2024年08月23日更新
長野県のM&A・事業承継の動向は?仲介会社の選び方・案件一覧も紹介
M&A・事業承継・会社売却を進める際は、専門家のサポートが非常に役立ちます。この記事では、長野県のM&A・事業承継・会社売却の動向や、仲介会社を選ぶポイントを紹介します。また、案件を探す手段も詳しく解説します。
目次
1. 長野県のM&A・会社売却・事業承継動向
令和元年経済センサス基礎調査によると、長野県には民営事業所数が11万5,016事業所あり、全国でも上位の企業数を誇っています。一方で、帝国データバンクより、長野県内の社長年齢分析を見ると、長野県内の経営者の平均年齢は2016年に60歳を突破しており、その後も上昇を続けている状況です。
「長野県「後継者不在率」動向調査(2023年)」によると、県内企業の後継者不在率は54.1%に及んでいます。
このような状況を改善するため、中小企業庁と長野県が主体となり、事業承継・引継ぎ支援センターや後継者人材バンクを運営するなどの対策を講じています。
また、長野市では、中小企業者の事業承継による事業継続を支援するため、企業価値の算定、事業承継計画の策定など、中小企業者が事業承継に向け、専門家等に依頼する経費について補助金「長野市事業承継促進補助金」を交付している状況です。
参考:帝国データバンク「長野県「後継者不在率」動向調査(2023年)」
長野市「長野市事業承継促進補助金について」
長野県の産業の特色
長野地域は、善光寺平を中心に政治、経済、文化、教育の中心地として発展しています。多様な産業が発展しており、特に機械、電気、食品などの製造業が地域経済の牽引役となっています。
さらに、農業も盛んで、特に果樹の生産量が多く、市場価値が高いため、県内でトップの産出額を誇ります。
観光面では、善光寺などの歴史的遺産や温泉、国立公園、自然や伝統文化体験など、豊富な資源があります。新幹線や高速道路によって首都圏や北陸圏と近接していること、都市部と自然豊かな地域が共存していることも、この地域の特徴です。
長野県の経済状況
長野県の総人口は、2000年にピークを迎えました。その後、2017年には約207万人となり、2023年は2,012,465人(令和5年3月1日現在)と年々減少しています。2024年1月1日現在の長野県の人口と世帯数の推計結果は、人口 2,000,991人(前月比:521人減)です。
長野県の産業構造を見ると、第一次産業では、農業・林業の集積および優位性が目立っています。加えて、第二次産業では、製造業の中でもとりわけ情報通信機械器具製造業の重要度が高いです。
また、景気動向を見ると、製造業の業況は、自動車関連の受注、生産に増加がみられるものの、継続するエネルギー・原材料価格高騰等により収益率に低下がみられるとともに、中国経済の減速の影響等により電機・電子、機械及び精密などで受注、生産に弱さがみられ、製造業全体では7期連続でマイナス水準となりました。
非製造業の業況は、情報サービス業、飲食業、宿泊業で1年前のコロナ禍の状況に比べて需要が増加したためプラス水準となったものの、建設業、小売業、卸売業で受注が厳しい状況によりマイナス水準となり、全体では4期ぶりのマイナス水準となりました。
参照:長野県庁「長野県の人口と世帯数(令和5年3月1日現在)」
統計ステーションながの「長野県の人口と世帯数(令和6年1月1日現在)」
長野県「景気動向調査結果(令和6年4月分)をお知らせします」
長野県の企業の休廃業・解散状況
2023年に長野県で休業・廃業、解散した企業(個人事業主を含む)は918件となりました。これは、年間で3.57%の企業が市場から退出したことを意味します。これは2016年以降で最少だった2022年(884件)から3.8%の増加となりましたが、それでも依然として低水準にあります。
休業や廃業した企業による正社員の雇用人数は、累計で少なくとも955人に達し、前年の917人から38人増加しました。すべての雇用機会が消失したわけではありませんが、約1,000人が転職や退職を余儀なくされたことになります。これにより、消失した売上高は合計で201億円に達しました。
参考:帝国データバンク「長野県企業「休廃業・解散」動向調査(2023)」
長野県のM&A件数の推移
長野県のM&Aの合計件数は、2001年の調査開始以来、増減を繰り返し、2018年に過去最高を記録しました。その後、2020年に至るまで3年連続で40件を超えていましたが、2022年のM&A件数は37件でした。
2. 長野県近郊・甲信越エリアのM&A・事業承継案件一覧
ここでは、長野県近郊のM&A・事業承継の案件を5件ご紹介します。
①【デザインから一気通貫で対応可能】看板製作業/甲信越エリア
長野県近郊のM&A案件一覧1件目は、デザインから一気通貫で対応可能な看板製作業の会社譲渡です。
業種 | ものづくり・メーカー |
都道府県 | 関東・甲信越 |
売上高 | 1,000万円〜5,000万円 |
譲渡価格 | 5,000万円〜1億円 |
②【甲信越エリア】連続黒字経営生コン製造業
長野県近郊のM&A案件一覧2件目は、工場にて生コンの製造及び配送、工事用品やレンガ・袋セメントの販売を手がけている会社の譲渡です。
業種 | 商社・小売・流通 |
都道府県 | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡価格 | 2.5億円〜5億円 |
