そば・うどん屋業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

そば・うどん店は、縮小傾向が続く飲食業界にあっても店舗数は増加傾向です。一方で、経営者の高齢化といった問題によりM&Aでの売却を検討している店もあります。今回は、そば・うどん業界のM&A動向や売却する際のメリット、事例などについて解説します。

目次

  1. そば・うどん屋業界の概要と動向
  2. そば・うどん屋業界のM&A動向
  3. そば・うどん屋をM&Aで売却するメリット
  4. そば・うどん屋のM&A・買収・売却事例5選
  5. そば・うどん屋業界のM&Aの成功のポイント
  6. そば・うどん屋業界のM&A・事業譲渡まとめ
  7. 飲食店業界の成約事例一覧
  8. 飲食店業界のM&A案件一覧
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1. そば・うどん屋業界の概要と動向

まずは、そば・うどん業界の概要や動向について詳しく解説します。

そば・うどん屋業界の概要

日本の外食産業全体を見てみるとピークといわれる1997年と比較し、現在は85%程度に大きく縮小しています。しかし、そば・うどん業界に関しては114%と大きな成長です。

従来からある「藪そば」や「更科」などの老舗と呼ばれるそば屋はもちろん、近年では「丸亀製麺」や「はなまるうどん」の大手チェーンの成長が著しく拡大を続けています。

そば・うどん屋業界の市場規模と動向

そば・うどん業界の歴史は長く、古い時代から激しい競争が行われてきた歴史があります。江戸の3大そばといえば「藪」「更科」「砂場」ですが、これらは現在に至っても本格的なそばが食べられる名店として愛されています。

その一方で、近年さまざまな形態のそば・うどん店が増えました。そば店では「立ち食いそば」をはじめ「そばダイニング」や「ご当地そば屋」など価格帯やメニューもさまざまです。

そして、近年特に人気になっているのが「うどん店」です。「丸亀製麺」を筆頭とする讃岐うどんのファストフードチェーンは一大ブームを起こしました。2018年のそば・うどん業界全体の売上約1兆円のうち「丸亀製麺」だけでその約1割の904億円を売り上げています。

また、ファストフードチェーン店だけではなく、高級うどん店ブームも発生しています。都心の銀座や丸の内などの一等地に出店している「つるとんたん」はうどん懐石という新たなジャンルを生み出しました。

近年、日本ではコロナ禍の影響で飲食業界が大きなダメージを受けています。業界動向サーチの調査によると、飲食業界全体で2019年までは順調に売上を伸ばし6兆円を超える売上高となっていました。しかし2020年および2021年は約1兆円も売上高が減少しました。

そば・うどん業界も例外ではなく、うどん業界では、やはり2019年までは順調に売上を伸ばしていましたが、2020年には大きく減少しています。しかし、飲食業界全体よりも早い2021年からは回復傾向となっています。

既述の業界動向サーチのうどん業界の売上高2021〜2022ランキング1位のトリドールホールディングスの売上高を見てみましょう。2019年には1,564億円、2020年には1,347億円、そして2021年には1,533億円と、2021年にはコロナ禍前の水準に戻っています。

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2. そば・うどん屋業界のM&A動向

そば・うどん業界のみならず外食業界は、人材不足や仕入れおよび物流の高騰などのさまざまな問題の解決手段として、M&Aが広く用いられています。そば・うどん業界のM&Aでは、事業拡大の手段として行われるケースが多く、特に多店舗展開をしている企業の買収は、一気に市場規模の拡大が可能です。

「丸亀製麺」と「はなまる」が2011年から海外展開を開始し、特に丸亀製麺はアジアを中心にして12カ国・地域で147店舗も展開しています。また丸亀製麺の運営企業であるトリドールは、マレーシアの新興外食企業をM&Aを用いて買収し海外進出を進めています。

近年では、日本食ブームの影響で海外での外食産業のニーズが増加傾向で、現地での販売ルートとノウハウを共有し、事業の拡大を進めているのです。

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3. そば・うどん屋をM&Aで売却するメリット

そば・うどん店をM&Aで売却する際のメリットとしては以下の3点が挙げられます。

  • 売却利益の獲得
  • 廃業の回避と従業員の雇用継続
  • 個人保証や担保からも開放

ひとつずつ詳しく解説します。

売却利益の獲得

そば・うどん店を売却・譲渡する場合、売却利益を獲得できる点が大きなメリットです。事業規模や売上高によって譲渡価格は異なりますが、純資産に数年分の利益を加算した金額が企業価値とされていますので大きな金額を獲得できると考えられます。

