2023年07月07日更新
M&Aによる会社立ち上げを徹底解説!メリットやデメリット・成功のポイントは?
近年M&Aで会社を立ち上げる人が増えてきています。しかし、M&Aによる会社の立ち上げにはメリット・デメリットがあり一概にM&Aがおすすめかというとそうではありません。本記事ではM&Aによる会社の立ち上げについて徹底的に解説します。
目次
1. M&Aとは?
M&Aとは、「Mergers(合併)」と「Acquisitions(買収)」の頭文字を取った略称です。
文字通り、企業の合併と買収を意味しており企業の成長戦略の1つとして行われています。以前はM&Aに対してネガティブなイメージを持つ人が多かったのですが、近年では企業が成長していく上で欠かせない戦略として考えられるようになりました。リソースや経営権の移動を伴うためまだまだネガティブなイメージは残っていますが、日本のみならず海外でのM&Aの件数は年々増加しています。
M&Aの意味と定義
M&Aの意味・定義としては、企業の合併と買収となっていますが他にも以下のような意味を持ちます。
- 業務提携
- 資本提携
例えば、A社とB社が業務提携・資本提携をする際にもM&Aという言葉が使われるケースがあります。企業同士が協力する時にもM&Aが使われることがあるため、徐々にM&Aの意味は広がりつつあります。
M&Aの主な手法
M&Aの主な手法としては、以下の2つです。
- 合併
- 買収
他にも意味合い的に手法はありますが代表的な2つの手法を解説します。
合併
M&Aにおける合併には2つの方法があります。
- 新設合併
- 吸収合併
よく行われているのは吸収合併で、吸収される企業が吸収する企業の傘下に入ることをいいます。吸収した企業は吸収対象の企業の資本や従業員などの資産を引き継ぐことになります。
一方で新設合併は新しく会社を設立し、2つ以上の企業が入ることをいいます。元会社の存在を無くし全く新しい企業として再建する手法です。
買収
一般的なM&Aといえば、買収を思い浮かべる方も多いと思います。
買収は対象企業の経営権や事業をマルっと引き継ぐことをいいます。引き継ぐ対象は株式や事業資産など行われるM&Aによりバラバラです。ちなみに、M&Aにおける買収は以下のような手法があります。
- 新設分割・吸収分割
- 株式移転
- 株式交換
- 株式譲渡
買収にはいろいろな方法があります。
2. M&Aで会社を立ち上げるメリット・デメリット
近年、1から会社を設立するよりもM&Aで会社を設立するケースが多くなりつつあります。しかし、M&Aで会社を立ち上げることにはメリットもありますが見逃せないデメリットもあります。
ここからはM&Aで会社立ちあげをするメリット・デメリットを解説していきます。
M&Aで会社を立ち上げるメリット
M&Aで会社を立ち上げるメリットとしては以下が挙げられます。
- すぐに事業を始められる
- 手法次第では許認可を引き継げる
- 資金を調達しやすい
それぞれ解説します。
すぐに事業を始められる
M&Aにより企業を買収すれば、その企業が経営していた事業をそのまま引き継ぐことになりますので今すぐにでも事業を始めることができます。
1から事業を立ち上げる時にはマーケティング戦略やその他色々な経営面で考えることがたくさんあります。また、起業をして成功するのはほんのごくわずかなため既に軌道に乗っている事業をそのまま始められるのはメリット以外の何物でもありません。事業を軌道に乗せられずに倒産してしまう企業が多い現状を見ると尚更、M&Aで事業をそのまま引き継げるメリットは大きいでしょう。
手法次第では許認可を引き継げる
包括的なM&Aを選択した場合、許認可をそのまま引き継ぐこともできます。
許認可の中には条件が厳しいものがあったり手続きに時間がかかるものがありますが、M&Aでそのまま引き継ぐことができればそういった手間隙をかける必要がありません。スムーズに事業を進めることができますし、余計なコスト・リスクを抱える必要もありません。ちなみに、M&Aで包括的な手法としては株式譲渡があります。
資金を調達しやすい
M&Aで引き継いだ企業は運営歴があるため比較的、資金を調達しやすいメリットもあります。
新規事業を1から立ち上げる場合は信頼がないため資金調達が難航するケースが後を絶ちません。しかし、M&Aで引き継いだ事業が既に売上を持っていたりするとそれを担保にして資金調達をすることができます。将来の見通しが立っている事業に対して資金を提供してくれる金融機関やVCは多いため、事業をさらに拡大しやすくなります。
