運送/物流会社のM&Aなら今!成功事例5選とM&Aのメリットを解説

取締役 営業本部長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

通販サイトの拡大により、運送/物流会社の需要は高まっています。しかし人材不足、後継者問題で事業の継続が難しい会社もあります。当記事では運送/物流会社にM&Aがおすすめな理由を解説します。成功事例やポイントも紹介するので、お悩みの方はぜひ確認してください。

目次

  1. 運送/物流会社はM&Aで生き残ろう
  2. 運送/物流会社がM&Aを選択する5つのメリット
  3. 運送・物流会社に合うのは株式譲渡または事業譲渡でのM&A
  4. 運送・物流会社とM&Aをしたい企業が増加している理由
  5. 運送/物流業界のM&A成功事例5選
  6. 運送/物流会社が初めてのM&Aを成功させるポイント
  7. 【参考】M&Aにより運送業許可が維持できなくなることも
  8. 運送/物流会社のM&AはM&A総合研究所にご相談を
  9. まとめ
  10. 運送・物流業界の成約事例一覧
  11. 運送・物流業界のM&A案件一覧
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1. 運送/物流会社はM&Aで生き残ろう

後継者が見つからない運送/物流会社でもM&Aなら取引先・従業員を守れます。

M&Aとは、Merger(合併)とAcquisition(買収)という意味で、複数の会社が一つになったり、会社や事業を売買したりすることをさします。

M&Aの意味については以下の記事で詳しく解説しているので、「M&Aの意味を知らない」「まずはM&Aの基礎知識を知っておきたい」という方はぜひ確認してください。

運送/物流会社がM&Aを行えば、後継者が見つかっていない場合でも会社を残すことが可能です。ここからは運送/物流会社の現状とM&Aの傾向について解説していきます。

取引先、従業員のために運送/物流会社をこれからも残したい方はぜひ確認してください。
 

【関連】M&Aとは何の略?M&Aの意味をわかりやすく解説!

運送/物流会社の今後

通販サイトなどネットショップの拡大により、個人向けの荷物を輸送する運送/物流会社の需要は高まっています。また法人でもこうした通販サイトなどを使う会社が増えているので、法人向け輸送のニーズも今後さらに拡大していくでしょう。

しかし将来性の高い運送/物流業界に進出する企業は多く、現在市場は飽和状態となっています。大手企業同士の価格競争が苛烈になる中、地方の中小運送業者は厳しい状況です。

大手運送/物流会社と比べコスト削減を行いにくい中小物流会社は、輸送費を削減できずシェアを大手企業に取られてしまうことも少なくありません。また、運送に必要なドライバーの数も全国で不足しており、知名度の低い中小運送会社は大手と比べ人材を集めにくくなっています。

今後は運送/物流会社は輸送コストをなるべく避け、より多くのドライバーを確保することが生き残りのカギとなるでしょう。

また、中小の運送/物流会社では後継者問題が深刻化しています。親族、従業員に会社を継いでもらえず廃業を選択するという会社も少なくありません。後継者不在で経営が難しい場合、以下で説明するM&Aを進めることをおすすめします。

M&Aで会社はどうなるか

運送/物流会社がM&Aを行うことで、後継者がいない企業でも会社を残せます。さらに買い手企業と協力することで、ドライバー不足の解消や労働環境の改善、輸送コストの削減などが可能になることも少なくありません。

M&Aの手法によっては、会社の運営体制が大きく変わったり、従業員の待遇が変わったりする可能性もあります。しかし契約内容さえ押さえていれば、取引先や従業員との関係を残しながら会社を守ることも可能です。

「後継者が見つからないけれど会社を守りたい」という方は、M&Aを前向きに検討してみましょう。その際は、M&A仲介会社などの専門家に相談するのがおすすめです。

M&A総合研究所では、M&A・事業承継に関するご相談を無料でお受けしています。支援実績豊富なM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたしますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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2. 運送/物流会社がM&Aを選択する5つのメリット

「高齢で経営を続けるのは難しい」「後継者が見つからない」という状況の経営者にとって、M&Aは効果的な選択です。

ここからは運送/物流会社におけるM&Aのメリットをそれぞれ解説していきます。会社経営でお悩みの方はぜひ今後の戦略作りに役立ててください。

後継者がいなくても運送・物流会社を残せる

M&A最大のメリットは、後継者のいない運送/物流会社でも経営を続けられる点です。

後継者を見つけられず、経営者がリタイアしてしまった場合、M&Aをしなければ廃業という選択をする他ありません。しかしM&Aを行えば、経営権を別の企業に買い取ってもらえるため経営者がリタイアした後も会社を存続させることが可能です。