さらに、そば・うどん店をM&Aで売却・譲渡する際は、店舗をそのまま引き渡すので、撤退にかかる費用が大きく減少します。

また、M&Aにおける売却利益は税制面で圧倒的に有利で、廃業などをした場合と比べると大きな差があります。「早めの段階でそば・うどん店事業を売却・譲渡し、売却利益でセカンドライフを過ごす」と考える経営者も多いです。

廃業の回避と従業員の雇用継続

後継者の不在や業界規模の縮小、利益率の悪化など先々が見通せずそれを回避するためにM&Aを行えば廃業を避けられるのも大きなメリットです。倒産や廃業に伴うリスクは多大で、ただ廃業する場合は、従業員の雇用も守れなくなるために、新たな仕事を探して貰う必要があります。

一方で早めに手を売ってM&Aを活用すれば新たな雇用主の下でそのまま働いてもらえるので従業員の雇用も継続可能です。

個人保証や担保からの解放

飲食店のオーナーは、事業資金としてお金を借りる際に、事業資金が枯渇したら自己資金から返済する個人保証をつける場合が多いです。事業がうまくいかず失敗すると、経営者個人が自己資金から弁済していかなければならないので、大きな精神的な負担となります。

M&Aでそば・うどん店を売却し、買収側に個人保証を引き継いでしまえば個人保証から解放されるため安心して生活可能です。

ただし、個人保証や担保は自動的に引き継がれるわけではありません。事前に金融機関と個人保証の解除に関して交渉する必要があります。
 

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4. そば・うどん屋のM&A・買収・売却事例5選

そば・うどん店をM&Aした事例にはどのようなものがあるでしょう。ここからは実際に行われたそば・うどん業界のM&Aの事例を紹介します。

フジオフードシステムが暮布土屋を子会社化した事例

2019年11月株式会社フジオフードシステムは、有限会社暮布土屋の株式の90%を取得し子会社化しました。

フジオフードシステムは、「まいどおおきに食堂」「神楽食堂 串家物語」を中心にした飲食事業を幅広く展開しています。自社ブランドを確立し展開していましたが、2015年に辛子明太子の「株式会社博多ふくいち」と資本・業務提携を行い、「株式会社はらドーナッツ」「株式会社どん」などをグループに迎え事業拡大を図ってきました。

一方の幕布土屋は石臼挽き手打ちそば専門店「土山人」を運営しており、関西を中心に直営店7店舗・のれん分け2店舗を展開している人気のそば専門店です。

今回のM&Aにより、フジオフードシステムに今までなかったそば業態の展開が可能になり、立地に応じた多様な出店と主力業務への影響、さらに将来に向けて柱のひとつとして展開していくために今回の買収に至ったとしています。

参考:暮布土屋を子会社化

クリエイト・レストランツ・ホールディングスが木屋フーズを子会社化した事例

2019年3月1日、クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、木屋フーズ株式会社の全株式をアント・ブリッジ4号A投資事業有限責任組合より取得し、連結子会社化しました。

木屋フーズは、東京の銀座を中心に都内でうどん・そばの40年以上の歴史を持つ老舗「銀座木屋」などを運営しています。

このM&Aにより、クリエイト・レストランツホールディングスは、ブランドラインナップの強化およびノウハウの共有を活かし、本店のある銀座や羽田空港などの好立地店舗による安定的な収益を期待するとともに「銀座木屋」ブランドのさらなる成長を図ります。

参考:木屋フーズを子会社化

グルメ杵屋が銀座田中屋を子会社化した事例

2017年4月3日、株式会社グルメ枡屋が銀座田中屋の全株式を取得し子会社化しました。

銀座田中屋は「銀座本店」「松屋銀座店」「西武池袋店」の3店舗を展開し、こだわりの手打ちそばを提供しています。グルメ枡屋グループにはない比較的高価格帯の飲食店なので、同社を傘下に取り込み新たな顧客層を開拓し、グループのシナジー効果の発揮を目指すとしています。

参考:銀座田中屋を子会社化

ジー・テイストが活性化本舗さぬきを子会社化した事例

2016年4月8日、株式会社ジー・テイストは株式会社活性化本舗さぬきの株式の62%を取得し子会社化しました。

ジー・テイストは四国に外食店舗を10店舗経営している株式会社神戸物産の連結子会社です。一方の活性化本舗さぬきは香川県内に1店舗の運営をしています。ジー・テイストは今回のM&Aを通して、店舗運営や店舗立地開発などの新たな拠点としてのシナジー効果を生かして、グループの店舗展開の向上を図ります。

