クロスボーダーM&Aの成功要因・メリットを解説!件数も紹介!

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この記事の監修専門家
M&A総合研究所 公認会計士
高谷 俊祐

クロースボーダーM&Aとは、国内企業と海外企業によるM&Aを指します。クロスボーダーM&Aは難しいと言われていますが、しっかりと検討しリスクに対処することで、成功に導くことができます。この記事では、クロスボーダーM&Aの件数と成功要因、メリットを解説します。

目次

  1. クロスボーダーM&Aの現状
  2. クロスボーダーM&Aの失敗確率
  3. クロスボーダーM&Aの成功要因
  4. クロスボーダーM&Aの失敗要因
  5. クロスボーダーM&Aのメリット
  6. クロスボーダーM&Aの件数
  7. クロスボーダーM&Aの手法
  8. クロスボーダーM&Aの流れ
  9. クロスボーダーM&Aのリスクと対応策
  10. クロスボーダーM&Aの事例
  11. M&A総合研究所ならクロスボーダーM&Aにも強い!
  12. クロスボーダーM&Aまとめ
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1. クロスボーダーM&Aの現状

クロスボーダーM&Aの現状

クロースボーダーM&Aとは、売り手側、もしくは買い手側が海外企業の買収や合併によるM&Aのことを指します。

海外企業とイメージすると、大手ばかりが目につくかもしれないが、クロスボーダーM&Aがおこなわれているのは、大手企業に限りません。最近では、中小企業によるクロスボーダーM&Aも増加しています。

国内企業が海外企業を買収するM&AのことをIN-OUTと言い、海外企業が国内企業を買収するM&AをOUT-INと言います。まずは、クロスボーダーM&Aの現状について解説します。

IN-OUTは増加傾向

国内企業が海外企業を買収するM&AであるIN-OUTは、近年増加傾向にあります。特に、スタートアップや、ベンチャー企業によるIN-OUTが活発化しています。

日本国内の人口が減少していたり、少子高齢化による影響で、国内の市場は縮小傾向にあります。IN-OUTにより海外市場に手を伸ばすことで、規模の拡大や、売上の増加を目的としたM&Aをおこなう企業が増えています。

IN-OUTのクロスボーダーM&Aの規模は、大企業に限らず中小企業でも活発におこなわれています。

大型M&A

大規模なIN-OUTのクロスボーダーM&Aとして記憶に新しいのが、日本たばこ産業株式会社(JT)による、RJRナビスコ社の海外事業を、約9400億円で買収した事例です。

この買収により、日本たばこ産業株式会社は、販売本数が世界で3位に入る、タバコ業界における大企業へ成長しました。国内の広告業界で大企業である電通は、2013年に、イギリスの広告企業であるイージス社を約4090億円で買収しました。

その後、多くの海外企業を買収し、国内だけでなく世界的に見ても広告業界における大企業へと成長しました。

新興国M&A

中国・インド・ベトナム・ブラジルなどを初め、新興国におけるM&Aも近年増加傾向にあります。

新興国におけるM&Aをおこなうための情報収集はとても難しいため、最初は小規模のM&Aをおこない、徐々に情報をあつめ、大規模なクロスボーダーM&Aをおこなう日本企業が増加しています。

新興国では、市場が成長段階にあるため、現段階で参入することにより、大きな利益を得ることを目的としています。

OUT-INは減少傾向

海外企業が国内企業を買収するM&AであるOUT-INは減少傾向にあります。前述したように、日本国内の経済市場は、縮小傾向にあるためです。

近年でのOUT-INのクロースボーダーM&Aの事例としては、ソフトバンクグループの子会社であるスーパーセルを、中国でゲーム事業を展開しているテンセントが買収した事例が挙げられます。このときの買収額は、約7700億円です。

ソフトバンクグループの子会社であるスーパーセルは、元はフィンランドの会社であり、2013年にソフトバンクグループが1500億円で買収した企業です。

元はフィンランドの会社ですが、ソフトバンクグループの子会社になった後、中国の企業が買収を行なったことから、OUT-INの事例として取り扱われます。

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2. クロスボーダーM&Aの失敗確率

失敗確率

クロスボーダーM&Aは、増加傾向にあるのなら、成功した事例が多いのかと思われますが、失敗確率は50%を超えると言われています。

これは、クロスボーダーM&Aをおこなった日本企業に向けて、クロスボーダーM&Aは成功したかアンケートを実施したところ、「成功した」と回答した企業は4割にも満たしませんでした。

