2022年09月08日更新
跡取りに会社を継いでほしい!跡取りの意味や役割、育て方、承継方法を解説
会社を継ぐ跡取りのメリットやデメリット、跡取りの教育や説得方法などを解説します。親族へ事業承継する際の流れも記載しているので、ぜひご参考ください。跡取りがいない場合の解決策として、M&Aの有用性も紹介しています。
目次
1. 経営者にとって跡取りとはどのような存在か
まずは、経営者にとって跡取りとはどのような存在なのか、用語の意味や動向などを解説します。
跡取りの意味・使い方
跡取りとは、家督を継ぐことや、その人・跡継ぎ・世継ぎなどを意味する言葉です。以下は、跡取りの言葉を用いた例文です。
- 商人はその子を養子にして跡取りとした。
- 彼は名門の長男で跡取りだ。
中でも経営者にとって跡取りとは、これまで育ててきた会社を継ぐ人のことです。家督を継ぐというよりも、ビジネスを任せる後継者といえます。
従来、家業を継ぐ者とは息子や娘でした。しかし、現代では自由に職業を選択できるようになり、さまざまなライフスタイルの広がりを見せています。これに伴い、息子や娘が会社を継がない、または息子や娘に会社を継がせない経営者が増えている状況です。
親族に後継者がいない場合、従業員を後継者にするケースもあります。しかし、従業員にも後継者がいない会社も多いです。
跡取りのいない会社が増えている背景
跡取りのいない会社(後継者不在に直面している会社)は、非常に多いです。特に日本企業の9割を占める中小企業の多くが、後継者問題に悩まされています。跡取りがいない原因はさまざまです。跡取り候補となる息子や従業員がなぜ現れないのか、理由を確認します。
- 息子・娘(親族)の問題
- 従業員の問題
息子・娘(親族)の問題
息子や娘のような親族に跡取りがいない理由として、息子や娘が「跡を継ぎたくない」と思っているケースがあります。親の後を継ぎたくない子どもは多いです。跡取りが敬遠される理由は、主に以下の3つあります。
- 他社で働いていて、その会社で働き続けたい
- 事業や業界の将来性が不安である
- 経営者になりたくない
職業選択の自由化が進み、親の会社でなく他社で働く子どもも多いです。「今働いている会社で出世し、長く働きたい」と思う人も少なくありません。
就職すると親の会社の事業や業界の立ち位置が見えてきて、会社の将来に不安を抱くこともあります。親の会社に不安がある子どもは、自分が経営者になって稼ぐよりも、安定した給与をもらえる従業員を選択することも考えられます。親族が会社を継いでくれない場合、経営者になる不安を解消する努力が必要です。
従業員の問題
従業員に会社を継いでほしい場合でも、親族と同じく後継者候補の不安を取り除くことが課題です。しかし、従業員を後継者にしたい場合、従業員の気持ちよりも事業を任せられる人物がいないことが問題となりやすいです。
従業員に会社を継がせる場合、親族に継がせるより個人の能力が重視されます。経営者に向いている人物を見つけられないケースもあります。
中小企業の場合、後継者に適した人物がいないからと雇用を増やすことは難しいです。人を増やしたくても増やせないため、後継者も簡単には見つけられないでしょう。
従業員が会社を継いだ場合、他の従業員の恨みやねたみが発生することもあります。会社を継いだ従業員を好ましく思っていない従業員が会社を離れてしまう可能性もあり、従業員を後継者にすることは難しい面が多いです。
2. 跡取りに親族(息子・娘)を選ぶ3つのメリット
①事業承継の準備を早くからできる
親族であるため、子どもの頃から事業承継の準備を行えます。会社の事業内容や経営方法を早期に教えることで、本人も会社を継ぐ自覚をしやすいです。子どものときから経営者として、心構えや勉強もさせられます。
このように親族を跡取りにすることには、親族だからこそ経営者・跡取りが長期に渡って準備しやすいメリットがあります。
②従業員や取引先に受け入れられやすい
親族への承継は一般的に行われているため、従業員や取引先に受け入れてもらいやすいです。例えば、従業員に承継した場合、不仲な従業員がいるかもしれません。不仲な従業員は跡取りとなった従業員のもとで働き続けないことが想定されます。
しかし、経営者の親族なら跡取りになることは自然です。これまでの待遇や企業文化を継続することも期待できます。いざ会社を継いだ際も、心情的に受け入れてもらいやすいです。
