M&A仲介手数料の相場は?計算方法や買い手・売り手の費用の種類も解説!

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

「M&Aを考えているけれど手数料ってどれくらいなのだろう」とお悩みの方に向け、M&A仲介会社に支払う報酬の種類と相場について具体的な比較を掲示します。手数料・報酬の相場を知り、自分にとってベストなM&A仲介会社を見つけましょう。

目次

  1. M&A手数料の相場と種類の一覧
  2. 成功報酬の料金体系「レーマン方式」とは
  3. M&A仲介手数料を買い手・売り手双方が支払う両手取引とは
  4. M&Aアドバイザリー契約における両手取引と片手取引
  5. M&A仲介会社の役割
  6. M&A仲介会社を利用するメリット
  7. M&A仲介会社を利用するデメリット
  8. M&A仲介会社を選ぶポイント
  9. M&A仲介会社の手数料が高くなりやすい理由
  10. M&A仲介会社の手数料・報酬を抑えるコツ
  11. M&A仲介会社の手数料・報酬まとめ
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1. M&A手数料の相場と種類の一覧

M&A仲介会社の手数料相場は一概に決められません。なぜならば、手数料にはさまざまな種類があるかつ、支払う金額や支払う時期は会社によって異なるからです。

わかりやすいように、代表的なものを以下の表にまとめました。相場と内容も含めて7つの種類がありますので、チェックしてみてください。

手数料名 内容 相場
相談料 正式な依頼をする前の相談料 0~1万円
着手金 業務の本格的な依頼をするための手数料 50万~200万円
中間金 M&A基本合意契約を締結したときに発生する手数料 50万~200万円
成功報酬 M&A成立時の最終契約を締結したときに発生する手数料 売却費用に左右される
リテイナーフィー(月額報酬) 毎月支払う月額定額手数料 30万~200万円/月
デューデリジェンス費用 企業調査費用 0~200万円
業務実行にかかる実費 出張費や弁護士相談費用など、業務実行に付加して生じる費用 実費

このように、手数料と一口にいってもその内容はさまざまです。M&Aで会社や事業を売却する前に、M&A仲介会社の費用額や支払う時期の観点から、各社を比較してみましょう。費用の内容を事前に把握しておくと、安心につながります。

M&A仲介手数料の概要

M&A仲介手数料とは、買い手や売り手(売主)がM&Aの専門家に支払う金銭のことです。M&Aの各工程で求められる専門的な知識を補うために、専門家のサポートを受けるのが一般的なので、手数料はM&Aの必要経費と捉えられています。

M&A仲介手数料の詳細は専門家次第で変わります。おおむねM&Aの取引価格に応じた手数料が発生するため、買い手や売り手にかかる負担は決して小さくありません。

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①相談料

相談料とは、正式な依頼をする前の相談手数料のことです。実際には相談料はかからないところがほとんどです。
あらかじめ、初回の問い合わせ時に確認しておくとスムーズです。

相場

ほとんどのM&A仲介会社の相談料は無料のところが多いでしょう。しかし、ごくまれに1回の相談につき5,000~1万円程度の相談料を要するところもあります。
 

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②着手金

着手金とは、M&A仲介会社に業務の依頼をするために支払う手数料のことです。

基本的に、着手金をいったん払ってしまうとと返金されません。M&Aの相手を探すことや、企業価値算定などに必要となるからです。初期投資として考えるとよいでしょう。

もし、手持ちの資金に不安があるなら、支払う必要のない業者を選ぶのも一つの手段です。M&A仲介会社の選定基準の一つにもなるので、こちらも依頼前に確認しましょう。

相場

相場は、50万~200万円程度ですが、着手金が発生しないM&A仲介会社もあります。

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③中間金

中間金とは、M&Aの基本合意契約を締結したときに支払う手数料です。

基本合意契約とはおおむねの内容を記載したもので、買い手候補企業が「買収する」意志を表明するために結ぶことが多いものです。

基本合意契約を締結するとほぼM&Aは成立するといわれていますが、企業調査などの結果「買収しない」結論になる可能性もあります。基本合意を締結した後の交渉がうまくいかず、M&Aが失敗に終わっても返金はありません。

