不動産管理は事業売却(事業譲渡)のチャンス!売りやすい事業の特徴は?

提携本部 ⾦融提携部 部⻑
向井 崇

銀行系M&A仲介・アドバイザリー会社にて、上場企業から中小企業まで業種問わず20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、不動産業、建設・設備工事業、運送業を始め、幅広い業種のM&A・事業承継に対応。

不動産管理は事業売却(事業譲渡)が行いやすいです。「不動産管理事業を事業売却するべきか?」とお考えの方へ事業売却を成功させる方法や売りやすい事業にするコツを解説します。また、「今すぐ売るべきかどうか」という判断方法も紹介していきます。

目次

  1. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)するべき3ケース
  2. 不動産管理会社の事業売却(事業譲渡)は十分に可能!
  3. 事業売却(事業譲渡)しやすい不動産管理事業の特徴
  4. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)の成功事例
  5. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)価格の相場
  6. 不動産管理事業が事業売却(事業譲渡)を行う手順
  7. 不動産管理事業を事業売却(事業譲渡)する際の注意点
  8. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)についてご相談ください!
  9. まとめ
  10. 不動産管理業界の成約事例一覧
  11. 不動産管理業界のM&A案件一覧
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1. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)するべき3ケース

不動産管理事業を事業売却(事業譲渡)するべきなのは、以下の3ケースに当てはまるときです。
 

  1. 不動産管理事業は不調だが、他の事業は好調である
  2. 事業が不調だが管理組合との関係は良好である
  3. 会社を立て直して従業員の雇用を続けていきたい 

これらのケースに当てはまる場合は、事業売却が成功しやすいので、前向きに不動産管理事業の売却に向けて行動していくのが良いでしょう。

それぞれのケースについて順番に見ていきます。

①不動産管理事業は不調だが、他の事業は好調である

まずは他の事業はうまくいっているが、不動産管理事業はうまくいっていないというケースが考えられます。

不動産管理事業を行っている会社は、他にも不動産仲介などの関連事業を行っていることが多いです。しかし、手広く事業を行うあまり、不動産管理事業の経営が疎かになって収益性が悪くなっている例はよく見られます。

そのような場合は、思い切って不動産管理事業を手放してしまい、他の事業に経営資源を今まで以上にあてるのが良いです。そうすることで、会社全体の収益性が改善される可能性は高いとされています。

ただし、単に不動産管理事業の収益性だけを見て売るべきかどうかを判断するのは危険です。他の関連事業と密接に事業内容がリンクしている場合は、残された事業に影響がないかを考えてからにしましょう。

不動産管理事業だけがコアとなる事業内容から浮いているのであれば、事業売却の検討をおすすめします。

②事業が不調だが管理組合との関係は良好である

不動産管理事業の売上は良くないものの、扱っている物件の管理組合との関係は良好である場合も事業売却の検討をおすすめします。

不動産管理事業は、管理組合と良好な関係があれば高く売れる可能性があります。なぜなら、管理組合と不仲な場合、いつ他社に乗り換えられるかわからなく収益性が不安定なためです。

逆に、管理組合に好かれている場合は積極的に業務に協力してもらえるので、不動産管理事業が非常にやりやすいです。そのようなケースでは買い手がつきやすいといえます。作り上げてきた信頼関係を評価してくれる買い手に出会えれば、経営資源を投入してもらうことで売上があがることも珍しくありません。

事業をやめてしまうと管理組合は新たな不動産管理会社を探す手間が発生します。事業売却をして買い手に事業を引き継いでもらうことで、今まで関わってきた管理組合や住民にも喜ばれるでしょう。

③会社を立て直して従業員の雇用を続けていきたい

不動産管理事業の不調が会社全体に影響していて従業員の雇用を続けられるかが不安なら、会社を立て直すために事業売却をするのも有効です。

売上が出ていない事業を手放すことで、会社の他の事業に注力できます。そうすることで、会社全体の収益性が上がり、経営も安定することが多いです。そうすれば、安心して従業員の雇用を続けていくことができます。