③所有と経営の分離を回避しやすい
親族へ事業承継すると、所有と経営の分離を回避しやすいです。所有と経営の分離とは、会社の経営者と所有者(株主)が分かれていることをさします。
中小企業の場合、経営者と株主が同一であることが多く、所有と経営の分離を行っている会社が少ないでしょう。親族へ事業承継すると、所有と経営の分離を回避しやすくなります。
所有と経営の分離を回避する理由
所有と経営が分離していると、経営者の独断を株主が防げるようになります。しかし、裏を返すと、経営者は思うように会社経営ができなくなります。なぜなら、株主は会社の経営者や従業員の生活よりも利益を追求するためです。
例えば、経営者が現状よりも会社を良くしたいと思い人材開発や商品の研究・開発をしたくても、これらはすぐに利益につながりません。人材開発などに投資を行うと、一時的に利益は下がる可能性があります。
株主は会社の経営状況が悪くなったと考え、コストカットとして人件費削減を要求することもあります。このように、株主が会社の資本を握っているため、経営者は将来への投資をしにくくなるでしょう。
中小企業の場合、経営者と株主が分かれていると経営しにくくなるため、所有と経営は一体化していることが望ましいと考えられています。
3. 跡取りに親族(息子・娘)を選ぶ3つのデメリット
跡取りに親族(息子・娘)を選ぶ際、主に以下の3つのデメリットがあります。
- 経営の素質がない可能性がある
- 経営者として育てる時間が必要となる
- 相続トラブルになる可能性がある
それぞれ詳しく解説します。
①経営の素質がない可能性がある
跡取りとなる親族に、経営の素質がない可能性があります。経営の能力がないのに事業承継すると、事業承継後に経営状況が悪化するかもしれません。従業員からも冷たい目で見られる可能性も捨てきれません。そうなると、跡取りだけではなく、従業員のモチベーションも低下してしまいます。
最終的には離職してしまうこともあるため、未然に防げるように跡取りの育成を重点的に行いましょう。
②経営者として育てる時間が必要となる
経営者の育成には多くの時間が必要です。事前に跡取りとして納得してもらい、育成を進めているなら問題ありません。しかし、跡取りが必要と判断した段階で頼むと、ゼロからスタートしなければなりません。
経営に関するノウハウや、何を重視してどのようにアクションすべきか知らない状態では、今後の事業の見通しを立てることも難しくなります。もしも親族への承継を検討しているのであれば、できるだけ早い段階から育成を進めておくことをおすすめします。
③相続トラブルになる可能性がある
経営者の死後、跡取りと他の親族との間で相続トラブルに発展する可能性があります。跡取りは決まっているものの生前に事業承継せず、何も対策しないまま経営者が亡くなると、跡取りだけでなく他の相続人にも資産が分配されます。なぜなら、中小企業の場合、事業の資産(株式)を経営者が所有しているケースが多く、死亡者の資産は相続人に分配する法律があるためです。
経営に関係のない人に会社の資産が相続されると、会社が円滑に経営されなくなる可能性があります。このような相続トラブルを回避するためにも、生前に跡取りと他の親族に対する分配をしっかり決めておきましょう。
4. 跡取りへの説得を成功させる5つのポイント
「跡取りの候補はいるものの、まだ継いでもらえるかわからない」と悩む経営者もいます。そこで、跡取りへの説得を成功させる5つのポイントをご紹介します。
- 跡取りのメリットやリスクを考える
- 事業の将来性を考える
- 跡取りに自社株式・事業用資産を集中させる準備をする
- 跡取り以外の相続人に配慮する
- 企業の価値を知る
それぞれ順番に解説します。
①跡取りのメリットやリスクを考える
跡取りのメリットやリスクを考えましょう。跡取りは会社を継ぐ不安を抱えているものです。跡取りの気持ちとなり、跡取りにとってのメリットやリスクを考えて、解決策や回答を用意することが大切です。跡取りのメリットには、以下の項目があります。
- 定年やリストラの不安を抱える必要がない
- 組織のトップとして活躍できる
- 事業の成長に携われる
- 人脈を増やしていける
これに対して、会社を継ぐリスクには、以下のようなことが考えられます。
- 給与が安定しない可能性がある
- 経営に関する責任が重くのしかかる
- 債務や借金も引き継ぐ必要がある