また、調査によっては、9割以上が失敗していると結論を出しているものもあります。クロスボーダーM&Aが流行しているからと言って、しっかりと調査もせずにM&Aをおこなった企業が、軒並み失敗していると言われています。

このことからも、M&Aにおいては、デューデリジェンスを含む、対象企業の綿密な調査が重要であることがわかります。

3. クロスボーダーM&Aの成功要因

成功要因

クロスボーダーM&Aの失敗確率が50%、調査によっては90%を超えていると言われていますが、なかには成功をおさめている企業も少なくありません。クロスボーダーM&Aを成功させるための鍵はどこにあるのか、成功要因を詳細に解説します。

バリュエーションの算定を間違えない

クロスボーダーM&Aにおいて、難しいのではないかと感じるのが、買収金額の算定です。今現在、売り手となる企業が市場において、ある程度のポジションを築けているのであれば、その数字から、バリュエーションの算定をおこなうことができます。

しかし、新興国とのクロスボーダーM&Aとなると、これからどれくらい経済市場において価値をもたらしてくれるのか、予想でバリュエーションの算定をおこなわなければいけません。

クロスボーダーM&Aにおいて、平均買収額は存在しますが、相場というものは、なかなか分かりづらく、買収しようとしている海外企業を、その相場に当てはめるのも難しいでしょう。

相場だからとバリュエーションを決めてしまうのではなく、買収候補先をしっかり調査し、バリュエーションの算定を間違えないことが大切です。

シナジー効果の最大化

シナジー効果を最大に引き出すことは、クロスボーダーM&Aに限らず、すべてのM&Aにおいて重要です。

M&Aにおけるシナジー効果とは、M&Aをおこなうお互いの企業が、それぞれの価値や、良い点を引き出し合うことで、より多くの経済的価値を生み出すことです。相乗効果とも言います。

シナジー効果を最大化するためには、候補先企業に関する情報を徹底的に集め、M&A最終契約書締結後のPMI実施を想定して、スキーム策定をおこなうことが大切です。

PMI実施を想定し、目的を明確にすることが、シナジー効果を最大化するためのポイントです。

ブレークアップフィー条項を事前に決定

M&Aにおけるブレークアップフィーとは、M&Aをしようと思っていたが、何らかの事情により、M&Aをおこなわないことが決定した時の、違約金に関する決まりです。

ブレークアップフィー条項を事前に決定しておくことで、企業の買収案件がなくなってしまった際に、買い手側の企業は、ブレークアップフィー条項で決めておいた違約金を受け取ることができます。

買収によるM&Aの場合、違約金の金額は、買収金額の1~5%以内に設定されることがほとんどです。

ブレークアップフィー条項を、しっかり事前に締結しておくことで、さまざまな要因から契約ができなくなってしまった場合でも、違約金を受け取ることにより、損害を最小限に抑えることができます。

デューデリジェンスに力を入れる

M&Aにおけるデューデリジェンスとは、買収審査のことで、一般的には買い手側が売り手側を対象としておこなわれます。

デューデリジェンスは、基本合意書締結後、最終契約書の締結前におこなわれるもので、人事・財務・法務など、様々なしてんから、M&Aをおこなう際にリスクが生じないか、これまでの調査との相違点はないか、買収価格は適正なものか等を検討するためにおこなわれます。

クロスボーダーM&Aでは、対象企業についての情報が入手しづらいため、よりデューデリジェンスに力を入れることが大切です。

知的財産権についての事前把握

事前把握

相手企業が持っている財産について、しっかりと把握することが大切です。M&Aにおいては、対象企業の知的財産が目的でおこなわれることも多くあります。

対象企業が保有していると言っても、その財産が第三者の知的財産を借りている場合では、M&Aをおこない、その財産を活用しようとしたときに、第三者の知的財産権を侵害してしまうリスクがあります。

そのため、対象企業がどのような知的財産を、どのような契約で保持しているのか、しっかりと事前把握することが大切です。

対価の支払い時期を把握

クロスボーダーM&Aにおいて、買収の対価の支払い時期の把握は、支払う額にも関わってくるため、非常に重要です。

日本国内におけるM&Aでは、現金によるやりとりの場合、最終契約書締結後の金額の変更はほとんどありませんが、海外企業とやりとりをおこなうクロスボーダーM&Aでは、為替レートの変動により、金額が変わります。

