ゴム・プラスチック製品製造業のM&A動向【2025年最新】| 事例や成功のポイントを解説

取締役副社長
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

ゴム・プラスチック製品製造業のM&Aをご検討中の方へ。この記事では、業界の最新動向やM&Aのメリット、成功させるためのポイントを解説します。具体的な事例も紹介しますので、ぜひご活用ください。

目次

  1. ゴム・プラスチック製品製造業界の現状と市場動向
  2. ゴム・プラスチック製品製造業界におけるM&Aの最新動向
  3. ゴム・プラスチック製品製造業のM&Aにおけるメリットと成功のポイント
  4. ゴム・プラスチック製品製造業のM&A・事業承継事例
  5. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の案件一覧
  6. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を行う理由とメリット
  7. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継時の譲渡金額の相場
  8. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を成功させるポイント5選
  9. ゴム・プラスチック製品(部品)製造の問題となりやすいポイント
  10. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継に関する相談先
  11. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継のまとめ
  12. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧
  13. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧
  • セミナー情報
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  • 業務・産業用機械製造会社のM&A・事業承継

1. ゴム・プラスチック製品製造業界の現状と市場動向

ゴム・プラスチック製品(部品)製造とは、ゴムやプラスチックを素材とする製品や部品を製造するものをいいます。ゴム製品は、自動車のタイヤが出荷額の約半分を占めており、タイヤ以外にもエンジン周りのゴムベルトやゴムホースなど自動車メーカーが主な取引先となっています。

一方、プラスチック製品は、食品の包装などに使われるフィルムシートが出荷額の約40%を占めています。近年のゴム・プラスチック製品(部品)製造業界の動向としてあるのは、以下の3点です。

  • 海外製品の影響による化学分野の販売額の減少
  • 環境問題に対応した新製品の開発
  • 新技術に対応した新素材の需要が伸長

海外製品との競合激化と国内市場の変化

安価な中国製ゴム・プラスチック製品との価格競争は依然として激しいものの、近年の円安進行により2023年の輸入額は減少に転じています。一方で、日本の化学工業における製品出荷額は、世界的な経済減速による需要低迷や原材料価格の変動を受け、2023年は前年を下回る結果となりました。国内需要の成熟も相まって、厳しい市場環境が続いています。

経済産業省の「2024年版ものづくり白書」によると、日本の化学工業の付加価値額は世界4位ですが、中国は日本の約5倍の規模を誇り、圧倒的な存在感を示しています。また、世界的な脱炭素化の流れを受け、日本の化学産業は2030年度にGHG排出量を2013年度比で32%削減する目標を掲げており、環境対応が大きな経営課題となっています。
 

環境問題に対応した新製品の開発

近年、海洋プラスチック問題やマイクロプラスチックによる生態系への影響が世界的な課題となっています。これを受け、ゴム・プラスチック製品製造業界では、生分解性プラスチックやリサイクル素材の活用など、環境負荷の低いサステナブルな製品開発が急務となっています。
 

新技術に対応した新素材の需要が伸長

EV(電気自動車)や5G関連機器、医療分野など、先端技術の発展に伴い、高機能なゴム・プラスチック素材への需要が拡大しています。例えば、軽量でありながら高い強度や耐熱性を持つ素材、電波透過性に優れた素材などが求められています。こうした新技術に対応できる開発力を持つ企業は、今後さらなる成長が期待できます。

2. ゴム・プラスチック製品製造業界におけるM&Aの最新動向

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界のM&A関連動向として、以下の点が注目点です。

  1. 大手企業同士の統合など業界再編の動き
  2. 小規模メーカーが多く今後M&Aが活発になる予測
  3. アジア市場の開拓を目的とした再編が起こる可能性

①大手企業主導による業界再編の加速

近年、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、積水化成品工業や朝日印刷といった大手企業が積極的にM&Aを実施しており、業界再編の動きが活発になってきています。

②小規模メーカーが多く今後M&Aが活発になる予測

ゴム・プラスチック製品製造業界は、約60社の上場企業に対して非上場企業が約15,000社と、中小・小規模事業者が大半を占める構造です。これらの企業では後継者不在の問題が深刻化しており、事業承継を目的としたM&Aのニーズが年々高まっています。技術力がありながら後継者が見つからない企業が、M&Aによって事業を存続させるケースが増加すると予測されます。

