2021年03月26日更新
社長の引退年齢の平均や適齢期を解説!退任後は何をする?

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。
全国社長の平均年齢は62.16歳と報告されています。しかし、平均年齢の数値は必ずしも引退・退任の適齢ではなく、多くの企業では事業承継問題を抱えている状況です。本記事では、問題解決のために考慮すべき引退理由や社長退任後の生活なども交えて解説します。
目次
1. 社長の引退年齢
社長が引退する際はさまざまな理由が関係しますが、主な理由としては「年齢」が決め手とされています。
とはいえ、社長の引退は、今日思いついて即座に実行できるほど容易ではありません。社長が引退時期を迎える前に把握しておくべきことは、主に以下の3つです。
- 社長が年齢による引退を決める理由
- 高齢社長による弊害
- 社長が引退をするパターン
それぞれの項目を順番に見ていきましょう。
①社長が年齢による引退を決める理由
高齢期を迎えた社長には、生涯現役で社長業を続けていきたいタイプと、元気なうちに引退して社長の地位を譲ろうとするタイプの2種類が存在します。
圧倒的に多いタイプは前者ですが、次世代へバトンタッチしたいタイプの社長であれば、社長業のピークが過ぎたことを、引退を決めた理由として挙げるケースが多いです。
②高齢社長による弊害
はじめに、日本の高齢社長の現状を紹介します。2020年6月に東京商工リサーチが発表した『全国社長の年齢調査(2019年12月31日時点)』によると、全国社長の平均年齢は62.16歳です。
上記のデータは前年より0.43歳伸びているほか、調査開始の2009年以降で過去最高年齢を記録しています。
このように社長の平均年齢が伸びている理由の1つに、社長交代がなかなか進んでいない点が挙げられます。
ここで会社の赤字や減収などの経済状況と社長の年齢の関係を見ると、社長が高齢であることが理由で業績悪化を生じさせているケースが多いこともわかっているのです。
③社長が引退するパターン
社長が引退するパターンには、主に以下の3つがあります。
- 後継者に任せる
- 会社を売却する
- 会社を清算する
1つ目の後継者に任せるパターンでは、事業承継のために引退時期まで10年~20年ほどの時間をかけて育成をしておく必要があるため、あらかじめ引退時期を入念に考慮しておくことが大切です。
2つ目の会社を売却するパターンは、上記のパターン以上に容易な選択ではありません。また、3つ目の会社を清算するパターンも、従業員や取引先との関係を考えると同様のことがいえます。
売却する場合には、そもそも買い手が現れるような魅力ある会社にしておく必要があります。たとえ会社の業績が良くても、決断を先延ばしにしてしまい業績が悪化すれば、買い手が現れなくなるケースも多いです。
事業承継・会社売却・清算(廃業)、いずれの選択を取るにしても、社長としては、引退時期を前もって定めておきながら、準備を怠らないよう意識しておくことが大切です。
2. 政府が社長の引退を推奨する理由
政府や金融機関は社長の引退を推奨しており、これに伴い中小企業の対応も徐々に変化している状況です。
政府が社長の引退を推奨する理由の1つに、不良債権の存在が挙げられます。
現在ではリーマンショック以降の不良債権については一定の処理が完了していますが、会社が承継されないことで生じる不良債権については将来的に膨大に生じてくるおそれがあると見込んでいるのです。
そのため、今後は社長引退までの後継者の有無だけでなく相続税などコスト面における対応までもが、中小企業の評価に影響を与える要素になると推測されています。
3. 社長の引退年齢の平均
2012年11月に野村総合研究所が実施した『中小企業の事業承継に関するアンケート調査』によると、社長の平均引退年齢は以下のように推移しています。
30年以上前 | 20~29年前 | 10~19年前 | 5~9年前 | 0~4年前 | |
中規模企業 | 61.3歳 | 66.1歳 | 67.5歳 | 67.8歳 | 67.7歳 |
小規模事業者 | 62.6歳 | 68.1歳 | 69.8歳 | 70.7歳 | 70.5歳 |
上記のデータを踏まえると、企業状況や規模にもよりますが、中小企業の社長の引退年齢はおよそ67歳~70歳程度となっているうえに、年々上昇傾向にあることがわかります。
62.16歳という社長の全国平均年齢から鑑みても、今後の5年で多くの中小企業の経営者が引退時期を迎えることが想定される状況です。
4. 社長の引退年齢の適齢期
近年における社長の平均年齢が62.16歳(過去最高の数値)と報告されている点と、平均引退年齢が65歳~70歳程度と報告されている点を踏まえると、高齢社長の割合が増加傾向にあるといえます。
高齢になっても社長を続ける理由の1つに、社長交代がなかなか進まない点が挙げられます。そこで社長としては、引退年齢の適齢期をあらかじめ考慮しておきながら引退時期を定めておくようにしましょう。
おすすめの社長の引退年齢
社長の能力のピークや引退前に行う後継者の育成期間などを考慮すると、社長の引退年齢は「50~55歳」程度がおすすめといえます。その理由は大きく分けて、以下の2つです。
- 社長の能力は50代でピークを迎えるため
- 後継者の育成期間を確保するには60代以降では間に合わないため
人間は50歳を超えると「自分」を変えることが困難になります。つまり、周囲に合わせたり柔軟な対応を取ったりすることが難しくなり、場合によっては自分の尺度でしかものを考えられなくなってしまう人もいるのです。
こうした人間の変化は会社の業績に悪影響を与えるおそれがあるため、早期の段階で事業承継すると良いでしょう。