数多くのドライバーや取引先を抱えながら廃業することに、抵抗感を感じる経営者は少なくありません。また運送/物流会社の場合車両などの廃棄コストも高いので、廃業のデメリットは大きくなります。

「経営を続けるのは難しいが、これからも会社を残したい」という方は、M&Aを検討しましょう。

取引先との関係を維持できる

M&Aで運送/物流会社を残すことで、取引先との関係も維持できます。

運送業者の少ない地方では、特定の運送/物流業者がいないと経営が成り立たないという会社もあります。

全国でサービス展開を行う大手物流会社もありますが、原材料調達から廃品まで、全ての物流領域をカバーしているわけではありません。

効率的な生産・販売のため、長年取引を続けてきた近隣の運送/物流会社を必要としている企業は多いでしょう。

こうした取引先の仕事に悪影響を与えないよう、M&Aで会社を残すのは効果的な選択です。「これまでお世話になってきた取引先に迷惑を掛けたくない」と感じている方は、M&Aで取引先を守りましょう。

設備維持のコストを軽減できる

同じ運送/物流業を展開する大手傘下に入れば、スケールメリットにより車両や設備などの維持コストも減ります。

輸送コストを少しでも下げようと企業努力を続けても、事業のスケールが小さいため設備維持にどうしても費用がかかってしまうという中小企業は少なくありません。

今後は、エリアを問わず運送業界の価格競争がさらに厳しくなる可能性もあります。これからも運送/物流会社として顧客満足度を維持するためには、M&Aで資金力のある大手企業の傘下に入り、スケールメリットを享受するのが良いでしょう。

スケールメリットとは、事業の規模が大きくなることにより得られるメリットの総称です。例えば事業を拡大し、車両などの設備をまとめて購入することで、1台あたりの単価を下げられるといった利点があります。

運送/物流業界の場合、買い手とまとめて設備・車両の管理を行うことで、車庫利用料など維持にかかるコストを減らすことが可能です。

リタイアした後も会社には成長を続けて欲しいと感じているなら、コスト削減のチャンスを得られるM&Aのメリットは大きいといえるでしょう。

ドライバーの雇用を維持できる

M&Aを行うことで、ドライバーの雇用を維持できます。

車両などの維持費が安い地方に拠点を持っていることが多い運送・物流会社では、従業員の再就職が難しいケースも少なくありません。

全国で見るとドライバーの需要は高い状況にありますが、人口の少ないエリアであれば人材募集自体があまりない可能性もあります。

会社を廃業し、従業員の雇用関係を切ってしまうと、従業員やその家族の生活に大きな影響が出ることもあります。

特に高齢の従業員が多い場合、再就職までに時間がかかってしまうので廃業の影響は深刻です。

しかしM&Aを行えば、従業員やその家族の生活を維持できます。M&A手法によっては従業員の雇用をそのままの形で守ることもできるので、廃業よりもM&Aを行った方が良いでしょう。

知名度が上がりドライバーを集めやすくなる

大手企業とM&Aを行うことで、知名度が上がり人材を集めやすくなります。

運送/物流業界では人材不足が深刻です。知名度の高くない企業が積極的に採用活動を行っても、仕事に必要なドライバーを集められないことも多いです。

しかしM&Aを行い、大手企業の傘下に入れば知名度がアップしたり、買い手との資産相互活用によりドライバーを確保できたりするチャンスが高まります

リタイア後、ドライバーにかかる負担を少しでも減らしたいという方にとって、人員増加を目指せるM&Aは検討の価値があるでしょう。

ここまで、運送/物流会社がM&Aを行うメリットを解説しました。「従業員の生活を守りたい」「取引先に悪影響を与えたくない」と感じている方にとって、M&Aによる事業承継のメリットは大きいです。

後継者がおらず悩んでいる方は、M&Aについて前向きに検討しましょう。ここからは運送/物流会社がM&Aを行う方法を解説していきます。

自社に合ったM&A手法を見つけ、より良い形で会社を残しましょう。

3. 運送・物流会社に合うのは株式譲渡または事業譲渡でのM&A

数あるM&A手法の中で、運送/物流会社におすすめなのは株式譲渡、または事業譲渡でのM&Aです。

一口にM&Aといっても、その中にはさまざまな種類があります。M&Aの種類について詳しく知りたい方は、以下の記事を確認してみてください。

【関連】【M&Aの種類まとめ】スキームのメリット・デメリットを分かりやすく解説

M&Aを行う方法や手続きはたくさんあるので、混乱してしまう方も多いでしょう。しかし中小企業が使う手法として一般的なのは、株式譲渡、事業譲渡の2つです。ここからは株式譲渡、事業譲渡の詳しい内容と特徴を解説していきます。

