2026年01月17日更新
M&Aを税理士に依頼するメリットとは?役割や業務内容・費用相場を解説
M&Aにおける税理士の役割や業務内容、費用相場を解説します。2025年以降の最新税務情報を踏まえた節税対策やデューデリジェンスなど、専門家へ相談するメリットを把握し、スムーズな事業承継や買収を実現しましょう。
目次
1. M&Aにおける税理士の主な役割と専門性
M&Aにおける税理士は、節税スキームの構築や確定申告の代行など、複雑な税務の実務を一手に担う存在です。2025年以降、事業承継税制の特例措置の期限を意識した動きが加速しており、最新の法改正に精通した税理士の役割はさらに重要性を増しています。
近年では、単なる事務処理に留まらず、交渉のアドバイスや戦略策定を行うコンサルティング型の事務所も増えています。ただし、高度な専門知識が求められるため、過去の成約実績や対応範囲を事前に確認することが大切です。
公認会計士の役割との相違点
公認会計士は、税理士より幅広いグローバルな会計知識を持っていますので、グローバルな会社の企業分析や業界分析に強いでしょう。
M&Aで、公認会計士はデューデリジェンスや企業価値算定で役割を発揮します。
デューデリジェンスでは、売り手企業の様々なリスクが調査対象となります。例えば、企業の資産の価値が適切に評価されているか、会社が公表していない未公開の負債(簿外債務)が存在しないか、あるいは将来的に多額の債務を負う可能性がないかなど、表面上は見えにくいリスクも探ります。
デューデリジェンスでは、M&Aの際に直面する問題とその解決策についてもアドバイスを得ることが可能です。
さらに、グローバルに展開する企業を対象とした際には、その企業が提供する財務情報を精査し、企業の本当の財務状況を反映した「実態財務諸表」を作り出し、そのうえで企業の真の価値を算出します。
このような作業は、世界的な視野を持ち、深い財務・金融知識を有する公認会計士でなければ成し得ない業務といえるでしょう。
参考:デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社「令和3年度中小企業再生支援・事業承継総合支援事業 企業健康診断等のあり方に関する委託調査」
弁護士の役割との相違点
M&Aを実行する際、弁護士の存在は欠かせません。契約書の作成や交渉で、リーガルチェックをしなければ理不尽な契約を結ぶおそれがあるからです。
M&Aでは、結ぶ契約が多くあります。
- 秘密保持契約
- 基本合意書
- 最終譲渡契約
不利な条件で契約を結んでも契約書の内容を撤回できません。弁護士のチェックを入れることが重要です。弁護士は、M&Aで必要な書類の作成や会社法に沿った手続きの確認なども行います。
参考:e-GOV 法令検索「会社法」
M&Aアドバイザー・コンサルタントの役割との相違点
M&AアドバイザーやM&Aコンサルタントの力も欠かせません。M&AアドバイザーやM&AコンサルタントはM&A仲介会社に所属し、M&Aに特化したアドバイスを行います。M&A仲介会社の場合は、一貫支援体制であることも多いでしょう。
2. M&Aで税理士に依頼可能な具体的な業務内容
税理士は税務・会計のプロフェッショナルで、 M&Aでは以下の業務を依頼できます。
- 税務・会計に関するサポート
- アドバイザリー業務
- デューデリジェンスサービス
- バリュエーションサービス
- その他サービス
法人・事務所によって対応範囲が異なるものの、事務所によってはM&A全般のサポートを行うことも可能です。税理士の担うM&A業務を詳しく見ていきましょう。
①税務・会計に関するサポート
M&Aに伴う税理士のサポートでは、取引で発生する譲渡所得への課税や、法人の所得計算に関する指導が中心となります。特に2025年以降の取引では、インフレの影響や新制度を踏まった資産評価が重要となるため、最新の会計基準に基づいた正確な仕訳が求められます。
