太陽光発電のM&A(買収)・売買が急増の理由は?【事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

太陽光発電のM&A(買収)・売買が急増しています。背景を見ると太陽光発電の現状が関わっていることが分かりました。そこで、ここでは急増している太陽光発電のM&A(買収)・売買について、その要因や過去の事例などをまとめました。


目次

  1. 太陽光発電のM&A(買収)・売買・事業譲渡の現状
  2. 太陽光発電のM&A(買収)・売買・事業譲渡が急増の理由
  3. 太陽光発電の売電価格
  4. 太陽光発電のM&A(買収)・売買事例
  5. その他太陽光発電のM&A(買収)に関するニュースや重要事項
  6. 太陽光発電のM&A(買収)・売買まとめ
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1. 太陽光発電のM&A(買収)・売買・事業譲渡の現状

太陽光発電システム

国のFIT政策によって太陽光発電の売買が電力会社に義務化されて10年が経とうとしています。太陽光発電の今に目を向けてみました。

件数急増

ここ最近、太陽光発電のM&A(買収)・売買が急増しています。その理由を探る前にまずは太陽光発電におけるM&Aの現状について解説します。

倒産件数・負債総額も過去最高

太陽光発電の関連事業は大きく3つに分かれています。余剰電力の売却を行う売電事業、太陽光発電の設備設置などを請け負う施工事業、そして太陽光発電設備の管理やメンテナンスなどを行うO&M事業です。

太陽光発電に係る事業者の現状は厳しい物があります。2012年を境として倒産する業者が続出、17年は倒産した事業者数は過去最高を記録しました。

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2. 太陽光発電のM&A(買収)・売買・事業譲渡が急増の理由

急増する太陽光発電のM&A

そうした状況下において、太陽光発電のM&A(買収)・売買・事業譲渡が急増しています。その理由はどういった所にあるのでしょうか。大きく分けると以下の理由が考えられます。
 

  1. 改正FIT法によるルール厳格化
  2. 特別一括償却制度で繰り延べた税金負担
  3. 周辺事業者の倒産
  4. インフラファンドのエグジット戦略

理由①改正FIT法によるルール厳格化

事業計画書提出の義務化

改正FIT法により事業計画の提出が義務付けられました。これはメンテナンスについても含まれた事業計画となっています。これにより、メンテナンスを中心としていた事業者は負担が増加となりました。

さらに許可のみを得ていた売電事業者は、事業許可の取り消しを避けるために設備工事を行う必要性が発生しました。

これにより、太陽光発電への設備投資などを持ち出すことが厳しくなる傾向があり、太陽光発電の事業譲渡に踏み切る状況が増えてきているようです。

出力抑制の導入

また、ある一定量電力の売電が見込まれた場合、出力抑制によって売電を制御されるようになりました。これにより、売電量が減少してしまい、当初見込んでいた収益が得られない状況が可能性として考えられるようになりました。

理由②特別一括償却制度で繰り延べた税金負担

設備の投資に使われた費用を「特別償却」として計上する事で一定の税額控除を受けることができる制度であった「特別一括償却制度」が2015年3月31日に廃止されました。この事により、太陽光発電の設備投資で使われた費用の税金負担が増加しています。

こうした背景から、太陽光発電に投資をする資金を捻出する事が難しくなってしまい太陽光発電事業者の減少につながったようです。

理由③周辺事業者の倒産

先でも触れましたが太陽光発電事業に係る事業には数種類あります。そうした事業が連携して太陽光発電設備を維持・継続していくわけですが、周辺企業が倒産をする事により太陽光発電設備を維持する事が困難となります。

メンテナンスや設備管理などの負担が自社で行えない場合などが発生するため事業譲渡という判断に至るケースもあるようです。

理由④インフラファンドのエグジット戦略

一方、2015年4月に東京証券取引所においてインフラファンド市場が創設されました。そのため、インフラファンドの売電事業について、エグジット戦略として事業譲渡が増えた事も太陽光発電のM&Aが増加した事の大きな要因となります。

3. 太陽光発電の売電価格

太陽光発電の産業用売電が制度化された2012年度に40円をつけていば売電価格も18年には18円となりました。これは売電価格が年に5円ほどの下落で推移してきたためです。また、経産省は太陽光発電の売電価格の目標数値を11円と発表しています。

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4. 太陽光発電のM&A(買収)・売買事例

M&Aの事例

それではここで太陽光発電のM&A(買収)・売買事例をIN-IN、IN-OUT、OUT-IN、OUT-OUTに区分して数点紹介します。

IN-INの事例

IN-INの事例1.いちごグループホールディングス

いちごグループホールディングスは、メガソーラー事業のベンチャー企業ソーラーウェイ(東京都)の全株式を取得しました。これによりソーラーウェイ社が未着手だったメガソーラー設備について早期事業化を目指しました。

IN-INの事例2.ソフトバンクグループ、三菱UFJリース

ソフトバンクグループのSBエナジー(東京都)と三菱UFJリース子会社のMULエナジーインベストメント(東京都)は、とまこまい勇払メガソーラー(北海道)の全株式を取得しました。

