2023年02月07日公開
資金ショートになる原因は?債務超過との違いや早期対策としてのM&Aを紹介!
手元に資金がない危険な状態を「資金ショート」といいます。原因としては、過剰な設備投資や売掛金サイクルの設定方法が間違っていることなどがあげられます。
本記事では、資金ショートの概要や対処法、赤字や債務超過との違いについて解説します。
目次
1. 資金ショートとは?
資金ショートとは、電気がショートした時のように、資金が枯渇した状態のことを指します。
中でも事業における金欠は、家賃や人件費、融資等の返済が滞り、直ちに業務が停止して倒産する恐れがあるため、非常に危険な状態です。
赤字や債務超過よりも深刻な状態であるにも関わらず、企業は構造上、常に資金ショートの危機にさらされています。
ここからは、ニュースなどでも特に話題となる「赤字」や「債務超過」と本記事で取り上げる「資金ショート」との違いを解説します。
資金ショートと赤字の違い
資金ショートに陥ると、明日営業を行うことすら難しい状態になります。
仮に売上目標を達成していたとしても、売掛金が資金化できておらず、手元に資金が残っていない場合は「資金ショート」に該当します。
一方で「赤字」は、収入よりも支出が上回っている状態を指します。
仮に今月の収入が50万円で支出が70万円の場合でも、もともと手元に資金が100万円あった場合、20万円の赤字を計上します。
ですが、手元には依然として80万円残るため、事業の継続において危険な状態には該当しません。
資金ショートと債務超過との違い
「債務超過」とは、融資などの借入額が現在保有している資産額を上回ることを指します。
仮に建物や設備などの資産を全て合わせて100万円であり、融資の金額が300万円の場合であっても、30回の分割払いに設定していれば、月の返済額は10万円となります。債務を抱えていても、返済プランがきちんと建てられている場合は直ちに事業が継続できなくなる危険性はありません。
債務超過による資金ショートを防ぐ対策としては、支払い方法を一括から分割にする方法や、一時的に支払いを待ってもらうことなどがあげられます。
2. 資金ショートになる原因
企業において、資金は血液とも言える重要な存在です。
手元に資金がない場合、事業の継続は直ちに不可能となります。
ここからは、深刻な資金ショートに陥る原因について解説していきます。
売り上げの減少
売上が減少すると赤字を計上するだけでなく、手元にある資金が減り、事業の継続が難しくなる場合があります。売上の減少による影響を回避するには、固定費を減らし、損益分岐点を従来よりも低く設定することが有効です。売上高は変わりませんが、より多くの利益を得られるようになります。
支出の増加
支出が増えると、手元にある資金は減っていきます。
資金ショートの状態に陥る前に、出来る限り支出を抑えるようにしましょう。
事業においては、固定費を優先して節約することで、より多くの利益を出せるようになります。
売掛金の支払い遅れや取引先の倒産
取引先で得た売掛金の支払いが遅延したり、取引先が倒産したりすると、予定していた売掛金は資金化できなくなります。
資金管理不足
資金管理が不足していると、出費が無意識的に加速し、いつのまにか資金が枯渇していたという状況に陥りやすいため注意が必要です。
3. 資金ショートする前にできる対策
資金ショートするのを事前に防ぐためには、適切な現状把握やファクタリングを活用した資金調達などの対策が有効です。
現状を正しく把握する
今月の支払い期限はいつまでか、売掛金が口座へ入金されるのは何日かなど、一連の収支予定日を把握することで、資金ショートの発生する期間が分かります。
もし現時点で売却できる資産がある場合は、資金ショートに陥るタイミングよりも前に資金として入ってくるように調整すれば、資金ショートを免れることが可能となります。
ただし、非上場企業においては株式や土地などの資産の相場が不透明なことも多いため、日ごろから細かくリストアップしておく事をおすすめします。
ファクタリングを行う