- 従業員との関係が変わり悪化することがある
会社を継ぐメリットだけでなく、リスクも把握して跡取りの理解を得ましょう。メリットのみを話しても、跡取りはいずれリスクを知ります。
リスクを知った後に「やっぱり会社を継ぎたくない」と思われないために、最初にきちんと話して解決策を用意しておきましょう。
②事業の将来性を考える
会社や事業に将来性があるか考えましょう。もしも現状で将来性が見いだせないならば、親族への事業承継は避けた方が無難です。なぜなら、親族が経営者となって劇的に会社を良くすることは非常に難しく、逆に会社を継いだ跡取りが困窮してしまうためです。
安心して会社を継いでもらうためにも、業界や社会の流れを読み取って会社の将来性を見極める必要があります。会社を継いでもらうなら、跡取りに会社の将来性を論理的に話し、理解してもらいましょう。
③跡取りに自社株式・事業用資産を集中させる準備をする
相続が発生した場合に跡取りが困らないよう、自社株式や事業用資産を跡取りに集中させる準備をします。跡取りを説得する際に相続時のリスクも話して、跡取りが経営以外のことで困らないようにする旨を伝えましょう。
実際に準備していることを知れば、跡取りも前向きに会社を継ぐことを考えてくれます。何も対策していないと、跡取りになることに二の足を踏む可能性があります。「あなたに会社を継いでほしいから、準備していますよ」という旨を、隠さず正直に伝えましょう。
④跡取り以外の相続人に配慮する
親族へ事業承継する場合、相続トラブルが起きる可能性を跡取りが心配している可能性があります。跡取り以外の相続人に配慮していることを伝えましょう。
相続トラブルを跡取りが知らない場合でも、トラブルにならないよう対策していることを伝えれば、跡取りの不安を軽減できます。
⑤企業の価値を知る
跡取りを説得するために、自社の企業価値を把握しておくことも有効です。説得するためには客観的なエビデンスが必要とされるため、専門家に依頼して企業評価を行うと良いでしょう。
企業評価では具体的な値段も算出されるので、跡取りも会社を継ぐかどうかを考える判断材料の1つとなります。
もしも企業価値評価をご希望であれば、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aアドバイザーによるフルサポートを行います。企業価値評価は無料で行っていますので、まずはお気軽にご相談ください。
5. 跡取りに会社を継いでもらう流れ
跡取りに会社を継いでもらう流れを、5つに分けて説明します。
- 経営状況を確認する
- 跡取りの意思を確認する
- 事業承継方法を決める
- 事業承継計画を立てる
- 事業承継を実行する
順番に詳しく説明しますので、どのように事業承継するかイメージを描きましょう。
①経営状況を確認する
まずは、現在の経営状況を再度確認しましょう。売上・従業員・事業の将来性など、改めて事業を見直します。
経営状況の悪い会社を誰も継ぎたくありません。現在の経営課題も洗い出し、事業承継までに改善しましょう。現在の経営状況を把握し、資料にまとめておくと、跡取りへの説得もしやすいです。
②跡取りの意思を確認する
経営状況を確認できれば、実際に跡取りの意思を確認しましょう。このときに、ただ会社を継ぐかどうかではなく、論理的に経営状況を説明します。なぜなら、跡取りは会社を継ぐことを軽く考え、経営状況がどうなっているか知らない可能性があるためです。
経営状況を知らないまま事業承継すると、経営が悪化して廃業や従業員の離職につながります。跡取りにしっかり経営状況を理解してもらったうえで、会社を継ぐ意思を確認することが重要です。跡取りに会社を継ぐ意思があれば、事業承継の方法を決めましょう。
③事業承継方法を決める
親族へ事業承継する方法は、以下の3つあります。
- 相続による承継
- 生前贈与による承継
- 売買による承継
それぞれの事業承継方法を詳しく確認し、自分に合った方法を判断しましょう。
相続による承継
相続による承継とは、経営者の死後に相続が発生した際に、跡取りに事業承継する方法です。相続による承継をする場合、必ず遺言を作成して「跡取りに事業に関する資産などを相続させる」ことを記載しましょう。
なぜなら、跡取りは決まっていても、生前に事業承継しなかった場合に対策していないと経営者の資産(株式など)が跡取りだけでなく他の相続人にも分配されるためです。そうなると、事業を継いだ跡取りがスムーズに経営できなくなります。
