設計事務所のM&A・事業承継動向【2025年最新版】売却のメリット、成功のポイントを事例と共に解説

取締役営業本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

後継者不足などを背景に、設計事務所のM&Aや事業承継が増加傾向にあります。本記事では、最新の業界動向から売却のメリット、成功のポイントまでを網羅的に解説。貴社の未来を拓くための選択肢を具体的に提示します。

目次

  1. 設計事務所とは
  2. 設計事務所業界におけるM&A・事業承継の最新動向
  3. なぜ今?設計事務所でM&Aや事業承継が増加する背景
  4. 設計事務所がM&Aを行うメリット【売却側】
  5. 設計事務所のM&A・事業承継の流れ
  6. 設計事務所はM&A・事業承継で後継者不足を解決
  7. 設計事務所のM&A・事業承継を成功させる5つのポイント
  8. 設計事務所のM&A・事業承継の事例
  9. 設計事務所のM&A・事業承継における成功・失敗事例
  10. 設計事務所のM&A・事業承継ニュース
  11. 設計事務所のM&A・事業承継の案件例
  12. 設計事務所のM&A・事業承継の際におすすめの相談先
  13. 設計事務所のM&A・事業承継のまとめ
  14. 建設・土木業界の成約事例一覧
  15. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

1. 設計事務所とは

この章では、設計事務所が実際に行っている業務や、M&A・売却・事業承継との関係を改めて整理するとともに、M&A・売却・事業承継の詳しい内容を解説します。

設計事務所の定義

設計事務所とは、建築士が所属する法人のことをいいます。大きく分けて、メインとなる建築士が一人の個人事務所と、複数の建築士が共同で運営する事務所の2パターンです。

日本標準産業分類では建築設計業に該当し、それによれば「土木・建築に関する専門的なサービス(設計監理業務など)を行う事業所」と定義されています。

また、個人や法人の設計事務所だけでなく、 国や地方公共団体などの建設工事に関わる設計・監理を手掛ける機関も分類上は同じ建築設計業です。

設計事務所は、提供するサービスによって主に「意匠設計」「構造設計」「設備設計」の3つに分類されます。

*   **構造設計**:建築物の安全性を保つための設計(耐震性や荷重構造など)を手掛ける
*   **意匠設計**:建築物の外観や内装のデザイン部分を手掛ける
*   **設備設計**:建築物のインフラ(電気・空調・衛生設備など)を手掛ける

また、意匠設計事務所は、建築家個人が主体のアトリエ系、組織的に事業を行う組織系、都市計画などのアドバイザー役を担うコンサル系などに細分化されます。近年では、BIM/CIMの導入支援やDX推進コンサルティングなど、新たな付加価値を提供する事務所も増えています。

2. 設計事務所業界におけるM&A・事業承継の最新動向

設計事務所のM&A・事業承継動向には、以下の3つの特徴が見られます。

①大半が零細企業の業界であり、後継者が不在のことが多い

総務省・経済産業省の「経済センサス」によると、建築設計業の事業所の多くは小規模・零細企業です。少ない資本や設備で経営でき、設計者個人の能力に依存しやすいため、個人経営や家族経営の形態が多く見られます。

そのため、経営者が高齢化しても親族や従業員の中に適任の後継者が見つからず、事業承継が困難になるケースが少なくありません。結果として、優れた技術や実績がありながらも廃業を選択せざるを得ない状況が課題となっています。

②M&Aの件数は限定的だが、専門性は高く評価される

先述のように、設計事務所は零細企業の割合が高いため、他の業種に比べるとM&Aが行われている件数も少なくなっています。設計事務所での業務には専門的な知識が必要となるため、なかなか売却先が見つからないケースもあります。

経営者が引退する年齢に差しかかったなど、事業承継を検討する段階になればできるだけ早めに準備を進めることが大切です。

③継続して成長が見込める分野をつかむ必要がある

国内の建築需要が新築中心から質を重視する方向へシフトする中、設計事務所は新たな成長分野を捉えることが不可欠です。具体的には、省エネ・脱炭素化に対応した環境配慮型建築(ZEBなど)、既存ストックを活用するリノベーションやコンバージョン、BIM/CIMを活用したDX推進などが今後の成長領域として期待されています。

