新型コロナによるM&A市場はどうなる?影響はある?

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取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

拡大一辺倒だと思われていたM&A市場ですが新型コロナウィルス感染拡大問題の勃発により日本経済は大きなダメージを受け、それに比例して2020年のM&A市場は前年よりも縮小しました。コロナがM&Aに与えた影響を分析するとともに今後の動向を考察します。

目次

  1. 新型コロナによるM&A市場はどうなる?
  2. 新型コロナによる各M&A市場への影響
  3. 新型コロナの影響により停滞したM&A市場への対応
  4. 新型コロナ以降のM&A動向
  5. 新型コロナウィルスによるM&A市場への影響まとめ
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1. 新型コロナによるM&A市場はどうなる?

新型コロナによるM&A市場はどうなる?

レコフデータの統計資料(公表が義務化されている上場企業の関わるM&Aを調査した資料)を見ると、日本のM&A成立件数は1993(平成5)年以降、順調な伸びをしていたものの、2008(平成20)年から2011(平成23)年の間は減少しました。

その後、2012(平成24)年から再び上昇に転じ、2017(平成29)年に過去最高数を突破、2019(令和2)年までは3年連続で毎年、記録更新していました。

そして、2020(令和3)年もおそらく記録を再更新するだろうと思われていたなか、新型コロナウィルス感染拡大問題が発生しました。結果的に、2020年のM&A件数は前年比8.8%減と、9年ぶりに減少しています。

この2020年のM&A件数減少の概要を分析するとともに、リーマンショックが発生したときの2008年の減少についても振り返ってみましょう。

2020年前半時点でみられるM&A市場の変化

2020年1~2月の段階では、前年を少し上回るペースでM&Aが成立していました。しかし、3月に新型コロナウィルス緊急事態宣言が発令されます。近年において、コロナウィルスのような世界的な疫病蔓延の経験は誰にもなく、経済界も様子見という状態でした。

それが、4月、5月、6月と時間が進むにつれ、コロナウィルスは簡単に終息するものではなく、経済は大きな打撃を受けるのはやむを得ないという認識が浸透していきます。それを受けて、M&Aを計画していた企業はこれを無期延期、あるいは中止措置を取りました。

M&A交渉中だった企業においても、多くが交渉を打ち切り、M&Aを保留または中止に踏み切っています。結果として、2020年前半期全体として、M&A件数は前年よりも大きく減少することになりました。

2020年後半のM&A市場の動向

そのまま減少状態が続くかと思われたM&A市場ですが、2020年後半期には変化が生じました。消極的に何もしないままだと、ますます経済は落ち込むだけであり、これを打破するためにも積極的な経営戦略を取るべきだと各企業が感じて動き出しました。

M&Aも経営戦略の一環ですから、これまでと同等、あるいはそれ以上の積極性を持って各社がM&A市場に戻ってきました。その結果、後半期の盛り返しにより、2020年全体のM&A件数は前年比8.8%減にとどまり、3,730件成立しています。

これは2019(令和元)年の4,088件、2018(平成30)年の3,850件に次ぐ数字であり、前半期の悲観的状況からは脱したといっていいでしょう。ただし、M&Aの成約金額を比較すると、2020年は前年比17.2%減です。

つまり、大型M&Aはあまり実施されず、小規模・中規模のM&Aが多くを占めていることの表れといっていいでしょう。その一因として、コロナウィルス問題で経営難に陥った中小企業が多く、廃業を避けるためM&Aを選択したケースが増加したと考えられます。

リーマンショック時に起こったM&A市場の変化

2008年のリーマンショック時は、以前よりもM&Aの成約まで時間がかかるようになり、M&Aコストが増加したことから、案件数の減少や規模の縮小が目立っていました。

実際、当事のM&A仲介会社においては、M&A仲介による手数料収入が大きく落ち込み、各企業への資金調達やリストラの助言などが業務の中心になっていたほどです。

その後、大手中小問わず多くの企業がダメージを残し、M&A市場の縮小も2011年まで続きました。しかし、2012年からは、立ち直った企業の海外M&A案件や、団塊世代の経営者の引退による事業承継案件の増加により、全体的にM&A市場は回復基調に向かっていきます。

