事業買収の成功事例30選!成功する戦略も解説【永久保存版】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

事業買収は成長戦略を描くうえで重要なものですが、成功する戦略にはどのような特徴があるのでしょうか?M&Aによる事業買収を成功させるには、成功事例から学び戦略を練ることが必要です。そこで今回は、事業買収の成功事例30選をご紹介、成功戦略についても解説します。

目次

  1. 事業買収とは
  2. 事業買収M&Aが選ばれる理由
  3. 事業買収の成功戦略
  4. 事業買収後の成長戦略
  5. 事業買収の成功事例30選
  6. まとめ
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1. 事業買収とは

事業買収とは

そもそも、事業買収とはどのようなものを指すのでしょうか。

一言でいえば、企業や企業の一部門を丸ごと買い取ってしまうということです。事業買収を行えば、製品・サービスに関わる権利、技術や特許、従業員など、事業の継続に必要なリソース全ての所有権が、売り手から買い手に移行されます。

多くの企業は経営戦略を描くうえで事業買収を活用しており、近年では事業買収の重要性が高まっています。


 

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2. 事業買収M&Aが選ばれる理由

事業買収M&Aが選ばれる理由

事業買収M&Aには、大きく分けて以下4つの目的があります。

  1. 補強したい事業を得ることができるため
  2. 低コストで新事業・事業拡大が可能なため
  3. 新規の顧客や取引先の獲得ができるため
  4. 従業員や商品・技術などを取得できるため

①補強したい事業を得ることができるため

事業買収と聞いて、真っ先に思い浮かぶのが「補強したい事業を得ることができる」という点ではないでしょうか。

例えば、企業が既に商品・サービスを展開している場合に、そのラインナップを拡大するために戦略的に事業買収を行うような事例です。

また、製品のバリューチェーンの一部を事業買収で獲得し、既存事業を強化するといった事例も存在します。

②低コストで新事業・事業拡大が可能なため

次に、「低コストで新事業・事業拡大が可能になる」という理由が挙げられます。企業が新たな事業を始めるにあたり、1から事業を立ち上げると、大量の時間と資金が必要になります。

そこで自ら事業を立ち上げるのではなく、戦略的に事業買収を活用して他社から事業を買い取り、新事業や事業拡大を進めようということです。

主に新事業の成功に必要な技術を有していない事例、新事業の初期投資が大きい事例、既に強いプレイヤーがおり新規参入ではシェア獲得が難しい事例などで事業買収が活用されます。
 

③新規の顧客や取引先の獲得ができるため

また、新規の顧客や取引先の獲得を目的とした事業買収も行われています。

新事業の場合と同様、1から新規顧客を開拓することは多大な時間と資金を要するため、戦略的に事業買収を活用して時間短縮を図ろうという事例です。特に企業向け(B2B)で多く見られます。

事業買収後は、事業買収によって新規に獲得された取引先に、自社の商品・サービスをクロスセルしていくことでシナジーを生み出し、買収成功を目指す事例が多いです。

④従業員や商品・技術などを取得できるため

最後に、従業員や商品・技術の取得を目的とした事業買収が存在します。

特に最新のテクノロジーの場合、自社開発を行って先行者に追いつくことが非常に困難なことも多く、そうしたテクノロジーを持つ事業をM&Aで取得し、トップを目指すといった事例です。

また人手不足の業界などでは、買収によって従業員を獲得することを目的とした事例も存在します。

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3. 事業買収の成功戦略

事業買収の成功戦略

事業買収を成功させるためには、買収する事業について簿外債務などのリスクがないか、想定している戦略や事業計画に無理はないかを十分に精査したうえで、買収のオプションをあらかじめ用意しておくことが必要です。

M&Aは特に最初が肝心ですので、不安なことがある場合には、沢山の成功事例や失敗事例に触れてきた事業買収M&Aの専門家に相談してみるとよいでしょう。

ここでは、事業買収を成功させるための7つのポイントについてみていきます。

  1. デューデリジェンスを徹底する
  2. 自社分析による強み・弱みを明確にする
  3. 市場を調査して需要などを知る
  4. 企業のトップと面談を行う
  5. 事業買収の際に提案する戦略オプションをまとめる
  6. 表明補償保険(レプワラ保険、R&W保険)を活用する
  7. 事業買収M&Aの専門家にアドバイスを受ける

①デューデリジェンスを徹底する

事業買収を成功させるうえで最も重要なことは、十分にデューデリジェンス(事業精査)を行うことです。主にビジネス・財務税務・法務・人事・環境等の観点から精査をします。

ビジネスでは戦略や事業計画が正しいかを、買収する事業の競争力・市場環境などを踏まえて評価していきます(詳細は②③で説明します)。

財務税務では、会計ポリシーやこれまでの監査済報告書等を確認していくと同時に、簿外債務や納税漏れといったキャッシュアウトのリスクが存在しないかを見ていきます。

法務では、法務ポリシーやコンプライアンスの順守状況などを見ていきます。コンプライアンス違反や訴訟によって買収額を超えるマイナスが発生する事例も存在します。

他にも給与水準や労働環境について確認する人事デューデリジェンスや、環境汚染等のリスクについて確認する環境デューデリジェンスなど、対象となる企業によってデューデリジェンスの中身は変わります

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②自社分析による強み・弱みを明確にする

①で触れたビジネスデューデリジェンスのポイントの一つが、想定されているマーケットシェアは競争力を踏まえて妥当かというもので、これにより買収する事業の強みと弱みを分析します。

具体的には、製品や技術面・営業面(人数やスキル、販路など)など、定量分析や定性分析を行って把握していく必要があります。

③市場を調査して需要などを知る

事業計画の妥当性を評価するもう一つのポイントは市場トレンドで、事業計画で見立ている市場規模や成長性が妥当かを見ていきます。

買収する事業にとっての「市場」を正しく定義し、その市場の将来像について、市販されているレポートの確認や専門家・顧客へのインタビュー等を通じて把握していくことが必要です。