こうした市場の変化に対応できる専門性や技術力を持つ事務所は、M&A市場においても高く評価される傾向にあります。

3. なぜ今?設計事務所でM&Aや事業承継が増加する背景

近年、設計事務所のM&A・事業承継が増加している理由には、以下の5つがあります。

①廃業・倒産を避けるためにM&A・事業承継を考える

自身が育ててきた設計事務所をできるだけ長く継続したい思いや、現在設計事務所で働いている従業員のことを考えても、廃業・倒産を避けたいと考えるのは経営者として当然のことでしょう。

自身の周りに後継者となるべく人物がいない場合は、M&Aによる事業承継を選択すれば、廃業・倒産を避けられます。従業員の雇用先も確保できるでしょう。

②経営者が引退年齢になっている

中小企業経営者の高齢化は深刻な問題であり、設計事務所も例外ではありません。2024年版「中小企業白書」によると、経営者の年齢分布のピークは年々上昇しています。特に2025年には、多くの中小企業経営者が平均引退年齢である70歳を超えると予測されており(2025年問題)、事業承継は待ったなしの状況です。

後継者不在のまま引退時期を迎える経営者が増えることで、今後さらに設計事務所のM&Aや事業承継のニーズが高まると考えられます。

③子供がおらず教育・育成ができない

近年の日本は少子化傾向です。設計事務所の経営者に子供がいないことで、親族内事業承継ができないケースもあります。親族内事業承継ができない場合は、第三者へのM&A・事業承継によって設計事務所を引き継ぐと、事業の継続が可能です。

④後継者が見つからないため焦っている

設計事務所の経営者の中には、親族や従業員に後継者となるべき人物がいないために焦ってしまい、廃業を選択するケースもあります。廃業してしまうと、続けてきた事業や取引先との関係がなくなり、従業員を解雇しなければなりません。それだけでなく、廃業コストも必要になります。

M&A・事業承継を選択すれば、第三者の適切な相手に事業を引き継げます。従業員を解雇する必要もなく、廃業コストの心配もなくなるでしょう。

⑤社長の能力に依存している傾向が強い

少人数で経営していることの多い設計事務所では、社長も第一線で働き、多くの業務を請け負っていることが多く見られます。このように社長の能力に依存している設計事務所では、従業員への業務の引き継ぎが進んでいないケースも少なくありません。

後継者の育成が十分にできないまま、経営者が引退の時期にさしかかり、結果としてM&A・事業承継を選択するケースが増えています。

⑥創業者利益(売却益)の獲得

M&Aで自社(株式)や事業を売却した場合、対価としてまとまった現金を得ることができます。使用するM&A手法によって対価の受取先は違い、株式譲渡では株主(オーナー)、事業譲渡では会社へ対価が入るかたちです。

M&Aによって得た売却益を引退後の生活費にしたり、新規事業の立上げ資金にしたりできるため、売却益の獲得を目的としてM&Aを行うケースも多くみられます。

⑦事業成長や従業員の待遇改善のため

事業拡大を図るためには資金などリソースの投入が不可欠ですが、小規模あるいは中小規模の設計事務所では自力での成長に限りがあるケースもあります。

そのため、M&Aによって経営基盤の安定した企業傘下となることで、事業成長を目指すケースも多いです。M&A後は譲受側のリソースを活用できるので、自社の力だけでは難しかった事業拡大・成長も実現しやすくなります。

また、M&A後は譲受側の人事制度に合わせるため、大手企業の傘下となることで従業員の待遇が改善されるケースも多いです。

  • 建設・土木会社のM&A・事業承継

4. 設計事務所がM&Aを行うメリット【売却側】

M&Aによる事業承継は、単に廃業を避けるだけでなく、売却側の経営者にとって多くのメリットをもたらします。ここでは、主なメリットを3つの観点から解説します。
 

後継者問題を解決し、事業を存続できる

最大のメリットは、親族や社内に後継者がいなくても、外部の第三者に事業を引き継ぎ、会社を存続させられる点です。M&Aによって、これまで培ってきた技術やノウハウ、顧客との関係性を失うことなく、次の世代へと承継できます。これは、廃業を選択した場合と大きく異なる点です。
 

創業者利益の獲得と個人保証の解除

株式譲渡によるM&Aの場合、オーナー経営者は会社の株式を売却することで、まとまった創業者利益(売却益)を得ることができます。この資金を引退後の生活資金や新たな事業への投資に充てることが可能です。また、多くの中小企業経営者が抱える金融機関からの借入に対する個人保証も、M&Aによって買い手企業に引き継がれるため、経営者は保証のプレッシャーから解放されます。
 