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2. 新型コロナによる各M&A市場への影響

新型コロナによる各M&A市場への影響

前章では、M&A市場全体に対して新型コロナウィルスが及ぼした影響について述べましたが、ここでは、M&A市場をより細分化して、新型コロナウィルスから受けた影響を分析します。

スタートアップ企業への影響

スタートアップは、革新的な技術開発やビジネスモデルの確立をもって収益を確定する特徴があるため、元から赤字経営で開発を進める傾向にあります。

しかし、新型コロナウィルスの影響で、資金調達先であるベンチャーキャピタルや個人投資家からの融資が停滞する事態が発生しました。なかには数ヶ月先の運転資金まで確保が難しいところもあり、事業存続に不安を抱えるスタートアップも多いのが実情です。

政府主導のコロナ対策の中小企業支援は、売上が減少しなければ適用されないということもあり、コロナ終息が読めない現状では、スタートアップ企業は厳しい状況に立たされています。

海外M&A市場への影響

新型コロナウィルスの流行によって、海外M&A市場も縮小しています。日本企業による海外企業の買収件数はコロナ流行前は毎月10~15件前後でしたが、現在は月に2~3件と大きく落ち込んでいるのです。

一方で、欧州やオーストラリアでは海外企業とのM&A(クロスボーダーM&A)を規制する動きが強まっています。中国系企業やファンドが、コロナウィルスの影響で体力が弱まった欧州企業に対し強い買収姿勢を見せており、その防衛策でしょう。

また、コロナの影響により、米中のように外交関係が悪化する国も見受けられます。コロナが長引いて海外M&A規制を強める国が増えれば、日本企業による海外企業の買収も行いづらくなるのは避けられません。

【関連】クロスボーダーM&Aの成功要因・メリットを解説!件数も紹介!

国内M&A市場への影響

国内M&A市場においてはM&A交渉の長期化や見直しが続いています。コロナ以前より進められていた交渉は成約したものも多いですが、コロナ発生以降の新規案件着手は慎重姿勢を崩さない企業が多いのも現実です。

しかし、リーマンショック時のように、数年先までコロナ影響によるM&A市場の縮小が続くとは限りません。業界別に経営状況を見てみると、新型コロナウィルスの影響で業績が悪くなっている業種がある一方、業績が向上している業種もあります。

また、業績が悪化した中小企業が、廃業だけは避けるために積極的に会社売却を実施しようとする動きもあり、単純にM&A市場が低迷・縮小したままと考えるのは早計です。

【関連】国内M&A市場の展望・トレンドまとめ!

新型コロナの影響によりM&A件数が減った業界

コロナウィルスの影響によりM&A市場が縮小かしてしまっている業界とは、言い換えればコロナのせいで業績が悪化した業界です。具体的には、以下の業種です。

  • 飲食店
  • マッサージ店
  • 旅館、ホテルやその他の旅行関連業
  • イベント企画
  • アパレル
  • 店舗の企画開発業

つまり、3密を避けるために自粛要請など事実上の営業規制を受けた業種です。これらの中には、経営がひっ迫したため会社売却を模索するところもありますが、業界全体としていつ状態が上向くか予測が立たないため、買い手候補も躊躇してしまっています。

新型コロナの影響によりM&A件数が増えた業界

コロナ禍でも逆に業績が上がった業種では、M&Aも活発化しています。具体的には、以下の業種です。

  • IT系
  • EC(ネット通販)
  • 医療業界
  • 医療器具関連企業
  • ドラッグストア

IT系は業務がリモートワークに適しており、従業員の在宅ワーク化によって業務が滞ったりせず業績に影響が出ません。ECの巣ごもり需要による活況は報道のとおりです。医療系は、まさしくコロナが注目させた業種といえるでしょう。

資金のある大手企業の場合、業績が芳しくない事業がある場合、コロナ禍でも活況である上記の事業に進出しようと考えてもおかしくありません。そして、M&Aは、その有力な手段ですから、今後はコロナの影響を受けた業界再編が起きる可能性も大きいでしょう。

【関連】新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?業界別に解説!

