スポーツ用品業界のM&A動向!売却・買収事例5選と成功のポイントを解説!【2024年最新】

執⾏役員 兼 企業情報部 本部⻑ 兼 企業情報第一本部 本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

スポーツ用品業界ではM&Aの動きが活発化しています。スポーツ用品業界内でのM&Aだけでなく、シナジーを見込める他業種とのM&Aも増加してきました。この記事では、スポーツ用品業界のM&Aについて詳しく解説します。

目次

  1. スポーツ用品業界の概要と動向
  2. スポーツ用品業界のM&A動向
  3. スポーツ用品会社のM&Aをするメリット
  4. スポーツ用品会社のM&A・買収・売却事例
  5. スポーツ用品会社のM&Aの成功のポイント5つ
  6. スポーツ用品会社のM&A・事業譲渡まとめ
  7. 小売業業界の成約事例一覧
  8. 小売業業界のM&A案件一覧
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1. スポーツ用品業界の概要と動向

スポーツ用品とは、スポーツを行うために必要な用具のことで、野球のバットやグローブ、サッカーのボールやシューズ、ソックス、ランナーのためのランニングシューズなどがスポーツ用品です。

スポーツ用品業界は、これらのスポーツをするために必要になる用具に関わる仕事をする業界のことをいいます。一言でスポーツ用品業界といっても、製造、卸売、小売、それぞれのフェーズがあり、それらすべてがスポーツ用品業界です。

この3つの詳細について解説します。

製造業

野球を例に挙げると、グローブやボールの表面の革、バットの木や金属、シューズの靴底のゴムなどの素材を仕入れて、スポーツ用品を製造する会社がスポーツ用品メーカーです

日本ではミズノやアシックス、世界的に有名なのはナイキやアディダスとなります。

多くのスポーツ用品メーカーは直営店やECによる直販も行っていて、販売業も兼ねていることがほとんどです。

卸売業

全国の小学校単位や地域単位の学童の野球チームやサッカーチーム、中学校の部活動などを地域で支えているのは、直販店ではなく全国各地にあるスポーツ用品店(小売店)です。

スポーツ用品メーカーは全国のスポーツ用品店への流通経路は持っておらず、全国のスポーツ用品店がメーカーへ直接仕入れに行くことはありません。

スポーツ用品メーカーから製造したスポーツ用品を買い取って、全国各地のスポーツ用品店へ届けて店舗に販売するのが卸売業です。製造と販売をつなぐ間の流通を担うのが卸売業となります

日本では、AETTやモルテン、SSKなどがスポーツ用品の代表的な卸売業です。

小売業

メーカーが製造したスポーツ用品を実際に使う人のもとに届けるのが、スポーツ用品の小売業です。

スポーツ用品店の役割は、スポーツ用品の販売だけではありません。ラケットなどの修理や、どのような用具を使ったらいいのかスタッフの豊富な商品知識に基づいてアドバイスもします。

ECサイトが発達した現在でも、ECでは難しい修理やアドバイスといった部分をカバーするのに、地域のスポーツ用品店は重要な役割を果たしています

スポーツ用品業界の市場規模と動向

矢野経済研究所:「スポーツ用品市場に関する調査を実施(2024年)」

出典:https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3516

矢野経済研究所の「スポーツ用品市場に関する調査を実施(2024年)」によると、2023年の国内のスポーツ用品業界の市場規模は1兆6,493億円となっています

コロナ禍による健康意識の高まりと、密を避けた行動様式が一般化する中、スポーツ用品市場を支える存在となってきた、アウトドアやサイクリング、ジョギングなどの人気が高まっていましたが、新規参加者数が落ち着いて需要が低減しました。

一方、スポーツシューズなど、特定のオケージョンでの使用を想定していないアイテムの多い分野や競技系分野などは、需要回復が見られました。分野ごとの好不調が見られる中、2023年のスポーツ用品市場全体としては微増推移を見込まれるでしょう。

2. スポーツ用品業界のM&A動向

スポーツ用品業界では、世界的にシナジーが見込める他業種をM&Aする動きが見られます。

例えば、アシックスが運動量を計測できるGPSを活用したアプリを開発しているアメリカのFitnessKeeperをM&Aで取得して、フィットネスアプリ「Runkeeper」を世界展開しています。

スポーツウェアのデサントは、イギリスのトレイルランニングシューズの製造などを手掛けるイノヴェイトの株式の80%を取得するM&Aを行っています。ウェアだけでなく、シューズの強化も図るようです。