売り手側にとっては、譲渡益を最大化するための所得税・法人税の節税対策が最大の関心事です。一方、買い手側は引き継いだ資産の減価償却や「のれん」の会計処理において、税務上の否認リスクを避けるための助言を必要とします。
プロである税理士の指導を仰ぐことで、申告ミスによる追徴課税を防ぎ、キャッシュフローの最適化を図ることが可能になります。
②アドバイザリー業務
M&Aに強い税理士事務所は、M&Aのアドバイザリー業務を行っています。アドバイザリー業務とは、M&A成立までに必要な手続きやサポートを行うことです。例えば、以下の業務を行います。
- M&A戦略の策定
- スケジュール策定
- M&Aの相手先探し
- 相手先との交渉サポート
- 当事者同士のスケジュール管理
M&A全般で必要なサポートを行うので、M&Aに詳しくなくても安心です。アドバイザリー業務に対応している法人・事務所であればプロセスを一貫して頼めるので、複数の専門家に相談する必要がなくM&A成立までの手間を減らせます。
③税務デューデリジェンス(買収監査)の実施
税理士にはデューデリジェンスサービスを任せられます。デューデリジェンスとは、M&Aの契約前に買い手企業が売り手企業の税務・財務などをチェックすることです。
買い手が買収後に予期せぬ負債を抱えるリスクを回避するため、税理士による精緻な調査が行われます。2025年以降、インボイス制度の定着や電子帳簿保存法への対応状況も、デューデリジェンスにおける重要なチェック項目となっています。
税理士が主導する調査項目は多岐にわたります。
・財務面:簿外債務や退職給付引当金の不足など、財務上の欠陥がないか調査
・法務面:契約の有効性や訴訟リスクの有無を確認
・税務面:過去の申告状況や、グループ法人税制の適用誤りがないかを精査
特に2026年に向けては、クロスオーバーな取引が増えることが予想されるため、国際税務のリスク管理に長けた税理士の視点が欠かせません。
買い手による調査をサポートするために売り手が資料を作成するケースもあります。この場合も、売り手側から税理士に資料作成の依頼をすることが少なくありません。
税務デューデリジェンスの目的
税務デューデリジェンスの目的は、3つあります。まずは、税務リスクの把握です。売却企業における過去の税務処理に誤りがあり、それが後に明らかになると、予測しなかった損失を計上します。売却側における税務申告書などの書類調査、対象企業の業種や属性、取引内容などの調査を実施するでしょう。
2つ目は、M&Aのスキーム策定です。主なM&Aスキームは株式譲渡と事業譲渡で、スキームによって税法上の取り扱いが違い、M&Aを行うときに生じる税金の額が異なります。
中小企業は、手続きが簡便な株式譲渡を用いることが少なくありません。簿外債務リスクや税務リスクがあれば、リスクを断つために事業譲渡(事業のみ譲渡)を選ぶことも視野に入れます。
適切なM&Aスキームの選択で、売却側は譲渡益に対する税負担の最小化、買収側は税務リスクの軽減が可能です。どのM&Aスキームを用いるか決めるためにも、税務デューデリジェンスが欠かせません。
3つ目の目的は、譲渡価額の調整です。税務デューデリジェンスで税務リスクが明確になると、売却側の企業価値に影響があります。デューデリジェンスの結果により、譲渡価額を引き下げることもあるでしょう。
参考:東京弁護士会「M&A(事業承継)に関する実務─中小企業法律支援ゼネラリスト養成講座より─」
参考:国税庁 営業の譲渡の意義
税務デューデリジェンスを行う際のポイント
税務デューデリジェンスを行う際は、過去における税務調査の状況を確認します。税務調査による修正内容、追徴税額、重加算税額、指摘事項の改善状況などです。これらから売却側における税務への姿勢、内部統制の様子がわかります。
申告漏れなど、潜在的なリスクなどがないか過去の税務申告書をチェックし、未納税額の有無を確認することも税務デューデリジェンスを行う際のポイントです。
