債務超過とは?赤字との違いや判断基準・M&Aの際のメリットなども紹介!

会計提携第二部 部長
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

債務超過とは、保有している資産の全ての総額よりも負債が多い状態です。つまり、資産を全て使用しても、支払い返済義務のある借金が残ります。本記事では、債務超過になった際の判断基準やM&Aのメリットについて解説していきます!
 

目次

  1. 債務超過とは?
  2. 債務超過になる主な原因
  3. 債務超過のデメリット
  4. 債務超過の解消方法
  5. M&Aにおけるメリット
  6. 債務超過を予防して健全な経営体制を!!
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1. 債務超過とは?

債務超過とは、持っている資産の総額が、支払う義務がある借金の方が多くなった状態です。
そのため、所持している資産を全て手放したとしても、返済義務のある借金が残ります。
ここで、債務超過になったということは、会社が倒産するのではないかという疑問が生まれます。
会社が倒産する条件は、債務の支払いができなくなったときです。
そのため、債務超過になっても、取り急ぎの支払いに対応できる場合は倒産とはなりません。
債務超過になったからといって、すぐに倒産するわけではありませんが、債務超過が長く続けば倒産の可能性が高くなるのも事実です。

債務超過と赤字の違いは?

債務超過と間違われやすい言葉に「赤字」がありますが、意味合いは異なります。
そこで、債務超過と赤字の違いについて見ていきましょう。
債務超過とは、資産より負債が多い状態です。
赤字とは、事業年度次年度の一定期間において、収益よりも費用が多くなっている状態です。
つまり、資産ではなく、一定期間の収益を一定期間の費用が上回っている状況になります。
ただし、赤字が続くと債務超過となり、倒産に近づく可能性があるので注意が必要です。
債務超過赤字の違いを認識できていないと、会社経営において大きなトラブルに発展する可能性があるので、この2つの違いを理解しておきましょう。

債務超過した場合の財務状況は?

債務超過になったとき、財務状況が悪いとは限りません。
財務活動は、資金調達や資金運用を行ったりするため、次年度の資金調達ができている可能性があります。
一方、資金調達や資産運用ができない可能性も考えられます。
そのため、債務超過だからといって、財務状況が悪いわけではありませんが、資金調達や資産運用ができなかったときのリスクは抱えています。

債務超過の判断基準

債務超過の判断基準は、負債が資産を超える状態になることです。
債務超過の判断基準で活用できるのが「貸借対照表」です。
貸借対照表は、企業のある一定の時点で財務状況を知るための財務諸表を指します。
貸借対照表では、「資産」「負債」「純資産」の3つの要素から成り立ちます。
資産は会社が保有している財産の状況で、負債と純資産は会社の調達状況を表しているのです。
負債が大きくなり、保有して資産を引いた金額が債務超過となるので、負債が大きくなってきた際は、倒産をする可能性があるので、財務状況などの確認は常に必要です。

2. 債務超過になる主な原因

ここからは、なぜ債務超過になってしまうのかについて解説していきます。
債務超過になる主な原因は以下の通りです。

・貸借対照表の資本がマイナスになり赤字が恒常化
・投資によって負債が増えた
・会社設立したばかりで実績がない
・特別損失の計上


それでは、詳しく見ていきましょう。

貸借対照表の資本がマイナスになり赤字が恒常化

債務超過の原因1つ目は、貸借対照表の資本がマイナスになり赤字が恒常化することです。
赤字が続くということは、企業の純資産がどんどん無くなるということです。
やがて資本を超える赤字になることで、債務超過となります。
しかし、事業を始めたばかりで投資による債務超過となる場合もあります。
その場合、黒字化の計画でできていれば問題ありません。
事業が軌道に乗るまでは赤字計上となるので、事業が軌道に乗るまでの計画を入念に考えなければ、債務超過が長引き融資を受けれなくなる可能性もあるので注意が必要です。