この事業買収により、SBエナジーとMULエナジーインベストメントは、さらなる自然エネルギーの普及を図るとともに事業拡大を目指すとしています。

IN-INの事例3.丸紅

丸紅(東京都)、大分ソーラーパワー(大分県)を吸収合併、一部吸収分割を行ういました。このことにより、組織を再編し経営利益の捻出を目指すようです。

IN-INの事例4.株式会社三菱総合研究所

三菱総合研究所(東京都)は三菱UFJモルガン・スタンレー証券(東京都)および関電工(東京都)と事業連携の合意書を締結しました。これはメガソーラー発電事業の長期的で健全な運用を進めるためのものだといいます。

IN-OUTの事例

IN-OUTの事例1.双日

双日(東京都)は、アメリカにある太陽光発電開発事業者のAlten RE Developments America(オランダ・アムステルダム、アルテン・アメリカ社)の株式66.7%を取得しました。

このM&Aが行われたことにより、双日はメキシコでの太陽光発電事業に参画しています。これは日本企業として初の試みとなりました。

IN-OUTの事例2.大阪ガス、三菱商事、シャープ

大阪ガス(大阪府)、三菱商事(東京都)、シャープ(東京都)は3社は共同で、シャープの100%子会社のリカレント社からカナダ・オンタリオ州で開発してきた太陽光発電事業の事業譲渡を合意しました。

このプロジェクトにより大阪ガス、三菱商事、シャープの共同3社は1kWh0.443カナダドル(約35円)を20年間に売電していくという事です。

IN-OUTの事例3.双日

双日はティーソーラー社がペルーで保有しているマヘス太陽光発電所とレパルティシオン太陽光発電所の各々の株式持分のうち49%を取得しました。双日グループは太陽光発電のノウハウを蓄積しつつ事業拡大を目指すとしています。

OUT-INの事例

OUT-INの事例1.カナディアン・ソーラー

カナディアン・ソーラー(カナダ)は、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人に対して、鳥取県と岐阜県にある合計3件の太陽光発電所を売却しました。

OUT-INの事例2.カナディアンソーラーその2

また、カナディアン・ソーラーはシャープからRecurrent Energy社(アメリカ)を買収しました。シャープが同社を売却した理由としては、シャープの業績不振があったようです。

また、シャープからRecurrent Energy社の太陽光発電事業を切り離すことでなどの再構築を図るとしています。

OUT-INの事例3.タイBCPG

電力発電事業最大手のBCPG Co., Ltd.(タイ)は、サンエジソンジャパンを買収しました。この買収でサンエジソンジャパンはBCPG傘下になるものの、業務自体は以前と同様に継続していくとしました。

OUT-OUTの事例

OUT-OUTの事例1.米KKR

世界的な投資会社として有名な米KKRはスペインにある太陽光発電事業大手のゲスタンプ・ソーラーを買収し社名を「エクセリオ」に変更しました。この買収により日本、米国などを中心に世界各地で事業拡大を目指すとしています。

OUT-OUTの事例2.トリナ・ソーラー

トリナ・ソーラー(中国)は、スペインの追尾式太陽光発電システムで世界トップメーカーとして有名なNCLAVE社を買収しました。中国国内以外の追尾式太陽光発電メーカーの買収は中国が母体の太陽光発電企業で初でした。

5. その他太陽光発電のM&A(買収)に関するニュースや重要事項

太陽光発電のニュース

太陽光発電事業において最近話題となったニュースの一つに米テスラ社による生産トラブルがあります。このトラブルはどうした要因から起きてしまったのでしょうか。

テスラの生産トラブル

テスラでは住宅用の屋根と太陽光パネルが一体となったソーラーパネル「ソーラールーフ」の生産を手掛けていました。

ニューヨーク州バッファローに工場を抱えているテスラでしたが、組み立てラインが停滞してしまいます。これは最高経営責任者(CEO)であるイーロン・マスク氏の要求が高すぎたためといいます。

これにより事業提携先であるパナソニックが製造しているセルやパネルがテスラに納品できる見込みが無くなってしまいました。

また、テスラの工場建設などにあたり7億5000万ドルもの補助金を提供したニューヨーク州も雇用や投資の計画が予定通り実行されるか疑問視しているそうです。

この生産トラブルによりテスラの太陽光発電事業は縮小せざるを得なくなりました。テスラはニューヨーク州に施設の完成から2年以内に1460人の雇用と10年間で50億ドルの投資を約束していますが先行きが見えない状況となりました。

デューデリジェンスの重要性

M&Aの重要工程としてデューデリジェンスがあります。デューデリジェンスは買収(M&A)や合併、投資などを行う時に、企業を色々な角度から分析し企業価値やリスクを把握するために行われるものです。

太陽光発電事業においてM&Aなどをする際にもこのデューデリジェンスは例外ではありません。デューデリジェンスの項目には知的財産、顧客、不動産、技術、環境といったものがありますが、優先順位をつけて実行するようにしましょう。

例えば太陽光メンテンナンス事業であれば技術や環境を、太陽光販売であれば顧客をといった感じで、ケースバイケースで判断するとよいでしょう。

6. 太陽光発電のM&A(買収)・売買まとめ

よりよいM&Aを

急激に増やしている太陽光発電のM&A(買収)・売買まとめました。M&Aの増加は太陽光発電事業が不振に陥ったことが原因とわかりました。また、多くの太陽光発電事業のM&Aの実例がある事もわかりました。

太陽光発電のM&A(買収)・売買または事業譲渡には手続きの困難さやさまざまなリスクが存在します。信頼できるM&Aの相談先を見つけることでより良いM&Aを行えます。

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