2022年01月08日更新
運送会社のM&A・買収・売却の動向【案件一覧あり】
運送会社・物流会社のM&A(買収・売却・譲渡・売買)では、売却希望のトラック物流会社や運送会社と買収希望のニーズをマッチングする仲介会社が不可欠です。運送会社・物流会社の業界動向、M&A(買収・売却・譲渡・売買)で仲介会社の選び方を紹介します。
目次
1. 運送会社とは
近年、中小企業を中心に、M&Aによる譲渡や売却・買収・売買の成約件数は増加しています。この状態は、運送会社や物流会社の業界にも当てはまり、M&Aでの譲渡や売却・買収・売買の成約件数は増加傾向です。
その運送会社と物流会社のM&A(買収・売却・譲渡・売買)事情に話を進める前に、まずは、運送会社と物流会社の正確な意味合いを確認しておきましょう。
運送会社の定義
一般的なイメージでは、運送会社と物流会社は同義語のような感覚があるかもしれません。しかし、正確な分類では同じ意味合いにはならないのが真実です。
端的にいえば、物流会社が担う業務は広範囲にあり、その一部の業務が運送業務になります。具体的には、以下が物流会社の業務内容です。
- 保管(倉庫業):商品や原材料などを倉庫に保管
- 加工:値付けや商品のセット化など
- 荷役:発注内容に対応した商品のピッキング
- 包装:ピッキング後の商品の梱包や包装
- 運送:商品や原材料の配送
- 情報管理:3PL体制の場合、上記全業務のシステム連動による情報一元化
つまり、運送会社とは、物流会社の一業務である運送業務に特化している会社です。同様に、保管業務に特化した倉庫会社などもあります。
また、3PL(3rd party logistics=サード・パーティー・ロジスティクス)とは、運送会社、倉庫会社などといったように、物流業務が個別の会社に分かれて行われている状態から脱皮し、それらを一気通貫させ包括的に物流業務を請け負う業態のことです。
2. 運送会社のM&A・売却・買収・売買動向
この章では、運送会社・物流会社のM&A・売却・買収・売買動向について解説します。運送会社・物流会社のM&A成約件数は増加していますが、その要因に挙げられのが以下の4つです。
- 市場は安定期に入っている
- 業界内で再編の動きが活発
- 後継者問題によるM&Aも活発
- 比較的に買収要望が強い業界
上記の理由により、物流会社・運送会社を買いたい人や、実際に売りに出ている物流会社・運送会社の案件が増えているのです。各要因について、それぞれ内容を見ていきます。
市場は安定期に入っている
1つ目の要因として、市場が安定期に入っていることがあります。別の言い方をすると、運送会社・物流会社の業界市場規模は横ばい状態です。
運送会社・物流会社の業界市場規模が横ばいになっている原因は、会社の規模によって異なっています。
大手運送会社・物流会社の現状
大手運送会社・物流会社の主な収入源は、通信販売の運送と法人向けの運送です。しかし、近年は生産拠点を海外に移す顧客企業が増えているため、国内でトラックでの運送を行っている会社の市場規模は拡大していません。
また、大手運送会社はネットショッピング商品の運送も行っていますが、運送量が多すぎるため、全てをさばけていない状況であり、大手事業者の市場規模が横ばいである原因の1つです。
中小規模の運送会社と物流会社の現状
一方、中小規模の運送会社と物流会社の主な収入源は、大手運送会社がさばききれないネットショッピング商品の運送(トラック運送)になっています。
ネットショッピングの運送量は年々増加傾向にあり、それに伴って参入する事業者も増加してきました。
そして現在、事業者数は飽和状態であるため価格競争になっており、中小規模の事業者の売り上げはそこまで伸びていません。
このような背景により、売り上げを伸ばすために運送会社を買いたいと考えている大手運送会社・物流会社と、利益を確保できず会社を売りに出している中小規模の運送会社のニーズが合っているため、運送会社・物流会社のM&A成約件数は増加しています。