株式譲渡

株式譲渡とは、会社のオーナーが買い手に自社の株式を渡すことで、経営権を買い手に譲る方法です。株式譲渡についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

【関連】株式譲渡とは?手続きからメリット・デメリット、税金に関して解説【成功事例あり】

株式譲渡のメリットは、以下のとおりです。
 

  • 株主が変わる以外大きな影響はない
  • 取引先との契約を維持できる
  • 対価を現金でもらえるケースが多い

株式会社のM&Aであれば、譲渡の影響が少ない株式譲渡を選択する会社がほとんどです。

会社全体を譲渡する場合、9割がこの株式譲渡を選ぶともいわれており、専門家によるサポートも充実しています。

また経営が難しい、後継者がいないという事情を抱えている運送/物流会社の場合、会社全ての譲渡を希望する方が多いのも、株式譲渡が人気の理由です。

事業譲渡

事業譲渡とは、会社の一部の事業のみを第三者に譲渡することです。株式譲渡と異なり、会社全体ではなく、特定の事業のみを渡す手法である点に注意しましょう。

【関連】事業譲渡とは?会社譲渡との違いや手続きの流れを分かりやすく解説!

会社は残したいけれど、運送/物流事業だけ売却したい、という方は事業譲渡がおすすめです。事業譲渡のメリットは以下のとおりです。
 

  • 譲渡の範囲を交渉で細かく決められる
  • 必要な資源や人材は残せる
  • 特定の事業だけを譲渡できる
  • 会社の法人格を残せる
  • 従業員を渡さず事業だけの譲渡もできる

中小企業のほとんどが、事業譲渡または株式譲渡でM&Aを行っています。他にも運送/物流会社が使えるM&A手法はありますが、まずは一般的な株式譲渡、事業譲渡でのM&Aを検討してみましょう。

しかし、M&Aのやり方や進め方について考えていくうちに、「本当に買い手が現れるのか」と不安を感じる経営者は少なくありません。後継者だけでなく買い手も見つからない状況が続けば、廃業を選択せざるを得ないという会社もあるはずです。

しかし運送/物流会社は非常に人気の高い事業なので、M&Aのパートナーが見つかる可能性は高くなっています。ここからは運送/物流会社とM&Aを行いたい買い手が増えている背景について解説していくので、不安な方はぜひ確認してください。

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4. 運送・物流会社とM&Aをしたい企業が増加している理由

需要の高い運送/物流会社なら拠点が地方にある場合や、事業の規模が小さい場合でも、買い手が見つかる可能性があります。

ここからは買い手が運送/物流会社を求めている理由を、それぞれ解説していきます。

スケールメリットを得て効率的な配送ができるから

買い手は運送/物流会社を買収することでスケールメリットを得られます。同じ配送内容でも、より広い範囲の輸送をトータルで管理した方がドライバー1人当たりの管理コストも下がります。

また売り手とともに車両など設備を購入することで、1台当たりの単価を下げることも可能でしょう。

運送/物流業界では価格競争が、ますます激しくなっています。少しでも効率的な輸送を行うため、運送会社同士が協力し、コスト削減を目指す必要があるのです。

ドライバーを確保できるから

運送/物流会社を買収することで、売り手企業に勤めていたドライバーを一気に確保できます。

会社の規模を問わず、ドライバー不足に悩む企業は少なくありません。通販サイトの拡大により配送需要が高まっている今、ドライバー不足で対応できないことがあれば売上を伸ばすチャンスを失ってしまいます

そのため運送/物流に関わる買い手の多くが、1人でも多くのドライバーを確保したいと考えています。しかし自社で人材を採用し、研修を行い一人前の人材に育て上げるにはかなりの時間とコストが必要です。