議事録、稟議書、契約書などから税務申告書に記載のない取引内容をチェックし、寄付金認定、受贈益認定、役員賞与認定につながる税務リスクにおける有無の確認、過去に合併など組織再編があれば、その税務処理における妥当性を検証し税務リスクにおける有無も確認します。
経営陣、税務担当者へのインタビューで、売却側の経営者などから必要な情報を導き出すことも税務デューデリジェンスを行う際のポイントです。
上記のチェックにより売却側の税務リスクを把握し、譲渡企業の税務リスクを把握してリスク額を試算できれば譲渡価額を引き下げ、リスクを試算できなければスキーム変更、契約条項の付記によりリスクを避けられるか検討します。
④企業価値評価(バリュエーション)の算定
税理士事務所によっては、バリュエーションサービスを行うこともあります。バリュエーション(企業価値評価)とは、会社の価値を客観的基準で評価・判断することです。M&Aでは、バリュエーションをもとに売買価格を決めます。
M&Aの交渉で、売買価格は非常に重要です。売却側はできるだけ高く譲渡したい、買収側はできるだけ安く譲受したい、と考えます。
これらの考えは相反するので、判断する基準が求められますが、売買価額を決めるための判断材料が企業価値です。そして、企業価値を算定するプロセスをバリュエーションといいます。
非上場株式は証券取引所における日々の株価がないので、その日における明確な市場価格を知るのが難しいため、非上場企業のM&Aでは客観的なバリュエーションがM&A成立に欠かせません。
バリュエーションは売り手側も買い手側も実施する可能性があり、売り手側は売買価格提示のため、買い手側は買収を本当に行うのか決定するためにバリュエーションをもとに検討するのが一般的です。
バリュエーションには高度な会計知識と市場分析力が求められます。2025年以降の不安定な経済状況下では、将来の収益予測をベースとする収益方式(DCF法)の重要性がさらに高まっています。2026年を見据えた成長戦略を評価額に反映させるためにも、最新の業界動向に精通した税理士に依頼することが、適正な価格交渉の鍵となります。
⑤その他サービス
税理士事務所・法人によっては、ここまで挙げた以外のM&A関連サービスを提供していることがあります。税理士事務所が対応しているサービスの例は、以下です。
- 事業計画策定サービス
- 統合後の経理体制構築支援サービス
- 第三者委員会への出席
これらのオプショナルサービスは、別途料金が定められているケースが多いので、追加のサポートが必要であれば直接相談しましょう。
以上が、税理士が対応するM&A業務でした。税理士が請け負う範囲は広く、M&A実績が豊富な税理士であればトータルサポートやM&A後の事業計画も相談できます。公式サイトなどを複数チェックしながら、依頼のイメージを少しずつ作ると良いでしょう。
3. M&Aを税理士に相談するメリットと2025年以降の最新税制
M&Aにおいて税理士の力を借りることには、実務面だけでなく戦略的なメリットが数多くあります。特に2025年から2026年にかけては、税制の変革期にあるため、専門家のアドバイスが成約の成否を分けるといっても過言ではありません。
2025年度税制改正を踏まえた最適なスキームの提案
M&Aには株式譲渡や事業譲渡、会社分割など多様な手法(スキーム)がありますが、それぞれで税負担が大きく異なります。2025年度の税制改正では、企業の再編を促すための優遇措置や、特定の事業承継に関する規定が見直されています。税理士はこれら最新の制度を駆使し、売り手・買い手の双方が納得できる最も税効率の良いスキームを提案します。
事業承継税制(特例措置)の活用と法的リスクの低減
多くの中小企業が活用している「事業承継税制の特例措置」は、2025年以降、適用のための要件確認が非常にシビアになります。贈与税や相続税の猶予を受けるためには、緻密な計画と継続的な報告が欠かせません。税理士に相談することで、これらの複雑な手続きをミスなく進め、将来的な納税リスクを最小限に抑えることが可能になります。
