タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡について解説!【事例あり】

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

今回は、タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡について解説していきます。タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡のポイントやメリットについても説明しています。タクシー会社のM&Aや事業譲渡に興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

  1. タクシー会社(一般乗用旅客自動車運送業)とは
  2. タクシー会社におけるM&Aの動向
  3. タクシー会社におけるM&Aのメリット
  4. タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡のポイント
  5. タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡事例
  6. タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡まとめ
  • タクシー会社のM&A・事業承継
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1. タクシー会社(一般乗用旅客自動車運送業)とは

タクシー会社とは

タクシー会社(一般乗用旅客自動車運送業)とは、運転手と車両を貸し切って、少人数のお客さんを有料で目的地まで運ぶという事業を運営する会社のことです。

また、その事業をタクシー事業といいます。タクシー事業は、道路運送法という法律によって管轄されています。

業界定義

国土交通省で定める法令では、タクシー事業のことを「1つの契約によって既定の乗車定員数未満の自動車を貸し切って乗客を目的地まで運ぶ事業」と定義しています。

ちなみに、法令では、乗車定員は11人までとなっているため、運転手を含めると、乗客は10人までということになるのです。つまり、通常のタクシーは、運転手を含めて5人乗りがほとんどですが、10人乗りまでできる自動車のことをタクシーと呼ぶことになります。

業界主要企業

タクシー運輸業を営む主要企業には、以下の4つの企業が挙げられます。

以下は、都内大手4グループともいわれている企業です。
  

  1. 日本交通(3,264台)
  2. 国際自動車(3,029代)
  3. 大和自動車交通(2,390台)
  4. 帝都自動車交通(939台)

ここからわかるように、タクシー運輸業を営む企業は、上位3社の規模が非常に大きいです。

特にトップの日本交通は、積極的にM&Aを行い、事業規模を拡大しています。

市場規模と事業者数の推移

タクシー会社(一般乗用旅客自動車運送業)の市場規模は年々減少傾向にあります。ピーク時は、約2兆2,400億以上もあった市場が、7年間で約2,000億円ほど減少しました。

市場規模は減少しているものの、タクシー会社の事業者数は規制緩和以来も増え続け、平成14年には7,000台から大幅に増加し、平成21年には13,000件近くと、約85%も増えた時期もありました。

その後、規制を再強化し、タクシー会社や車両の増加を防止する法案を実施しましたが、少子化問題による不景気の影響からか、売り上げ低迷や資金繰りに苦しむタクシー事業者は増加しています。

しかし、最近では外国人旅行者の利用が増えるなど、エリアによってはタクシーを使う人も増加中です。したがって、必ずしも市場規模が下がり続けるとは限りません。

タクシー業界の現状

タクシー業界の現状としては、平成21年に実施された再規制以降、タクシー利用者や事業者数は減少傾向にあります。

しかし最近は、観光客増加に伴う需要回復や乗務員不足の深刻化、IT格差の拡大、ドライバー不足、タクシー台数の減少といった問題が次々に挙げられているのです。

今からそれぞれについて、詳しく解説していきます。

現状①観光客増加に伴う需要回復

2016年度の帝国データバンクの調査では、訪日外国人の観光客が増えている地域では、それに伴ってタクシーの売上も伸びていると発表しています。

都道府県別に調べた結果、年間の利益が高かった企業は、石川県(44.4%)、奈良県(35.0%)、東京都(33.5%)、和歌山県(30.4%)と続いているのです。

このようなデータからも、ドラマ等の影響も含めて、観光客増加に伴う需要回復の兆しがみられるといえるでしょう

現状②乗務員不足の深刻化

最近は、訪日外国人の影響もあり、一部の観光エリアでは大手タクシー会社の売上が増えているものの、知名度の低い中小企業は、少子高齢化などの影響を受けているため、乗務員不足の問題が深刻化しています。

訪日外国人が増加する中、ドライバー不足の問題は深刻化中です。平成17年には約38万人いたドライバーが平成27年では、約30万人へと減少し続けています。

今後も、少子高齢化社会の影響によってドライバー不足は、加速すると予測されているため、タクシー事業者は、なるべく多くの人材を確保するためにも、様々な取り組みをおこなっていくことになるでしょう。