投資によって負債が増えた

債務超過の原因2つ目は、投資によって負債が増えることです。
新事業を立ち上げるときや、起業をするときに借入をして投資したものの、思うような成果が上がらず、負債だけが残ってしまうケースも考えられます。
投資は起業や事業を拡大するうえでの選択肢の一つですが、投資にはリスクが付き物なので注意しましょう。

会社設立したばかりで実績がない

債務超過の原因3つ目は、会社設立をしたばかりで実績がないことです。
会社を設立した当初は、軌道に乗るまでに時間がかかります。
実績がなければ資産を増やすことはできません。
実績がない状態で会社を経営を続けると、負債が次々に溜まり債務超過になる可能性があります。
会社設立をする際は、債務超過になったとしてもリスクヘッジができるような事業計画書を立てるなどの対策が必要です。

特別損失の計上

債務超過の原因4つ目は、特別損失の計上です。
特別損失とは、臨時的に発生した一過性の損失のことです。
会社を経営していると、計画などによるさまざま損失があります。
一方、想定していることとは違う、予測不能の突発的な損失も起こりえます。
特別損失は、突発的な損失に当たり、この損失が出たことによって想定とは違う財務状況となり債務超過となる可能性も考えられるのです。

3. 債務超過のデメリット

債務超過になった際、会社としていくつかのデメリットが存在します。
デメリットは以下の通りです。

・上場廃止になる可能性がある
・倒産するリスクがある
・金融機関からの融資を受けられない
・取引先との関係が断たれる


デメリットを知っておかなければ、今後の経営にも大きく影響する可能性があるので、確認しておきましょう。

上場廃止になる可能性がある

上場企業が債務超過になると、上場廃止基準に抵触することになります。
例えば、東京証券取引所の上場廃止基準は、債務超過状態になり、1年以内に債務超過状態を解消できなければ上場廃止とされています。
上場企業に至るまでに積み重ねた努力が債務超過によって崩れてしまう可能性があるため、財務管理は徹底的に行いましょう。

倒産するリスクがある

債務超過になるということは、現時点の資産では負債を返済できないことになります。
そのため、債務超過が続けば当然負債を払うことができないため倒産に陥ります。
債務超過になったということは、倒産のリスクがあるという信号でもあるのです。
会社を存続して経営していくのであれば、債務超過になることのリスクを考えた上で事業計画などを立てる必要があります。

金融機関からの融資を受けられない

債務超過になると、銀行などの金融機関から融資を受けることが難しいです。
銀行が融資をするのは、その企業に信用性があるのか決めた上で判断します。
債務超過は負債が返済できない状態なので、銀行側からすると返済できる可能性が低いと判断されてしまいます。
その場合、新しい事業に投資をするための資金調達ができなくなるので、融資を受けるためにも債務超過にならないように注意が必要です。

取引先との関係が断たれる

債務超過は取引先からの信用を失う可能性があります。
負債が積み重なれば信用が落ちてしまうので、新規の取引が見送られたり、取引中の企業からも破談となってしまう可能性も考えられるのです。

4. 債務超過の解消方法

債務超過が会社にとってどれほどの影響を及ぼすか理解したけど、どのように解消したらいいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで、債務超過の解消方法について解説していきます。
解消方法は以下の5つが挙げられます。

・利益を上げて資産を増やす
・新株発行・経営者の出資などで純資産を増やす
・DESを活用する
・債務免除を行う
・会社再生法を適用し経営を立て直す


それでは、それぞれについて見ていきましょう。

利益を上げて資産を増やす

単純かつ効果的な方法は、会社の利益を増やし資産を増やすことです。
利益を上げるといっても、すぐには上がらないからこそ債務超過になっているケースが多いので、すぐに利益が上がることを期待するのは難しいでしょう。
利益を増やす方法は、実績を増やす以外にも余分なコストカットをすることで増える可能性もあります。
例えば、「売上原価」や「人件費」など、取引先を増やすのではなく、原価を抑える、人件費を見直すといった違う場面でのコストカットをすることで、支出を減らし資産を担保することができます。