大規模なクロスボーダーM&Aであるほど、為替レートの変動により、大きな損害を被るリスクもあるのであります。そのため、事前に対価の支払い時期を把握しておくことが大切です。

従業員の反対に注意

日本国内でのM&Aでも起こりうるのが、従業員の反対です。しかし、日本国内での従業員の反対と比べて、海外企業の反対では、従業員のストライキが容易に起こりえます。これは、その国特有の国民性や、親日性にも関連してきます。

大企業のクロスボーダーM&Aの場合、労働組合などがしっかりと設けられているため、対処法が検討できますが、中小企業のクロスボーダーM&Aは、最悪の場合、売り手側の企業そのものが無くなってしまうリスクさえ考えられます。

M&A最終契約書締結後の、PMI実施を想定してM&Aのプロセスを進めていくことが大切です。

インサイダー取引に注意

インサイダー取引とは、会社の内部情報に精通する者が、その情報から株式が上下することを事前に予測し、株式の売買をおこなう行為で、証券取引法により禁止事項とされています。

クロスボーダーM&Aをおこなう場合、買い手側は、今後成長が見込まれる企業を売り手企業の候補とします。今後の成長が見込まれるということは、今後の株式価格も上がることが予想されます。

この情報を元に、海外企業や国内企業の株式の売買を行なった場合、インサイダー取引とされ、証券取引法により、厳しく罰せられます。

PMI

M&A取引は、M&A最終契約書締結後のPMI実施を想定し、目標を明確にし、M&Aのプロセスを進めていくことが大切です。M&Aにおいて、最終契約書の締結は、企業が成長するためのスタートラインと言っても過言ではありません。

PMIの実施により、どのようn企業にしていくか、経営戦略を実現していくかが大きな鍵になります。クロスボーダーM&Aでは、海外企業と綿密な連携を取りながら、PMIを実施していくことが大切です。

PMIの実施状況により、M&Aの成功確率は格段な違いが生まれてきます。

4. クロスボーダーM&Aの失敗要因

失敗要因

クロスボーダーM&Aは、50%以上が、失敗していると説明しましたが、失敗する原因はどこにあるのか、詳細に解説します。成功要因を元にM&Aのプロセスを進めるとともに、失敗要因の知識を入れておくことで、クロスボーダーM&Aの成功率を上げましょう。

検討不足

クロスボーダーM&Aの大きな失敗要因の1つとして挙げられるのが、検討不足によるものです。M&A取引は、必要以上に情報が漏れてしまわないために迅速におこないたいと思う企業も多くあります。

また、流行に乗り取引を早く行なった方が、利益が得られると考える企業も多くあります。しかし、十分にスキーム策定や買収価格の検討をおこなわずに、勢いだけでM&Aを締結してしまうことは、M&Aが失敗する大きな要因になります。

デューデリジェンスを含め、対象企業についてしっかりと調査を重ね、M&Aをおこなったらどんなメリットがあるのかだけでなく、リスクについても検討することが大切です。

高額での買収

クロスボーダーM&Aの場合、売り手企業の今後の成長を見込んで、買収価格を決定することが多くあります。しかし、今後の経済的価値に期待しすぎて、高額での買収は、M&Aを失敗に導く大きな原因となります。

デューデリジェンスにより、相手企業についての情報をしっかりと集めた上で、売買価格の検討をおこない、必要以上に高額での買収は避けるようにしましょう。

また、前述したように、M&A取引が流れてしまった時に受け取る違約金についても、しっかりと取り決めておくことが大切です。

買収後放置

M&Aを成功させるためには、最終契約書締結後のPMIの実施が大きく影響します。

せっかくM&Aを締結させても、買収後に放置していたのでは、経済的価値を得られないだけでなく、従業員の反対や、うまく事業が成立できず、損害を被ってしまうリスクも考えられます。

買収後、どのように経営戦略を実現させていくのか、しっかりと検討した上でM&Aを締結し、PMIを実施していくことが大切です。

5. クロスボーダーM&Aのメリット

M&Aのメリット

クロスボーダーM&Aの成功率はそこまで高いものではなく、成功させるためには、何が大切であるのか、そして失敗要因となるものは何かについてご説明しましたが、クロスボーダーM&Aにはメリットも多くあります。