また、不動産管理事業を従業員と一緒に買い手に引き継いだ場合も、買い手の経営資源を活用して安心して働き続けてもらえる可能性が高いです。不安定な状況で従業員全員を雇い続けるよりも事業売却をしてしまった方が、安心して働ける環境を提供できるでしょう。

以上のような状況の場合は、不動産管理事業を売却するのがおすすめです。

しかし、「自分の事業を買ってくれる会社なんて本当にあるのだろうか?」と、心配に思う方もいるでしょう。しかし、不動産管理事業の売却は十分に可能です。

【関連】不動産管理会社の株式譲渡(会社譲渡)は経営難になる前に動き出そう

2. 不動産管理会社の事業売却(事業譲渡)は十分に可能!

不動産管理の事業売却(事業譲渡)は今の段階であれば行いやすい時期だと考えられます。

不動産管理事業を手に入れることで、買い手側が得られるメリットは少なくありません。例えば、以下のようなメリットがあります。
 

  1. 管理戸数を一気に増やすことができる
  2. 資格保有者を手に入れることができる
  3. 事業規模を大きくしてネームブランドを得られる

このようにさまざまなメリットがあるので、不動産管理事業を買いたいと考えている経営者は非常に多いです。効率良く収益性を高めるために、事業を譲り受けるのは人気のある手法となっています。

現在は特に、業界全体で管理戸数が増やせずに悩んでいる経営者が多いです。したがって、事業の買い手が見つかる可能性は高いといえます。100戸程度しか管理していない小規模な事業だとしても、買いたいと思われるケースは珍しくありません。

事業売却を成功させるためには、タイミングを逃さないことが重要です。もし不動産管理事業を売却したいと検討しているなら、売りやすい今のうちに前向きに考えていくのが良いでしょう。

しかし、「本当に自社は売れるのだろうか」と悩む方もいます。実は事業売却しやすい不動産管理事業には特徴があります。特徴に当てはまるように事業を磨き上げれば高額売却も狙えるので、どのような事業にするべきなのかを見ていきましょう。

3. 事業売却(事業譲渡)しやすい不動産管理事業の特徴

事業売却(事業譲渡)しやすい不動産管理事業の特徴には、以下のようなものがあります。
 

  1. 管理戸数が多い
  2. 資格保有者が多数在籍している
  3. 管理物件のエリアが人気である

事業にこのような特徴があれば、買い手が見つかりやすいです。現在当てはまっていなくても、1つでも当てはまるように事業を磨き上げれば問題ありません。

特に、高額で事業売却したいなら、できるだけ特徴に当てはまるように会社を磨き上げていきましょう

それぞれの特徴について、詳しく確認していきます。

①管理戸数が多い

管理戸数が多い不動産管理事業は、買い手から非常に人気があります。なぜなら管理戸数が今よりも増えれば、収益がすぐに拡大するからです。

現在、新築マンションの増加も頭打ちになってきていると見られています。そこで事業売却している会社を買って管理戸数を増やすのは効率的な経営戦略です。したがって、買い手に引き継げる管理戸数が多ければ多いほど、売却しやすいといえます。

不動産管理事業の中でも一部だけを売却したい場合は、どれくらいの戸数を売却するかが重要です。自社への影響と買い手の見つかりやすさのバランスを考えながら、売却範囲を決定しましょう。

しかし、管理戸数を効率的に増やすことを目的にしている買い手がほとんどですから、管理戸数が100戸に満たないときでも買い手がつく可能性はあります。

②資格保有者が多数在籍している

資格保有者が多数在籍している不動産管理事業も、買い手からは人気が出やすいです。

不動産管理事業に関わる資格とは、宅地建物取引士やマンション管理士、賃貸不動産経営管理士、管理業務主任者などが挙げられます。資格保有者の数が多ければ、オーナーや利用者からも信頼されやすいです。