しかしM&Aで同業他社を買収すれば、ドライバーとしてすでに経験を積んでいる優秀な人材を短期間で獲得できます。

経験のあるドライバーがいる会社であれば、規模が小さくても買収を希望する買い手が現れる可能性も高いです。

車両などの設備・拠点を一括で取得できるから

M&Aを行うことで、売り手の持つ車両などの設備、拠点をすぐに取得できます。

運送会社・物流会社を経営するにあたりトラックやバイクなどの車両は必要不可欠な設備です。しかし、こうした設備を1から揃えるには巨額の投資金が必要になるため、別業種からの参入ハードルは高いといえるでしょう。

ちなみに大型トラック1台を新車で買うときの価格は、1,500~2,000万円ほどとなっています。中古車であれば価格は安くなりますが、それでもかなりの投資金額が必要です。

しかしM&Aを行い、すでにトラックやバイクなどを何台か所有している会社を買収、売買するのであれば設備にかかるコストは安く済むでしょう。

低コストで運送/物流業界に参入したい買い手や設備を手に入れて事業をさらに拡大したい買い手にとって、まだ使える車両の価値は大きいといえます。

取引先を自社で開拓する必要がないから

M&Aで売り手の事業を引き継げば、わざわざ新しく取引先を探す必要がなくなります。

事業の拡大を目指し、新規顧客の開拓を行う運送/物流会社は多いですが、自力で取引先に営業をして、契約を確保するのにはかなりの時間がかかります

M&Aを行えば、売り手の持つ取引先をそのまま獲得できるので、手軽に事業の拡大ができます。有力な取引先を多数持つ会社であれば、買い手からのニーズは高いでしょう。

運送のノウハウを得られるから

医薬品・電気機械専門の運送会社など、特定ジャンルの輸送に特化した会社を買収することで、物品の取り扱い方、輸送方法などのノウハウを手に入れられます。

自社にない運送事業のノウハウを持っている会社は、買い手にとって高い価値があるといえます。

また違うエリアに進出するうえでも、地域の特性や営業方法などのノウハウを知っている売り手は貴重です。効率的に事業展開するためにも、実績や経験を豊富に持つ売り手に大きな価値があるのです。

以上が、買い手が運送/物流会社を積極的に買収したいと考えている理由です。需要の高い運送・物流会社には、M&Aで会社を残せるチャンスがあります。自社の事業に不安な方も、まずはM&Aについて検討してみてください。

5. 運送/物流業界のM&A成功事例5選

M&Aが活発な運送/物流業界では、M&Aの成功例も増加しています。実際にM&Aを成立させた企業の例を見て、M&Aの進め方や買い手企業の選び方に具体的なイメージを持ちましょう。

①ファイズホールディングスと中央運輸

ファイズホールディングス

ファイズホールディングス

出典:https://phyz.co.jp/

ファイズホールディングスと中央運輸は、2020年7月にM&Aを行っています。

「ファイズホールディングスグループは、ECソリューションを総合的に提供しており、貨物自動車運送業などを行う中央運輸は、主に関東地区で商品輸送をしている会社です。

この買収により、ファイズホールディングスは、「人と人のつながりで未来のあたりまえを創造する」というグループ経営理念の実現を図ることができるとしています。

②ハマキョウレックスとシティーライン

ハマキョウレックス

ハマキョウレックス

出典:http://www.hamakyorex.co.jp/

2019年12月、ハマキョウレックスは、物流サービスを行うシティーラインの発行済株式100%を取得し、株式譲渡契約を締結しています。

ハマキョウレックスグループは貨物自動車運送業などを行っており、シティーラインは福岡県を中心とした九州圏での拠点を持ち、ラストワンマイルやメディカルを主とした物流サービスを行っています。

このM&Aによりハマキョウレックスグループは、シティーラインの九州地域における物流サービスの実績や取引先を新規顧客として獲得でき、また九州エリアでの拠点拡充が可能となります。さらに、ハマキョウレックスが進めている中期経営計画の方向に合致していることも、この買収を決めた理由の一つです。

③岐阜プラスチック工業と橋爪運輸

岐阜プラスチック工業

岐阜プラスチック工業

出典:https://www.risu.co.jp/gifu-plastic/

2019年1月に、岐阜プラスチック工業は、主に関東エリアで運送事業を行う橋爪運輸の全株式を取得して、子会社化しています。

橋爪運輸は15億円の売上で、70台のトラック保有と154名の従業員を備えた会社です。

このM&Aにより、岐阜プラスチック工業は、橋爪運輸の統合管理システム導入によるデータ一元管理を図り、車輌別の運行管理などにおけるIT技術を充実させること、事務処理の標準化を見込んでいます。また、最適物流を再び構築して、安定的に商品を届けるシステムを整えるとしています。

