2022年12月13日更新
会社を売るタイミングはいつが最適か?高い株価で売る方法
高い株価で会社を売るためにはタイミングを見計らうことが重要で、タイミング次第で株価が大きく変わります。本記事では、会社を売る最適なタイミングを解説するとともに、より高い株価で売るための考え方や、タイミングを逃さないポイントを解説します。
1. 会社を売る最適なタイミングはいつなのか?
会社を売るときは、自社の条件にあった買い手を探すことも重要ですが、最適なタイミングを見逃さないこともポイントといえます。なぜなら、同じ価値を持つ会社でも、タイミングによって株価が大きく変わることも多いためです。
しかし、会社を売ることは個々の事情が大きく影響するうえ、ほとんどの経営者にとって初めての経験となるので、いつがよいタイミングなのかわからないケースも多いです。
この章では、個々の会社の事情によらず、一般論として会社を売るのに最適と考えられるタイミングを解説します。
一般的によいといわれるタイミング
会社を売るのに一般的によいといわれるタイミングは、好景気の時や業界再編の動きがある時ときなど、主に以下の4つがあります。
しかし、あくまでも一般論なので、実際に会社を売るときは個々の会社の事情なども加味し、総合的に判断することが必要です。
- 業績はよいが経営者の意欲が減少しているとき
- 経営者が気力や体力の衰えを感じたとき
- 好景気のとき
- 業界再編の動きがあるとき
①業績はよいが経営者の意欲が減少しているとき
会社の業績がよいときは経営者は誰しも意欲に満ちていると思われがちですが、実際はさまざまな理由で意欲が落ちることもあります。
もし、意欲がもう戻ることはないと判断したのなら、業績がよいときが会社を売る最適なタイミングです。業績のいい会社は株価が高くなりやすいので、経営を続けるつもりがないならできるだけ早めに会社を売るほうがよいでしょう。
②経営者が気力や体力の衰えを感じたとき
経営者自身が気力や体力の衰えを感じたときは、会社を売るタイミングのひとつです。人は70代くらいになるとどうしても気力・体力が落ちるといわれているため、60代くらいで会社を売るための準備を始めるほうがよいでしょう。
早めの準備が必要な理由は、会社を売ること自体が気力と体力を必要とするので、完全に気力と体力が衰えてしまってから会社を売る検討を始めてもタイミングが遅すぎるためです。
衰えてから会社を売るとどうしても成約を急ぐことになるので、精神的に余裕のある買い手に対して交渉面でも不利になりやすくなります。
③好景気のとき
業界が好景気のときは買い手が積極的になるので、会社を売るのに適したタイミングとなります。好景気なら会社を売る必要はないことも多いですが、買い手の傘下に入って事業拡大したい場合やイグジットを狙いたい場合は好機です。
異業種間M&Aの場合、会社を売る側の業界は好景気ではないが、買う側の業界が好景気というパターンも考えられます。買い手・売り手双方の業界動向をみて、最適なタイミングを判断することが大切です。
④業界再編の動きがあるとき
業界再編の動きがあるときも、会社を売るいいタイミングとなる可能性があります。ただし、業界再編といってもいろいろなタイプがあるので、中小企業にとって最適なタイミングとなる業界再編であるかを見極めなければなりません。
中小企業にとっていいタイミングとなるのは、業界がまだ成長期にあり、中小企業がM&Aで協働し力をつけていくタイプの業界再編が起こっている段階です。この時期は株価も高くなりやすいので、会社を売るいいタイミングだといえます。
一方、成熟期に入ってしまうと大手同士の生き残りを目指すM&Aが中心となるので、中小企業が会社を売るタイミングとしては遅すぎることが多いです。
業績から考えられるタイミング
業績がよい時期と悪い時期では、会社を売る最適なタイミングは異なります。会社を売る際は、自社の業績を鑑みたうえで、その業績において最適なタイミングがいつなのかを見極めることが大切です。
- 自社の業績がよい時期
- 自社の業績が悪い時期
- 業績はよくないが事業に対する意欲があるとき
①自社の業績がよい時期
業績がよいときは、基本的には会社を売るのではなく経営を続けて事業発展していけばよいですが、意欲減少など会社を売る理由がある場合は、逆にむしろ業績がよい時のほうが最適なタイミングといえます。
業績がよいのであれば基本的には経営に邁進(まいしん)すればよいですが、あえてこの時期に会社を売る選択肢もあることを知ると経営戦略の幅が広がります。
②自社の業績が悪い時期
自社の業績が悪い時期は、経営者の意欲や経営状態の深刻度合いなどによって、会社を売る最適なタイミングを見極めていきます。
業績が悪く経営者の意欲がない時は、たとえ安値でも早く会社を売るほうが社員や取引先に迷惑をかけずに済むケースもあるので、しっかりタイミングを見極めることが大切です。
③業績はよくないが事業に対する意欲があるとき
経営者に意欲があって経営状態もまだ倒産を意識するような段階でない場合、経営者にとっては頑張りどころだといえます。この段階では会社を売るというよりも、資本提携や業務提携で業績回復を狙う場面が多いです。
ただし、いくら意欲があっても倒産を回避できないような状態なら、倒産してしまう前に会社を売るというのも現実的な選択肢です。
2. 会社をより高い株価で売るためには?