自社が採用した人材に資格をとってもらうまでには、時間がかかります。そこですでに資格保有者がいる不動産管理事業を買い取って、効率良く人材を集めようとする経営者は少なくありません。

自社に不動産管理事業に関わる資格保有者がいるなら、大きなアピールポイントになるでしょう。現在資格保有者がいなくても取得意欲がある従業員がいるならサポートしてください。

③管理物件のエリアが人気である

管理物件のエリアが人気な不動産管理事業も買い手がつきやすいです。

買い手が不動産管理事業を買う目的の1つに、新規エリアへの進出があります。今までに進出したことがないエリアに参入できれば、新たな需要を手に入れることができるためです。つまり、事業エリアを拡大すれば収益性の向上につながります。

しかし、需要の多いエリアは、すでに他の不動産管理会社がすべて管理していることも珍しくありません。自社の事業が管理している物件が人気エリアにあるなら、高額になっても手に入れたいと考える会社も出てくるでしょう。

「人気エリアの物件だけは一応残しておきたい」と考えるかもしれませんが、条件が良ければ売却を視野に入れるのも良いでしょう。

以上のように、不動産管理事業が買い手にアピールできるポイントはさまざまです。1つでも当てはまれば、短期間で良い買い手が見つかることもよくあります。

あまり当てはまっていないとしても、不動産管理事業に興味を持つ買い手が出るように会社を磨き上げていけば問題ありません。「まだ不動産管理事業を売却するイメージがわかない」という方のために、実際にあった事例を見ていきましょう。

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4. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)の成功事例

不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)の成功事例には、以下のようなものがあります。
 

  1. 三井不動産とひまわりの事例
  2. 晴耕雨読と日本ハウズィングの事例
  3. 穴吹ハウジングサービスとイオンディライトの事例
  4. ピーエムジャパンとビジネス・ワン賃貸管理の事例

さまざまな会社が不動産管理事業の売却を成功させています。それぞれの事例について、詳しく確認していきましょう。

①三井不動産とひまわりの事例

エンゼル不動産

エンゼル不動産

出典:https://www.angel-f.com/

まずは、2019年11月の三井不動産とひまわり(現:エンゼル不動産)の事例です。

三井不動産は、別荘地管理事業をひまわりに売却しました。三井不動産は伊豆山別荘地と伊豆熱川別荘地を分譲しましたが、50年以上の間、東伊豆エリアで新しい別荘地分譲を手掛けていませんでした。ひまわりの受け皿会社であるエンゼルフォレストリゾートドゥーエが、事業を継承します。

リゾートホテルや別荘地の分譲・管理を手掛けるひまわりは、別荘地事業を東伊豆エリアで展開している会社です。
 

売却会社 三井不動産
URL https://www.mitsuifudosan.co.jp/
特徴 不動産ソリューションなど複数の事業を展開
買収会社 ひまわり(現:エンゼル不動産)
URL https://www.angel-f.com/
特徴 リゾート系不動産会社

この事例では、三井不動産が静岡県にある伊豆山別荘地と伊豆熱川別荘地に関する別荘地管理事業のみを売却しています。

このように一部だけを売却したいときに、事業売却が有効です。

②晴耕雨読と日本ハウズイングの事例

日本ハウズイング

日本ハウズイング

出典:https://www.housing.co.jp/

次は、日本ハウズイングと晴耕雨読の2018年9月の事例です。

不動産管理業を行う晴耕雨読は、日本ハウズイングに不動産管理事業を売却しました。この不動産管理事業の直近の売上高は7,100万円で、事業売却価格は5,900万円です。

晴耕雨読は経営戦略として阪神エリアに経営資源を集めて効率化をはかるために、日本ハウズイングに管理事業を引き継ぎました。日本ハウズイングも不動産管理事業がコア事業ですから、より一層の発展を目指して事業を買っています。
 

売却会社 晴耕雨読
URL http://www.seikouukou.co.jp
特徴 地域密着型のマンション管理会社
買収会社 日本ハウズイング
URL https://www.housing.co.jp
特徴 業界トップクラスのマンション管理受託実績がある大手の会社
 