組織再編税制を活用した中長期的な節税効果の最大化
2026年に向けて、複数の企業を統合してシナジーを狙うM&Aが増加すると予測されます。この際、税制適格要件を満たすことで、資産の移転に伴う譲渡益への課税を繰り延べることが可能です。組織再編税制の適用には高度な判断が伴いますが、税理士が早期から関与することで、買収後のグループ全体の税負担を軽減する長期的なタックスプランニングが可能になります。
4. M&Aを税理士に相談するメリット
M&Aの相談先として多くの経営者に選ばれているのが税理士です。税務と会計のプロフェッショナルである税理士にM&Aの相談を行うメリットは、以下です。
- 節税対策ができる
- 税務のペナルティを防げる
- 税務・財務に関する調査のレベルが高い
- 他のM&A専門家を紹介してもらえる
税理士と進めるM&Aのメリットを詳しく見ていきましょう。
①節税対策ができる
税理士に相談すれば、M&A関連の節税対策をしっかり行えます。M&Aで会社や事業を売れば、譲渡価格が売り上げとなり多額の税金を支払わなければなりません。M&Aの規模が大きくなるほど税金の支払額は大きくなります。
事前にしっかりと節税対策を行い慎重に手続きを進めることが大切です。まずは、中小企業の多くが使うM&A手法である「株式譲渡」を行ったときの税金支払額を確認しましょう。個人が株式を持つ企業が、株式譲渡でM&Aを行うときの例で計算してみます。
参考:日本政策金融金庫 譲渡価格算出ツール
- 株式の売却価格(純資産+営業権):3億円
- 株式取得費:1,000万円
- 譲渡費用:500万円
この場合、課税対象は以下の通りです。
- 3億円-(1,000万円+500万円)=2億8,500万円
税金の額は個人が株式を持っていれば、20.315%の税率なので約5,700万円の納税がかかります。法人が株式を持っている場合も、法人住民税や法人事業税を含め、税率は課税対象となる所得の30~40%です。上記の例では、8,500万~1億円ほどの税金が発生してしまいます。
しかし、税理士に相談し、節税対策を行うことで支払う税金の額をある程度下げることも可能です。例えば、株式にかかる取得費を減らす方法があります。取得費を上げることで売却益を減らせるので、取得費を最大の5%にまで引き上げ、その分課税対象となる売却益を小さくしました。
取得費を最大の5%まで引き上げれば、売却価格が10億円で取得費が1,000万円の場合も取得費を5,000万円として計算できるので、売却益を4,000万円少なくできます。
税のプロフェッショナルである税理士に相談すれば、こうした節税方法をM&Aの手法ごとに組み合わせ、会社の利益を最大限確保することも可能です。
役員の退職金について
中小企業のM&Aでは、譲渡側の経営者は株式を譲渡した後、一定期間後に取締役を退くのが一般的です。役員退職金の支給と株式譲渡によるM&Aを組み合わせ、トータルの税負担を軽減できることもあります。
ただし、役員の退職金は金額の妥当性を税務当局から指摘されやすく、過大とみなされた額は損金算入できません。税理士などに相談して支給金額を決めましょう。一般的な計算式は「退職時の月額報酬×役員勤続年数×功績倍率=役員退職金」です。
参考:厚生労働省 退職金の金額
②税務のペナルティを防げる
M&Aを行った年の確定申告は通常よりも複雑です。例年よりも多い税金を支払う必要があるため、過度な節税や税金逃れを試みる会社もわずかながらあるでしょう。
しかし、正しい知識で節税を行わなければ税金逃れと認識され、ペナルティとして追加の税金を支払わなければなりません。税金の支払いを怠ったことで信用を失い、会社の売り上げが大きく落ちることもあり得ます。
できるだけ税金を減らしたいと考える経営者は多いですが、過度な節税はトラブルの元です。規則に反しない節税対策を行うためにも、税金の専門家である税理士への相談は大切といえます。