M&Aで会社を立ち上げるデメリット
M&Aで会社を立ち上げるデメリットとしては「従業員や取引先との関係を築くのが難しい」が挙げられます。
従業員や取引先との関係を築くのが難しい
例えば、「あなたが社長だから取引している」のように取引先が取引をしてくれている理由に属人性があるとM&Aで引き継いだ後に継続的に取引をしてくれる可能性はぐんっと下がってしまいます。
また、M&Aは従業員や取引先の理解を得ないまま進めてしまうと猛反発をくらってしまうケースがほとんどです。M&Aはいろいろなステークホルダーに対して説明が必要な方法ですし、一貫性がないと認められない可能性が非常に高いのです。従業員・取引先と良い関係を築くためにはM&Aを行う前に十分な説明と信頼構築をしなければなりません。
3. M&Aで会社を立ちあげる方法
さて、M&Aで会社を立ち上げるメリット・デメリットを把握した上で会社を立ち上げる方法を以下のステップで解説します。
- 予算を決める
- 案件を探す
- 面談をする
- 基本合意契約を結ぶ
- 調査をする
- 最終契約を結ぶ
それぞれステップごとに解説します。
①予算を決める
M&Aで企業を買収するためにはそれなりの資本力が必要です。
数百万円で買収できる企業もあれば、数億円が必要となる企業もあります。自分が用意できる予算を決めた上で業種や地域を限定しておくとM&A案件を探す時にスムーズに進みます。また、買収したい企業が100%見つかるというわけでもないためいくつか希望条件を用意しておくこともおすすめします。
②案件を探す
M&Aで買収したい案件を探す方法としては以下があります。
- 銀行に相談する
- M&A仲介会社に依頼する
- インターネットを使用する
- 事業引継ぎ支援センターに相談する
それぞれ解説します。
銀行に相談する
イメージがないかもしれませんが、銀行でM&A案件を扱うところは増えつつあります。
近年ではM&A専門の部署を設けている銀行も多く、より積極的にM&Aに向き合ってくれています。また、銀行だとM&Aと同時に融資の相談をすることができますので一貫して事業を継承することが可能です。ただ、銀行は仲介手数料が高く設定されていることがほとんどですのでコストを抑えたい方には向いていないかもしれません。
M&A仲介会社に依頼する
最もポピュラーな方法として、M&A仲介会社に依頼する方法があります。
昔はM&A仲介会社が扱っているM&A案件は最低でも数千万円と規模が大きい企業ばかりでしたが、近年は数十万円のM&A案件も多く取り扱っています。法人ではなく個人でも買収できる企業が増えていますので覗いてみることをおすすめします。
また、M&A仲介会社はM&Aを専門に事業展開をしている企業ですのでM&Aに関する相談も親身になって聞いてくれるでしょう。トラブルを事前に回避できるのもM&A仲介会社の強みです。
インターネットを使用する
M&A仲介会社以外でM&A案件を探す方法として、インターネットを使用することもおすすめです。
ここ数年でM&Aマッチングサイトが急増し、自分の希望条件に当てはまるM&A案件を自由に探すことができるようになりました。ただ、あくまでも「マッチングさせる」ことが目的であり、M&Aに関するトラブルを解消してくれるわけではありません。ある程度のM&Aに関する知見を持った上でインターネットを使用することをおすすめします。
事業引継ぎ支援センターに相談する
知名度はそこまでありませんが、国が運営している事業引継ぎ支援センターへ相談するのも良い方法です。
M&Aだけでなく事業継承や事業引き継ぎ全般をサポートしている事業引継ぎ支援センターは各都道府県に設置されています。それぞれM&A仲介会社と連携しつつM&Aによる起業を応援してくれているのです。また、事業引継ぎ支援センターには「後継者人材バンク」という事業があり、後継者が不足しているM&A案件を積極的に紹介してくれたりします。
③面談をする
買収したいM&A案件が見つかれば、トップ同士で面談を行います。
面談内容は多岐に渡りますが主に買収金額や時期などを決めていきます。また、M&Aをしても問題がないのか経営方針や従業員の待遇面での話し合いも必要です。
④基本合意契約を結ぶ
面談が終わり特に問題なく進めば、基本合意契約を締結します。
基本合意契約には以下の項目を記載します。
- M&Aの方法
- 買収金額
- スケジュール
他にも記載することがたくさんありますので、M&A仲介会社やサポートしてくれる企業と相談しつつ進めましょう。