新株発行・経営者の出資などで純資産を増やす

新しく経営者の方などに投資をしてもらうことで純資産を増やすことができます。
債務超過に陥ってる状態なので、投資をしてもらうには、これから黒字化できそうな事業計画や施策が必要となるでしょう。
投資を受けることは簡単ではないので、黒字化が見込まれるまで事業計画を立てることが重要です。

DESを活用する

DESとは、デット・エクイティ・スワップの略語で、金融機関などの債務者にあたる債務超過した企業の株式を取得し、債券を株式に振り替えることです。
DESをうまく活用することで、双方にとっても以下のようなメリットがあります。

債務者
・純資産を得られる
・信用度が向上する


債権者
・経営に参画しやすい
・会社が持ち直ししたときに配当収益や売却収益が得られる可能性がある


金融機関側からすると、将来的に株式の価値が上がるとは保証ができないため、慎重な判断になります。

債務免除を行う

債務免除とは、債権者が債券を放棄することです。
つまり、買掛金や借入金などの支払や返済を無くしてもうらことです。
この方法は、債権者の負担が非常に大きく、日頃からの関係性が高いことや、この先の大きなメリットがない限り実行は難しいと考えられます。

会社再生法を適用し経営を立て直す

会社再生法とは、事業を廃止せずに経営を立て直すための法律です。
会社再生法には、「民事再生法」と「会社更生法」の2種類が存在します。

・民事再生法:原則として、経営陣はそのままで再生計画案に基づいて再建を進める
・会社更生法:原則として、経営陣を全員退陣させ、裁判所が選任した管財人によって再建を進める


上記の方法は社会的信用を失うことになりますが、事業を継続させたいと思うときは検討してみましょう。

5. M&Aにおけるメリット

債務超過の企業でもM&Aで企業を売却することができます。
そこで、M&Aをすることでのメリットを紹介します。
メリットは以下の通りです。

・合併する場合は法人税を減額できる
・シナジー効果が見込める
・資金を債務の返済資金に充当できる


それでは、それぞれについて見ていきましょう。

合併する場合は法人税を減額できる

M&Aは株式を全て売却する場合と合併する場合があります。
M&Aの合併により組織再編をした際、税制適格と認められた場合、合併により消滅する会社の資産、負債を時価評価する必要がありません。
また、消滅会社における青色欠損金を存続会社に引き継ぐことができるため、税金面で大きなメリットを受けることができます。
具体的には以下の方法が挙げられます。

シナジー効果が見込める

シナジー効果とは、足し算をした以上に効果が現れる相乗効果です。
M&Aにおけるシナジー効果とは、合併する複数の企業が別々の事業を行うよりも、ひとつの事業にまとめることで新たな付加価値が生まれたり、重複していた事業コストの削減ができるなどの効果を発揮できます。

資金を債務の返済資金に充当できる

M&Aによって得ることができた純資産を債務の返済に当てることができます。
M&Aで得られる利益は一般的に、利益の3〜5倍とされています。
売却できた利益から仲介手数料や税金が引かれ、残った利益が純資産として受け取ることができるので、そこから負債の返済や新事業の投資に当てることができるのです。

6. 債務超過を予防して健全な経営体制を!!

会社経営を行う中で資金繰りが厳しく、債務超過になってしまうことがあります。
もちろん、資金調達が確実にできる見込みがあり、事業に投資する分には問題ありません。
しかし、会社経営をしていると思いもよらない所で出費をするケースがあります。
その際、資産が残っていないと赤字となり、どんどん積み重なっていくと債務超過に陥ります。
債務超過は会社経営の赤信号ともなる存在ではありますが、債務超過にならないことが理想的な経営体制です。
もし赤字が続く場合は、いま行っている経営体制や事業を見直し、債務超過の予防を行いましょう。

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