金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収の動向!事例、ポイントも解説【2022年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

金融・リース・レンタル業のM&A・売却(譲渡)・買収をするなら、今がおすすめです。業界の動向や事例などを確認しながら、M&Aのメリットや成功のポイントを説明します。しっかりと確認して、金融・リース・レンタル業のM&Aを成功させましょう。

目次

  1. 金融・リース・レンタル業界とは
  2. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収動向
  3. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収・譲渡事例19選
  4. 金融・リース・レンタル各業界のM&A相場価格
  5. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収のメリット
  6. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・譲渡を成功させるポイント
  7. 金融・リース・レンタル業界のM&A・買収を成功させるポイント
  8. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収まとめ
  9. リース・レンタル業界のM&A案件一覧
  • リース・レンタル会社のM&A・事業承継

1. 金融・リース・レンタル業界とは

金融・リース・レンタル業界のM&Aを解説する前に、まずは金融・リース・レンタル業界について、理解を深めておきましょう。

金融・リース・レンタル業界の定義

金融業とは資金の融通および運用を行う事業のことで、銀行や証券会社・消費者金融などがこれにあたります。リース業とは、さまざまな機器や設備を貸し出して、そのリース料を得る事業のことです。

レンタルに比べて貸出期間が長く、リースの対象もパソコンから航空機まで幅広くあります。レンタル業は、リース業と同じように物品を貸し出して利益を得る業務です。貸し出す期間がリースより短く、車やCDなど安くて手軽なものを対象としているのが特徴です。

金融・リース・レンタル業界の特徴

金融業の特徴は、中業種の分類の幅広さです。銀行業は、資金融通機関として資金の貸付けとともに預金も受け入れます。銀行と類似する業態ではあるものの、法規制上は別物である信用金庫や信用組合は、非営利法人の協同組織です。

消費者金融業、クレジットカード業、資金取引の仲介機関として広義の金融業とされる証券業があります。リース・レンタル業界の特徴は、景気に左右されやすいことです。企業は、設備投資で多額の費用が一括発生するのを避けるため、リース・レンタルを利用します。

景気が良い=企業の業績が好調なときは、積極的な設備投資が行われますから、リース・レンタルの利用も増加するでしょう。しかし、景気が後退して企業が慎重な経営に切り替えた際には、設備投資も積極的には行われなくなります。

リースの種類

リースの種類は、基本的に、「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分類されます。ファイナンス・リースは、途中解約できず、フルペイアウトのリースをいいます。

フルペイアウトとは、リース契約に要する費用(設備や物件の取得価格・資金コスト・保険料など)のほぼ全額を支払うものです。さらに、所有権移転ファイナンス・リースと、所有権移転外リースに分かれます。

オペレーティング・リースとは、ファイナンス・リース以外のリースをいいます。ファイナンス・リースよりも契約期間が短期な点が特徴です。借りている期間のみのコストを負担し、それ以外のコストはリース会社が持ちます。

リースの会計

リースの会計としては、原則、ファイナンス・リースは売買取引、オペレーティング・リースは賃貸借取引として処理されます。売買取引で処理する場合、貸借対照表へ計上が必要です。賃貸借取引で処理する場合は、費用計上のみです。

リース取引のメリット

2020年に、公益社団法人リース事業協会が発表した「リース需要動向調査報告書」によると、特に中小企業がオペレーティング・リースに対して感じているメリットは以下のとおりです。

出典:https://www.leasing.or.jp/statistics/docs/juyos_2020.pdf

この調査では、設備導入時に多額の資金が不要・経営資金を有効活用できると感じている企業が75.1%と最も多くなっています。次いで、コストを容易に把握できるが54.4%、事務管理の省力化が図れるをメリットに挙げている企業が52.5%でした。

2015年の調査と比較して、すべての項目で構成比が高くなっているのが確認できます。以上のことから、リースの最大のメリットは、購入の際の多額の資金が不要であり、新しい設備の入れ替えが容易にできる点が挙げられます。