④ビックカメラとエスケーサービス

ビックカメラ

ビックカメラ

出典:https://www.biccamera.co.jp/bicgroup/index.html

2018年7月、ビックカメラは一般貨物輸送を行うエスケーサービスを簡易株式交換により子会社化しました。

このM&Aの成功ポイントは、事業同士のシナジー効果の高さにあります。エスケーサービスは首都圏で一般貨物輸送を行っており、特に大型家電の配送と設置に強みを持っている会社です。

一方ビックカメラは、設置を伴う配送サービスや通販サービスを積極的に展開している家電量販店となっています。大型家電の配送・設置と家電量販店とのシナジー効果は非常に高いため、今回のM&Aを機に配送の効率化、サービス向上などが行えます。

このように、同じ運送業者だけでなく、通販サイトなどを展開している買い手とM&Aに成功することもあります。一見異なる業種に見える買い手であっても、シナジー効果が期待できる場合は交渉を進めてみましょう

⑤ロジネットジャパンと青山本店

ロジネットジャパン

ロジネットジャパン

出典:http://www.loginet-japan.com/

2011年11月、鉄道コンテナ輸送に強いロジネットジャパンが自動車輸送に強い青山本店を買収したと発表しました。

このM&Aの成功ポイントは、売り手の持つ運送と食品保管のノウハウです。青山本店は特に西日本の食品輸送と保管に強い会社で、大手食品メーカーとの取引経験もある会社です。

今回のM&Aでロジネットジャパンは、青山本店の持つ取引先だけでなく、食品保管と輸送のノウハウを手に入れることに成功しました。今後ロジネットジャパンは、青山本店から得た技術や知見を活かし、さらなるサービス拡大を行うとのことです。

運送/物流の中にはさまざまなジャンルがあります。今回のように特定の商品輸送・保管に強みを持つ会社の場合、別の運送事業に進出したい買い手がM&Aを提案してくることも少なくありません。

買い手は輸送事業のサービス幅を広げることで、より多様な顧客ニーズに対応できるようになります。買い手の弱点を補う業種を展開している場合、高額売却も狙えるので自社の特徴を積極的にアピールしましょう。

以上が、運送/物流会社のM&A成功事例でした。M&Aを行う目的はさまざまですが、利害の一致する買い手に出会えればM&Aはスムーズに成立します。

6. 運送/物流会社が初めてのM&Aを成功させるポイント

成功のポイントを押さえることで、初めてでもスムーズに買い手を見つけ、交渉を進められます。

それぞれのポイントを確認し、従業員や取引先が納得できる形で大切な会社を残しましょう。

運送/物流会社を求める買い手の情報をたくさん集める

運送/物流会社を買いたいと考えている企業と1社でも多く出会うことで、自社の希望条件にマッチするM&Aを実現できる可能性が高まります。

M&Aの相手探しをしているとき、買い手が1社しか現れなければ多少不利な条件でもその買い手と協力するしかありません。

しかし複数の買い手がいれば、その中から自分の運送/物流会社に最も高い価値を感じてくれる買い手を選ぶことができます

より多くの買い手と出会うには、M&A仲介会社など専門家のネットワークが有効です。M&A総合研究所は、中小・中堅規模のM&A案件を主に手掛ける仲介会社です。

M&Aの相手先探しから交渉、クロージングまで、M&Aアドバイザーがフルサポートいたしますので、スムーズな進行が可能です。

当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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車両の状態を確認しておく

運送/物流会社のM&Aにおいて、最も大事な設備が車両です。

車両の状態はもちろん、名義や、特殊な車両の場合どのような用途で使えるかを把握しておくことで、設備面での効果的なアピールができます。

また予算があれば、M&Aを行う前に車両のメンテナンスをしておくことをおすすめします。車両の状態が良ければ、設備を含め買い手に高い買収金額を提示してもらえる可能性もあります。

運送/物流会社の売却相場を把握しておく

会社や事業の売却では売値が運送/物流業界の相場に相応しいか考えましょう。

いくら事業内容が好条件だったとしても、相場以上の値段だと相手が見つかりません。また、相場を知らないまま交渉に望んでしまうと、買い手に相場より低い価格を提示されても気づくことができなくなります。

事業や会社の価値に関しては、M&A仲介会社などの専門家が算定を行ってくれます。有料のところもありますが、M&A仲介サービスに含まれているケースもあるので、気になる仲介会社の料金を確認してください。

