2025年09月11日公開
クリーニング会社の事業承継を徹底解説!注意点や相談先・事例を紹介!
クリーニング業界では後継者問題などから事業承継に悩む経営者が増えています。この記事では、クリーニング会社での事業承継の方法にはどのような手法があるのか、事業承継の詳細と注意点、相談先、事業承継に成功した事例などについて解説します。
目次
1. クリーニング業界の概要と動向
クリーニング業界では、後継者不足などで会社の将来に不安を感じている経営者が増えているようです。クリーニング会社の事業承継を成功させるためには、どのような点を考えていけばいいのでしょうか。
この記事では、クリーニング業界の近年の動向と、事業承継問題に悩む経営者のために、事業承継の具体的な選択肢や方法などについて詳しく解説します。
クリーニング業界とは
クリーニング業とは、客から繊維製品や革製品を預かって、溶剤や洗剤を使って、原型をとどめたまま洗濯する業務を行うことです。
クリーニング業では預かった衣類などの原型を保ったまま洗うことが原則なので、着物を反物の状態にしてから水洗いする洗張りなどは含みません。
クリーニング業界では、客から預かったものだけでなく、シーツやおしぼりなどの製品を飲食業や宿泊業に貸し出して、使用後に回収して洗濯してから、再び貸し出すという業務も含まれます。
クリーニング業で洗濯する製品は、衣類、シーツ、カーテン、ラグ、フロアマット、タオル、モップ、暖簾、旗などがあります。店舗によっては、布団やぬいぐるみ、剣道の面や小手を洗ってくれるところもあるようです。
クリーニング業を行うためには、クリーニング業法に定められた、クリーニング所の届け出が必要です。
クリーニング業法では、水洗いやドライクリーニング以外にも、受け取り、選別、プレス、染み抜き、乾燥、仕上げ、引き渡しもクリーニング行為と定めており、このうちの一部の業務だけを行う場合でもクリーニング所の届け出が必要とされています。
クリーニング所にはクリーニング業法に定められたさまざまな規制があり、都道府県知事の試験に合格したクリーニング師を置く必要があります。また、クリーニング所の届け出をしている場所以外では洗濯を行うことはできません。
クリーニング業界には、一般クリーニング店、取次店、リネンサプライ業、ホールセール業などさまざまなビジネスモデルがあります。また、近年では、一般家庭の日常的な洗濯を代行する洗濯代行業なども広がりつつあります。
どのような形であっても、顧客から預かった衣類などを洗濯するビジネスは、クリーニング業法の定めに従って運営することが必要です。
クリーニング業界の市場規模と動向
厚生労働省の資料によると、クリーニング業界の市場規模は1992年の8,170億円をピークに減少が続いており、2016年には3,692億円、矢野経済研究所の分析では2018年には2,427.9億円まで減少しています。
さらに、2020年の新型コロナ禍での経済活動縮小の影響により、2020年には1,723.5億円、2021年には1,455億円まで減少しました。
2022年には経済活動の復活により1,600億円まで増加しましたが、コロナ禍以前の水準にはまだまだ程遠い現状があります。
このような苦しい状況が続く中で、クリーニング業界では深夜でも利用可能な店舗や自動化システム導入による業務効率化とコスト削減、宅配クリーニング事業など、新しい取り組みを図って売上増加を図っています。
しかし、新しいビジネスモデルの開発ができない個人経営や数店舗程度の小規模クリーニング店は売上減少が続いており、厳しい状況にある会社も多いのが現状です。
参考:厚生労働省「クリーニング業の実態と経営改善の方策」 矢野経済研究所「クリーニング関連市場に関する調査を実施(2023年)」
2. クリーニング会社の3つの事業承継方法
事業承継とは、経営者が会社の経営を後継者に引き継ぐことです。どのような人であっても、年齢を重ねれば仕事を続けることが難しくなり、後進に譲らなければいけないときがやってきます。
クリーニング会社を事業承継する方法は、親族承継、従業員承継、M&Aの3つから選ぶことができます。それぞれの方法の特徴を解説します。
親族承継
親族承継とは、経営者の親族に会社を継がせることです。経営者の子や孫、兄弟の子(甥、姪)などが後継者になります。
親族承継のメリットは、従業員や取引先から心情的な理解を得やすいことと、後継者を早めに決めることで事業承継までの準備に十分な時間をかけることができること、相続で財産や株式も後継者が引き継ぎやすいので、会社の所有と経営の一体的な承継がしやすいということです。
しかし、親族に後継者になりうる人物がいたとしても、会社の経営状態が良好でない場合には、後継者になることを断られたり、そもそも経営者に子供も甥も姪も誰もいなかったりする会社も増えています。
後継者がいるのに断られる場合には、クリーニング会社の経営状態を事業承継するのに足りる状態に改善することが必要でしょう。
親族に後継者がいない場合には、他の方法で事業承継を行う必要があります。