この事例のように、大手企業に事業を買ってもらえるケースは珍しくありません。経営資源が豊富な買い手を見つければ、安心して事業を引き継ぐことができるでしょう。

③穴吹ハウジングサービスとイオンディライトの事例

穴吹ハウジングサービス

穴吹ハウジングサービス

出典:https://www.anabuki-housing.co.jp/

次に紹介するのは、穴吹ハウジングサービスとイオンディライトの2016年1月の事例です。

イオンディライトはマンション管理事業を穴吹ハウジングサービスに事業売却しました。イオンディライトはさまざまな施設管理事業を行っていましたが、不動産管理事業を手放すことで残したコア事業へ注力します。

今回の事例では、イオンディライトは139組合・6,105戸の管理物件を穴吹ハウジングサービスに譲りました。
 

売却会社 イオンディライト
URL https://www.aeondelight.co.jp
特徴 総合ファシリティマネジメントサービスを行うイオングループの会社
買収会社 穴吹ハウジングサービス
URL https://www.anabuki-housing.co.jp
特徴 日本全国で地域密着型の不動産管理事業を行う業界大手の会社
  

この事例も、大手企業に事業を買ってもらえたケースです。幅広い事業を行っている場合、不動産管理事業を売ることで会社全体の収益性が良くなることは珍しくありません。

不動産管理事業を専業としている大手に引き継いでもらえば、管理組合や住民の満足度も上がりやすく安心だといえます。

④ピーエムジャパンとビジネス・ワン賃貸管理の事例

ビジネス・ワン賃貸管理

ビジネス・ワン賃貸管理

出典:http://www.businessone-hd.com/chintai/

最後に紹介するのが、ピーエムジャパンとビジネス・ワン賃貸管理の2014年3月の事例です。

ピーエムジャパンは、賃貸マンションの管理事業を行うビジネス・ワン賃貸管理に不動産管理事業の一部を事業売却しました。これによって、ビジネス・ワン賃貸管理は管理戸数を増やして事業規模が拡大します。

今回ピーエムジャパンが事業売却したのは、1,743戸です。
 

売却会社 ピーエムジャパン
特徴 福岡県で地域密着型の不動産管理事業を営む会社
買収会社 ビジネス・ワン賃貸管理
URL http://www.businessone-hd.com/chintai/
特徴 幅広い不動産関連事業を行う福岡県が本社の会社
  

この事例では、ピーエムジャパン不動産管理事業の一部のみを売却しています。

「不動産管理事業自体は続けたいから、一部だけを売りたい」というときも事業売却は役に立つ手法です。買い手が納得すれば、自社が売りたい不動産の分だけを手放すことができます。

5. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)価格の相場

不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)価格の相場は、具体的なものはありません。なぜなら、管理戸数や売上によって事業売却価格が大幅に変わるためです。

300万円程度で事業売却が成立することもあれば、1億円を超えることもあります。したがって、まずは自分が売ろうと考えている事業の価値を専門家に正しく判断してもらうのが良いです。

また、価格交渉が得意な専門家に買い手との話し合いの際に同席してもらえれば、高額な売却価格にしやすくなります。できるだけ高い金額で不動産管理事業を売るために、業界事情に詳しく買い手を説得できる専門家のサポートを受けましょう。