業界内で再編の動きが活発
2つ目の理由は、業界内で再編の動きが活発だからです。これは先ほどの、市場が安定期であるという要因と重なる部分があるのですが、安定期だからこそM&Aによる譲渡や売却・買収・売買を行って、会社の成長を実現しようとしています。
運送会社・物流会社の業界では、その傾向が顕著であるといえるでしょう。
後継者問題によるM&Aも活発
3つ目の要因は、後継者問題です。この問題は運送会社・物流会社に限らず、国内全ての中小企業に起こっています。近年、中小企業経営者の平均年齢は上昇し続けており、帝国データバンクの調査「全国社長年齢分析(2020年)」によると、61.1歳です。
現在、経営者の引退年齢は平均70歳程度なので、直近10年間では、中小企業の事業承継が活発に行われることが考えられます。
しかし、少子化の影響で近親者に後継者がいないケースや、価値観の多様化で親の跡を継がない子どもなど、多くの中小企業で後継者不足が行っているのです。
そして、それは運送会社・物流会社でも同様であり、近年は廃業を避けるために、M&Aによる譲渡や売却・買収・売買で第三者に事業承継するという手段が積極的に用いられるようになってきています。
比較的に買収要望が強い業界
4つ目の要因は、運送会社・物流会社の業界が比較的に買収要望の強い業界であることです。
その理由は、参入障壁の低い業界であることから新規参入を目的とした買収要望が強くなっています。参入障壁が低くなったのは、業界での規制緩和や3PLのニーズが強くなっていることなどが発端です。
また、売りに出ている中小規模の運送会社・物流会社も多いため、これも買収要望を刺激することにつながっているといえるでしょう。
3. 運送会社のM&Aのメリット
運送会社・物流会社のM&Aによる譲渡や売却・買収・売買動向を踏まえたうえで、M&Aを実施するメリットについて考えてみましょう。譲渡・売却側と買収側では立場が違うことからメリットは異なるため、それぞれ分けて掲示します。
譲渡・売却側のメリット
運送会社・物流会社のM&Aの際に譲渡・売却側のメリットには、だいたい以下のようなものが挙げられます。
- 譲渡先に経営を任せられるので後継者問題が解決する
- 廃業を免れるので従業員の雇用が確保される
- 譲渡益・売却益として創業者利益が得られる
- 債務、個人保証からの解放される
- 大手企業へのグループ入りで経営基盤が安定する
- 業務の効率化やノウハウ取得により収益力が向上する
買収側のメリット
運送会社・物流会社のM&Aでの買収側としては、主に以下のようなメリットがあります。
- 人材・車両・設備などを包括して取得できる
- 同業者であれば、事業規模や営業エリアを拡大できる
- 異業種であれば、比較的簡易に新規参入できる
- 業務の効率化やノウハウ取得により収益力が向上する
- 業務の効率化などは営業力や契約交渉力にも反映され、結果として業績向上につながる
4. 運送会社M&A・売却・買収・売買の際の仲介会社の選び方
前章で紹介した以外にも数多くのM&A仲介会社があります。そこで、運送会社のM&Aによる譲渡や売却・買収・売買を行う際の仲介会社の選び方について考えてみましょう。注目するべき点はいくつかありますが、特に以下の4点をおさえておくべきです。
- 運送会社・物流会社の専門的知識・M&A実績を持っているかどうか
- M&Aに関する幅広い知識・経験を持っているかどうか
- 手数料などの報酬体系がわかりやすいかどうか
- 担当スタッフの対応がよいか、相性がよいか
運送会社・物流会社の専門的知識・M&A実績を持っている
1つ目のポイントは、運送会社・物流会社の専門的知識やM&A実績を持っているかどうかです。ある程度規模が大きい仲介会社の場合、多くの業種について実績があり、全国の企業に対応できます。
しかし、規模が小さい仲介会社や会計事務所から派生している仲介会社の場合、全ての相談に対応できません。その代わり、ある業界やその地域について知識を持つなどの強みを持っています。