相場

相場は、50万~200万円程度、成功報酬額の10~20%の場合もあります。中間金が発生しないM&A仲介会社もあります。

④成功報酬

成功報酬とは、M&Aが成立して最終契約締結後に支払う手数料のことをいいます。M&Aが成立しなかった場合には、当然支払う必要のないものです。

相場

成功報酬の額は、M&A金額を元にレーマン方式といわれる計算方法で決定するM&A仲介会社がほとんどです。レーマン方式は複雑な計算を用いるため、次の章で詳しく確認します。

最低報酬

M&Aを行ううえで企業の規模に関係なく、プロセスを進めていくなかで人件費やその他の費用が発生するでしょう。小規模のM&Aでは、後述するレーマン方式により算出した成功報酬だけでは、M&A仲介会社の事業としての採算がとれません。

仲介会社の中には、最低報酬を設定しているケースもあります。その場合規模にかかわらず、最低報酬が発生します。相場は、1,500万〜2,000万円程度が多いでしょう。

成功報酬の計算方法は2種類

ほとんどの会社は、レーマン方式といわれる、取引金額に一定の料率を掛けて算出する成功報酬の方法を採用しています。成功報酬の計算方法は、「株式価額ベース」、「オーナー受取額ベース」、「企業価値ベース」、「移動総資産ベース」です。

株式価額ベース:株式譲渡額
移動総資産ベース:株式譲渡額+役員借入金
企業価値ベース:株式譲渡額+すべての有利子負債(銀行借入金、役員借入金)
移動総資産ベース:株式譲渡額+すべての負債(銀行借入金役、買掛金など)

移動総資産ベースは、株式価額ベースに比べて売り手の総負債額まで合算するため、金額が大きくなるといえるでしょう。したがって、同じM&Aであっても取引金額の定義の違いによって、成功報酬額に大きな差が出てきます。

成功報酬は最低報酬金額を設定しているケースも多くあります。外資系証券会社や大手証券会社、メガバンクなどが行うケースでは、概ね1億円以上が必要となるでしょう。

大手M&Aアドバイザーや大手M&A仲介会社であれば1,000万円~、信用金庫や中規模のコンサルタント、M&A仲介会社であれば500万円~が相場です。

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⑤リテイナーフィー(月額報酬)

リテイナーフィーとは、M&A仲介会社に毎月支払う手数料のことです。月額報酬・リテイナー報酬などの、別の呼び方をするケースもあります。リテイナーフィーが、発生しないM&A仲介会社もあります。

相場

こちらの相場は月30万~200万円程度です。M&Aが成立するまで支払い続けるため、費用を抑えたいなら避けるのも一つの選択肢となるでしょう。

⑥デューデリジェンス費用

デューデリジェンス費用とは、M&Aをするにあたって行う企業調査費用のことです。一般的に買い手が実施するため費用負担者は買い手です。調査内容に合わせ、公認会計士弁護士税理士といった専門家へ依頼します。

デューデリジェンス費用は、たいてい着手金や成功報酬に含まれています。デューデリジェンス費用だけで設定しているM&A仲介会社はあまり多くありません。依頼をする前に、デューデリジェンス費用が別途請求されるかなど、聞いておくとよいでしょう。

相場

対象の企業の規模や事業内容により相場は大きく異なりますが、中小企業の相場は10万~200万円程度です。

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⑦業務実行にかかる実費

M&A仲介会社が業務を実行する際にかかる費用は、実費請求されることもありますので、注意が必要です。例えば、企業評価を行うために工場視察や社屋の視察を実施する場合、その出張費用が実費となります。

それらの実費を全て着手金や成功報酬などに含めているところもあります。あらかじめ、相談時にチェックしましょう。

M&A仲介手数料を払う側とは

M&A仲介手数料を誰が払うのかに関してですが、両手取引であれば買い手と売り手(売主)の双方、片手取引であればM&Aの専門家と契約した買い手もしくは売り手の片方になります。

両手取引・片手取引とは、主に不動産業界で使われている用語です。同じ仲介業として共通する部分が多いため、M&A業界でも使われる頻度が高いです。

両手取引や片手取引を両方採用しているM&Aの専門家もいれば、片方に特化したM&Aの専門家もいます。M&A仲介手数料を誰が払うのかを知るためにも、その専門家が採用している契約形式を把握しましょう。

