タクシー業界のM&A動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例7選を徹底解説【2023年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡をまとめました。タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡のポイントやメリットなどを解説しています。実際に行われたタクシー会社のM&A成功事例も掲示しているので、お役立てください。

目次

  1. タクシー業界(一般乗用旅客自動車運送業)とは
  2. タクシー業界の現状
  3. タクシー業界のM&A動向
  4. タクシー会社におけるM&Aのメリット
  5. タクシー会社のM&A相場
  6. タクシー会社のM&Aの成功ポイント
  7. タクシー業界のM&A成功事例
  8. タクシー業界のM&Aまとめ
  9. タクシー業界のM&A案件一覧
  • タクシー会社のM&A・事業承継

1. タクシー業界(一般乗用旅客自動車運送業)とは

タクシー会社(一般乗用旅客自動車運送業)とは、運転手と車両を貸し切りで、少人数のお客さんを有料で目的地まで運ぶ事業を運営する会社のことです。その事業をタクシー事業といいます。タクシー事業に関する主な法令は、道路運送法です。

タクシー業界の定義

国土交通省で定める法令では、タクシー事業のことを「1つの契約によって既定の乗車定員数未満の自動車を貸し切りで乗客を目的地まで運ぶ事業」と定義しています。

法令によると乗車定員は11人までのため、運転手を除くと乗客は10人までです。つまり、通常のタクシーは運転手を含めて5人乗りがほとんどですが、10人まで乗れる自動車のことをタクシーと呼びます。

業界主要企業

タクシー運輸業を営む主要企業には、以下の4社が挙げられます。これらは、都内大手4グループともいわれている企業です。  

  • 日本交通 ハイヤー:1,676台 タクシー:6,713台(2021年8月末現在)
  • 国際自動車 ハイヤー:472台 タクシー:4,349台 バス:44台(2022年3月末現在)
  • 大和自動車交通 ハイヤー:160台 タクシー:2,167台 福祉ハイヤー:38台(2021年3月末現在)
  • 帝都自動車交通 ハイヤー:410台 タクシー:1,183台(2021年3月1日現在)

上記からわかるように、タクシー運輸業を営む企業は、4社の規模が非常に大きいです。特に日本交通は積極的にM&Aを行っており、事業規模を拡大しています。

タクシー業界の制度変遷

タクシー業界の法律制度には、さまざまな変化が見られます。規制緩和や再規制を経て、昨今はタクシー料金の変更も行われました。以下でその概要を紹介します。

規制緩和

2002年に定められた規制緩和によって、タクシーの数量規制が廃止され、条件は以下のように条件が改変されました。

  • 認可制→ 事前届出制
  • 最低保持台数60台→10台
  • 営業所や車庫の所有→リース可能
  • 車両が新車→中古車も可能

上記の規制緩和によって、タクシー台数の増加はピークを迎えます。

再規制

2009年10月には再規制が制定され、2002年の規制緩和以降に増車した会社の新規参入や増車の条件を厳しくし、法令違反した企業には厳しい罰則を与えるなどの特別措置法が取られるようになりました。

タクシー料金の変更

2020年2月から25都道府県、48地域で良質なタクシーサービスを維持 ・タクシー運転者の労働条件を改善することを目的に、タクシー料金が変更されました。

タクシー料金の変更内容は地域ごとに異なっており、タクシー料金とその対象距離を変更している地域や、タクシー料金自体はそのままで初乗り距離や加算距離を短縮し、実質的に値上げをしている地域もあります。

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2. タクシー業界の現状

タクシー業界のM&Aについて説明する前に、まずは業界の規模や事業者数など基本的な内容を把握しておきましょう。

市場規模と事業者数の推移

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会の資料によれば、2023年度3月末時点におけるタクシー業界の事業者数は5,676 社、車両数は175,425台です。タクシー業界の事業者数・車両数はともに2007年度から減少が続いています。

また、タクシー業界では従業員(ドライバー含む)不足に悩む企業が多く、10年前と比較して半数程度までに減少した企業も1割程度いるほどです。

帝国データバンク「特別企画:全国タクシー・ハイヤー業界」によれば、2013年時点から従業員数が減少した企業は、調査対象2428社のうち1691社と全体の69.7%にのぼります。従業員数が減少した企業のうち、2013年から5割以上の減少となった企業も352社(14.5%)いることがわかりました。

また、1社あたり従業員数も減少傾向が続いており、2013年は1社あたり平均66人でしたが、2023年8月時点では1社あたり平均52人と、この10年で約2割の減少となっています。

