりです。
- 調剤・ヘルスケア:32.7%
- フーズ・その他:27.6%
- ホームケア:21.7%
- ビューティーケア:18.0%
ドラッグストア業界の抱える問題・課題
どの業界でも人材不足が叫ばれていますが、ドラッグストア業界の場合、薬剤師不足が課題です。薬剤師獲得を目的にしたM&Aが、今後も続いていくでしょう。ドラッグストア業界における業績拡大のチャンスになり得るのが、先述したセルフメディケーション税制です。
一般に広く認知されているとはいい難いセルフメディケーション税制を、納税者である国民に対して広範に知らせるなどのキャンペーンを行うことで、セルフメディケーション税制の活用者が増えれば、ドラッグストア業界の売上増につながります。
また、近年の積極的な出店や日本の人口減少の影響により、ドラッグストアの店舗過剰も課題となるでしょう。特に都市部では出店余地が減少しており、今後は積極的な店舗拡大は難しくなっていくと考えられます。
2. ドラッグストア業界のM&A動向
ドラッグストア業界のM&A動向は、以下のように推移しています。
- 市場規模は約20年で大きく拡大
- 業界の成長率に合わせてM&Aも増加
- 大手グループによるエリア拡大目的のM&Aが増加
- 大手同士の業務提携も増加
①市場規模は約20年で大きく拡大
ドラッグストア業界の市場動向は約20年間で大きく変化し続け、市場規模の拡大に合わせて、大手ドラッグストア企業は新規出店やプライベートブランドの開発などにより成長してきました。
しかし、薬事法の改正やドラッグストア数の飽和など業界動向の変化により、近年はドラッグストア市場の伸びが鈍化しています。
②業界の成長率に合わせてM&Aも増加
ドラッグストア業界の成長が鈍化し始め、好条件の新規出店場所も限られてきたことから、各大手ドラッグストア企業は、M&Aによるシェア拡大戦略を積極的に行っています。
一方、中小ドラッグストア企業は、成長の鈍化により業績が厳しいことから、M&Aによる売却・譲渡が増加中です。
③大手グループによるエリア拡大目的のM&Aが増加
ドラッグストア業界では、コンビニエンスストア業界と同じく、大手各社によるドミナント戦略が一般化しています。
営業エリアに店舗を複数配置し他社の参入を妨げることで市場占有率を高めるドミナント戦略を、他社に先駆けて進めるため、M&Aによるエリア拡大競争が激しくなるでしょう。
④大手同士の業務提携も増加
近年、ドラッグストア業界は再編動向が激しくなっています。ドミナント戦略で他社に差をつけるには、業界シェアの確保が必須であるため、大手ドラッグストア企業は業務提携などにより業界順位の上昇を狙っています。
3. ドラッグストア業界のM&Aが行われる背景
ドラッグストア業界では、以下の理由でM&Aが行われています。
- 深刻な人材不足による影響
- 薬事法の改定を受けたエリア拡大
- 小規模店舗の後継者不足と経営難
- 新規事業に投資したい
- 売却益を得たい
①深刻な人材不足による影響
ドラッグストア業界では、他社と差別化するために、調剤薬局を併設した店舗が増えてきました。一般用医薬品を販売するため、販売登録者資格を持った人材の需要が高い業界でもあります。
しかし、これらのサービスを行うための薬剤師や登録販売者資格の保有者数が不足している状況です。したがって、ドラッグストア業界では人材確保目的のM&Aによる買収が行われています。売却・譲渡側も、売り手市場のドラッグストア業界で、従業員の雇用維持目的で売却・譲渡を行うケースがあります。
②薬事法の改定を受けたエリア拡大
2006(平成18)年に薬事法の改定が決定してから、他業界との競争が激化することを予測したドラッグストア業界では、大手ドラッグストア企業同士のM&Aや中小ドラッグストア企業の取り込みによる規模拡大が活発に行われるようになりました。
その効果もあって、2009年の改正薬事法施行後も、大手ドラッグストア企業は成長を続けています。しかし、今後の薬事法(薬機法)改定に伴う他業界との競争激化に備え、大手ドラッグストア企業は専門性を強化中です。
③小規模店舗の後継者不足と経営難
大手ドラッグストア企業が規模を拡大していく中、小規模の薬局数は年々減っています。
大手ドラッグストアへの売却・譲渡需要が高いこともあって、後継者不在や経営難により事業継続が難しい小規模の薬局は、廃業ではなく大手ドラッグストアへの売却・譲渡を選ぶケースが増えているでしょう。
④新規事業に投資したい
新規事業をスタートさせる際、既存事業をM&Aで売却することで投資資金を捻出することができます。
M&Aであれば事業を存続させたまま他社へ売却することができます。売却益をそのまま新規事業に投資することができ、より良いスタートダッシュを切ることが可能です。
⑤売却益を得たい