③税務・財務に関する調査のレベルが高い
税務・財務に関する調査のレベルが高いので、デューデリジェンスを行う買い手側もデューデリジェンスを受ける売り手側も安心して対応を任せられます。もともと税理士は、会社の財務アドバイスなどの業務が本業です。M&Aの際、税理士に相談すればより正確に税務・財務を把握できます。
相手企業の債務や売り上げ、会計の実態を正しく把握すれば、パートナー選びがスムーズに進むでしょう。本当に信頼できる相手かどうか税理士による調査を通して知ることもできます。会計・税務に関する調査は、専門家である税理士に相談しましょう。
④他のM&A専門家を紹介してもらえる
税理士事務所の多くが、弁護士、公認会計士、社会保険労務士などの士業と業務提携し、クライアント業務を実施しています。事務所に他の士業が在籍して、総合的なサポートを提供する事務所もあります。
税理士にM&Aサポートを依頼すれば、税理士の専門とは違う分野で適切な専門家を紹介してもらえ、M&Aの手続きが円滑に進むでしょう。
税理士とM&Aアドバイザーの役割を比較
相談を検討している税理士に、M&Aの豊富な知識と経験があれば相談してもよいといえます。ただし、M&Aの経験が豊富な税理士でも、買収側とのマッチングや、最終契約交渉時における法務面でのサポートでは、一定の限界があることが考えられます。
デューデリジェンスの経験しかなくても、M&A全般の経験がある税理士もいますが、デューデリジェンスはM&Aにおける多くの過程における一つに過ぎません。
こうしたケースでは、M&Aの専門家であるM&Aアドバイザーへ相談すると、スムーズにM&Aが進むでしょう。M&Aでは、買収企業とのマッチング、その後における条件交渉が特に難しいです。
M&Aアドバイザーは、買収企業を見つけてマッチングを行い、基本合意やデューデリジェンス、最終契約交渉などその後における多くのプロセスをスムーズに進めるサポートを行います。これは豊富なM&Aの経験を持つM&A仲介会社の得意分野なので、M&Aアドバイザーに依頼するほうが効率的でしょう。
5. M&A業務で税理士へ支払う報酬費用の相場
税理士にM&Aのサポートを依頼すると、ある程度の費用が必要です。報酬体系は税理士ごとに異なりますが、ここでは多くのM&A仲介会社や税理士法人において、一般的な成功報酬型で発生する費用を参考として紹介します。
成功報酬制とは、M&Aが成立したときに料金を支払う方式のことです。成功報酬制でも、追加で相談料、着手金が必要となる税理士法人・事務所もあります。今回は業務ごとに分けて報酬の相場を見ていきましょう。
税務に関するサポートの費用相場
税務に関するサポート費用は、以下の金額が相場です。
- 確定申告代行:10万〜20万円程度
- 顧問契約(月1回の訪問):月額2万〜月額5万円
節税対策も依頼する場合は、顧問契約をおすすめします。今回提示している費用はあくまでも相場です。会社の売り上げによって費用を変えるケースが多いので、依頼する場合は事前に問い合わせましょう。
M&Aアドバイザリーの費用相場
アドバイザリー業務を依頼する場合、最低でも50万~150万円ほどの報酬が必要です。規模が大きいM&Aでは、1,000万円以上の報酬が必要なこともあるので事前に報酬体系を確認してください。
M&A仲介会社などと同じくレーマン方式で報酬を設定しているところは、売買価格に応じて明確に報酬の額が変わります。成功報酬型の場合、支払いはM&Aが成立したときです。他の業務も含め、事前に見積もりを出してもらいましょう。
レーマン方式とは
レーマン方式とは、多くのM&A仲介会社が採用する成功報酬の算出方法です。取引金額や売却価格に応じて報酬料率が定められています。
一般的に、以下の報酬料率を採用するケースが多いです。
- 5億円未満の部分:5%
- 5億円を超え〜10億円までの部分:4%