参考:参考:一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会「タクシーがつなぐ人の輪地域の輪」
参考:帝国データバンク 「全国タクシー・ハイヤー業界」動向調査

タクシー業界では、2009(平成21)年に実施された再規制以降、タクシー利用者や事業者数が減少傾向にあります。そして現在では、観光客増加に伴う需要回復・乗務員不足の深刻化・IT格差の拡大・ドライバー不足・タクシー台数の減少といったさまざまな変化が起こっている状況です。

国土交通省「タクシー事業の現状について」の発表によると、タクシーの車両数は、2002年の規制緩和以降、増加していましたが、2008年以降は減少傾向です。 輸送人員・運送収入は日本経済の低迷を受け、減少傾向が続いています。

参照:国土交通省「タクシー事業の現状について」

出典:https://www.mlit.go.jp/common/001169918.pdf

乗務員不足の深刻化

一部の観光エリアでは大手タクシー会社の売上が増えているものの、知名度の低い中小企業では乗務員不足・乗務員の高齢化が起こっており、業界としての課題が深刻化しています。

今後も、少子高齢社会の影響によってドライバー不足は加速すると予測されているため、タクシー事業者はなるべく多くの人材を確保するために、さまざまな取り組みを行っていくと推測されています。

中小規模のタクシー会社は、たとえ自社の事業エリアのタクシー利用客が増えていても、それに対応しきれていない現状があります。中小規模のタクシー会社には労働時間や年間所得など、労働環境が悪いイメージを持っているドライバーも多く、採用難に悩まされている会社も少なくありません。

各社採用の差別化を図るため、訪日外国人向けに英会話ができる社員の採用や、教育制度など人材に力を入れている企業のほか、電子マネー決済を導入するなど、大手と中小企業との間での格差が広がっています。

出典:https://www.mlit.go.jp/common/001169918.pdf

IT格差の拡大

IT格差の拡大は、タクシー会社に大きな影響をもたらしています。

しかし、乗務員やドライバー不足の問題・配車アプリ普及の影響に伴い、ITを積極的に導入している大手企業に売上が集中しているため、ITの導入が遅れている中小規模のタクシー会社は、利用者を増やせないまま廃業にいたるケースが増えている状況です。

スマホアプリを利用した配車サービスが近年ますます増えており、都市圏を中心に利用者が多いです。今後、タクシー会社業界で生き残るためには、IT化への対応が必要不可欠だといえます。

タクシー台数は減少傾向

タクシー台数は、2002(平成14)年の規制緩和以降に一度は増加したものの、2006(平成18)年をピークに、その後は減少傾向にあります。

その主な理由には、少子高齢化による乗客の減少や、タクシー事業の参入のしやすさから競合他社との競争が激化したことなどが挙げられます。売上を上げられなかった中小企業は、結果として廃業にいたるケースが増えています。

約半数が赤字

帝国データバンクの調査によれば、タクシー業界の事業者(タクシー・ハイヤー)の約半数は赤字であり、非常に厳しい状況となっています。

タクシー業界で赤字の事業者が多い理由のひとつは、コロナ禍で移動が制限されたことや飲食店の時短営業・酒類提供の停止です。現在は行動制限が解除されたものの、ロシアのウクライナ進行による影響や物価高によって燃料費が高騰しており、利益が圧迫されている事業者が多くみられます。

また、コロナの感染対策費用やQRコード決済・電子マネーなどキャッシュレス決済の手数料負担も少なくないため、これらも利益を圧迫する要因となっているのが現状です。

そのほか、タクシー・ハイヤー乗務員の減少と高齢化によって、業界全体ではドライバー不足で稼働率が低下していることも、赤字につながっていると考えられます。

参考:帝国データバンク「特別企画:全国タクシー・ハイヤー業界動向調査」

次世代の交通サービス

近年、海外では「ライドシェア」という自動車を一般人同士で相乗りするサービスが普及しています。知人あるいは知らない人同士がガソリン代や高速代などの実費負担のみで自動車を貸し出すのであれば、日本の現行法でも可能です。

しかし、仲介者が入って実費以上の費用を支払う方式での「ライドシェア」は、現在の日本では「白タク行為」に該当するため禁止されています。

その一方で、「ライドシェア」は交通弱者救済・大気汚染緩和・交通渋滞緩和・エネルギーの有効活用などの観点から、導入が世界的な潮流となりつつあり、解禁へ向けた議論が日本でも行われているです。

