2023年06月12日更新
居酒屋は事業譲渡と株式譲渡どちらが得?注意点も解説【事例あり】
当記事では、居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡について、どの手法が得なのか・それぞれの特徴・譲渡の理由などを解説しています。そのほか、居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡の事例や、譲渡の際の注意点なども取り上げています。
目次
1. 居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡
居酒屋を売却する場合には、事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡のスキームが利用されていますが、各スキームには、どのような特徴があるのでしょうか。
ここでは、居酒屋の概要を踏まえて、居酒屋の譲渡で主に用いられる2つのスキームについて解説します。
居酒屋とは
居酒屋とは、酒や酒に合う料理を提供する店のことです。酒屋が店頭で桝酒を振る舞うようになってから、宿場で旅人に対する酒と魚の提供へと変わり、酒と魚のみを提供する居酒屋に発展しています。
居酒屋と呼ばれる店舗には、焼き鳥屋・おでん屋・串カツ屋などをはじめ、イタリアン・スペイン料理を振る舞う店や、各地の郷土料理を提供する店舗などがあります。
店舗の形態もさまざまで、昔ながらの大衆酒場のほか、立ち飲み・角打ち・個室居酒屋など、利用客のニーズに合わせて酒と肴を提供しています。
事業譲渡・事業売却とは
居酒屋の事業譲渡・事業売却とは、事業の一部やすべてを第三者に譲り渡すことです。具体的には、買い手との交渉をして、資産・負債・営業権・従業員の雇用・取引先との契約など譲渡する資産を決め、対象会社への引き継ぎを行います。
居酒屋の事業譲渡・事業売却では、廃業や倒産の回避・ノンコア事業の切り離し・譲渡益の獲得・雇用や取引契約の継続などのために、対象事業を譲渡しています。
居酒屋の事業から手を引く個人事業者・法人は、それぞれの事情に合わせて、自社の居酒屋事業を手放しているといえるでしょう。
株式譲渡・会社譲渡とは
居酒屋の株式譲渡・会社譲渡とは、自社の株式を第三者へ譲渡し、経営権を引き渡すことです。会社そのものを第三者に承継させるため、すべての権利義務を引き継いでもらえます。
そのため、事業譲渡・事業売却のように、承継する権利義務を選択する必要がなく、簡易な手続きでの譲渡が可能です。
ただし、簿外債務などのリスクも引き継がれるため、買い手による徹底したデューデリジェンスに対応する必要があります。
居酒屋の株式譲渡・会社譲渡は、事業・エリアの拡大を目指す企業によって利用されるスキームといえ、多店舗展開やさまざまな業種を取り扱う企業を買収して、自社の成長を図っています。
2. 居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う際の手法の違い
居酒屋の譲渡に用いられるスキームには、事業譲渡・事業売却と株式譲渡(会社譲渡)がありますが、各スキームには、どのような特徴が見られるのでしょうか。
ここでは、事業譲渡・事業売却と株式譲渡(会社譲渡)の特徴について、それぞれ詳しくみていきましょう。
居酒屋の事業譲渡・事業売却に関する特徴
まずは、居酒屋の事業譲渡・事業売却を行うメリットとデメリットを紹介します。各スキームを選択する際は、事前にメリットだけでなくデメリットを把握しておくことも大切です。
メリット
居酒屋の事業譲渡・事業売却には、主に以下3つのメリットがあります。
- 譲渡する権利義務を限定できる
- 法人格を残せる
- 会社に譲渡益が入る
①譲渡する権利義務を限定できる
1つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却のメリットは、譲渡する権利義務を限定できる点です。事業譲渡・事業売却では、資産や負債、営業権など、第三者に譲り渡す権利義務を選択できます。
そのため、自社に残す・他社に譲る権利義務に分けられるので、株式譲渡・会社売却のように、会社そのものの譲渡を行う必要はありません。したがって、会社を残したまま別の事業を始めることも可能です。
また、建物・土地といった資産や、技術・ノウハウを有している人材など、必要な資産を自社に残せるので、譲渡後の事業展開に欠かせない権利義務を手放さずに済むのもメリットといえるでしょう。
②法人格を残せる
2つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却のメリットは、法人格を残せる点です。居酒屋の事業に関する権利義務のみを譲渡するので、会社の法人格を残すことが可能です。