このように、スポーツ用品業界では、IT関連会社や自社が扱っていなかった分野のスポーツ用品、3Dプリント技術などを持つ企業をM&Aする動きが活発化しています

3. スポーツ用品会社のM&Aをするメリット

スポーツ用品業界でM&Aする売却側のメリットは次のとおりです。

  • 大手企業の傘下に入ることによる経営の安定化
  • 小規模な企業には難しい設備投資が可能になり経営効率化を図れる

これらの結果として、最終的に従業員の雇用を守り、給与のアップなども見込めます。

買収側のメリットとしては次のとおりです。
  • 生産体制の拡充による生産効率向上
  • 大量仕入れによるコスト削減
  • 自社になかった商品ラインナップや生産技術を手に入れることができる

買収側としては、自社でゼロから開発することが難しい分野の企業をM&Aで取得することでのシナジーが見込めます。

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4. スポーツ用品会社のM&A・買収・売却事例

スポーツ用品会社のM&Aの事例を紹介します。

ルネサンスがスポーツオアシスを吸収合併した事例

2024年5月、ルネサンスは連結子会社のスポーツオアシスを吸収合併しました。

ルネサンスは、フィットネスクラブ、スイミングスクール、 テニススクールなどのスポーツクラブを運営しています。対象会社のオアシスは、会員制スポーツクラブの経営を運営しています。

ルネサンスを存続会社としオアシスは解散することが決定しました。今回のM&Aにより、グループ経営の最適化、経営資源の効率化を図り、さらなる事業発展を目指します。

ABCマートが株式会社オッシュマンズ・ジャパンを子会社化した事例

2022年2月に、株式会社エービーシー・マートが、株式会社セブン&アイ・ホールディングスの子会社であったスポーツ専門店、株式会社オッシュマンズ・ジャパンの全ての株式を取得して子会社化しました。取得金額は非公表です。

ABCマートは、靴を主体として衣服なども販売するチェーン店を国内に約1,000店舗、海外に約300店舗展開している会社です。

オッシュマンズはアメリカにかつて存在していたスポーツ用品店チェーンで、オッシュマンズ・ジャパンはイトーヨーカ堂が1983年にオッシュマンズのブランドを展開するために業務提携して設立した会社です。国内に9店舗とECを展開しています。

アメリカのオッシュマンズは2001年に買収されて、当時の店舗のほとんどが現在はスポーツオーソリティになりました。

ABCマートとしては、出店余地の大きいオッシュマンズに対して、ABCマートの持つ店舗展開のデータ・運営システムを活用することで運営の効率化が図れるとしています。

セブン&アイ側もオッシュマンズの今後について検討する中で、両者の思いが合致してM&Aに至りました。

参考:株式会社エービーシー・マート「株式会社オッシュマンズ・ジャパンの株式取得及び それに伴う子会社の異動に関するお知らせ

株式会社いつもが株式会社ビーランを子会社化した事例

2021年8月に株式会社いつもの子会社であるいつもコマース株式会社が、株式会社ビーランの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが実施されました。

株式会社いつもは、国内の企業に対するEC事業の総合支援を行う会社です。他社への支援事業だけでなく、中長期的な価値の向上のために自社ブランドの増加を図っています。

株式会社ビーランは、スノーボードを中心とした特にスノースポーツ用品の企画、製造、販売を行う会社です。

株式会社いつもは、すでに獲得したブランドの売上が夏季に集中する傾向にあることから、冬季に売上が集中して、いつもの支援企業として業績が安定しているビーランを買収することで、年間を通じて安定した売上が期待できるとのことです。

参考:株式会社いつも「当社子会社による「株式会社ビーラン」の株式取得に関するお知らせ

ベンゼネラル株式会社がゼット株式会社に事業譲渡した事例

2020年11月、ベンゼネラル株式会社はスポーツウェア用品卸売販売事業をゼット株式会社へ事業譲渡しました。譲渡金額は非公表です。

ゼット株式会社は大阪府大阪市に本社を置くスポーツ用品の製造会社であり、卸売会社でもあります。

ベンゼネラル株式会社は、デサント系のスポーツ用品製造販売会社として1950年に創設されました。現在は、アマダナスポーツ・エンタテインメントの野球用品ブランドとして、トッププロにも愛用される野球用品を製造しています。