M&A仲介手数料の会計処理・税務処理

M&A仲介手数料の会計処理・税務処理は、成約前であれば一般的に「仮払金」等の勘定科目へ一時計上し、成約が決定したのち「子会社株式」などの勘定科目に買収の取得原価として含めるケースが多いです。

また成約後に発生するM&A仲介手数料であれば、付随費用としてM&Aの対価に加算して計上するのが一般的です。

ただし、実際には手数料の種類や発生タイミングによって若干異なるため、なるべく専門家に相談するのがおすすめです。

着手金ありと成功報酬型の契約の比較

近年、M&Aアドバイザーやコンサルタント会社、M&A仲介会社などの競争が激化しています。そのため、着手金や月額報酬を請求しないケースも出てきました。

しかし、M&Aを進めるうえで、中小企業の相手先をリサーチするのは大変な労力が伴います。成約まで導くにためには、大部分が担当者の能力や気力や情熱にかかっているといえるでしょう。

成功報酬の金額は、会社ごとの計算方法や料率の設定により大きく変わります。着手金、中間金、月額報酬・成功報酬の全てが必要になる場合と、成功報酬のみの場合とでどちらがよいのかは、依頼主が決定せざるを得ません。

M&Aの最終目標は、あくまでも優良な相手企業とのM&A成約が目標です。M&Aを進めるうえで合理的な契約内容なのかが重要となります。

担当者が親身に相談に乗ってくれるか、自社の経営方針なども理解しているかなど、担当者との相性も大切でしょう。

M&Aをご検討の経営者様は、ぜひ一度M&A総合研究所へご相談ください。料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

案件ごとに知識や実績豊富なM&Aアドバイザーが担当につき、M&A成約に向けフルサポートいたします。無料相談は電話・Webより随時受け付けますので、M&Aをご検討の際はお気軽にご連絡ください。

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2. 成功報酬の料金体系「レーマン方式」とは

レーマン方式とは、成功報酬計算方式のことで、基準額の金額帯ごとに異なる手数料率を設定、金額帯ごとに計算した結果を合算することで手数料を計算します。M&A仲介会社のほとんどが、手数料の計算の際にレーマン方式を用いています。

M&A仲介会社の手数料に関して理解を深めるためには、レーマン方式の知識は大切です。手数料割合は一定ではなく、M&A仲介会社によって異なります。しかし、一般的に採用されている水準があります。

売却額 手数料の割合
5億円以下の部分 5%
5億円超・10億円以下の部分 4%
10億円超・50億円以下の部分 3%
50億円超・100億円以下の部分 2%
100億円超 1%

このように、売却金額が大きくなればなるほど、手数料の割合(%)が減少していくのがレーマン方式です。10億円×4%と、単純に売却額に手数料の割合を掛けてしまいそうですが、そうではないので注意しましょう。

以下の例を見ながら、計算方法を確認します。

レーマン方式の計算例

一度、レーマン方式で費用を算出してみましょう。

売却額が2億円の場合

レーマン方式に則ると手数料率は5%のため、

2億円×5%=1000万円

売却額が12億円の場合

5億円 × 5%(5億円以下の部分) =  2,500万円
5億円 × 4%(5億円超・10億円以下の部分) = 2,000万円
2億円× 3%(10億円超・50億円以下の部分) = 600万円

合計5,100万円

このようにレーマン方式での報酬額算出は、やや複雑です。あくまでこれは一例であり、M&A仲介会社によって手数料の割合が変わるので、注意しましょう。レーマン方式での報酬の場合には、手数料の割合を確認して、実際に計算してみるのがおすすめです。

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3. M&A仲介手数料を買い手・売り手双方が支払う両手取引とは