そのほかに「MaaS」という交通サービスが生まれています。「MaaS」は「Mobility as a Service」の略称で、アプリ上で鉄道やタクシーなどの移動手段から最適な組み合わせを探せるだけでなく、予約や決済も一括で行えるサービスです。

これらがいつ解禁されるのかは現在のところ決まっていませんが、タクシー業界へ大きな影響を与えることは間違いないと考えられます。

3. タクシー業界のM&A動向

ここからは、タクシー会社のM&Aにおける動向を解説します。タクシー会社のM&Aは、以下のようなポイントを押さえおくとよいでしょう。

①台数増を狙った買収の増加

タクシー会社のM&A動向の1つに、台数増を狙った買収の増加が見られます。2009年以降の再規制により、車両増加の条件や法令違反した際の罰則が厳しくなったことがその主な理由です。

現在は大手のタクシー会社に限らず、中小規模のタクシー会社も事業規模の拡大を狙ってM&Aを繰り返しているケースが多くあります。

②資金繰りに苦しむ会社の売却増

資金繰りに苦しむ会社の売却が増えています。訪日外国人の影響で一部の地域では需要が高まっており、売上がアップしている大手企業もいますが、知名度の低い中小企業は競争の激化によって資金繰りに苦しんでいるのが現状です。

昨今は資金繰りが厳しい中小会社を対象に、タクシーの台数増を目的としたM&Aを行うケースが増えてきています。

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4. タクシー会社におけるM&Aのメリット

タクシー会社におけるM&Aは、売却側と買収側の双方にメリットがあります。

売却側のメリット

タクシー会社のM&Aにおける売却側には、主に以下6つのメリットがあります。

従業員の雇用を守る

タクシー会社を売却すると、従業員の雇用を守れます。タクシー事業を廃業すれば、これまで雇用していた従業員が働き口を失うことになりますが、M&Aの実施によって会社が存続するため、既存の従業員を雇用し続けることが可能です。

後継者問題の解消

売却を成功させることで、後継者不在を理由とする廃業を回避できます。現在、多くの経営者がすでに高齢化しているのが現状です。タクシー会社の経営者は、引退などを検討している年齢に達しているケースが珍しくありません。

引退を考えても、身近に後継者がおらず手続きを進められずに困っている経営者も多いです。そこで、M&Aを実施すれば、本来は廃業となる事業を後継者に引き継げるため、会社を存続させられます。

有力グループ傘下への参入

タクシー会社を売却する側の3つ目のメリットに、有力グループ傘下への参入があります。M&Aを実施する際、売却側が大手などの有力なグループの傘下に入ることで、経営の再生を狙えます。有力グループ会社の一員となれば、資金面でも余裕が生まれ長期的な経営の安定化を目指せます。

従業員の確保

売却によって、従業員を確保できます。昨今はドライバーの数は減少し続けており、少子化高齢化の影響からドライバー不足が否めません。ところが、M&Aを実施すれば、既存のドライバーに限らず、新規ドライバーの確保にもつながります。

なぜなら、自社のタクシーを、買収先のドライバーが運転できるようになるためです。大手のタクシー会社に買収されれば、大手に安心感を持って入社する人材が多いことから、ドライバーを確保しやすくなります。

資金獲得

タクシー会社の売却により、まとまった資金の獲得が狙えます。資金力のある企業に買収されれば、資本金も増加して経営力を強化することが可能です。したがって、既存事業だけでなく新しい事業展開にもつながり、ビジネス全体のチャンスが広がります。

タクシー会社は、時代の流れを読みながら経営しなければなりません。たとえば、IT化が世の中で進んだのであれば、配車アプリに対応しなければならないなど、時代に合わせた戦略が必要です。

この際、M&Aで事業を売却して大手企業に買ってもらうことで、安定した資金力のもと経営を進めていくことが可能です。

債務解消

タクシー会社の売却によって、債務を解消できます。M&Aで会社売却(株式譲渡)した場合、基本的に債務は買い手に引き継がれます。それにより、個人保証や担保も解消され、負担から解放されるでしょう。

買収側のメリット

タクシー会社のM&Aにおける買収側には、主に以下の4つのメリットがあります。

経営資源が得られる

買収によって、経営資源が得られます。M&Aで車両や乗務員などの資源をスムーズに獲得できるため、買収後に獲得した資源を生かして、新規事業を展開するチャンスをつかめます。既存事業も、これまで以上に安定した経営を行える可能性が高いです。