3. 新型コロナの影響により停滞したM&A市場への対応

新型コロナの影響により停滞したM&A市場への対応

新型コロナウィルス流行によって各M&A市場に大きな変化がみられており、各企業のM&A戦略は変更を余儀なくされました。コロナ以前よりM&Aを進めていた企業のなかには、交渉が停滞しているところも少なくありません。

コロナ終息への先行きが見えないなか、新たなM&A市場の兆候に着目するとともに、新型コロナで停滞したM&A市場への対応について、売却側・買収側それぞれの視点から解説します。

新型コロナの影響によりスモールM&Aが増加傾向

M&A市場には、大企業が巨額を投じて行う大規模M&Aもあれば、個人事業や小規模会社を売買取引するM&Aもあります。そして、その小規模事業の売買取引の呼称が、スモールM&Aです。コロナ禍においては、そのスモールM&Aが以前よりも活況となっています。

この遠因としては、働き方改革でサラリーマンでも副業を行いやすくなったことですが、それに拍車を掛けたのがコロナ禍でのリモートワークの浸透です。近年、M&A市場では、取引希望者同士がダイレクトに交渉が行えるマッチングサイトが注目されていました。

リモート環境の拡充とマッチングサイトの存在、そして副業の自由化や独立の模索などが相まって、スモールM&Aを実施する個人や小規模会社が一気に増えたと考えられます。

【関連】スモールM&Aとは?探し方・注意点まとめ!実際の案件も紹介!

売却を検討していた企業の対応

さて、ここからはM&Aによる売却を行おうとしていた企業のについて考えましょう。M&Aの売却側企業は、M&A成約のタイミングを中心にして、その後の計画を立てています。

しかし、従業員の引き継ぎや獲得した売却益の運用方法など、計画的に進めていたものがコロナの影響で、ずれが生じてしまいました。売却側企業が新型コロナウィルスじゃら受けた具体的な影響と、考えられる対策について解説します。

売却戦略への影響

新型コロナによる売却側への影響は、M&A長期化による、その間の経営維持コストの負担増です。M&Aスキーム(手法)のうち、特に株式譲渡で会社を丸ごと売却しようと考えている経営者としては、基本的に引退を考えています。

M&A取引が成立すれば会社の経営に関わることもなく、会社を維持する財務面の苦労からも解放されるはずでした。あるいは、財務的に限界が来ていて会社売却を決断したのかもしれません。そんな状況下でM&A交渉が長期化すれば、財務面の悪化は明らかです。

考えられる対策

売却側が考えられる新型コロナへの対策は、一刻も早い成約を目指すことです。交渉が長引くと企業としての体力が削られてしまい、企業価値も下がってしまいます。コロナ不況で状況が悪くなる前に成約できれば、高い金額での売却も実現しやすいはずです。

買収側より提示される条件を全て飲むのは厳しいですが、多少の譲歩はしてでも技術の承継・従業員の雇用先の確保をするためにも、早期の決断がポイントとなります。

買収を検討していた企業の対応

新型コロナの影響で買収側も厳しい状況です。買収側がコロナで受けている影響と考えられる選択肢をみていきます。

買収戦略への影響

新型コロナによる買収側への影響は、業績予想の複雑化です。通常時、買収側は自社と売却企業の事業シナジーを想定してM&A戦略策定をしますが、コロナによる一時的な業績悪化が激しく、買収後の見通しが立てづらくなっています。

また、買収側が上場企業であれば、株主からの同意も得なくてはなりません。買収が失敗して経営が傾くことにでもなれば、株主の損失となってしまうため、リスクを嫌う株主からの反対もM&Aの障害となります。