仲介手数料を誰が払うのかは、買い手・売り手(売主)の負担に大きくかかわるため、両手取引か片手取引かどうかは非常に関心の高いポイントになります。

専門家によって採用する形式は違いますが、日本では基本的に両手取引を採用しているケースが多いです。この章では、買い手・売り手の双方が支払う両手取引を見ましょう。

両手取引とは

両手取引とは、M&Aの専門家がサポートの対価として買い手・売り手(売主)の双方から仲介手数料を受け取るアドバイザリー契約のことです。買い手・売り手の間に共通の専門家が仲介に入るため、交渉がまとまりやすい特徴があります。

両手取引は、米国では潜在的利益相反取引に該当するとして規制対象ですが、日本では民法上の代理にはならないと解釈されており、不動産業界やM&A業界で広く使用されています。

両手取引のメリット

両手取引のメリットは、買い手・売り手(売主)の双方代理であるため、M&Aが成約しやすいことです。M&Aの専門家が、買い手・売り手がそれぞれ求める条件のすり合わせを行うので、友好的なM&Aが実現しやすくなります。

買い手・売り手の双方の仲介手数料負担が軽くなるメリットもあります。両手取引の場合、専門家は買い手・売り手の双方から仲介手数料を受け取るので、片手取引と比較すると負担は約半分で済むでしょう。

両手取引のデメリット

両手取引のデメリットは、利益相反取引に該当する恐れがあることです。買い手は少しでも安く買いたい、売り手(売主)は少しでも高く売りたい要望が自然であるため、双方の利益が一致しないことも多いでしょう。

その際、M&Aの専門家はリピーター顧客になり得る買い手を優遇する恐れがあります。売り手は基本的に一度きりの取引になることが多いためです。

売り手の利益の最大化よりも、両手取引の成立を優先される恐れもあります。売り手が求める条件を満たさないまま、一方的に悪条件を押し付けて強引にM&A成約に運ぶ可能性もあるでしょう。

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4. M&Aアドバイザリー契約における両手取引と片手取引

M&Aのアドバイザリー契約では、両手取引のほかに片手取引があります。両手取引は買い手・売り手(売主)の双方が仲介手数料を払いますが、片手取引は誰が払うのでしょうか。

この章では、片手取引の手数料を誰が払うのか、メリット・デメリットを踏まえて買い手・売り手にとって両手取引と片手取引のどちらが得か、を解説します。

片手取引とは

片手取引とは、M&Aの専門家が専属サポートの対価として買い手もしくは売り手(売主)の片方から手数料を受け取るアドバイザリー契約のことです。買い手・売り手のどちらか片方の利益の最大化に努める特徴があります。

それぞれに専門家がつき、日本におけるM&Aでは、大手企業同士のM&Aで使われることが多いです。

片手取引のメリット

片手取引のメリットは、M&A取引の公平性が高いことです。両手取引のように不当な肩入れが起きる可能性がないため、依頼主と専門家が一丸となってM&A交渉に取り組めます。

片手取引には、M&A先を広範囲から探せるメリットもあります。一つのM&A案件に対して複数の専門家が介入するので、それぞれの専門家が保有するネットワークを使って、広範囲から取引相手を探せるでしょう。

片手取引のデメリット

片手取引のデメリットは、買い手・売り手(売主)それぞれの手数料負担が重くなることです。M&Aの専門家は、買い手・売り手の片方から手数料を受け取るため、両手取引の約2倍の金額を設定することが多いでしょう。

M&A交渉が長期化する可能性が高いデメリットもあります。買い手・売り手の双方が要望を主張するので、交渉が平行線になり、最悪の場合は決裂する恐れもあるでしょう。

両手取引と片手取引はどちらが得か

両手取引と片手取引は、それぞれにメリット・デメリットがあります。買い手・売り手(売主)がそれぞれ抱えている問題やM&Aに求める条件によって適切な取引方法は変わります。

例えば、売り手が後継者問題を抱えていて会社の存続を重視する場合は両手取引が得です。買い手・売り手同士で友好的な関係を構築できれば、従業員の雇用条件なども前向きに検討しやすくなります。

大手企業同士のM&Aの場合は、買い手・売り手の双方が利益の最大化を目的とすることが多いため、片手取引が一般的です。

M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

M&Aにお悩みの際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、M&A仲介会社として豊富な経験を積んでおりますので、両手取引で友好的なM&Aを目指せます。M&Aに精通したM&Aアドバイザーが、案件をフルサポートします。