④企業のトップと面談を行う

企業のトップと面談を行うことも重要です。企業のトップのパーソナリティや事業の語り口を見れば、買収対象企業の特徴を、別の角度から確認することができます。

また、M&A後に経営者を送り込むことを想定している場合を除いては、買収後の事業は現在のトップに任せる事例が多いため、力量の把握や必要な処遇の検討を行う上でもトップとの面談は必要です。

⑤事業買収の際に提案する戦略オプションをまとめる

①から④の結果をもとに、事業買収の際に提案する戦略オプションをまとめる必要があります。

例えば、企業を丸ごと買収するのか一部の事業だけを買収するのか、最初から100%事業買収をするのか最初は60%にしてその後買い増すのか、経営陣に残ってもらうのか残ってもらわないのか等について、事前に選択肢を用意しておく必要があります。

M&Aは交渉なので、その場その場で選択肢を提示しながら、自らの最も望ましい戦略オプションに落ち着くよう、議論していく必要があります。

⑥表明補償保険(レプワラ保険、R&W保険)を活用する

実は、事業買収には保険が存在します。といっても、事業計画の下振れなどを補ってくれるわけでは無く、M&Aトランザクションの中で売り手やマネジメントが話した内容や、提示してきた情報に嘘や隠し事があった場合に補償してくれる保険になります。

特に大型のM&A案件では、表明補償保険を利用する事例も増えていますので、大型のM&Aを行う際は検討してといいでしょう。

⑦事業買収M&Aの専門家にアドバイスを受ける

ここまでご説明したように、事業買収では考えなければならないポイントがたくさんあります。これらが十分にカバーされず、買収後にリスクが顕在化してしまうと、東芝のウエスティングハウスや日本郵政のトールの事例のように、数千億円単位の減損が発生し、経営を圧迫することにもなりかねません。

とはいえ、デューデリジェンス一つとっても、どこから始めていいかわからないといった方も多いのではないでしょうか。そういった場合には、事業買収M&Aの専門家を活用することが有効です。

M&A総合研究所では、専門知識を持つプロたちが専任につき、M&Aをフルサポートいたします。着手金無料、成果報酬手数料も業界最安値水準になっております。

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4. 事業買収後の成長戦略

事業買収後の成長戦略

前章では7つのポイントについてご説明しましたが、事業買収は「買収して終わり」ではありません。買収した企業を適切に経営して、初めて事業買収が成功したといえるでしょう。

ここからは、事業買収後の成長戦略における3つのポイントをご説明します。

  1. 事業買収後のPMI(統合プロセス)を計画的に行う
  2. 財務を健全化することで危機意識を植え付ける
  3. 買収先の従業員の士気を落とさず人材の流出を防ぐ

①事業買収後のPMI(統合プロセス)を計画的に行う

まずはPMI(統合プロセス)を計画的に行うことです。事業買収が決まったら、次は統合の計画を作成します。

具体的には会計や法務、ITなどのポリシーを統合し、企業グループとして活動できるようにします。同時に、買収によって期待されるシナジーを実現するために、プランの詳細化を行います。

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②財務を健全化することで危機意識を植え付ける

時として、従業員に対して適切な危機意識を植え付けることが、必要な場合もあります。事業買収では、マネジメントは危機感を持っていることが多いですが、従業員も危機感を共有しているかというと、そうではない事例が多いです。

そうした事例では、財務の健全化(リストラクチュアリングなど)の施策を明示することで、従業員に適度な危機感を持ってもらうことも重要になってきます。

③買収先の従業員の士気を落とさず人材の流出を防ぐ

もう一つの重要な側面が、企業活動を支える従業員です。事業買収を契機に、結果優秀な人材が別の企業に転職してしまうといった事例も多々存在します。

そのため、従業員とコミュニケーションを取り、今回のM&Aの意義、ともに目指すビジョンなどを共有することで、従業員の離脱を防ぐことが必要になります。

特にクロスボーダーの事例ではこうしたコミュニケーションに最大限の注意を払うことが必要です。

5. 事業買収の成功事例30選

事業買収の成功事例

ここまで、事業買収M&Aを成功に導くためのポイントについてご説明しましたが、この章では具体的な成功事例を見ていきましょう。

  1. JT(日本たばこ産業)による海外タバコ事業の事業買収
  2. ミツカンによる海外ソース事業の事業買収
  3. サントリーホールディングスによる北米ウィスキー事業の事業買収
  4. サントリー食品によるJT(日本たばこ産業)自販機事業の事業買収
  5. 武田薬品による米国製薬企業の事業買収
  6. 東レによる炭素繊維事業の事業買収
  7. 旭化成による医療機器事業の事業買収
  8. 日本電産の産業用モーター・ドライブ・発電機事業の事業買収
  9. 帝人の自動車向け複合材料成形メーカーの事業買収
  10. ダイキンによる空調メーカーの事業買収
  11. キャノンによる監視カメラトップ企業の事業買収
  12. ブリジストンによるタイヤ再生事業の事業買収
  13. コマツによる鉱山機械メーカーの事業買収
  14. 豊田自動織機による物流ソリューションプロバイダーの事業買収
  15. アマゾンによる自動倉庫ロボット事業の事業買収
  16. 電通による広告会社の事業買収
  17. 東京海上日動による保険会社の事業買収
  18. 第一生命による生命保険会社の事業買収
  19. 三菱UFJグループによるタイ大手銀行の事業買収
  20. ソフトバンクによる半導体設計会社の事業買収
  21. オリックスによる会計ソフト会社の事業買収
  22. DeNAによるプロ野球チームの事業買収
  23. GMOによるインターネット決済事業の事業買収
  24. ビックカメラによるソフマップの事業買収
  25. ローソンによる成城石井の事業買収
  26. オイシックスによるらでぃっしゅぼーやの事業買収
  27. 楽天によるネット銀行の事業買収
  28. ソフトバンクによるイー・アクセスの事業買収
  29. 鴻海によるシャープの事業買収
  30. ハイアールによる三洋電機の事業買収

①JT(日本たばこ産業)による海外タバコ事業の事業買収

日本企業によるクロスボーダーM&Aの中で、最も成功している大型事例の一つが、1999年のJTによる同業他社RJRナビスコの買収です。

M&Aが実行されたのは1999年、買収額は9,400億円といわれ、買収によって国際展開を急加速した事例といえます。

買収した企業

買収した企業は日本最大のたばこメーカーであるJT(日本たばこ産業)です。今でこそグローバル企業のJTですが、当時は売り上げの大半が国内で、規模としてもグローバルトップには程遠い状態でした。