③アジア市場の開拓を目的とした再編が起こる可能性

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は、石油価格の上昇や人口減少で国内の需要が縮小傾向にあるため、アジア市場など海外に拠点を広げる動きが活発になりつつあります。

今後は、大量生産品はアジア諸国に拠点を移し、国内では高機能素材や高付加価値製品をメインとする住み分けが進む可能性が高いでしょう。

3. ゴム・プラスチック製品製造業のM&Aにおけるメリットと成功のポイント

ゴム・プラスチック製品製造業のM&Aは、売り手・買い手の双方に多くのメリットをもたらします。ここでは、それぞれのメリットと、M&Aを成功させるためのポイントを解説します。
 

売り手(譲渡企業)のメリット

売り手側の主なメリットは以下の通りです。

  • 後継者問題の解決:後継者がいない場合でも、第三者に事業を引き継ぐことで廃業を回避し、事業の存続が図れます。
  • 創業者利益の獲得:株式譲渡により、オーナー経営者は事業を現金化し、創業者利益を確保できます。
  • 従業員の雇用維持:大手企業の傘下に入ることで経営基盤が安定し、従業員の雇用を守ることにつながります。
  • 事業の成長・発展:譲受企業の販路や資金力を活用し、自社だけでは難しかった設備投資や研究開発が可能になります。

買い手(譲受企業)のメリット

買い手側の主なメリットは以下の通りです。

  • 事業領域の拡大:既存事業とのシナジーが見込める企業を買収することで、製品ラインナップの拡充や新規市場への参入を迅速に行えます。
  • 技術・ノウハウの獲得:特定の加工技術や特許など、独自性の高い技術やノウハウを持つ企業を獲得し、競争力を強化できます。
  • スケールメリットの享受:生産拠点やサプライチェーンを統合することで、仕入れコストの削減や生産効率の向上といったスケールメリットが期待できます。
  • 人材の確保:経験豊富な技術者や熟練工をまとめて獲得でき、人材不足の解消につながります。

M&Aを成功させるためのポイント

M&Aを成功に導くためには、以下のポイントが重要です。

  • M&Aの目的を明確にする:なぜM&Aを行うのか、目的を明確にし、自社にとって最適な相手企業を見極めることが重要です。
  • 企業価値を正しく評価する:自社の強みや技術力、将来性を客観的に評価し、適正な企業価値を算出することが交渉の基本となります。
  • 専門家のサポートを活用する:M&Aには法務、税務、財務など専門的な知識が必要です。M&A仲介会社やアドバイザーなど、実績豊富な専門家の支援を受けることをおすすめします。

  • 業務・産業用機械製造会社のM&A・事業承継

4. ゴム・プラスチック製品製造業のM&A・事業承継事例

この章では、ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継・譲渡・売却事例の中から、最近の事例を紹介します。

ウェーブロックHDによるミネを子会社化

ウェーブロックホールディングスは2025年4月、子会社であるイノベックスを通じて、有限会社ミネの全株式を取得し、同社を孫会社化したと発表しました。ミネはプラスチック製品の開発・製造を手がけ、射出成型や金型設計に強みを持つ企業です。

これまでイノベックスは、ミネ製の関連パーツを仕入れホームセンター向けに販売しており、今回のM&Aにより製品開発力の強化と販路拡大を図ります。これにより、マテリアルソリューション事業のさらなる成長を目指します。

子会社による有限会社ミネの株式の取得(孫会社化)に関するお知らせ

オカモトが理研コランダムを完全子会社化

2024年8月、オカモトは、理研コランダムの普通株式を公開買付け(TOB)により取得することを決定しました。理研コランダムは、このTOBに賛同しています。

オカモトは、産業用製品や生活用品の事業を展開しています。一方、理研コランダム株式会社は、研磨布紙の製造・販売、OA器材部材の製造・販売、さらに不動産賃貸事業を行っています。

今回のTOBの目的は、理研コランダムを完全子会社化することで、上場子会社としての理研コランダムとの利益相反リスクを解消し、オカモトグループ全体での連携を強化することです。

これにより、次のようなメリットとシナジーを追求します。

  • グループ内の技術や人材を融合し、技術情報の共有や顧客紹介を通じて、新たな販売機会の創出と営業・販売力の強化を図る
  • グループ全体の経営資源を活用し、グローバルな成長を推進する
  • 生産拠点の見直しを含めた経営資源の効率的利用と、グループ全体の意識改革によるコスト削減を実現する
  • 上場維持にかかるコストを削減する