このような相続トラブルを避けるため、相続による承継を行う場合は、遺言書の作成を専門家と相談しながら行いましょう。
生前贈与による承継
生前贈与による承継とは、経営者が生きているうちに事業の資産を跡取りに贈与する方法です。生前贈与による承継は、跡取りに承継しやすいですが、税金が高くなるデメリットがあります。
生前贈与する場合、暦年課税贈与の利用を考えましょう。暦年課税贈与とは、贈与税の非課税枠である年間110万円内を数年にかけて贈与する方法です。時間はかかってもなるべく跡取りに負担をかけないよう承継するためには、専門家への相談も行いましょう。
売買による承継
親族への事業承継ではそれほど使われないものの、売買による承継も考えられます。売買による承継とは、経営者の持つ株式を跡取りが買い取る方法です。
売買による承継ならば、相続税や贈与税は必要がありません。しかし、跡取りに株式を買い取る資金力が必要です。
④事業承継計画を立てる
事業承継方法が決まれば、事業承継計画を立てましょう。事業承継計画は、いつどのようなことをするか具体的にスケジュールにします。
親族への事業承継では跡取りの育成に時間がかかるため、跡取りの育成から実際に経営を任せる段階まで計画しましょう。跡取りが入社してから、短くても5年間は必要です。その間にどのようなことを修得してもらいたいか書き出します。
事業承継は会社の未来を左右するため、事業承継計画は経営者のみで決めず、跡取りや役員とともに作成しましょう。
⑤事業承継を実行する
事業承継計画を立てたら、実行に移しましょう。計画どおりに進まない場合は、その都度修正します。
実際に跡取りが会社を継いだ後も、しばらくはサポートしなければなりません。跡取りが立派に経営者として独り立ちできれば、事業承継は成功です。
円滑に跡取りに事業承継するポイント
ここで、円滑に経営の跡取りに事業承継するポイントを紹介します。
まずは、株主から理解を得ておくことです。株主からの理解を得ずに、跡取りが会社を継ぐことは非常に難しいです。中小企業の株主は親族のケースが多いですが、株主との関係が良くなければ将来経営困難となることもあります。親戚同士の集まりなどに出席するなどして株主と交流を取り、会社を継ぐ意向を示しながら株主の協力を求めましょう。
取引銀行からの理解も欠かせません。取引銀行からの協力がなくては、会社経営は成立しません。取引銀行は、跡取りの借入金への返済能力を期待します。銀行は現経営者を信じて融資をしていることから、跡取りにも信用性を求めるため、経営方針を数字で表したり誠意を示したりすることが重要です。
このように親族への事業承継にはさまざまなステップがあり、時間も手間もかかります。専門的な知識が必要となる場面も多いため、専門家のサポートのもとで進めていくことが望ましいです。
M&Aによる事業承継をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。事業承継に精通したM&Aアドバイザーが、親身になって案件をフルサポートします。無料相談を行っていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
6. 跡取りを教育する方法
経営者として跡取りを育てるための4つの方法を紹介します。
- 他社で経験を積ませる
- 自社で経験を積ませる
- 経営者や業界のセミナーで勉強させる
- 経営の一部を任せる
経営者として育てるためには、これらすべてを行った方が良いでしょう。順番に詳しく説明しますので、ご参考ください。
①他社で経験を積ませる
跡取りには、自社以外の会社を知ってもらいましょう。新入社員で自社に入社すると、社会での自社の立ち位置や他社の価値観を知らずに成長してしまいます。会社を継いだ後も従業員と慣れ親しんで威厳を保てず、世間知らずな社長となりかねません。
経営者として会社を率いてほしいならば、初めての会社は他社であることが望ましいです。3~5年間、同業の自社よりも大きな会社に入社してもらえば、業界のことだけでなくノウハウも学んでくれます。
②自社で経験を積ませる
他社で働いた後は、自社で経験を積ませましょう。経営ではなく従業員と一緒に働かせると、上辺だけの事業内容ではなく実際の仕事を覚えられます。