金融・リース・レンタル業界の現状

金融・リース・レンタル業界は比較的安定した業種です。それでも時代によって動向が変わっていきます。金融・リース・レンタル業界の現状を個別に確認しましょう。

金融業界は堅調な伸び

金融業界といっても、銀行・証券・消費者金融など幅広い業界です。最近はどの業界も比較的堅調な動向となっています。昨今の金融業界全体の規模は、約60兆円あたりで推移しており、全体としてはやや増加傾向です。

リース業界は需要が低下している

リース業界の市場規模は、約6兆円です。震災復興などの理由により、ここ数年は事業規模が拡大しています。しかし、国内の需要はすでに頭打ちで低下傾向にあるとされています。最近では、海外市場の開拓に力を入れている企業も増えてきました。

レンタル業界は分野により違いがある

レンタル業界は幅広いので、分野によって現状に違いがあります。レンタルビデオ業界は、動画配信などの普及で規模が縮小しています。中小メーカーはつぶれ、TSUTAYAなど一部大手の寡占が進んでいる状態です。

一方で、企業向けの建機レンタル業界など、ここ10年で規模が倍近くに成長している分野もあります。これは震災や東京オリンピックの影響に加え、レンタルを利用する建設業者が増えているのも一因です。

金融・リース・レンタル業界の課題と展望

金融業界の今後の課題は、リテールバンキング(個人や中小企業を対象にした小口の預金・貸出し、為替取引など)をいかに増やしていくかという点です。その他にも、地域金融機関が地元企業への資金供給機能を十分に果たしていけるかが挙げられます。

リース・レンタル業界の今後の課題は、国内でパイの食い合いをするのではなく、海外市場を開拓して業績を伸ばすことです。場合によっては、新規事業への進出も含めて、業績拡大を実現する意識を持つことにあります。

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2. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収動向

M&Aの動向は業種によって違いがあるので、金融・リース・レンタル業界でのM&Aを考えるなら、業界動向を知っておくことが大切です。この章では、金融・リース・レンタル業界におけるM&A・売却・買収の動向を解説します。

比較的M&Aによる再編が多い

金融・リース・レンタル業は、ほかの業界と比べてもM&Aによる再編事例が多い業界だといえます。再編により大手企業が連携を強め、業界構造を変えていくのは、成長期が終わり円熟期に入った業界ではよくある事例です。

たとえば、リース業界では、オリックスのM&Aによる再編事例などが知られています。金融業のうちの銀行業界も、M&Aで誕生した数社のメガバンクが市場のほとんどを占めている状態です。

合弁や合併なども多い

金融・リース・レンタル業界は、合弁や合併の事例が比較的多くなっています。合弁会社は複数の企業が出資するので、リスクを減らせるなどのメリットがあるためです。

たとえば、金融系のリース業界では、2007年10月に三井住友銀リースと住商リースが合併し「三井住友ファイナンス&リース」が誕生しました。特にリーマン・ショック以降の合弁・合併は多く、現在でも増え続けています。

資本力を生かした国内外のM&Aが活況

金融・リース・レンタル業界では、資本力のある大手企業による国内外のM&Aが活況です。国内の需要が頭打ちになった場合、海外に目を向けることで事業規模を拡大できます。

たとえば、リース業界大手のオリックスは、国内のレンタル会社だけでなく、海外の不動産会社なども積極的に買収し、リース業にとどまらない多角的な事業を展開中です。

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3. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収・譲渡事例19選