このような仲介会社は、ある程度規模の大きい仲介会社に比べて、対応が丁寧だったり、専門性が高かったりすることがあるので、その見極めに注意しましょう。
M&Aに関する幅広い知識・経験を持っている
2つ目のポイントは、M&Aに関する幅広い知識・経験を持っているかどうかです。この点に関しては、ある程度規模の大きな仲介会社の方が、幅広い知識や豊富な経験を持っていると容易に想像がつきます。また、会社の創業歴を見ることでも判断可能です。
しかし、最終的には担当スタッフによって知識量や経験値が変わってくるため、直感でダメだと感じたらすぐにスタッフを交代してもらいましょう。
手数料・相談料・報酬体系がわかりやすい
3つ目のポイントは、手数料・相談料・報酬体系がわかりやすいかどうかです。会社買収を行う際には多額の資金が必要になりますが、M&A仲介会社への手数料もあることを忘れてはなりません。
相談料などの手数料について、その報酬体系をしっかり理解してから依頼しないと、最終的に思ってもいなかった多額の料金を請求されることもあり得ます。
先ほど紹介した仲介会社20社の報酬体系は比較的わかりやすいものばかりですが、依頼を決める前に報酬体系について実際に問い合わせ、料金を確認するようにしましょう。
担当スタッフの対応・相性
最後に紹介するポイントは、担当スタッフの対応・相性です。上の3つのポイントがどれだけ素晴らしかったとしても、担当するスタッフの対応や相性が悪かったら、スムーズにM&Aを行えません。
担当スタッフの良し悪しは、一度担当してもらわないとわからないことが多いでしょう。したがって、担当スタッフの対応や相性が悪いなと感じたら、すぐに交代を要求することです。
5. 運送会社のM&A・売却・買収・売買案件一覧
この章では、仲介会社で実際に紹介されている運送会社のM&Aによる譲渡・売却希望案件を10件、掲示します。
運送会社
1件目は、運送会社の持ち分譲渡です。後継者不足を理由として会社売却を行います。この会社の所在地は公表されていませんが、直近の売上高は1~2.5億円です。売却希望価格は5,000万~1億円となっています。
トラックは5~10台程度しかありませんが、20以上の都道府県で産廃収集、特別管理型の運搬業許可を得ており、さらに事業を拡大させることが可能です。また、固定受注先が50社以上あるため、買収後も安定した売り上げが期待できます。
【茨城県】貸切バス事業
2件目は、貸切バス事業の売却です。地域に根差した貸切バス事業を行っており、主な顧客は地域の学校や団体となっています。この会社の所在地は茨城県南部で、直近の売上高は500万円程度です。売却希望価格は要相談で明示されていません。
貸切バスは3台(中型と小型)しかありませんが、安全評価認定による星マークを取得しています。また、現在は広告などの営業を行っていないため、買収後、営業を行えば売上高増大が見込るかもしれません。
【群馬県】貨物資材の運搬・保管事業
3件目は、貨物資材運搬事業の売却です。この会社はいくつかの事業を行っているのですが、別事業に注力するために売却します。会社所在地は群馬県で、売却希望価格は650万円です。
特殊車両も保有しており、ニッチな仕事を引き受けられます。また、大手物流会社と取引を行っているため、安定した売り上げを期待できるでしょう。
【東京都】軽貨物運送事業
4件目は、軽貨物運送事業の売却です。この事業の経営者が体調を崩しており、戦略見直しのために事業売却を行います。会社の所在地は東京都の23区外で、直近の売上高は500~1,000万円です。売却希望価格は500~750万円となっています。
ネット通販商品などの個人向け宅配を行っているのですが、今後さらに需要が増えると予想しており、さらなる売り上げ増加が期待できるという予測です。
【東京都】外航利用運送業
5件目は、外航利用運送業の売却です。後継者不足と財務的な理由で事業売却を行います。この会社の所在地は東京都の23区内で、直近の売上高は5,000万円~1億円です。売却希望価格は2億5,000万円~5億円となっています。
