新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?業界別に解説!

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企業情報第三部 部長
鎌田 実築

三菱UFJ銀行にて中堅中小企業法人担当として、企業再生支援、事業承継支援、資産活用コンサルティング等幅広く活動。その後M&Aアドバイザーとして複数の業種で成約実績を積み、規模・エリアも問わず幅広い相談に対応。

新型コロナの影響で数多くの業界が影響を受けています。事業の在り方の変化や廃業・倒産を余儀なくされている企業も多く、M&Aマーケットへの影響も大きくなっています。本記事では、新型コロナがM&Aマーケットへ与える影響を業界別に解説します。

目次

  1. 新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?
  2. 新型コロナによりM&Aマーケットに大きな変化が見られる業界
  3. 新型コロナによる業界別M&Aマーケット情勢
  4. 新型コロナによるM&Aへの追い風
  5. まとめ
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1. 新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?

新型コロナによりM&Aマーケットはどうなる?

新型コロナウィルスの世界的流行の影響により、経済活動に大幅な制限が掛けられています。感染拡大を防止するために外出自粛や休業要請が出されており、平時であれば多くの人通りがみられる繁華街も、商店の休業によって閑散としています。

M&Aマーケットも無関係ではなく、コロナで状況が一変したことで以前から進めていたM&A交渉が白紙になったり、経営状態の悪化が著しく会社売却を余儀なくされたりと、業界や企業によってさまざまな問題がでています。

限定的な場面でコロナ特需を得ている業界もありますが、他業界と繋がりを断てるわけでもないため、どうしても悪い影響を受けてしまう現状があります。

2. 新型コロナによりM&Aマーケットに大きな変化が見られる業界

新型コロナによりM&Aマーケットに大きな変化が見られる業界

新型コロナウィルスは各業界に大きな影響を与えています。この章では、特にコロナの影響が大きい3つの業界に焦点をあてて解説します。

外食産業界

外食産業界は、外出自粛要請の影響で多くの飲食店で売上が減少しています。特に、外出自粛が本格化した3月以降が厳しい状況になっており、客足が途絶えた飲食店は家賃や従業員の給料も払えないほど切迫している状況です。

一方、外出自粛が強まるなか、デリバリーサービスで業績を伸ばす飲食店もあります。これまで店舗内の食事限定だった飲食店も、新規デリバリーサービスの開始や配送サービス「UberEats」を活用する姿が多く見受けられます。

観光業界

観光業界はインバウンドの恩恵が大きい業界だったこともあり、コロナの影響をダイレクトに受けています。

観光庁の統計によると、2020年4月の訪日外国人数は約2,900人(前年度比-99.9%)というデータが出ています。

これは、世界的に入国や渡航を制限する動きが強まっており、日本においても同様の処置がとられた結果です。

独自の企業努力で対応するのが難しく耐え忍ぶしかない現状ですが、段階的な自粛解除がされていくなか、観光業界のコロナウイルス対応ガイドライン(第1版)も揃ってきており、経済活動再開に向けて少しずつ動きをみせ始めています。

製造業

緊急事態宣言を受けて在宅勤務に切り替えている業種も多いですが、製造業は工場で仕事をしなければならないため、緊急事態制限の影響を強く受けています。

緊急事態宣言の対象外地域の製造業においても、発注先の経済活動が止まったことで発注キャンセルが相次いでしまい、数ヶ月先までの収益が途絶えている企業も少なくありません。

製造業のなかには、2008年のリーマンショックのダメージが回復しきっていない企業も多く存在するため、コロナウィルスが長引くほど持ちこたえられる企業は少なくなっていくでしょう。

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3. 新型コロナによる業界別M&Aマーケット情勢

新型コロナによる業界別M&Aマーケット情勢

新型コロナウィルスの影響により、M&Aマーケット情勢も大きく変わりつつあります。ここでは、業界別にコロナの影響を解説します。

金融業界

世界的にコロナウィルスが流行するなか、各業界が資金調達に四苦八苦しています。これまで借入や融資とは無縁だった優良企業も、金融業界からの借入を決意する姿が見受けられます。

金融業界は引く手あまたとなっており、限定的な特需を得ている業界の1つといえるでしょう。M&Aマーケットにおいては、M&Aを検討する企業に対して融資という形で需要が伸びることが想定されます。

建設業界

建設業界では、建設現場の工事・業務の一時中止が相次いでいます。緊急事態宣言が出された当初は自粛の動きは弱かったのですが、清水建設の社員3名の感染、1名の死亡の公表と同時に建設業界全体で働き方の見直しが図られました。

建設現場が止まることで経営状態が悪化する企業が急増しており、M&Aによる会社売却を余儀なくされる企業も増える見通しです。

出版業界

出版業界も合併号や販売延期などの形で大きな痛手を受けています。特に、ファッション雑誌が撮影や取材が困難な状況にあり、制作に遅れがでています。

集英社が刊行しているファッション雑誌「More」や「Marisol」は6月~7月を合併号にするなど、コロナの影響が表面化しています。

この状態が続けば取引先との契約継続も難しくなり、状況は益々悪化していくことが想定されます。従来から電子媒体にシフトしていく傾向にありましたが、紙媒体はさらに辛い状況に追い込まれています。

運輸業界

運輸業界は物流需要の増加でコロナ特需を得ているとみられがちですが、マイナス影響も大きく受けています。

輸送物の増減が激しかったり、入荷の遅れや急な出荷の対応だったりと、従来の体制では対応しきれていない企業のほうが多いのが実情であり、海外輸入が途絶えたことで配送業務が完全になくなった企業もあります。

