2021年03月17日更新
CRO・SMO業界のM&A・買収・売却!業界動向・相場・手法を解説!【成功事例一覧】

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。
CRO・SMO業界では、M&Aによる買収や売却が数多く存在します。CRO・SMO業界のM&Aの事例は、規模が大きなケースが多いのも特徴です。CRO・SMO業界におけるM&Aによる買収や売却について解説しますので、参考にしてください。
目次
1. CRO・SMO業界
CRO・SMO業界では、M&Aによる買収や譲渡が活発に行われています。CRO・SMO業界のM&Aは、大型の事例が多いのも特徴です。
CROとは?
ところでCROとは、どういった業種なのでしょうか。CROは「Contract Research Organization」の略称で、日本語でいうところの「医薬品開発業務受託機関」を表しています。
CROの歴史はそれほど古くありません。CROが企業として見られるようになったのは1990年代頃といわれています。その後は製薬会社などの売り上げ拡大に引っ張られる形で業務の増加や企業間競争が激しくなっているようです。
CROにはCRAと呼ばれる臨床開発モニターが在籍しているのも特徴です。CROの主な業務内容は、臨床試験などを行いながら医療品の開発をします。発注元は主に製薬会社などです。
SMOとは?
一方で、SMOとはどういった業種なのでしょうか。SMOは「Site Management Organization」の略称で、日本語でいう「治験施設支援機関」を表しています。
CROにはCRCと呼ばれる治験コーディネーターが在籍しているのが特徴です。CROの主な業務内容は、医師や看護師など医療にかかわる業務を支援します。支援の範囲は事務にまで及びます。発注元は主に医療機関となります。
2. CRO・SMO業界の現状
医療品のスペシャリストといわれているCRO・SMO業界ですが、業界の動向はどのような傾向があるのでしょうか。以下の一覧について解説します。
- 製薬会社からの業務委託
- 売上は増加傾向
- 今後は発展・競争の激化が予想される
①製薬会社からの業務委託
CRO・SMO業界、特にCRO業界においては製薬会社からの業務委託が主な事業です。製薬会社は新薬の開発に力を入れている所も多く、新薬開発には大きな投資が行われています。そうした多くの資金がCRO・SMO業界に流入している状況です。
また、政府などの働きかけによりジェネリック医薬品の需要が拡大しています。ジェネリック医薬品の拡大は、CRO・SMO業界にも恩恵をもたらしている動向が見て取れます。
②売上は増加傾向
医療分野は現在でも日進月歩で成長を続けています。また、少子高齢化により医療にかかわる消費が増加している動向が見えます。そのため、医療分野の成長は著しく需要の増加も大きく見込まれています。CRO・SMO業界においても売り上げは増加傾向が見られます。
2019年度におけるCRO業界は2018年より2.6%増加し全32社で1,949億円でした。一方、SMO業界24社の総売上は349億9,642万円でした。そして、今後も売り上げの増加は確実といわれる業界です。
参照:日本CRO協会 「2019年年次業績報告」
「日本SMO協会データ2019」
③今後は発展・競争の激化が予想される
日本国内においてCROは30社程度、SMOは20社程度存在します。他産業から見るとこの社数は非常に少ない企業数です。この企業数で国内の医療機関からの仕事を全てまかなっています。そのため、今後はCRO・SMO業界の競争の激化が予想されている動向があります。
CRO・SMO業界内での競争もそうですが、他産業からの参入の可能性もあります。CRO・SMO業界の今後は発展とともに競争の激化が予想されています。そうした分野であるからこそ、CRO・SMO業界のM&Aに注目が集まっているといえるでしょう。
CRO・SMO業界のM&AならM&A総合研究所へ
CRO・SMO業界のM&AならM&A総合研究所にお任せください。CRO・SMO業界のM&Aにおける経験や知識が豊富なM&Aアドバイザーが担当させていただきます。
また、M&A総合研究所は完全成功報酬制(※譲渡企業様のみ)となっておりますので、M&Aをご検討される際には気軽にご相談ください。
3. CRO・SMO業界業界M&A動向
ここで、CRO・SMO業界のM&Aにおける動向について一覧にして紹介します。CRO・SMO業界のM&Aは大型であり、買収価格も相場以上に高いものも少なくありません。
エムスリーによる買収
CRO・SMO業界のM&Aにおいて忘れてはいけないのがエムスリー社です。エムスリーは2000年に創業してかわずか4年間でマザーズに上場を果たしています。また、創業から7年後となった2007年には東証一部にも上場をするなど目覚ましい成長を遂げている企業です。
インターネットなどで医療事業に変革をもたらし経営基盤を盤石にしたエムスリーは、M&Aによる事業買収を繰り返し売り上げが増大、CRO・SMO業界では上位クラスの企業へと成長を遂げました。
エムスリーのM&Aは海外を中心とした動きが多く、大型事業の買収が行われるなどの動向がみられ、買収価格も大型化しているようです。