強みは、国土交通省複合輸送の承認・認可を受けているため、トラック運送以外の輸送を行える点です。トラック以外の運送業でシナジー効果を得れれば、売り上げ増大が期待できます。
【千葉県】運送業
6件目は、千葉県にある運送業の売却です。後継者不足を理由に事業売却を行います。直近の売上高は1億円程度で、売却希望価格は3,000万円です。
強みは、輸送している商品が珍しく、技術が必要であるため、新規参入が難しく、希少価値が高い点となっています。したがって、安定した売り上げを期待できるでしょう。
【東海地方】トラック運送業
7件目は、東海地方のトラック運送業の売却です。企業戦略の見直しのため事業売却を行います。直近の売上高は2.5~5億円程度で、売却希望価格は7,500万円~1億円です。
強みは、幅広い商品に対応できること、自社倉庫を所有しているので顧客に合わせたサービスができることとされています。
【静岡県】石油製品の販売・運送
8件目は、静岡県の石油製品の販売・運送業の売却です。後継者問題を理由に事業売却を行います。直近の売上高は10~25億円程度で、売却希望価格は1~2.5億円です。
強みは、まず、有力会社との取引があり、その取引先から信頼が厚いことがあります。そして、自社で油槽所・タンクローリーを所有しているため、他社よりも低価格で商品を提供できることです。
【大分県】一般貨物運送業
9件目は、大分県の一般貨物運送業の売却です。直近の売上高は2.4億円程度で、売却希望価格は5,000万円となっています。
大分県内では認知度がとても高い運送会社であり、また、所在地が高速道路のインターチェンジ近くという非常に好立地な場所にあることも特筆です。
【京都府】一般区域貨物自動車運送事業
10件目は、京都府の一般区域貨物自動車運送事業の売却です。後継者問題を理由に事業売却を行います。直近の売上高は5,000万円程度で、売却希望価格は1.5億円です。
強みの第一は、創業歴が長く、地域密着型で信頼が厚いことを挙げています。第二は、自社でしか扱っていない商品の運送があるという独自性です。
6. 運送会社のM&A・売却・買収・売買のご相談先
運送会社・物流会社のM&A・売却・買収・売買に関する案件は、先述した以外にもたくさんあり、その中には公開されていない案件もあります。
非公開案件にも自社の希望に合ったものがあることも考えられるため、買収を希望する場合はM&A仲介会社に相談することをおすすめします。
また、売却を検討する場合も、M&A仲介会社に相談することにより、希望どおりの金額や条件でM&Aを行うことが可能になります。
中小企業のM&Aに数多く携わっているM&A総合研究所では、運送会社・物流会社のM&Aによる譲渡や売却・買収・売買に精通したM&Aアドバイザーが専任につき、交渉からクロージングまでサポートいたします。
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7. まとめ
近年、運送会社・物流会社のM&A成約件数は増加しています。そのため、運送会社・物流会社のM&Aを成功させるためには、スピーディーな交渉・手続きが求められますが、買収・売却には多額の資金が動くため、慎重に行うことが重要です。
運送会社・物流会社のM&Aを行うときは、以下のポイントをしっかり把握して進めていくようにしましょう。
・運送会社・物流会社のM&A・売却・買収・売買動向について
→現在、活発にM&Aが行われているため、条件のよい運送会社はすぐに買収されやすい
・運送会社・物流会社のM&A・売却・買収・売買の際の仲介会社の選び方について
→仲介会社が運送会社・物流会社のM&Aを得意や強みにしているか調べる
→対応がよくて相性のよいスタッフを担当にしてもらう
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