従業員の雇用維持と技術の承継

M&Aは、従業員の雇用を守る上でも有効な手段です。廃業すれば従業員は職を失いますが、M&Aであれば、買い手企業のもとで雇用が継続されるのが一般的です。また、大手企業の傘下に入ることで、従業員の待遇改善やキャリアアップの機会拡大にも繋がる可能性があります。従業員が安心して働き続けられる環境は、貴重な設計技術の承継にも不可欠です。
 

5. 設計事務所のM&A・事業承継の流れ

ここでは、設計事務所のM&A・事業承継の流れを、親族内事業承継(親族外事業承継)とM&Aによる事業承継とに分けて解説します。

親族内事業承継(親族外事業承継)の流れ

まずは、親族内事業承継(親族外事業承継)の流れを解説します。

事業承継計画の策定

事業承継を行うことが決まったら、まずは事業承継の計画書を作成します。具体的な内容としては、現在の会社の状況・後継者候補・引継ぎ時期と方法などを書いておくとよいでしょう。

計画書を作成することにより、どのような手順で何を行うかが明確になるので、スムーズな事業承継が可能になります。

親族の了承(親族外事業承継の場合)

自社の役員や従業員などを後継者とする親族外事業承継を選択する場合は、事前に親族の了承を得ておく必要があります。親族の了承を得ずに事業承継を進めてしまうと、相続その他の問題により後々トラブルになる可能性もあります。該当する親族には事前に説明して了承を得るようにしましょう。

専門家への相談

親族内(外)事業承継を行うことが決まったら、早い段階でM&A仲介会社などの専門家に相談し、サポートを受けながら進めていくことをおすすめします。特に、自社株式を後継者に引き継ぐ場合は、専門的な知識が必要になるため、専門家のサポートが合ったほうがスムーズに進められます。

事業承継計画書の策定などのサポートも受けられるので、一度無料相談などを利用してみるとよいでしょう。

後継者の育成・教育

事業承継計画書を策定し、会社の状況を整理・確認できたら、次は後継者候補を選びます。候補者が複数いる場合は、経営者としての適性や人間性をしっかり見極めるようにしましょう。

後継者が決まったら、経営者になるべく教育・育成を進めます。経営知識やノウハウなど必要事項を教えなければならないため、育成・教育にはそれなりの時間を要します。

一般的に後継者の育成・教育には1年~数年程度は必要とされているため、余裕を持った事業承継のスケジュールを立てることが大切です。

資産・株式などの承継

経営者が経営権を握るためには、株式を過半数以上持っていることが必要になります。株主総会で重要事項を決議するため、必要な3分の2以上の株式を持っていることが望ましいでしょう。

経営者の後継者が決まった時点で株式が分散している場合は、株式の買取りなどを進めなければなりません。株式の買取りを行う際には、株式買い取りに必要な資金を用意する必要があります。

個人保証・負債の処理

親族内(外)事業承継では、資産だけでなく経営者個人の債務・保証も引き継がれます。個人保証や負債を処理しないまま事業を引き継いでしまうと、トラブルの原因ともなりかねないため注意が必要です。銀行融資などの個人保証や負債は、事業承継を行う前に処理をしておくことが重要です。

M&Aによる事業承継

次に、M&Aによる事業承継の流れを見ていきましょう。M&Aを行う際は、一般的には専門家へ依頼するため、ここではM&A仲介会社へ相談することを前提とした手続きの流れを解説します。
 

仲介会社などへの相談

M&Aによる事業承継を行うことを決めたら、まずは仲介会社などの専門家に相談します。M&A仲介会社は、M&Aを専業としているため、M&Aに関する知識や経験を豊富に有しています。効果的かつ有効なサポートが受けられるでしょう。

事業承継に関する相談は、M&A仲介会社をはじめ、顧問税理士や会計士、取引のある金融機関(銀行や信用金庫)、そして国が設置する「事業承継・引継ぎ支援センター」などの公的機関で受け付けています。

特にM&A仲介会社は、豊富な専門知識とネットワークを持ち、相手企業の探索から交渉、成約までを一貫してサポートしてくれるため、スムーズなM&A実現の力強いパートナーとなります。
 

秘密保持契約書の締結

秘密保持契約とは、自社の情報を提供する際、外部に漏らしたり不正に利用されたりすることを防止するために結ぶ契約をいいます。秘密保持契約に記載する事項は、ケースによっても異なりますが、以下の内容を最低限盛り込むことが一般的です。