- 10億円を超え〜50億円までの部分:3%
- 50億円を超え〜100億円までの部分:2%
- 100億円を超える部分:1%
例えば、取引金額が15億円の場合、以下のように計算します。
- 5億円(5億円未満の部分)×5%=2,500万円
- 5億円(5億円を超え〜10億円までの部分)×4%=2,000万円
- 5億円(10億円を超え〜50億円までの部分)×3%=1,500万円
- それぞれの合計=6,000万円
今回提示したレーマン方式は、一般的な報酬料率です。税理士事務所によって設定された報酬料率が異なるため、確認してください。
デューデリジェンスの費用相場
税理士に依頼する場合、デューデリジェンスにかかる費用は50万円ほどです。調査対象となる企業の規模によってさらに上がることもあります。一方、規模や事業所数が少ない売り手の調査は、30万円ほどの支払いで済むこともあるでしょう。
デューデリジェンスの費用が成功報酬に含まれるケースもあり、その場合、別途費用は必要ありません。
バリュエーションサービスの費用相場
企業価値を算定するバリュエーションにかかる費用は、50万円ほどです。法人の規模によって報酬額は異なります。小さな事業所であれば、業種を問わず100万円以内の支払いで抑えられるでしょう。
以上が、M&A関連の業務を税理士に依頼したときの報酬費用相場です。報酬体系は税理士事務所によって異なります。相談時に見積書を作ってもらったりわかりやすく説明してもらったりして、理解したうえで契約を結んでください。
6. M&A業務を依頼する税理士選びのポイント
M&Aで税理士を選ぶポイントを、3つに分けて紹介します。
M&A実績が豊富かどうか
M&Aで税理士を選ぶときは、担当となる税理士に実績や経験が豊富かどうか確認してください。豊富な経験を有する税理士は、自社の案件にスピーディー・正確に対応します。自社の業界に詳しい税理士なら、より強固なサポートを期待できるでしょう。
税理士を選ぶ際は、今までに取り扱ってきた案件の内容や実績をチェックすることがポイントです。
どの分野を得意としているか
M&Aで税理士を選ぶときは、税理士の得意分野を見極めてください。税理士には、得意分野と不得意分野があります。税理士にM&Aの相談をした結果、得意分野ではないために回答が遅れたり、最悪のケースでは間違った回答だったりすることもあるでしょう。
税理士を選ぶときは、税理士の得意分野をチェックすることがポイントといえます。
担当者との相性が良いかどうか
M&Aで税理士を選ぶときは、自社との相性を確認してください。クロージングするまでに、M&Aは数カ月から数年かかるケースもあるので、経験の多い税理士でも自社と相性が悪ければコミュニケーションを保つのが難しいです。
担当税理士の態度、返信の速さなど、遅れることなくM&Aの手続きが進む税理士を選びましょう。相性が悪い担当者であれば必要以上に時間がかかり、その結果M&Aの失敗につながる可能性もあります。依頼する前にコミュニケーションをしっかり取って、税理士との相性をチェックすることもポイントです。
7. 税理士事務所ではなくM&A仲介会社に相談すべき3つの理由
M&Aを行うときに必要な専門家を紹介しましたが、一番に相談すべきなのはM&A仲介会社(M&Aアドバイザー・コンサルタント)です。先にM&A仲介会社に相談することでM&A成立までの流れが非常にスムーズになります。
専門家よりも先にM&A仲介会社に相談すべき他の理由は、主に下記の3つです。
- 最終的には仲介会社に誘導されることが多いから
- 多くの仲介会社は税理士と連携しているから
- M&Aに関する実績が豊富だから
3つの理由を詳しく確認しましょう。
①最終的には仲介会社に誘導されることが多いから
税理士に相談しても、最終的にM&A仲介会社に誘導されることが多いです。税理士に相談すれば、M&Aに関するサポートを全て税理士が行ってくれると思いがちですが、実際に手続きを進める際に税理士はM&A仲介会社や会計士、弁護士などさまざまな人と協力します。