この章では、金融・リース・レンタル業界関連で実際に行われたM&A・売却・買収・譲渡事例を紹介します。

  1. 十八総合リースと東京センチュリーの資本業務提携
  2. 愛知銀行と中京銀行のM&A
  3. 三菱HCキャピタルが米CAIを完全子会社化
  4. JA三井リースと近畿総合リースのM&A
  5. 芙蓉総合リースとWork VisionのM&A
  6. PayPal HoldingsとPaidyのM&A
  7. ジャパンインベストメントアドバイザーと三京証券のM&A
  8. JA三井リースと日本包装リースのM&A
  9. 日通商事がリース事業を分社化し東京センチュリーと協業
  10. 日産証券と岡三にいがた証券のM&A
  11. 三菱UFJリースと日立キャピタルの合併
  12. 藍澤証券によるあすかアセットマネジメントのM&A
  13. 新生銀行によるファイナンシャル・ジャパンのM&A
  14. Oakキャピタルによる東岳証券のM&A
  15. DeNAとSOMPOホールディングスによる合弁会社2社設立
  16. 杉孝グループホールディングスによるナカキンリースのM&A
  17. 全国保証によるYUTORI債権回収のM&A
  18. プレミアグループによるロペライオソリューションズのM&A
  19. アクロディアによる麹町アセット・マネジメントのM&A

①十八総合リースと東京センチュリーの資本業務提携

2022年3月、ふくおかフィナンシャルグループ傘下の十八総合リースと東京センチュリーは、資本業務提携契約を締結したことを発表しました。十八総合リースは、4月1日付で社名をFFGリースに変更します。東京センチュリーはFFGリースの株式を25%取得する予定です。

東京センチュリーは、自動車・不動産・航空機など幅広く総合リース・レンタル業を展開しています。これを機に、FFGリースは、本社を長崎から福岡の十八親和銀行福岡支店2階に移転する予定です。このM&Aにより、戦略的子会社として事業拡大を目指します。

②愛知銀行と中京銀行のM&A

2021年12月、愛知銀行と中京銀行は経営統合に関する基本合意書締結を発表しました。今後は、2022年10月をめどに、共同株式移転によって、両行の完全持株親会社を設立する予定です。

経営統合の目的として、地域経済発展への貢献、顧客ニーズへの高度で多様な対応実現、チャレンジ意欲を持った企業風土の確立、経営資源の最適な運用による経営シナジー創出などが挙げられています。

③三菱HCキャピタルが米CAIを完全子会社化

2021年11月、三菱HCキャピタルは、アメリカの海上コンテナリース大手のCAIを買収し、完全子会社化しました。これにより、グループ全体の保有コンテナ数は、業界2位と同規模に拡大します。

三菱HCキャピタルは、各種物件のリース・割賦販売、ファイナンス業などを展開している企業です。このM&Aにより、三菱HCキャピタルは、海上コンテナリース事業のさらなる拡大と、経営資源・営業・投資の3つの側面から総合シナジー創出を図ります。

④JA三井リースと近畿総合リースのM&A

2021年11月、JA三井リースは、100%子会社である近畿総合リースと吸収合併することを発表しました。実施予定日は2022年4月で、存続会社はJA三井リースです。この吸収合併に先んじて、同日、近畿総合リースの不動産事業をJA三井リース建物に吸収分割します。

JA三井リースは、賃貸事業、割賦販売事業、各種ファイナンス事業、その他付帯事業を行っている企業です。近畿総合リースは、総合リース業を行ってきました。JA三井リース建物もJA三井リースの100%子会社であり、不動産賃貸業を行っています。

JA三井リースは国内営業基盤の収益力強化のために、グループ内の事業統合を実施しました。

⑤芙蓉総合リースとWork VisionのM&A

2021年10月、国内大手の総合リース会社である芙蓉総合リースは、Work Visionの全株式を取得し、連結子会社化しました。Work Visionは、IT関連サービスを提供している企業です。2019年7月に、東芝ソリューション販売から社名変更しています。

このM&Aにより、芙蓉総合リースは、システムとオペレーションの両面から、ユーザーの業務改革を実現するサービスとして、事業展開できる体制を構築し、顧客のニーズに対応していくとしています。

⑥PayPal HoldingsとPaidyのM&A

2021年10月、PayPal HoldingsはPaidyの全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は3,000億円です。アメリカのPayPal Holdingsは、電子メールアカウントとインターネットを利用した決済サービス「ペイパル」を世界規模で提供しています。