  • 秘密保持契約の対象となる内容と期間 
  • 秘密保持義務を負う人物と対象となる内容の漏えいがあった場合の損害賠償の可否 
  • 秘密保持を調べるための調査権限 
  • 問題が起こったときの裁判所への手続き

承継先の選定

M&A仲介会社に事業承継を希望する条件を伝えると、条件に合う相手先を10社程度紹介してくれるので、その中から数社程度に絞りこみます。有力な買い手候補に打診し、具体的な交渉へと進みます。

意向表明書の提示

意向表明書とは、譲受企業が譲り受けの意向を示すために譲渡企業に提出する書面をいいます。意向表明書の提出は必須ではありませんが、譲受企業の意向を書面にして譲渡企業に伝えることで、より円滑なM&Aの成約へとつながります。

基本合意書の締結

お互いの基本的な合意が得られると、基本合意書を締結して最終合意に向けて動き出します。基本合意書には、譲渡価格や取引のスキームなどを記載します。あくまで基本的な合意であるため、後に変更も可能です。

仲介会社によっては、基本合意の時点で「中間金」という報酬が発生することもあるため、事前に確認するとよいでしょう。

デューデリジェンスの実施

基本合意書を締結したら、買い手候補企業によるデューデリジェンスが実施されます。デューデリジェンスとは企業調査のことです。財務状態を調べるファイナンシャルデューデリジェンス、事業内容を調べるビジネスデューデリジェンスなどが一般的です。

売り手側は、これらのデューデリジェンスに対応するため、書類提出、視察の立ち会い、専門家のサポートを受けながら質問への対応を行います。

最終契約書の締結

デューデリジェンスの結果、問題がないとわかり両社が納得すれば、最終契約書の締結をします。最終契約書の名前は、事業譲渡の場合は事業譲渡契約書、株式譲渡の場合は株式譲渡契約書と呼ばれます。

一度、最終契約書を締結すると、原則取り消せないため、慎重に契約しなければなりません。

クロージング

最終契約書が締結されて事業譲渡・株式譲渡が確定すると、実際の譲渡手続きを行うクロージングに入ります。事業譲渡の場合は手続きがやや複雑になるため、クロージングにある程度の期間が必要となります。

事業承継の方法については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】事業承継とは?方法別メリットとデメリット・注意点・必要な準備を徹底解説

6. 設計事務所はM&A・事業承継で後継者不足を解決

他業種の中小企業と同じく、設計事務所も後継者不足は大きな問題となっています。そのようなケースでは、M&A・事業承継が非常に有効な手段です。

M&A総合研究所では、M&Aに精通したM&Aアドバイザーがクロージングまで案件をフルサポートします。料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。

無料相談を受け付けていますので、設計事務所のM&A・事業承継をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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7. 設計事務所のM&A・事業承継を成功させる5つのポイント

後継者不足の設計事務所がM&A・事業承継されるためには、以下の5つのポイントを押さえておくことが重要です。

①事業承継・買収先にメリットがある強みを持つ

事業を買収する立場から考えると事業承継を行うことによりどのようなメリットがあるのかを伝えることが重要です。事業承継する事業を買収することにより、買い手企業がどのようにさらに成長できるかを提示するようにします。

②安定した顧客・取引先がいる

実際に事業承継を行ったものの顧客・取引先を全て新規から考えなければいけないとなると、非常に大変です。長い間やり取りをしている安定した顧客・取引先がいることを提示することは、買い手側のメリットとなります。

③さまざまな実績がある

事業承継を行う事業が、現在もしくは過去にさまざまな実績があれば、事業承継をスムーズに行える可能性は高くなります。買い手側としても、事業承継する事業にさまざまな実績があるとわかれば、不安なく事業を買収できます。

④M&A成立後のトラブルに向けた対策を講じておく

設計事務所のM&Aを行うにあたり、M&A成立後にはじめて発覚したトラブルの処理方法を、売り手企業と買い手企業で取り決めておくと良いでしょう。

一般的には、株式譲渡契約書にて、元のオーナーと新オーナーのどちらが責任を負うかを定めておくことが多いです。元オーナーが死去した場合に備えて、元オーナーの親族に責任を負担させる場合もあります。