買収された企業

買収された事業はRJRレイノルズというアメリカの消費財メーカーのたばこ部門です。当時の売上はJTの10倍近く、世界シェア3位の企業でした。

買収までの流れ

買収当時、世界のたばこ市場は拡大を続けており、JTは市場成長を自社の成長に取り込みたいと考えていました。

そこでJTは、既に世界でもシェア3位につけていたRJRナビスコのたばこ部門を買収し、ブランドだけでなく事業に必要なリソース(人や工場など)を一気通貫で獲得する戦略をとることで、すでに強力な地位を確立している競合に対抗することにしました。
 

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②ミツカンによる海外ソース事業の事業買収

同じような消費財ですが、着実に北米事業を強化して大型買収に踏み切った事例が、2014年のミツカンによる海外ソース事業の買収です。

この買収を経て、ミツカンの海外売上高比率は50%を超えることになりました。M&Aが実行されたのは2014年、買収額は2,150億円といわれています。
 

買収した企業

買収した企業はお酢や納豆で有名なミツカンです。1990年代からお酢の領域で北米企業のM&Aを進めていましたが、お酢以外の食料品も拡大すべく戦略を進めていました。

買収された企業

買収された事業はユニリーバのソース部門です。全米でパスタソース市場で25%のシェアを持っていたRagu」とプレミアムパスタソース市場で8%のシェアを持っていた「Bertolli」が買収の対象となりました。

買収までの流れ

ミツカンは北米を重点領域とする海外戦略をとっており、古くからお酢関連の企業を買収していました。またお酢以外の事業を拡大すべく、料理用ワインやマリネードソースなどの買収も手掛けていました。

そうした中、ユニリーバのパスタソース事業の買収の話を受け、既に存在する北米事業とのシナジーも大きいと判断し、事業買収M&Aを実行しました。

③サントリーホールディングスによる北米ウィスキー事業の事業買収

また食品ブランドの大型事例としては、サントリーホールディングスによるビーム社の買収があげられます。

JT同様、海外での急加速を狙った事例であり、サントリーは海外に向けた商品開発も進めています

M&Aが実行されたは2014年、買収額は1.6兆円といわれています。

買収した企業

買収した企業はウィスキー・スピリッツで国内トップシェアのサントリー社です。サントリーホールディングスはウィスキー・スピリッツに限らず、ビールやソフトドリンク、食品なども扱っています。

買収された企業

買収された企業は、北米のウィスキー市場でトップシェアの一角に位置するビーム社です。ジムビームやメーカーズマークといった、世界トップのブランドを持っています。

買収までの流れ

ウィスキー・スピリッツ業界では、グローバルでのM&Aによる企業合併が広く行われており、企業数も徐々に減っていました。

そうした中、最後の大型案件として出てきたのがビーム社です。サントリーは国産ウィスキーの海外展開と、海外ウィスキーの国内展開の両方で十分にシナジーが狙えるとして、買収に踏み切りました。

④サントリー食品によるJT(日本たばこ産業)自販機事業の事業買収

少し毛色は変わりますが、国内のユニークな事例が、サントリー食品によるJTの自販機事業の事業買収です。最終顧客との接点が重要になる中、チャネルを押さえに言った事例です。

M&Aが実行されたのは2014年、買収額は1,500億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は、サントリー食品インターナショナルです。サントリーホールディングスのうち清涼飲料水と食品を扱う子会社です。

買収された企業

買収された企業は、JT子会社のジャパンビバレッジホールディングスです。JTの自販機オペレーションと「桃の天然水」「Roots」などのブランドを扱っています。

買収までの流れ

サントリー食品は、国内市場が成熟する中、販売チャネルの強化を考えていました。特に、消費者の情報を捉えたマーケティングが重要になってくる中で、顧客の生の情報を取れるチャネルの強化が課題になっていました。

そこにJTの自販機部門売却の話が来ましたが、顧客接点・チャネルの獲得のほかに、ロジスティクスの効率化による数十億円のコストシナジーも見込めると判断し、買収に踏み切りました。

⑤武田薬品による米国製薬企業の事業買収

M&Aによる合併連衡が盛んな製薬業界の成功事例といわれるのが、武田薬品によるミレニアム買収です。当時のミレニアム買収によって得たパイプラインは上市に成功し、ブロックバスター(千億円以上の売上を持つ薬)として武田薬品の収益を支えています

M&Aが実行されたのは2008年、買収額は8,900億円といわれています。製薬企業のM&Aは失敗事例も多い中、成功した事例といえるでしょう。

買収した企業

買収した企業は武田薬品です。日本ではトップシェアの武田薬品でしたが、世界ではトップ集団の規模で大きく水をあけられていました。

買収された企業

買収された企業はミレニアム・ファーマシューティカルという北米の製薬企業です。当時、ミレニアムはがん領域における、ブロックバスターのパイプラインを複数持っていました。

買収までの流れ

買収当時の武田薬品は、市場成長が見込まれるがん領域のパイプライン不足と、稼ぎ頭であるブロックバスターの特許切れという課題を背負っていました。そのため、ブロックバスターの特許が切れるまでの比較的キャッシュがあるうちに、将来を担うがん領域のパイプラインを持つ事業を買収したいと考えていました。

そこで、がん領域で強いパイプラインを持つミレニアムの事業売却の話を受け、戦略に合致すると判断し、事業買収に踏み切りました。

⑥東レによる炭素繊維事業の事業買収

次にメーカーの事例です。炭素繊維でトップを走っていた東レが、製品ラインナップを拡大するために競合他社を買収した事例です。

事業買収により幅広い顧客ニーズに対応できるようになったため、炭素繊維の用途開発が加速することになりました。M&Aが実行されたのは2013年、買収額は580億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は東レです。東レは世界で初めて炭素繊維の実用化に成功した企業ですが、当時はまだ用途も限定的で、用途開発に注力していました。