したがって、中小規模のタクシー会社はせっかく自社の事業エリアのタクシー利用客が増えていても、それに対応しきれていないという現状があるのです。

中小規模のタクシー会社は労働環境が悪いイメージを持っているドライバーも多く、採用難に悩まされている会社も少なくありません

現状③IT格差の拡大

IT格差の拡大は、タクシー会社に大きな影響をもたらします。現在のタクシー事業の市場規模は、約2兆円と大規模で、訪日外国人の増加に伴い、タクシーを利用する乗客は増加傾向にあるのです。

しかし、乗務員やドライバー不足の問題、配車アプリ普及の影響に伴い、ITを積極的に導入している大手企業に売り上げが集中しているため、ITの導入化が遅れている中小企業のタクシー会社は、利用者を増やせないまま廃業にいたるケースが増えています

配車アプリは近年どんどん増えており、都市圏を中心に利用者が多いです。今後タクシー会社業界で生き残るためには、いかにIT化に対応できるかどうかという問題も出てくるでしょう。

現状④タクシー台数は減少傾向

タクシー台数については、2002年の規制緩和以降に一度は増加したものの、2006年をピークに、その後は減少傾向にあります。

その理由には、少子高齢化による乗客の減少や、タクシー事業の参入のしやすさから、競合他社との競争が激化したこと等が挙げられるでしょう。

売上を上げられなかった中小企業は結局、廃業に至るケースが増えています。

タクシー業界の制度変遷

タクシー業界の法律制度には、様々な変化がみられます。規制緩和や再規制を経て、最近は「初乗り運賃の引き下げ」制度も導入されました。いまから、それぞれについて細かく解説していきます。

制度変遷①規制緩和

2002年(平成14年)に定められた規制緩和によって、タクシーの数量規制が廃止され、条件は以下のように改変されました。
 

  • 認可制→ 事前届出制
  • 最低保持台数60台 → 10台
  • 営業所や車庫の所有→リース可能
  • 車両が新車→中古車も可能

上記の規制緩和によって、タクシー台数の増加はピークを迎えます。

制度変遷②再規制

2009年10月には再規制が制定され、2002年の規制緩和以降に増車した会社の新規参入や増車の条件を厳しくしたり、法令違反した企業には厳しい罰則を与えるなどの特別措置法がとられるようになりました。

制度変遷③初乗り運賃の引き下げ

2016年には、東京23区と一部の地域で2キロ730円だった初乗り料金を1キロ410円に改正するといった「初乗り運賃の引き下げ」がおこなわれました。

この制度によって、短距離の賃金が大幅に安くなり、訪日外国人を始めとする短距離乗車の需要が高まっています

以上、タクシー会社の基本的な事柄について解説しました。あらためて自社を取り巻く業界の現状について理解できたはずです。

それではここからは、タクシー会社のM&Aについて見ていきましょう。

2. タクシー会社におけるM&Aの動向

タクシー会社におけるM&Aの動向

ここからは、タクシー会社のM&Aにおける動向を解説します。

タクシー会社のM&Aは、以下のようなポイントを押さえるべきです。
 

  1. 台数増を狙った買収の増加
  2. 資金繰りに苦しむ会社の売却増

それでは、それぞれについて説明していきます。

動向①台数増を狙った買収の増加

タクシー会社のM&A(売買)や事業譲渡の動向の一つには、台数増を狙った買収の増加がみられます。

2009年以降の再規制により、車両増加の条件や法令違反したときの罰則が厳しくなったため、新規参入を図りたい企業は、タクシーの台数増を目的にM&A(売買)や事業譲渡をおこなうケースが増えてきているのです

実際に、大手のタクシー会社の中には、積極的にM&Aでタクシー台数の増加を行なっている会社は少なくありません。また中小規模のタクシー会社も、事業規模の拡大を狙ってM&Aを繰り返しているケースがよくあります。

あなたも自社のタクシー台数に不安があるなら、M&Aで他社を買収して数を増やすことを検討してみてください。

動向②資金繰りに苦しむ会社の売却増

資金繰りに苦しむ会社の売却が増えています。

訪日外国人の影響で、一部の地域では需要が高まり、売上がアップしている大手企業もいますが、知名度の低い中小企業は、競争の激化によって、資金繰りに苦しんでいるのが現状です。