別事業への転換や並行して行う事業への集中など、継続した会社運営が可能になるため、法人格を残したい企業は、事業譲渡・事業売却を選択するとよいでしょう。
③会社に譲渡益が入る
3つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却のメリットは、譲渡益の獲得です。事業譲渡・事業売却の対価は会社に支払われるため、居酒屋を譲渡すると会社に譲渡益が入ります。
得られた譲渡益は、新事業や並行する事業の資金に回す・借入金の返済に充てるなど、会社の運営に使うことができます。
デメリット
居酒屋の事業譲渡・事業売却には、主に以下3つのデメリットもあります。
- 手続きが煩雑
- 競業避止防止義務を負う
- 譲渡益に対する課税
①手続きが煩雑
1つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却のデメリットは、煩雑な手続きが必要になることです。
株式譲渡・会社譲渡とは異なり、譲渡する権利義務を個別に移転させる必要があるので、手続きに時間と労力を要します。
さらに、債権や契約などは事前に相手方の同意を得ておくことが求められるので、株式譲渡・会社譲渡よりも、手間のかかるスキームといえるでしょう。
②競業避止防止義務を負う
2つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却のデメリットは、競業避止防止義務を負う点です。
事業譲渡・事業売却を行う場合、譲渡した事業について同一の市町村・隣接する市町村で営業してはならない旨が会社法により定められています。
営業できない期間は譲渡をした日から20年と定められているため、居酒屋の事業譲渡・事業売却後に同一事業を再開する場合には、注意が必要です。
③譲渡益に対する課税
3つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却のデメリットは、譲渡益に対する課税です。居酒屋の事業譲渡・事業売却による対価は、会社が受け取ります。
譲渡益には法人税が課せられるため、対価の額によっては多額の税金を支払わなければなりません。
そのため、居酒屋の譲渡で、事業譲渡・事業売却のスキームを選ぶ場合には、支払う税金についても理解しておきましょう。
居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)に関する特徴
次は、居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のメリット・デメリットについてみていきましょう。
メリット
居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)を利用すると、主に以下3つのメリットが享受できます。
- 手続きが簡単
- 創業者利益を獲得できる
- 譲渡益に対する課税率が低い
①手続きが簡単
1つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、手続きが簡単であることです。
株式譲渡(会社譲渡)のスキームでは、自社株式の譲渡により経営権が引き渡せるほか、資産・負債・営業権などの権利義務も譲渡できるため、手続きが簡単だといえます。
②創業者利益を獲得できる
2つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、創業者利益を獲得できる点です。株式譲渡(会社譲渡)では、株式を所有するオーナー・株主が、譲渡益を獲得します。
そのため、株式譲渡(会社譲渡)で居酒屋を譲渡すれば、創業者利益を得られ、引退後の生活や新会社の立ち上げに必要な資金がある程度確保できるでしょう。
③譲渡益に対する課税率が低い
3つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のメリットは、譲渡益に対する課税率が低い点です。
事業譲渡・事業売却では、譲渡益に対する課税率は約30%ですが、株式譲渡(会社譲渡)では、約20%(所得税+住民税̟+復興特別所得税)となっています。
そのため、譲渡益の獲得による課税を抑えたい場合には、株式譲渡(会社譲渡)の利用を検討してみるとよいでしょう。
デメリット
次に、居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のデメリットについて解説します。居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)では、主に以下5つのデメリットがあるので、しっかりと把握してからスキームを検討するようにしましょう。
