2020年12月28日更新
葬儀会社のM&A・買収・売却!業界動向・相場・手法を解説!【成功事例あり】

税理士法人系M&Aブティックにて調剤薬局・食品製造業・保険代理店業等のM&Aを成約に導く。会社法、会計、税務等の幅広い知識、M&A成約の経験を活かし、調剤薬局・食品製造・保険代理店業界を中心に担当。
超高齢社会を迎え、葬儀業界は成長を続けています。そうした中、葬儀会社のM&Aによる売却・買収事例も増加中です。本記事では葬儀業界の動向や大手の現状を解説するとともに、葬儀会社の売却(譲渡)・買収・相場価格などM&Aの現状に迫ります。
1. 葬儀業界とは
葬儀業とは、死体埋葬の準備や葬儀の執行を主要とする事業を行っている会社です。葬儀会社も他産業と同様に、大手から中小企業までさまざま規模の会社で構成されています。
以前は自宅や寺院で行われることの多かった葬式ですが、昨今では時代の流れと合わせて、斎場などを使う葬儀が主流です。一概には断言できませんが、その流れは葬儀会社側のアプローチであったともいわれています。
葬儀会社はサービス業
日本における高齢化は多くの問題を抱えると同時に死者数が年々増加中となり、葬儀会社への仕事も多くなっています。人が亡くなる場合は時間や曜日など決まっていませんから、日時に関係なく葬儀会社はこうした状況に対応しなければなりません。
遺族が悲しんでいる中、葬儀を円滑に行うためにいろいろな作業を淡々と行うのが葬儀会社です。そうした状況から、葬儀会社は究極のサービス業といわれています。
葬儀会社以外も葬儀業を行っている
葬儀会社以外にも、葬儀業を取り扱っている業者が多くあります。たとえば、冠婚葬祭を総合的に生業とする業者や全日本葬祭業協同組合連合会会員、さらにはJAや生協、自治体まで、ライフサービスの名のもと、実にさまざまです。また、葬儀の価格面についても、それぞれに強みを持った営業を行っています。
葬儀会社の業務
葬儀会社の業務としては、葬儀の運営や準備を行うのが主な仕事です。もちろん、多くの場合でトラブルが起きるなど、予想外な事例も多数ありますが、そうした状況にも柔軟に対応する能力が大手・中小にかかわらず必要とされています。
葬儀会社の業務を簡単に分けると、窓口、打ち合わせ、手配、納棺、設営、葬式運営、営業などです。どの業務も時代の動向などによって内容が変わるものの、大手・中小に関係なく一連の流れを淡々とこなしていきます
繁忙期がわからない
葬儀業界の問題としては、繁忙期が存在しません。いつ人が亡くなるかわからない状況ですので、売上の動向がどうしても読みにくくなります。そうしたことから、葬儀の価格設定なども繁忙期などの相場がありません。
もちろん、土日など世間一般的な休日においては、葬儀場などの価格は割高になる動向があります。しかし、繁忙期となると、どうしても動向がつかめないのが現状です。
葬儀業界の市場規模
矢野経済研究所の2019年の調査によると、国内の死亡者数は人口構成の変化により年々増加しているものの、葬儀金額の縮小傾向や参入事業者による価格競争によって、葬儀業界の市場規模は1兆8,230億9,900万円となっています。決して小さな産業ではありません。
葬儀業界の市場規模や市場動向は、葬儀会社をM&Aによる譲渡や買収、売却の相場価格を知るうえでは重要な事項です。それでは、葬儀業界の市場はどういった動向を見せているのでしょうか。
参考:矢野経済研究所「葬祭ビジネス市場に関する調査を実施(2019年)」
市場規模は拡大傾向
葬儀業界の市場は、高齢化を背景とした売上増加に加え、関連するサービスなどを含めて成長傾向です。死亡者数は2040年近くまで増加していく見通しです。
つまり、今後の葬儀業界については、未来において課題はあるものの、件数ベース増加で葬儀業界の市場拡大が期待されます。以下に参考情報として、葬儀業界の大手葬儀会社による2019年の売上高を掲示します。
企業名 | 売上高(億円) |
---|---|
燦(さん)ホールディングス | 254 |
アルファクラブ武蔵野※ | 211 |
ティア | 127 |
※アルファクラブ武蔵野の葬祭事業名は「さがみ典礼」ブランドです。