Paidyは、あと払いサービス「ペイディ」事業を行っている企業です。PayPal Holdingsとしては、日本でのビジネス展開をさらに加速させるための強力な基盤構築が目的となっています。

⑦ジャパンインベストメントアドバイザーと三京証券のM&A

2021年9月、ジャパンインベストメントアドバイザーは、三京証券の全株式を取得し、完全子会社化しました。取得価額は11億5,200万円です。ジャパンインベストメントアドバイザーは、金融ソリューション事業、メディア関連事業を行っています。

岡藤日産証券ホールディングスの100%子会社だった三京証券は、金融商品取引業を行う証券会社です。ジャパンインベストメントアドバイザーとしては、新たに証券業に進出し、さらなる企業価値向上を図る方針を掲げています。

⑧JA三井リースと日本包装リースのM&A

2021年6月、JA三井リースと日本包装リースは資本業務提携を締結し、JA三井リースが日本包装リースの株式55.6%を取得して、連結子会社化しました。取得価額は公表されていません。日本包装リースは、国内唯一の包装機械主力の専門リース会社です。

JA三井リースは、ビジネスモデル転換による専門領域の事業拡大を基本方針に掲げており、その一環として今回のM&Aを実施しました。

⑨日通商事がリース事業を分社化し東京センチュリーと協業

2021年3月、日通商事は、リース事業を分社化し、日本通運が新たに設立する分割準備会社「日通リース&ファイナンス(予定)」の株式を取得することを発表しました。

新設会社は、日本通運・東京センチュリー・損保ジャパンの3社による共同出資で、日本通運と東京センチュリーの持分法適用関連会社となります。

このM&Aにより、日本通運グループの信用力・顧客基盤などと東京センチュリーの金融・サービスノウハウを融合させることにより、シナジーを発揮し、社会・顧客の発展に役立つ最適なサービス提供と事業成長を目指します。

⑩日産証券と岡三にいがた証券のM&A

2020年10月、日産証券は、新潟県の店舗における第一種金融商品取引業を、岡三にいがた証券へ事業譲渡することを発表しました。岡三にいがた証券は、新潟県に13店舗を持ち、確固たる営業基盤があります。

事業の選択と集中を検討してきた日産証券は、他社との競争が厳しく収益力も低下した新潟支店、長岡支店、高田支店を、事業譲渡先として最も適している岡三にいがた証券に事業譲渡することを決めました。

⑪三菱UFJリースと日立キャピタルの合併

2020年9月、三菱UFJリースと日立キャピタルは合併することを決めました。新会社の売上高は1兆4,000億円の規模で、リース業界3位へと上昇します。

新型コロナウィルス感染拡大問題による危機のため、先行きが不明確なところはありますが、この合併により、2位の三井住友ファイナンス&リースに迫る体制を取る考えです。

⑫藍澤証券によるあすかアセットマネジメントのM&A

2020年5月、藍澤證券は、あすかアセットマネジメントの全株式を取得することを発表しました。あすかアセットマネジメントは、オルタナティブ投資に特化した独立系投資顧問会社です。

この買収により、藍澤證券とあすかアセットマネジメントは、金融機関に向けたサービス強化が可能になると見込んでいます。

⑬新生銀行によるファイナンシャル・ジャパンのM&A

2019年4月、新生銀行は、保険代理業のファイナンシャル・ジャパンの全株式を取得することを発表しました。株式の取得は、株主からの譲り受けによって行われます。株式の取得価額は非公開です。

新生銀行は、さまざまな企業とM&Aを行い、事業の拡大化を目指しています。このM&Aは、保険ビジネスの強化が目的です。

⑭Oakキャピタルによる東岳証券のM&A

2019年3月、投資銀行のOaKキャピタルは、東岳証券の株式を取得することを発表しました。買収価額は非公表となっています。このM&Aは、証券事業に参入するのが目的です。