料金体系は成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。無料相談を受け付けていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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5. M&A仲介会社の役割

M&A仲介会社が行ってくれる業務は、大きく分けて4項目あります。

「そもそも、大金を支払ってまでM&A仲介会社にお願いするメリットってあるの?」と考える企業は多いです。実は、M&A仲介会社は、M&A専門家の視点から総合的にサポート・アドバイスをするなどの重要な役割を果たしています。

4項目がどのような内容なのか、一つずつ確認しましょう。

①スケジュールと戦略の決定

M&A仲介会社では、最初にM&Aのスケジュールを検討して組み立てていくところからスタートします。売却時期や工程など、要望に合わせて調整してくれるので、希望があれば必ず伝えるようにしましょう。大体の目安ですが、検討から成立までは約3~6カ月、長くて1年ほどの期間が必要です。

話し合いから決定、動き出しから引き継ぎまでさまざまなプロセスがあります。なるべくスピーディーかつ確実に終わらせるためには、専門家とともに組み立てたスケジュールが必要不可欠です。

スケジュールがある程度できあがるときには、自社の強みや弱みをしっかりと再認識できるほど、細かく調べ終えているでしょう。出てきた情報と過去の事例や持っている情報をフル活用し、専門家とともにスケジュールや戦略を決定します。

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②売却先の選定

スケジュールと戦略を立てたら、次は売却先の選定です。売却先選びはM&Aの肝です。M&A仲介会社に依頼している場合は、自社が求める相手企業の詳しいイメージを伝えていくことで、条件に合わせてアドバイスや買い手企業の提案が受けられます。

どのような方法でも、すぐに売却先が見つかることもあれば時間がかかる場合もあるのは認識しておいてください。あらかじめ、どの程度の条件なら許容できるかなど、イメージを具体化しておくと見つけやすくなるでしょう。

幅広いネットワークを持っている仲介会社を見つけることは、M&Aではとても大切です。一つの仲介会社だけではなく、複数に相談してみる方法もありますので、ぜひ検討してみてください。

複数のM&A仲介会社への依頼で、異業種で開拓をしたい企業を見つけられる可能性があります。M&A仲介会社にも協力してもらって進めていく必要があるでしょう。

【関連】M&Aで売却するには?売却先の選び方、価格の算定方法を解説

③M&Aに必要な手続き全般の支援

M&A仲介会社は、企業価値評価の算定や条件交渉・デューデリジェンスのサポート、書類作成などM&Aに必要な手続きの支援を行います。M&Aの手続きは専門性が高いため自社で行うのは難しいためM&A仲介会社にサポートしてもらいながら、進めていくのが一般的です。

特に条件交渉では要望の伝え方や妥協した方がよい条件など、状況に合わせて的確にアドバイスしてくれるでしょう。初心者ではわからない部分も、過去の事例をもとにしっかりとアドバイスしてもらえます。特に弁護士など士業のいる仲介会社を利用すると、より心強いです。

④弁護士などの紹介

事業の規模によっては、弁護士がいないこともあるかもしれません。そういった場合には、仲介会社にM&Aに強い専門家を紹介してもらうことも可能です。専門家ですから、豊富な知識と経験をもとに的確なアドバイスをもらえるため、今後の流れもスムーズになるでしょう。

特に契約書の作成や企業価値の適正な判断、会計処理は、専門知識がなければできないものです。紹介してもらえる専門家であれば、細かい注意点まで豊富な経験と知識で対応してくれるでしょう。

M&A仲介会社以外のサービス・専門機関

M&Aを実施するには、M&A仲介会社やM&Aアドバイザーに依頼する以外にも選択肢があります。具体的には、事業承継・引継ぎ支援センター」などの公的機関を利用する方法や、「M&Aプラットフォーム」を利用する方法です。

「事業承継・引継ぎ支援センター」は、中小企業基盤整備機構がサポートしている公的施設です。全都道府県に設置されているセンターの総称になります。後継者未定や不在の企業に対する、事業承継・引継ぎの助言やマッチング支援を行っているため、相談してみるとよいでしょう。