参考:燦ホールディングス「経営指標の推移」、アルファクラブ武蔵野「ディスクロージャー」、 ティア「業績ハイライト」
葬儀費用の縮小
高齢化が進む中、葬儀費用は低下の傾向を見せています。鎌倉新書「第4回お葬式に関する全国調査」(2020年)によると、葬儀にかかる費用の総額は約184万円となりました。
この平均額は2015年の183万から2020年の間では、ほぼ横ばいです。2013年の202万から2015年の間で、葬儀費用が11.4万円下落ており、今後も同じような動きが見られるとしています。
葬儀費用の縮小の原因は、一般の消費者による葬儀に対するコスト概念が厳しくなったのがもっぱらの理由です。したがって、これからは葬儀の価格について、大手・中小ともに明細化する必要があるといわれています。
また、インターネットなどの普及により、葬儀にかかる価格が見える化されたことも、費用の縮小を招いている要因といえるでしょう。葬儀の事例や相場価格がインターネットで簡単に調べられることは、葬儀会社は承知のうえで対応していく必要があります。
参考:鎌倉新書「第4回お葬式に関する全国調査」(2020年)
葬儀業界の動向
葬儀業界の市場動向については成長しているといった状況が見て取れました。それでは葬儀業界における業務などの動向は、どういった傾向があるのでしょうか。ここでは葬儀会社における業務の動向について解説します。
葬儀の小規模化
昨今、葬儀の傾向としてあるのが、葬儀の小規模化です。葬儀会社にとって葬儀の小規模化は、売上面に対してデメリットに働きます。
小規模化の要因は、家族葬と呼ばれる家族や親類のみで葬儀を行う事例が多くなったことです。また、高齢者が死去した場合、知人などがすでに亡くなっていて参列者が減少傾向ともいわれています。さらには、葬儀自体を行わないケースさえあるそうです。
葬儀の個性化
葬儀で故人がお気に入りだった音楽や、故人の生前の頃の映像を流すなど、今までにはあまり見ることのできなかった葬儀が増えています。特に関西地域で見られるこのようなニーズに対しても、柔軟に対応しているのが葬儀会社の現状です。
また、お墓についても従来の形ではなく、故人が好きであったスポーツや楽器になぞらえた墓石の形にするなど、サービスが多様化してきています。
これらの葬儀の個性化・多様化への対応は、葬儀会社にとって新たなシェアが見込めるチャンスです。そして、その対応力は、M&Aによる事業譲渡や買収、売却では大きなポイントともなるでしょう。
多様なニーズの出現
葬儀の個性化ともリンクする部分ですが、「死」に対するニーズが多様化されてきました。一つの事例が「終活」です。終活は人生の終わりに向けた活動ですが、こうした活動に対して大手葬儀会社などは積極的にサービスを展開しています。
多様なニーズに合わせて営業を行う大手葬儀会社に対して、資本力のない中小の葬儀会社が、どのように営業展開していくかが生き残りのカギともいえるでしょう。
2. 葬儀業界の課題
先にも挙げたとおり、葬儀業界では繁忙期を把握しにくい欠点があります。葬儀の数が重なるときもあれば葬儀が全くない期間などもあるのです。
こうした葬儀が全くない期間をどのように有効活用するかが、昨今の葬儀会社に求められています。人件費や設備費は葬儀がない場合でも発生しますから、こうした費用に対してどのように売上を上げていくかが重要な課題といえるでしょう。
3. 葬儀会社のM&A動向
それでは葬儀会社のM&Aによる買収、売却、譲渡の動向はどうなっているのでしょうか。業界全体から見た葬儀会社のM&Aを解説します。
異業種からの新規参入M&Aが増加
葬儀会社をM&Aによって買収・売却し、事業譲渡をする事例は年々増えてきています。そして、昨今ではホテル業界や鉄道会社なども参画してきているのです。
さらには、小売業の大手であるイオンやファミリーマートなども葬儀会社に関連するサービスに参画してきており、非常に多岐に渡った業界からの参入が見られています。こうした傾向は、葬儀業市場の成長を考えても今後も続くと考えてよいでしょう。
同業他社によるM&A増加