自社を売却するとなれば、できるだけ高く価格で売りたいと考えるのは当然ですが、そのためにはどのような点を意識すればよいのでしょうか。
会社をより高い株価で売るためには、タイミングを見極めるだけでなく、非上場企業の株価算出方法を理解したうえで、自社の株価を高める努力をする必要があります。
非上場企業の株価算出方法
非上場企業の株式には市場株価がないので、M&Aによって自社を売却する際は、何らかの方法で妥当な株価を算定しなければなりません。
非上場企業の株価算定方法には主に3つのカテゴリーがあり、純資産をもとに算定する方法(コストアプローチ)、将来の収益予想から算定する方法(インカムアプローチ)、似た特性を持つ上場企業を参考にする方法(マーケットアプローチ)があります。
中小企業はコストアプローチ、大企業はインカムアプローチがよく使われる傾向があり、マーケットアプローチは上場が近い企業の株価算定や企業の相続時などに使われることが多いです。
株価(自社評価)を高めるには
株価を高めるためには、収益力・財務状況・投資効率を改善する必要があります。ただし、これらの指標は完全に独立したものではないので、総合的にみていく視点も必要です。
- 収益力を上げる
- 財務状況を改善する
- 投資効率を上げる
①収益力を上げる
収益力の高い企業は株価が高くなりますが、収益力というのは幅広く漠然とした概念です。よって、もう少し中身を絞って、自社が改善可能な部分を見極めて手入れしていく必要があります。
しかも、会社を売るにあたって高い株価をつけることを目標とするなら、できるだけ短期間で改善可能な部分に着手していかなければなりません。収益力の強化とは、端的にいうと売上を上げるかコストを下げることです。
短期間でコストを下げられる部分としては、例えば物品・光熱費・家賃などの経費の削減、テレワークによる移動コストの削減などが考えられます。
売上を短期間で改善するのは簡単ではありませんが、例えば営業部門やプロモーションなどで改善できそうな点があれば着手しておきましょう。
②財務状況を改善する
会社を売る際は買い手に財務状況を必ずチェックされるので、短期間で改善できる部分をできるだけ洗い出しておく必要があります。財務状況も収益力と同様幅広い概念なので、もう少し的を絞らなければなりません。
例えば、キャッシュフローが健全だと買い手に安心感を与えることができるので、不要な借入れがないかチェックしたり、場合によっては借入れの組み換えを行ったりといったことが考えられます。
そのほかにも、予算と実績の管理がきちんとできていないようなら、予実管理を徹底するといったことも有効です。
③投資効率を上げる
投資効率というと総資本経常利益率などの指標がありますが、会社を売るにあたってはこういった抽象的な指標よりも、設備投資効率を改善することなどが現実的な対策になると考えられます。
会社を売るにあたって効果が見込める施策の一例は、それほど稼働していない設備を整理したり、より効率的な設備の活用法がないか検討したりするなどです。
3. 会社を売るタイミングを逃さないためのポイント
会社を売るタイミングを把握していても、早めの準備や磨き上げといった、実行に移すための用意ができていなければスムーズに進みません。
会社を売る目的を明確にしたり、情報漏洩に気をつけたりなど、手続きを円滑に進めるための準備も必要です。M&Aの専門家に相談することも重要なポイントとなります。
- 早めに準備をする
- 会社を売る目的を明確にする
- 自社の磨き上げを行っておく
- 業界動向をこまめにチェックする
- 情報漏洩に気を付ける
- M&Aの専門家に相談する
①早めに準備をする
会社を売るタイミングを逃さないためには、早めに準備を始めることが重要です。会社を売る準備として、まずは会社の現在の状況をあらためて把握しておきましょう。自社の財務状況や経営資源を理解しておくことは、次節で解説する目的の明確化や磨き上げの土台にもなります。
