造園工事業界のM&A動向!売却・買収事例と成功のポイントを解説!【2024年最新】

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

本記事では、造園工事業界のM&A動向について解説します。造園工事業界におけるM&A動向を理解することで、スムーズに手続きを進めることが可能です。あわせて、売却・買収事例と成功のポイントも解説しますので参考にしてください。

目次

  1. 造園工事業界の概要と動向
  2. 造園工事業界のM&A動向
  3. 造園工事会社をM&Aで売却するメリット
  4. 造園工事会社のM&A・買収・売却事例
  5. 造園工事業界のM&Aの成功のポイント
  6. 造園工事業界のM&A・事業譲渡まとめ
  7. 建設・土木業界の成約事例一覧
  8. 建設・土木業界のM&A案件一覧
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1. 造園工事業界の概要と動向

日本の造園工事業界はさまざまな要素に影響を受け、その市場規模や動向は常に変化しています。緑化事業の推進、新築住宅の状況、集合住宅やオフィスビルでのガーデニング需要など、その動きは広範で複雑です。ここでは、造園工事業界の最新の市場規模と動向について解説します。

造園工事業界とは

造園工事業界は、建設業の一分野で、緑地の造成や維持管理に特化した業界です。その活動範囲は「公園や庭園の作成」「道路や建築物の緑化」「屋上緑化工事」「植生の復元」等、公共から私有地まで広範にわたります。主に整地から始まり、次に樹木の植栽、景石の設置が主な業務です。

このプロセスは、美しい庭園や公園、緑地等の創出に欠かせない作業であり、それぞれ専門的な知識と技術を必要とします。さらに、道路や建築物の屋上等の緑化工事では、限られた空間や環境に合わせて最適な緑化計画を立案・実行することも大切です。

加えて、この業界は公園設備工事や広場工事、園路工事など、公共空間の整備にも携わります。これらの業務は、人々が安全で快適に公共空間を利用できるようにするために重要です。また、水景工事を行うことで、水辺の景観を作り出すこともあります。

さらに、地被工事や緑地育成工事といった、自然環境の修復や保全にも取り組んでいます。これらは、生態系の保護や生物多様性の維持、地域の風土を保つために重要な役割を果たしています。

このように造園工事業界は、美しい風景の創出、都市の緑化、生態系の保全など、私たちの生活空間をより良いものにするために幅広く活動している業界です。

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造園工事業界の市場規模と動向

公園や緑地の整備は、都市部の緑化と地球温暖化対策という観点により、2004年頃から積極的に行われています。特に、日本の都市部が海外の主要都市に比べて公園の整備が遅れていたことから、国、自治体、民間事業者が中心となって「緑化事業」が推進されてきました。

住宅分野の造園工事市場は新設住宅の着工戸数に大きく影響されます。2022年度には新設住宅着工戸数が前年度比0.6%減の868,828戸となり、増加から減少へと転じていることが特徴です。また、都市部の3階建て住宅では屋上緑化の動きも一部見受けられますが、太陽光発電システムの利用がより拡大しています。

一方、集合住宅やオフィスビルでは、ガーデニング需要の増加とヒートアイランド対策としての屋上緑化・壁面緑化が推進されています。しかし、全体の造園工事につながるケースはまだ少なく、共有部の植栽管理などが主に行われているようです。

海外では、日本庭園の造営・再生に関する動きが見られ、日本の造園技術が評価されています。これらの動向を踏まえると、緑化事業の重要性が高まりつつあり、市場は引き続き成長する可能性があると言えるでしょう。ただし、各種の課題に対応しながら進展する必要があります。

2. 造園工事業界のM&A動向

都市化の進展に伴い、公園や街路樹、庭園等の緑地が重要視されている今日、造園工事業界も拡大の一途を辿り、M&A(合併・買収)が盛んになっています。M&Aは企業間での競争力強化や顧客へのサービス提供の質向上、生産性の向上やコスト削減を図ることが可能です。

特に同業他社とのM&Aは、地域毎に強固な企業が生まれ、また関連業種とのM&Aによってサービス範囲が広がる可能性があります。具体的な例に挙げられるのは、建設業と造園工事業のM&Aにより、建物と緑地を一体的にデザインする新たなサービスの提供を目指すというものです。

さらに、異文化や気候条件を持つ海外市場に進出を目指す企業にとっては、現地企業との提携やM&Aが有効な手段となるでしょう。これにより、新たな市場環境への適応や事業拡大が期待できます。しかしながら、M&Aにはリスクも伴うことに注意が必要です。