日本国内には6,500社以上もの葬儀会社があるといわれています。そして、そのほとんどが地域の中小葬儀会社です。こうした中小の葬儀会社に対して、大手葬儀会社がM&Aを活用して事業買収を行っています。
ただし、昨今、全国展開している大手葬儀会社であっても、業界全体から見るとそこまで大きなシェアを確保していません。
今後は、こういった大手葬儀会社がシェアを伸ばす動向と、地方の葬儀会社が経営上の理由で事業を譲渡する状況が相まって、M&Aによる買収や売却による事業譲渡が進むと考えられています。
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4. 葬儀会社がM&Aするメリット
それでは、葬儀会社がM&Aによる売却や買収などで事業譲渡を行うメリットはどういった点にあるのでしょうか。ここでは、売却・譲渡側と買収側に分けて解説します。
売却・譲渡側のメリット
葬儀会社のM&Aにおいて、売却・譲渡する側のメリットとして考えられる主なものは、以下の3点です。
- 後継者問題の解決
- 雇用の継続
- 負債解消と創業一族の利益確保
後継者問題が解決
葬儀会社の経営者にとって高齢化はうれしいことばかりではありません。それは担い手不足を招いているからです。こうした担い手不足によって、地方では葬儀会社を廃業・清算してしまう場合もあります。
担い手不足、つまり後継者問題に対して、M&Aによる事業の売却や譲渡は有効です。それは、M&Aによって事業を売却・譲渡により、新たな経営者に今後の会社を任せられるからに他なりません。
雇用の継続
後継者不足や事業悪化によって会社を廃業または倒産をすると、そこで働いていた労働者にとっても大きな問題でしょう。また、雇用の継続は、本来、経営者にとって大きな課題です。そこで、M&Aによる会社譲渡が実現すれば、雇用継続の確保が保証されます。
負債の解消と創業一族の利益確保
葬儀会社が債務を抱えていた場合、事業譲渡によって負債を解消できる可能性があります。また、事業や会社売却の価格によっては、創業者などの経営者は一定の利益を得られます。
買収側のメリット
葬儀会社のM&Aにおいて、買収する側のメリットとして考えられる主なものは、以下の3点です。
- 営業拠点の拡大
- 同一地区の場合、拠点や人材を回せる
- 人材確保
営業拠点の拡大
買収する側のメリットとしては、同業者であれば営業拠点の拡大が大きいでしょう。今まで営業エリアとして弱かった地域を、その地区の葬儀会社を買収し事業譲渡されることにより、短期間でシェアを確保できます。
同一地区であれば拠点や人材を回せる
葬儀会社のデメリットとして、繁忙期が予測できない場合があります。たとえば葬儀が重なってしまった場合、最悪のケースでは依頼を断るしかありません。しかし、同一地区の葬儀会社を買収すれば、人員を融通し合ったり、斎場を振り替えたりなど葬儀の許容力が向上し、今まで以上の利益をもたらすのが可能です。
人材を確保できる
人材の確保は葬儀業界だけではなく、どの業界でも大きな課題です。この人材確保の課題に対しても、M&Aによる買収が解決してくれます。買収した葬儀会社の人材は、グループ内の人材増強となるわけです。
5. 葬儀会社のM&Aポイント
ここで葬儀会社のM&Aを行う場合に重要となるポイントについて、以下の3項目に絞って解説します。
- 相場
- 手法
- タイミング
①相場
まずは、相場です。M&Aによる買収の相場を知らなければ、適正な買収価格の設定ができません。葬儀会社買収の相場は、売却側の葬儀会社の規模や顧客、地域背景などによっても大きく変わってきます。
また、葬儀会社が抱えている人材や設備、不動産などの資産によっても相場は変わるものです。今後も成長が期待できる産業だけに相場の把握は重要になります。しっかりと相場を把握し、希望の価格を見定めるとよいでしょう。
②手法
M&Aによる買収や売却の手法は、さまざまです。どの手法によるM&Aが適切か判断に悩むかもしれません。葬儀会社のM&Aには、M&Aの専門家を交えて検討するとよいでしょう。豊富な経験と事例から、最も適切なM&Aの手法を選択してくれます。
