しゅんせつ工事業界のM&A動向!売却・買収事例と成功のポイントを解説!【2024年最新】

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

少子高齢化を原因とする人手不足や市場規模の縮小などの影響で、近年、しゅんせつ工事業界を含んだ建設業界ではM&Aの件数が増加傾向です。今回の記事では、しゅんせつ工事業界のM&A動向と売却買収事例、M&A成功のポイントについて解説します。

目次

  1. しゅんせつ工事業界の概要と動向
  2. しゅんせつ工事業界のM&A動向
  3. しゅんせつ工事会社をM&Aで売却するメリット
  4. しゅんせつ工事会社のM&A・買収・売却事例
  5. しゅんせつ工事業界のM&Aの成功のポイント
  6. しゅんせつ工事業界のM&A・事業譲渡まとめ
  7. 建設・土木業界の成約事例一覧
  8. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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1. しゅんせつ工事業界の概要と動向

まずはじめに、しゅんせつ工事業界の概要と動向について確認していきます。

しゅんせつ工事業界とは

しゅんせつ工事とは、河川や港湾などの水底をしゅんせつする工事です。「しゅんせつ」とはあまり耳にしない言葉だと思いますが、漢字で書くと「浚渫」となり、港湾や河川、運河などの底面を浚(さら)って、土砂などを取り除く土木工事を指します。

しゅんせつは、河川部では、上流からの堆積土砂により川底が浅くなってしまい、河川の流量が確保できなくなってしまうので、土砂を取り去り推進の維持のために行うケースが多いです。

また、河口部の付近では、船舶の航路確保のために行われています。近年、船は多くの貨物や人を運搬できるように大型化しており、それに伴い港や航路に求められる水深も深くなっています。

しゅんせつ工事業界の市場規模と動向

しゅんせつ工事を含む海洋土木工事は、政府の公共投資予算の状況が、業績に大きな影響を与える業界です。東日本大震災の復旧事業において、港湾施設の障害物を除去し、船が航行できるようにする作業も行いました。

国土交通省の建設工事受注動態統計調査を確認すると、2022年度の公共機関からの港湾・空港関連の工事請負契約額は7,984億3,800万円です。この額は前年と比べて29.1%増えています。ただし、しゅんせつ・埋め立て工事に限ると、2,520億7,700万円で前年と比較して11.6%減です。

しゅんせつ工事業界でもほかの建設業界と同様に、近年では人手不足が深刻な問題となっています。特に高齢化が進み、若年層の技術者や職人が不足しています。

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2. しゅんせつ工事業界のM&A動向

近年、しゅんせつ工事業界では、M&Aが活発に行われています。これは、大手のゼネコンや地場の工事業者が、しゅんせつ工事業に参入し、新たな収益源を確保するための戦略を持っていることが背景にあります。

さらに、しゅんせつ工事業界は、施工技術の高度化や人材不足に伴う業務の効率化など、業界全体の課題があり、大手企業がM&Aを通して業界再編を進め競争力を高める狙いもあります。

具体的な動きとして、大手ゼネコンが地元のしゅんせつ工事業者を買収して、自社の施工能力を強化することがあります。また、地元の建設業者同士が合併して、地域に密着した事業展開を強化することもあります。

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3. しゅんせつ工事会社をM&Aで売却するメリット

しゅんせつ工事会社が会社を譲渡すると多くのメリットがあります。ここではその中から3つをご紹介します。

売却利益の獲得

M&Aの大きなメリットの1つとして、会社を譲渡すれば売却利益を得られることがあります。売却利益は一般的に会社の利益の数年分にもなるケースが多く、譲渡後に多額の現金を手にできます。

その現金によって、その後の人生を豊かに過ごしたり、新たな事業を起こしたりできます。特に経営者は一般の会社員とは異なり、事前に計画しておかないと退職金はありません。M&Aを行って譲渡後に売却利益を受け取れば、生活資金の不安はありません。

また最近では、50代で株式譲渡を行い、その後には新規事業を始めたり、余裕のあるセカンドライフを送る方も増えています。

事業の効率化

会社を譲渡することで、事業の効率化が可能になるのも大きなメリットです。買収先の企業がしゅんせつ工事業に特化した企業であれば、高度な技術や専門知識を保有しているでしょう。そのため、事業の品質や効率を向上可能です。

また、異業種に譲渡した際には別々の業種の企業が1つになることで、従来はなかった業務効率化や新しいサービスが始められる可能性もあります。

事業承継の問題の解決

事業承継の問題を解決できる点もM&Aのメリットとして挙げられます。近年中小企業の経営者の高齢化が進んでいて、事業承継は大きな課題となっています。経営者の子どもが会社を引き継ぐ意思がない、または経営者には向いていないなどの理由で後継者が不在で、廃業するしかない中小企業が増えています。

このようなケースでは、M&Aが事業承継の有力な選択肢となります。優良企業に会社を売却すれば、事業承継問題を解決できるのです。

なお、引き継ぎのタイミングとしては、株式譲渡と同時のケースや、株式譲渡後、数年間の引き継ぎ期間を経て代表者を後退する2つのパターンがあります。

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4. しゅんせつ工事会社のM&A・買収・売却事例

しゅんせつ工事業界のM&Aの目的及びスキームを理解するためには、過去のM&A事例が参考になります。事例を確認しておけば、実際のM&Aをイメージしやすくなるでしょう。

ここからは、しゅんせつ工事会社のM&Aを2例紹介します。

OSJBホールディングスが山木工業ホールディングスをM&Aした事例

2021年2月19日、OSJBホールディングス株式会社の連結子会社であるオリエンタル白石株式会社は、山木工業ホールディングス株式会社の99.9%の株式を取得し、子会社化しました。