⑮DeNAとSOMPOホールディングスによる合弁会社2社設立

2019年2月、インターネット関連企業のDeNAと、持株会社であるSOMPOホールディングスによる、合弁会社の設立が発表されました。設立されるのは、個人間カーシェア事業の「DeNA SOMPO Mobility」と、マイカーリース事業の「DeNA SOMPO Carlife」です。

自動車保険事業に多数の顧客データを持つSOMPOホールディングスと、高いデジタルテクノロジーを持つDeNAの強みを生かし、今までにないカーシェア・カーリース事業を展開することを目指しています。

⑯杉孝グループホールディングスによるナカキンリースのM&A

2019年1月、仮設足場などのレンタル企業である杉孝グループホールディングスは、ナカキンリースの全株式を取得し、完全子会社化しました。このM&Aは、杉孝グループホールディングスの競争力強化を主な目的として行われたものです。

株式取得価額は公表されていません。杉孝グループホールディングスは、首都圏や関西圏などで事業を展開しています。ナカキンリースは群馬県や山梨県などで仮設機材のレンタルリース業を展開している企業です。

杉孝グループホールディングスとしては、自社グループが未進出の地域で強みをもつナカキンリースを子会社化することで、営業エリアの拡大を図る考えです。

⑰全国保証によるYUTORI債権回収のM&A

2018年12月、住宅ローンなどの信用保証事業を展開する全国保証が、YUTORI債権回収の全株式を取得しました。このM&Aは、互いの強みを生かしたシナジー効果を得ることを目的としています。取得価額は非公表です。

⑱プレミアグループによるロペライオソリューションズのM&A

2018年12月、プレミアグループは、中古車の修理保証事業などを展開するロペライオソリューションズの全株式を取得しました。取得価額は非公表です。

プレミアグループは、中古車のオートクレジットやワランティなどの事業を展開しています。今回のM&Aは、それら事業の強化を目的としています。

⑲アクロディアによる麹町アセット・マネジメントのM&A

2018年12月、九州を中心に金融業を展開するアクロディアは、麹町アセット・マネジメントの全株式を取得しました。麹町アセット・マネジメントは、金融商品取引と投資顧問業を展開する企業です。

アクロディアは、「第3創業期」と名付ける成長戦略を展開しており、今回の買収もその一環になります。取得価額は公表されていません。

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4. 金融・リース・レンタル各業界のM&A相場価格

金融・リース・レンタル業界の会社をできるだけ高く売却したり、納得できる価格で買収したりするには、この業界のM&A相場価格を把握しておくことが肝要です。この章では、金融・リース・レンタル業界の相場価格傾向を業種別に解説します。

金融業界

金融業界のM&A相場はその業種によります。たとえば消費者金融業界は、貸金業法改正の影響もあり、やや厳しい状況にあるとされています。したがって、あまり相場は高くないといえるでしょう。金融業界が会社・事業を売却するきっかけとしては、「業績不振」が多いです。

実際、「救済措置」という形で買い手企業が手を上げるケースがあります。そのような場合、負債を多く抱えているため、ほとんど価格はつかないでしょう。

リース業界

リース業界は大手を中心にM&Aの事例が多くなっています。しかし、需要は低下傾向にあるので、相場価格の動向は慎重な見守りが必要です。多くの場合、あまり高い価格では売却できないかもしれません。

ただし、自社の強みをしっかりアピールできる企業の譲渡価格は高い傾向にあります。エリア・顧客・従業員・取り扱うサービスなど、自社の特徴を洗い出してみましょう。そうすることで、自社のアピールポイントがわかります。

シナジー効果の高い買い手企業へ売却できれば、高い譲渡価格も不可能ではありません。

レンタル業界

レンタル業界のM&A相場は、レンタルする機器・設備の種類によって異なります。同じ業種のM&A事例を調べて、相場の動向をチェックするとよいでしょう。

たとえば、建設系機材のレンタル業やウェディングドレスなどの結婚式関連のレンタル業は、比較的高く売却できる傾向です。カバーできていないエリアや商品を扱っている同業会社を欲しいと考える企業が多いからです。