③【顧客リスト多数保有/業歴20年以上】外構工事、新築住宅、リフォーム事業
長野県近郊のM&A案件一覧3件目は、甲信越地方にて外構工事、新築住宅、リフォーム事業を行う会社の譲渡です。
業種 | 住宅・不動産・建設 |
都道府県 | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡価格 | 1億円〜2.5億円 |
④【実質無借金/自走可能】甲信越の打ち抜き・プレス加工
長野県近郊のM&A案件一覧4件目は、甲信越の打ち抜き・プレス加工を手がける企業です。抜き打ち・プレス加工事業を手掛けており、20年以上の実績を擁しています。経験豊富な従業員を擁するため、生産性に定評があります。
業種 | 商社・小売・流通 |
都道府県 | 関東・甲信越 |
売上高 | 1億円〜2.5億円 |
譲渡価格 | 希望なし |
⑤【業歴50年以上】甲信越地方_医療機器等の受託製造業
長野県近郊のM&A案件一覧5件目は、甲信越地方で医療機器等の受託製造業を営んでいる企業の譲渡です。世界60ヵ国に輸出され、高シェアを誇る医療機器の取り扱いがあります。約50社の医療機器メーカーとの取引基盤を確立しています。
業種 | ものづくり・メーカー |
都道府県 | 関東・甲信越 |
売上高 | 2.5億円〜5億円 |
譲渡価格 | 1億円(応相談) |
3. 長野県のM&A・会社売却・事業承継事例
長野県に関連する企業が実際に行った、M&A・会社売却・事業承継の成功事例を取り上げます。
シーズメンによるミヤマの買収
2024年8月、シーズメンは、長野県上田市に拠点を置くミヤマの全株式を取得し、子会社化することを決定しました。
シーズメンは、衣料品や服飾雑貨の販売を手掛けており、ミヤマは総合ビルメンテナンス事業(清掃、設備管理、環境衛生管理、消防設備保守管理など)を展開しています。
今回のM&Aの背景には、シーズメングループの既存事業である衣料品小売業が、天候や市場の変化、景気動向、消費者の行動変化などの外部要因に左右されやすいという課題があります。
安定した収益を確保するために、新たな事業分野の模索が必要と判断し、ミヤマの総合ビルメンテナンス事業を取り込むことで、外部環境に左右されにくい事業ポートフォリオを構築し、グループ全体の利益向上を目指します。
ヤマダホームズによるホクシンハウスの買収
2022年10月、ヤマダホームズは、ホクシンハウスを子会社化しました。
ヤマダホームズは、ヤマダホールディングスの住宅メーカーです。対象会社のホクシンハウスは、注文住宅・規格住宅・分譲住宅などを手掛けるハウスメーカーで、独自の特許技術「FB工法」を保有しています。
今回のM&Aにより、総合的な価値を顧客に提供できるサービス展開を目指します。
アルピコHDによる松本タクシーの買収
2020年10月、アルピコHD(長野県松本市、資本金3億2,200万円)は、松本タクシーを買収しました。同社の青木稔社長などから全株式を譲り受ける形でM&Aを行っています。本件の取得価額は非公開です。本件により、買収側では、HD傘下のアルピコタクシーとの相乗効果などを目指しています。
渡辺パイプグループによる高峰観光の買収
2020年3月、渡辺パイプ(東京都中央区、資本金100億9,900万円)は、高峰観光(長野県小諸市)の全株式を取得することで買収しました。本件により、買収側では、グループ会社が運営する「アサマ2000パークスキー場」および「小諸高原ゴルフコース」との連携強化を目指しています。
4. 長野県内のM&A・事業承継に役立つ公的支援
長野県のM&A・会社売却・事業承継を検討する場合、公的機関である長野県事業承継・引継ぎ支援センターおよび、後継者人材バンクを利用する方法もあります。
長野県事業承継・引継ぎ支援センター
長野県事業承継・引継ぎ支援センターは、長野県中小企業振興センターを母体とする国の委託機関です。
後継者人材バンクを生かしたマッチング支援や、地元M&A仲介会社などのあっせんを行っています。
後継者人材バンクとは、後継者候補となる企業・個人事業主と小規模事業者や個人事業主のマッチングを行う公的サービスです。登録したい場合は、長野県事業承継・引継ぎ支援センターに問い合わせると良いでしょう。
事業承継・引継ぎセンターへの相談は無料で行えるため、小規模事業者でも相談しやすい点がメリットです。
事業承継・引継ぎ支援センターの活用を政府も後押し
後継者不足による廃業や休業が全国的に増加している現状を改善するため、国から委託を受けた各都道府県では、事業承継・引継ぎ支援センターおよび後継者人材バンクの利用を推進しています。
現状の認知度は決して高いとはいえないものの、国の後押しもあり、利用者数や後継者人材バンクへの登録者数は徐々に増えています。
日本政策金融公庫による資料
日本政策金融公庫も、事業承継・引継ぎ支援センターおよび後継者人材バンクの活用を推奨しています。
なお、日本政策金融公庫では、定期刊行誌「経営情報」を発行しており、事業承継に関する情報を提供しています。「経営情報」は各センターで配布しているほか、インターネットでの閲覧も可能です。
事業承継・引継ぎ支援センターおよび後継者人材バンクなどに関する情報を得たい場合は、利用をおすすめします。
5. 長野県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す3つの手段