なお、一般的に業績が良好な状態で次世代へと承継する場合、会長と社長という体制で後継者育成期間を設けられます。これにより、業績悪化の要因を減らしながら、合理的な事業承継を目指すことが可能です。
5. 社長が引退を決断した時にすること
社長が引退を決断した時に考えておくべきことには、以下の4つがあります。
- 引退時期はいつにするのか
- 事業承継の方法をどうするのか
- 後継者の育成を行うのか
- 今後の人生をどうするのか
それぞれの項目を順番に見ていきましょう。
①引退時期はいつにするのか
社長が引退を決断した際に、真っ先に考えるべきことは「引退時期」です。当然のことながら、いつ引退するのか考えておかなければ、事業承継の計画を策定できません。
②事業承継の方法をどうするのか
社長が引退するパターンの1つとして、後継者に任せる方法が挙げられます。このパターンを採用する場合には、事業承継の手法を考えておかなければなりません。
事業承継の主な手法には、親族内承継・親族外承継・M&Aによる第三者への承継という3種類があります。
これらの方法にはそれぞれ異なるメリット・デメリットが存在するため、引退時期を迎える前にどの方法が自社にとって適切であるのか考慮しながら計画を立てておきましょう。
③後継者の育成を行うのか
社長に就任している方は、これまでさまざまな経験を積んで会社を育ててきたという経営者ばかりです。経営手腕は短期間で身に付くものではないため、事業承継では後継者の育成が重要となります。
なるべく早い時期から育成をとおして経験を積ませながら、段階的に権限を移譲していくことが望ましいです。
④今後の人生をどうするのか
事業承継は、多くの社長が懸念する問題といえます。なぜなら、社長の中には、「仕事が生きがい」「会社は自分にとって最も居心地の良い場所」と考えている方も少なくないためです。
以上のことから、社長としては、引退後の人生で「何を生きがいとするのか」決めておくと良いでしょう。
6. 社長は退任後に何をすべきか?
社長の退任後は、今後の人生をどう過ごすのかを考えておく必要があり、引退後の人生において「何を生きがいに生きていくのか」を定めておくことが大切であるとお伝えしました。
ここでは、具体的に何をすべきなのか、退任後の生活について紹介します。
会長職となる
実のところ、法律の観点では「社長」という役職に明確な決まりはありません。これと同様に「社長の引退後の役職は〇〇とする」といった決まりもないのです。
とはいえ、日本の風潮としては「係長→課長→部長」というように、慣習により役職の変遷が定められている会社が多く見受けられます。
上記と同様に、「社長の引退後は会長職とする」と定めている会社も多いです。
第2の人生を過ごす
社長引退後は、「第2の人生を過ごす」という選択肢も有益です。このパターンでは、例えば、仕事を支えてくれた家族への感謝の意味を込めて旅行したり新しい趣味にチャレンジしたりと、有意義な時間を過ごせます。
新しい働き先を探す
退任後は、「新しい働き先を探す」選択肢も1つの方法です。しかし、再就職の場合には、退任後に前職と同等の収入を得ることは厳しいといわざるを得ません。
とはいえ、近年ではシルバー人材の雇用も積極的に行われているため、自分のスキルなどを活かして再就職先を探してみるのも良いでしょう。
暇になり喪失感を持つ
社長に就任していた時期は常に解決すべき問題や今後の課題などと向き合ってきたため、自分で自由に使える時間が少なかったという方も多いです。
しかし、退任後は仕事から離れて自由になる時間が増えるために、かえって喪失感を持つケースも少なくありません。
そのため、退任後は喪失感とどのように向き合っていくのか考慮することが重要です。俗に定年うつなどと呼ばれる「燃え尽き症候群」のような状態に陥る人もいるため、物事を楽観的に見ていく姿勢が求められます。
7. 社長が引退を決めた際の相談はM&A仲介会社まで
紹介してきたように、全国社長の平均年齢が62.16歳、中小企業における引退平均は67~70歳程度という調査結果が出ていますが、引退の適齢期(50~55歳)と比較すると大きな差が生じていることがわかります。
高齢社長が引退できない原因の1つには、会社承継がスムーズに進まない点が挙げられます。この問題を解決するには、M&A仲介会社などの専門家によるサポートが必要不可欠です。
M&A総合研究所では、M&Aに精通するアドバイザーが専任により手続きをフルサポートを実施しておりますので、複雑な交渉や手続きにおいても円滑な進行が可能です。
M&A総合研究所は、完全無料の完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっており、着手金は完全無料です。
相談料は無料となっておりますので、社長の引退に伴う事業承継について不安がある場合にはお気軽にご相談ください。
8. まとめ
本記事では、社長の退任における主な理由として「年齢」をもとに解説しました。さまざまな事情によって社長の引退時期は変動しますが、いずれ仕事から離れる日が来ると覚悟しておくことが会社のためにもなります。
【社長の退任の決意するまでに考慮すべき要素】
- 高齢社長による経営は業績悪化へと結びつく
- 事業承継が滞ることで不良債権が発生する
- 社長の平均引退年齢は67~70歳
- 社長の引退年齢の適齢期は50~55歳
【社長が引退を決意した時にすること】
- 引退時期はいつにするのか決める
- 事業承継の方法を定める
- 後継者育成の方法を決める
- 今後の人生をどうするのか定める
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