リース業界同様、自社のアピールポイントを見つけ、シナジー効果の高い買い手企業へ売却することで、高い譲渡価格での取引が期待できるでしょう。

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5. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収のメリット

金融・リース・レンタル業界のM&Aの事例を見ましたが、「なぜこれほど多くのM&Aが実施されているのか」と疑問に思ったかもしれません。

この章では、金融・リース・レンタル業界で、M&Aにより企業を売却・買収するメリットにはどのようなものがあるのかを説明します。売却側と買収側に分けて詳しく解説しますので、それぞれの立場のメリットを確認しましょう。

売却側

金融・リース・レンタル業のM&A・売却・買収において、売却側のメリットとして挙げられるのは、主に以下の5つです。

  • 従業員の雇用確保
  • 後継者問題の解決
  • 売却・譲渡益の獲得
  • 大資本による安定した経営基盤の獲得
  • 債務・個人保証・担保・廃業費用などの解消

従業員の雇用確保

中小の金融・リース・レンタル業の中には、業績が思うように伸びず、廃業を余儀なくされるケースもあります。廃業すれば会社は消滅し、従業員は新しい就職先を探さなければなりません。廃業せずにM&Aで譲渡することで、従業員の雇用を維持できます。

「廃業しつつある企業を買ってもらえるのか」と思うかもしれませんが、業績の悪い企業でも譲渡に応じてもらえる例はあるので、M&A仲介会社などに相談しながら買い手を探してみるとよいでしょう。

後継者問題の解決

金融・リース・レンタル業界の中小企業の中には、業績は悪くないものの、後継者がいないために会社をたたまざるを得なくなる事例もあります。事業がうまくいっており、顧客やノウハウもある企業が、後継者がいないために廃業してしまうのは非常にもったいないことです。

そのような場合には、M&Aを行うことで会社を存続させ、技術やノウハウの消滅を防げます。せっかく育てた会社がなくなってしまうのは悲しいものです。ぜひ、事業承継のためのM&Aを検討してみてください。

売却・譲渡益の獲得

金融・リース・レンタル業のM&Aでは、売却益や譲渡益を得るために企業を売却するケースもよくあります。売却・譲渡益の使い道は、債務の返済、他の事業の資金、リタイア後の生活資金などさまざまです。

金融・リース・レンタル業の売却額の相場は、通常利益の数倍程度といわれているので、場合によってはかなりの金額を手にできるでしょう。

大資本による安定した経営基盤の獲得

資本力のある大企業に譲渡することで、中小企業では実現できない安定した経営基盤を獲得できます。もちろん会社自体は買収されてしまうことになりますが、それでも安定した基盤が欲しいとき、M&Aは有効な方法です。

大企業の傘下に入ることで、技術やノウハウ・新たな販路などが手に入るので、利益を増やすきっかけにもなります。

債務・個人保証・担保・廃業費用などの解消

債務、個人保証や担保などの負担から解放されるのも、金融・リース・レンタル業におけるM&A売却のメリットの一つです。負担から解放される意味では、廃業するのも同じに見えますが、廃業する際は費用が必要になるため、必ずしも簡単ではありません。

M&Aの株式譲渡であれば、基本的に債務は買い手に引き継がれます。それに伴い、個人保証や担保は解消となり、廃業時のような費用負担も発生しません。

買収側

金融・リース・レンタル業のM&A・売却・買収において、買収側のメリットとして挙げられるのは、主に以下の5つです。

  • 人材の確保
  • ライバルを減らし競争力を獲得
  • 設備・施設・重機などを獲得
  • 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
  • グループの拡大・事業エリアの拡大

人材の確保

金融・リース・レンタル業の企業を買収すれば、そこで働いていた従業員も自社グループの一員となります。金融・リース・レンタル業に関する専門知識やノウハウを持つ人材を、一から育てるのは大変です。M&Aを実施することにより、優秀な人材をまとめて確保できます。