従来からドライバー不足が叫ばれている業界でもあるため、今回のコロナウィルスでさらに深刻化したともいえます。増加する物流需要に対応するために、ドライバー確保を目的にしたM&Aが増加するとみられています。

卸売・小売業界

小売業界は、通信販売やネット販売に対応している小売店は業績を伸ばす傾向にありますが、店頭販売のみの小売店は厳しい状況にあります。外出自粛で休業を余儀なくされているため、支出のみが続く現状です。

卸売業界は、スーパーやドラッグストアなどの一部を除き、注文キャンセルが相次いでいます。流通を支える重要な業界であるため、コロナの影響も色濃く出ています。

卸売・小売業界では、資金調達に難を抱える企業がM&Aを検討する見方がされています。

不動産・賃貸業界

新築マンションのモデルルームの来場者が激減したことで、実際のマンション売上が減少しています。

また、オリンピックの選手村跡地の新築マンションも、オリンピックの延期に伴い販売を延期せざる得ない状況に追い込まれています。

賃貸業界では、コロナの影響で家賃を払えない困窮者が増加しています。政府主導による給付金制度もあがっていますが、全国に浸透するまでは時間がかかっているのが現状です。

コロナによって収益が途絶えたわけではありませんが、この状況が続くと経営が傾く企業も出てくるでしょう。特に中小や個人事業者の場合は、危機的状況に直面していることも想定されます。

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娯楽産業界

娯楽産業は、興行的でないスポーツ関連施設(ボウリング場など)やパチンコホール、ゲームセンターなどが該当します。

生活必需ではないことから、自粛や休業を余儀なくされている業界です。なかには営業を強行する店舗もみられますが、行政機関からの強い要請で応じざる得ないのが現状となっています。

経済活動を停止している状態なので、コロナが長引くほど経営状態が悪化していくことが想定されます。そのため、施設維持費や従業員の給料が負担になった事業者が、M&Aで店舗を手放すことが多くなるとみられています。

医療・福祉業界

医療・福祉業界は、新型コロナウィルスの蔓延によって閉鎖・閉院を余儀なくされている施設が増えています。

独立行政法人福祉医療機構による福祉貸付事業・医療貸付事業で最大1億円まで無担保・無利子で借入できるなど、制度も充実してきていますが、営業再開の見通しが立たない以上は厳しい状況下にあります。

負債を拡大してしまう前に、M&Aによる売却を視野にいれる医療・福祉施設も増えてくる見方がされています。

その他の業界

そのほかにも、さまざまな業界が影響を受けていますが、特に被害が目立つのは冠婚葬祭業界です。

結婚式は中止・延期が相次いでいます。施設維持費やキャンセル料が重くのしかかり、ブライダル事業者を悩ませる要因となっています。

葬式は、葬儀場が「社会生活を維持する上で必要な施設」に指定されているため、緊急事態宣言下であっても葬儀を行うことは認められています。

しかし、実際に葬儀を行うとなれば3密は不可避であり、コロナ感染拡大のリスクが高いのも事実です。

ブライダル事業は生活必需ではないため、経済活動が完全に再開されたとしても即座に回復しづらい業種でもあります。先行きが不安な業界だけに、M&Aを検討する事業者も増えると予想されます。

4. 新型コロナによるM&Aへの追い風

新型コロナによるM&Aへの追い風

世界的に新型コロナの悪影響を受けていますが、M&Aマーケットにおいては追い風となる部分もあります。M&Aを活用して上手く立ち回ることで企業成長を図ることも可能です。

買収検討中の企業による実行のチャンス

コロナの影響で業績が悪化している業界が増えていますが、見方を変えるとM&Aによる買収が行いやすくなっていると捉えることもできます。

コロナで経営が傾いている企業は、資金調達による再起や廃業を視野に入れているケースがほとんどです。M&Aであれば買い手の経営資源を活用でき、従業員の雇用先を確保することにも繋がります。

コロナを利用するようで後味が悪いと感じるかもしれませんが、M&Aは売却側にとっても大きなメリットがある魅力的な話ともいえるでしょう。

買収側にとっては選択肢が増加

コロナの影響は凄まじく、安定した経営状態にあった企業も廃業・倒産を余儀なくされています。M&Aによる会社売却の検討や打診に応じる企業も増えてくるでしょう。

この流れは、買収側からするとM&A売却案件の選択肢が増加することを意味しています。コロナの影響で一時的に経営が傾いている企業や事業なら、コロナを乗り切ることさえできれば事業規模を大きく拡大させることも可能です。

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5. まとめ

まとめ

当記事では、新型コロナウィルスによる業界別M&Aマーケットへの影響を解説しました。在宅勤務に移行できる業種はコロナ影響は比較的少ない傾向にありますが、現場仕事や流通関連の業種は色濃く影響が出ています。

現在は、自粛解除の動きが進んでいて経済活動再開の兆しもみえてきています。しかし、業種によっては大きなダメージが残ることも想定されるため、アフターコロナの立ち回りについて考えなければならないタイミングが訪れているのかもしれません。


【新型コロナによりM&Aマーケットに大きな変化が見られる業界】

  • 外食産業界
  • 観光業界
  • 製造業

【新型コロナによるM&Aマーケットへの影響】
  • 各業界でM&Aによる売却が増加傾向にある
  • 買収側にとっては事業規模拡大のチャンス

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