2023年03月02日公開
M&Aにおけるリナイナーフィーとは?意味や費用の相場・注意点まで解説!
リテイナーフィーとは、M&Aの依頼主がM&A仲介業者に支払う月額報酬です。M&Aはさまざまな場面で費用がかかるため、理解をしていないと多額の損失になりかねません。本記事では、リテイナーフィーの意味や費用の相場、注意点について解説します。
目次
1. リテイナーフィーとは
リテイナーフィーとは、M&Aの依頼主がM&A仲介業者に支払う月額報酬です。
主に、成功報酬や着手金のみでは事業継続が成り立たない仲介業者が設定する手数料です。
M&Aにおけるリテイナーフィーは、業界用語としても使用される場面が多いので、M&Aをこれから検討しようと考えている方は、ぜひ覚えておきましょう。
リテイナーフィーの意味は?
リテイナーフィーは、固定した月額報酬が支払われる費用のため、M&A仲介業者にとっては安定した利益が得られます。
リテイナーフィーを払う側は、毎月支払いを行えば継続的にM&A候補のリストをもらえたり、交渉が終わるまでサポートを受けられます。
M&Aのリテイナーフィーの費用相場
リテイナーフィーの費用相場は、数十万円~数百万円のケースが多いです。
そもそも、M&A案件の紹介から交渉にかかる実務的な経費と仲介業者に支払う手数料から成り立っているのが、リテイナーフィーです。
そのため、相場の費用自体も高くなりやすい傾向にあります。
また、M&Aをするときの企業規模によっても月額の費用は異なり、M&Aの交渉期間が長く成れば支払額も高額になるため、スムーズなM&Aが重要です。
リテイナーフィーの設定がある会社とない会社の違い
リテイナーフィーは、M&A仲介業者すべてが設定しているわけではありません。
近年のM&A実施件数が増えたことで、M&A業務委託サービスを提供する企業が増えました。
M&Aは、価格競争が激しいため、リテイナーフィーを無料として、中間報酬と成功報酬だけを受け取るM&A仲介業者が増えています。
そのため、すべてのM&A仲介業者がリテイナーフィーを設けているわけではありませんが、中間報酬と成功報酬を過度な料金瀬一定をしている可能性も考えられるので、注意しましょう。
リテイナーフィーの支払いのタイミング
リテイナーフィーを支払うタイミングは以下のとおりです。
- 着手金
- 月額報酬
- 着手金+月額報酬
一般的には月額で発生する場合が多いですが、着手金でのリテイナーフィーもあるので、企業ごとに設定してある条件を必ず確認しましょう。
2. リテイナーフィーのメリット
ここからは、リテイナーフィーのメリットについて解説します。
リテイナーフィーのメリットは以下のとおりです。
- 成功報酬がそれほど高額にならない
- M&Aの成功につながる
- 納得がいくまで候補の選定・交渉を実施可能
メリットを理解していないと、得するはずが損をしている可能性もあるので、しっかり把握しておきましょう。
成功報酬がそれほど高額にならない
リテイナーフィーを設定しているM&A仲介業者は、月額で報酬を得ているので成功報酬がそれほど高額にならないのが特徴です。
M&A仲介業者によっては、リテイナーフィーと費用相場で請求をする場合もあります。
一方、リテイナーフィーを設定している場合、費用相場より低めで受けてくれる仲介業者もあります。
そのため、リテイナーフィーを設定している企業はトータルで考えると安く抑えられるため、メリットを言えるでしょう。
M&Aの成功につながる
リテイナーフィーは、月額報酬を支払っているため、M&Aが成功するまでしっかりサポートしてくれます。
リテイナーフィーを設定していないと、M&Aが成功するまで無償サポートを実施することになるので、そこまで本気で取り組んでもらえないケースも多いです。
そのため、リテイナーフィーを設定していれば、報酬を提供している分のサポートを丁寧に行ってくれます。
また、最適な案件を紹介してくれるので、結果としてM&Aの成功に繋げられることはメリットと言えるでしょう。
納得がいくまで候補の選定・交渉を実施可能
リテイナーフィーを支払っていると、依頼主側から提供を切らなければ納得いくまで選定・交渉が実施できます。
リテイナーフィーを設定していると、良い案件のリストを常に提供してくれます。
リテイナーフィーがない企業だと、中間報酬や成果報酬の金額に応じて、優先順位が変動するため、納得がいくM&Aができない可能性も考えられるでしょう。
そのため、リテイナーフィーを支払えば、安心してサポートしてくれるので、メリットと言えるでしょう。
3. リテイナーフィーのデメリット
続いては、リテイナーフィーのデメリットについて解説します。
メリットに合わせてデメリットも理解しておけば、M&Aでリテイナーフィーを提案されたときに、冷静に判断できます。