理研コランダム株式会社株式(証券コード 5395)に対する 公開買付けの開始に関するお知らせ

藤森工業がフジモリプラケミカルを吸収合併

2024年4月、藤森工業は完全子会社であるフジモリプラケミカルを吸収合併すると発表しました。

藤森工業は、ウェルネス事業、環境ソリューション事業、情報電子事業、産業インフラ事業など幅広い事業を展開する企業です。対象会社のフジモリプラケミカルは、フィルム包装材料の企画、開発、設計製造販売、印刷などを行う企業です。

今回のM&Aにより、事業群を戦略的に組み合わせ、リスクとリターンのバランスを最適化します。

完全子会社の吸収合併(簡易・略式合併)に関するお知らせ

cottaがアスコットを子会社化

2023年8月、cottaはアスコットの株式を全て取得し、子会社化しました。

cottaは大分に拠点を置き、製菓・製パン用食材および包装資材の販売を行う会社です。「cotta(コッタ)」のECサイトでは、食材や道具などの販売を行っているだけでなく、お菓子・パン作りに関するさまざまなコンテンツ配信を積極的に行っています。

対象会社のアスコットは九州を拠点とする会社で、生協向けの荒物雑貨卸売を行っています。

今回のM&Aにより、販売先や売れ筋商品、仕入ルートや配送拠点などを共有することで事業拡大を目指します。

アスコット株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

NOKがエストーを子会社化

2023年7月、NOKはエストーの全ての株式を取得し子会社化しました。

NOKは、シール製品・工業用機能部品・油圧機器・プラント機器などの製造、販売を行うオイルシールメーカーです。対象会社となったエストーは、精密樹脂製品の精密金型設計、製造、生産までの一貫した生産体制を有する会社です。

今回のM&AによりNOKはエストーの保有する高い技術を生かし、より幅広いニーズに対応した電気自動車関連製品の拡充を目指します。また、シール事業、電子部品事業それぞれにおいて新製品の開発を行い、事業基盤の強化を図ります。

株式会社エストーの株式取得 (子会社化) 完了に関するお知らせ

アテクトが三甲と資本業務提携

2022年5月、アテクトは、岐阜県瑞穂市に本社を置く三甲と資本業務提携を結ぶことを決定しました。

アテクトは、半導体資材、衛生検査器材、PIM事業の3つを中心に事業を展開しています。一方、三甲はプラスチック製品の開発・製造・販売を行っており、2022年3月16日時点でアテクトの株式32.99%を取得し、筆頭株主となっています。

この提携により、アテクトは三甲が持つ広範な販売ネットワークや、大量生産における高い製造技術を活用して、3つの事業および今後の新製品展開をさらに加速させる計画です。

これにより、売上拡大や製造・物流コストの削減を目指し、利益の向上を図ることが期待されています。また、両社は今後、さらなるシナジー効果の創出にも努める予定です。

三甲株式会社との資本業務提携についてのお知らせ

住友理工がフランスの連結子会社2社を譲渡

住友理工は2020(令和2)年7月、フランスの連結子会社であるSumiRiko Industry France S.A.S.および SumiRiko AVS France S.A.S.の全ての株式をANVIS HOLDING S.A.S.に譲渡しました。

住友理工は住友グループに属し、高機能ゴム・樹脂製造する企業で、防振ゴム・ホースなどの自動車用品部門は国内トップシェアを誇り、他にも鉄道車両用・住宅用・橋梁(きょうりょう)用防振ゴムなど一般産業用品を製造する総合高機能部品メーカーです。

連結子会社である2社は、フランスにおけるSumitomo Riko Groupのグループ会社であり、自動車防振製品などの製造・販売を行っていました。

譲渡先であるANVIS HOLDING S.A.S.は、Anvis Group GmbHドイツの持ち株会社の傘下であり、2013年より住友理工グループに参入し、自動車防振製品などの製造・販売を行っています。

住友理工は、グループ全体での構造改革を進める中、フランス生産子会社における収益性改善として経営資源の選択と集中のため、M&Aを実施しました。

連結子会社の株式譲渡およびその他の費用計上に関するお知らせ

エフピコが積水ヒノマルから事業譲受

2020年6月、エフピコは事業譲受を積水ヒノマルから行っています。エフピコは、ポリスチレンペーパーや合成樹脂製簡易食品容器の製造・販売、関連包装資材などを販売している会社で、積水ヒノマルは、アグリ事業や成型品事業などを展開している会社です。

エフピコが譲受したのは成形品事業で、これにより、設備稼働率と生産性を上げ、調達・生産コストを削減するのを見込んでいます。

事業譲受に関するお知らせ
【関連】【2023】工作機械業界のM&A動向と最新事例を紹介!現状と今後の課題は?

5. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の案件一覧

本章では、弊社M&A総合研究所が取り扱っているゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の案件を紹介します。

【ベトナム/純資産額譲渡可能】プラスチック包装製造業

ペットボトル、キャップ、プリフォームの製造を手掛けている企業です。生産可能数としては、キャパシティ:120トン/月、平均生産数:90トン/月です。
 

エリア 海外
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 約6億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【関連】【ベトナム/純資産額譲渡可能】プラスチック包装製造業(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【高い技術力と将来有望製品の扱い】東海地方のゴム成形加工業

同規模事業者と比較して、高い技術力(材料選定・設計・試作開発可能)、品質力(各種検査装置保有)と大手比でのコスト競争力で、各種業界トップ企業向けの仕事を受注しています。自走可能な組織体制、現場管理体制を構築し、各部門キーマンが自発的に運営できる組織です。
 

エリア 中部・北陸
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 1000万円〜5000万円
譲渡理由 財務的理由、事業存続に対する不安

【関連】【高い技術力と将来有望製品の扱い】東海地方のゴム成形加工業(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【ベトナム】プラスチック成形トレー製造業

最高水準の価格と品質で現行の規格に準拠しています。国内外500以上の顧客、特に日本や韓国など品質要件の高い市場で実績があります。高い成長率と90%以上の顧客維持率です。
 

エリア 海外
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 3億円
譲渡理由 戦略の見直し

【関連】【ベトナム】プラスチック成形トレー製造業(商社・小売・流通) | M&A総合研究所

【西日本】業歴50年超の老舗企業×プラスチック製調理器具メーカー

創業50年を超える伝統ある老舗メーカーです。従業員数:15名以上(パート含む)で、自社工場を完備しています。
 

エリア 非公開
売上高 1億円〜2.5億円
譲渡希望額 1億円〜2.5億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【関連】【西日本】業歴50年超の老舗企業×プラスチック製調理器具メーカー(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

【ベトナム/プラスチック包装製造業】ECOに特化したペットボトル製造のパイオニア

生産可能数は、キャパシティ:120トン/月で、平均生産数:90トン/月です。機械設備は、プラスチック射出成型機:7台、ボトルブロー成型機:9台、スクリューコンプレッサー:2台です。敷地面積は2,000㎡です。
 

エリア 海外
売上高 2.5億円〜5億円
譲渡希望額 約6億円
譲渡理由 後継者不在(事業承継)

【関連】【ベトナム/純資産額譲渡可能】プラスチック包装製造業(ものづくり・メーカー) | M&A総合研究所

6. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を行う理由とメリット

ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継が行われる主な理由やメリットを、譲渡側・譲受側に分けて見てみましょう。

譲渡側の理由とメリット

ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継が行われる際の、譲渡側の主な理由・メリットは以下の5点です。

  • 後継者不足の解決
  • 従業員の雇用確保
  • 大手の傘下に入り事業規模の拡大
  • 個人保証・担保などの解消
  • 創業者利益の獲得

後継者不足の解決

近年は中小企業経営者の高齢化が進み、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界でも、後継者不足が深刻な問題です。かつてのような親族内事業承継ができないことも多く、経営は順調であるにもかかわらず、後継者がいないために廃業するケースもあるでしょう。

しかし、親族内および社内に後継者がいないゴム・プラスチック製品(部品)製造業者でも、M&Aでの事業承継によって、後継者問題を解決できます。

従業員の雇用確保

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業者が廃業してしまうと、従業員は職を失ってしまいます。しかし、M&Aによる事業承継で他の企業に会社を売却すれば、会社が存続し従業員の雇用を確保できます。

大手の傘下に入り事業規模の拡大

M&Aで大手企業にゴム・プラスチック製品(部品)製造会社を売却すると、大手の傘下に入ったことで事業規模を拡大できます。売却先の子会社となるので自由な経営はできなくなりますが、自社だけでは実現できないシナジー効果を獲得できるのは大きなメリットといえるでしょう。