ゼットとしては、ベンゼネラルのスポーツウェア部門を継承することでの売上拡大によるシェアアップ、収益拡大に有益であると判断してのM&Aです。

参考:ゼット株式会社「事業譲受に関するお知らせ

株式会社wundouが丸井織物株式会社へ株式譲渡した事例

2020年8月に株式会社アドベンチャーの子会社であった株式会社wundouの全ての株式が、丸井織物株式会社に譲渡されるM&Aが実施されました。

株式会社wundouは、オリジナルウェアの製作販売を行っている会社で、チームTシャツやチームジャンパーなどのチームウェアの注文を受け付けています。

丸井織物株式会社は、石川県にある織りから染色、機能性加工までを一貫して行う繊維メーカーです。丸井織物株式会社では、2015年よりオリジナルTシャツ作成サービスを開始しました。

株式会社wundouの親会社であった株式会社アドベンチャーは旅行予約サイトなどを運営しているIT企業です。

EC運営のノウハウを生かしてwundou社の売上拡大を目指していましたが、コロナ禍における業績の悪化により経営資源の選択と集中を迫られていました。

旅行事業以外の事業の整理を進める中で、wundouとのシナジーが見込める丸井織物からの事業買収の申し出を受けた形でのM&Aです。

参考:株式会社アドベンチャー「連結子会社の異動(株式譲渡)を伴う株式譲渡契約締結に関するお知らせ

5. スポーツ用品会社のM&Aの成功のポイント5つ

日本でのM&Aの成功率は4割に満たないとも言われています。会社や事業の売却や買収を進めたいと思っても、6割以上は失敗に終わってしまうのが現状です。M&Aが失敗するのには当然原因があり、その多くに共通点があります。

M&Aを成功させるために特に気をつけなければいけない4つのポイントについて解説します。

シナジー効果の望めそうな売却先を探す

シナジーとは相乗効果という意味です。

M&Aで自社の一部や全部を売却するにあたっては、買収先が相乗効果を発揮できる相手を見つけることが大切です。

ただ単に売上が足し算されるのではなく、M&Aによって倍々増ししていくような効果を得られる相手が見つかると、お互いにとって最高のM&Aになるでしょう。

シナジーを最大化するための相手を見つけるためには、まずは自社の強味と弱味を分析することが大切です。その上で、強みを最大化させて、弱みをお互いに補えるような相手が見つかれば、自社の価値を十分に伝えた上で、より高額売却の可能性も高まります。

専門家を活用する

M&Aを成功させるためには、複雑な手順が必要になります。また、高度な専門的な知識のある人材も必要です。

顧問弁護士や顧問会計士もM&Aについてはなかなか精通していないこともあります

会社の売買を考えているのなら、M&Aの専門家に頼るのが最も近道です。日本には、中小企業のM&Aを専門に扱う専門業者があります。ぜひ、M&Aを考え始めたら、一度、専門家の意見を聞いて判断してみることをおすすめします。

情報漏洩に注意する

M&Aが失敗する原因の1つが、M&Aについて正式に固まる前に情報漏洩してしまうことです。

まだ詳細が固まっていない段階で万が一情報が漏れてしまうと、誤った憶測が流れて、従業員や取引のある金融機関にいらない不安を抱かせてしまいます。

その結果、従業員のモチベーション低下による業績悪化や、資金繰りが難しくなるなどの問題も生じてしまったこともあります。

M&Aについての情報漏洩の原因は、M&Aの専門業者との会話や電話を社内で聞かれてしまったなど、些細なことも多いよう。発表する段階になるまでは、周囲の状況に気をつけるように心がけましょう。

取引先との関係性

通常、M&Aを実施するときには、買収側としては買収する企業単体ではなく、仕入先や販路も含めて企業価値や資産と考える場合が多く、M&Aをきっかけに取引先との関係が切られてしまうということはほとんどありません。

大手傘下に入ったことで、仕入れ先の素材も買収側企業が扱うようになり、M&Aにより仕入先の売上が増加したような例もあります。

ただし、長い目で見て、取引先との関係を買収側が続けてくれる保証はありません。取引先との関係が今後どうなるのかについては、事前によく買収側と話し合っておくことが大切です。

6. スポーツ用品会社のM&A・事業譲渡まとめ

今後も、健康意識やアウトドア人気は続くでしょうから、スポーツ用品業界は全体としては順調な売上が期待できます。しかし、地域のスポーツ用品店などでは店主の高齢化と後継者不足で、廃業の危機にあるところも少なくありません。

M&Aでの売却は、廃業せずにすむ選択肢となります。ぜひ、スポーツ用品の関連事業の継続が難しいと考えている方や、スポーツ用品業界とのシナジーを創出したいと考えている方は、M&Aを検討してみましょう。

7. 小売業業界の成約事例一覧

8. 小売業業界のM&A案件一覧

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