多くの部署がある場合は、さまざまな部署を知ってもらうことも必要です。どの部署がどのようなことをして会社に貢献しているか理解できます。従業員と現場で働くことで、社長となった後も現場のことを考えられるようになります。
③経営者や業界のセミナーで勉強させる
自社に入社させた後、外部の経営者や業界のセミナーで勉強させましょう。外部のセミナーに参加することで、視野が広がりさまざまな視点で経営を考えられるようになります。
経営者セミナーでは経営手法や経営における課題の解決方法などを学び、業界のセミナーでは業界の縮図や自社の将来性を理解できるでしょう。
セミナーに参加すると、他の経営者や同業の人と知り合え人脈も広がる可能性があります。今後、跡取りが経営者になったときのためにも、人脈を広げておくことが望ましいでしょう。
④経営の一部を任せる
跡取りが自社の仕事に慣れてきたら、経営の一部を任せましょう。初めからすべてを任せるのではなく、少しずつ任せることで成功や失敗を繰り返して跡取りに経営者としての自信を付けさせることが大切です。
子会社があれば、子会社を任せてみましょう。どのような組織であれ、組織のトップに立つことでトップとしての自覚や振る舞いを理解できます。段階を踏むことで経営者として会社を継ぐイメージも固まり、会社を継ぐ意思が固くなります。
7. 跡取りがいないならM&Aをしよう
もしも跡取り候補に会社を継ぐことを断られたら、M&Aで第三者に事業承継する手もあります。「でも、M&Aはよくわからない」と思っている経営者の方も多いです。そこで、M&Aをするメリットとデメリットを解説します。
- M&Aをする5つのメリット
- M&Aをする4つのデメリット
①M&Aをする5つのメリット
M&Aをするメリットは、主に以下の5つあります。
- 売却・譲渡益を獲得できる
- 廃業コストがかからない
- 従業員の雇用を継続できる
- 短期間で引き継ぎができる
- 事業の発展を期待できる
それぞれのメリットを順番に説明します。
売却・譲渡益を獲得できる
M&Aをすると、売却・譲渡益を獲得できます。なぜなら、M&Aは第三者に経営権を譲り、代わりに金銭を受け取る取引であるためです。
M&Aによって獲得した現金は、老後の資金にしたり、遺産として親族に残したりできます。
廃業コストがかからない
M&Aであれば、廃業コストがかかりません。これに対して、廃業には、廃業手続き費用・設備や在庫の処分費・場所を借りていれば原状復帰に費用がかかります。
会社の規模や形態によりますが、1,000万円以上かかることもあります。跡取りがいないために廃業を考えているなら、M&Aの方が現金を手に入れられて廃業コストがかからないためにお得です。
従業員の雇用を継続できる
M&Aをすれば、従業員の雇用を継続できます。廃業にすれば、従業員を解雇せざるを得ません。しかし、M&Aで経営を続けてもらえれば、従業員をそのまま雇用でき、従業員に迷惑をかけずに済みます。従業員のことを考えるなら、M&Aをおすすめします。
短期間で引き継ぎができる
M&Aでは、時間をかけずに会社を継いでもらえる点もメリットです。M&Aをすると、会社を継いでもらう際に新しい経営者がやってきます。新しい経営者は、他で経営の経験を積んでいることが多いです。経営者として育てる必要がありません。
親族への事業承継だと実際に会社を継いでもらうまでに時間がかかりますが、M&Aなら短期間で引き継ぎができます。
事業の発展を期待できる
M&Aをすると、新しい経営者の手腕によって事業の発展を期待できます。親族への事業承継では、先代経営者の経営方法をそのまま引き継ぐことが多いでしょう。
しかし、M&Aをして外部からやってきた経営者の場合、新たな視点で経営を行ってくれます。新しい経営のもと、事業が大きく発展する可能性があります。
②M&Aをする4つのデメリット
M&Aには、親族への事業承継と同じくデメリットもあります。
- 多額の費用がかかる
- 買い手企業が現れない可能性がある
- 想定より低い価格でしか売却できない可能性がある
- 企業文化を引き継いでもらえない可能性がある
詳しく確認しましょう。
多額の費用がかかる
M&Aには、多額の費用がかかります。なぜなら、M&Aは個人で行うことが難しく、専門家に依頼することになるためです。専門家への報酬にお金がかかります。費用がかかるといっても、M&Aで得られる利益から支払えます。専門家への報酬は、M&Aで取引された金額の数%と算出されるため、利益を超えることはありません。