個人保証・担保などの解消

中小のゴム・プラスチック製品(部品)製造会社では、経営者が会社への融資のために個人保証をしていることが多く、個人の所有不動産などを担保に差し入れていることもよくあります。

個人保証や担保があると、会社が倒産したときに経営者自身も破産する可能性があり、経営者にとって大きな精神的負担です。M&Aで会社を売却した場合、基本的に会社の債務は買い手に引き継がれますから、個人保証や担保の差し入れは解消されます。

創業者利益の獲得

経営者が、会社設立時から保有している株式を売却して得る利益を、創業者利益といいます。創業者利益は株式を上場したときに得るイメージが強いですが、非上場企業でもM&Aで株式を売却すれば、創業者利益を得られるのです。

譲受側の理由とメリット

ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継が行われる際の、譲受側の主な理由・メリットは以下の2点です。

  • ビジネスチャンスの拡大
  • 元請に対するワンストップサービスの訴求

ビジネスチャンスの拡大

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、内製の金型の有無や成形機の出力の違い(油圧や電動など)などによって、顧客・取引先が分化している特徴があります。つまり、同業者といえども、会社の設備によって差別化かなされているわけです。

自社とは違う設備を持つゴム・プラスチック製品(部品)製造会社を買収すれば、その設備とともに新しい顧客・取引先を得られることになり、ビジネスチャンス拡大が図れます。

元請に対するワンストップサービスの訴求

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、作業工程の部分でも各社への発注業務が分化しています。

そこで、ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社の中から、自社とは違う工程の業務を受注している会社を買収すれば、分化している工程をワンストップで提供できるようになり、発注元への訴求効果が向上するのは明らかです。

M&Aの売り手側のメリット・デメリットについては下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aの売り手側のメリット・デメリット!目的、被買収企業側のリスクや流れも解説
【関連】M&Aの買い手側のメリット・デメリット!買収元企業側の目的を解説

7. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継時の譲渡金額の相場

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界では、専門性の高い製品に特化した経営をしている企業が多いので、高いシナジー効果が期待できる買い手を見つけられるかどうかが重要です。

製造拠点を拡大したい買い手の思惑に合致する地域性を有している企業も、相場より高く評価される可能性があります。

譲渡・売却価格の算定方法

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は非上場企業がほとんどなので、譲渡・売却価格を正しく算定するのが重要です。

算定方法には、現在の資産と負債を基準にする方法(コストアプローチ)将来見込まれる利益とリスクを基準にする方法(インカムアプローチ)似た事業を営んでいる上場企業の株価を基準にする方法(マーケットアプローチ)があります。

M&Aの企業価値評価(バリュエーション)については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】M&Aのバリュエーションとは?企業価値評価の算定方法やメリット・デメリットを解説【事例・動画あり】

8. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継を成功させるポイント5選

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継を成功させるポイントは以下の5つです。

  1. 事前の準備・計画を練る
  2. 契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない
  3. 自社の強み・アピールポイントなどを提供用資料にまとめる
  4. M&A・事業承継の目的を明確にする
  5. 専門家に相談する

①事前の準備・計画を練る

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継は、準備をせずに進めてもうまくいかないため、事前に準備・計画を練っておく必要があります。事前準備には、たとえば、後継者の育成事業承継計画の策定といったものです。

余裕がある場合は、債務の圧縮相続問題の調整なども行うと、いざM&A・事業承継に取りかかったときにスムーズに手続きが進みます。

②契約成立までは従業員・取引先などに情報を漏らさない

M&Aによる事業承継は今まで面識のなかった第三者に会社の経営を引き継ぐので、そこで働いている従業員や取引先からすると、友好的なM&Aだったとしても不安に感じることがあります。

従業員が辞めてしまったり、取引先が契約解消してしまったりといった事態を避けるためにも、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継を行う際は、契約成立まで情報を漏らさないように注意しましょう。

③自社の強み・アピールポイントなどを提供用資料にまとめる

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継では、自社の強みやアピールポイントを、いかに買い手に伝えられるかが成功のポイントです。

しかし、ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のような専門性の高い業種の場合、抽象的な表現であると強み・アピールポイントがうまく伝わらない可能性もあります。

