2022年09月15日更新
廃業支援バイアウトとは!必要な手続きやその後の動きなども紹介
廃業支援バイアウトとは、新生銀行が提供する支援サービスの1つです。過剰債務の整理や必要資金の融資を行うことで、中小企業の再チャンレジを促します。この記事では、廃業支援バイアウトの必要な手続きやその後における動きなどについて解説します。
目次
1. 廃業支援バイアウトとは
日本の高齢社会化が加速し、日本企業における経営者の年齢ピークは66歳前後(中小企業庁調べ)まで上がっている状況です。経営者の引退適齢期は70歳前後といわれているため、今後は数多くの経営者が引退することが想定されています。
しかし、後継者不在などの理由から事業承継が進まず、廃業危機に瀕する企業が増えています。廃業支援バイアウトは、経営課題を抱える中小企業を対象に経営支援を行って再起を促すための試みです。
廃業支援バイアウトは、新生銀行が提案する新たな事業承継の方法で、金融グループならではの資金力で廃業危機にある会社の株式を買い取り、既存の事業承継とは異なる方法で会社や事業の廃業あるいは存続を図ります。
2. 廃業支援バイアウトを実行する理由
経営課題を抱える企業は、廃業支援バイアウトのサービスを受けることで課題を解決し、会社の存続を実現できる場合があります。廃業支援バイアウトは、主に以下の理由がある企業が実行している状況です。
【廃業支援バイアウトを実行する理由】
- 後継者がいない
- 債務整理が難しい
- 廃業コストが高い
①後継者がいない
廃業支援バイアウトを実行する理由の1つ目は、後継者問題を抱えているためです。帝国データバンクの全国企業「後継者不在率」動向調査(2021年)によると、日本企業の後継者不在率は61.5%であることが判明しています。
経営者の高齢化かつ後継者不在の企業は事業承継計画を立てられないため、経営上の危機を迎えており、廃業支援バイアウトを実行して状況を改善する狙いがあるでしょう。
②債務整理が難しい
廃業支援バイアウトを実行する理由の2つ目は、債務整理が難しいためです。複数の債権者から借入金がある場合、返済に追われて資金が枯渇し事業に支障が出る恐れがあります。
新生銀行の債権買い取りで債務を一本化して債務負担を適正な水準まで引き下げ、リスケジュールで無理のない返済計画を立てて再起を図れるでしょう。
③廃業コストが高い
廃業支援バイアウトを実行する理由の3つ目は、廃業コストを用意できないためです。廃業には、設備廃棄や退職金支給などのさまざまなコストが必要になるため、財務状況によってはその費用を用意することが難しい場合もあるでしょう。
廃業支援バイアウトでは、廃業コストの融資を受けられます。廃業コストの融資を受けることでスムーズに廃業手続きを進められるでしょう。
3. 廃業支援バイアウトの必要な手続き
廃業支援バイアウトを実行するためには、以下における手続きの中から求める支援内容に沿った手続きを進めましょう。
【廃業支援バイアウトの必要な手続き】
- 株の買取による事業承継
- 債務の一本化適正水準への引き下げ
- 一時的な必要資金の融資
①株の買取による事業承継
新生銀行による株式買取で事業承継を行う手続きです。株式譲渡によりオーナーから株式の譲渡を受けて、経営者の代わりに土地や建物などの不動産や棚卸資産の売却、債権回収などの整理を行います。
経営者は株式譲渡の時点で経営の立場から退いて、個人保証・担保も外されます。株式譲渡では価値に応じた売却益を獲得できるので、手元に一定の資産を残せる可能性があるでしょう。
最終的に廃業を視野に入れている手続きですが、一定の投資で再建が望める場合は事業の全部あるいは一部を譲渡して存続させるケースもあります。
②債務の一本化適正水準への引き下げ
複数の債権者から借入金があって債務が複雑化している場合、新生銀行による債権買取で債務を一本化できます。
債務を一本化させるとほかの債権者からの意見・主張がなくなり、新生銀行との話し合いだけでリスケジュールできるので、適正水準への引き下げも期待できるでしょう。
③一時的な必要資金の融資
廃業ではさまざまな形で資金が必要になるので、廃業を決断しても廃業コストが足りずに手続きを進められないことがあります。例えば、廃業では解雇する従業員の退職金を支払いますが、会社都合退職は高額の退職金を支払うので、積立が十分でない場合は、退職金を支払えずに廃業できない事態も考えられます。