買収された企業

買収された企業はゾルテックというアメリカの炭素繊維メーカーです。
東レと異なり、安価な汎用品の炭素繊維を扱っていました。

買収までの流れ

東レは世界で初めて炭素繊維を実用化し、用途開発を進めていましたが、東レの製品は高価格高機能品に強く、安価な製品を求める顧客のニーズには必ずしも応えきれていませんでした。

そのため汎用品も扱い、顧客ニーズに合わせて商品を提供できるような体制を目指していました。そうした中、廉価な汎用品を扱うゾルテックの売却の話があったため、戦略に合致するとして事業買収を進めました。

⑦旭化成による医療機器事業の事業買収

同様に化学業界における成功事例が、旭化成による米ゾールメディカルの医療機器事業の買収です。

ゾールは確立された事業基盤に加え、当時は今ほど普及が進んでいなかったAED機器を持つ企業であり、旭化成の先見の明によって成功した事例といえます。

M&Aが実行されたのは2013年、買収額は1,800億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は旭化成です。旭化成は日本最大手の化学系メーカーとして有名ですが、当時は医療ビジネスの強化に力を入れていました。

買収された企業

買収された事業は、救急医療機器を扱うゾールメディカル社です。ゾールは,​​​​​​着用式除細動器や体温マネージメント機器といった、救急医療機器を持っていました。

買収までの流れ

旭化成は当時、市場成長が著しいヘルスケア事業を伸ばす戦略をとっており、医薬品事業と透析機器等の医療機器事業を持つヘルスケア事業に次ぐ第三の柱として、救命救急医療の領域での買収を検討していました。

その結果、ナスダックに上場していたゾールメディカルが戦略に合致し、かつ将来伸びる市場に強い製品を持っていると考え、TOBを仕掛けました。買収にかかるプレミアムは30%弱でした。

⑧日本電産の産業用モーター・ドライブ・発電機事業の事業買収

産業材領域での成功事例といえば、やはり日本電産です。日本電産は国内外通して地道に買収を繰り返しており、着実に経験を積みながら成功を重ねている事例ですが、エマソンの産業用モーター・ドライブ・発電機買収については1,000億円を超える大型案件となっています。

M&Aが実行されたのは2016年、買収額は1,230億円といわれています。
 

買収した企業

買収した企業は日本電産です。当時すでに50近い事業買収を成功させており、さらなる事業強化のために産業用モーター等の買収に至りました。

買収された企業

買収された事業はエマソンエレクトリック社のモーター・ドライブ・発電機事業です。
エマソンは米国のエンジニアリング企業で、全ての事業を合わせると2兆円を超える売上を誇ります。

買収までの流れ

日本電産は、電気モーターを軸とした事業で世界トップを目指しており、そのために必要な事業については、M&Aも使いながら地道に集めています。

エマソンからは2010年の時点でモーター&コントロール事業を買収していますが、その後も交渉を続け、モーターや発電機事業の買収に至りました。

日本電産は、狙った獲物は逃がさない一方、適正価格でなければ絶対に買収しないというスタンスを貫いており、本件も待ち続けた末に実現したといわれています。

⑨帝人の自動車向け複合材料成形メーカーの事業買収

新規顧客を獲得するための事業買収の成功事例が、帝人の自動車向け複合材料成型メーカーPSPの事業買収です。

帝人はCSPの買収により、戦略上の重点領域であった自動車メーカーやTier1部品メーカーへのアクセスを獲得しました。

M&Aが実行されたのは2016年、買収額は850億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は帝人です。帝人は繊維メーカーとしてスタートした企業ですが、現在では様々な素材を提供するメーカーとなっており、一つの強力なアプリケーションとして、自動車業界に展開する戦略を描いていました。

買収された企業

買収された企業は、北米で自動車向けに複合材料を成型するCSPです。自動車が車体軽量化に向け最先端の素材を使うようになる中で、その成型でトップシェアを担っている企業です。

買収までの流れ

帝人は自社の複合繊維(ガラスや炭素繊維を複合し強力にした繊維)を自動車向けに展開したいと考えており、自動車メーカーやTier1との関係構築の戦略を描いていました。

そこに自動車メーカーやTier1と直接取引をしているCSPが売却に出されたため、顧客アクセスを獲得する目的で買収に至りました。

⑩ダイキンによる空調メーカーの事業買収

電機メーカーの有名な成功事例といえば、ダイキンによる北米の空調会社グッドマングローバルの買収です。
ダイキンの持つ高い技術力と、グッドマンの持つ低コスト生産能力及び北米全土での販売網のシナジーにより、ダイキンの北米事業は一気に成長しました。

このM&Aは、既存事業の強化と顧客の獲得を同時に行った好事例であり、M&Aが実行されたのは2012年、買収額は2,960億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は日本でも空調市場でトップシェアの一角を占めるダイキン工業です。北米ではそれ以前にも買収を行っており、順調には成長していたものの、一気に規模拡大を進めたいという思いを持っていました。

買収された企業

買収された企業は、北米で空調事業を営むグッドマングローバルです。グッドマンは北米でNo1のシェアを持っており、規模の経済を活かした低コスト生産と、全米をカバーする自社の販売網に強みを持っていました。

買収までの流れ

ダイキンはかねてより北米市場を攻略しようと考えておりましたが、北米の顧客は既存先からのスイッチのハードルが高かったため、早くから買収による拡大戦略を進めていました。

既に2006年ごろに買収を行っており、順調に事業拡大をしていたものの、シェアトップのグッドマンが売却に出るということで、一気に事業基盤を拡大するチャンスとみて、買収に踏み切りました。

⑪キャノンによる監視カメラトップ企業の事業買収

需要拡大を先読みし、M&Aによる新規事業確立に成功した事例が、キャノンによる監視カメラ大手のAXIS買収です。キャノンはAXIS買収により、成長市場である監視カメラ市場のトップシェアに躍り出ました

M&Aが行われたのは2015年、買収価格は2,900億円といわれていますが、当時は完全子会社化はせず、2018年に残りの株式を役400億円で買収して完全子会社化しました。