従業員承継
従業員承継とは、親族ではない会社の役員や従業員に事業承継させる方法です。
会社で長年働いてきて、会社のノウハウを熟知しており、取引先からの信頼も厚い従業員の中から、経営者としての素質のある人物を選んで承継させることは、会社の経営方針もそのまま引き継ぎやすいというメリットがあります。
近年は、親族承継が減少傾向にあり、従業員継承が増えています。以前は、従業員承継は資金力が課題でしたが、種類株式や持株会社、従業員持株会などの活用や、親族以外の後継者が事業承継税制の対象になったことで、資金面でのハードルは大きく下がっています。
従業員承継の課題としては、株主に親族がいる場合には理解を得ることが難しい場合がある点です。
会社の株式を複数の親族で所有している場合には、現在の経営者が早めに従業員から後継者を指名した上で、親族間の調整を図ることが大切です。
また親族株主だけでなく、役員や従業員の理解を得ることや、経営者保証についての調整も行い、事業承継時に紛争が起きないように準備しておきましょう。
M&A
M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、企業や事業を他社が買収して合併することです。株式譲渡や事業譲渡、合併等のスキームで、経営権を他社に譲渡します。
近年、後継者問題が深刻化する会社が増加したことで、M&Aでの事業承継が注目されています。親族や社内に適切な後継者がいない場合でも、M&Aなら社外で後継者を探すことができます。
また、M&Aなら会社や事業を売却することになるので、経営者は多額の売却益を手にできるというメリットもあります。
M&Aで売却された会社は新たな経営者のもとで再出発することになりますが、M&Aをきっかけに経営改善が進み、会社が成長するきっかけになることも多いようです。
M&Aを行うためには、買収側の会社にとってメリットのある会社であることが前提であり、企業価値の向上に務めることが重要です。また、M&Aでは、最適な相手探しや交渉に長い時間が掛かることも多く、準備に早めに着手して時間をかけて臨むことが大切です。
3. クリーニング業界で事業承継をする際の相談先
クリーニング会社の事業承継について相談したい場合の相談先を紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社では、M&Aや事業承継について専門性の高い専門家が、事業承継についての相談や、実際の手続きのサポートを行っています。
特に、M&Aでの事業承継を検討しているときには、売却先探しなども親身になってサポートしてもらえるので、M&A仲介会社への相談がおすすめです。
金融機関
会社を経営していれば、必ず取引先の金融機関があるはずですが、取引先の金融機関でも事業承継の相談に乗ってくれることがあります。
地元密着の金融機関なら、地域に根付いた企業のネットワークを持っており、M&Aによる会社売却や事業譲渡での相手探しがスムーズにいく可能性が高いでしょう。
ただし、金融機関によっては、手数料が少ない中小企業のM&Aは扱っていない場合もあります。相談に乗ってもらえるかどうか、まずは問い合わせてみましょう。
公的機関
後継者問題による廃業危機に陥る企業が増加したことで、中小企業庁では47都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターを設置して、事業承継に悩む経営者の相談に原則無料で応じています。
事業承継全般に関する相談から、事業承継契約の策定、M&Aを行う場合の企業同士のマッチングなどを行っています。
M&Aのマッチング件数はまだ仲介会社と比較すると事例が少なく、相手探しが難しい可能性もありますが、事業承継についてのあらゆる相談に無料で乗ってもらえるので、まずはこちらに相談してみるのもいいでしょう。
事業承継・引継ぎ支援センターのホームページはこちら
税理士・会計士・弁護士など
税理士、会計士、弁護士の事務所でも近年は事業承継のサポートを行うところが増加してきました。
事業承継を行うためには、税務や会計、法律の専門的な知識が必要であることから、それぞれの専門分野を活かしたサポートを行ってもらえます。
すべての士業の事務所が事業承継のサポートを扱っているわけではありませんが、まずは会社の顧問税理士や会計士、弁護士に相談して、扱っている事務所を紹介してもらうのもおすすめです。
4. クリーニング会社の事業承継の注意点
クリーニング会社の事業承継を進めるときの注意点です。
M&Aの専門家に相談をする
事業承継について悩み始めたら、M&Aの仲介会社などのM&Aや事業承継の専門家に相談するようにしましょう。金融機関や顧問の士業の方に相談しても解決できない場合には、M&Aの仲介会社や事業承継・引継ぎ支援センターなら必ず相談に応じてもらえます。
専門家なら、会社の状況から最適な事業承継の方法の助言と、M&Aなら相手探しや法律などの専門的な知識が必要になる手続きなどを親身になってサポートしてくれます。