考えられる選択肢

買収側の考えられる選択肢は、綿密なM&A戦略です。買収後に想定している事業シナジーはコロナ状況下でも機能するのか、徹底的に戦略を練っておく必要があります。正当性・妥当性のあるM&A戦略であれば、買収に反対する株主からの賛同も得やすいはずです。

また、コロナ禍が回復するまで保留という選択肢もあります。M&A交渉が長期化することでコストは増加しますが、急いで成約するよりもコロナ禍の回復まで待ったほうがリスクを抑えられるからです。

M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

新型コロナの影響で売却側・買収側の双方が厳しい決断を迫られています。コロナでM&Aが長期化するほど負担は増加していき、双方の業績変化も激しくなってしまうでしょう。

こうしたコロナ被害を抑えるために大切なのは早期の決断です。コロナ状況下におけるM&Aを検討の際は、中小企業の数多くのM&Aに携わっているM&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所は、スピード成約を得意とするM&A仲介会社です。通常、10ヶ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3ヶ月での成約実績を持っています。

料金システムは完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料です。

コロナの影響で業績予想が厳しい状況のなかでもM&Aを目指す経営者の皆様に対して、真摯に対応いたします。

M&Aを検討される際には、M&A総合研究所までお気軽にお問い合わせください。

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4. 新型コロナ以降のM&A動向

新型コロナ以降のM&A動向

現在の新型コロナウィルス感染拡大問題の中、今後、国内においてM&Aはどうなっていくのかについて考察します。

M&Aの需要は今後ますます増加することが予測される

コロナ禍といっても、業績が好調な業種は多くあり、それらにおいてはM&Aも以前と変わらず活発に行われています。また、業績が不調な業種の場合、経営が行き詰まってきてしまった中小企業が積極的に売却に乗り出しており、買い手次第ではどんどん成立するでしょう。

そして、従来より、経営者が引退時期となった中小企業の事業承継手段としてM&Aが用いられるのは、有力な後継者がいない会社の場合、自明の理です。さらに、ベンチャー企業やスタートアップのイグジット戦略として、M&Aが用いられることも増加傾向にあります。

コロナがいつ終息するかどうかはまだ不明ですが、以上のことと合わせて、ワクチン接種も始まり、また、コロナとの共生の仕方も理解が進みつつある状況を考えれば、全体的な経済の好天化も見込めますから、M&Aが下火とはならないでしょう。

新型コロナ後は業界再編の動きも活発化が予想される

コロナウィルスのまん延により業績が悪化してしまった業界の場合、残念ながら体力のない企業は淘汰されて大手に吸収されていく流れとなり、結果的に業界再編が進むと考えられます。

また、業績好調な業界の場合は、市場シェアをより拡大するために大手企業同士の統合、大手企業による中小企業の取り込み、それらに対抗するために中小企業同士の結託・統合などが進むでしょう。

また、資本力のある異業種からの参入も十分、予想されます。その際にはM&Aが用いられるのが常ですから、以外な組み合わせの統合が生まれる可能性もあり、その場合、業界再編はより活発化するはずです。

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5. 新型コロナウィルスによるM&A市場への影響まとめ

新型コロナウィルスによるM&A市場への影響まとめ

世界中に感染拡大し、まだ終息の気配が見えないコロナウィルスの経済への影響は大きく、それはM&Aも例外ではありません。実際に国内のM&Aだけでなく、海外企業とのM&Aも含めて中止になっているものが多く見受けられます。

〇新型コロナウィルスによるM&A市場への影響
→M&Aの長期化・見直しによるコスト増加が深刻
→コロナ状況下でもM&Aへの前向きな姿勢を崩さない企業も多い

コロナによる状況変化により、M&A市場は冷静な判断が求められています。リスクも伴いますが、うまく立ち回れればコロナ危機を乗り切ることも可能です。

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