2023年06月13日更新
スポーツ用品業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2023年最新】
スポーツ用品業界ではM&Aの動きが活発化しています。スポーツ用品業界内でのM&Aだけでなく、シナジーを見込める他業種とのM&Aも増加してきました。この記事では、スポーツ用品業界のM&Aについて詳しく解説します。
目次
1. スポーツ用品業界の概要と動向
まず、スポーツ用品業界の概要と動向について解説します。
スポーツ用品業界とは
スポーツ用品とは、スポーツを行うために必要な用具のことで、野球のバットやグローブ、サッカーのボールやシューズ、ソックス、ランナーのためのランニングシューズなどがスポーツ用品です。
スポーツ用品業界は、これらのスポーツをするために必要になる用具に関わる仕事をする業界のことをいいます。一言でスポーツ用品業界といっても、製造、卸売、小売、それぞれのフェーズがあり、それらすべてがスポーツ用品業界です。
この3つの詳細について解説します。
製造業
野球を例に挙げると、グローブやボールの表面の革、バットの木や金属、シューズの靴底のゴムなどの素材を仕入れて、スポーツ用品を製造する会社がスポーツ用品メーカーです。
日本ではミズノやアシックス、世界的に有名なのはナイキやアディダスとなります。
多くのスポーツ用品メーカーは直営店やECによる直販も行っていて、販売業も兼ねていることがほとんどです。
卸売業
全国の小学校単位や地域単位の学童の野球チームやサッカーチーム、中学校の部活動などを地域で支えているのは、直販店ではなく全国各地にあるスポーツ用品店(小売店)です。
スポーツ用品メーカーは全国のスポーツ用品店への流通経路は持っておらず、全国のスポーツ用品店がメーカーへ直接仕入れに行くことはありません。
スポーツ用品メーカーから製造したスポーツ用品を買い取って、全国各地のスポーツ用品店へ届けて店舗に販売するのが卸売業です。製造と販売をつなぐ間の流通を担うのが卸売業となります。
日本では、AETTやモルテン、SSKなどがスポーツ用品の代表的な卸売業です。
小売業
メーカーが製造したスポーツ用品を実際に使う人のもとに届けるのが、スポーツ用品の小売業です。
スポーツ用品店の役割は、スポーツ用品の販売だけではありません。ラケットなどの修理や、どのような用具を使ったらいいのかスタッフの豊富な商品知識に基づいてアドバイスもします。
ECサイトが発達した現在でも、ECでは難しい修理やアドバイスといった部分をカバーするのに、地域のスポーツ用品店は重要な役割を果たしています。
スポーツ用品業界の市場規模と動向
業界動向サーチの分析によると、国内のスポーツ用品業界の市場規模は2022年に約1.2兆円、前年からの成長率は3.1%の増加となっています。
スポーツ用品業界が堅調な理由は、コロナ禍による健康意識の高まりと、密を避けた行動様式が一般化したことで、アウトドアやサイクリング、ジョギングなどの人気が高まったことが挙げられます。
2019年と比較すると、国内の主要スポーツ用品メーカー各社とも2020年にはコロナ禍の影響で売上が減少したものの、2021年にはコロナ禍前よりも売上が増加しました。
2022年に経済が再開してもアウトドアやサイクリング人気は継続中し、コロナ禍で大きく落ち込んだフィットネス業界も回復してきたことから、今後もスポーツ用品の需要は堅調に続くでしょう。
参考:業界動向サーチ「スポーツ用品業界の動向、ランキング、現状など」
2. スポーツ用品業界のM&A動向
スポーツ用品業界では、世界的にシナジーが見込める他業種をM&Aする動きが見られます。
例えば、アシックスが運動量を計測できるGPSを活用したアプリを開発しているアメリカのFitnessKeeperをM&Aで取得して、フィットネスアプリ「Runkeeper」を世界展開しています。
スポーツウェアのデサントは、イギリスのトレイルランニングシューズの製造などを手掛けるイノヴェイトの株式の80%を取得するM&Aを行っています。ウェアだけでなく、シューズの強化も図るようです。
このように、スポーツ用品業界では、IT関連会社や自社が扱っていなかった分野のスポーツ用品、3Dプリント技術などを持つ企業をM&Aする動きが活発化しています。
3. スポーツ用品会社をM&Aするメリット
スポーツ用品業界でM&Aする売却側のメリットは次のとおりです。
- 大手企業の傘下に入ることによる経営の安定化
- 小規模な企業には難しい設備投資が可能になり経営効率化を図れる
これらの結果として、最終的に従業員の雇用を守り、給与のアップなども見込めます。
買収側のメリットとしては次のとおりです。
- 生産体制の拡充による生産効率向上
- 大量仕入れによるコスト削減
- 自社になかった商品ラインナップや生産技術を手に入れることができる
買収側としては、自社でゼロから開発することが難しい分野の企業をM&Aで取得することでのシナジーが見込めます。
4. スポーツ用品会社のM&A・買収・売却事例
スポーツ用品会社のM&Aの事例を紹介します。
ABCマートを株式会社オッシュマンズ・ジャパンをM&Aした事例
2022年2月に、株式会社エービーシー・マートが、株式会社セブン&アイ・ホールディングスの子会社であったスポーツ専門店、株式会社オッシュマンズ・ジャパンの全ての株式を取得して子会社化しました。取得金額は非公表です。
