中華料理店業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

従来、中華料理店を手放すときは閉店するのが一般的でした。しかし、近年では「店を閉店するのではなく売却する」という考え方も増加傾向です。そこで今回は、中華料理店業界の概要やM&A動向、M&Aで売却するメリット、M&A事例などを解説します。

目次

  1. 中華料理店業界の概要と動向
  2. 中華料理店業界のM&A動向
  3. 中華料理店をM&Aで売却するメリット
  4. 中華料理店のM&A・買収・売却事例5選
  5. 中華料理店業界のM&Aの成功のポイント
  6. 中華料理店業界のM&A・事業譲渡まとめ
  7. 飲食店業界の成約事例一覧
  8. 飲食店業界のM&A案件一覧
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1. 中華料理店業界の概要と動向

まずは、中華料理店業界の概要や市場規模、動向などを詳しく見ていきましょう。

中華料理店業界とは

中華料理業界は、メニューの種類が多くターゲット顧客が広い業種です。この業界は大きく3つ「大衆店」「中華そば店」「高級中華料理店」に分けられます。

大衆店の代表「ラーメン店」は、明治時代に横浜や神戸などの中華街で提供されていた南京そばが始まりとされ、日本各地において独自に発展してきました。スープのだしのとり方や具によって様々な種類があります。近年では特色のあるラーメンを売りにした店舗が勢力を拡大中です。

日本の中華料理店は中華街を始め各地にあり、高級中華店がある一方で、定番メニューを中心とした手頃な価格で安心して食事を楽しめる大衆的な店舗も多く展開しています。

食材は、主に個人企業が店舗ごとに仕入れています。近年における消費者の安全意欲の高まりを受けて、国産食材の使用を進める企業が増加中です。

日本人に高い人気を誇る餃子は、店舗ごとに具や味付けに工夫を凝らしたり、国産の食材を使用した商品を安価で提供したりする店舗が増えてきました。また、スイーツ餃子やご当地餃子などをはじめとした変わり種メニューを開発し顧客の取り込みを図る店舗もあります。

従来、中華料理店は、専門的な調理が必要なためチェーン展開は困難とされてきましたが、最近ではファミリーレストラン形式の大きな店舗も出現しています。

中華料理店業界の市場規模と動向

2008年までは低価格ラーメン店のチェーン展開やカジュアル中華ブーム、中華居酒屋業態の伸びなどでプラス成長が続いていましたが、リーマンショック後の2009年には外食全体の需要が大きく低迷します。翌2010年にはやや持ち直す兆しが見られましたが、2011年に発生した東日本大震災で市場は低迷を続けていました。

そこへ更に追い打ちをかけるように新型コロナウイルスが流行し、外食業界全体で倒産が増えています。帝国データバンクの調査によると2020年の調査によると、2020年の飲食店の倒産は過去最多の780件に上りました。

そのうちの中華・東洋料理店は105件を占めています。しかし、給付金の効果もあり翌年の調査では飲食店全体の倒産件数は569件まで減少しました。また、中華料理店の場合は比較的低価格な業態のため、外部の要因による落ち込みは他の飲食店と比較すると限定的で回復傾向にあります。

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2. 中華料理店業界のM&A動向

近年、日本では中華料理店をはじめ飲食業界全体でM&Aが増加しています。その背景としては、「人手不足」「顧客の多様化」「経営難」などが挙げられます。

中華料理店では調理やホールスタッフなどの多くの人手が必要です。しかし、少子高齢化などを要因とした人手不足が深刻化している現状において、営業に支障をきたす店舗も少なくありません。また、経営難に陥った店舗が経営力の強い企業に譲渡し存続を図るケースも見られます。

さらに健康志向やベジタリアンなど、顧客の多様化が進んでいますが、新しいメニュー開発にM&Aを盛り込んでいけば、低価格帯且つおしゃれなメニューが開発され、中華料理店から遠ざかっていた女性客の来店にも期待できます。
 

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3. 中華料理店をM&Aで売却するメリット

ここでは、中華料理店をM&Aする際の売却側のメリットを解説します。譲渡するメリットとしては以下の5点が挙げられます。1点ずつ見ていきましょう。

売却利益の獲得

どの業界であっても同様ですが、売却側の最大のメリットは売却利益の獲得です。設備の代金はもちろん、ノウハウやのれん代なども含んだ金額での売却のため、大きな売却利益を手にできるケースもあります。

このM&Aのメリットは、売却利益で経営者の借入金を返済できたり、譲渡後の生活資金ができたりすることです。また、M&Aで譲渡した場合は、店舗をそのまま引き渡すので、廃業と比べて撤退金額がかかりません。M&Aでの売却は金銭的に大きなメリットがあります。

