調剤薬局業界のM&A動向・価格相場【2020年最新事例あり】

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企業情報第四部 部長
長嶺 勇希

税理士法人系M&Aブティックにて調剤薬局・食品製造業・保険代理店業等のM&Aを成約に導く。会社法、会計、税務等の幅広い知識、M&A成約の経験を活かし、調剤薬局・食品製造・保険代理店業界を中心に担当。

調剤薬局業界におけるM&Aが活況です。個人経営・法人経営を問わず、買収された価格や相場、案件や廃業件数、事例などとともに、調剤薬局をM&Aするメリット、M&Aを成功させるポイント、おすすめのM&A仲介会社情報なども掲示します。

目次

  1. 調剤薬局業界の現状
  2. 調剤薬局業界は人材が確保できる事業
  3. 調剤薬局業界でM&Aが盛んな理由
  4. 調剤薬局M&Aの価格相場
  5. 調剤薬局M&Aのメリット
  6. 調剤薬局M&Aにかかる期間
  7. 調剤薬局のM&Aを成功させるポイント
  8. 調剤薬局のM&A仲介会社おすすめ6選
  9. 調剤薬局業界でのM&A事例6選
  10. 調剤薬局のM&A案件一覧
  11. まとめ
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1. 調剤薬局業界の現状

調剤薬局業界の現状

調剤薬局業界は、2018(平成30)年度に改正された調剤報酬・薬価制度により、大きな動きが見られました。したがって、業務体系の見直しが遅れると、大手企業であっても、これまでのように利益を上げられない状況にあります。

M&Aによる買収・売却を実施する場合でも、制度の改正に対応することが必須です。業界の動向をしっかりと把握することで、買い時・売り時の見極めを行ってください。

そこでまずは、調剤薬局業界の基本情報を確認していきましょう。

調剤薬局業界の基本情報

この項では、調剤薬局業界についての情報を紹介します。取り上げるのは、業界の定義や主要企業、現在の市場についての情報です。あらためて、業界情報と改められた制度内容を見直すことで、業界の動きを確かめてみましょう。

調剤薬局業界の定義

調剤薬局は、医師の診断に基づいた処方箋に従って、薬を調合する薬局です。調剤薬局を開くためには、都道府県知事の許可や、管理者の設置が義務づけられています。

調剤薬局の別称としてあるのが、保険薬局です。これは、健康保険法に従い、保険診療による処方箋を受けつけているためです。保険薬局の指定を受けるには、都道府県にある地方厚生局への申請が必須とされています。

調剤薬局業界の構造

近年の調剤業界における構造を知るために、最新(2020年10月現在)の売上高トップ10の企業を掲示します。ただし、この売上高や営業利益額は、調剤薬局事業のみの数値です。調剤薬局以外の事業を行っている企業については、それらの数値は含みません。

企業名 売上高(円) 営業利益(円) 店舗数
アインホールディングス 2,637億5,000万 207億 1,088
日本調剤 2,310億100万 97億8,500万 649
クラフト 1,937億 非公表 580
ウエルシアホールディングス 1,554億5,200万 非公表 1,437
クオールホールディングス 1,531億8,500万 82億6,300万 805
総合メディカル 1,020億9,800万 46億200万 735
スズケン 964億3,900万 17億3,600万 613
東邦ホールディングス 961億2,400万 27億 778
スギホールディングス 926億4,596万 非公表 1,163
メディカルシステムネットワーク 899億1,900万 37億4,300万 416

※持株会社の場合は単独決算ではなく、調剤薬局事業の連結決算数値です。
※店舗数は調剤薬局のみであり、調剤薬局機能のないドラッグストアなどは除外しています。また、総合メディカルの薬局数は2020年10月1日現在ですが、ほか9社は決算時の数値です。
※各社の決算期は、アインホールディングス:2020年4月期、ウエルシアホールディングス・スギホールディングス:2020年2月期、ほか7社:2020年3月期です。

調剤薬局業界の事業特性

調剤薬局業界は、調剤するための薬を製薬メーカーや医薬品の卸売会社から仕入れます。製薬メーカーは、品質を保つために、外部の企業に物流を委託するケースが大半です。卸売会社では、自分たちの会社で医薬品の物流をまかない、各調剤薬局へと運んでいます。