自分ひとりで進めようとしても、手続きや相手探しでつまずくことが多いので、必ず専門家のサポートを受けるように注意しましょう。
M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
早期からの検討
事業承継は早めに準備を始めることが大切です。
親族承継や従業員承継の場合には、経営のノウハウについて時間をかけて後継者に伝えて、従業員や取引先から次のリーダーとして時間をかけて認めてもらう必要があります。
M&Aを選択する場合でも、M&Aの専門家への相談からクロージング(経営権の引渡し)まで年単位で時間をかけたほうが成功率が上がります。
後継者問題を抱える会社が、経営者の高齢化による健康問題の悪化で慌てて会社を売却しようとしても、時間切れで廃業に追い込まれる事例は少なくありません。早めに準備を始めるように注意しましょう。
資金・税金負担を考える
親族継承を行う場合には、贈与税もしくは相続税が発生、従業員承継の場合には、後継者が会社の株式を買い取るための資金が必要、M&Aで株式譲渡を行った場合には元の経営者への所得税や住民税の課税など、事業承継には多額の税負担や資金の準備が必要です。
また、経営者の会社に対する個人保証は事業承継した後継者に引き継がれます。
事業承継には大きな金銭面での負担が発生して、場合によっては借り入れが必要になる場合もあるので、その点についての話し合いや準備も十分に行っておきましょう。
従業員・取引先への報告は事業継承後
親族承継、従業員承継、M&A、いずれの手法を選ぶ場合でも、事業承継についての従業員や取引先への報告は、事業承継の手続きが完全に終了してからにしましょう。どのような形であれ経営体制の変更は、従業員や取引先に大きな不安を与えることになります。
手続きが完了する前に事業承継についての情報漏洩が起きると、今後についての具体的な説明ができないので、不安に駆られた従業員の退職や取引先からの取引停止を招く可能性があります。
事業承継が完了してからの報告でも、退職や取引停止の申し出が起こる可能性はあります。しかし、完了後であれば、今後の経営方針について具体的に説明できるので、経営側も事業承継の必要性や今後の待遇などについて理解を求めることが可能です。
5. クリーニング会社の事業承継事例3選
クリーニング会社で事業承継に成功した事例を3つ紹介します。
きょくとうが二葉から一部クリーニング取次所を事業承継した事例
令和3(2021)年11月1日に、株式会社きょくとうが、株式会社二葉から首都圏に展開するクリーニング取次所を譲り受けることを発表しました。
きょくとうは、福岡県に本社のあるクリーニング会社で、全国に「ペリカン倶楽部」「青い鳥」「コインズ」などのクリーニング店やコインランドリーを600店舗以上、工場を30工場、プラントを21箇所展開しています。
二葉は東京都杉並区に本社のある、都内に17店舗ほどを添加しているクリーニング会社です。
この事業承継では杉並区、中野区、武蔵野市にあるクリーニング取次店7店舗がきょくとうへ譲渡されます。
きょくとうとしてはこの事業の譲り受けの目的は、関東地区による効率化と営業基盤の強化だとのことです。
参考:事業の一部譲り受けに関するお知らせ
きょくとうが清洗舎のクリーニング取次所事業を事業承継した事例
令和元(2019)年10月1日に、株式会社きょくとうが、有限会社清洗舎から首都圏に展開するクリーニング取次所を譲り受けることを発表しました。
清洗舎は東京都杉並区にあるクリーニング会社です。この事業承継では、東京都心近くの3区にある4店舗が清洗舎からきょくとうへ譲渡されます。
きょくとうとしては、この事業承継は関東地区における営業基盤を固めることが目的であるとのことです。
参考:事業の一部譲り受けに関するお知らせ
きょくとうが新幸のクリーニング取次所を事業承継した事例
令和元(2019)年5月16日に、株式会社きょくとうが、株式会社新幸から首都圏に展開するクリーニング取次所を譲り受けることを発表しました。
新幸は東京都新宿区にあるクリーニング会社です。この事業承継では、東京都内の8区と埼玉県新座市にある20店舗が新幸からきょくとうへ譲渡されます。
きょくとうとしては、この事業承継は関東地区における営業基盤を固めることが目的であるとのことです。
参考:事業の一部譲り受けに関するお知らせ
6. クリーニング会社の事業承継まとめ
クリーニング業界では売上の大幅な減少から、危機的な状況にある会社が増加しています。また、後継者問題などで会社の将来に不安を感じている経営者も多いことでしょう。
しかし、もしも廃業してしまったら、従業員の解雇などデメリットも大きくなります。会社の将来が不安なら、まずはM&Aの仲介会社など事業承継の専門家に相談することで、次に打つべき手が見えてくる可能性が高まるでしょう。
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