事業拡大や新規事業の立ち上げ

自社だけの力では事業拡大するのが難しい場合が多々ありますが、会社をM&Aにより譲渡することで、譲渡先企業が保有する資源やネットワークの活用が可能です。そのため、事業の安定や拡大、新規事業が開始できます。

人材の採用、食材仕入れの共有化による原価低減やコンプライアンス・ガバナンス対応などあらゆる面でプラスが見込めます。例えば、譲渡先企業が持つ新技術や商品を取り入れれば自社の商品力や競争力の向上が可能です。
 

経営の効率化

会社を譲渡すると、経営の効率化が可能です。譲渡先の企業が保有する経営ノウハウや人材を活用すれば、経営過程の改善や組織の再編成が可能です。そのため、経営の効率化やコストの削減が図れるので企業価値が向上します。

また、企業譲渡により、新しい経営陣が導入されることでも経営の効率化や改善が期待できます。例えば新オーナーが持つノウハウや経験を活かして、組織を再編成したり業務プロセスの改善をしたりすることで、事業の収益性や生産性を向上可能です。

個人保証や負債からの解放

個人保証や負債から解放される点も中華料理店をM&Aで売却する大きなメリットです。

中華料理店の経営者は事業資金を借りる際に、事業の資金がショートしたらポケットマネーから返済するという個人保証を付けるケースが一般的です。M&Aで中華料理店を譲渡し、買収側に個人保証を引き継けば個人保証から解放されて売却後は新たな人生をリスタートできます。

ただし、売却後も半年から1年程度はアドバイザーや顧問として会社に残り経営に関与することが多い傾向です。M&Aの契約内容にもよりますが、売却後即時に経営から離れるわけではないことを覚えておきましょう。

従業員の雇用や取引先との関係の継続

M&Aを行えば、従業員や取引先を守れる点もメリットのひとつです。店舗の経営から手を引くと決めた場合、気になるのが従業員や取引先のことでしょう。廃業の場合は従業員や取引先を守れる保証はありません。

しかし、M&Aであれば売却後も店舗運営が続くので、従業員の継続雇用を実現できる売却先を探せば従業員の雇用が守れます。また、店舗運営にあたって仕入先も継続できれば取引先も守ることができます。

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4. 中華料理店のM&A・買収・売却事例5選

中華料理店のM&Aは積極的に行われていますが、実際にはどのような会社がM&Aを行っているのでしょう。ここからは、中華料理店のM&A・買収・売却事例を5つご紹介します。

OSGコーポレーションがD&Dを子会社化した事例

2023年7月、株式会社OSGコーポレーションは、株式会社D&Dの株式を70.06%取得し子会社化しました。

D&Dは中華まんや点心など中華食品製造販売の「元祖五十番神楽坂本店」を運営しています。一方のOSGコーポレーションは、子会社の銀座仁志川を通じて、東京・銀座で高級食パン製造販売店「銀座に志かわ」を運営中でした。

OSGコーポレーションは、銀座に志かわで培ったノウハウを活用し、フランチャイズ事業拡大を目指す狙いがあります。「元祖五十番」については、今秋に1〜2店舗の出店を計画しているとしています。

参考:D&Dを子会社化

力の源ホールディングスがI&P RUNWAY JAPANを譲渡した事例

2022年3月1日、株式会社力の源ホールディングスは、合弁子会社のI&P RUNWAY JAPANの保有株式のすべて51%を共同出資パートナーである米Panda Resuaurant Group.Inc(PRG)に譲渡しました。

I&P RUNWAY JAPANは米国発の中華レストラン「PANDA EXPRESS」を日本国内で展開しています。今回の譲渡はPRGとの合弁関係解消に伴うものです。また、米西海岸でラーメン店「IPPUDO」を展開する合弁子会社「I&P RUNWAY .LLC」の株式49%をPRGから引き取り完全子会社化します。

力の源ホールディングスとPRGは各ブランドの成長戦略並びに運営方法について協議を重ね、PRGは国内でPANDA EXPRESSを直接運営し、力の源ホールディングスは米国の全店舗を直営化することが最善であるという結論になりました。

参考:I&P RUNWAY JAPANを譲渡

イートアンドホールディングスが一品香と一品香フーズを子会社化した事例

株式会社イートアンドホールディングスは、株式会社一品香および関連会社の有限会社一品香フーズの全株式を取得し連結子会社化しました。

イートアンドホールディングスは、食品事業や外食事業、通信販売などのグループ経営に関する事業を行っています。具体的には餃子専門店の大阪王将やラーメン専門店、ベーカリーカフェを全国展開中です。