卸売会社を利用すると、数ある医薬品の中から、調剤薬局に合わせた薬を提示してくれるのが常です。薬局側の要望を把握してくれていたり、治験では現れなかった副作用などを踏まえて薬を提供してくれたりと、業務のサポート役としても働きを担っています。

製薬会社と卸売会社の違い

製薬会社と卸売会社の違いは取り扱う医療用医薬品の種類です。

製薬会社は、自社で開発・製造した商品を調剤薬局に販売します。卸売会社は、薬を運ぶことに特化しているため、多数の製薬メーカーから薬を仕入れて調剤薬局へと販売をするのです。

調剤報酬の仕組み

調剤薬局は、仕入れた医療用医薬品を患者に提供します。

そして患者からは、調剤報酬として医療費の自己負担分が調剤薬局へと支払われるのです。残りの代金は、保険者によって支払われます。患者が収める税金・健康保険料をもとに、請求を受けた支払い審査機関が調剤薬局に支払いを行うのです。

診療報酬・調剤制度の改正

2018年に改正された診療報酬や調剤制度には、処方箋の受付回数・特定の医療機関からの調剤率によって、調剤報酬料の引き下げが明記されています。つまり、病院の前に店舗を構える門前薬局や、グループを形成する薬局への影響が想定されているのです。

制度の改正が行われた理由には、後発医薬品への切り替えや、かかりつけ薬局の推進などがあります。後発医薬品に代わることで、薬価の値下がりによる利益の減少が抑えられるでしょう。

また、地域にかかりつけ薬局を増やすことで、薬剤師が患者さんの薬を管理し、重複による医療費の増加を抑えることを狙いとしています。調剤薬局業界で今後生き残っていくためには、このような調剤報酬料の引き下げに対応していかなければなりません。

2種類の調剤報酬料

調剤薬局業界では、患者から2種類の料金を徴収しています。

1つ目は、調剤技術料です。処方箋に従って薬を用意する調剤基本料と、患者に合わせて薬の大きさ・形状を変える技術料に分けられます。

2つ目の料金は、薬学管理料です。患者が服用する薬の管理や、文書を使った薬の説明などに対して支払われる料金になります。

制度の改正によって、薬の服用をまとめて管理したり、在宅患者への指導を行ったりすることで、料金が加算されることになりました。

【関連】調剤薬局は調剤報酬改定でこの先真っ暗?現状と今後を解説!

2. 調剤薬局業界は人材が確保できる事業

調剤薬局業界は人材が確保できる事業

調剤薬局業界は、人材が確保しやすい業種だとされています。厚生労働省が発表した2018年の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、薬剤師の数は増えているとのことです。

2018年12月31日現在における薬剤師の数は、311,289人となっています。2016(平成28)年の調査と比較して、9,966人の増加です。なお、2016年では、2014(平成26)年から13,172人増加していました。

また、薬剤師のうち薬局に務めているのは58%です。新卒の薬剤師を薬局事業の働き手として獲得できれば、人材不足の解消が望めます。したがって、調剤薬局をM&Aで売りたいとお考えなら、人材不足を解消してからでも遅くはないでしょう。

法人と個人による薬局経営

調剤薬局業界では、主に法人と個人による薬局経営が行われています。2018年に厚生労働省がまとめた「かかりつけ薬剤師・薬局機能調査・検討事業」によると、調査に回答した内の88.6%が法人という結果でした。個人経営の調剤薬局は、わずか11.4%です。

同じ会社・経営者による店舗の出店数を見ると、全体の22%が50を超える薬局を抱えています。また、1店舗を1人で経営する割合は24.5%でした。このような情報から、薬局の半分近くがグループ経営の薬局か個人で経営する薬局といえます。

調剤薬局業界の市場状況

2016年に「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」に基づいて、薬品の価格が改められることになりました。

2018年からは2年に1度の価格改定から1年ごとの改定に変わっています。

そのため、先発医薬品・新薬などの価格が変わり、薬品の売上高が下がりました。IQVIAジャパンの2018年医薬品市場統計データによれば、4~6月は前年より1.3%マイナスの2兆5,868億3,600万円でした。「薬局その他」に限った売上高では、前年からマイナス3.5%の9,326億5,900万円という額です。