「M&Aプラットフォーム」は、インターネットを通じて売り手と買い手をマッチングするサービスです。M&Aプラットフォームの手数料は低額ですので、気軽に利用できるでしょう。

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6. M&A仲介会社を利用するメリット

「買い手は見つかりそうだし、大丈夫」と思っていませんか?M&Aは、買い手を見つける以外にも多くの手続きがあります。

小さな失敗も後々トラブルを引き起こす原因になりかねません。専門家であるM&A仲介会社を利用する方が安心です。

M&A仲介会社は、なんといっても買い手と売り手の交渉の間に立ってくれます。素人同士で交渉するよりも、M&Aの専門家の知見を得ながら交渉を進める方が、よい結果に終わることは明らかでしょう。

M&A仲介会社を利用すると、具体的には、以下のメリットが得られます。

経営者が本業に専念できる

M&Aの検討から成約までをサポートしてもらうことで、経営者は本業に専念できます。M&Aには膨大な知識や情報が必要ですし、検討から成約まではおよそ3カ月~1年の期間がかかります。

期間中であっても本業は続けていく必要があるので、両立が難しくなり、収益性が下がってしまうこともあるでしょう。収益性が低くなれば今後のM&Aの成り行きにも響いてしまうため、本業は手を抜けません。

仲介会社にM&Aのほとんどを任せれば、本業に支障を出さずに進めることが可能です。

相手企業の発掘・見極めができる

M&A仲介では買い手企業、売り企業の多くの情報や幅広いネットワークを有しています。
そのためM&Aの相談をした際に条件に合う候補先を紹介してくれ、M&Aの相手企業を見つけやすいです。


またM&Aにおいては、譲渡価格だけではなく事業においてシナジー効果が発揮できるのか、自社の経営風土に合う相手先なのかなどを考慮することが非常に重要です。
多くの情報と幅広いネットワークを持つM&A仲介会社を利用することで効率的かつ客観的に最良の候補先を見極めることができます。

取引の適正さを確保できる

M&A仲介会社を利用することで、取引そのものが適正であるかどうかを判断できます。

売り手はできるだけ高く売りたいと思っているのと同様に、買い手はできるだけ安く買いたいと思っているでしょう。そのような状況の中、第三者の視点から適正な金額・条件を判断してもらうことにより、スムーズに交渉が進められます

多くのM&Aを見てきた仲介会社だからこそ、取引が適正であることを判断できるのです。

円滑なコミュニケーション

M&A仲介会社は譲渡企業、譲受企業の検討担当者の思いを汲み取り、中立な立場でM&Aを成立させるため調整を行います。
仲介会社を利用することでM&Aをスムーズに進めることができる可能性が高まります。

さらに、M&Aの際は従業員への発表やM&A成約後の運営など先を見据えていくことが大切であり、これらは経験豊富なM&A仲介者が不可欠になります。

思わぬトラブルを回避できる

M&A仲介会社を通して契約すると、思わぬトラブルを回避できるメリットがあります。仮に、仲介会社なしで売却の話がうまくまとまったとしても、最終契約直前にトラブルが発生する可能性は十分にあり得ます。
例えば、
買い手側は「思っていたよりもノウハウや技術力が不足している。決算書にはなかった含み損や回収不能債権もある。これにより買収価格を大幅に引き下げたい。」
売り手側は「最終締結の直前にいうのはおかしい。事実は事前に提示しており、従業員や会社を守るためにも、これ以上の価格の引き下げには応じられない。」
とお互いが譲れない主張をし合っている間に決裂してしまうこともあります。
M&A仲介会社は、考えられるトラブルを回避したうえで契約のサポートをしてくれます

また、不慣れが原因で事前に想定しきれずに起こってしまうトラブルは、M&Aには非常に多いです。最悪の場合、裁判にまで発展してしまうこともあります。M&Aの知識と経験が豊富なM&A仲介会社を頼ることで、スムーズに契約が成立します。

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7. M&A仲介会社を利用するデメリット

M&Aが社会的に注目されはじめたためか、M&A仲介の持つ構造的な問題点が指摘されるようになり、M&A仲介会社の数とともに悪質な業者が増えています。近年、M&A仲介のデメリットとして、以下の3点が指摘されています。