不動産管理業界の動向

不動産管理業界での競争は激しくなっているため、顧客の利益増加のための業務効率化が見込めない場合は、存続は簡単ではないでしょう。

そのため、これからは主に幅広いサービスに対応可能な大手企業が不動産管理業界を担うことが予想されています。

不動産管理業界の企業は中小企業の割合が高かったのですが、トータルなサービスが求められるようになり中小企業の経営は厳しくなってきているのが現状です。

今後は大手企業M&Aによる独占が進むと見られます。高齢の経営者が後継者不在のために、M&Aで解決しようとするケースも多くなってきています。

6. 不動産管理事業が事業売却(事業譲渡)を行う手順

不動産管理事業が事業売却(事業譲渡)を行う手順には、以下のようなものがあります。
 

  1. M&A仲介会社と契約する
  2. 取締役会の決議で承認を受ける
  3. 買い手の選定と交渉をする
  4. 基本合意契約を結ぶ
  5. 買い手によるデューデリジェンスを受ける
  6. 事業譲渡契約を結ぶ
  7. 株主への通知を行う
  8. 株主総会での特別決議で承認を受ける
  9. 名義変更や許認可手続きを行う

さまざまな手続きを行わなければなりませんが、M&A仲介会社と契約すれば、専門家のサポートを受けながら進めることができます

大まかな流れを知っておいた方がサポートも受けやすいので、それぞれの手続きについて順番に確認していきましょう。

①M&A仲介会社と契約する

まずは、M&A仲介会社と契約しましょう

不動産管理事業を売却した経験が豊富で、現在の業界事情にも詳しい専門家に依頼するのが良いです。多くのM&A仲介会社は今までの実績を、公式ホームページに掲載しています。

また、料金体系がわかりやすいM&A仲介会社を選べば、安心して相談できます。料金体系については会社によって異なり、着手金や中間金が必要なことも珍しくありません。

安くサポートを依頼したいなら、事業売却が成立したときだけ報酬を支払う完全成功報酬制のM&A仲介会社が最適です。完全成功報酬制のM&A仲介会社は事業売却を成約させなければ報酬が受け取れないということで、熱心にサポートしてくれます。

完全成功報酬制を採用している事業売却に自信がある専門家なら、安心して相談できるでしょう。

M&A仲介会社に心当たりがなければ、ぜひM&A総合研究所にお任せください。

料金体系は完全成功報酬制(譲渡企業様のみ)です。着手金は譲渡企業様・譲受企業様ともに無料となっておりますので、最低手数料や初期費用に心配がある場合も安心してご相談いただけます。

無料相談を行っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
電話で無料相談
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M&Aのプロに相談する

M&A仲介会社については、以下の記事も参考になるでしょう。

【関連】M&A仲介会社・企業ランキングTOP25!大手上場企業あり!

②取締役会の決議で承認を受ける

M&A仲介会社と契約できたら、取締役会の決議で承認を受ける必要があります。

事業譲渡は会社の重要な財産を譲り渡す行為ですから、誰かが勝手に行うことはできません。取締役会がある場合は取締役会、取締役会がない場合は取締役が承認をします。

また、取締役会がなく2人以上の取締役がいる場合は、過半数の承認が必要です。せっかく買い手が見つかっても承認を受けていなければ事業売却はできないので、しっかりと手続きしておきましょう。

③買い手の選定と交渉をする

事業売却をするなら、買い手の選定を慎重に行うことが大切です。深く考えずに買い手を選んでしまうと、事業を売ってから後悔してしまうかもしれません。買い手を選ぶ際には、譲れない条件を具体的に決めてから選定していきましょう。

事業売却の際によく問題になるのが、従業員の処遇です。事業売却で譲る範囲は自由に決められるので、最低限の従業員だけを買い手側に引き継いでもらうケースもよくあります。

例えば、「他の不動産関連事業のために有資格者は自社に残ってもらおう」と考えているなら、買い手に納得してもらうことが必要です。

条件と売却価格を交渉し、お互いが納得できる事業売却を目指していきます。買い手の選定や交渉はM&A仲介会社にも協力してもらえるので、話し合いながら進めていくのが良いです。焦って納得できない事業売却をしてしまうのだけはやめた方が良いでしょう。

④基本合意契約を結ぶ

交渉がまとまってお互いに事業売却にポジティブな気持ちが持てたら、基本合意契約を結びます。

基本合意契約とは、交渉で決まった内容や成約日の目安などを書面に残すものです。基本合意契約は必ず結ばなければならないものではありません。しかし、基本合意契約を結んでおけば、お互いが成約に向けてより一層ポジティブな気持ちになれます。