ABCマートは、靴を主体として衣服なども販売するチェーン店を国内に約1,000店舗、海外に約300店舗展開している会社です。
オッシュマンズはアメリカにかつて存在していたスポーツ用品店チェーンで、オッシュマンズ・ジャパンはイトーヨーカ堂が1983年にオッシュマンズのブランドを展開するために業務提携して設立した会社です。国内に9店舗とECを展開しています。
アメリカのオッシュマンズは2001年に買収されて、当時の店舗はほとんどが現在はスポーツオーソリティになりました。
ABCマートとしては、出店余地の大きいオッシュマンズに対して、ABCマートの持つ店舗展開のデータ・運営システムを活用することで運営の効率化が図れるとしています。
こセブン&アイ側もオッシュマンズの今後について検討する中で、両者の思いが合致してM&Aに至りました。
参考:株式会社エービーシー・マート「株式会社オッシュマンズ・ジャパンの株式取得及び それに伴う子会社の異動に関するお知らせ」
株式会社いつも が株式会社ビーランをM&Aした事例
2021年8月に株式会社いつもの子会社であるいつもコマース株式会社が、株式会社ビーランの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが実施されました。
株式会社いつもは、国内の企業に対するEC事業の総合支援を行う会社です。他社への支援事業だけでなく、中長期的な価値の向上のために自社ブランドの増加を図っています。
株式会社ビーランは、スノーボードを中心とした特にスノースポーツの用品の企画、製造、販売を行う会社です。
株式会社いつもは、すでに獲得したブランドの売上が夏季に集中する傾向にあることから、冬季に売上が集中して、いつもの支援企業として業績が安定しているビーランを買収することで、年間を通じて安定した売上が期待できるとのことです。
参考:株式会社いつも「当社子会社による「株式会社ビーラン」の株式取得に関するお知らせ」
ゼット株式会社がベンゼネラル株式会社をM&Aした事例
2020年11月、ベンゼネラル株式会社はスポーツウェア用品卸売販売事業をゼット株式会社へ事業譲渡しました。譲渡金額は非公表です。
ゼット株式会社は大阪府大阪市に本社を置くスポーツ用品の製造会社であり、卸売会社でもあります。
ベンゼネラル株式会社は、デサント系のスポーツ用品製造販売会社として1950年に創設されました。現在は、アマダナスポーツ・エンタテインメントの野球用品ブランドとして、トッププロにも愛用される野球用品を製造しています。
ゼットとしては、ベンゼネラルのスポーツウェア部門を継承することでの売上拡大によるシェアアップ、収益拡大に有益であると判断してのM&Aです。
参考:ゼット株式会社「事業譲受に関するお知らせ」
丸井織物株式会社が株式会社wundouをM&Aした事例
2020年8月に株式会社アドベンチャー の子会社であった株式会社wundouの全ての株式が、丸井織物株式会社に譲渡されるM&Aが実施されました。
株式会社wundouは、オリジナルウェアの製作販売を行っている会社で、チームTシャツやチームジャンパーなどのチームウェアの注文を受け付けています。
丸井織物株式会社は、石川県にある織りから染色、機能性加工までを一貫して行う繊維メーカーです。丸井織物株式会社では、2015年オリジナルTシャツ作成サービスを開始しました。
株式会社wundouの親会社であった株式会社アドベンチャーは旅行予約サイトなどを運営しているIT企業です。
EC運営のノウハウを生かしてwundou社の売上拡大を目指していましたが、コロナ禍における業績の悪化により経営資源の選択と集中を迫られていました。
旅行事業以外の事業の整理を進める中で、wundouとのシナジーが見込める丸井織物からの事業買収の申し出を受けた形でのM&Aです。
参考:株式会社アドベンチャー「連結子会社の異動(株式譲渡)を伴う株式譲渡契約締結に関するお知らせ 」
5. スポーツ用品会社のM&Aの成功のポイント
日本でのM&Aの成功率は4割に満たないとも言われています。会社や事業の売却や買収を進めたいと思っても、6割以上は失敗に終わってしまうのが現状です。M&Aが失敗するのには当然原因があり、その多くに共通点があります。
M&Aを成功させるために特に気をつけなければいけない4つのポイントについて解説します。
シナジー効果の望めそうな売却先を探す
シナジーとは相乗効果という意味です。
M&Aで自社の一部や全部を売却するにあたっては、買収先が相乗効果を発揮できる相手を見つけることが大切です。
ただ単に売上が足し算されるのではなく、M&Aによって倍々増ししていくような効果を得られる相手が見つかると、お互いにとって最高のM&Aになるでしょう。
シナジーを最大化するための相手を見つけるためには、まずは自社の強味と弱味を分析することが大切です。その上で、強みを最大化させて、弱みをお互いに補えるような相手が見つかれば、自社の価値を十分に伝えた上で、より高額売却の可能性も高まります。
専門家を活用する
M&Aを成功させるためには、複雑な手順が必要になります。また、高度な専門的な知識のある人材も必要です。
顧問弁護士や顧問会計士もM&Aについてはなかなか精通していないこともあります
会社の売買を考えているのなら、M&Aの専門家に頼るのが最も近道です。日本には、中小企業のM&Aを専門に扱う専門業者があります。ぜひ、M&Aを考え始めたら、一度、専門家の意見を聞いて判断してみることをおすすめします。