ここでは、クロスボーダーM&Aをおこなう事によって得られるメリットを詳細に解説します。

日本企業のグローバル化

クロスボーダーM&Aのメリットとして一番始めに挙げられるのが、日本企業のグローバル化です。日本企業がグローバル化することに得られるメリットは、大きく「新市場開拓」と「新製品開発」に分けることができます。それぞれについて詳細に解説します。

新市場開拓

日本企業がグローバル化することで、新市場の開拓ができます。日本国内では、経済市場は縮小傾向にありますが、新興国では、これから市場がさらに拡大していくことが考えられます。

クロスボーダーM&Aをおこなうことで、海外の市場にしか存在しないものを、日本国内に持ち込むことができるだけでなく、海外にはまだ存在しない、日本の市場を持ち込むこともできます。

新市場の開拓は、他に競合となる企業がまだ存在しないため、大きな利益が得られることが予測できます。

新製品開発

新市場の開拓とともにクロスボーダーM&Aによって得られるメリットとしては、新製品の開発が挙げられます。

海外企業の技術やノウハウを積極的に取り入れることで、日本にない新製品を開発できる可能性があります。また、新製品開発も新市場開拓と同じように、海外にない新製品を日本から輸出できる可能性もあります。

クロスボーダーM&Aによって、複雑な工程から得られた新製品は希少性も高く、より多くの利益が期待できます。

海外投資ファンドの収益

海外投資ファンドとは、海外を拠点に企業経営をおこなっている投資信託のことです。海外ファンドは、投資家から資金を集め企業経営をおこないます。クロスボーダーM&Aをおこなうことによって、海外投資ファンドからの収益も期待することができます。

6. クロスボーダーM&Aの件数

M&Aの件数

国内市場の縮小が進むに連れて、クロスボーダーM&Aの件数が増加しています。また、件数が増えるに連れて、1件あたりの取引額も大きくなっています。

件数に関して、2007年と2016年を比較すると、約5.7%程増加しています。1件あたりの取引金額を、2007年と2016年で比較すると、約11.1%増加しています。このことから、クロスボーダーM&Aは、件数だけではなく、取引額も増加していることがわかります。

ここでは、IN-OUTの件数と、OUT-INの件数に分けて、詳細に解説します。

IN-OUTの件数

国内企業が海外企業を買収するIN-OUTのM&A件数は、2015年には560件でしたが、2016年には、635件に、75件の増加をしています。これらのクロスボーダーM&Aの、買収金額は非常に大きいため、IN-OUTのM&Aは増加傾向にあると言って良いでしょう。

また、2007年に三角合併が解禁になった影響から、この増加傾向は、今後も続くと予想されています。三角合併について、詳しくは後述します。

OUT-INの件数

海外企業が国内企業を買収するOUT-INのM&A件数は、2015年には205件で、2016年には201件と、ほぼ横ばいです。しかし、2015年の買収金額の総額は、約1兆円でしたが、2016年には、2兆5000億円にまで増加しています。

これは、国内の市場が縮小傾向にあり、日本の大企業が海外企業に買収されたことが理由として挙げられます。

OUT-INの件数だけを見れば、あまり増加傾向があるようには思えませんが、買収の総額を見ると、今後増えていく可能性があるかもしれません。

7. クロスボーダーM&Aの手法

M&Aの手法

クロスボーダーM&Aでは、対象企業への十分な調査野本、どのような形でM&Aを進めていくのか決めることが大切です。ここでは、国内の企業同士のM&Aでは使われることがない、クロスボーダーM&Aで使われる特殊なスキームを詳細にご紹介します。

三角合併

三角合併は、2007年の5月に解禁となった新しい手法です。三角合併とは、海外企業が、日本に子会社を設立し、親会社である海外企業の株式を取得します。

その後、その株式を、対象企業である日本国内の企業の株主に交付することで、合併をおこないます。

これまで、日本国内の企業と、海外の企業が、直接取引をして、株式を交換したり、合併をしたりするのは、とても難しい状況でした。

LBO

LBOとはレバレッジバイアウトの略で、海外企業のM&Aにおいては、よく用いられる手法です。買い手側が、売り手側の財産を担保として、銀行などの金融機関から借入をおこない、資金を調達する買収方法です。

対象の会社のもつ、事業などの財産が担保となりますので、LBOをおこなった後、業績が落ちてしまった場合は、巨額の借金が残ってしまうというリスクもありますが、少ない自己資金で大型のM&Aをおこなうことができる手法です。