現段階の条件を書面で確認することによって、すれ違いもなくすことが可能です。ただし、基本合意契約の内容がそのまま事業譲渡契約の内容になるとは限らないことには注意しておきましょう。

⑤買い手によるデューデリジェンスを受ける

基本合意契約を結んだら、買い手によるデューデリジェンスを受けます。デューデリジェンスとは、事業譲渡をする前にその事業に問題やリスクがないかを洗い出す調査のことです。

事業譲渡後は、その事業のリスクも買い手が引き継ぐことになります。ですから、できるだけ予期せぬ事態に陥らないよう、丁寧にデューデリジェンスをする買い手がほとんどです。

「売却する事業についてあまり知られたくないことがある」という方もいるでしょう。しかし、デューデリジェンスで故意に情報を隠すと、後から買い手に損害賠償を請求されることもあるので注意が必要です。

成約後にトラブルにならないように、求められた書面の提出や現地調査の同行など積極的にデューデリジェンスに協力しましょう。

⑥事業譲渡契約を結ぶ

デューデリジェンスで問題がなければ、事業譲渡契約を行って事業売却を成立させます。事業譲渡契約を結ぶと交渉のやり直しは難しいので、入念に内容を確認しましょう。

事業譲渡契約の内容は法律で定められているわけではありません。多くの場合は、譲渡日や譲渡する財産、譲渡価格、引き渡し時期、従業員の処遇、売却後の売り手の責任や義務などが定められます。他にも書面で残しておきたい内容があるなら、必ず入れてもらってください。

また、もしもデューデリジェンスで買い手にとって気になる点が出てきたら、基本合意契約の条件とは変わる可能性があります。納得できる契約内容になるように、徹底的に話し合うのが良いでしょう。

⑦株主への通知を行う

事業譲渡契約を結んでも、株主が承認しなければ譲渡できません。

買い手側は事業売却を行う日の20日前までに、株主に対して事業売却の事実や株主総会開催の旨を伝えることになります。官報公告や電子公告で伝えましょう。

ちなみに、必ずしも全員の株主が承認してくれるとは限りません。ですから、反対する株主には株式の買い取りを請求する権利があることもあわせて伝えます。事業売却は少なからず株主にも影響があることですから、しっかりと通知しておきましょう。

⑧株主総会での特別決議で承認を受ける

株主への通知を行ったら、事前に伝えていた日に株主総会の特別決議を行います。

株主総会の特別決議で、事業売却を行う前日までに株主の承認を得なければなりません。事業売却を行うには、議決権を持った株主の過半数以上の出席と、2/3以上の賛成が必要です。事業売却の重要性をしっかりと説明して、多くの株主に納得してもらえるようにしましょう。

また、反対する株主には株式買取を請求する権利があるので、事業売却が行われる前日までに買取請求権が使われるかもしれません。株式買取請求権は法律で定められた権利ですから、適切に買い取りましょう。

⑨名義変更や許認可手続きを行う

最後に、買い手側は名義変更や許認可手続きを行います。

例えば、事業売却の際に不動産管理事業の事務所も引き継ぐと決めた場合は、事務所の名義変更をしなければなりません。もしも手続きに必要な書類を求められたら、スムーズに提出しましょう。

事業売却が成立したからといって、売った事業にまったく関わらなくなれば買い手側は統合作業が進みません。事業売却をしてからも、事業の発展や従業員の環境作りのために協力していきましょう。

以上が、不動産管理事業が売却をする際の手順です。1つずつ進めていけば、事業を売ることができます。事業売却についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考になるでしょう。

【関連】事業売却とは?会社売却との違いやメリット・デメリットを解説!