- 会社そのものを譲渡しなければならない
- 労働条件が変更される可能性
- 簿外債務などの発覚による訴訟リスク
- 統合に時間がかかる
- 取引契約が解消されるリスク
①会社そのものを譲渡しなければならない
1つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、会社自体を譲渡しなければならない点です。
株式譲渡(会社譲渡)ではすべての権利義務を譲り渡すため、会社の一部門のみの譲渡はできません。そのため、居酒屋を手放して他の事業に専念する場合には不向きといえるでしょう。
②労働条件が変更される可能性
2つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、労働条件が変更される可能性がある点です。
居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)を終えても、統合後に労働条件が変更される場合があります。このような場合、経営権は買い手に移ってしまうことから、労働条件の変更を理由とした従業員の離職が起きてしまうことも考えられます。
③簿外債務などの発覚による訴訟リスク
3つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、簿外債務などの発覚による訴訟リスクです。
株式譲渡(会社譲渡)では、すべての権利義務が承継されるため、譲渡後に隠れた簿外債務などが発覚すると、訴訟を起こされる可能性があります。
④統合に時間がかかる
4つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、統合に時間を要する点です。事業譲渡・事業売却とは異なり1つの会社が他社の傘下に入るため、企業間での理念や文化・事業の進め方・システムなどの統合に多くの時間を要します。
また、異業種間での統合では業種による違いから各部門にかかる負担が大きくなるため、統合までに多くの時間を要するケースも多いです。
⑤取引契約が解消されるリスク
5つ目に挙げる居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)のデメリットは、取引契約が解消されるリスクがあることです。
経営権を獲得した買い手が、取引を行う担当者を代えたり、取引契約の内容に変更を加えたりすると、取引先の反発を招きかねません。
場合によっては、取引契約の見直し・解消に発展する恐れがあるため、居酒屋の株式譲渡(会社譲渡)では、取引契約が解消するリスクがあることを知っておきましょう。
3. 居酒屋のM&Aは事業譲渡と株式譲渡どちらが得か?
居酒屋のM&Aでは、譲渡益に対する課税率を考えた場合、株式譲渡・会社譲渡の方が得をするといえるでしょう。
事業譲渡・事業売却の譲渡益には、約30%の法人税を課せられるのに対し、株式譲渡・会社譲渡では約20%の所得・住民税の課税に留まります。
そのほかにも、株式譲渡・会社譲渡では、複雑な手続きを必要とせずに、すべての権利義務を譲り渡せたり、創業者利益を獲得できたりするため、引退を望む・新会社を設立する・新たに居酒屋事業を始める方には得といえるでしょう。
しかし、居酒屋事業から手を引き別事業に注力する場合は、法人格を残せる事業譲渡・事業売却を選択するほうがよいといえます。会社に譲渡益が入るため、得られた資金を注力する事業に回せるからです。
このように、居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡・会社譲渡では、売り手の目的によって、得といえるスキームが異なります。
課税額を目安とするなら、株式譲渡・会社譲渡に利があり、会社の存続に着目すると事業譲渡・事業売却が適しているといえます。
居酒屋を譲渡する場合は、譲渡によって何を望むかをはっきりさせてから自社に合ったスキームを選択することが大切です。
4. 居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う事業者は、どのような理由でスキームを実行に移しているのでしょうか。ここでは、居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由について解説します。
- 後継者問題の解決ができる
- 廃業を避けたい
- 従業員の雇用先を確保できる
- 店舗数を増やすことができる
- 別事業を始めたい
- 売却・譲渡益を獲得できる
①後継者問題の解決ができる
1つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由は、後継者問題の解決です。
親族や社内に経営を任せられる人物がいなくても、第三者へ事業を譲り渡せば、経営を引き継ぐことが可能です。
また、居酒屋や関連業種の経営実績を持つ買い手に譲り渡せば、事業・取引の継続も見込めるため、後継者不足に悩んでいる場合は、事業譲渡・事業売却か株式譲渡を選択するケースが多いです。
②廃業を避けたい
2つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由は、廃業を回避するためです。
廃業を選択すると、賃貸借に関する原状回復費・内装の解体費用・設備の処分費用・リース代の支払い・借入金の返済など、多くの出費が伴います。
しかし、事業譲渡・事業売却か株式譲渡により第三者への譲渡をすれば、廃業せずに済むだけでなく譲渡益が得られるので、支払いや譲渡後の生活費用に充当できます。
③従業員の雇用先を確保できる
3つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由は、雇用先の確保です。
廃業・倒産を選択すると従業員を解雇しなければなりません。しかし、事業譲渡・事業売却か株式譲渡を行えば、従業員の雇用も引き継いでもらえます。
④店舗数を増やすことができる
4つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由は、店舗数を増やすためです。
自社の居酒屋事業を資本力やノウハウのある企業へ譲り渡せば、新たな付加価値が生まれ、企業・事業の成長から店舗数の増加につなげることができます。
⑤別事業を始めたい
5つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由は、別事業を開始するためです。
居酒屋事業に見切りをつけたり経営を軌道に乗せたりすると、経営者は別の事業に興味を向けることがあります。
そのようなケースでは、事業譲渡・事業売却か株式譲渡で事業・会社を譲り渡せば、譲渡益を新しい事業の資金に充てることができます。
⑥売却・譲渡益を獲得できる
6つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由は、売却・譲渡益の獲得です。
事業譲渡・事業売却の場合は会社に売却・譲渡益が入り、株式譲渡の場合はオーナーが売却・譲渡益を得ます。
得た売却・譲渡益を、既存・新事業の資金・借入金の返済・老後の生活費などに充てることができます。
5. 居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡事例
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡は、どのような企業で行われているのでしょうか。ここでは、居酒屋の事業譲渡・事業売却事例と株式譲渡事例をご紹介します。
居酒屋の事業譲渡・事業売却事例
まずは、居酒屋の事業譲渡・事業売却事例を5つご紹介します。
- エム・ピーの運営店舗3店の事業譲渡・事業売却
- ジェイアンドジェイによる海鮮居酒屋の事業譲渡・事業売却
- 関東の居酒屋3店舗の事業譲渡・事業売却
- 大衆居酒屋(11店舗)の事業譲渡・事業売却
- 北海道の居酒屋(3店舗)の事業譲渡・事業売却
①エム・ピーの運営店舗3店の事業譲渡・事業売却
1つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却事例は、エム・ピーの運営店舗3店の事業譲渡・事業売却です。
札幌市で飲食業や携帯ショップの運営などを行うタザワの子会社・エム・ピーは、2019年の2月に「立ち呑みパラダイス」「cafe bar BANK」「季節料理 あま乃」の3店舗を、エイムカンパニーに事業譲渡しています。
対象の事業を譲り受けたエイムカンパニーは、札幌進出から、道外への出店を目指すとしています。
②ジェイアンドジェイによる海鮮居酒屋の事業譲渡・事業売却
2つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却事例は、ジェイアンドジェイによる海鮮居酒屋の事業譲渡・事業売却です。
九州などで61店舗の海鮮居酒屋事業を展開するジェイアンドジェイは、2018年の6月に、アスラポートの子会社・イノセント・ジャパンに、海鮮居酒屋を譲渡しました。
事業を承継したアスラポートおよび、その親会社・アスラポート・ダイニングは、対象会社と共同で食材の購買・仕入れ・物流を行うことにより、物流の効率化や仕入れコストの減少に取り組むとしています。