8. クロスボーダーM&Aの流れ

M&Aの流れ

クロスボーダーM&Aでよく使われる手法として、三角合併とLBOをご説明しましたが、ここでは、クロスボーダーM&A全体の流れについて解説します。クロスボーダーM&Aの流れは、国内の企業同士のM&Aと同じように、プロセスに沿って進めていくことが大切です。

検討

まずはじめに、クロスボーダーM&Aに詳しい専門家の元、対象となる企業を検討します。自社の描く経営戦略から、どのような企業とM&Aをおこなうのが良いのか、専門家と相談しながら、対象となる企業を決めます。

対象となる企業が決まったら、その企業について、詳しく調べます。日本国内の企業同士のM&Aをおこなう場合と同じように、デューデリジェンスを実施し、対象企業についてしっかり把握します。

把握した上で、どのようにM&Aを進めていくのか、どのような手法でM&Aをおこなうのかなどを検討します。

M&Aの内容が決定したら、対象企業と直接面談をおこない、M&Aの内容について、相違がないか確認をおこないます。

契約

対象企業との面談を終え、M&Aの内容について合意が得られたら、契約書を作成します。基本的には、対象企業の法律似合わせて、契約書を作成するのが一般的です。

また、英訳書を英文で作成されることがほとんどです。アメリカでは、国で制定している法律の他にも、州ごとに制定されている法律もあるので注意しましょう。

TOBの扱い

株式譲渡や事業譲渡などの契約によるM&Aは、海外でも日本でも、考え方は類似しており、契約書も似ています。しかし、上場している会社の公開買付けによりM&Aをおこなう、TOBに対する考え方は、海外と日本では大きく異なるので注意しましょう。

EUの場合法律を事前に確認

EUに加盟している国とのM&Aをおこなう場合は、国の法律の加えて、EUの規制があることに注意しましょう。EUには、競争法という法律があるため、特に大企業での大きなM&Aを締結する場合は、法律をしっかり確認するようにしましょう。

実行

クロスボーダーM&Aの契約が締結したら、いよいよ実行にうつります。M&Aにおける実行とは、PMIの実施です。クロスボーダーM&Aで、一番難しいと言われているのが、企業の文化の統合です。

国と国の間には、文化の違いがあるように、日本国内の企業と、海外企業の間には、事業の進め方を始め、さまざまな場面で文化の違いが現れます。お互いの文化を尊重しつつ、統合を進めていくことが大切です。

【関連】M&Aのスケジュールを解説!【買収までの流れ・手順】

9. クロスボーダーM&Aのリスクと対応策

リスクと対応策

クロスボーダーM&Aをおこなうときに、注意したいリスクとして、「カントリーリスク」「訴訟リスク」「環境リスク」「人的問題」が挙げられます。ここでは、これらのリスクと、その対応策を詳細に解説します。

カントリーリスク

クロスボーダーM&Aにおけるカントリーリスクとは、日本国内の企業が、海外の企業と取引をしようと思った時に、相手国の政治面や社会面、経済面などで大きな変化が起き、それに伴い、日本国内の企業が損害を被ったり、取引ができなくなってしまうリスクのことです。

政治リスク

クロスボーダーM&Aの取引で起こりうるカントリーリスクにおける、政治リスクとは、日本と、取引をおこなう予定の相手企業の国との間で、政治的なんらかの問題が起き、日本国内の企業が、資金の回収ができなくなってしまったり、M&Aの取引そのものが無くなってしまうリスクのことです。

外資規制

外資規制とは、外国為替及び外国貿易法などにより、外国人または外国企業による、国内の企業への投資に対する規制のことです。

外国の企業や外国人による、日本国内の株式の取引は、原則として、日本銀行を経由しておこなわなければならず、取引後は、報告をおこなう必要があります。その他の法律でも、外国企業による日本国内の企業への出資には、規制が設けられています。

訴訟リスク

アメリカが訴訟大国と言われているように、日本と比較して海外では訴訟問題が多く起こります。大きな訴訟問題になりそうなことであれば、その内容も含めた契約を結ぶ必要があります。