乗務員の確保が即座に行えることは、タクシー会社にとって重要なメリットです。

ノウハウが得られる

M&Aにより、相手企業の経営に関するノウハウや運営方法が得られます。ゼロの状態からこれらを獲得するためには、多くの資金・時間がかかりますが、M&Aによって最低限のコストと時間で獲得できます。

事業規模が拡大できる

買収に成功すると、事業規模の拡大が狙えます。新規参入する場合、地方運輸局長から許可を得なければならないうえに、ゼロの状態から経営ノウハウを積んでいくためには多大な時間やコストがかかります。

しかし、M&Aを行うことで、上記のデメリットを軽減可能です。異業種からの参入であれば、既存事業に加えて新たな事業展開にもつなげられます。

入構権の獲得ができる

タクシー会社の買収を行えば、入構権を獲得できます。もともと駅前に設備・運営されているタクシーは、安全面やサービス面に関して認められている優良タクシーのみが入構可能です。

M&Aで優良タクシーの入構権を得ることで、顧客の信頼を得るまでの時間やコストの短縮が図れます。

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5. タクシー会社のM&A相場

M&Aを行うにあたって、タクシー会社の取引相場を把握しておきたいと考えるのは当然の心理です。しかし、M&Aの取引相場は一概に提示はできません。

なぜなら、M&Aの取引価格は、売却側の規模・業績・財務体質・抱えているリスクの有無や大小・ブランド力・営業地域・市況・競合の状況などのほか、買収側との相性(見込まれるシナジー効果の大小)によっても変動するためです。

一般的にM&Aでは、企業価値評価をもとに、交渉によって取引価格が決定されます。自社の企業価値を見積もることで、取引価格をある程度推測することが可能です。

企業価値評価にはさまざまな手法があり、中には複雑な手続きを要するものもありますが、「年倍法」という手法を用いれば簡便に価値を見積もれます。年倍法では、以下の計算式を用いるのが一般的です。

  • 企業価値=時価純資産+営業利益(直近数期の平均値)×3~5年程度

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6. タクシー会社のM&Aの成功ポイント

タクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡のポイントを解説します。

人材の定着化

タクシー会社が売上を確保していくためには、保有車両の稼働率が高くなければなりません。そのために不可欠なのは人材(タクシードライバー)ですが」、タクシー業界では人材不足解消が課題のひとつとなっています。

タクシードライバーが不足している理由は、着率があまり高くないことに加え、高齢化が進み引退を迎えるドライバーも少なくないためです。

タクシー会社のM&Aにおいて買い手側は、ドライバーの確保も大きな目的であるケースが多いため、売り手側の人材定着率はポイントのひとつとなります。

サービスの多様化

売り手側が多様なサービスを提供しているタクシー会社であれば、買い手側からの評価が高くなる可能性があります。最近では介護タクシーやキッズタクシーなどのほか、2021年には乗り合いタクシーも解禁となりました。

サービスの多様化は利益安定化につながる要素でもあるので、買い手にとって大きなメリットであることが多いです。

スムーズな乗務員の引き継ぎ

タクシー会社のM&Aのポイントは、スムーズな乗務員の引き継ぎです。乗務員を引き継ぐ際は、適切な説明をしなければ離職されてしまうおそれがあります。しかし、効果的に説明できれば、乗務員たちは今後も安心して働けます。

たとえば、企業買収側の経営基盤が安定していれば乗務員たちの雇用が守られるため、乗務員の不安をあおることなく、M&A後もスムーズな人員の引き継ぎを実現できる可能性が高いです

M&A仲介会社選び

M&Aはご自身のみでは実行するのが難しいため、専門家に相談したほうがスムーズに進められます。もしもタクシー会社のM&Aで仲介会社選びにお困りでしたら、M&A総合研究所にご連絡ください。

M&A総合研究所では、M&Aの支援実績豊富なアドバイザーが相談時からクロージングまでフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談を電話・Webより受け付けていますので、タクシー会社のM&Aをご検討の際はお気軽にお問い合わせください。

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7. タクシー業界のM&A成功事例

ここでは、実際に行われたタクシー会社のM&A・買収・売却・事業譲渡事例を紹介します。

第一交通サービスが苫小牧観光ハイヤーを子会社化した事例

2022年7月、第一交通産業傘下の第一交通サービスは、苫小牧観光ハイヤーを完全子会社化したと発表しました。子会社となった苫小牧観光ハイヤーは北海道のタクシー事業会社で、タクシー車両30台を保有しています。