最近は、資金繰りが厳しい中小会社を対象に、企業の売却増を目的としたM&A(売買)や事業譲渡をおこなうケースが増えてきています

また、タクシー業界の事業承継については以下の記事で詳しく解説しているので、親族や従業員に会社を継いでもらう予定の人は、こちらも確認してみて下さい。

【関連】タクシー会社のM&A・事業承継!譲渡事例や相談先、売却相場も解説

3. タクシー会社におけるM&Aのメリット

タクシー会社におけるM&Aのメリット

タクシー会社におけるM&Aは、売却側と買収側の双方にメリットがあります。

売却側のメリット

タクシー会社のM&Aにおける売却側には、以下6つのメリットがあります。
 

  1. 従業員の雇用を守る
  2. 後継者問題の解消
  3. 有力グループ傘下への参入
  4. 従業員の確保
  5. 資金獲得
  6. 債務解消

1つずつ見ていきましょう。

メリット①従業員の雇用を守る

タクシー会社を売却すると、従業員の雇用を守れます

タクシー事業を廃業すれば、これまで雇用していた従業員が働き口を失うことになりますが、M&Aを実施することで、会社の再生が図れるため、既存の従業員を雇用し続けることが可能です。

経営難で廃業するかお悩みなら、M&Aで他社に売却して従業員の雇用を守ることを考えましょう。

メリット②後継者問題の解消

売却を成功させることで、後継者がいないことによる廃業を回避できます

全国には、法人車両数だけでも、およそ20万台以上ものタクシーが存在していますが、それらが所属する会社では、多くの経営者が既に高齢化しているのが現状です。タクシー会社の経営者は、引退などを検討している年齢に達していることが珍しくありません。

引退を考えても、身近に後継者がいなくて手続きを進められずに困っている経営者も多いです。そんな最中、M&Aを実施することによって、本来は廃業となる事業を後継者に引き継ぐことができるため、会社再生に繋げられます

もし、有力な後継者が社内や親族に見つからなければ、M&Aで他社に売却して事業を引き継いでもらいましょう。

メリット③有力グループ傘下への参入

タクシー会社を売却する側の3つ目のメリットに、有力グループ傘下への参入があります。M&Aを実施する際、売却側が大手などの有力なグループの傘下に入ることで、経営の再生を狙えるようになるのです。

有力グループ会社の一員となれば、資本金も増加して、長期的な経営の安定化を目指すこともできます。

メリット④従業員の確保

売却によって、従業員の確保ができます。前述のとおり、平成27年以降は、ドライバーの数が約30万人へと減少し続けていたり、少子化高齢化の影響から、ドライバー不足が否めません。

M&Aを実施することで、既存のドライバーにかぎらず、新規ドライバーの確保にもつながります。なぜなら、自社のタクシーを、買収先のドライバーが運転できるようになるためです。また、大手のタクシー会社に買収されれば、大手は安心だと思って入社する人材も多いのでドライバー数には困りにくくなるでしょう。

メリット⑤資金獲得

タクシー会社を売却することで、まとまった資金の獲得が狙えます。資金力のある企業に買収されれば、資本金も増加して、経営力を強化することができるのです。

そうすることで、既存事業だけでなく、新しい事業展開にもつながり、ビジネス全体のチャンスも広がります

タクシー会社は時代の流れに乗りながら経営しなければなりません。たとえば、IT化が世の中で進んだのであれば配車アプリに対応しなければならないなど、時代に合わせた戦略が必要となります。

そのとき、M&Aで事業を売却して大手企業に買ってもらうことで、安定した資金力のもと経営を進めていけるようになるでしょう。

メリット⑥債務解消

タクシー会社の売却によって、債務解消ができるようになります。

M&Aを実施できれば、買収側から新たな資本提携が受けられるため、債務解消も可能ですし、廃業を回避することができるのです

買収側のメリット

タクシー会社のM&Aにおける買収側には、以下の4つのメリットがあります。
 

  1. 経営資源が得られる
  2. ノウハウが得られる
  3. 事業規模が拡大できる
  4. 入構権の獲得ができる

1つずつ見ていきましょう。

メリット①経営資源が得られる

買収によって、経営資源が得られます

M&Aによって、車両や乗務員といった資源をスムーズに獲得できるため、これまで展開してきた既存事業に限らず、買収後に獲得した資源も生かして、新規事業を展開するチャンスです。