M&Aを行う大きな理由の1つに、売却益を得ることが挙げられます。
例えば、経営から退く経営者の老後資金のためにM&Aを行い売却益を得るケースがあります。ハッピーリタイアメントを行うためのM&Aとしてドラッグストア事業の売買が盛んに行われています。
4. ドラックストア業界のM&Aのデメリット
この章では、ドラッグストア業界におけるM&Aのデメリットを見ていきましょう。売却側と買収側に分けて紹介します。
売却側のデメリット
売り手側のデメリットは、主に4つです。
1つ目は、労働条件の悪化や人員整理が行われる可能性がデメリットとして挙げられます。2つ目のデメリットは、経営統合により業績が悪化してしまう可能性です。
3つ目のデメリットは、経営上における権限や裁量が制限されることもあるでしょう。4つ目のデメリットは、元経営者や元役員が新しい事業を行う場合、競業避止義務により事業展開を制限される可能性です。
買収側のデメリット
買収側の主なデメリットは、3つ挙げられます。
1つ目のデメリットは、経営統合が成功するかどうかの不確実性が高く、M&Aに失敗すると大損失となる点です。2つ目のデメリットは社風や労働条件が変化することで、従業員のモチベーションが下がったり離職が生じたりして、経営統合に支障が出る可能性がデメリットになります。
3つ目のデメリットは、売り手側が持つリスクなどを引き継いでしまうケースがあることです。ここでいうリスクとは、残業代未払いによる訴訟などです。
5. ドラックストア業界のM&Aを成功させるポイント
ドラッグストア業界でM&Aを成功させるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
- 地域性に強みを持っている
- 人材を多く雇用している
- サービス面の充実
- 将来を見据えたM&A先の選定
- M&Aの専門家に相談
①地域性に強みを持っている
ドラッグストアは立地が重要なので、買収側は好立地の店舗を優先的に買収します。M&Aによる売却・譲渡の際は、立地や地域性に優位性を持っていると、好条件での売却・譲渡が可能です。
②人材を多く雇用している
慢性的な人材不足、特に有資格者の人材が不足しているドラッグストア業界では、人材確保目的の買収も多く見られます。薬剤師や登録販売者などの有資格者を多く雇用しているかどうかも、M&Aによる売却・譲渡を成功させるポイントの1つです。
③サービス面の充実
ドラッグストア業界では、他社との差別化のために付加価値のあるサービスを各社が開発・提供するのが常です。専門性の高いサービスをM&Aにより取得するケースもあります。専門性があり付加価値の高いサービスを提供している場合は、M&Aによる売却・譲渡も有利です。
④将来を見据えたM&A先の選定
買収側は、今後の薬事法(薬機法)改定や、他のドラッグストア企業、他業界の動きを見据えて買収地域や店舗を選ぶ必要があります。
売却・譲渡側は、売却後における従業員の処遇、リタイアする場合は自身の生活、新事業を始める場合は資金や競業避止義務などに注意して、売却・譲渡を行うことが重要です。
⑤M&Aの専門家に相談
ドラッグストア業界の買収や売却・譲渡では、M&Aに関する幅広い知識や、ドラッグストア業界に関する専門知識が必要です。最適な買収、売却・譲渡先を見つけるための情報ネットワークも不可欠といえるでしょう。
M&A専門家の中には、ドラッグストア・調剤薬局の売買を専門に扱う専門家や、医療関係のM&Aを得意とする専門家もいます。最適な戦略を立てるために、まずはM&A仲介会社などに相談してみることも成功ポイントの1つです。
6. ドラッグストア業界のM&A・売却・譲渡事例一覧【2022年最新版】
ここからは、ドラッグストア業界のM&A・売却・譲渡事例を見ていきましょう。
ドラッグストア業界M&A・売却・譲渡事例【2022年最新版】
ドラッグストア業界のM&A・売却・譲渡最新事例を順次、紹介します。
- マツキヨココカラ&カンパニーによるグループ内の組織再編
- ウエルシアHDによるコクミンとフレンチとの資本業務提携
- クスリのアオキによるホーマス・キリンヤとフードパワーセンター・バリューとのM&A
- ウエルシアホールディングスによるププレひまわりとのM&A
- ナルックスによるスーパーマルモとのM&A
- アインホールディングスによるエス・ケー・ファーマシーとのM&A
- ココカラファインによる薬宝商事とのM&A
- ココカラファインとマツモトキヨシホールディングスの経営統合
- ウエルシアホールディングスによる金光薬品とのM&A
- アインホールディングスによる土屋薬品とのM&A
- ウエルシア薬局による一本堂とのM&A
- ツルハホールディングスによる広島中央薬局とのM&A
マツキヨココカラ&カンパニーによるグループ内の組織再編