株式が複数の株主に分散している場合は、全株式を集約できるか確認しておくことも大切です。特に中小企業の場合は、株券発行会社なのに株券を紛失してしまっていたり、そもそも正式な株主が誰なのかわからなくなっていたりといったケースもあります。
このようなケースでは、不発行会社への移行など面倒な手続きが必要になるので、早めに取りかかっておくことが大切です。経営者の個人資産が会社名義になっている場合は、資産を分離する手続きも行わなければなりません。
②会社を売る目的を明確にする
会社を売る目的には、事業承継や資金の獲得、シナジー効果などさまざまなものがあります。どのような目的のために会社を売るのかを明確にしておくことが、タイミングを逃さないための重要なポイントです。
会社を売る目的があいまいでは買い手候補選定の基準が不明確になり、よい買い手を見つけるタイミングを逃してしまいかねません。
目的があいまいなままでは買い手に効果的なアピールができなくなるので、交渉で買い手に買い叩かれる危険性もあります。
③自社の磨き上げを行っておく
磨き上げとは、会社を売る前に自社がより魅力的に見えるように準備することです。同じ価値を持つ会社でも、磨き上げをしっかり行うことで買い手がつきやすくなり、最適なタイミングを逃さず成約できます。
磨き上げのプロセスですが、まず会社を売るにあたって重大な問題点があれば、それを排除する必要があります。
特に、コンプライアンス違反は会社を売る前に必ず解消しておかなければなりません。相続対策のための不要な資産は整理しておきましょう。
重大な問題点を排除したら、次はより高い株価を引き出すための準備を行います。業務システム検討しなおして効率化できる部分がないか探したり、強みを明確化して分かりやすい資料にまとめたりするのは非常に有益です。
④業界動向をこまめにチェックする
M&A・会社売却は同業種間で実施されるケースが多いため、自社の業界動向を常にチェックしておくと、会社売却のタイミングを計りやすくなります。特に、自社の業界が他業種から興味を持たれているかといった動向をチェックしておくことが重要です。
⑤情報漏洩に気を付ける
情報漏洩は会社売却が失敗する重大なポイントなので、事前にきちんと対策しておく必要があります。
大前提として、社内や取引先などに会社を売る情報を漏らさないことが大切です。社内で会社を売ることを必要以上に話したり、関連資料を見える場所に置いたままにしたりといったミスで情報は漏洩します。
買い手・売り手間の情報漏洩にも気をつけなければなりません。基本合意書などで保持すべき情報の範囲を明記し、秘密保持契約を締結しておくことが大切です。
⑥M&Aの専門家に相談する
初めて会社を売る経営者の方が、自身の力だけで最適なタイミングを図るのは困難です。M&A・売却をするためには専門的な知識も不可欠なので、M&A仲介会社などの専門家に相談し、売却のタイミングや準備などのサポートを受けるとスムーズに進められます。
4. 会社を売るタイミングの相談先
会社売却・M&Aをご検討中の経営者様は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。経験豊富なアドバイザーが、会社を売る最適なタイミングを始めトータルにサポートさせていただきます。
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5. 会社を売るタイミングのまとめ
会社を売る最適なタイミングは、経営者の意欲や会社の業績、業界動向などさまざまな条件で変わってきます。専門家のサポートを受けつつ、よいタイミングで会社を売るように準備することが大切です。
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