このような現状により、調剤薬局業界では売上の低下が予想され、調剤薬局の価値にも影響がおよぶでしょう。

かかりつけ薬剤師・薬局の推進

厚生労働省は地域医療の強化を図るため、かかりつけの薬剤師や調剤薬局の増加を推し進めています。

調剤薬局のまわりに住む人たちの健康を薬によって管理することが目的です。

かかりつけ薬剤師・調剤薬局に処方を任せると、薬の服用による経過観察や、薬の重複などの管理もできます。そのほかにも、夜間・休日・在宅患者の電話対応や、緊急時の調剤などにも応じることが可能です。

したがって、この見地からすると、調剤薬局業界が下火になることは、まだまだないといえるでしょう。

薬局グループは収益減が予想される

2018年度の調剤報酬改定を端的にいうと、特定の処方箋を受けつける門前薬局(病院のそばにある薬局)と、薬局グループを形成している企業には、低い調剤報酬が適用されることになりました。

この理由は、調剤薬局ごとに定められた調剤基本料によって、薬局が得られる報酬に差が生じるためです。「調剤基本料の2」を例に挙げてみましょう。該当する調剤薬局は、薬局グループ全体の処方箋の受付回数がひと月に4万回を超えている、処方箋の集中率が95%を超える薬局になります。

したがって、条件に当てはまる薬局グループには収益の落ち込みが予想され、収益を維持するための対策に追われているのです。

これを受けて、薬局グループが特定の店舗をM&Aで譲渡する事態となり、そのような譲渡案件が増えることによる市場価格への影響も現れます。

調剤薬局業界のM&Aを検討する場合は、業界の市場状況や譲渡相場などをしっかり把握しておく必要があるので、M&A仲介会社にサポートしてもらいながら進めていくのがよいでしょう。

調剤薬局のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、調剤薬局のM&Aに経験豊富なM&Aアドバイザーが、専任となってM&Aをフルサポートします。

業界では安値水準の完全成功報酬制により、安心してリーズナブルにM&Aの実現が目指せます。随時、無料相談を受けつけておりますので、調剤薬局業界のM&Aを検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

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調剤薬局・2020年4月から9月の廃業件数

実は、調剤薬局業界は、廃業件数が増えています。理由は、調剤薬局業界に関する制度の改正や高齢化です。

制度の改正による影響が自分の調剤薬局にもおよぶのかが気になる人も多いでしょう。各エリアの厚生局の情報をまとめると、2020(令和2)年4月から9月までの廃業件数は次のとおりです。

ただし、関東信越厚生局では、累計資料が公開されていないため、同局管轄の以下の都県については、2020年9月ひと月分の数値になります。
(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県)

北海道 廃業件数 57
青森 廃業件数 10
岩手 廃業件数 11
宮城 廃業件数 51
秋田 廃業件数 4
山形 廃業件数 12
福島 廃業件数 16
茨城 廃業件数 6
栃木 廃業件数 6
群馬 廃業件数 4
埼玉 廃業件数 9
千葉 廃業件数 8
東京 廃業件数 43
神奈川 廃業件数 19
新潟 廃業件数 2
山梨 廃業件数 1
長野 廃業件数 1
富山 廃業件数 15
石川 廃業件数 19
岐阜 廃業件数 15
静岡 廃業件数 33
愛知 廃業件数 95
三重 廃業件数 15
福井 廃業件数 6
滋賀 廃業件数 10
京都 廃業件数 24
大阪 廃業件数 105
兵庫 廃業件数 80
奈良 廃業件数 10
和歌山 廃業件数 12
鳥取 廃業件数 5
島根 廃業件数 7
岡山 廃業件数 15
広島 廃業件数 40
山口 廃業件数 21
香川 廃業件数 9
徳島 廃業件数 8
愛媛 廃業件数 13
高知 廃業件数 6
福岡 廃業件数 72
佐賀 廃業件数 9
長崎 廃業件数 19
熊本 廃業件数 18
大分 廃業件数 15
宮崎 廃業件数 12
鹿児島 廃業件数 24
沖縄 廃業件数 12

このように、廃業している調剤薬局の数は少なくありません。もしも「自分の調剤薬局が廃業してしまうかも」とお悩みなら、M&Aを検討するのがよいでしょう。

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3. 調剤薬局業界でM&Aが盛んな理由

調剤薬局業界でM&Aが盛んな理由

調剤薬局業界では、薬価や報酬制度の改正により、利益の落ち込みが予想されています。このような状況の中で、業界のM&Aは盛んに行われているので、その理由を押さえておくべきです。

