2022年07月08日更新
会社買収にかかる費用の目安を徹底解説!M&A仲介手数料を抑える方法は?
会社買収・企業買収には、諸手続きや契約書の作成などでさまざまな費用・お金が発生します。会社買収を検討する際、費用の目安を知りたいと考える経営者の方は多いでしょう。そこで本記事では、M&A仲介手数料も含めた会社買収時に発生する費用・お金を解説します。
1. 会社買収とは
会社買収とは、一般的に企業買収といわれる行為と同じで、株式を取得することにより会社の経営権を丸ごと買い取ることです。
この会社買収や企業買収では、株式譲渡と呼ばれるM&Aの手法を用いて、取得する株式の対価としてお金を支払うことにより、その対象企業の経営権を得られます。
会社買収のメリット
会社買収の実施により期待されるメリットを、買い手側、売り手側に分けてそれぞれ掲示します。
会社買収・買い手側のメリット
会社買収における買い手側企業のメリットとして考えられるのは、主に以下のとおりです。
- シナジー効果による売上高向上
- 事業の拡大強化、あるいは弱点の補完
- 新規事業への進出
- コストの効率化による利益率の向上
- スケールメリットによる経営の安定化
- ノウハウや開発力、技術力の獲得
- 人材の入手
会社買収・売り手側のメリット
会社買収における売り手側企業で期待されるメリットは、主に以下のとおりです。
- 事業承継(後継者)問題の解決
- 廃業を免れ、従業員の雇用が継続
- 経営者の個人保証解消
- 創業者利益(会社売却金)の獲得
- 親会社を得たことによる対外的な信用力向上
- 財務基盤の安定化
2. 会社買収にかかる費用と目安
会社買収(企業買収)を行う際はさまざまな費用がかかります。税金も会社買収の費用の一部ですが、今回は実務上で発生する費用も含めて解説します。
買収するための資金
会社買収にかかる費用として、当然ですが、対象企業を買収するためのお金が必要になります。
お金の額はM&Aを実施して交渉後に決まっていくものです。業種や規模によって異なるだけでなく、相手企業の企業価値の影響もあるため、対象が決まるまで目安となる金額はわからないことがほとんどです。
M&A仲介会社など専門家に相談するのが望ましいといえます。
買収を完了させるための人件費
会社買収を完了させるための人件費として当てはまるものに、デューデリジェンスにかかる費用や、交渉・移転にかかる費用があります。
デューデリジェンスにかかる費用は、スモールM&Aの場合で50万〜300万円が相場とされているため、これを目安に規模・業種・条件によって決めましょう。
具体的には、人件費は会社買収金額の5〜8%以内のお金で抑えられれば差し支えない範囲だと考えられます。
仲介会社の手数料や報酬など
会社買収や企業買収を行う場合、M&A仲介会社に依頼することは必須です。そのM&A仲介会社の手数料や報酬なども、会社買収にかかる費用として考えなければなりません。
会社買収・企業買収のための手数料や報酬は会社により異なります。完全成功報酬型の会社もあれば、着手金や中間報酬など費用が細かく分かれている会社もあるため、依頼する際に確認しましょう。
税金
株式譲渡や事業譲渡などのM&Aスキームで会社買収を行った場合、当事会社に税金が課されます。
具体例を挙げると、株式譲渡では、譲渡側に対して、譲渡所得のうち15.315%の所得税と5%の住民税が課されます。ここでいう譲渡所得とは、譲渡代金から株式の取得費(株式取得にかかった費用)と譲渡費用(仲介会社やアドバイザーに手数料など)を差し引いた金額のことです。
これに対して、事業譲渡では、譲渡側に対して法人税等、譲受側に対して消費税が課されます。譲渡側が支払う法人税等は、譲渡益(譲渡代金−譲渡する資産の簿価)に課されます。具体的な税率はケースバイケースであるものの、大まかな目安は30〜40%ほどです。
株券発行費
会社買収では、譲渡側に対して株券発行費と呼ばれる費用が発生することもあります。株券発行費とは、自社株を発行する際に発生する費用です。印刷所への依頼時に求められます。
定款にて株券の発行が必要である旨が定められている場合、会社買収の実施に際して株券を発行する義務が課せられます。具体的な金額は依頼する印刷所・紙質などによって変動するものの、大まかな相場としては1万〜10万円前後でしょう。
3. 会社買収の費用を抑える方法
会社買収や企業買収には多くの費用がかかります。スモールM&Aならさほど差はありません。規模が大きくなれば少しの差が最終的に大きな負担につながります。この項では、会社買収にかかる費用を抑える方法を解説します。
買収金額を抑える
会社買収の金額そのものを抑える方法ですが、これは交渉によって左右されることが大半で、規模や会社の業績で相場が決まります。
ここで注意すべきなのが、譲渡側の企業価値算定や査定を誤って見積もることです。これにより、相場よりも高く買収することになり、相場よりも多くのお金を使ってしまう可能性があります。
買収金額を抑えるためには、専門家のアドバイスを受けながら、相場より安くなるように交渉していく必要があります。
