日用雑貨業界のM&A動向!売却・買収事例3選やメリットを解説!【2023年最新】

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

日用雑貨業界では、自社の規模を拡大して業界内でのシェアを獲得する目的でのM&Aで盛んに行われています。この記事では、日用雑貨業界の業界動向と、M&Aのメリット、実際にM&Aを行った事例などを解説します。

目次

  1. 日用雑貨業界の概要と動向
  2. 日用雑貨業界のM&A動向
  3. 日用雑貨会社をM&Aするメリット
  4. 日用雑貨会社のM&A・買収・売却事例4選
  5. 日用雑貨会社のM&Aの成功のポイント
  6. 日用雑貨業界のM&A・事業譲渡まとめ
  7. 小売業業界の成約事例一覧
  8. 小売業業界のM&A案件一覧
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1. 日用雑貨業界の概要と動向

日用雑貨とは、私達が毎日の生活を送る上で必要となる物のことです。私達の日常生活を支えるために必要な物品の中で、食料品や衣料品を除く消費財がほぼ全て日用雑貨に分類されます。

日用雑貨は、総合スーパーや食品スーパー、ドラッグストア、100円ショップ、ホームセンター、コンビニなど幅広い店舗で扱われています。

また、現在は日用雑貨のインターネットショッピングでの取引も増加しており、多様な販売チャネルで扱われています。

日用雑貨業界とは

日用雑貨を扱う日用雑貨業界の詳細について解説します。日用雑貨業界には、製造業、卸売業、小売業があります。それぞれどのような業界なのかみていきましょう。

製造業

日用雑貨を製造するメーカーのことです。日用雑貨はとても幅が広いので、メーカーごとにそれぞれ力を入れている分野が異なります。

洗剤や台所用スポンジなどを製造する家庭日用品、シャンプーや髭剃りなどを製造するビューティケアなど、それぞれメーカーごとに特徴があります

大手の日用雑貨のメーカーの研究開発力はとても高く、特徴的な商品を開発してもすぐに真似されてしまい、価格破壊が起きがちです。そのために、大手企業間の競争が激しく、中小企業の参入はなかなか難しいでしょう。

卸売業

メーカーが製造した日用雑貨を、各地のスーパーやドラッグストアへ届ける役割をしているのが卸売業です。

日用雑貨の卸売業では、メーカーから日用雑貨を購入して、小売店へ販売します

日用雑貨は商品が多様化しており、販売先も多岐に渡ります。卸業者間の競争も激しくなる中、各小売店が必要としている商品をタイムリーに届けられる必要性が高まっており、業者それぞれがさまざまな工夫をこらして他社との差異化にしのぎをけずっています。

小売業

日用雑貨の小売業は、店舗の種類が多岐にわたります。

昔からある百貨店や総合スーパー、ホームセンター、専門店、商店などの他に、近年では100円ショップやハンズやロフトなどの生活雑貨専門店が登場しました。

さらに、無印良品やフランフランなどのライフスタイル提案型のショップも登場しています。

BtoCでの薄利多売が基本で、店舗間の競争がかなり厳しい上に、近年ではECの利用者も急増しています

日用雑貨業界の市場規模と動向

業界動向サーチの上場企業の売上推移では、日用雑貨業界は、2019年まで緩やかに売上が増加していましたが、コロナ禍に襲われた2020年に大きく売上が減少しました。2021年には大幅に回復しています。

業界動向サーチの雑貨業界ランキングで2021年売上高業界1位の良品計画の売上高推移は、2019年には4,387億円、2020年には1,793億円、2021年には4,536億円と、2021年にはコロナ禍前以上の売上を記録しました。

参考:業界動向サーチ「雑貨業界の動向や現状、ランキングなどを解説」「良品計画

2. 日用雑貨業界のM&A動向

日用雑貨業界では、規模の拡大とブランド力強化を目的としたM&Aが盛んです

日用雑貨業界では、規模の大きな大手企業と、個性的な特徴のある小規模企業の二極化が進んでいます。

従来は、できるだけ安く仕入れて売るというのが日用雑貨業界の卸や小売の一般的なビジネスモデルでした。しかし、それでは激化する競争についていけずに、廃業したり大手の傘下に入る企業が増えています。