いきなり100%出資するのではなく、事業の見極めや売り手へのプレッシャーをかけ、事業運営を成功させた事例でもあります。

買収した企業

買収した企業はデジタルカメラで世界トップシェアのキャノンです。スマホの発展によりデジカメ市場が縮小する中、B2Bの監視カメラ領域の拡大を狙っていました。

買収された企業

買収された企業は、スウェーデンの監視カメラ企業であるAXISです。AXISは監視カメラで世界トップシェア(15%)を持っていた企業です。

買収までの流れ

キャノンは、デジタルカメラ市場が急速に縮小する中、レンズ技術を活かせる新たな柱を立てるべく、2013年に監視カメラ事業に参入し、オランダのマイルストーンを買収していました。

そうした中、さらなるシェア拡大を求め、上場会社であったAXIS社にTOBを行うことに決めました。ただし最初から100%買収をするわけでは無く、85%を買収し、事業が成功すれば残りの15%も買収するというような段階的な買収プロセスを取りました

当時のプレミアムは50%弱といわれており、2018年、キャノンは残りの株式の買収を決め、完全子会社化に至りました。

⑫ブリジストンによるタイヤ再生事業の事業買収

事業拡大の成功事例としては、ブリジストンによる北米タイヤ再生事業のバンダグ買収があります。

ブリジストンといえばファイアストンの買収が有名ですが、その後も継続的な事業価値の向上に向けてM&Aを行っており、世の中の変化に対応して再生タイヤ事業に乗り込むべく、バンダグを買収しました。

M&Aが実行されたのは2007年、買収額は1,200億円といわれています。

買収した企業

買収した企業はタイヤメーカー大手のブリジストンです。中古タイヤ市場が立ち上がり、新品タイヤの成長が鈍化する中、再生ビジネスに目をつけていました。

買収された企業

買収された企業はタイヤ再生事業を行っていたバンダグです。北米で中古タイヤ市場が成長を見せる中、トレンドに乗って成長していました。

買収までの流れ

ブリジストンは、中古タイヤの流通による、新品タイヤの値崩れに頭を悩ませており、ブランド価値を維持しながら中古流通のトレンドにも対応するための戦略を策定していました。

そんな中、中古タイヤをただ流通するのではなく、再生して流通させるバンダグはタイヤ価格の維持に貢献できる点で自社の戦略とも合致していたため、買収することに決めました。

⑬コマツによる鉱山機械メーカーの事業買収

コマツによる米国鉱山機器のジョイグローバル買収も、成功事例といえます。ジョイグローバルの買収により、コマツは鉱山機械のラインナップを拡張すると同時に、北米での販売・サービス体制を強化することができました。

M&Aが実行されたのは2016年、買収額は3,000億円程度です。

買収した企業

買収した企業は建設機器メーカー最大手のコマツです。コマツは、今後需要が伸びる坑内掘り機械や、大型の積込機のラインナップを拡大したいと考えていました。

買収された企業

買収された企業は北米鉱山機器メーカーのジョイグローバルです。ジョイグローバルは直近の鉱山機器需要の減少を受けて業績が悪化しており、株価もS&P500に大きく劣後していました。

買収までの流れ

コマツはかねてから、自社の鉱山機器ラインナップを拡張したいと考えており、M&A候補としてジョイグローバルを見ていました。

そうした中、ジョイグローバルの株価の低迷を受け、戦略面での適合性だけでなく文化的にも適合するかどうかを実際に確かめた上で、TOBを仕掛けました。

TOBのプレミアムは20.5%と比較的低い水準に収まり、事業買収を成功させることができました。

⑭豊田自動織機による物流ソリューションプロバイダーの事業買収

将来の需要増を睨んで買収を成功させた事例としては、豊田自動織機による蘭物流ソリューションプロバイダーのファンダランデの事業買収もあげられます。

豊田自動織機は、世界中で1,300億円のビジネスを持つファンダランデの買収により、ECによる物流需要増を取り込んで成長することに成功しました。

M&Aが実行されたのは2017年、買収額は1,400億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は機械部品やフォークリフトで有名な豊田自動織機です。

豊田自動織機は、拡大する物流需要を取り込むべく、物流ソリューション事業を次なる柱として成長させてたいと考えていました。

買収された企業

買収された企業はオランダの物流ソリューションプロバイダーのファンデランダです。
ファンデランダは世界50か国で物流ソリューションを提供するグローバルプレイヤーです。

買収までの流れ

豊田自動織機は、今後需要が拡大する物流ソリューション事業を次世代の柱として強化していました。日本では順調に成長を遂げていたものの、海外での規模拡大は難しく、海外を拡大する戦略を練っていました。

そこにファンダランデの売却の話が出てきたため、物流ソリューション事業の世界展開に向け、M&Aを実行しました。なお豊田自動織機は直前にも同領域の米バスティアンを買収しています。

⑮アマゾンによる自動倉庫ロボット事業の事業買収

海外企業による海外企業の買収ですが、少し変わった成功事例として、アマゾンによる自動倉庫ロボットのKiva SystemsのM&Aがあげられます。

自社のバリューチェーンを強化し、既存ビジネスの価値向上を狙った事例です。アマゾンはこの買収によって自社のロジスティクスの効率を向上させることに成功しました。

買収した企業

買収した企業は、ECサイトで世界最大手のアマゾンです。アマゾンは低収益なEC事業の収益改善には倉庫業務のスマート化が効果的だと考えていました。

買収された企業

買収された企業は倉庫自動化ロボットのKiva Systemsという会社です。買収当時から、Walgreen等の米国の大手チェーンとは契約がありました。

買収までの流れ

AmazonのEC事業は長年低収益が続いており、値上げをせずに収益改善を図るには、ロジスティクス側の効率化が不可欠だと考えていました。

そのため、ロジスティクスの効率化の方法として、自動倉庫ロボットについても活用を考えていた中、Kiva Systemsの技術を評価し、買収に至りました。

⑯電通による広告会社の事業買収

サービス業での有名な成功事例が、電通による英広告会社イージスの買収です。

イージスは電通にグローバル企業へのアクセスを提供しただけでなく、その後の海外での事業展開の母体となっており、中核となりうる企業をM&Aによって獲得した好事例です。