買い手の第一交通サービスも同業種で、タクシー事業を行う福岡県の企業です。第一交通産業グループはタクシー・ハイヤー事業やバス事業のほか、不動産事業・介護医療事業などを行っています。

第一交通産業は苫小牧観光ハイヤーを子会社化したことで、北海道内のタクシー保有台数が529台に増加しました。車両の増加により、さらに顧客ニーズに対応しやすい体制を整えていくとしています。

参考:第一交通産業株式会社「苫小牧観光ハイヤー株式会社(北海道)の株式取得に関するお知らせ」

ナショナルタクシーが日本交通へ株式譲渡した事例

2021(令和3)年9月、日本交通は、大阪のナショナルタクシーの全株式を取得し完全子会社化しました。1951(昭和26)年創業のナショナルタクシーは、タクシー181台を所有しています(M&A当時)。

このM&Aにより、日本交通グループの保有する大阪府内のタクシー数は744台、日本交通グループ関西(大阪府、兵庫県)が846台、グループ全体で8,601台となりました。

参考:日本交通株式会社「 老舗タクシー会社「ナショナルタクシー」を傘下に」

東野タクシーが西日本通商ネクストへ株式譲渡した事例

2021年4月、西日本通商ネクストは、東野タクシーの全株式を取得し完全子会社化しました。福岡県の西日本通商ネクストは、経営コンサルタント業などのほかに、M&Aを戦略的に用いてタクシー事業の全国展開を目指しています。

1965(昭和40)年創業の東野タクシーは、栃木県内でタクシー事業を行っている会社です。事業承継を検討していた東野タクシーが、西日本通商ネクストの先進的な経営取り組みに期待して株式譲渡しています。

肥後交通タクシーとミハナタクシーが合併した事例

2021年4月、肥後交通タクシーおよびそのグループ会社6社と、ミハナタクシーおよびそのグループ会社2社の合計10社が新設合併しました。新会社名は、TaKuRoo(タクルー)です。両グループは、ともに熊本県内でタクシー事業を行ってきました。

肥後交通タクシーグループの6社の社名は、安全タクシー、三和タクシー、産交ポニータクシー、一の宮タクシー、りんどうタクシー、人吉タクシー、ミハナタクシーグループの2社の社名は、産交タクシー、菊熊タクシーです。

各社単独での生き残りは厳しいと判断し、グループ挙げての経営統合を決断しました。なお、この合併に先んじて、同年1月にTaKuRooの持株会社となる地域交通ホールディングスが設立されています。

共栄タクシーが三福タクシーへ株式譲渡した事例

2021年3月、三福タクシーは、共栄タクシーの全株式を取得し完全子会社化しました。1957(昭和32)年創業の三福タクシーは、福井県でタクシー事業やバス事業を行っています。1962(昭和37)年創業の共栄タクシーも福井県のタクシー会社です。

後継者不在のために廃業を検討していた共栄タクシーは、福井県のタクシー協会や事業引継ぎ支援センターの仲介で三福タクシーと知り合い、M&Aによる事業承継が実現しました。

タカモリタクシーが第一交通サービスへ株式譲渡した事例

第一交通産業の子会社である第一交通サービスは、2020年3月にタカモリタクシーの全株式を取得しました。第一交通産業グループは、創業以来、タクシー車運送事業、路線バスなどの事業を展開しています。

M&Aの対象となったタカモリタクシーは、1970(昭和45)年創業し、三重県にてタクシー事業を展開しており、タクシー27台を保有している会社です。このM&Aで第一交通産業は、三重県内においてグループ会社も含め合計42台、グループ全体のタクシー保有台数は8,422台になりました。

参考:第一交通産業株式会社「タカモリタクシー株式会社(三重)の株式取得に関するお知らせ」

戸畑タクシーが戸畑第一交通へ事業譲渡した事例

第一交通産業のグループ会社である戸畑第一交通は、2019年8月に戸畑タクシーのタクシー事業を譲り受けています。今回のM&Aにより、戸畑第一交通は、戸畑タクシー26台を取得し、北九州市内において合計634台となりました。

参考:第一交通産業株式会社「タクシー事業譲受による戸畑第一交通車庫開設のお知らせ」

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8. タクシー業界のM&Aまとめ

タクシー業界では、競合他社との競争が年々激化しています。業界再編も進んでおり、タクシー会社のM&Aは今後も活発に行われるでしょう。小規模のタクシー会社の場合、初めてのM&Aとなるケースが多いことから、専門家のサポートを受けると安心して手続きが進められます。

9. タクシー業界のM&A案件一覧

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