参考:活性化本舗さぬきを子会社化

クリエイト・レストランツ・ホールディングスがNYの日本食レストラン「蕎麦鳥人」を取得した事例

2018年12月、株式会社クリエイト・レストランツ・ホールディングスは、100%子会社のcreate restaurant NY Incを通してニューヨークの日本食レストラン「蕎麦鳥人」を譲受しました。

クリエイト・レストランツ・ホールディングスは成長戦略の一環としてグローバル展開を掲げています。一方の蕎麦鳥人は、マンハッタンの中心街という好立地に出店しており、本格的な日本食レストランとしてニューヨーカーから絶大な支持を集めている店舗です。

今回の譲受により、クリエイトレストランツホールディングスは引き続き堅調な業績を期待できるので北米エリアでの経営基盤獲得に貢献し、今後の海外M&A戦略の強化を図るとしています。

参考:蕎麦鳥人を取得

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5. そば・うどん屋業界のM&Aの成功のポイント

そば・うどん業界のM&Aや売却を成功させるには、どのようなポイントに気をつければ良いのでしょうか。ここからは、そば・うどん業界のM&Aを成功させるポイントを3つ紹介します。

専門家に相談する

そば・うどん業界のM&Aでは、M&Aの専門家に相談するのも重要です。

そば・うどん業界のM&Aを成功させるには、専門的な知識やスキルが必要不可欠です。そば・うどん業界のM&Aを行う際にさまざまな留意すべき点があります。専門的な知識がないままにM&Aを実行すると大きな問題になってしまう可能性があります。そのようなときに専門家に相談すれば、大きな助けになるでしょう。

自社のみでM&Aを実行するのは現実的ではありません。総合的にサポートを行ってくれるM&A仲介会社などに依頼しましょう。
 

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
 

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レシピやサービスマニュアルを作成しておく

そばやうどんは昔から手軽でリーズナブルな「庶民の味方」と呼ばれてきました。しかし近年では、競合がコンビニや便利なインスタントにも広がり「手軽で安価」なだけでは通用しなくなっています。

そば・うどん業界は「ざるそば」「天ぷらうどん」などの定番品が多く、メニューでの差別化は難しい状況です。そのため、メニュー以外の付加価値を探している買収側が多いです。手打ちを売りにしているサービスは、「レシピを引き継げるのか」が大きなポイントになります。

また、そば・うどん業界の大きな課題は人材です。この業界は個人経営の店舗も多くそれらのお店では高齢化が進んでいます。その中には事業承継ができずに閉店や廃業してしまう経営者も少なくありません。

M&Aを成功させるためには、売却に出す前にしっかりと後継者や継承自体についてよく考えることが重要です。例えば、後継者が不在であれば、M&Aで事業継承をできるように「レシピ」や「サービスマニュアル」などを作成し、誰が後継者となっても高いクオリティで作業ができるような準備が大切です。
 

店舗の強みを明確にし、他店と差別化する

そば・うどん店で他店との差別化を図る1番の要因は当然ですが「味」です。そばやうどんはまさに日本人にとって一番慣れている料理でしょう。だからこそ店舗選びの1番の基準は味です。そばやうどんの一番の要になるのはもちろん「だし」ですが、他店舗と差別化を図ることが重要です。

例えば、「天せいろ」といえば、海老やかき揚げなどが定番ですが、中には胃がもたれる方もいらっしゃいます。そのため珍しい野菜を少量ずつ天ぷらにした「野菜だけの天せいろ」を発売したところ大盛況だった例もあります。

店舗側からすると、そのときに採れた野菜を少量使うことでロスやコストも減少します。そして「野菜の天せいろ」は大きな付加価値となり、他店との差別化に成功しました。
 

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6. そば・うどん屋業界のM&A・事業譲渡まとめ

そば・うどん業界は店舗数が多いので、競争が激しい業界です。しかし、常連客がついている店舗であれば安定した経営が望めます。そば・うどん業界のM&Aは増加傾向で今後も活発化していくと考えられます。

事業の継続が難しいとお考えであれば、廃業を決める前にぜひM&Aの可能性も検討してください。
 

7. 飲食店業界の成約事例一覧

8. 飲食店業界のM&A案件一覧

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