どのM&A仲介会社にするかお困りの際には、M&A総合研究所にご連絡ください。全国で数多くの中小企業のM&Aに携わっているM&A総合研究所であれば、豊富な実績を生かして、それぞれの葬儀会社にとって最もふさわしいM&Aの手法をご提示します。
無料相談を随時、受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。
③タイミング
M&Aはタイミングが非常に重要です。自社が飛躍するときや経営者が変わるとき、また、事業統合が行われたときなど、さまざまな要因がM&Aには絡んできます。
やはり、M&Aのタイミングについても事前にM&Aの専門家に相談しておくと、リスクを軽減させながらスムーズにM&Aを進められるでしょう。
6. 葬儀会社のM&A成功事例
それでは、葬儀会社のM&Aの事例を見ていきましょう。葬儀会社のM&Aは頻繁に行われております。それは地方に多くの葬儀会社が存在するからです。ここでは、大手葬儀会社のM&Aを3事例紹介します。
M&A事例①:平安レイサービスはさがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスを子会社化
2019年11月に平安レイサービスは、「さがみライフサービス」と「シンエイ・クリエート・サービス」を子会社化しました。
さがみライフサービスは、小田原市に拠点を構えています。また、シンエイ・クリエート・サービスは、足柄上郡に拠点を構え、事業を行っています。
手法
さがみライフサービスとシンエイ・クリエート・サービスは、平安レイサービスへ株式譲渡を行いました。
双方のメリット
子会社化する対象会社の2社は、大株主が共通する兄弟会社の関係があります。2社は、神奈川県小田原エリアに拠点を構えています。
M&Aを実施した平安レイサービスは、冠婚葬祭請負、コンサルティング、在宅介護サービスなどの事業を行っており、神奈川県内では大手の冠婚葬祭会社です。
今回のM&Aにより、神奈川県小田原エリアにおける営業力を拡大し、さらなる成長を目指します。
M&A事例②:木下はアイ・セレモニーの株式を取得し子会社化
2019(令和元)年10月、福岡県で婚礼葬儀業を行う木下は、アイ・ケイ・ケイの連結子会社であり佐賀県で葬儀事業を行うアイ・セレモニーの株式を取得し子会社化しました。
手法
木下は、アイ・ケイ・ケイよりアイ・セレモニーの株式95%を買収し取得しました。当面、アイ・ケイ・ケイは、アイ・セレモニーの5%の株式は保持する意向です。
双方のメリット
アイ・セレモニー単独では事業運営に厳しい部分もあり、それを増強できる親会社を欲していたのが一因でした。木下にとっても、福岡県だけでなく、佐賀県に事業拡大を図る大きな足掛かりができました。
M&A事例③:こころネットは北関東互助センターの全株式を取得し子会社化
2018(平成30)年12月、福島県で冠婚葬祭、石材、互助会事業などを行うこころネットは、栃木県で冠婚葬祭事業を行う北関東互助センターの全株式を取得し子会社化しました。
こころネットは、1892年(明治25年)創業の歴史を持つ葬儀会社です。
手法
こころネットは、北関東互助センターの全株式を取得し、完全子会社化しました。
双方のメリット
冠婚葬祭大手であるこころネットとしては、栃木県で業歴45年余りを誇る北関東互助センターのグループ化によって、栃木県他関東地方における自社グループのシェア拡大と、シナジー効果に期待をするM&Aでした。
7. 葬儀会社のM&Aまとめ
葬儀業界によるM&Aについて解説しました。葬儀業界は今後も成長していく産業です。そして、葬儀業界は地域に根付いた中小の葬儀会社が多い特徴から、他分野からのM&Aによる参入が積極的に行われています。
今後も多く見られる葬儀会社のM&Aですが、相場や価格を知るためにも、動向やタイミングを見計らうのが非常に重要です。希望にあった価格でM&Aを行うためにも業界の動向に注視して、しかるべきタイミングと方法でM&Aを成功に導きましょう。
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