廃業支援バイアウトの一次的な必要資金の融資手続きを行えば、廃業コストの融資を受けて廃業手続きを進められるでしょう。
4. 廃業支援バイアウトのメリット
廃業支援バイアウトを活用すると、さまざまなメリットを得られます。特に影響が大きいメリットは以下の3つです。
【廃業支援バイアウトのメリット】
- 廃業手続きの手間を省ける
- 売却益を獲得できる
- 会社を存続できる場合もある
①廃業手続きの手間を省ける
廃業支援バイアウトのメリット1つ目は、廃業手続きの手間を省けることです。経営者は新生銀行に株式譲渡することで会社の経営権を委託するので、以降は特別な手続きを行う必要がありません。
会社のために尽くしてくれた従業員への対応は経営者にとって茨の道です。適切な対応を取るためにも新生銀行に委ねて、廃業手続きを進めてもらうのも1つの選択肢でしょう。
②売却益を獲得できる
廃業支援バイアウトのメリット2つ目は、売却益を獲得できることです。新生銀行に事業承継する過程で株式譲渡を行うので、経営者が株式価値に応じた売却益を獲得できます。
売却益は経営者(株主)の個人的な資金として自由に使えるので、リタイア後の生活資金や新事業の立ち上げ資金に活用できるでしょう。
③会社を存続できる場合もある
廃業支援バイアウトのメリット3つ目は、会社を存続できる場合もあることです。新生銀行の廃業支援は基本的に廃業に向けた手続きですが、将来性・収益性がある事業の場合は、全部あるいは一部を存続させることがあります。
廃業支援バイアウトの会社存続は確実性がありませんが、廃業を回避できる手段の1つとして検討の余地があるでしょう。
廃業を決める前にM&Aの検討がおすすめ
廃業支援バイアウトは廃業を決断した経営者に対する支援ですが、経営者には廃業ではなく会社の存続を目的としたM&Aを実施する選択肢もあります。M&Aで後継者や買い手を見つけると、廃業を回避して会社の存続や従業員の雇用を維持できるでしょう。
M&A総合研究所は、主に中堅・中小規模の案件を手掛けているM&A仲介会社です。知識や経験の豊富なM&Aアドバイザーが、親身になって案件をフルサポートします。
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5. 廃業支援バイアウト後の動き
廃業支援バイアウト後は、新生銀行によって廃業に向けての手続きが進められます。店舗閉鎖や在庫処分、従業員への給与・退職金、顧客・取引先への支払いなどを徹底して行い、廃業による影響を最小限に留めます。
過剰債務や後継者不在で事業承継が難しい場合、無理に事業を続けていると債務拡大や業績悪化などの事態に陥るリスクがあり、廃業手続きに支障がでる場合もあるので、早期段階で決断することが大切です。
廃業支援バイアウト後、新生銀行による再建が行われて会社や事業が存続するケースもあります。過去の廃業支援バイアウトでは、不採算店舗の整理で黒字店舗にリソースを集中させ、従業員への承継を実現させた事例もあります。
6. 廃業支援バイアウトを行う際のポイント
経営者は、事業承継や相続の相談をして経済合理性の点で明らかに廃業するほうが有利とはわかっていても、感情的に決断しづらいことが問題になります。
そこで、「廃業といっても後ろ向きの廃業ではなく、事業継続の可能性もある廃業」といったイメージを持つことがポイントです。廃業のタイミングなどを一緒に考えてくれる専門家に相談することも重要です。
廃業支援バイアウトでは、新生銀行が細かい廃業の手続きを行ってくれるので、「廃業も視野に入れたところで事業を切り離す」といった意思決定ができれば、スムーズに廃業支援バイアウトを行えるでしょう。
7. 廃業支援バイアウトのまとめ
廃業は経営者にとって一大決心ですが、決意した後も廃業に向けて手続きを進める必要があります。新生銀行の廃業支援バイアウトであれば、複雑な手続きを任せられます。
廃業の回避が難しい場合は、事態が悪化する前に早期決断することが大切です。廃業支援バイアウトは、その際における選択肢として検討の余地があるといえるでしょう。
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