③関東の居酒屋3店舗の事業譲渡・事業売却
3つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却事例は、関東の居酒屋3店舗の事業譲渡・事業売却です。
売り手側のオーナーは、居酒屋事業の業態・業績が希望した水準に達したため、近似の飲食業に進出した企業へ事業譲渡・事業売却しました。
買い手は、居酒屋事業のノウハウを自社の飲食業に活かせると判断し、事業の承継を決めています。
④大衆居酒屋(11店舗)の事業譲渡・事業売却
4つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却事例は、大衆居酒屋(11店舗)の事業譲渡・事業売却です。
売り手は首都圏で11店舗の大衆居酒屋を運営していましたが、好調な業績を上げている一方で店舗の増加によるマネジメントの対応に限界を感じていました。
そこで、飲食業への進出を果たした食品製造会社に対象事業の譲渡を行いました。買い手は自社の資金力を活かし、承継した居酒屋事業の多店舗展開を進めていくとしています。
⑤北海道の居酒屋(3店舗)の事業譲渡・事業売却
5つ目に挙げる居酒屋の事業譲渡・事業売却事例は、北海道の居酒屋(3店舗)の事業譲渡・事業売却です。
売り手は北海道で飲食店を10店舗ほど運営していましたが、北海道の各地に店舗を構えているためマネジメントが難しくなり、多様な事業を手掛けている企業に3店舗の居酒屋を事業譲渡・事業売却しました。
買い手は、利益を上げている・ノウハウを獲得できる・人材を確保できる点に注目し、飲食事業の拡大につながる対象事業を譲り受けています。
居酒屋の株式譲渡事例
続いて、居酒屋の株式譲渡の事例をご紹介します。
- チムニーによるシーズライフの株式譲渡
- SFPホールディングスによるクルークダイニングの株式譲渡
- 梅の花によるテラケンの株式譲渡
- SFPホールディングスによるジョー・スマイルの株式譲渡
- ジー・テイストによる湯佐和の株式譲渡
①チムニーによるシーズライフの株式譲渡
1つ目に紹介する居酒屋の株式譲渡事例は、チムニーによるシーズライフの株式譲渡です。
海鮮に重点を置いた居酒屋を732店舗持つチムニーは、2019年11月に、主に東京関東圏で10店舗の焼肉店と居酒屋を展開しているシーズライフの全株式を取得し、子会社としました。
これによりチムニーは、焼肉業態をグループに導入して多店舗展開することにより、さらなるグループの発展を見込んでいます。
②SFPホールディングスによるクルークダイニングの株式譲渡
2つ目に紹介する居酒屋の株式譲渡事例は、SFPホールディングスによるクルークダイニングの株式譲渡です。
SFPホールディングスは、居酒屋のノウハウを所有する地方の企業と提携し、自社ブランドを提供する「SFPフードアライアンス構想」を進めるために、対象企業の株式譲渡(会社譲渡)を実行しています。
③梅の花によるテラケンの株式譲渡
3つ目に紹介する居酒屋の株式譲渡事例は、梅の花によるテラケンのM&Aです。
豆腐・湯葉・懐石料理の提供や、寿司・弁当のテイクアウト事業を手掛ける梅の花は、2019年の5月に、海鮮・焼き鳥・漁師めしといったコンセプトを掲げた居酒屋を展開するテラケンの株式を取得する譲渡契約を結びました。
梅の花は、アスパラントグループから、所有する対象会社の発行株式2,290株を取得し、連結子会社としました。
梅の花は、対象企業の株式譲渡(会社譲渡)をつうじて、仕入れや物流に関するシナジーの獲得や、組織の活性化を図るとしています。
④SFPホールディングスによるジョー・スマイルの株式譲渡
4つ目に紹介する居酒屋の株式譲渡事例は、SFPホールディングスによるジョー・スマイルの株式譲渡です。
新鮮な魚介類を提供する「磯丸水産」や、鶏料理の「鳥良商店」などの業態を展開するSFPホールディングスは、2019年の3月に熊本で「前川水軍」などの居酒屋を運営するジョー・スマイルの株式を取得し、子会社としています。
SFPホールディングスは、株式譲渡(会社譲渡)をつうじて、対象会社に対する自社の居酒屋ブランドの運営委託と、対象企業のブランド育成・強化・エリア拡大のサポートを行い、自社の企業価値を向上させる方針です。
⑤ジー・テイストによる湯佐和の株式譲渡
5つ目に紹介する居酒屋の株式譲渡事例は、ジー・テイストによる湯佐和の株式譲渡です。
居酒屋をはじめとした飲食店やフードコートの運営、加工食品の製造などを手掛けるジー・テイストは、2018年の10月に、地域に根差した寿司・海鮮居酒屋を展開する湯佐和の株式を取得しています。