そんな、リテイナーフィーのデメリットは以下のとおりです。
- 費用が増加する可能性がある
- 交渉期間が長引く可能性がある
- M&A実行への強制力が高まってしまう
- 毎月の費用がかさむ
費用が増額する可能性がある
リテイナーフィーのデメリットは、固定額を毎月支払うと費用が増加する可能性があります。
M&Aの取引が短期間で終了すれば、リテイナーフィーの支払額も少なくトータルして低額で終えれます。
しかし、M&A先の企業が見つからず、長引いてしまうと費用を支払い続けなければいけないため、増額する恐れがあるでしょう。
もちろんリテイナーフィーを支払えば、納得するまでM&A先の企業を選定できますが、あまりにも長引くと利益があまり得られない可能性もあるので注意しましょう。
交渉期間が長引く可能性がある
リテイナーフィーを設定して行うと、納得がいくまで実施できる一方、交渉期間が長引く可能性が考えられます。
また、M&A仲介業者との契約中で翌月になりそうな場合、仲介業者は次の月分も報酬を得たいため、取引を長引かせる場合もあります。
そのため、リテイナーフィー支払うのは納得するまでM&Aが行えるのですが、交渉期間が長引く可能性もあるので、事前に期間は定めておきましょう。
M&A実行への強制力が高まってしまう
リテイナーフィーがあると、一定の月額報酬を支払っているからこそ、絶対にM&Aをしなくてはいけないと強制力が高くなる傾向があります。
強制力が高くなると、判断も鈍りM&Aに失敗する可能性も考えられます。
リテイナーフィーは場合によっては100万円前後の費用が発生するため、依頼主側はM&Aを実施しないと損をしたと考えてしまいやすいです。
そのため、M&Aを実施する際は、複数の仲介業者を利用すると、損にならない方法が見つかるでしょう。
毎月の費用がかさむ
冒頭でも解説したとおり、リテイナーフィーは毎月固定した金額を支払わなければいけません。
そのため、M&Aの交渉期間が長引けば長引くほど費用は増えます。
仮に、M&Aが初めてであまり分かっていないのであれば、リテイナーフィーがかからない仲介業者を選択し、なるべく費用を抑えましょう。
M&Aの知識が増えてきてから、リテイナーフィーを設定している仲介業者を活用するのも手段の1つです。
M&Aに対する知識や経験によって、取るべき手段を決定しましょう。
4. リテイナーフィー支払い前の注意点
ここでは、リテイナーフィーにおける支払い前の注意点について解説します。
注意点は以下のとおりです。
- コンコルド効果に注意する
- リテイナーフィーの支払い期間が長くなる可能性がある
コンコルド効果に注意する
コンコルド効果とは、通所サンクコスト効果とも呼ばれ、いままで支払った代金がもったいないと感じ、中止すべき決断ができずに追加で支払う効果です。
リテイナーフィーとなると、月額固定費用を支払いしているため、よりコンコルド効果が感じやすいでしょう。
前述でも説明したように、リテイナーフィーは安心してM&Aを進められる一方、実施しなければいけないと、強制力が高まります。
コンコルド効果が強くなると冷静な判断ができなくなり、本来得するはずだった利益も低額になりかねません。
最大限の利益をえるためにも、コンコルド効果には注意してM&Aを進めましょう。
リテイナーフィーの支払い期間が長くなる可能性がある
リテイナーフィーは、M&Aの最終契約が終了するまで費用を支払うケースが一般的です。
そのため、M&A先の企業とのマッチングから選択・契約締結までとすぐに終わるわけではありません。
M&A先の企業が決まらず長引けば半年以上かかる場合もあります。
月額100万円の場合、半年かかると600万円の費用がかかります。
たしかに、リテイナーフィーを支払えば安心してM&Aも進められて、成功する可能性が高まりますが、支払いが多いとM&A後に残る金額も少額になる可能性が考えられます。
出費を増やさないためにも、支払期間に注意してM&Aを進めましょう。
5. リテイナーフィーで後悔しないための対策
ここからは、リテイナーフィーで後悔しないための対策を解説します。
主に以下の4つが挙げられます。
- 事前に料金体系をよく確認して概算金額を算出する
- 適切な期間でM&Aが終了するよう事前準備を行う
- 実績が豊富な仲介業者を選ぶ
- 求める条件に合う仲介業者かをよく見極める
事前に料金体系をよく確認して概算金額を算出する
M&Aでは、リテイナーフィーだけの金額を想定してしまうと不十分です。
M&A仲介業者ごとに費用は異なるため、取引の内容を確認しトータルでかかる金額を計算しましょう。
たとえば、リテイナーフィーに加えて着手金や中間報酬、相談料など最低報酬額は設定されているか確認します。