買収先の経営状況が悪化していた場合、負債の引き継ぎが必要になることや、買収価格が高すぎると買収企業の業績を圧迫する恐れもあります。

つまり、造園工事業界におけるM&Aは、企業競争力の強化やサービス向上の可能性を秘めつつも、同時にリスクも含んでいます。そのため、企業は適切な検討と評価を行いながら、これらの動きに対応していく必要があります。

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3. 造園工事会社をM&Aで売却するメリット

M&Aで造園工事会社を売却することには、売却利益の獲得、従業員の雇用継続とモチベーション向上、後継者問題の解消など、多くのメリットがあります。

売却利益の獲得

M&Aを通じて造園工事会社を売却する一番のメリットは、売却による利益を得られることです。会社を高く売却するためには、事業の強みや成長性を評価してもらえるよう、事前に適切な準備と評価が必要となります。

具体的として挙げられるのが、財務状況の改善や事業計画の策定、社員教育の徹底です。また、M&Aは会社の成長を加速させ、さらなる売却利益を得るための新たな機会を生み出す可能性もあります。

経営者が売却利益を得られるため、その資金を老後資金などに活用することが可能です。経営者が売却益を得られるというのが、M&Aを通じて事業や会社を売却する大きなメリットとなっています。

従業員の雇用継続とモチベーションの向上

M&Aは、従業員の雇用を継続し、安定した職場環境を提供する機会を提供します。買収企業が大企業であれば、従業員はより大きな組織の一部となり、新たなキャリアパスや教育機会が開かれる可能性があることも大きなメリットです。これは、従業員のモチベーション向上につながるでしょう。

また、買収企業が事業の拡大を目指している場合、新たなプロジェクトやチームに参加するチャンスが生まれ、従業員のスキルアップやキャリアの発展に寄与します。

後継者問題の解消

中小企業では、経営者の後継者がいない場合、会社の存続が難しくなることがあります。M&Aを通じて会社や事業を売却することで、後継者問題を解消し企業の存続を可能にできることも、M&Aによって売却するメリットです。

さらに、M&Aにより新たな経営陣が導入され、新鮮な視点や経験が会社にもたらされます。会社の競争力強化や事業の新規開拓につながる可能性があり、事業の長期的な安定と成長を見込むことができるでしょう。

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4. 造園工事会社のM&A・買収・売却事例

ここでは、造園工事会社のM&A・買収・売却事例について紹介していきます。

積水ハウスが岐阜造園の株式を取得した事例

2020年6月、積水ハウスは、岐阜造園の株式を取得することに成功しました。岐阜造園グループは創業93年の歴史と職人型現場力を最大の強みとし、個人住宅から公共空間まで、エクステリアと造園緑化を提供しています。

しかし、新型コロナウィルス感染症の影響により、厳しい経済状況が続いています。そこで、2020年5月には長年の取引先である積水ハウスと業務提携を結びました。互いの顧客や不動産の情報提供、魅力的な外構・造園・ランドスケープの提案力向上、資材の共同購入や新商品・新サービスの開発などを目指したものです。

この提携により、特に高級物件や大規模な外構造園事業における当社の強みである「匠の技術」や「職人型現場力」を生かす仕事が増えると考えられ、企業価値が向上しています。

積水ハウスとの更なる協力関係を確立するために、業務提携だけでなく、積水ハウスへの普通株式150,000株(発行済株式総数の10.33%)を割り当てる第三者割当増資を行うことにしたのが今回の事例です。

調達資金は、人材採用費、人材教育費、及び造園緑化関連資材の開発資金に充当する計画です。これにより、両社の長期的なパートナー関係がさらに強化され、事業成長を達成することを目指しています。

参考: 積水ハウスによる岐阜造園の株式取得

前田工繊がサングリーンを子会社化した事例

2009年10月、前田工繊がサングリーンを子会社化することに成功しました。昭和61年設立の株式会社サングリーンは、北海道で植生製品や間伐材製品の製造・販売を手掛け、全国の代理店を通じて官公庁向けの緑化工事や造園工事資材を販売している企業です。

サングリーンの主力製品は、前田工繊の得意分野である法面施工の材料として活用可能であり、サングリーンを前田工繊グループに加えることで、新たな林業分野などの取引先開拓が可能になると考えられます。

さらに、前田工繊の広範な営業ネットワークを活用することで、サングリーンの販売力を強化することも見込めるため、前田工繊はサングリーンの株式取得を行うことを決定しました。