ライバルを減らし競争力を獲得

金融・リース・レンタル業で同じ業種の企業を買収すると、その分、ライバルが減ります。ライバルを減らし自社の金融・リース・レンタル業における競争力を高めるのも、M&Aによる買収のメリットの一つです。

設備・施設・重機などを獲得

金融・リース・レンタル業のM&Aで企業を買収すると、買収した企業が所有していた設備・施設・重機なども獲得できます。特に独自の設備や施設を持つ企業を買収すると、ライバル企業にない強みを持てるでしょう。

顧客・取引先・ノウハウなどの獲得

金融・リース・レンタル業のM&Aで企業を買収すれば、その企業が持っている顧客や取引先リスト・独自のノウハウなどを活用できるようになります。こういったものを一から築き上げるのは大変ですが、M&Aを活用すれば比較的、簡単に手に入れられるのです。

事業譲渡というM&Aの手法を活用すれば、負債などの不要なものを引き継ぐ必要はありません。ただし、契約が煩雑になったり、交渉に時間がかかったりするデメリットもあります。M&Aの手法を決定するときには、M&A仲介会社に相談するようにしましょう。

グループの拡大・事業エリアの拡大

金融・リース・レンタル業で、違う地域を基盤にしている企業を買収すると、自社の事業エリアを拡大できます。たとえば大都市圏を拠点にしている企業が、地方の優良企業を買収できれば、グループの拡大に大きく寄与するでしょう。

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6. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・譲渡を成功させるポイント

金融・リース・レンタル業界のM&Aは、実施したからといって成功するわけではありません。金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・譲渡を成功させるためには、以下5つのポイントを押さえて行うとよいでしょう。

  1. アピールポイントを持つ
  2. 関連・周辺事業へ売却・譲渡する
  3. M&A戦略を練りさまざまな手法を検討する
  4. 専門分野に強い
  5. M&Aの専門家に相談する

①アピールポイントを持つ

M&Aによる買収を計画している企業は、「どのような企業でもいいから買収したい」とは考えていません。企業にはそれぞれ思惑があって、それに合致する企業を買収したいと考えています。

リースやレンタルなら、特定の分野に強みを持つ、独自の販売経路を持っているなど、アピールポイントを持っていると買収されやすくなるのです。具体的には、以下のようなことを自社のアピールポイントとして分析しましょう。

  • カバーしているエリア
  • 従業員のスキル
  • 展開している商品やサービス内容
  • 顧客
  • ブランド力

②関連・周辺事業へ売却・譲渡する

M&Aによる企業の買収は、同じ業種同士で行われることが多いです。それだけでなく、新しい事業展開のために関連・周辺事業の企業を買収する事例もよくあります。M&Aによる売却を考えるときは、同じ業種だけでなく、関連事業も候補に入れると成功しやすいでしょう。

買い手企業は、関連事業のサービスを展開している会社を取り込むことで、さらに顧客を拡大できると考えているのです。同じ業種に絞り込みすぎず、関連・周辺事業とのシナジー効果も考えてみると、具体的な買い手企業を洗い出せるでしょう。

③M&A戦略を練りさまざまな手法を検討する

M&Aはその目的によっていろいろな戦略があるので、やみくもに買収先を探すのではなく、あらかじめさまざまな手法を検討したうえで実施する必要があります。買収側の企業の目的に応じて、そのメリットを提供できるような手法を選ぶことが大切です。

④専門分野に強い

買収側の企業は、M&Aによって特定の分野を強化しようとすることが多いです。専門分野に強みのある企業は、好条件で売却できる可能性が高くなります。自社の専門分野について、従業員の研修を行って再教育するなど、専門性を高めておきましょう

⑤M&Aの専門家に相談する

M&Aで戦略を練るといっても、実際はどのような手法を使えばベストであるのか判断するのは難しいでしょう。M&Aには法務・税務・会計などの専門知識が必要不可欠だからです。