もちろん、全て事務所内でサポートを済ませる税理士事務所もありますが、全ての相談先が独立しているわけではありません。税理士に相談した後、M&A仲介会社に相談するよう誘導されることもあります。
他の専門家や公的機関、金融機関に相談した場合も、最終的にはM&A仲介会社を紹介されるケースが多いです。
特に複数の業務を抱える中小企業は、短期間でM&Aを成立させることが重要になります。「紹介費」として手数料を取られるケースもあるので注意しなければなりません。
税理士を通してM&A仲介会社に相談するよりは、最初からM&A仲介会社に直接相談した方がスムーズな意思伝達が可能となり、M&A成立までの期間も短くなります。
②多くの仲介会社は税理士と連携しているから
M&Aにおいて税理士のサポートは不可欠ですが、多くのM&A仲介会社は税理士と連携しているので安心してサポートを依頼できます。
一般的に、税理士の所属する税理士事務所とM&A仲介会社は分けて考えられがちです。しかし、多くのM&A仲介会社は、手続きをスムーズに進めるため税理士と連携しています。
M&A仲介会社に相談すると、そのM&A仲介会社と連携する税理士とともにM&Aを進められます。税理士以外の会計士や弁護士などの専門家とも連携している仲介会社が多いです。
仲介会社によっては、所属している税理士が直接相談を引き受けるケースもあります。税務に関して詳しく聞きたい場合は、M&A仲介会社と連携している税理士と話せるので直接税理士事務所に行く必要がありません。
M&A仲介会社にサポートを依頼しても、税理士など専門家のサポートやアドバイスをしっかりと受けられ、必要なときのみ専門家に依頼できるため、費用を抑えることにもつながるでしょう。
③M&Aに関する実績が豊富だから
M&A仲介会社はM&A業務を専門に仕事をしているため、豊富な実績を持っています。過去の事例を用いてわかりやすく説明したり、交渉でも有利に進めたりする可能性が高いです。
一方、税理士事務所は、税務に関する業務を行い、M&Aの専門家ではありません。ホームページにM&A相談のページがあっても、十分な実績があるかどうかはわからないのが現状です。
M&A分野で実績を持つ税理士事務所もあります。しかし、M&Aに特化した税理士事務所は少なく、相談してもM&Aに関する疑問が解消されないケースもあるでしょう。
最近M&A業務を始めたばかりで、まだ実績が十分でないところも少なくありません。税理士に相談すれば税務に関する専門性は信頼できますが、M&Aをスムーズに進めるために税理士事務所を選ぶ場合は実績をチェックするべきです。
M&A仲介会社はM&A業務を専門とするので、仲介会社と提携する税理士・会計士も経験豊富なことが多く、M&Aの専門機関なのでM&Aのサポート体制も万全で安心して任せられます。
M&A業務の流れも経験からしっかり理解しているので、M&A全体のサポートを望む方、業界全体の動向やM&A事情を知ってから戦略を立てたい方は、最初からM&A仲介会社に相談しましょう。
8. M&Aで税理士が担う役割・業務まとめ
M&Aでは企業の規模にかかわらず、税務のプロフェッショナルである税理士への相談が必須です。最近は、M&Aに関するアドバイザリー業務を行う税理士事務所も増えてきました。しかし、税理士には税務・会計にかかわるデューデリジェンスや節税対策、確定申告の代理を依頼することをおすすめします。
M&Aについて税理士事務所へ直接相談できますが、公認会計士などM&Aに慣れた他の専門家による意見も一緒に聞きたい場合は、M&A仲介会社が良いでしょう。
実績のある税理士を選ぶためにも、まずは会社経営の不安やM&Aに関する疑問をM&A仲介会社に相談しましょう。
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