また、2009年9月に公表した福岡県太宰府市のマグネ株式会社の株式取得(子会社化)と合わせて、これらの動きにより、前田工繊の主力である環境資材事業の取扱商品が多様化し、ビジネスの強化が図られることとなります。

参考: 前田工繊がサングリーンを子会社化

5. 造園工事業界のM&Aの成功のポイント

造園工事業界におけるM&A取引の成功は、複数の要素が組み合わさることによって実現します。その中心的な要素として、専門家との対話、M&Aの目的の明確化、適切な売却先の選択、自社の強みの把握が挙げられます。

専門家に相談する

M&A取引の性質上、法的な規定や財務的な詳細を理解し、適切に対応することが必要とされます。したがって、法律家や会計士などの専門家に対し相談することが重要です。

これらの専門家は、M&A取引に関連する多岐に渡る問題に対する具体的な解決策を提供し「事業評価」「契約書の作成とレビュー」「プロセス管理」など、専門的な知識を要する事項についての助言を提供します。また、専門家はM&Aの交渉における戦略の立案や、可能なリスクや制約の特定における有益なパートナーとなり得ます。

ただし、専門家と協議することの重要性を認識する一方で、最終的な判断は自社のビジョンと戦略に基づいて行うべきです。専門家の意見やアドバイスは参考のひとつであり、それを適切に活用しつつも、自社の目指す方向性を忘れないことがM&A成功への道となります。

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M&A仲介会社選びにお悩みの場合は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所では、各業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーが専任となって案件をフルサポートします。
M&A総合研究所の料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です。(※譲渡企業様のみ)随時、無料相談をお受けしていますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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M&Aの目的を明確化する


M&Aの目的を明確にすることは、取引の成功に向けた重要な第一歩です。M&Aの目的は、新規市場への参入、業績改善、コスト削減、経営資源の最適化、業務効率の向上など多岐にわたる可能性があります。この目的を具体的かつ明確にすることで取引の方向性が鮮明になり、売却先の選択やM&A後の経営戦略の基盤が形成されます。

また、M&Aの目的を明確にすることは、組織内のコミュニケーションにおいても重要です。経営層から従業員まで、すべての関係者がM&Aの目指す目標を理解し、その達成に向けて一丸となることがM&Aの成功に向けて不可欠と言えるでしょう。

売却先の選定

売却先の選定は、M&A取引の成功を左右する重要な要素です。どこに事業や会社を譲渡するかによって、その後の業績や会社の社風は大きく変わることになります。売却先との相性、文化的適合性、経済的安定性、経営戦略の一致など多くの要素を総合的に評価し、最適なパートナーを選択して譲渡することが大切です。

特に、売却先が事業拡大を目指す場合や、会社のビジョンや価値観が一致する場合、M&A後の統合が円滑に進行し、効果を発揮する可能性が高まります。売却先の選定においては、売却先が自社と同様のビジョンを共有し、長期的な成長を目指しているかを評価することが重要です。

売却先が自社の文化や価値およびビジョンを尊重し強化することを約束する場合、売却は従業員の士気とモチベーションを維持し、事業の成功を確保する可能性が高まります。

自社の強みの分析

自社の強みを正確に理解し、それを効果的に売却先に伝えることは、適切な評価を受け、最適な価格を得るために重要です。

造園工事業界では、技術力、デザイン力、顧客との深い信頼関係などが一般的な強みとなります。自社の強みを明確に把握し、売却先にそれを示すことで、事業の真の価値を反映した評価を得ることが可能となります。さらに、自社の強みを適切に活用することで、M&A後の事業の成長を継続し、新たな価値を創出することが可能です。

これには、自社の強みが新しい経営体制にどのように貢献できるかを理解し、売却先と共有することが含まれます。これにより、売却先も自社の強みを最大限に活用し、M&Aの成功に向けた努力を行うことが可能です。

6. 造園工事業界のM&A・事業譲渡まとめ

近年、都市化が進む中で緑地の重要性が増してきたことから、造園工事業界も拡大し、M&A(合併・買収)や事業譲渡が活発化しています。特に同業他社や関連業種とのM&Aが期待されており、また海外市場への進出にも有効です。企業は競争力を高め、生産性の向上やコスト削減、さらにサービスの幅を広げるなどのメリットがあります。

M&Aの成功のためには、専門家への相談、M&Aの目的の明確化、売却先の選定、自社の強みの分析が重要です。一方、M&Aにはリスクも伴うため十分な検討が必要と言えます。

7. 建設・土木業界の成約事例一覧

8. 建設・土木業界のM&A案件一覧

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