2022年2月、マツキヨココカラ&カンパニーは、グループ内における組織再編の実施を決めました。MCCマネジメントが承継会社です。
マツモトキヨシグループが有するエムケイプランニング、マツモトキヨシ保険サービス、マツモトキヨシホールセールと、ココカラファイングループが持つシーエフエナジー、ココカラファインソレイユ、ココカラファインアソシエ、ココカラファインフリュアヴァンスにおけるすべての株式を吸収分割します。
完全子会社間で行う吸収分割なので、MCCマネジメントは対価を交付しません。これにより、営業企画・運営支援機能などをMCCマネジメントに集約し、シナジー効果の創出とグループ全体における経営の効率化を狙います。
ウエルシアHDによるコクミンとフレンチとの資本業務提携
2022年1月、ウエルシアホールディングスは、コクミンとフレンチの株式を得て、資本業務提携することを決めました。議決権所有の割合は、コクミンが76.26%でフレンチが100%です。
ウエルシアHDとグループは、調剤併設型ドラッグストアチェーンの運営を手掛ける子会社とグループ会社の経営管理などを実施しています。コクミンは、薬局、薬店の経営、フレンチは薬局の経営を行っており、両社ともに大阪府の会社です。
これにより、ウエルシアHDは、全国へ出店網を広げ、ノウハウや人材などの経営資源を共有してさらなる経営規模拡大と経営体質強化を狙います。
クスリのアオキによるホーマス・キリンヤとフードパワーセンター・バリューとのM&A
2022(令和4)年1月、クスリのアオキホールディングスは、100%子会社であるクスリのアオキがホーマス・キリンヤおよびフードパワーセンター・バリューと吸収合併することを発表しました。クスリのアオキが存続会社で同年3月に実施予定です。
対価は現金ですが金額は公表されていません。クスリのアオキはドラッグストアおよび調剤薬局を運営しています。ホーマス・キリンヤはスーパーマーケットの運営、フードパワーセンター・バリューはディスカウントストアの運営を行っている企業です。
ホーマス・キリンヤとフードパワーセンター・バリューは、ともに岩手県で事業を行っており、クスリのアオキホールディングスは、東北地域におけるドミナント強化を見込みます。
ウエルシアホールディングスによるププレひまわりとのM&A
2021年12月、ウエルシアホールディングスは、ププレひまわりとの資本業務提携契約に基づいて出資し同社を子会社化しました。取得株式数や取得価額は公表されていません。ウエルシアホールディングスは、調剤併設型ドラッグストアチェーンの運営を行うグループの持株会社です。
ププレひまわりは、広島県を中心に中国・四国地方で123店舗のドラッグストアを運営しています。ウエルシアホールディングスは、中国四国地方のドミナント強化を実現しました。
ナルックスによるスーパーマルモとのM&A
2021年6月、ナルックスは、スーパーマルモとの間で吸収分割を行い、スーパーマルモが茨城県で行ってきたスーパーマーケット事業などを承継しました。分割対価は公表されていません。
クスリのアオキホールディングスにおける子会社のナルックスは、石川県で食品スーパーマーケット、 ドラッグストアを運営しています。このM&Aは、クスリのアオキホールディングスにおける茨城県のドミナント強化として行われました。
アインホールディングスによるエス・ケー・ファーマシーとのM&A
2021年3月、アインホールディングスとエス・ケー・ファーマシーは資本業務提携を締結しました。契約内容に基づき、アインホールディングスがエス・ケー・ファーマシーに出資し、20%の株式を取得しています。取得価額は公表されていません。
アインホールディングスは、調剤薬局・コスメ&ドラッグストアの経営、ジェネリック医薬品の卸売販売、化粧品の販売、売店の経営などを行うグループの持株会社です。エス・ケー・ファーマシーは、大分県で調剤薬局13店を運営しています。
アインホールディングスは、事業運営ノウハウや経営資源を共有・共用することで、相互の企業価値向上を図ります。
ココカラファインによる薬宝商事とのM&A
ココカラファインは2020年1月、神奈川県で2店舗の調剤薬局を手掛ける薬宝商事の全株式を得て、子会社化しました。
ココカラファインは、ドラッグストア事業と調剤薬局事業の拡大に取り組んでおり、今回の買収によって、神奈川県におけるヘルスケアネットワークの構築を推進するとしています。
ココカラファインとマツモトキヨシホールディングスの経営統合
2019(令和元)年8月、ドラッグストアチェーン大手のココカラファインとマツモトキヨシホールディングスは、経営統合に向けた協議を開始する覚書を締結しました。
ココカラファインは、スギホールディングスからも経営統合に向けた協議提案を受けていましたが、マツモトキヨシホールディングス側の提案を受け入れています。