⑤M&A・事業承継の専門家に相談する

M&A・事業承継は行われる頻度が低いため、自分自身で行うには限界があります。M&A・事業承継の専門家に相談することをおすすめします。

8. 設計事務所のM&A・事業承継の事例

設計事務所のM&A・事業承継の事例を紹介します。

ビジネス・ワンホールディングスによるナカケンの子会社化

2024年10月、ビジネス・ワンホールディングスはナカケンの株式を取得し、子会社化しました。

ビジネス・ワンホールディングススグループは、不動産事業やソフトウェア事業、ファイナンス事業など、6事業によるグループ展開をしています。対象会社のナカケンは、建築設計、マンションの企画設計、リフォーム・リノベーション事業を行っている企業です。

今回のM&Aにより、両社の強みを活用し業容拡大と企業価値の向上を目指します。

参考:ネス・ワンホールディングス株式会社「株式会社ナカケンの株式の取得(連結子会社化)に関するお知らせ」

グッドライフカンパニーによるデベロップデザインの子会社化

2024年9月、グッドライフカンパニーはデベロップデザインとCBI HOLDINGSの株式を取得し、子会社化しました。

グッドライフカンパニーグループは、賃貸マンション用地の販売、設計、不動産投資マネジメント事業、エネルギー事業を展開しています。対象会社のデベロップデザインは、東京都をメインとしたマンションの用地仕入、販売・設計から開発を行っています。CBI HOLDINGSは、デベロップデザイン社の持株会社です。

今回のM&Aにより、新たな収益機会の獲得と企業価値向上を図ります。

参考:株式会社グッドライフカンパニー「子会社の異動を伴う株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

ERIホールディングスによる北洋設備設計事務所の子会社化

2023年5月、建築物などび専門的第三者検査機関として事業を行うERIホールディングスは、札幌市の北洋設備設計事務所を子会社化する発表しました。

子会社となる北洋設備設計事務所は、公共建築物の設計及び施工管理・耐震診断・省エネ診断・補償コンサルタントなどを手掛ける事務所です。

ERIホールディングス株式会社は、この子会社化でソリューション事業を協働推進してグループの企業価値向上を目指すとともに、地域社会基盤整備に貢献していくとしています。

参考:ERIホールディングス株式会社「株式会社北洋設備設計事務所の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

NJSによる冨洋設計の子会社化

2022年6月、環境・水に関するコンサルティングなどを手掛けるNJSは、冨洋設計を子会社化すると発表しました。子会社となる冨洋設計は、農業土木と上下水道に関するコンサルティングを手掛けています。

本M&Aの目的は、農業土木分野への進出と水道事業の強化です。NJSは今回の子会社化によって事業分野の拡大と既存事業の強化を図り、冨洋設計はNJSグループ傘下となることで新業態事業への対応力や人材確保・育成の強化を図るとしています。

参考:冨洋設計株式会社「冨洋設計株式会社の NJS グループ参加に関するお知らせ」

サンキによるアークテクノの子会社化

2021年12月、日立制約所特約店で産業機器製品・空調機器などの販売施工やメンテナンス事業などを行うサンキは、香川県高松市のアークテクノを完全子会社化すると発表しました。

子会社となるアークテクノは、建築設備や環境設備の設計・計画・監理、建物設備の劣化診断などを行っています。今回サンキがアークテクノを子会社化するのは、積算業務や設計業務の内製化が目的です。サンキは今回のM&Aで総合力を高め、企業価値のさらなる向上を目指すとしています。

参考:株式会社サンキ「株式会社アークテクノ 株式譲渡契約締結(子会社化)に関するお知らせ」

パルマによる令和エンジニアリングの子会社化

2021年2月、ビジネスソリューションプロバイダーのパルマは、令和エンジニアリングを子会社すると発表しました。子会社となる令和エンジニアリングは、建築・設計・不動産のコンサルティング事業を手掛けています。

今回のM&Aは「ターンキーソリューションサービス 」などの事業分野における成長加速化が大きな目的です。また、シナジーを創出させることで、より付加価値のあるソリューション提供を目指すとしています。

参考:株漆器会社パルマ「令和エンジニアリング株式会社の第三者割当増資引受による株式の取得 (子会社化)・ 連結決算移行に関するお知らせ」

フェイスネットワークによるザ・スタイルワークスの子会社化

2019年10月、不動産投資事業を展開するフェイスネットワークは、ザ・スタイルワークスを子会社化すると発表しました。ザ・スタイルワークスは「ライフスタイル提案型の住宅」のプロデュースをメディアと連携しながら行っており、企画ノウハウ・デザイン性の高い設計に定評のある岩切剣一郎氏が率いる企業です。