対象企業は株式譲渡のまえに新設分割を行い、新設する会社へ3店舗の権利義務を承継させています。ジー・テイストは、残された10店舗を株式譲渡(会社譲渡)によって子会社としました。
ジー・テイストは対象会社の株式取得により、朝どれ鮮魚の提供ノウハウを獲得し、収益の向上・価格競争力の強化などを目指すとしています。
6. 居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う際は、どのような点に注意を払えばよいのでしょうか。ここでは、居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際に注意すべき5つのポイントについて解説していきます。
- 事業譲渡・事業売却・株式譲渡の目的を明確にする
- 自店舗の価値が相手先に伝わるようにデータをまとめる
- 計画的に準備を行う
- 最適な手法を選択する
- 事業譲渡・事業売却・株式譲渡の専門家に相談する
①事業譲渡・事業売却・株式譲渡の目的を明確にする
1つ目に紹介する居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点は、目的の明確化です。
経営者によって居酒屋を譲渡する目的は異なり、後継者問題の解消・譲渡益の獲得・廃業の回避など、目的ごとに優先する条件も違ってきます。
譲渡する目的を曖昧にしていると、自社の希望がとおらない・不当な条件を呑んでしまうなど、事業譲渡・事業売却・株式譲渡が失敗に終わる可能性が高くなります。
そのため、居酒屋の事業譲渡・事業売却・株式譲渡を行う際は、譲渡の目的を明確にすることが大切です。
②自店舗の価値が相手先に伝わるようにデータをまとめる
2つ目に紹介する居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点は、自社の価値をデータにまとめておくことです。
買い手に興味を持ってもらうには、自店舗の価値をアピールする必要がありますが、口頭でどれだけ説明しても、客観的なデータがなければ交渉から成約に移行することは難しいといえるでしょう。
交渉にあたり自社の売り上げなどをデータにまとめておけば、買い手は提出されたデータに基づいて、承継後の経営計画を立てられるため、交渉がスムーズに進み成約につながる可能性も高くなります。
③計画的に準備を行う
3つ目に紹介する居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点は、計画に基づいた準備を行うことです。
居酒屋の譲渡では、相談先を探す・スキームと交渉先の選定・譲渡契約の締結など、いくつもの過程を経なければなりません。
そのため、無計画のまま譲渡を進めてしまうと、想定していた期間内に譲渡契約を終えられないことも考えられます。
具体的には、自社の強みを把握する・成約までの期間を設定する・譲渡の目的を明確にするなど、計画的な準備が必要です。
④最適な手法を選択する
4つ目に紹介する居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点は、最適な手法の選択です。
居酒屋事業の譲渡では、事業譲渡・事業売却と株式譲渡の手法が多く利用されていますが、譲渡の目的によってふさわしい手法は異なります。
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を成功させるためには、自社に見合った手法を選ぶことが重要であるため、M&A仲介会社などの専門家と相談しながら手法を選択することをおすすめします。
⑤事業譲渡・事業売却・株式譲渡の専門家に相談する
5つ目に紹介する居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点は、事業譲渡・事業売却・株式譲渡の専門家への相談することです。
M&Aに関する専門知識がなければ、適切な譲渡価格や手法の決定・交渉や成約手続き・デューデリジェンスへの対応などを行うことは極めて難しいといえるでしょう。
居酒屋事業の譲渡で、事業譲渡・事業売却・株式譲渡を実施する場合は、M&A仲介会社などの専門家に相談し、サポートを受けながら進めていくようにしましょう。
M&A仲介会社などの専門家に相談すれば、的確なアドバイスを受けられるだけでなく、交渉や手続きもサポートしてもらえるため、事業譲渡・事業売却と株式譲渡の成功確率も高くなります。
7. 居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う際におすすめのM&A仲介会社
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。