買い手と売り手企業は、次のような理由でM&Aによる譲渡・買収を望んでいます。
 

  • 買い手:業界生き残りを目的とした、かかりつけ薬剤師の導入やかかりつけ薬局への移行
  • 売り手:個人経営薬局における後継者問題の解決、グループ内店舗の売却により従業員の雇用維持

それぞれについて、内容を確認しましょう。

調剤薬局業界M&Aの買い手側

2018年度の診療報酬改定により、厚生労働省は、かかりつけ薬局への切り替えを推進しています。

これに合わせて、調剤報酬が引き下げられる門前薬局とグループ薬局は、生き残りを図るためにかかりつけ薬剤師の導入や、かかりつけ薬局への移行を進めているのです。

したがって、調剤薬局業界では、M&Aによる買収が増えていくことが予想されます。

買収先は、個人経営のかかりつけ薬局がターゲットになることが予想され、個人・中堅グループの調剤薬局を対象に、地域ケアを行える調剤薬局が増えてきているのが現状です。

また、大手・中堅のグループ企業は、スケールメリットによる利益を得ようとしてきました。そのため、利益が見込める個人薬局や、少数の姉妹店を営む薬局なども、買収の対象としています。

中堅グループも買収に積極的

診療報酬の改正スパンは、2年ごとから毎年へと変わりました。2018年の改正よりも厳しい基準が突きつけられる可能性も少なくありません。そこで、中堅グループも生き残りをかけて、買収に乗り出しています。

対象となる調剤薬局は、調剤基本料1の条件に当てはまる個人・グループ企業の薬局です。

調剤薬局業界M&Aの売り手側

売り手側の多くは、高齢となった個人薬局です。厚生労働省による2018年の「医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によれば、60歳以上の薬剤師は、全体の18.7%でした。さらに70歳を超えた薬剤師は、大学や企業、診療所に占める割合が減り、薬局勤めの割合が高くなっています。

また、経営コンサルタント会社のフォーバルが2017年にまとめた「調剤薬局業界動向調査レポート」では、親族への事業承継は約4割に留まるとのことです。つまり、調剤薬局業界の売り手には、身内に後継者がいない経営者が多くいることを示しています。

大手の調剤薬局も店舗を売りに出す

調剤報酬の引き下げに該当する調剤薬局では、これまでのように利益を得られません。そのため、大手の調剤薬局でも、グループ内で基準をクリアするために、店舗を手放す事態があり得ます。