ココカラファインとマツモトキヨシホールディングスが経営統合すると売上高は1兆円を超え、首位争いが激しいドラッグストア業界でトップに立ちます。
ウエルシアホールディングスによる金光薬品とのM&A
ウエルシアホールディングスは2019年6月、岡山県内でドラッグストアと調剤薬局を展開する金光薬品を、株式譲渡により子会社化しました。
ウエルシアホールディングスは、全国でドラッグストアの新規出店とM&Aを進めており、金光薬品を取得したことで岡山県と中国地方での店舗網を強化しています。
アインホールディングスによる土屋薬品とのM&A
2019(平成31)年3月、調剤薬局やドラッグストアを全国チェーン展開するアインホールディングスは、長野県で調剤薬局を営む土屋薬品を、株式譲渡により子会社化しました。
アインホールディングスは、新規出店とM&Aにより全国の店舗網を拡大しており、長野県の有力調剤薬局である土屋薬品を取得することで、長野県内での市場占有率を県内トップクラスに引き上げています。
ウエルシア薬局による一本堂とのM&A
ウエルシアホールディングスは2019年3月、子会社同士のウエルシア薬局を存続会社、一本堂を消滅会社とする吸収合併を実施しました。
東京都でドラッグストアを展開していた一本堂は2018(平成30)年、ウエルシアホールディングスの子会社となっています。事業の効率化を図るため、本合併に至りました。
ツルハホールディングスによる広島中央薬局とのM&A
ツルハホールディングスは2019年2月、子会社のツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本をつうじて、広島中央薬局を子会社化しました。
広島県に拠点を置き、中国エリアと九州エリアでドラッグストアと調剤薬局を展開するツルハグループドラッグ&ファーマシー西日本は、広島中央薬局を子会社化することで、広島県内での店舗網を強化しています。
2018年以前のドラッグストア業界M&A・売却・譲渡事例
2018年以前に行われたドラッグストア業界のM&A・売却・譲渡事例は以下です。
- メディカルシステムネットワークによる永冨調剤薬局のM&A
- ウエルシアホールディングスによるMASAYAのM&A
- ココカラファインによるケイエスのM&A
- アインホールディングスによるコム・メディカルとABCファーマシーのM&A
- ツルハホールディングスによるビー・アンド・ディーホールディングスのM&A
メディカルシステムネットワークによる永冨調剤薬局のM&A
調剤薬局を中心として、ドラッグストアや訪問看護ステーションなどを展開するメディカルシステムネットワークは、2019年1月、大分県内で調剤薬局を営む永冨調剤薬局を株式譲渡により連結子会社化しました。
メディカルシステムネットワークは、自社の調剤薬局経営サポートシステムを活用し、永冨調剤薬局における地域調剤薬局としての質を高めています。
ウエルシアホールディングスによるMASAYAのM&A
ウエルシアホールディングスは2018年12月、化粧品専門店を展開するMASAYAを、株式譲渡により子会社化しました。MASAYAの経営者は高齢化により全国の店舗管理を行うのが難しくなったことから、事業承継M&Aの形を選んでいます。
このM&Aにより、ウエルシアホールディングスはMASAYAの化粧品事業を取得し、当該事業の強化を図っています。
ココカラファインによるケイエスのM&A
ココカラファインは2018年11月、千葉県内で調剤薬局を展開するケイエスを、株式譲渡により子会社化しました。このM&Aによってココカラファインは、千葉県での調剤薬局シェア拡大を図っています。
アインホールディングスによるコム・メディカルとABCファーマシーのM&A
アインホールディングスは2018年9月、新潟県を拠点に調剤薬局を展開するコム・メディカルとABCファーマシーを株式譲渡により子会社化しました。
アインホールディングスは、コム・メディカルとABCファーマシーの経営方針が自社の方針と合致していると判断し、子会社化に至っています。
ツルハホールディングスによるビー・アンド・ディーホールディングスのM&A
ツルハホールディングスは2018年5月、愛知県でドラッグストアを展開するビー・アンド・ディーホールディングスを、株式譲渡により連結子会社化しました。
これによりツルハホールディングスは、愛知県や周辺エリアでの市場占有率を高め、両社の事業シナジーを獲得しています。
海外を対象としたドラッグストア業界のM&A・売却・譲渡事例
海外を対象としたドラッグストア業界のM&A・売却・譲渡事例は以下です。
- マツモトキヨシホールディングスによるベトナム企業との合弁事業