M&Aが実行されたのは2013年、買収額は4,090億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は、日本の広告業界トップの電通です。電通は国内ではトップでしたが、グローバルの需要成長を取り込むために、M&Aを検討していました。

買収された企業

買収された企業は英広告会社のイージスです。イージスは当時からデジタル領域に強く、また欧州に強い事業基盤を持っていました。

買収までの流れ

電通は日本では盤石な地位を築いていたものの、売上の大部分は国内であり、事業買収による海外展開を目論んでいました。

少しずつ世界でM&Aを進めていた折、既に欧州に強力な顧客基盤をもつと同時に、今後成長するデジタル領域にも強みを持っているイージスが買収候補として浮上したため、M&Aに踏み切りました。

その後イージスは、電通の海外事業の母体となり、さらなる海外M&Aの推進に貢献しています。

⑰東京海上日動による保険会社の事業買収

金融系ではクロスボーダーM&Aの事例が多々ありますが、その中でも成功事例として有名なのが、東京海上日動による米スペシャリティ保険HCC会社の買収です。

東京海上日動は買収によって保険のリスク分散に成功したほか、特定領域に強みを持つHCCとの共同開発による新商品の組成などを進めています。

M&Aが実行されたのは2015年、買収額は9,400億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は東京海上日動です。東京海上日動は日本有数の保険会社ですが、リスク分散や資本効率の向上に向け、海外企業の買収を狙っていました。

買収された企業

買収された企業はHCCインシュアランスホールディングです。HCCはアンダーライティング能力が高く、かつ特定領域に特化することで、競合に比べ高い収益性を実現していました。

買収までの流れ

東京海上日動は、海外のポートフォリオ拡大に向け、複数の企業を買収しており、優れた事業ポートフォリオや収益性を持つHCC社に対してもアプローチをかけていました。

そうした中で、HCC社とも合意が取れたことで、TOBを仕掛けました。TOBでのプレミアムは、直近株価に対し37.6%でした。

⑱第一生命による生命保険会社の事業買収

生命保険での成功事例としては、第一生命による米生命保険会社プロテクティブの買収があげられます。東京海上同様、地理的なポートフォリオ拡大や、国外での事業拡大に成功した事例です。

第一生命はプロテクティブ買収によって、成長市場である北米市場での事業拡大に成功しており、M&Aが実行されたのは2015年、買収額は5,000億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は日本の大手生保会社である第一生命です。第一生命は日本の強い事業基盤に加え、成長市場の北米に参入し、事業ポートフォリオを拡大したいと考えていました。

買収された企業

買収された企業は、米生保会社のプロテクティブです。プロテクティブは、全米50州で生命保険を展開しており、600万人近い顧客基盤を持っていました。

買収までの流れ

第一生命は世界最大の市場かつ成長性も高い北米市場への参入を考えており、M&Aによる拡大戦略を考えていました。その中でM&A候補として、上場企業であったプロテクティブに目をつけていました。

戦略的なフィットの確認後、マネジメント層のケイパビリティを確認し、十分なシナジーが見込めると判断したため、プロテクティブのTOBに踏み切りました。TOB時のプレミアムは35%程度といわれています。

⑲三菱UFJグループによるタイ大手銀行の事業買収

同じく金融の成功事例としては、三菱UFJグループによる、タイのアユタヤ銀行買収があげられます。電通同様、海外のローカル企業やグローバル企業を獲得しづらい業界で、M&Aによって海外の顧客を拡大した事例です。

三菱UFJグループはアユタヤ銀行の買収により、東南アジアでの事業母体を獲得しました。M&Aが実行されたのは2013年、買収額は5,600億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は三菱UFJグループです。三菱UFJグループは東南アジアで企業向けのバンキングを行っていましたが、リテールの拡大がうまくいかず、買収によるリテール事業の拡大を狙っていました。

買収された企業

買収された企業は、タイのアユタヤ銀行です。アユタヤ銀行はタイで5位の商業銀行であり、個人と中小企業に強みを持っていました。

買収までの流れ

三菱UFJグループは東南アジアでリテール事業を拡大したいと考えており、個人や中小企業に強いアユタヤ銀行の買収に興味を持っていました。

アユタヤ銀行とのシナジーを検討した結果、アユタヤ銀行の既存の事業基盤を活かしてリテール事業を拡大する一方、三菱UFJグループのノウハウをもってアユタヤ銀行の法人向け事業を拡大可能と考え、買収に踏み切りました。

⑳ソフトバンクによる半導体設計会社の事業買収

国内企業による大型買収の成功事例として外すことができないのが、ソフトバンクによる英アームの買収です。将来の市場トレンドを読んで、他社に先んじてリスクを取って成功した好事例です。

ソフトバンクはアーム買収により、IoT化によって急増する半導体需要の取り込みに成功しました。M&Aが実行されたのは2016年、買収額は3.3兆円です。

買収した企業

買収した企業はソフトバンクです。ソフトバンクは以前から、将来の市場トレンドを読んだ投資の実行に定評があり、中国のアリババへの出資は、ソフトバンクに莫大な富をもたらしました。

買収された企業

買収されたのは、英半導体設計会社のアームです。アームは半導体の設計を行って、ライセンスにより収益を獲得している企業で、世界中で1千億個のチップがアームの設計の元、出荷されています。

買収までの流れ

ソフトバンクは将来のテクノロジー動向を踏まえ、核となる技術の取り込みに注力しています。そうしたテクノロジーの中心の一つがAIであり、核となる技術を押さえる上での主要なパーツがアームでした。

その上でソフトバンクは、アームを中心としたエコシステムの確立が可能と確信し、投資を実行しました。アームのM&AはTOBで行われましたが、プレミアムは43%となっています。

㉑オリックスによる会計ソフト会社の事業買収

ここからは少し国内での成功事例を見ていきましょう。一つ目は、オリックスによる会計ソフト会社弥生の買収です。

オリックスは中小企業に強い弥生の会計ソフトを、自社の顧客基盤に展開し、弥生を大きく成長させました。M&Aが実行されたのは2014年、買収額は800億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は金融を中心としたコングロマリットのオリックスです。オリックスは、金融を核に幅広い事業ポートフォリオを持っており、常にシナジーのある事業の買収を狙っていました。