親身になって不安を解消してくれるM&A仲介会社を選べば、手続きで困ることは基本的にありません。ただし、不動産管理事業を売却する際には気をつけるべきこともあるので、見ておきましょう。

7. 不動産管理事業を事業売却(事業譲渡)する際の注意点

不動産管理事業を事業売却(事業譲渡)する際の注意点には、以下のようなものがあります。
 

  1. 管理組合との関係性が悪いとトラブルになる
  2. マンション管理適正化法に違反していると買い手がつきにくい
  3. 従業員に幅広い業務に対応してもらう可能性がある

このような注意点があることを事前に知っておかなければ、スムーズに手続きが進まないかもしれません。基本的には専門家に依頼すれば対策してもらえますが、不安なく事業売却をするためにそれぞれについて詳しく見ておきましょう。

①管理組合との関係性が悪いとトラブルになる

もし管理組合との関係性が悪い物件があれば、買い手に引き継いでからもトラブルになるかもしれません。

不動産管理事業を行うにあたって、管理組合との関係性は大切です。管理組合の理事会と不動産管理事業を行う会社の仲が悪ければ、事業売却をキッカケに業務委託費を減らす提案をされたり、契約を切られて別の不動産管理会社に変更されたりする可能性があります。

したがって、事業売却を考えているなら、まずは管理組合との関係を良好なものにしていくのが良いでしょう。一緒に物件の資産価値を高める協力関係であることを伝え、積極的に住民のために業務を進めてください。

②マンション管理適正化法に違反していると買い手がつきにくい

マンション管理適正化法に違反している場合には、買い手がつきにくい点も知っておかなければなりません。

マンション管理適正化法とは、2001年に施行された法律です。マンションの資産価値を守って快適に住んでもらう環境作りを目的としています。

実は、このマンション管理適正化法に違反している会社は少なくないのです。2020年の国土交通省の情報によると、全国145社に対して立入検査を行い61社に是正指導をしています。

不動産管理事業を行っている人の中には、「法律の存在は知っていたけど、つい甘く取り組んでいた」という人が珍しくありません。事業売却前に、マンション管理適正化法を遵守できているのか確認してみましょう。

③従業員に幅広い業務に対応してもらう可能性がある

事業売却で従業員も買い手側に譲るなら、今よりも幅広い業務に対応してもらわなければならないことがあります。

特に買い手側が不動産管理事業以外も行っているなら注意が必要です。苦手な業務にあたって事業売却後にすぐに離職されることがないように、事前に該当する従業員の希望を聞き取るのが良いでしょう。

もし他社で業務を行うことや、今とは違う業務を行うことに大きく反対しているようなら、自社に残ってもらうケースも検討してみてください。仮に事業売却後に従業員が大量離職したら、買い手側と揉めてしまうことがあるためです。

以上のような注意点があるので、不動産管理事業を売却する際は、専門家に相談することをおすすめします。

8. 不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)についてご相談ください!

不動産管理事業の事業売却(事業譲渡)は、M&A総合研究所にご相談ください。

M&A総合研究所は、不動産管理事業の売却を多く成功させてきました。不動産業界を中心に幅広い業界における独自の幅広い情報があるので、最適な買い手を見つけることが可能です。

また、不動産業界に精通しているM&Aアドバイザーが在籍しており、親身になって案件をフルサポートいたします。また、着手金・中間金完全無料の完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系です。
不動産管理事業の売却・事業譲渡に関して、無料相談をお受けしてますのでお気軽にお問い合わせください。
 

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9. まとめ

不動産管理会社の経営にお悩みなら、事業売却(事業譲渡)を行うのが良いでしょう。

不動産管理業界では、中小企業を中心に生き残りをかけた争いが繰り広げられています。早めに事業売却を行って他社の経営資源も活用しながら経営を立て直せば、従業員や不動産オーナーも安心です。

ご紹介した売りやすい事業の特徴を押さえて事業を磨き上げてからなら、高額売却も狙えます。事業売却した利益で他の事業の経営に注力しましょう。

不安なことや疑問などがありましたら、お気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

10. 不動産管理業界の成約事例一覧

11. 不動産管理業界のM&A案件一覧

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