一方の一品香は、中華レストランの経営を行っており、国内でのタンメン発祥として知られる「横濱一品香」をフランチャイズ展開していました。また、子会社の一品香フーズは、食材の加工製造・配送を行っています。

今回のM&Aにより、イートアンドホールディングスは、横濱一品香の伝統および老舗の味で、今後のグループ全体の成長を図り、シナジー効果の創出を目指すとしています。

参考:一品香と一品香フーズを子会社化

グルメ杵屋が雪村とゆきむら亭エフシー本部を子会社化した事例

2020年4月20日、株式会社グルメ杵屋は株式会社杵屋および株式会社ゆきむら亭エフシー本部の全株式を取得し、子会社化しました。

グルメ杵屋グループは、うどん、そば、洋食、和食などのジャンルで全国に飲食店の経営を展開しており2018年10月には茨城県の北部を中心にラーメン店を展開している株式会社壱番亭本部もグループ会社化しています。

一方の雪村は茨城県を中心にラーメン屋「ゆきむら亭」、つけ麺「吉衛門」などの5ブランド並びに中華料理店3ブランド、唐揚げ専門店1ブランドの32店舗を展開しています。またゆきむら亭エフシー本部の主な事業はセントラルキッチンの運営です。

今回のM&Aびより。グルメ杵屋グループは、雪村のセントラルキッチン方式による地域集中出店戦略からのシナジー効果創出を目指し、フランチャイズ展開のさらなる強化を図るとしています。また、関東東部地域での地盤強化を図ります。

参考:雪村とゆきむら亭エフシー本部を子会社化

三光マーケティングフーズがアジアンエイトを子会社化した事例

2008年6月30日、株式会社三光マーケティングフーズは、アジアンエイトの全株式を取得し、子会社化しました。アジアンエイトは、東京都内において「周之家」などの中華料理店を都内でチェーン展開しています。

一方の三光マーケティングフーズは首都圏を中心に「東方見聞録」「かくれ伽」などの居酒屋チェーンを展開しており、アジアンエイト取得後は「周之家」の業態を継続しつつ、さらに付加価値の高いサービスの提供を目指します。また、自社の物流ルートを活用し、アジアンエイトのコストを大幅に削減するとしています。

参考:アジアンエイトを子会社化

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5. 中華料理店業界のM&Aの成功のポイント



中華料理店業界のM&Aを成功させるために、気を付けるべきポイントはどのようなことでしょうか。ここでは、中華料理店業界のM&Aを成功させる3つのポイントを解説します。

専門家に相談する

中華料理店業界のM&Aには、M&Aの専門知識やスキルはもちろん、中華料理店業界の専門的な知識が必要です。また、買い手探しにあたり、幅広いネットワークや相手企業との交渉力が求められます。中華料理店業界の知識がないままM&Aを実行に移すと大きなトラブルになってしまう可能性があります。

自社のみでM&Aを実行するのは現実的ではないので、総合的にサポートを受けられるM&A仲介会社をはじめとする専門家に依頼し、サポートを受けましょう。

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
 

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レシピやサービスをマニュアル化しておく

料理長がテレビに出演していて知名度がある店など、人材によって成立している店は売りにくくなります。その人がいなくなったら顧客が来店せず商売が成り立たないためです。

一方、料理や接客が評価されている店であれば、レシピやサービスをマニュアル化しておけば買収側企業も安心して買収することができます。M&Aで事業承継を成功させるため、誰でも高いクオリティで提供できるように準備しておきましょう。
 

売却のタイミング

高値での売却が期待できるタイミングは、業績が右肩上がりの時です。経営者が病気を患うなどして業績が悪化すると、好条件での売却は難しくなります。M&Aを実行に移すなら、店舗の状態が良いときに準備しましょう。

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6. 中華料理店業界のM&A・事業譲渡まとめ

中華料理店業界に限らず、飲食業界全体では新型コロナウイルスの影響を受けて非常に厳しい経営環境におかれていましたが、ここにきて復調の兆しが見えてきました。

ただ美味しい料理を提供するだけの時代ではなくなり、飲食店は機動力やマーケティング力などの総合力がなければ生き残りが難しくなっています。生き残るためには、他業種の力が必要な場合もあります。

そこで活用したいのがM&Aです。M&Aを実行すると売却利益を得られるなどさまざまなメリットを受けられます。今後も中華料理店業界のM&Aは増加していくことが予想されています。店舗経営の先行きに不安を感じている場合はまずは専門家に相談することから始めましょう。

7. 飲食店業界の成約事例一覧

8. 飲食店業界のM&A案件一覧

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