業界での生き残りや従業員たちの雇用を維持するためには、いくつかの店舗を売却して、経営を維持することも予想されるのです。

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4. 調剤薬局M&Aの価格相場

調剤薬局M&Aの価格相場

M&Aによる調剤薬局の価格相場を決める基準は、以下の3点です。調剤薬局の譲渡・買収では、3つの相場を合わせた額が基準となっています。
 

  1. 時価純資産価額
  2. 営業権
  3. 月の技術料と処方箋応需枚数

それぞれについて、詳しく見てみましょう。

①時価純資産価額

価格相場を決める1つ目の指標は、時価純資産価額になります。純資産とは、譲渡側が所有する全ての資産から、負債を差し引いた額です。

ここでいう資産は、売り手の薬局に備わる設備(調剤機器、調剤報酬明細書を作成するレセプトなど)や、不動産、在庫の医薬品などが該当します。

時価純資産価額は、純資産を時価に換算して価値相場を算出するものです。

②営業権

価格相場を決める2つ目の指標が、営業権になります。

譲渡する調剤薬局の営業利益から、貸借対照表に載らないリスクを引いたり、買収によって得られる付加価値を足したりした額です。

営業権は、調剤薬局が1年に得た利益を企業の価値として算出します。

さらに、営業権は3~5年分を見込むため、価格相場は「1年の営業権×3~5年」で計算されるのです。

③月の技術料と処方箋応需枚数

価格相場を決める3つ目の指標が、月の技術料と処方箋の応需枚数です。

1月あたりの調剤技術料がわかれば、売上に占める技術料の算出が可能になります。

また、処方箋を受けつける枚数を知ることで、調剤薬局の売上が把握できるのです。

したがって、価格相場の決定には、技術料と処方箋の応需枚数が重要視されています。

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5. 調剤薬局M&Aのメリット

調剤薬局M&Aのメリット

調剤薬局業の譲渡・買収には、どのようなメリットがあるのでしょうか。売り手と買い手が知っておきたいメリットには、次のような特徴があります。

調剤薬局業界M&Aの買い手側メリット

M&Aで調剤薬局の買収を検討する際は、メリットを知ってから実行に移すことが大切です。調剤薬局のM&A・買収で得られるメリットには、以下の4つが挙げられます。
 

  1. 仕入れ額を抑えられる
  2. 従業員と取引関係の確保
  3. 短期間での開業が可能
  4. 薬の管理による患者の囲い込み

それぞれ見ていきましょう。

①仕入れ額を抑えられる

複数の店舗を所有することで、製薬メーカーや卸業者からの仕入れ額を低くすることが可能です。

一度の注文で大量の医薬品を仕入れると、流通にかかるコストを抑えられるため、個人経営の店舗よりも医薬品の単価を下げられます。

②従業員と取引関係の確保

既存の薬局から事業を引き継げば、即戦力となる従業員と処方箋を出している病院との関係が確保されます。

これなら従業員の採用や処方箋枚数を獲得する手間を省けるので、スムーズに事業が始められるのです。

③短期間での開業が可能

M&Aでの買収において、内外装の工事費用・設備と医薬品の購入費・従業員の採用・取引先・患者などは、買収額に勘案されています。

したがって、短い期間での開業が可能になるといえるのです。

④薬の管理による患者の囲い込み

かかりつけ薬剤師を雇用していたり、かかりつけ調剤薬局として営業していたりする店舗を選べば、地域住民の利用を促せるでしょう。

このような薬局では、患者ごとに薬を管理し、薬の数や量・詳しい薬の情報を伝えることで、次の来店につなげています。

つまり、そのような店舗を買収すれば、顧客の獲得が期待でき、市場の流れに合わせた利益の獲得が可能です。

調剤薬局業界M&Aの売り手側メリット

M&Aで薬局を売却したり、事業を手放したりする場合は、メリットをしっかりと理解しておくことが大切です。M&Aを通じた調剤薬局の譲渡には、以下4つのメリットが挙げられます。
 

  1. 後継者が見つかる
  2. 創業者利益を得られる
  3. 雇用と取引を引き継いでもらえる
  4. グループ薬局の力を借りられる

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①後継者が見つかる

調剤薬局の譲渡を検討することで、経営を任せられる人物が見つかります。医薬分業が進んだ1997(平成9)年から20年以上の月日が経過しており、この時期に薬局を開業した経営者たちは、健康問題を抱える年齢に差し掛かっているのが現状です。

後継者が必要でも、個人経営の店舗なら親族や従業員の中に、ふさわしい人物が見つからないケースも少なくありません。そこで、M&Aで自社を売却することにより、経営を託すことや、企業が薬局を引き継いでくれ存続することが可能になります。

②創業者利益を得られる

自社の売却を望んでいる経営者は、売却益の獲得を目的としています。株式譲渡による税金は20%と低いため、たくさんのお金を手元に残しておけますから、老後の生活費として十分なお金が蓄えられるのです。

また、新しい事業を立ち上げる経営者も、自社の売却を希望することがあります。そして、得られた売却益を立ち上げの資金に充てるのです。

③雇用と取引を引き継いでもらえる

調剤薬局業界では、M&Aによる譲渡を選べば、従業員の雇用を引き継いでもらえます。後継者が見つからない場合は、買収されたい旨を仲介業者などに伝えて、従業員の働く先を確保するのです。

また、M&Aによる売却では、懇意にしてくれる病院や患者との関係も引き継がれます。個人の経営者が廃業で生じる周囲の不利益を気にして、営業を止められずにいるケースも少なくありません。

そこで、M&Aによる譲渡を選択することにより、これまでの関係性を保たせ、心置きなく経営から退けるのです。

④グループ薬局の力を借りられる

M&Aを通じたグループ企業への譲渡では、薬剤師の確保やスケールメリットによる仕入れ額の抑制が実現できます。

大手・中堅の薬局グループに買収されたいと願い出ることで、「働き手の薬剤師が集まらない」、「仕入れが高くつくため利益が少ない」などの問題から解放されるのです。

M&Aによる売却を行う際は、交渉相手探し・デューデリジェンス(企業の監査)への対応など、綿密な準備・手続きが必要になるため、M&A仲介会社のサポートを受けながら進めていくのが不可欠です。