一つひとつにかかる費用は必ず漏れなく確認が必要です。
また、金額を把握するだけでなく、調査で得た情報をもとに計算も行いましょう。
M&Aでは主に、「レーマン方式」が使用されます。
レーマン方式とは、M&A仲介会社や専門アドバイザリー会社において一般的に使用される成功報酬の体系であり、取引金額に応じて報酬料金率が減少する仕組みです。
基準額は、企業価値・移動総資産・譲渡価格・オーナーの受取額のどれかを用いて行います。
報酬内容の確認は必要ですが、同時に計算も必ず行いましょう。
適切な期間でM&Aが終了するよう事前準備を行う
リテイナーフィーを設定する場合は、長引かせないためにも事前の準備を怠らず適切な期間で終了させましょう。
M&Aが初めての場合、仲介業者にすべて頼ろうと思いリテイナーフィーを支払うと、報酬を得たい企業は取引をわざと長引かせる可能性があります。
そのため、M&Aの知識がないからと契約を締結すると、大きな損害になるケースが多いです。
実際に、本来2ヶ月以内に終わるはずであったM&Aが6ヶ月に伸びるケースも少なくありません。
その場合、月額100万円だとすると少なくとも400万円前後のリテイナーフィーを支払うことになるので、利益から400万円損をしている計算になります。
M&Aは専門的用語が多くめんどくさいとなりがちですが、高額な取引になる可能性が高いので、知識がなくても計画は必ず練るようにしましょう。
実績が豊富な仲介業者を選ぶ
M&A仲介業者を選択する際は、実績が豊富な企業を選びましょう。
実績の数によってM&Aにかかる総額は大きく異なります。
たとえば、M&A仲介業者の大手企業は、実績もありリテイナーフィーや中間報酬、成功報酬などの金額が決められているため、安心して取引ができるケースが多いです。
一方、実績が少ないM&A仲介業者は、リテイナーフィーや中間報酬、成功報酬が費用相場よりも高い傾向にあります。
また、何かしらの口実をつけて違う手口で報酬を得ようとたくらむ企業もいるので、注意が必要です。
M&Aを初めて行うのであれば、最初は実績がある仲介業者に依頼をするのがおすすめです。
求める条件に合う仲介業者かをよく見極める
最後の注意点は、依頼主が求める条件に合うか見極める必要があります。
たとえば、M&Aの期間や最低報酬額の金額、売却先の企業など、さまざまな条件があります。
もちろん、すべての条件に一致する仲介業者があれば特に問題はありませんが、求める内容が合わない場合を考え、許容できる範囲とそうではないケースを考えておきましょう。
基本的には、いくつかのM&A仲介業者を利用し、他社と比較していると交渉すれば値下げをしてくれるケースがあります。
そのため、1つの仲介業者に絞ってしまうと合わない条件で提示され、当たり前だと思い込み取引を開始してしまいます。
その場合、M&Aが成功しても損失が高額になる可能性も考えられるため、複数企業の仲介業者を活用し、求める条件に合う企業を選びましょう。
6. リテイナーフィーは一度払うと戻らないことを認識しよう!
リテイナーフィーは、M&A仲介業者において設定している企業とそうではない場合があります。
リテイナーフィーの有無によって、他の金額も異なるため確認は必ず行います。
また、リテイナーフィーだけでなく、他にかかる費用も調査し計算しましょう。
リテイナーフィーは、一度支払うと返金不可になるため、M&Aを任せても大丈夫な企業か判断してから取引を行います。
費用相場からすると最低でも月100万円はかかるため、決して安い金額ではありません。
少しでも出費を抑えるために、M&A仲介業者の調査を行い実施しましょう。
M&A・事業承継のご相談ならM&A総合研究所
M&A・事業承継のご相談なら経験豊富なM&AアドバイザーのいるM&A総合研究所にご相談ください。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴をご紹介します。
M&A総合研究所が全国で選ばれる4つの特徴
- 譲渡企業様完全成功報酬!
- 最短49日、平均6.6ヶ月のスピード成約(2022年9月期実績)
- 上場の信頼感と豊富な実績
- 譲受企業専門部署による強いマッチング力
M&A総合研究所は、成約するまで無料の「譲渡企業様完全成功報酬制」のM&A仲介会社です。
M&Aに関する知識・経験が豊富なM&Aアドバイザーによって、相談から成約に至るまで丁寧なサポートを提供しています。
また、独自のAIマッチングシステムおよび企業データベースを保有しており、オンライン上でのマッチングを活用しながら、圧倒的スピード感のあるM&Aを実現しています。
相談も無料となりますので、まずはお気軽にご相談ください。