したがって、M&A・事業承継を行う際は、あらかじめ自社の強み・アピールポイントを提供用資料にまとめ、買い手に具体的なイメージを持ってもらえるよう準備しておくようにしましょう。

④M&A・事業承継の目的を明確にする

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業のM&A・事業承継では、M&A・事業承継の目的を明確にするのが大切です。後継者を探しているのか、シナジー効果による企業の成長を目指しているのかなど、買い手にはっきりしたビジョンを伝えられるようにしましょう。

⑤専門家に相談する

M&A・事業承継はマッチングサイトを使って自分で行うことも不可能ではありませんが、やはり経験と知識のある専門家に相談したほうが成功する確率は高くなります。M&A仲介会社・M&Aアドバイザリーなどから、製造業に強みを持つ専門家を探して相談するようにしましょう。

【関連】M&Aの相談先9種類!メリットデメリットや選び方と相談時の注意点も解説!

9. ゴム・プラスチック製品(部品)製造の問題となりやすいポイント

ゴム・プラスチック製品(部品)製造の問題となりやすいポイントを紹介します。

①技術の権利関係

他の企業の保有している技術・ライセンスによって製品化している場合、ライセンス契約にチェンジオブコントロール条項が含まれているかどうかの確認が重要となります。

チェンジオブコントロール条項は、M&Aなど行った際に、契約内容に関して何らかの制限をかける条項です。M&Aを行った場合、技術が競合企業グループに利用されることになり、技術情報の流出が起こるリスクもあります。

そのため、ライセンス契約にはチェンジオブコントロール条項が含まれているケースが多く、M&Aの際にライセンサーとの協議が必要となりますので注意が必要です。

②化学物質規制への適合性

化学物質を取扱う企業は、国内や輸出国における化学物質規制への適合性の基準は、国や地域によって異なりますので注意が必要です。

化学物質の使用・管理状況を法令に沿って確認し、状況を是正しておく必要があります。M&A時に問題が発覚した場合、M&A取引の中止や売却後の損害賠償問題などに発展する恐れもあります。
 

10. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継に関する相談先

ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相談先としては、以下の相手が代表的です。

  1. M&A仲介会社
  2. 金融機関
  3. 公的機関
  4. 士業事務所
  5. M&Aマッチングサイト
     

①M&A仲介会社

M&A仲介会社はM&Aの専門家です。ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相談先として最適といえるでしょう。

②金融機関

取引金融機関もゴム・プラスチック製品(部品)製造会社M&A・事業承継の有望な相談先です。金融機関は独自の顧客網を持っており、M&A・事業承継の相手候補を紹介してもらえるかもしれません。

最近はM&A・事業承継仲介の専門部署を設け、力を入れている金融機関も増えてきました。

③公的機関

ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相談先としては、公的機関もあります。中小企業庁からの委託事業として各都道府県に設置されている、事業承継・引継ぎ支援センターが相談しやすいでしょう。

その他にも、各地の商工会議所・商工会、独立行政法人中小企業基盤整備機構などもあります。公的機関ですから、気軽に無料で相談できる点が特徴です。

④士業事務所

ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社の場合、顧問税理士にM&A・事業承継の相談をしてみるのもいいでしょう。顧問税理士なら会社の内容をよく知っているので相談しやすいはずです。その他、弁護士・公認会計士事務所などでも、昨今はM&A仲介業に進出し始めています。

⑤M&Aマッチングサイト

M&Aマッチングサイトは、ゴム・プラスチック製品(部品)製造会社のM&A・事業承継相手探しの場です。登録手数料は無料のサイトが多いので、情報収集の場として利用するのに適しています。

ただし、M&Aマッチングサイトで交渉相手が見つかった場合、交渉や手続きを自社のみで行うか、サイトの運営会社に委託できるのかなど、よく検討して進めなければなりません。

【関連】事業承継・M&Aの相談相手・相談窓口とは!無料相談はできる?選び方も解説!

11. ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継のまとめ

ゴム・プラスチック製品(部品)製造業界は業界再編が進んでおり、M&Aのチャンスが多い業界です。今後、中小企業ではM&Aでの事業承継が増えてくると思われるので、M&Aや事業承継の正しい知識を得て、早い段階から準備を進めておくことが重要になります。

12. 業務・産業用機械製造業界の成約事例一覧

13. 業務・産業用機械製造業界のM&A案件一覧

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