M&A総合研究所では、調剤薬局業界の会社売却・事業承継に豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが、案件ごとに専任となって、徹底サポートをいたします。

無料相談は24時間年中無休です。調剤薬局のM&Aの疑問点など、どんな内容でも結構ですので、お気軽にお問い合わせください。

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6. 調剤薬局M&Aにかかる期間

調剤薬局M&Aに掛かる期間

調剤薬局業界でのM&Aは、完了までに6ヶ月から1年ほどの期間を要します。最短期間では1~2ヶ月という事例もなくはありませんが、通常は、このような短期間で完了することは、ほとんどありません。

多くの経営者は、短期間でのM&A完了を望みますが、いくつかの原因によって交渉が長引くことがあります。交渉が長引く主な原因には、以下の3点が挙げられます。
 

  1. 落ち込んだ業績
  2. 高い譲渡額
  3. 権利関係の交渉

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①落ち込んだ業績

買い手は、業績がよく利益を上げられる調剤薬局を探しています。長い間、業績が落ち込んでいる薬局には、買い手がつくまでに時間がかかるのです。

ただし、営業権などの資産価値を有しているなら、業績が落ち込んでいても売却は可能となります。調剤薬局のM&Aを成功させたいなら、できるだけ業績改善に取り組みましょう。

②高い譲渡額

自社に見合わない譲渡額を提示すると、買い手が購入を避けてしまいます。売却に適する要素があっても、買い手を逃してしまい、売却のチャンスを失ってしまうことになるでしょう。

M&Aでは、必ずしも希望の条件が通るとは限りません。売却を検討するなら、妥当な売却額を提示することが求められます。

③権利関係の交渉

調剤薬局の売却を実行に移すときは、株主や物件の所有者、病院・診療所への許可が必要です。売却によって、得られる利益が失われる場合、これらの権利者は交渉に反対します。

したがって、納得する条件を提示したり、交渉による理解を求めたりと、M&Aが長期に渡ってしまうケースも想定されるのです。

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7. 調剤薬局のM&Aを成功させるポイント

調剤薬局のM&Aを成功させるポイント

ここまで述べてきたとおり、調剤薬局業界のM&Aは増加傾向にありますが、薬価改定などにより業界の状況は大きく変化しており、買い手側は買収に対し慎重にならざるを得ないケースも増えています。

調剤薬局業界のM&Aを検討する際は、タイミングや取引価格について、よりシビアに見ることが肝要です。

赤字経営の状態である薬局も売却することが可能ですが、いずれにせよ適切なタイミングと価格でM&Aを実施することが重要になるため、M&A仲介会社にサポートしてもらいながら進めるのが、成功のカギともいえるでしょう。

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8. 調剤薬局のM&A仲介会社おすすめ6選

調剤薬局のM&A仲介会社おすすめ6選

調剤薬局の譲渡・買収を考えるなら、おすすめの仲介業者を知っておきましょう。
 

  1. M&A総合研究所
  2. MACアドバイザリー
  3. アテック
  4. メディカルリサーチ
  5. 九州メディファ
  6. 東京MAパートナーズ

調剤薬局業界でのM&Aについて、どこに相談すればよいのかわからない場合には、それぞれについてチェックし役立ててください。

①M&A総合研究所

M&A総合研究所

M&A総合研究所

出典:https://masouken.com/

M&A総合研究所は、調剤薬局のM&Aに数多く携わっており、業務を依頼するのに最適なM&A仲介会社です。

豊富な経験と知識を持つM&Aアドバイザーが専任サポートすることによって、通常は10ヶ月~1年以上かかるとされるM&Aを、最短3ヶ月で成約する機動力も持ち合わせています。

また、当社は完全成功報酬(※譲渡企業のみ)を採用していますので、仮にM&Aが成約しなければ手数料の請求はありません。また、成功報酬額は業界では安値水準です。

随時、無料相談を受けつけていますから、いつでも気軽に問い合わせができます。

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②MACアドバイザリー

調剤薬局・ドラッグストアのM&Aを専門に扱う企業で、仲介業のほかに企業のコンサルや調剤薬局の運営なども行っています。

成約に至った案件は、100件以上です。年間10数件の成約案件をこなしています。調剤薬局業界での長いキャリアを持ち、確かな信頼を得ている仲介会社です。

手数料は成約に至ったときに徴収する成功報酬型を採用しています。企業への負担を軽減した仲介事業を提供し、成約後のフォローがあるのも魅力の1つです。

③アテック

1991(平成3)年創業で、日本初の調剤薬局専門M&A仲介会社となります。一番の特徴は、譲渡側は手数料が無料であることです。

薬局専門のマッチングサイト「ファーママーケット」も運営しています。また、系列別会社にて、薬剤師の独立開業コンサル事業も行っており、アテックのM&A仲介と連携してサポートを受けることも可能です。