OSJBホールディングスは、グループ企業の経営計画および管理を行っています。連結子会社であるオリエンタル白石は、プレストレストコンクリートの建設工事や製造販売、ニューマチックケーソンの建設工事をはじめ幅広い事業を行っています。

一方の山木工業ホールディングスは、土木工事業、建築工事業、とび・土木工事業、タイル・レンガ・ブロック工事業、舗装工事業、しゅんせつ工事業をはじめこちらも幅広い事業を行っています。

今回のM&AによりOSJBホールディングスは山木工業ホールディングスの福島県およびいわき市での工事実績を活用し、オリエンタル白石の得意分野である橋梁工事の受注機会の拡大を狙います。同時にOSJBホールディングスのネットワークを活用し、山木工業ホールディングスの港湾土木工事の受注機会の拡大を狙います。

参考:山木工業ホールディングスを子会社化

吉田組が南野建設をM&Aした事例

2020年3月31日までに株式会社吉田組は、株式会社アジアゲートホールディングスより同社の連結子会社である南野建設株式会社の発行済株式100%の譲渡を受け子会社化しました。

アジアゲートホールディングスは、傘下企業を通じて、不動産事業、ゴルフ・リゾート事業を主力としています。事業構成を中長期的な観点から検討した結果、不動産事業およびゴルフ・リゾート事業に経営資源を集中することとしました。

南野建設は、推進工法と呼ばれる非開削工法によるトンネル工事を主力に電気やガス、上下水道などの都市インフラ分野で実績を積んできました。

一方の吉田組は兵庫県姫路市に本社を構え東京以西に事業所を展開する地場建設業です。土木建築総合建設請負業や、総合エンジニアリング及びコンサルティング業務、砂利、川砂、石材採取販売、アスファルトコンクリートの製造販売をはじめさまざまな事業を行っています。

今回のM&Aを受けアジアゲートホールディングスは、リアルエステート事業およびゴルフ・リゾート事業へリソースを集中させます。

参考:南野建設を子会社化

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5. しゅんせつ工事業界のM&Aの成功のポイント

M&Aを成功させるためには、自社の強みやM&Aを行う目的などを把握する必要があります。その上で目的が達成できる買収者を選びましょう。

自社の強みを明確化・アピールする

高額で自社を売却するためにはM&Aを実行に移す際に、まず、自社の強みをはっきりさせ把握することが大切です。優秀な人材が多く在籍している、他社にはない技術を保有している、豊富な受注実績があるなど、強みを把握すれば、どのような企業にアピールするのが売却への近道なのかがわかります。

たとえ、優れた技術や顧客などの経営資源を保有していても、それを認識していなかったり、買収者に価値を認めてもらわなかったりすると、満足できる条件でのM&Aは難しいでしょう。

自社の強みを欲しがっている企業を探し当てれば、考えていた以上の金額での売却も期待できます。

進行中の案件について売却先と協議する

長期に渡る請負案件に取り組んでいる場合、工事進行中の状態でM&Aを行うケースもあります。その際は、進行中の案件についてどうするか、買収側と協議することが重要です。基本的には、買収側に条件を引き継いでもらうもしくは、ほかの建設会社に引継いでもらうかになります。

ただし、ほかの建設会社に引継いでもらう場合は、発注会社にもその旨を話して承諾してもらわなければなりません。

シナジー効果の見込める売却先を探す

M&Aで目的を達成するためには、買収先選びも重要です。エグジットが目的であれば、なるべく高額で売却できる買収先を見つけましょう。そのためには、自社の持つ強みとシナジー効果の見込める買収先へ売却するとよいです。

シナジー効果とは、2社以上の会社が1つの会社に統合された際に、各社が別々に事業を継続する際の合計よりも大きな効果を得られることを言います。シナジー効果を買収側企業に認識してもらうには、客観的なデータや事業計画を用意しておくことが重要です。

また、従業員の継続雇用が目的ならば、従業員の獲得を検討している買収先に売却しましょう。この場合は、交渉段階で待遇を確認し、契約書にも盛り込みましょう。

専門家に相談する

しゅんせつ工事業のM&Aは、建設関係のM&Aについて実績が豊富な専門家へ依頼するのがおすすめです。M&Aの知識はもちろん、許可関係や工事の技術や特殊な経営業務などに詳しい専門家に頼るのが良いです。

仲介業者を選ぶ際には、建設関係を専門にしている業者を選びましょう。買収先探しの際も、建設業界への幅広いネットワークが必要です。また弁護士などの士業も、M&Aはもちろん、建設関係の知識があるかという点も確認しましょう。

どの業者にM&Aの実務を依頼するかで、買収先探し・成約にかかる期間や売却額が大きく変わる可能性があるので、専門家の選定は慎重に行いましょう。

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M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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6. しゅんせつ工事業界のM&A・事業譲渡まとめ

売却利益の獲得や事業の効率化などの目的を速やかに達成できるM&Aは、厳しい経営環境が続いているしゅんせつ工事業界において非常に有効な手段です。

近年は、大手企業が他地域への進出などを目的として中小規模のしゅんせつ工事会社とのM&Aを行うケースも増加しています。そのため、優れた技術者や工事の実績を保有していれば、納得のいく条件で会社・事業を売却できる可能性もあります。

経営の先行きに不安をかかえている経営者の方は会社の売却を検討してみてはいかがでしょう?

7. 建設・土木業界の成約事例一覧

8. 建設・土木業界のM&A案件一覧

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