また、既存事業も今まで以上に安定した経営をすることができるでしょう。乗務員の確保がすぐにできることは、タクシー会社にとっては重要と言えます。

メリット②ノウハウが得られる

買収によって、相手企業が持つノウハウが得られます。M&Aによって、相手企業の経営に関するノウハウや運営方法が得られるのです。

一からそれらを獲得するためには、資金も時間もかかりますが、M&Aの実施によって、最低限のコストと時間で、それらのリソースを獲得できるのは大きな強みとなります。

メリット③事業規模が拡大できる

買収に成功すると、事業規模の拡大が狙えます。新規参入するとなれば、地方運輸局長からの許可がなかなか下りなかったり、一から経営ノウハウを積んでいくにも多大な時間やコストがかかるはずです。

しかし、M&Aをおこなうことで、上記のデメリットを軽減できたり、異業種からの参入であれば、既存事業に加えて、新たな事業展開にもなります。

メリット④入構権の獲得ができる

タクシー会社の買収を行えば、入構権の獲得できます。例えば、駅前に設備・運営されているタクシーについては、安全面やサービスにおいて認められている優良タクシーだけが入構できるといった特権が代表的です。

M&Aで優良タクシーの入構権を得ることで、顧客の信頼を得るまでの時間やコストの短縮が図れます

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4. タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡のポイント

タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡の動向

タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡のポイントについて解説していきます。

ポイントは、以下の2つです。
 

  1. スムーズな乗務員の引き継ぎ
  2. M&A会社選び

これら2つのポイントを押さえておけば、タクシー会社のM&Aは成功しやすくなります。

それぞれのポイントについて、順番に見ていきましょう。

ポイント①スムーズな乗務員の引き継ぎ

タクシー会社のM&A(売買)や事業譲渡の1つ目のポイントは、スムーズな乗務員の引き継ぎです。

乗務員を引き継ぐ際には、適切な説明をしなければ離職されてしまう可能性はゼロではありません。しかし、上手く説明することで乗務員たちは今後も安心して働けます。

たとえば、企業買収側の経営基盤が安定していれば乗務員たちの雇用が守られるため、乗務員の不安を煽ることなく、M&A後も、スムーズな人員の引継ぎを実現することができるでしょう。

ポイント②M&A会社選び

タクシー会社のM&A(売買)や事業譲渡の2つ目のポイントは、M&A会社選びです。

M&Aは自分だけでは実行することが非常に難しいので、専門家に相談したほうが良いとされています。

もしもタクシー会社のM&Aに強い専門家をお探しでしたら、M&A総合研究所にお任せください。タクシー業界のM&A実績が豊富で、手数料も完全成功報酬制となっているため、初めてM&Aを実施する企業でも安心して相談することができます。

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5. タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡事例

タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡事例

タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡事例についても確認しておきましょう。

千代田区に本社を構えるタクシー会社大手の日本交通は、兵庫県にある2つのタクシー会社(東亜タクシー株式会社と株式会社オーシャン交通)の全発行済株式を取得し、タクシー事業の運営の引き継ぎをしたと発表しました。

この買収によって、日本交通は、神戸市だけでもタクシー台数が119台(既存のグループ含む)と増加し、経営の強化と本格的な事業展開に力を注いでいきます。

このように、事業の強化のためにM&Aを行うタクシー会社は非常に多いです。これからも自分の事業を発展させていきたいのであれば、大手企業への売却や、他社の買収によって経営の安定化を狙ってみてください。

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6. タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡まとめ

今回は、タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡についてご説明しました。年々、外国人観光客が増加するにつれて、競合他社との競争は激化しています。そのため、タクシー会社のM&Aは今後も注目されていく見通しです。

しかし、タクシー会社のM&Aでは専門家の協力が必要なほど難しい手続きもあります。せっかくM&Aをしたのに結果に繋がらないということにならないように、タクシー会社業界に詳しい専門家にサポートを依頼しましょう。

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