④メディカルリサーチ

医療系の経営コンサルティングを行っている大阪の会社です。

具体的には、医院・歯科医院・調剤薬局の開業支援・サポートとともに、調剤薬局のM&Aの仲介・アドバイザリーと、そのほか医療・介護事業への経営コンサルタント、医療機器販売まで行っています。

つまり、M&Aについては、特に小規模の調剤薬局専門です。和歌山にも事業所があるので、近畿圏内で幅広く対応できるでしょう。

⑤九州メディファ

福岡市にオフィスを構える九州メディファは、九州地方で8店舗の調剤薬局を運営するとともに、九州・沖縄地方限定で調剤薬局のM&A仲介を行っている会社です。

現実に調剤薬局を運営しているわけですから、調剤薬局については知り尽くしており、希望者の心情も理解したM&A仲介が期待できるでしょう。

ほかにグループ会社が2社あり、M&A仲介以外にも、薬剤師の求人情報提供や、調剤薬局の新規開業相談にも応じています。

⑥東京MAパートナーズ

調剤薬局専門M&Aに特化した仲介会社です。

取り扱う案件は、中小企業を主に取り扱っています。多数の成約実績を持ち信頼される取引を続けており、M&Aの仲介は15年のキャリアを持つ担当者が行う会社です。

譲渡側の手数料について、1店舗だけを譲渡する場合は無料、2店舗以上は固定で500万円としています。さらに、企業の価値を調べる「薬局価値査定サービス」を無料で提供中です。

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9. 調剤薬局業界でのM&A事例6選

調剤薬局業界でのM&A事例6選

この項では、近年に行われた調剤薬局業界のM&Aから、6つの事例を掲示します。

買収した企業・買収された企業のほかに、買収を行った理由にも触れているので参考にしてください。
 

  1. ココカラファインによる寿の買収
  2. アインホールディングスによる新潟の調剤薬局2社の買収
  3. ソフィアホールディングスによるケイアンドワイの薬局事業の買収
  4. カメイによるM2メディカルの買収
  5. メディカル一光によるエファーの買収
  6. メディカルシステムネットワークによるアポテックの買収

①ココカラファインによる寿の買収

1つ目の事例は、2020(令和2)年9月に実施されたココカラファインによる、大阪の調剤薬局1店舗を経営する寿の買収です。ココカラファインは寿の全株式を取得し完全子会社化しました。取得価額については非公表です。

ココカラファインといえばドラッグストアの印象が強いですが、調剤薬局事業にも力を入れており、2020年3月期の調剤薬局事業の売上高は642億6,700万円を計上しています。

ココカラファインとしては、今後も継続して調剤薬局事業を拡大していく一環として積極的にM&Aによる買収を進めており、今件もそれを体現した事例です。

②アインホールディングスによる新潟の調剤薬局2社の買収

2つ目の事例は、2018年の8月に発表されたアインホールディングスによる買収です。買収された企業は、新潟県で事業を展開するコム・メディカルと、ABCファーマシーになります。アインホールディングスは、それぞれの株式を取得し、子会社としました。

買収の理由は、地域密着型の薬局を目指すために、かかりつけ薬剤師・薬局の強化を図ったとしています。買収された2社は、新潟県を中心に56の店舗を構え、地域住民の医療ケアを行っている会社です。自社が掲げる方針にマッチすると考え、売却を決めました。

③ソフィアホールディングスによるケイアンドワイの薬局事業の買収

3つ目の事例は、2018年8月に決議されたソフィアホールディングスによる買収です。買収を行ったのは、連結子会社のルナ調剤で、買収された企業はケイアンドワイが所有する2つの薬局(オリーブ薬局とソレイユ薬局)となります。

ケイアンドワイが売却を行った理由は、事業の選択と集中のためであり、買収されたオリーブ薬局とソレイユ薬局は、岩手県盛岡市で事業を展開していることから、ソフィアホールディングスとしては、該当地域へのスムーズな進出が狙いです。