⑤調査をする
基本合意契約を結んだ上で、企業に問題がないかを調査するフェーズに入ります。
この調査することを「デューデリジェンス(DD)」といい、M&Aでは欠かすことができない手続きです。「デューデリジェンス(DD)」では以下を調査します。
- 税務面
- 法務面
- 人事面
企業が抱えているリスクや課題を「デューデリジェンス(DD)」により洗い出します。その上でM&Aで買収するかどうかを判断します。
⑥最終契約を結ぶ
デューデリジェンス(DD)で企業のリスクや課題を洗い出し、特に問題がなければ最終契約を締結します。
M&Aでは最終契約の締結からクロージングまで約1ヶ月かかります。その間に生じてしまった会社の価値変動は買収金額へ反映しますので、価格調整を最後に行い契約を締結します。これでM&Aにより会社の設立ができました。
4. M&Aでの会社の立ち上げを成功させるポイント
M&Aは失敗や途中断念が多いものですが、M&Aでの会社の立ち上げを成功させるポイントを抑えておけば失敗する可能性を限りなく下げることができます。
- 自身の強みを生かせる会社・事業を買収する
- 高額案件は避ける
- 専門家を活用する
それぞれ解説します。
自身の強みを生かせる会社・事業を買収する
なるべく、自身の強みを生かせる会社・事業を買収することをおすすめします。
M&Aでは買収した企業のノウハウやその他資産を一括で引き継ぐことができますが、自身の強みに反するような企業を買収してしまうとそのノウハウや資産をうまく活用できません。今後が期待されている市場であったとしても自分の強みを活かすことができなければ将来性がないのと同じです。できるだけ自分の得意市場の範囲内で買収しましょう。
高額案件は避ける
M&Aを行う前に決めていた予算をオーバーする案件には手を出さない方が良いです。
会社経営にはリスクがつきものではありますが、余計なリスクは背負わない方が良いでしょう。もし予算をオーバーして無理に買収した企業でうまく経営ができない時のダメージは計り知れません。ただ、「どうしても予算オーバーだけどこの企業を買収したい!」という場合は専門家に相談してみましょう。
専門家を活用する
M&Aは多くの専門的知識を必要とします。
- 案件探し
- 企業価値の評価
- 交渉
- デューデリジェンス(DD)
- 契約書の作成・チェック
特にデューデリジェンス(DD)は税務や財務などあらゆる知識が必要となりますので自分一人で進められるものではありません。事前に専門家を活用する予算を組んでおくことをおすすめします。
5. M&Aでかかる手数料
M&Aで企業を買収する際、必要なのは買収資金だけではありません。M&Aでかかる手数料は以下の2つがあります。
M&A仲介会社の手数料
もしM&A仲介会社を利用した場合、以下のような手数料が必要です。
- 相談料
- 着手金
- 中間金
- 月額報酬(リテイナーフィー)
- 成功報酬
M&Aが完遂するまでにいろいろな手数料がかかります。M&A仲介会社はこの手数料の高さから法人向けとされています。
M&Aプラットフォームの手数料
M&Aプラットフォームを利用した場合、手数料が必要になるのは売り手側のみのケースがほとんどです。
- 着手金:ほとんどなし
- 中間金:ほとんどなし
- 成功報酬:数%
買い手側はM&Aプラットフォームを利用する上で手数料を支払う必要はほとんどありません。
6. M&Aで会社を立ち上げるのは選択肢として有効!
起業をして数年で倒産してしまうことが一般化されている昨今においてM&Aで会社を立ち上げるのは選択肢として有効です。
自分で1から事業を立ち上げることに拘らなければM&Aで企業を買収してしまった方が良いかもしれません。ただ、M&Aで失敗するケースも多いため専門家に相談しつつ進めることをおすすめします。
7. まとめ
M&Aによる会社立ち上げ数は年々増加傾向にあります。
自分で1から事業を立ち上げるよりもM&Aで事業をさくっと買収してしまった方がスムーズに経営をスタートできます。しかしM&Aもリスクが高いもので、成功するためのポイントをしっかり押さえておかないと「買収したけど赤字が続いた」なんて最悪の事態になりかねません。逆に成功するポイントを押さえておけばこういった失敗を回避できる可能性がグンと上がります。
M&Aで会社立ち上げをスムーズに行いましょう。
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