なお、M&Aで獲得した利益から税金も支払わなければならないため、M&Aには多額の費用がかかる点には要注意です。
買い手企業が現れない可能性がある
M&Aをしようとしても、買い手企業が現れない可能性があります。買い手企業が見つからなければ、M&Aを行えません。M&Aを行えなければ、廃業することになります。
買い手企業が現れない場合、会社の経営課題を改善しましょう。経営課題を改善することで、企業価値が上がって買い手企業が現れる可能性が高まります。
想定より低い価格でしか売却できない可能性がある
想定よりも低い価格でしか売却できない可能性があります。想定より低い価格になってしまう理由はさまざまです。例えば、債務が多かったり、従業員に問題があったりすると、価格が低くなります。M&Aをするなら、なるべく経営課題を解決することが重要です。
企業文化を引き継いでもらえない可能性がある
M&Aの場合、企業文化を引き継いでもらえない可能性があります。買収した親会社や新しい経営者によって、企業文化や風土を大きく変えてしまうケースが少なくありません。
企業文化に慣れ親しんでいた従業員は、新しい雰囲気になじめずに離職してしまう可能性もあります。M&Aをする際は、このような点も買い手企業と話し合いましょう。
8. 跡取りのいない会社が相談すべきM&A仲介会社の特徴
跡取りがいない場合、事業承継のプロであるM&A仲介会社に相談しましょう。ただし、どのようなM&A仲介会社でも良いわけではありません。相談すべきM&A仲介会社の特徴は、次の3つです。
- 自社と同規模のM&A実績がある
- 手数料がわかりやすくて安い
- 社内に専門家が在籍している
順番に詳しく説明します。
①自社と同規模のM&A実績がある
自社と同規模のM&A実績があると、安心して任せられます。なぜなら、自社と同規模の実績があることは、自社のM&Aのサポートもしっかり行ってくれることが期待できるためです。
M&Aの実績は、M&A仲介会社のホームページで確認できます。もしも実績がわからなければ、相談時に聞きましょう。実績があればスムーズに答えてくれるはずです。
②手数料がわかりやすくて安い
手数料がわかりやすくて安いM&A仲介会社を選びましょう。M&A仲介会社の料金は、会社によってさまざまです。基本的には、依頼時に支払う着手金とM&A成立後に支払う成功報酬があります。
料金設定も会社ごとに異なるため、ホームページで確認しましょう。ホームページを確認してもわかりにくい料金設定のM&A仲介会社への依頼はおすすめしません。
③社内に専門家が在籍している
社内に弁護士や会計士などの専門家が在籍しているM&A仲介会社がおすすめです。なぜなら、専門家が在籍していることで、M&Aを進めるうえで生じる課題にスムーズに対応してくれるためです。
M&Aには、法律・税務・会計などあらゆる専門分野の知識が必要です。社内に専門家がいることで、専門家の意見を聞きやすく、専門的な疑問にもすぐに答えてくれるでしょう。社内に専門家が在籍しているM&A仲介会社を選ぶべきです。
9. 跡取りでお悩みならM&A総合研究所へご相談ください!
跡取りのことでお悩みなら、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、経験豊富なM&Aアドバイザーが担当につき、事業承継の相手先をお探しします。クロージングまでしっかりサポートしますので、スムーズなM&A進行が可能です。
M&Aの料金体系は、完全成功報酬制(譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)です。無料相談を受け付けていますので、M&Aをご検討の際はどうぞお気軽にお問い合わせください。
10. 跡取りの意味・役割まとめ
跡取りに会社を継いでもらいたい場合、さまざまなことに気を付けなければなりません。相続トラブルや跡取りの育成など、長期的な目で考える必要があります。しかし、親族へ事業承継するメリットもあります。跡取りがいない場合の解決策として、M&Aの有用性も検討しながら、自社にとってふさわしい事業承継の方法を模索しましょう。
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