アドバイスの提供で利益相反が生じるおそれ

M&Aアドバイザーには、「仲介型」と「アドバイザリー型」の2種類があります。仲介型は、一企業が買い手と売り手の両方と交渉してM&Aをマッチングする、いわば仲人のような役割です。アドバイザリー型は、買い手と売り手のどちらか一方のみと契約し、M&Aの相手と交渉を行います。問題となるのは、買収価格の交渉時です。

売り手はできるだけ高く売りたいと考え、買い手側はできるだけ安く買いたいと一般的に考えています。両者の利益が相反するため、仲介型で双方が有利となる助言は利益相反のリスクがあると指摘されています。

その上で日本の中堅企業・中小企業のM&Aでは、仲介型で進めることが多いです。理由としては、双方が友好的なM&Aを前提としておりかつM&Aが成約しやく成約のスピードも早い傾向にあることが挙げられます。

着手金・中間金など返金されない手数料がある

M&A仲介会社へ支払う報酬には、「着手金」「中間金」などが含まれます。M&Aの契約で着手金や中間金を払い、途中でM&A取引が中止された場合でも、これらの料金は原則返金されません

実際にM&A取引の検討のために進めていたとしても、それまで尽力してくれているなら、支払うべき料金です。しかし、そうではない場合は捨て金になります。

M&A仲介会社を利用する際は、事前に契約内容をしっかり確認するとよいでしょう。

報酬として高額な手数料を請求される可能性

一般的にM&A仲介会社の手数料は、「相談料」「着手金」「中間金」「成功報酬」などで構成されています。成功報酬は、レーマン方式をとっている仲介会社が多くあるでしょう。

完全成功報酬を宣伝文句にしている仲介会社の中には、企業が認識していない料金を報酬として請求する悪質なケースも残念ながら存在します。

受けたサービスの対価を支払うことは当たり前ですが、受けていないサービスの料金を支払う義務はありません。対策としては、事前にしっかりと契約内容を確認し、仲介会社との連絡を密にするのが大切です。

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8. M&A仲介会社を選ぶポイント

M&A仲介会社に依頼すると、個人や企業が独自でM&Aを行うよりも成功率を高められます。「でも、どこに相談したらよいのかわからない」ケースが多いのが現状でしょう。そこで、数多くあるM&A仲介会社を絞り込むのに最適な、以下4つの選ぶポイントを紹介します。
これで依頼先をスムーズに決められるようになるはずですから、参考にしてみてください。

①タイプで選ぶ

M&A仲介会社には以下2つの型(タイプ)に大別できます。この2つは基本的に報酬の計算方法は一緒のため、手数料の違いはありません。それぞれの違いはアドバイザーの立ち位置です。

仲介型

仲介型は売り手と買い手の間に同一のM&Aアドバイザーが立ち、中立な立場で交渉の仲介を行い、M&Aの成立に向け助言を行います。売り手と買い手がどんなに旧知の仲でも交渉が決裂することはあります。
利害が対立する両者の間に入り、双方とコミュニーションを取ることができるため成約までの期間が比較的早く、成約する確率が高くなると言われています。

アドバイザリー型

アドバイザリー型は売り手側または買い手側のどちらか一方の支援を行います。どちらについたとしてもついた側として利益が最大化するように交渉に当たります。
売り手側であれば譲渡価格やその他曲げられない条件について交渉し、買い手側であれば売り手の利益の最大化が期待できます。しかし売り手側と買い手側の利益が対立する状況になるため、交渉がまとまりにくく、成約までの時間が長期にわたるという点があります。

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②取り扱い実績を確認する

M&A仲介会社を選ぶときには、自社と同規模の企業のM&Aにかかわった実績があるかどうかも気になるところでしょう。M&Aでは、案件の規模によって必要な能力やスキルが異なります。

経験豊富な仲介会社に依頼すれば、希望通りに取引を進められる確率が高くなります。中小規模のM&A実績が多いのか、大企業のような規模の大きいM&A実績が多いのか、どのようなアドバイザーがいて、どういった業種の経験が豊富なのかなどを見るのがおすすめです。