小さな訴訟問題でも、今後大きな問題へと発展してしまうリスクがあるので、デューデリジェンスをしっかりおこない、小さなリスクも見落とさないようにすることが大切です。

環境リスク

環境に関する法律や認識は、国によって大きく異なります。日本よりも、環境汚染に厳しい国はたくさんあり、大きな問題が起これば、訴訟になることもあります。

クロスボーダーM&Aの場合は、環境デューデリジェンスをおこなうことで、事前に環境リスクについて把握することができます。環境デューデリジェンスは、他の分野のデューデリジェンスに比べて時間がかかるため、早めにおこなうと良いでしょう。

人的問題

クロスボーダーM&Aの失敗原因として多いのが、M&A契約締結後のPMIの実施がうまくいかず、労働組合の反対が起きるリスクがあります。

また、日本のようにリストラが容易にできる国は少なく、多くの国では、厳しい条件を満たさなければ、人員の整理を行えないことも、人的問題のひとつです。

10. クロスボーダーM&Aの事例

M&Aの事例

クロスボーダーM&Aの中でも、大型の取引のもの、そして近年話題になったものの中から、IN-OUTの事例とOUT-INの事例に分けて、いくつかご紹介します。

N-OUTの事例

IN-OUTの事例として、最近話題になったのが、株式会社セブン&アイホールディングスによる、アメリカのスノコLP社の買収です。

株式会社セブン&アイホールディングスは、全国に展開しているコンビニエンスストア、セブンイレブンの他、イトーヨーカドーや、セブン銀行などを展開しています。アメリカのスノコLP社は、株式会社セブン&アイホールディングスと同じように、コンビニエンスストアを展開する子会社やガソリンの小売をおこなう子会社をもつ、企業です。

株式会社セブン&アイホールディングスは、スノコLP社の多岐にわたる事業のうち、コンビニエンスストアとガソリン小売事業の子会社を2018年、約3650億円で買収しました。

IN-OUTの事例として、次に紹介するのが、料理をする人なら、1度は見たことがある、クックパッドを運営しているクックパッド株式会社による、買収事例です。

クックパッド株式会社は、2014年、スペインにあるレシピサービスを展開する会社ITAYIS SIGLO XXI社を約11.5億円で買収しました。同じ年に、アラビア語のレシピサービスを展開している会社も、約13億円で買収しています。

これらの買収等の影響から、クックパッドは現在、世界約70カ国で、レシピサービスを展開しています。

OUT-INの事例

OUT-INの事例に関しては、ニュースになるほど大きな企業がおこなった譲渡は、あまりありませんが、近年おこなわれた、OUT-IN取引について紹介します。

東京エレクトロンは、半導体の組み立てなどをおこなっている世界大手企業である、シンガポールのASMPT社に、メッキ装置製造子会社の株式を2018年4月に譲渡しました。

東京エレクトロンは、上記の子会社をASMPT社に譲渡することで、ASMPT社のグローバルな顧客の展開が期待できるとし、譲渡を決定しました。

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11. M&A総合研究所ならクロスボーダーM&Aにも強い!

クロスボーダーM&Aにも強い

M&A総合研究所は会計士が主体として運営を行なっているM&A仲介会社です。M&A総合研究所は、クロスボーダーM&A案件の実績も豊富なため、クロスボーダーM&Aの相談も安心してできます。

また、バイリンガルで話せる会計士もおり、海外企業の財務分析に強い会計士が対応するので安心して依頼することができます。

12. クロスボーダーM&Aまとめ

クロスボーダーM&Aまとめ

クロスボーダーM&Aは、総合的に見て、件数だけでなく、買収金額に関しても、近年増加傾向にあります。

クロスボーダーM&Aは、50%以上が失敗していると言われていますが、その殆どは、対象企業についての調査不足による、M&Aスキームの検討不足や、相場に流されて決めてしまった高額買収による、多額の損害などが原因と言われています。

また、クロスボーダーM&Aの失敗要因として、多いのが、M&A締結後にしっかりとPMIの実施をおこなわず放置してしまうことです。クロスボーダーM&Aは、難しいと言われていますが、しっかりと検討し、プロセスを1つひとつ進めていくことで、クロスボーダーM&Aを成功に導くことができます。

クロスボーダーM&Aには、新市場の開拓や、新製品の開発をはじめ、さまざまなメリットがあります。相手企業のメリットを十分に引き出し、自社の事業のメリットを活かすことで、シナジー効果を引き出すことができます。

カントリーリスクや訴訟リスク、環境リスクなどのリスクに、対処することで失敗を防ぐことができます。

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