以上が、運送/物流会社がM&Aを行うポイントでした。M&Aを行う際は専門家に相談し、M&Aのやり方や準備の仕方についてアドバイスをもらいましょう。

7. 【参考】M&Aにより運送業許可が維持できなくなることも

運送/物流会社がM&Aを行うことにより、運送業許可を失ってしまうケースもあります。

一般に「運送業」と呼ばれる輸送業務には、「運送業許可」と呼ばれる「一般貨物自動車運送事業」の許可が必要です。

これは事業用車両で荷物を運ぶために必要な許可ですが、選択するM&Aの手法によって運送業許可の扱いは変わってきます。

ここからは運送業許可の譲渡ができるケース、できないケースに分け、M&Aによる運送業許可への影響を解説していきます。

運送業許可を維持できるケース

会社を買い手の子会社などとして残す場合、会社の経営体制自体に変化はないので一般貨物自動車運送業許可などは売り手企業がそのまま維持できます。

運送業許可は、会社の法人格に対して出されるものです。

株式譲渡など、会社の資産、事業を全て買い手に譲渡する包括的承継が発生する場合、M&Aを行った場合でも会社の法人格は維持されます。

M&A後、売り手企業は経営の独立性を失ってしまいますが、売り手企業の存在はそのまま残るので運送業許可を継続できるのです。

運送業許可が維持できないケース

M&A手法によっては、売り手の持つ運送業許可が維持できないケースもあります。

例えば事業譲渡で運送事業のみを買い手企業に渡す場合は、事業の経営母体が買い手企業になるため会社に渡された運送業許可を事業とともに買い手に渡すことはできません

買い手がすでに運送業許可を持っている場合は問題ありませんが、運送業許可を持たない買い手に運送事業を渡しても、許可は引き継げないので注意が必要です。

また、複数の会社が一つになる合併では、法人格が変わるので運送業許可を維持できません。運送業許可の継続には、買い手が運送業許可を持っているかどうかに関わらず「合併認可申請書」を提出し、行政に審査を行ってもらう必要があります。

さらにM&Aによって従業員の離職などが発生し、運送業許可の要件を満たさなくなれば、たとえ株式譲渡など包括的承継であっても許可を維持できません。M&Aの際、許可が維持できるのか不安な場合は、運送/物流業界に詳しいM&Aの専門家に相談しましょう。

運送業許可を新たに取得する方法

M&Aにより運送業許可の要件を満たさなくなった、会社の法人格が変わったという場合には要件を整え、許可を新たに取得する必要があります。

M&A後であっても、運送業許可の申請方法に変更はありません。

しかし、新規で運送業の営業権を取る場合は、以下の準備が必要です。
 

  • 役員報酬の6ヶ月分
  • 従業員給与手当の6ヶ月分
  • 車両のリースやローン月額の12ヶ月分と頭金
  • 自動車重量税や取得税などの1年分
  • 自動車保険料1年分など

要件を満たすには合計で1,500~2,000万円ほどの費用がかかってしまうので、運送/物流会社として今後も事業を続けるなら、運送業許可を維持できるM&A手法を選択する方が良いでしょう。

8. 運送/物流会社のM&AはM&A総合研究所にご相談を

運送/物流会社のM&AはM&A総合研究所にご相談を!

M&A総合研究所

出典:https://masouken.com/

運送/物流会社のM&Aなら、M&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、以下のような悩みを抱える経営者様のサポートを行っています。
 

  • 後継者が見つからないが会社を残したい
  • 従業員の生活を守りたい
  • 廃業コストを負担する資金がない
  • 運送業許可を維持して事業を続けたい

「拠点が地方にあるから買い手なんて見つからない」「事業の規模が小さいから高額売却はできない」とお考えの経営者様は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。

M&A総合研究所では、運送業界の事業承継、M&Aに詳しいM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートいたします。

当社は完全成功報酬制(※譲渡企業のみ)となっております。無料相談はお電話・Webより随時お受けしておりますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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9. まとめ

運送・物流会社のニーズは今後さらに上昇していくと考えられますが、経営者の年齢、ドライバー不足などで経営が苦しくなっている会社も少なくありません。

5年後10年後、経営をこのまま続けて行くビジョンが見えなければ、後継者を探したりM&Aをしたりといった具体的な施策を考えていくべきでしょう。後継者がいない場合は、M&Aで会社を存続させるのがおすすめです。

10. 運送・物流業界の成約事例一覧

11. 運送・物流業界のM&A案件一覧

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