薄利多売の日用雑貨業界では、シェアの拡大がとても重要なポイントです。今後も、M&Aが増加することが予想されます。

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3. 日用雑貨会社をM&Aするメリット

日用雑貨会社でM&Aを行うメリットをみていきましょう。

売却する側のメリット

売却して事業を譲渡する側のメリットとは次のとおりです。

  • 後継者問題の解決と会社の継続が可能になる
  • 創業者利益が確保できる
  • 人材獲得がしやすくなる
  • 連帯保証を解除できる
  • 販路・調達先の確保
  • 仕入れコストの削減

小規模な町工場や小売店では、社長の後継者がいなくて会社の存続が危ぶまれるところが少なくありません。M&Aで事業を譲渡することで、後継者問題を解決し、更に株式を現金化して利益を確保することができます

大手企業の傘下に入れば、ネームバリューで採用活動がしやすくなります。販路や調達先も増やすことできるでしょう。

買収する側のメリット

M&Aで日用雑貨会社を買収して譲渡される側のメリットは次のとおりです。

  • 仕入れ・販売・流通・店舗運営におけるスケールメリットの拡大
  • ブランド力の獲得・向上
  • ビジネス基盤の拡大

M&Aで他の会社を買収した場合、当然のことながら製造したり販売したりする場が拡大します。スケールメリットが拡大することによる、仕入れや販路が拡大するメリットがあります

おしゃれ雑貨や化粧品などではブランド力が重要な場合もあります。M&Aによってブランドを買収することで、ブランド力を強化できるでしょう。

同業種を買収した場合、地域や顧客、扱う商品の幅などが拡大します。M&Aによりビジネス基盤を拡大させることも可能です。

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4. 日用雑貨会社のM&A・買収・売却事例4選

日用雑貨会社をM&Aした事例を紹介します。

ニトリホールディングスとエディオンの資本業務提携

2022年4月に株式会社ニトリホールディングスが、株式会社エディオンの株式を取得して業務提携を行うM&Aが実施されました。

ニトリがエディオンの株式を、エディオンの株主であった株式会社LIXILなどから市場外相対取引により取得したり、市場買付によって取得したりして、株式の所有割合を10%にして、主要株主となります。

ニトリは国内外に700店舗近い店舗を展開している家具及びインテリア用品小売業の大手企業です。傘下には家具・インテリア専門店とホームセンターを展開する島忠もあります。

エディオンは国内にグループ店舗を1,200店舗以上を展開している、売上高業界5位の家電量販店です。

このM&Aの目的は、ニトリとエディオンの両社は、それぞれの経営資源とノウハウを相互活用できるようになることで、今後の両グループの事業拡大を図るとのことです。

参考:株式会社ニトリホールディングス「株式会社エディオンとの資本業務提携に関するお知らせ

イオンがキャンドゥをM&Aした事例

2021年10月に、イオン株式会社が株式会社キャンドゥの株式の公開買付を行い連結子会社化するM&Aが実施されました。

イオン株式会社は国内外に300以上の企業で構成される流通大手グループであるイオングループを統括しています。系列のショッピングセンターが国内に約370軒、グループ会社を含めると系列の店舗は2万店以上です。

キャンドゥは1993年に設立された100円ショップで、国内に約1,100店舗を展開しています。100円ショップとしては、ダイソー、セリアに次ぐ業界第3位の規模です。

キャンドゥがこの公開解決に応じた理由は、100円ショップ間の競争が激化する中で、仕入れ原価の上昇傾向もあり、近年、店舗オペレーションの改革が急務でした。

イオングループの傘下に入ることにより、イオンの系列店舗への出店を拡大できる上に、イオンが持つリソースやノウハウの活用が可能になり、さらなる成長や企業価値向上を実現できると考えたためだとのことです。

参考:株式会社キャンドゥ「イオン株式会社による弊社株式に対する公開買付けについて 」

ショーエイコーポレーションがCSをM&Aした事例

2012(平成24)年10月に、株式会社ショーエイコーポレーションが、株式会社CS及びその子会社の株式会社クルーの全ての株式を取得して子会社化するM&Aが実施されました。

取得金額は株式会社CSの株式が2億円、株式会社クルーの株式が1億2万7,200円です。

ショーエイコーポレーションはプラスチックフィルム包装資材を専門に扱うメーカーでした。

株式会社CSは、100円ショップやドラッグストア向けの日用雑貨品の企画販売を、株式会社クルーでは、ポリ袋などの包装資材の企画販売を行っていました。

ショーエイコーポレーションは、このM&Aを機に新たに日用雑貨品事業を立ち上げて、現在では、パッケージ事業や100円ショップやドラッグストアなどの日用雑貨品の商品規格販売事業も展開しています。