今回のM&Aによって、フェイスネットワークはデザイン事務所としてザ・スタイルワークスを子会社化するとしており、ブランド力向上と開発力強化を図るとしています。

参考:株式会社フェイスネットワーク「子会社の異動を伴う株式取得に関するお知らせ」

9. 設計事務所のM&A・事業承継における成功・失敗事例

以下では、設計事務所のM&Aにおける成功と失敗の典型的な事例を紹介します。

成功事例

設計事務所の第三者への事業承継で成功した事例として多いのが、従業員による承継です。元オーナーの下で長年仕事をしてきた従業員は、番頭としてその設計事務所のビジネスに精通しています。オーナーの地位を引き継ぎ、設計事務所をより発展させるケースが多いです。

従業員が買収金額を用意できない場合には、株式の分割売却を行うなど、従業員の資力へ配慮できます。

失敗事例

M&A後に過去の設計ミスが発覚しトラブルに発展したケースです。吸収合併の実行後、吸収された会社の過去の設計ミスが発覚すれば、吸収した会社が訴訟を起こされます。こうしたリスクへの対策として、過去の取引関係による信頼関係があるM&A先を選ぶと良いでしょう。

10. 設計事務所のM&A・事業承継ニュース

2021年7月、BDP Holdings Limitedは、Pattern Designの株式すべてを取得すると発表しました。取得金額は約3億円です。


買い手側企業は、大手建設コンサルタント会社「日本工営」の海外子会社として、アストラゼネカ本社の建築設計、グーグル欧州本社ビルの設計・監理業務などを行ってきた会社です。

売り手側企業はイギリスにある建築設計会社で、FIFAワールドカップの会場など世界的な大型スポーツ施設の設計を複数手掛けてきた点が強みです。

本件M&Aの目的は、スポーツセクター市場の設計・エンジニアリング分野に関する事業拡大および、Pattern社が有するスポーツセクターの高度なノウハウや経験の獲得にあります。

参考:英国 BDP 社の Pattern Design Limited 社株式取得に関するお知らせ

11. 設計事務所のM&A・事業承継の案件例

過去にM&A総合研究所が手掛けた設計事務所のM&Aでは、関東圏の20名以下のアトリエ型設計事務所の案件があります。

売り手の設計事務所は、アレルギーや化学物質過敏症の顧客でも安心・安全な注文住宅やアパート建設に強みを持っていました。設計から施工管理までワンストップで対応できます。

M&Aを行う目的は、既存事業の拡大です。オーナーは株式売却後も事業にかかわる予定でした。財務数値としては、売上高が5億円から10億円、営業利益が1,000万円から5,000万円程度でしたが、譲渡価格の希望なしで、無事に成約しています。

M&A・事業承継の案件を探す方法

M&A・事業承継で設計事務所の案件を探す会社は、それぞれの得意分野があるため、地域拡充、業務範囲の拡充を目指すケースが多く見られます。地域に特化したM&A仲介会社に相談したり、近年利用者が多くなっているマッチングサイトなどを利用したりして探すとよいでしょう。

12. 設計事務所のM&A・事業承継の際におすすめの相談先

設計事務所のM&Aを検討されている方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、案件ごとにM&Aアドバイザーがクロージングまでフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。設計事務所のM&Aをご検討の際は、どうぞお気軽にM&A総合研究所の無料相談をご利用ください。

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13. 設計事務所のM&A・事業承継のまとめ

事業承継には、主に以下の3種類があります。

  • 親族内事業承継
  • 親族外事業承継
  • M&Aによる事業承継

設計事務所のM&A・事業承継が増加する理由としては、以下の5つの理由があります。

  1. 廃業・倒産を避けるためにM&A・事業承継を考える
  2. 経営者が引退年齢になっている
  3. 子供がおらず教育・育成ができない
  4. 後継者が見つからないため焦っている
  5. 社長の能力に依存している傾向が強い

後継者不足の設計事務所がM&A・事業承継されるためには、以下のことが重要です。

  1. 事業承継・買収先にメリットがある強みを持つ
  2. 安定した顧客・取引先がいる
  3. さまざまな実績がある
  4. M&A成立後のトラブルに向けた対策を講じておく
  5. M&A・事業承継の専門家に相談する

14. 建設・土木業界の成約事例一覧

15. 建設・土木業界のM&A案件一覧

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