ファクタリングとは、ファクタリング利用者がファクタリング業者へ売掛債権を売却することですぐに現金化できるサービスです。
将来現金化される予定だった売掛債権が、ファクタリング会社によっては当日中に入金されるため、資金繰りを一時的に安定させることができます。
業績が悪い状態でも迅速に資金調達できるほか、取引先の倒産リスクにも備えられるメリットもあるため、様々なシチュエーションにおいて重宝されるサービスです。
また、ファクタリングサービスの利用は借金には該当しないため、信用情報へ影響することもありません。
支払いを遅らせる
資金繰りを改善させる方法には、支払いを遅らせることも含まれます。
ここでの支払いを遅らせるとは、支払いを延滞するということではなく、支払条件を遅く設定するということです。
例えば、仕入れが月末締め翌月末支払いの場合、月末締め翌々月末支払いに変更することで約30日の猶予期間が生まれます。
急な変更は信用問題にも関わるためおすすめできませんが、慢性的に資金ショートに陥りやすい場合は、新規の取引先で適用することをおすすめします。
融資による資金調達
金融機関や公的機関からの融資によって、資金を調達する方法があります。特に中小企業の場合は、金融機関からの融資がおすすめです。一連の取引では、支払いにかかる利息が損金に計上できる、資産提供者からの介入を受けない点などがメリットとして挙げられます。
一定の審査基準を満たすことで融資の許可がおりますが、元本の他にも利息の負担がかかるため、今後の経営計画をしっかりと策定した上で検討すると良いでしょう。
融資の他にも、出資者を募り投資してもらう「出資(エクイティファイナンス)」や、補助金・助成金の活用が挙げられます。
特に補助金や助成金の申請については、都道府県や市区町村の自治体や民間団体から支給されているため、それぞれでチェックしてみましょう。
会社資金や社長個人の資産を売却
資金ショートを防ぐ方法として、会社資金や社長個人の資金売却があります。
IT技術やインターネットの進歩もあり、2006年の会社法改正後は資本金が1円から設定できるようになりました。
ただし資本金と会社の信用度には相関関係がありますので、資本金が少なくなりすぎないよう、バランスの取れた売却金額を検討するべきです。
いよいよ緊急性が高くなった場合は、社長個人の一部資金売却も検討した方が良いでしょう。
M&Aによる売却
現時点では資金ショートを起こしておらず、自社に高度な技術や魅力的な販路が残されているなら、良質な企業価値を見越してオファーを申請される確率が高くなります。このため、M&Aによる売却も視野に入れて経営を進めると良いでしょう。
事業価値がなくなってしまうと、会社そのものが売れ残り、負債だけが残る結果も招きかねません。売却を行う場合も想定して、有事にも迅速に対応できるよう手配しておく必要があります。
仮に企業価値を共有できる相手が見つかった場合、新たなシナジー効果が生まれるかもしれません。
加えてM&Aによる売却は、事業譲渡の手法やアピールポイントの選定など、多角的に分析していく必要があります。
M&Aに長けた専門家の手も借りることで利益として創成しやすくなります。
4. 資金ショートする不安がある前にできること
業績が悪化しており、いつ資金が尽きるかわからない。
融資や設備投資を行いすぎて、今後の経営に不安を感じる。
このような場合は、直ちに経営全体から見直しを行うべきです。
固定費・変動費の見直し
固定費と変動費は、事業を行う上で発生する費用となります。
固定費は不動費とも呼ばれ、売上高の増減にかかわらず、恒常的に一定の費用が発生します。
一方で変動費は、売上高とリンクしています。
主な固定費としては、以下の項目が挙げられます。
- 人件費(正社員雇用)
- 減価償却費
- 水道・光熱費
- 土地代・家賃
- OA機器リース料金
- 広告宣伝費
- 各種保険費
- 人件費(派遣社員やアルバイト雇用)
- 正社員の残業代直接材料費
- 間接材料費
- 外注費
- 燃料費
固定費の削減においては、現在利用しているサプライチェーンの抜本的な見直しや、テナントの変更などが挙げられます。