その後、2019年にショーエイコーポレーションは株式会社CSと株式会社クルーを吸収合併し、株式会社CSと株式会社クルーは解散しました。

参考:株式会社ショーエイコーポレーション「株式取得(子会社化)に関する株式譲渡契約書締結についてのお知らせ」「完全子会社2社の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ

【関連】ゴム・プラスチック製品(部品)製造のM&A・事業承継の動向!売却事例、譲渡金額相場も解説

5. 日用雑貨会社のM&Aの成功のポイント

日本ではM&Aの成功率は4割に届かないと言われています。事業を譲渡したい、他社を買収して事業を成長させたい、と考えたときに、どうすれば成功するのでしょうか。ここからは、日用雑貨会社のM&Aを成功に導くためのポイントについて解説します。

専門家に相談する

会社の売却や買収を検討したいと考え始めたら、まずはM&Aの専門家に相談することをおすすめします。中小企業のM&Aを手掛ける専門業者がありますので、まずはM&Aの専門家に相談しましょう

M&Aのご相談はお気軽にM&A総合研究所までお問い合わせください

M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。

M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ) 随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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特約の確認

日用雑貨会社の卸会社と小売会社をM&Aで買収するときには、取引先と特約があるかどうかをよく確認しましょう。

特約とは、例えば卸会社がメーカーとの間で独占販売権を得ていたり、卸と小売の間で最低購入数量を決めていたりするものです

人気メーカーの独占販売権のような特約であれば卸や小売にとって大きな強みになりますが、逆の場合は買収後にグループ会社でも人気商品を販売できない可能性もあります。

最低購入数量を決めている場合には、買収後にグループでの一括購入に切り替えようとしたら違約金が発生するという場合もあります。特約の有無はその後の利益にも影響してくるので、事前に必ず把握するようにしましょう。

取引先との契約内容や継続可能かの確認

M&Aで日用雑貨会社を買収するときには、取引先と買収後も取引が継続できるかどうか、確認しておきましょう。

M&Aでは、取引先を含めて企業の資産と考えます。M&A後に取引を打ち切られても、替えが効くのなら問題はありません。

しかし、仕入先が1社に偏っているような場合には、その1社からの取引が打ち切られてしまったら、事業の継続が難しくなります。

M&Aを成功させるためには、クロージングが完了するまで情報は公表しません。しかし、取引先との継続が危ぶまれる前には、M&Aの最終契約後にクロージングまでに取引継続が可能かどうかの確認を取ることが多いです

許認可が必要かの確認

日用雑貨といっても商品に幅が広く、食料品店も組み合わせたり、店舗の一角で古着や古本を販売するコーナーを設けたり、カフェを併設したりする場合もあるでしょう。

日用雑貨店を開く場合でも、販売するものや併設する業態によっては許認可が必要になるので注意しましょう。特に注意したいのは次のような場合です。

  • アンティーク雑貨や古着、古本、輸入雑貨を扱う場合:古物商許可が必要
  • カフェを併設する場合:飲食店営業許可が必要
  • パンやクッキーなどを販売する場合:菓子製造業許可が必要
  • 自社開発した化粧品を製造販売する場合:化粧品製造販売業の許可が必要

なお、化粧品製造販売業を取得済みの国内業者から仕入れた化粧品は、特に許可を取らなくても販売できます。

その他にも、許認可が必要なものがある可能性があります。食品や化粧品を扱う場合には、特に注意して確認しましょう。

【関連】倉庫会社のM&A・買収・売却の完全マニュアル【相場/成功事例あり】

6. 日用雑貨業界のM&A・事業譲渡まとめ

日用雑貨業界でもM&Aが増加しています。やはり薄利多売の業界なので、中小企業はなかなか生き残りが難しい時代に入ってきていることがその根底にあるようです。

日用雑貨を扱う会社で、今後が心配な方は、ぜひ一度、事業の譲渡や継続についてM&Aの専門家に相談してみることをおすすめします。

7. 小売業業界の成約事例一覧

8. 小売業業界のM&A案件一覧

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