買収された企業

買収された企業は中小向け会計ソフトの弥生です。弥生はPEファンドの元、既に125万の顧客を持ち、安定的な収益を稼いでいました。

買収までの流れ

オリックスが自社の顧客基盤を活かせる事業の買収を模索していた折、弥生が買収に出されるということで、買収の検討がされました。

結果、弥生の強固な顧客基盤から生み出されるキャッシュフローの安定性に加え、自社顧客基盤を活かした弥生の事業拡大を踏まえると、十分なリターンが見込めると判断し、事業買収がされました。

㉒DeNAによるプロ野球チームの事業買収

次にキャッチーな成功事例ですが、DeNAによる横浜ベイスターズの事業買収があげられます。DeNAはインターネット事業で得たマーケティングノウハウを活用して、横浜ベイスターズの事業再生を成し遂げました。

まさに異業種のノウハウを持ち込んでシナジーを実現した好事例となっています。M&Aが実行されたのは2011年、買収額は95億円といわれています。

買収した企業

買収した企業はITメガベンチャーのDeNAです。DeNAはITに限らず様々なチャレンジをしています。

買収された企業

買収された企業は、横浜ベイスターズです。当時、横浜ベイスターズは、TBSの傘下で業績不振に苦しんでいました。

買収までの流れ

本事例は、DeNAに明確な戦略があったというよりも、横浜ベイスターズの売却の話を受け、迅速に事業評価とバリューアップの可能性を検討し、買収の判断をした点がポイントです。

DeNAは横浜ベイスターズの事業を見て、自社のブランド価値向上につながること、培ってきたマーケティングノウハウが活用できることを確信し、M&Aに至りました。

㉓GMOによるインターネット決済事業の事業買収

IT業界でトレンドを先読みして成功した事例がGMOによるインターネット決済事業(現GMOペイメントゲートウェイ)の事業買収です。

GMOは小規模事業者をM&Aによって集め、規模を獲得した結果、インターネット決済で大手の地位につきました。ロールアップを活用して他社より先に事業基盤を築いた好事例です。

最初のM&Aが実行されたのは2004年、買収額は非公表となっています。

買収した企業

買収した企業はIT大手のGMOです。GMOは古くからM&Aを活用してインターネットにおける事業参入を進めてきた企業です。

買収された企業

買収された企業は、インターネット決済のカードコマースサービスです。その後、同業のペイメントワンも買収されています。

買収までの流れ

GMOはEC黎明期から、インターネット決済の需要が伸びることを予測しており、インターネット決済事業者のM&Aを考えていました。

特に当時インターネット決済市場はフラグメントだったため、買収と合併による規模の獲得が優位性につながると判断し、ロールアップ戦略をとっていました。

そこでカードコマースサービスやペイメントワンを買収し、規模を拡大していきました。

㉔ビックカメラによるソフマップの事業買収

小売り事業における成功事例が、ビックカメラによる中古流通事業者ソフマップの買収です。ビックカメラはソフマップ買収により、新品と中古両方の販売が可能になり、幅広い顧客ニーズに対応できるようになりました。

またビックカメラは提携から入って徐々に出資比率を上げたため、提携を活用したM&Aの成功事例ともいえます。過半数を取得したのは2006年、当時の出資額は20億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は家電量販店大手のビックカメラです。ビックカメラは近年のビックロの事例でもわかるように、古くから小売業態の多様化に力を入れていました。

買収された企業

買収された企業は、中古家電流通のソフマップです。ソフマップは業績が振るわず、丸紅の出資を受けて再建に取り組んでいましたが、業績が改善していませんでした。

買収までの流れ

ビックカメラは顧客の嗜好の多様化を受け、様々な取り組みにチャレンジしていました。丸紅からソフマップとの資本提携を持ち掛けられた際も、そうした一環として資本提携を開始しました。

そうした中、提携では取り組みに限界があること、提携を踏まえてバリューアップの戦略が描けたことで、過半数の取得に踏み切りました。

その後、買収の効果が出始めたため、2010年に株式交換で完全子会社化をするに至りました。

㉕ローソンによる成城石井の事業買収

小売事業者が価格帯別のビークルをうまく拡張した事例がローソンによる成城石井の買収です。

ローソンはナチュラルローソンにより、上位の価格帯への進出に成功していましたが、さらに食料品に強く特定の顧客層から支持を得ている成城石井を獲得したことで、幅広い顧客層のニーズを満たすことができるようになりました。

M&Aが実行されたのは2014年、買収額は550億円といわれています。

買収した企業

買収した企業はローソンです。ローソンはコンビニエンスストアとして一定の地位を獲得していましたが、市場成長が見込まれる高級スーパー市場へのプレゼンスが弱く、打ち手を検討していました。

買収された企業

買収された企業は成城石井です。成城石井は高品質な食品に特化し、プレミアム化のトレンドを捉えて成長していました。

買収までの流れ

ローソンは高成長が見込まれる食品スーパー市場に参入したいと考えていましたが、既存のローソンとナチュラルローソンでは参入が難しいと考えていました。

そうした折に成城石井の売却の話があり、市場の成長性と、PB製品の開発によるシナジー等を踏まえると十分に買収の効果が実現できると考え、買収に至りました。

㉖オイシックスによるらでぃっしゅぼーやの事業買収

比較的新しい事例ですが、オイシックスによるらでぃっしゅぼーやの買収は、買収額を抑えることでリスクを抑えた成功事例です。

オイシックスは、らでぃっしゅぼーやのM&Aによって、規模の拡大に成功しました。M&Aが実行されたのは2018年、買収額は10億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は高級宅配サービスのオイシックスです。オイシックスは宅配事業のため、規模拡大による効率性の向上を目指し、現在も会員拡大の戦略をとっています。

買収された企業

買収された企業は同じく高級宅配サービスのらでぃっしゅぼーやです。らでぃっしゅぼーやはNTTドコモの傘下で事業を展開していましたが、業績は良いとはいえず苦戦していました。

