2021年09月23日更新
トイザらスアジア事業売却へ!売却額は1,000億円?買収したのは誰?
トイザらス・アジアの売却が、2018年11月に発表されました。買収額は10億ドルで、日本円にして1,000億円と伝えられました。トイザらス・アジア売却の概要と、買収されることによる日本トイザらスへの影響について解説していきます。
1. トイザらス・アジア売却の概要
日本トイザらスの親会社であるトイザらス・アジアが2018年11月5日には売却が決まることを、日本トイザらス社長ディーター・ハーベルが発表しました。
これにより日本トイザらスは、トイザらス・アジアを売却する会社の子会社になります。トイザらス・アジアを買収するのは複数企業のため、数週間ほど延期される可能性もあると日本トイザらス社長は明らかにしました。
発端は米トイザらスの経営破綻
トイザらス・アジアの売却が決まった発端は、世界最大の玩具小売りチェーンの米トイザらスが経営破綻したことです。
2017年9月、米トイザらスは、インターネット通販事業が拡大した影響により経営が悪化し、日本の民事再生法にあたる、連邦破産法11条の適用を決めました。
経営悪化の理由の一つに、買収ファンドにより買収された際、買収費用を負債として押し付けられ、その利子や費用が払いきれなくなったことが挙げられます。
その後、アメリカ国内にあるトイザらスの店舗のうち約20%を閉店し、経営再建を図りました。しかし、経営再建戦略はうまくいかず、2018年3月には事業精算を発表し、米トイザらスが展開している735店舗を閉店すると決定しました。
米トイザらスの経営破綻により、子会社であったトイザらス・アジアは売却されることになりました。
トイザらス・アジアの売却対象は?
トイザらス・アジアは、米トイザらスと香港のファン・グループが出資をして設立した合弁会社です。米トイザらスが約85%、ファン・グループが約15%の株式を保有していました。
売却の対象となったのはトイザらス・アジアのうち、米トイザらスが保有する85%分の株式です。
米トイザらスでは売上が伸び悩み、経営破綻にまで追い込まれ、日本トイザらスでも経営悪化が懸念されました。しかし、米トイザらスとは別の法人で経済上独立していることから、早期にインターネット通信事業に乗り出し、経営悪化を防ぎました。
以上のことから、トイザらス・アジアの企業価値は高く評価され売却へとつながりました。
売却額は10億ドル?買収したのは誰?
米トイザらスの経営破綻により、トイザらス・アジアの売却が決定してすぐにたくさんの入札がありました。複数企業から買収の意向があり、買収価格は10億ドル(日本円で約1,000億円)以上で売却されることが、米トイザらスの弁護士によってわかりました。
米トイザらスが所有する約85%の株は、投資ファンドや金融機関など複数社が79%を取得し、15%を既に持っていた香港の小売り大手ファン・リテーリングが6%追加で取得しました。ファン・リテーリングが大株主になります。
2. 日本トイザらスへの影響
トイザらス・アジアの売却により、子会社である日本トイザらスへは、どのような影響が考えられたのか、日本トイザらスのディーター・ハーベル社長が考える日本トイザらスの経営戦略を元に解説します。
日本トイザらスの歴史
日本トイザらスは、1989年、米国トイザらス社と日本マクドナルド社の出資により設立された合弁会社です。
1991年12月に、1号店となる「トイザらス荒川沖店」が開店、翌月には2号店が開店し、同年3月に「トイザらス相模原店」が開店しました。この年、トイザらス相模原店では、全世界のトイザらス店舗のうち、1日そして一年間の売上最高記録を樹立しました。
その後、全国展開が加速し、2000年11月には100号店が開店しました。2002年、より年齢の小さい子に向けた玩具を販売する「ベビーザらス」が開店、その2年後には150店舗を達成しています。
2006年、インターネットショッピングサイトを運営している「トイザらス・ドット・コム ジャパン」を吸収合併し、商品販売ルートの多角化に成功しました。
2010年、米国トイザらス・インクの100%子会社となりましたが、経営破綻しトイザらス・アジアの売却予定が明らかになった2017年4月、トイザらス・アジア・リミテッドのグループに加入しました。
日本トイザらスの経営戦略
米トイザらスが経営破綻し、トイザらス・アジアの売却によるトイザらス・アジアの子会社である日本トイザらスへの影響が懸念されましたが、「トイザらス・アジアや日本トイザらスは、米トイザらスの精算による影響はない」と、トイザらス・アジアの社長や、日本トイザらス社長が、公式ホームページより明言しました。
実際、トイザらス・アジアでは、毎年新店舗をオープンしており、日本トイザらスも新店舗のオープンや、既存店のリニューアルオープンをしてきました。
日本では少子高齢化が深刻化し、人口減少も相まって玩具小売市場の縮小が懸念されていますが、日本トイザらスの社長は、「少子高齢化や人口減少は今に始まったことではない。しかし、購買方法が変化しているのは事実であり、オンラインショッピングは今後も成長していく。」と述べています。
日本トイザらス社長が考える戦略は下記のとおりです。
- 実際に玩具を体験できる小型店舗
- 購買しやすい都市部の店舗
- 大きな商品も郵送できるオンラインショッピング
- 店舗と地域が一体となった玩具体験型イベント
日本トイザらスは、日本における環境やニーズに対応して、経営戦略を検討していました。
日本トイザらスとサンタクロース
トイザらス・アジアの売却のニュースと、ほぼ同時期に報道されたのが、日本トイザらスがサンタクロースの公認パートナーになったというニュースです。
2018年11月1日、「グリーンランド国際サンタクロース協会」の日本支部と日本トイザらスは協定を結び、日本では公認サンタクロースをとおして児童養護施設の子どもへの寄付も行われています。
東京都で行われた調印式で、日本トイザらスのディーター・ハーベル社長は、「日本事業は利益をしっかり出している」と発言し、トイザらス・アジアの売却後も日本事業は継続していくと強調しました。
3. 米トイザらスの現在の状況
2017年に経営破綻したトイザらスは、米小売り大手ターゲットと提携して、インターネット通販を再開しています。トイザらスの通販サイトでの購入手続きは、ターゲットのウェブサイトに移動して行われています。
また、2019年11月に、ニュージャージー州とテキサス州にトイザらスを開業しました。店舗は以前より小規模ですが、プレイエリアを設置して消費者の「体験」に力を注いでおり、トイザらスは自らのブランドとして魅力を使い「体験」を売る試みです。
2020年には10店舗の開業も狙っています。
4. トイザらス・アジア売却まとめ
トイザらス・アジア売却のニュースの要点は、下記のとおりです。
- 売却額は約10億ドル(日本円にして1,000億円超)
- 香港のファングループを初め複数企業が買収の意向を示した
- 日本トイザらス社長は「影響はない」としている
- 日本トイザらスは今後も経営戦略を進めていく
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