自社にとって有効なM&Aを行うためには、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら行うことをおすすめします。M&A仲介会社などのM&Aの専門家であれば、戦略プランやスケジュール立て、相手企業探し、交渉など、さまざまな業務を任せられるのです。

M&Aの総合的なサポートが受けられるので、安心して案件を進められるでしょう。M&A仲介会社選びでお悩みの場合には、一度、M&A総合研究所までご連絡ください。

M&A総合研究所では、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーが最適な方法を提案し、相談時からクロージングまで案件をフルサポートいたします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

随時、無料相談を行っておりますので、金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・譲渡をご検討の際は、お気軽にお問い合わせください。

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7. 金融・リース・レンタル業界のM&A・買収を成功させるポイント

ここでは、金融・リース・レンタル業界の買収側がM&Aを成功させるポイントを解説します。ポイントは以下の3つです。

  1. M&A仲介会社に相談する
  2. M&Aのマッチングサイトなどの募集案件を探す
  3. 金融機関や行政機関などに相談する

①M&A仲介会社に相談する

金融・リース・レンタル業界におけるM&A買収の方法はいくつかあります。相場の動向をよく知るM&A仲介会社に相談するのが安全かつ有効であるといえます。M&Aで企業の買収を検討するときは、まずM&A仲介会社を利用するのがよいでしょう。

②M&Aのマッチングサイトなどの募集案件を探す

仲介会社を利用せず、個人でマッチングサイトを利用して、募集案件を探すのも可能です。費用を抑えられる点がメリットといえます。しかし、交渉が難航したりトラブルが起きたりする可能性がある点はデメリットといえるでしょう。

マッチングサイトで募集案件を探した後は、M&A仲介会社などの専門家へ相談することをおすすめします。契約書に不手際があったり、事前の企業調査が不十分だったりすると、せっかく高い買収費用を支払っても、思ったとおりのシナジー効果を得られないからです。

損をしないためにも、専門家への費用を惜しまずに相談するようにしましょう。

③金融機関や行政機関などに相談する

上場企業などの大型案件の場合、銀行や証券会社などの金融機関に相談しながら進めていくことになります。最近では、行政が中小企業のM&Aを支援しているため、中小企業の場合は、行政機関に相談するのもおすすめです。

ただし、金融機関のコンサルティング料が高かったり、行政機関の持っている案件数が少なかったりすることもあり得ます。一度相談してみて、納得のいく費用ではない・最適な相手企業が見つからないといったことがあれば、M&A仲介会社へ相談しましょう。

M&A仲介会社は着手金無料で、成約に至るまでの費用が不要な場合もあります。無料相談を受け付けているところも多いので、気軽に相談してみましょう。

【関連】金融・リース・レンタル業界の事業売却(事業譲渡)を初心者向けに解説| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

8. 金融・リース・レンタル業界のM&A・売却・買収まとめ

金融・リース・レンタル業では、さまざまな企業が積極的にM&Aを実施しています。したがって、規模の小さい企業や専門分野に特化した企業でも、M&A相手が見つかる可能性は高いのです。

自社にとって最適なM&A手法を選ぶ際は、M&A仲介会社などの専門家に相談するのが有効になります。本記事の概要は、以下のとおりです。

・売却側のメリット
→従業員の雇用確保、後継者問題の解決、売却・譲渡益の獲得、大資本による安定した経営基盤の獲得、債務・個人保証・担保・廃業費用などの解消

・買収側のメリット
→人材の確保、ライバルを減らし競争力を獲得、設備・施設・重機などを獲得、顧客・取引先・ノウハウなどの獲得、グループの拡大・事業エリアの拡大

・売却を成功させるポイント
→アピールポイントを持つ、関連・周辺事業へ売却・譲渡する、M&A戦略を練りさまざまな手法を検討する、専門分野に強い、M&Aの専門家に相談する

・買収を成功させるポイント
→M&A仲介会社に相談する、M&Aのマッチングサイトなどの募集案件を探す、金融機関や行政機関などに相談する

9. リース・レンタル業界のM&A案件一覧

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