デューデリジェンスの費用を抑える
デューデリジェンスにかかるお金を抑えるためには、M&A仲介会社に実務として一括して行ってもらうか、必要な情報のみを得るデューデリジェンスを行うかのどちらかを選択することが望ましいです。
相手企業のすべてを調査しようとすると日程の調整などで時間がかかるうえに、発生する費用も多くなるため、ある程度は調査対象を絞って行うことが大切です。
アーンアウト形式
アーンアウト形式とは、会社買収取引の実行後に、一定期間で買収対象とした事業が目標に達成した場合、あらかじめ合意していた算定方法に基づいて対価の一部を支払う方法です。
最終契約時に企業買収側と売却側で所定の条件を設定し、一定期間内に達成された場合にのみ追加の費用を支払うことを約束するものです。その追加分の支払い義務のことをアーンアウトといいます。
株式交換
株式交換とは、組織再編行為の1つです。対象企業の株式を得る対価として自社の株式を渡すため、金銭の支払いが発生しません。
多く見られるのは、「70%の株式を所有している子会社を完全子会社にしたい場合、お金で買い取るのではなく残りの株式を株式交換する」といったケースです。
M&A仲介手数料を抑える
M&A仲介手数料は、会社買収・企業買収にかかる費用の中でも最も抑えやすい部分です。M&A仲介会社の仲介手数料は会社によって異なるため、比較検討したうえで依頼することが大切です。
4. 会社買収の際にM&A仲介会社を選ぶポイント
会社買収・企業買収に際して依頼を検討するM&A仲介会社ですが、会社買収の費用を抑えることばかり考えると、成約率が落ちたり失敗したりするリスクが高くなります。この点を踏まえて、本章では、会社買収においてM&A仲介会社を選ぶポイントを解説します。
買収企業への専門的知識・M&A実績を持っている
会社買収で専門的な知識を持っていない場合、会社買収後に想定どおりのシナジー効果を得られなかったり、想定外のトラブルが発生したりするおそれがあります。
単純に会社買収における実務をサポートするだけではなく、会社買収の対象企業や自社の事業分野に専門的な知識を持っている仲介会社を選択することが大切なポイントです。
過去に同規模の案件実績がある
会社買収は、専門的な知識だけでなく、案件規模によっても大きく左右されます。
会社買収を得意とする大手のM&A仲介会社であったとしても、例えば小規模の案件を扱っていない会社に小規模案件を依頼することは、成功確率の高い選択とはいえません。
M&A仲介会社を選ぶ際は、同規模の案件の扱いがあるかどうかを確認しておく必要があります。
M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
もちろん、会社買収の知識と経験は必要不可欠です。最近では、コンサルティング業者や税理士事務所などもM&A仲介業務を行っています。しかし、業種に関して専門的な知識を持っていたとしても、M&Aや会社買収に関する知識が備わっていないとスムーズな取引を行えないなどの不具合が生じます。
M&Aや会社買収は難しい決断であるものの、タイミングが重要です。タイミングを誤ると失敗してしまう可能性が高まるため、会社買収やM&Aに幅広い知識と経験を持ったM&A仲介会社を選択することが大切です。
手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
会社買収に関して、費用は重要な部分を占めています。会社買収額が相場どおりだったとしても、M&A仲介会社に支払う費用が大きいと、会社買収そのものがマイナスとなってしまい、会社買収によって得られる利益の回収に時間がかかってしまうかもしれません。
M&A仲介会社を選ぶ際は、手数料や相談料、報酬体系の確認をしっかりと行い、規模にあったものであるかどうかの見極めも肝心です。
担当スタッフの対応・相性
会社買収を成功させるためには対応スタッフとの連携が大切であり、「報・連・相」が十分にできていないと成功できません。
細かなところまでしっかりと相談しあえる相手かどうかや、自身の希望をしっかりと受け取ってくれ行動してくれるかどうかなど、スタッフとの相性もM&A仲介会社を選ぶ際の大きなポイントです。
5. 会社買収にかかる費用まとめ
会社買収は、事業拡大や新規事業開拓を目的として行われることが多いですが、今後の経営を考えれば買収費用はできるだけ安くおさめたいというのは、誰しも当然のことでしょう。会社買収の費用を抑える主な方法は、「買収金額を抑える」「デューデリジェンスの費用を抑える」「M&A仲介手数料を抑える」の3つです。
費用を抑えすぎては会社買収自体が失敗してしまう恐れもあるため、アドバイザーやM&A仲介会社選びも大切です。アドバイザーやM&A仲介会社を選ぶ際は、「買収企業への専門的知識・M&A実績を持っている」「過去に同規模の案件実績がある」といった点をチェックして検討すると良いでしょう。
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