多くの場合、ホームページに得意分野や実績を掲載しているので、取り扱ってきた案件の内容を確認するのも可能です。無料相談を使う前に、自社と同規模企業のM&A実績があるかどうかを確認するとよいでしょう。

③特定の事業に特化しているのか確認する

M&A仲介会社は「業界特化型」と「非特化型」の分類もできます。違いは、特定業界のM&A案件を取り扱っているかどうかです。業界特化型と呼ばれるM&A仲介会社を選べば、高い知識と経験で、より依頼内容に合うよう成立へと動き出してもらえるでしょう。

以下のような業種の方は、特に業界特化型がおすすめです。

  • 介護業界
  • 店舗系ビジネス
  • 病院
  • クリニック
  • 薬局
  • WEBサイト

M&Aが活発な業種ですから、知識と経験は大きな強みとなります。しかし、ここで注意したいのは、全ての業界向けに特化型の仲介会社があるとは限らない点です。業界特化型がなければ、非特化型に依頼するようにします。

非特化型のM&A仲介会社は、多種多様な業界とのマッチングが得意です。業界特化型よりも幅広いネットワークを持っているため、より多方面での売り手・買い手探しができます。

事業拡大や他業種確保などを目的にM&Aの相手探しをしている企業も多いので、非特化型ならではのメリットが受けられるでしょう。どのような相手を探しているかで「業界特化型」か「非特化型」か、選んでみてください。

④手数料・報酬体系を確認する

最後に料金体系をチェックしましょう。一言に成功報酬といっても、「完全成功報酬型」と「そうでない場合」があります。もし、費用を徹底的に抑えたいと考えるなら、完全成功報酬型を選ぶのがおすすめです。

M&Aが不成立の場合では費用がかからず、成立するまで徹底的にサポートが受けられ、費用だけ失って、今後のことを考えられない状態を避けられるからです。余計なコストのことを考えずにM&Aに集中するなら、完全成功報酬型がよいでしょう。

料金体系がホームページに記載されていないM&A仲介会社もあるため、必ず面談時に自身で確認してください。

【関連】M&AのFA(アドバイザリー)が担う役割とは?仲介との違い、業務・費用を解説

9. M&A仲介会社の手数料が高くなりやすい理由

M&A仲介会社の手数料が高くなりやすい主な理由は、人件費です。

M&A成約までには、企業の適正な価値を算出する企業価値評価や、企業の潜在的リスクを調査するデューデリジェンスなど法律・会計・税務など幅広い分野の知識が必要になります。また適宜、弁護士や公認会計士、税理士などのサポートも必要になります。このように、専門性の高い人材は人件費が高くなるため、手数料が高くなります。

また、会社規模が大きくなるほど評価や調査の範囲が広くなるため手数料が高くなる傾向にあります。

 

10. M&A仲介会社の手数料・報酬を抑えるコツ

ここでは、M&A仲介会社に支払う手数料・報酬を抑えるコツを見ていきましょう。主なものは、以下のとおりです。

手数料以外の観点で数社に絞る

まずは、手数料が安い点だけに着目するのではなく、その他の観点で自社に合っていると思われる数社に絞り込むことがおすすめです。M&A仲介会社の公式ホームページには、これまでの実績や経験談、得意な業種や実績数、相談件数などが掲載されています。

それらを参考に、手数料が安く、かつ自社に最適と思われるM&A仲介会社を挙げていきましょう。

各社に手数料見積もりを依頼する

M&A仲介会社を数社に絞り込んだら、次に、各社に手数料見積もりを依頼します。電話やウェブで無料相談を受け付けているところが多いので、それを利用して聞いてみるとよいでしょう。

すべての観点を検討し最終的な1社を決める

ここまでのすべての情報を総合的に検討し、自社に最適な1社を決めましょう。たとえ一番手数料が安いところではなかったとしても、それ以外の観点も加味して判断できれば、納得のいくM&A仲介会社を探せるでしょう。

11. M&A仲介会社の手数料・報酬まとめ

M&Aで必要な手数料は、会社や事業の売却価格によって大きく異なります。M&A仲介会社によっても報酬体系が異なるため、一概に金額を決められません。

手数料があることを理解したうえで、相談時におおよその概算を出してもらうようにしましょう。

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