社内で積極的に議論を交わすことで新たなアイディアが生まれ、業務形態を1から刷新できるかもしれません。
また、変動費よりも固定費を削減した方が、利益は出しやすくなります。
これは、固定費を削ったときの方が損益分岐点が大幅に下がるからです。
損益分岐点とは、売上に対する利益と損失の分かれ目になる「利益ゼロ」の状態のことで、損益分岐点が低ければ低いほど、収益は増えやすくなります。
固定費である正社員雇用を一部廃止し、派遣社員やアルバイトなどの外注を利用することで変動費へと移行させることができるため、コスト管理において大きなメリットとなります。
需要の変動が激しい業界において人員採用を行う場合は、正社員で採用するよりも非正規社員で雇用した方が、柔軟に対応できるでしょう。
資金計画や赤字事業の見直し
収支と支出の流れを適切に把握するためには、出来る限り長期の資金計画をたてるべきです。
資金計画が数年先まで建てられている状態で事業活動を継続することで、金融機関や公的機関からの支援を受けやすくなります。
また、自社の信頼性をアピールする点でも一役買います。
流動的に変わっていく世の中ですが、その時々に考えていたビジョンをすぐに可視化できる環境を整えることで、今後の方針をより正確に判断できるようになります。
また現在、経営状態が赤字の場合は、赤字に関連する情報を積極的に収集しながら、経費を見直す必要があります。
赤字状態での経営見直しで特に注意が必要なのが、経営者自身の給与を犠牲にしてしまわないかということです。
環境が人を変えるというように、企業の司令塔である経営者のメンタル状態が疲弊していると、会社も同じように疲れていきます。
判断材料や提供元の検討候補が他にもあると考えられる場合、自身だけを犠牲にすることなく会社全体とのバランスを考えた給与を設定してある程度良質な環境に身を置きましょう。
経営者自身の精神状態を安定させることで、今まで気づかなかった重大な事柄も認識できるようになるため、解決能力は飛躍的に上がり、最終的に「倒産」という言葉すら意識しなくなる状態まで回復します。
5. 黒字経営でも資金ショートする可能性も
収入が支出より多いと黒字になります。
しかしながら黒字を達成しているのに、以下のことが原因で資金繰りに悩まされるパターンもあります。
- 売掛金の入金サイクルが長期に渡る
- 過大の設備投資
- 在庫の蓄積
このような場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。
売掛金の入金サイクルが長期にわたる
売掛金の入金サイクルが長期にわたると、営業利益をいつまでも資金化できず、保有している資金が底をついてしまう可能性があります。
売掛金が入金されて資金となるまでは一定のタイムラグがあるため、事業を始めてから間もない間や資金が少ない状態の時は、こまめに入金できるようにサイクルを設定する必要があります。
過大の設備投資
資金調達のベースとなる業務を行うために必要な設備の金額が大きい場合は、事前の検証が望ましいです。
設備投資が課題となりやすい業種としては、製造業や建設業などが挙げられます。
特に資金調達をこれから検討する場合は、融資にせよ出資にせよ、資金が枯渇しないか常に頭において置く必要があるでしょう。
在庫の蓄積
過剰な在庫を抱えないためにも、事業を開始する時は必要以上の発注をしないようにしましょう。
売却が思うように進まず在庫が蓄積してしまうと、それら全てをゴミ箱へ廃棄するしかなくなります。また、場合によっては適切に処理するためのコストも新たにかかってしまいます。
事業の先行きは未知数であることを意識しながら、予定よりも小規模の発注リストを作成しましょう。
6. 現状を正確に把握し資金ショートしないように経営をしよう
資金ショートの状態を防ぐためには、経営者が現状を正確に把握するだけでなく、社員同士でも一連の経営状況を共有されている必要があります。
本記事で紹介した対処法をもとに、危機的な状況を何としても対策し、乗り越えていきましょう。
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