M&A総合研究所では、案件ごとにM&A専門のM&Aアドバイザーが専任に就き、クロージングまでフルサポートいたします。
料金体系は、完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)の料金体系となっており、着手金は譲渡企業様・譲受企業様とも完全無料ですので、初期費用を抑えたい場合にもおすすめです。
また、成約まで最短3ヶ月という実績もあり、機動力にも強みを持っております。居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う際は、お気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。
8. まとめ
当記事では、居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡について、それぞれのメリット・デメリット、譲渡を行う理由などを紹介しました。
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡では、譲渡する事業者の目的によって得をする手法は異なるため、自社に合った方法を選択することが重要です。
【居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡を行う理由】
- 後継者問題の解決ができる
- 廃業を避けたい
- 従業員の雇用先を確保できる
- 店舗数を増やすことができる
- 別事業を始めたい
- 売却・譲渡益を獲得できる
【居酒屋を事業譲渡・事業売却と株式譲渡する際の注意点】
- 事業譲渡・事業売却・株式譲渡の目的を明確にする
- 自店舗の価値が相手先に伝わるようにデータをまとめる
- 計画的に準備を行う
- 最適な手法を選択する
- 事業譲渡・事業売却・株式譲渡の専門家に相談する
居酒屋の事業譲渡・事業売却と株式譲渡では、M&Aの知識を必要とするため、自社のみで行わずにM&A仲介会社などの専門家に相談することをおすすめします。
9. 居酒屋業界の成約事例一覧
10. 居酒屋業界のM&A案件一覧
【関東/オリジナルブランド保有・FC展開あり】ホルモン居酒屋運営業
飲食店/関東・甲信越案件ID:2410公開日:2024年11月14日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
1000万円〜5000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
・オリジナルブランドのホルモン居酒屋の複数店舗の運営 ・FC展開も積極的に行い、FC本部の運営
【首都圏】メディア掲載多数の人気居酒屋【複数店舗】
飲食店/関東・甲信越案件ID:2335公開日:2024年10月17日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
都内にて、人気の居酒屋を複数展開している企業
【食べログ評価3.5以上・知名度抜群】 都内ドミナント出店・複数飲食店運営
飲食店/関東・甲信越案件ID:2181公開日:2024年08月22日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
赤字経営
譲渡希望価格
1000万円〜5000万円
対象企業は都内でドミナント出店にて複数店舗の飲食店経営を手掛ける企業でございます。
【シンガポール/譲渡案件】人気ラーメン店複数店舗
飲食店/海外案件ID:2143公開日:2024年08月10日売上高
2.5億円〜5億円
営業利益
5000万円〜1億円
譲渡希望価格
希望なし
シンガポールにて2店舗のラーメン屋を運営しています。ラーメンの他、とんかつやかつ丼等のメニューも提供しており人気を博しています。
【東海地方/超好立地店舗】韓国系飲食店の運営、FC本部の運営
飲食店/中部・北陸案件ID:1950公開日:2024年06月17日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
〜1000万円
譲渡希望価格
2.5億円〜5億円
飲食店の運営(複数店舗あり) FC本部の運営
【事業譲渡】都内コンセプトバー2店舗
飲食店/娯楽・スポーツ/関東・甲信越案件ID:1454公開日:2023年12月11日売上高
1億円〜2.5億円
営業利益
5000万円〜1億円
譲渡希望価格
希望なし
都内でコンセプトバーを2店舗運営しております。 本件は株式譲渡ではなく、事業譲渡が前提でございます。
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