また、ソフィアホールディングスは、調剤薬局向けのシステム開発事業から手を引いており、代わって調剤薬局事業へ進出することで、経営の立て直しを図っています。

④カメイによるM2メディカルの買収

4つ目の事例は、2018年4月に発表されたカメイによる買収です。買収された企業は、宮城県仙台市に拠点を構えるM2メディカルになります。株式の全てを取得することで、展開する2店の調剤薬局をグループの傘下に加えました。

買収を行った理由は、ファーマシー事業(調剤薬局事業)を強化するためです。買収されたM2メディカルは、宮城県仙台市の企業ですが、カメイとしては、仙台市内の16店舗に2店舗を加えることで、かかりつけ薬局による地域へのサポート力を高められると考えています。

⑤メディカル一光によるエファーの買収

5つ目の事例は、2018年の2月に発表されたメディカル一光による買収です。買収された企業は、調剤薬局を運営するエファーになります。株式の全てを取得することで、エファーを子会社としました。

買収を行った理由は、調剤薬局事業の拡大と地盤を強化するためです。買収されたエファーは、埼玉県に店舗を構えています。メディカル一光は、この買収により、埼玉県内でのグループ店舗を3つに増やして、調剤事業の拡大を促進、収益の増加を見込んでいるのです。

⑥メディカルシステムネットワークによるアポテックの買収

6つ目の事例は、2017年12月に発表されたメディカルシステムネットワークによる買収です。買収された企業は、青森県八戸市に本社を構えるアポテックになります。

メディカルシステムネットワークは、アポテックの全株式を取得してアポテックを連結子会社化し、アポテックの子会社を孫会社としました。

買収を決めた理由は、かかりつけ薬局の強化と、ドミナント戦略による収益の向上です。買収されたアポテックは、在宅医療のノウハウを所有しています。メディカルシステムネットワークは、このノウハウを活用してサービスを強化し、ドミナント化により東北地方の店舗を増やして、効率のよい経営を目指しているのです。

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10. 調剤薬局のM&A案件一覧

調剤薬局のM&A案件一覧

ここでは、実際に公開されている調剤薬局のM&A案件を紹介します。

薬局の概要 売上高(円) 譲渡理由 地域  店舗数 経営形態
門前薬局 5,000万〜
1億円
非公開 東京 1 法人
門前薬局 1~2.5億 ドミナント戦略から
外れた地域にあるため
中国 1 個人
調剤薬局 2.3億 非公開 関西 1 非公開
門前薬局 1億 従業員不足 四国 1 個人
門前薬局 約1.1億 別の薬局に事業を
集中させるため
関東 1 個人
門前薬局 5,000万~
1億
非公開 関東 1 個人
面受け薬局 約8,600万 経営者のリタイア 甲信越 1 個人
門前薬局 5,000万~7,000万 後継者不足 甲信越 1 個人
マンツーマン薬局 約5,800万 人材不足 東北 1 非公開
グループ薬局 3,000万~5,000万 別の事業に集中するため 関東 非公開 法人
門前薬局 3,000万~4,000万 事業戦略が変わったため 沖縄 非公開 個人

11. まとめ

まとめ

調剤薬局業界では、今後も活発なM&Aが続くことが予想されます。大手のグループ薬局では、スケールメリットを強めて利益を獲得、中堅グループと複数の店舗を抱えるオーナーは、ドミナント戦略などで特定のエリアへの出店を検討していることが多いです。

一方、個人の薬局では、高齢化や後継者・人材不足・薬価の引き下げ・制度の改正などにより、譲渡を希望する経営者が増加する見込みとなっています。

M&Aを通じた譲渡先には、ドミナント戦略に該当する店舗のほか、かかりつけ薬局が選ばれるでしょう。特にグループ薬局では、今後の改定を見越して、採算の取れない店舗を売却し、かかりつけ薬局の買収を行っています。

したがって、今後も調剤薬局の譲渡・買収は続くことが想定されますが、M&Aを成功させるにはM&A仲介会社などプロのサポートが欠かせません。

M&A総合研究所では、調剤薬局業界のM&Aに豊富な知識と経験を持つM&Aアドバイザーが専任につきフルサポートいたします。無料相談も行っていますので、お気軽にお問い合わせください。

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