M&Aについて相談するなら
M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。
情報漏洩に注意する
M&Aが失敗する原因の1つが、M&Aについて正式に固まる前に情報漏洩してしまうことです。
まだ詳細が固まっていない段階で万が一情報が漏れてしまうと、誤った憶測が流れて、従業員や取引のある金融機関にいらない不安を抱かせてしまいます。
その結果、従業員のモチベーション低下による業績悪化や、資金繰りが難しくなるなどの問題も生じてしまったこともあります。
M&Aについての情報漏洩の原因は、M&Aの専門業者との会話や電話を社内で聞かれてしまったなど、些細なことも多いよう。発表する段階になるまでは、周囲の状況に気をつけるように心がけましょう。
取引先との関係性
通常、M&Aを実施するときには、買収側としては買収する企業単体ではなく、仕入先や販路も含めて企業価値や資産と考える場合が多く、M&Aをきっかけに取引先との関係が切られてしまうということはほとんどありません。
大手傘下に入ったことで、仕入れ先の素材も買収側企業が扱うようになり、M&Aにより仕入先の売上が増加したような例もあります。
ただし、長い目で見て、取引先との関係を買収側が続けてくれる保証はありません。取引先との関係が今後どうなるのかについては、事前によく買収側と話し合っておくことが大切です。
6. スポーツ用品会社のM&A・事業譲渡まとめ
今後も、健康意識やアウトドア人気は続くでしょうから、スポーツ用品業界は全体としては順調な売上が期待できます。しかし、地域のスポーツ用品店などでは店主の高齢化と後継者不足で、廃業の危機にあるところも少なくありません。
M&Aでの売却は、廃業せずにすむ選択肢となります。ぜひ、スポーツ用品の関連事業の継続が難しいと考えている方や、スポーツ用品業界とのシナジーを創出したいと考えている方は、M&Aを検討してみましょう。
7. 小売業業界の成約事例一覧
8. 小売業業界のM&A案件一覧
【島根県/5,000坪保有】スーパーマーケット・飲食業
飲食店/中国・四国案件ID:1225公開日:2023年09月01日売上高
5億円〜10億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
4億5,000万円
島根県において業務スーパー・飲食店を手掛ける企業
【全国への販路保有】中国地方のCD・DVD販売事業
その他の卸・小売/中国・四国案件ID:1183公開日:2023年08月14日売上高
5億円〜10億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1円(備忘価格)
小売店へのCD・DVD販売
【ヒット商品多数/増収増益】 フィギュア企画・キャラクター3DCGモデリング事業
その他の製造業/娯楽・スポーツ/関東・甲信越案件ID:1177公開日:2023年08月10日売上高
1億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
5000万円〜1億円
・キャラクターフィギュア企画、制作 ・キャラクターモデリング(ゲーム・映像)
【関西・食肉加工】ハム等の生産加工・販売(後継者不在)
食品製造/食品卸・小売/飲食店/近畿案件ID:1106公開日:2023年07月12日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
・食肉製造を中心に、飲食店や百貨店への商品販売を展開。 ・後継者が不在であり、且つ仕入値の高騰等の経済的な観点からも、資本力のある企業での傘下で安定して事業を継続していきたい意向。
【関西】アパレル卸売・販売
繊維・衣料卸・小売/近畿案件ID:1030公開日:2023年06月14日売上高
5億円〜10億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
希望なし
レディースアパレルの卸売及び販売
【好立地/高リピート率】関西地方のエステサロン2店舗・化粧品卸売業
ウェブサイト/ECサイト(カートあり)/美容・健康食品/近畿案件ID:0962公開日:2023年04月19日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
・目元から痩身までのトータルエステサロンを経営。関西地方中心地に2店舗を構え、経験豊富で技術のあるエステティシャンを10名超抱えている事が特徴。 ・ヒト幹細胞を配合した各種化粧品をECサイト等...
【酒蔵/中四国地方】鑑評会受賞歴のある日本酒製造
食品製造/中国・四国案件ID:0365公開日:2021年11月25日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
非公開
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
純米大吟醸や純米吟醸などをはじめとする日本酒の製造・販売。
【酒蔵】歴史のある日本酒製造企業
食品製造/近畿案件ID:0263公開日:2021年07月06日売上高
5000万円〜1億円
営業利益
損益なし
譲渡希望価格
希望なし
純米大吟醸や純米吟醸などをはじめとする日本酒の製造・販売。
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