- マツモトキヨシホールディングスによる台湾企業との合弁事業
- ウエルシアホールディングスによるシンガポール企業との合弁会社設立
マツモトキヨシホールディングスによるベトナム企業との合弁事業
マツモトキヨシホールディングスは、2019年7月にベトナムのロータス・フード・グループとの合弁事業により、ベトナムでマツモトキヨシを運営することを発表しました。
ベトナムは経済成長が著しいうえドラッグストアといった業態がなく、今後の高い需要が見込めると判断したことから、ベトナム進出を決めています。
マツモトキヨシホールディングスによる台湾企業との合弁事業
マツモトキヨシホールディングスは、2018年1月に台湾の臺隆工業股份有限公司との合弁事業により、台湾でマツモトキヨシの展開を始めました。
台湾人は日本人と同様に健康意識と美意識が高く、日本へ訪れる台湾人も多いことから、ドラッグストアとの親和性が高いと判断しての参入です。
ウエルシアホールディングスによるシンガポール企業との合弁会社設立
ウエルシアホールディングスは2017年3月、シンガポール企業のBHG Holdings Pte. Ltd.と合弁会社を設立し、ドラッグストアの展開を始めました。シンガポールは急速に経済成長が進むとともに高齢化も進んでいます。
ウエルシアホールディングスが蓄積してきたアジアでのドラッグストア事業におけるノウハウが、シンガポールでも生かせると判断しての参入です。
7. ドラッグストアのM&A・買収に積極的な企業2選
では最後に、ドラッグストアのM&A・買収に積極的な企業を2社ご紹介します。
- アイリスファーマ
- ココカラファイン
①アイリスファーマ
アイリスファーマは、1都3県で調剤薬局「あけぼの薬局」を50店舗以上展開している企業です。
地域密着型の薬局事業展開を得意としており、処方箋なしで手軽に相談できます。地域貢献を目標にしているドラッグストアを積極的に買収している企業でもあります。
②ココカラファイン
ココカラファインは、ドラッグストアチェーンで全国に1,000店舗以上展開しています。
1,000店舗以上展開することができたのはココカラファインが積極的にM&Aを行っているからです。ドミナント戦略を得意としており独占状態を作り出すのがココカラファインのM&Aのやり方です。
8. ドラッグストア業界のM&Aにおすすめの仲介会社
ドラッグストア業界でM&Aを成功させるためには、豊富な実績と専門性を持った仲介会社に相談するのが得策です。M&A総合研究所では、M&Aの豊富な実績や知識を持つM&Aアドバイザーが親身になって案件をフルサポートします。
料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、ドラッグストア業界のM&Aをご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。
9. ドラッグストア業界のM&A動向まとめ
調剤薬局も含めたドラッグストア業界は、M&Aが活発な業種の1つです。しかし、買収側は手慣れたM&Aでも、売却側には初体験のケースが多いでしょう。諸手続きを安全に進めるには、M&A仲介会社などの専門家を起用するのが得策といえます。
本記事の概要は以下のとおりです。
ドラッグストア業界のM&A動向
- 市場規模は約20年で大きく拡大
- 業界の成長率に合わせてM&Aも増加
- 大手グループによるエリア拡大目的のM&Aが増加
- 大手同士の業務提携も増加
ドラッグストア業界でM&Aを成功させるポイント
- 地域性に強みを持っている
- 人材を多く雇用している
- サービス面の充実
- 将来を見据えたM&A先の選定
- M&Aの専門家に相談
10. ドラッグストア業界の成約事例一覧
11. ドラッグストア業界のM&A案件一覧
【純資産以下・NetCash3億円以上】 九州地方・食品スーパー・ディスカウントストア業
食品卸・小売/九州・沖縄案件ID:1673公開日:2024年03月08日売上高
50億円〜100億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
希望なし
対象企業は、九州地方にて「スーパーマーケット」や「ディスカウントストア」のドミナント運営を行っている企業でございます。
【関西地方/企画から製造まで一気通貫で対応】化粧品の製造、卸売業
美容・健康食品/近畿案件ID:1666公開日:2024年03月07日売上高
10億円〜25億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
1億円〜2.5億円
自社ブランドの化粧品を企画から製造まで一気通貫で行う会社
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