買収までの流れ

オイシックスは積極的な顧客獲得戦略をとっており、既存の定期購買客の獲得に加え物流の効率化等につながる、らでぃっしゅぼーやの買収はオイシックスの戦略と合致していました。

そこでオイシックスはらでぃっしゅぼーやの事業を入念に評価し、シナジー等を検討したうえで、10億円でM&Aを行いました。

NTTドコモが、らでぃっしゅぼーやを買収した価格が69億円といわれており、10億円は割安な買収といえるでしょう。

㉗楽天によるネット銀行の事業買収

事業買収を活用して自社を中心としたエコシステムの構築に成功した事例が、楽天によるネット銀行のイーバンク買収です。

楽天は以前に買収していたクレジットカード事業に加えネット銀行事業も獲得することで、ECと金融を軸に顧客を囲い込む「楽天経済圏」を確立しました。早くから青写真を描いて、戦略的にM&Aを進めた好事例です。

過半数を取得したのが2009年、出資額は199億円です。2010年に99億円を追加で投入し、完全子会社化をしました。

買収した企業

買収した企業は、国内EC大手の楽天です。楽天は顧客の生活に関するサービスを全て揃えることで、顧客を囲い込む戦略をとっています。

買収された企業

買収された企業はネット銀行大手のイーバンクです。イーバンクはネット専業銀行ではトップの300万口座を持っていましたが、収益は赤字でした。

買収までの流れ

楽天は昔から、ECを軸にして顧客の必要な商品・サービスを提供しつつ、消費の大元である金融も抑えることで、顧客を囲い込む戦略を描いており、その一環としてネット銀行の買収を狙っていました。

イーバンクは当時赤字でしたが、楽天の既存顧客とイーバンクの既存顧客を相互に送客することによる効果で十分なリターンが見込めると判断し、買収に至りました。

㉘ソフトバンクによるイー・アクセス買収

既存のビジネスを守るために事業買収を活用した事例が、ソフトバンクによるイー・アクセス(現ワイモバイル)の買収です。

ソフトバンクは、低価格帯のサービスをM&Aによって手にしたことで、ソフトバンクモバイルでの値下げを回避し、既存事業の収益毀損を抑えました

M&Aが実行されたのは2012年、買収額は3,600億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は国内通信サービス大手のソフトバンクです。ソフトバンクは格安SIMの登場や値下げ圧力のトレンドに対し、既存の携帯電話サービスを守る必要がありました。

買収された企業

買収された企業は、同じく通信事業者のイー・アクセスです。イー・アクセスは420万回線の顧客を持つと同時に、LTE通信網で使用される1.7ギガヘルツの周波数帯の利用権を持っていました。

買収までの流れ

ソフトバンクは低価格帯サービスの獲得や、4Gによる通信料の増加への対応等の観点から、イー・アクセス買収に向けアプローチをかけていました。

最終的に、直近の株価の3倍以上の価格で株式交換を行うに至りますが、サービス網の拡張や通信網の相互利用によるシナジーで、十分にリターンが見込めると判断して決断しました。

㉙鴻海によるシャープの事業買収

次は、外国企業が日本企業を買収した事例をみていきましょう。台湾の鴻海によるシャープ買収は、国内でも相当な議論がありましたが、シャープは無事にV字回復をしたため、間違いなく成功事例といえるでしょう。

M&Aが実行されたのは2016年、66%の株式に対する出資額は4,890億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は、電子機器などの受託製造で世界トップを走っている、台湾の鴻海です。鴻海は受託製造だけでなく、自社で企画製造を行う消費者向けブランドを獲得したいと考えていました。

買収された企業

買収された企業は、国内電機メーカー大手のシャープです。シャープは長年赤字に苦しんでおり、経営再建がなされなければ倒産する、という状況に追い込まれていました。

買収までの流れ

消費者向けの強いブランドを獲得したいと考えていた鴻海は以前からシャープに注目しており、2012年には一度出資をしようとしましたが、契約には至りませんでした。

そのため、2016年のシャープの経営危機は、鴻海にとって再度アプローチをかけるチャンスとなりました。鴻海はデューデリジェンスを行い、財務健全化やブランドの強化、コスト削減等によって十分な再建が見込めることを確信し、出資を決断しました。

なお本事例では、デューデリジェンスの過程で偶発債務の存在が明らかになったため、買収額を調整するといったことも行われました。

㉚ハイアールによる三洋電機の事業買収

ハイアールによる、旧三洋の白物家電事業の買収も成功事例です。ハイアール旧山陽の白物家電をアクアのブランドで投入し、日本市場での巻き返しやアジアでのシェア拡大に成功しています。

三洋の観点では、十分な投資が得られなかったパナソニック傘下からハイアール傘下に変わったことで、活気を取り戻し、積極的な製品開発ができるようになった事例です。

M&Aが実行されたのは2011年、買収額は100億円といわれています。

買収した企業

買収した企業は中国の家電大手であるハイアールです。ハイアールは日本市場に製品を投入していましたが、国産の壁が高く、シェアを伸ばしきれずにいました。

買収された企業

買収された企業は、パナソニック傘下にあった旧三洋電機の白物家電事業です。旧三洋の白物家電事業はパナソニックと完全統合しないまま、パナソニックと重複する事業では十分に投資がされないなど、中途半端な状態になっていました。

買収までの流れ

ハイアールは以前から三洋電機と家電の開発や製造で協業関係にありました。一方、2009年のパナソニックの三洋電機買収後、三洋の家電事業はパナソニック本体の家電事業と重複するため、売却が模索されていました。

ハイアールは日本のブランドを取得することが全社のポートフォリオ強化につながると判断し、旧三洋の家電事業を買収を決めました。

6. まとめ

まとめ

ここまで事業買収の成功事例30選をご紹介しましたが、いかがでしたか?

様々な事例がありましたが、概して共通するのは、以下の3点です。

  1. 買収の目的(既存事業の強化、新事業・顧客・技術の獲得など)が明確
  2. デューデリジェンスや経営者との対話を経て目的の達成を確信
  3. 戦略の実現のために、買収後の統合やコミュニケーションに成功

皆様が事業買収を考える際には是非こうしたポイントを押さえておいてください。

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