長野県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す手段には、主に以下の3つが挙げられます。
- 地元の金融機関などに相談する
- M&Aマッチングサイトなどを活用する
- M&A仲介会社・専門家に相談する
それぞれの概要を順番に紹介します。
①地元の金融機関などに相談する
地元の金融機関などに相談して、長野のM&A・会社売却・事業承継案件を探すこともできます。地元の金融機関であれば普段から付き合いがあることも多いので、相談しやすいというメリットもあります。
②M&Aマッチングサイトなどを活用する
長野県のM&A・会社売却・事業承継案件を探す際は、M&Aマッチングサイトの活用もおすすめします。
Batonz【バトンズ】
Batonz【バトンズ】は、国内最大級のM&A専門サイトです。日本全国の数多くのM&A案件を保持しており、その中からサイトを通じて案件検索を行えます。
【TRANBI】トランビ
トランビ【TRANBI】では、全国にある多くの金融機関と業務提携をしています。常に多数の案件が登録されており、利用者数は8万人を超えるなど、急成長を遂げているマッチングプラットフォームです。
③M&A仲介会社・専門家に相談する
長野のM&A・会社売却・事業承継案件を探す際は、まずM&A仲介会社・専門家に相談する方法を選ぶケースが多いです。
特にM&A仲介会社は独自ネットワークを持っていることが大半なので、幅広いなかから自社の条件に合った相手先を探すことができます。
6. 長野県でM&Aをする際に仲介会社を選ぶ5つのポイント
長野県でM&A・会社売却・事業承継の仲介会社を選ぶ際は、以下5つのポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
- 案件規模・地元M&A実績などがある
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
- 手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
- ⑤担当スタッフの対応・相性が良い
①該当する分野の専門的知識・M&A実績を持っている
M&Aを成功させるためには、対象企業・分野に応じた手法・戦略が不可欠であるため、仲介会社には柔軟かつ的確なサポートが求められます。
的確なサポートや柔軟な対応をするためには、仲介会社に該当する分野の専門的知識やM&A実績が備わっていなければなりません。M&A会社を選ぶ際は、自社の行うM&A分野の専門知識・実績を有しているかを事前に確認するようにしましょう。
②案件規模・地元M&A実績などがある
M&A仲介会社によって、取り扱う案件規模や得意とする地域は異なります。取り扱う案件の規模が大きく異なっていると、希望の相手先を見つけにくい可能性があります。地元のM&A実績を持つ仲介会社であれば、地域特性などを熟知しているため、M&Aの成功確率が高まります。
以上のことから、M&A会社を決める際は、取り扱っている案件規模や地元M&A実績を確認しておくことが大切です。
③M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
M&Aを進めていくうえで、法務や財務などの専門家やさまざまな業種の経営者と交渉を行わなければなりません。このときに、スムーズに交渉を進めるには、M&Aに関する幅広い知識と経験が必要です。M&Aを成功させるには、M&Aに関する幅広い知識・経験を持っているアドバイザーが在籍している仲介会社を選ぶことが大切です。
④手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
手数料・相談料・報酬体系が複雑なM&A仲介会社に依頼すると、予定以上の費用を支払わなければならないケースがあります。
こうした事態を避けるためには、手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい仲介会社を選ぶことが大切です。
なお、M&A自体に多額の費用が発生するため、なるべくM&A仲介会社にかかる費用を抑えたいと考える経営者の方は少なくないでしょう。
上記の場合は、完全成功報酬型の仲介会社を選ぶことをおすすめします。完全成功報酬型の場合、成約しなければ成功報酬手数料が発生しないため、結果的にコストを抑えられる可能性があります。
⑤担当スタッフの対応・相性が良い
M&Aの成否は企業間同士の相性のみでは決まらず、M&A仲介会社のスタッフとの相性もM&Aの結果を大きく左右します。
本音で話ができたり、悩みごとを的確に相談できたりなど、担当スタッフの対応・相性は非常に大切な要素となるため、仲介会社を選ぶ際の判断材料の1つに据えると良いでしょう。
7. 長野県のM&A・会社売却・事業承継まとめ
今回は、長野県のM&A・会社売却・事業承継の案件一覧やおすすめの仲介会社を紹介しました。公的機関である長野県事業承継・引継ぎ支援センターの概要も解説しています。
公的機関では把握しているM&A・事業承継案件数がそれほど多くないため、希望どおりのマッチングが行われない可能性がある点も念頭に置いておきましょう。案件探しを着実に進めていくためには、M&A仲介会社など専門家に依頼・相談することをおすすめします。
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