買収や合併により業界再編は進む傾向
エムスリーだけではなく、CRO・SMO業界などを取り巻く医療業界では、買収による合併などが活発に行われている傾向にあります。中には世界的にも有名な製薬会社同士のM&Aが行われるなど、その動向は活発になる一方です。
そうした動向から、業界の再編は今後も進んでいくと見られています。事業価格が伸びている今だからこそ、今後のCRO・SMO業界もM&Aも活発になっていくのではないでしょうか。
大手は海外へのM&Aを進める
大手のCRO・SMO業界は国内での需要を確保しながら、さらなるマーケットの拡大を目指し海外に進出し始めています。海外でのシェア拡大は企業価格を上げると同時に、売り上げの価格を一気に伸ばす可能性を秘めているからです。
今後もCRO・SMO業界の海外へのM&Aであるin-outの動向は多く見られると予想され、国内のみならず海外をも巻き込んだ大型なM&Aや大きな価格が動くM&Aが数多く見られるかもしれません。
4. CRO・SMO業界M&Aのメリット
ここまでCRO・SMO業界における動向や現状について簡単に解説してきました。CRO・SMO業界はM&Aが多く見られます。それでは、M&Aにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、売却側と買収側それぞれのメリットについて一覧で紹介します。
売却側のメリット
CRO・SMO業界においてM&Aにより事業譲渡を行うと、売却側にどういったメリットをもたらす可能性があるのでしょうか。一般的に考えられるメリットの中で、以下の一覧について解説します。
- 会社・研究所の存続
- 大手による売却で海外が視野に
- 後継者問題の解決
- 研究者・従業員の雇用維持
- 負債や保証などからの解放
- M&Aによる売却益を得る
会社・研究所の存続
会社を継続させることは、どの産業の経営者にとっても大きな課題です。CRO・SMO業界においても、会社や研究所を存続させる意味があるのです。もしも経営が困難だった場合には、事業譲渡により会社再建に舵取り(かじとり)ができます。
大手による売却で海外が視野に
CRO・SMO業界におけるM&Aの売却側のメリットとしてとらえられているのが、大手にM&Aにより事業譲渡を行えた場合、事業提携などが行われ販路が拡大する可能性があります。
また、国内シェアのみであった状況を海外までシェアを広げられる可能性もあるなど、自社だけではたどり着けなかった地域にまで、販路を拡大できる可能性が生まれてきます。
後継者問題の解決
昨今の担い手不足は深刻な状況です。少子高齢化の時代的動向や人材不足など、後継者問題に対する会社が抱えている問題はいろいろです。こうした後継者問題に対応する一つとして、M&Aによる事業譲渡で事業承継を行っている事例も数多く見られます。
他の業界と同様に、CRO・SMO業界でも後継者問題の解決方法としてM&Aを取り入れる事例も出ています。売却された会社に買収した側の経営陣が事業に参画し、後継者問題に対応しているケースも見られます。
研究者・従業員の雇用維持
M&Aの事業譲渡による売却側のメリットの一つに、研究者や従業員の雇用維持があります。経営が不安定であれば雇用の継続が難しくなってしまう可能性があります。そうしたときにM&Aを活用し、事業譲渡を行うことで事業を継続させ、雇用を維持するわけです。
負債や保証などからの解放
M&Aによる事業譲渡が行われると、売却側の売却対象となった事業や資産は全て買収側の企業に引き継がれるのが一般的です。それは負債や保障などといった分野までに及びます。経営者は事業を譲渡し、負債や保証から解放されるメリットが考えられます。
M&Aによる売却益を得る
M&Aにより事業を譲渡し、対価として現金などの売却益を売却側の企業は得られます。売却益はそのまま法人の収入となるため、新たな事業への投資や得意分野への資産増額など、さらなる経営基盤の強化としての資金にも活用できます。
買収側のメリット
それでは、CRO・SMO業界のM&Aにおいて、買収側のメリットはどういったポイントがあるのでしょうか。一般的にいわれているメリットの中から、以下の一覧に焦点をあてて解説します。
- 有能な研究者の確保
- 新規顧客・新規取引先の獲得
- 低コストでの設備投資
- 新規事業への参入
- 経営基盤の充実による事業拡大
- 外注コストの削減
- 買収先のブランド力を活用
有能な研究者の確保
CRO・SMO業界のM&Aにおいて買収側の目的の一つとして、有能な研究者の確保があります。研究者の育成はCRO・SMO業界において重要な課題です。しかし、有能な研究者を育て上げるには多くのコストと時間がかかります。
M&Aにより事業を買収し、人材を育てるコストと時間を大幅に節約できる可能性があります。また、自社では保有をしていなかったノウハウをもっている研究者を確保できる可能性もメリットとなります。
新規顧客・新規取引先の獲得
M&Aによる事業譲渡は販路拡大のメリットをもたらします。特に自社が得意としていないエリアの企業を買収すると、新規の顧客や新規取引先を一気に獲得できる可能性があるのです。
低コストでの設備投資
CRO・SMO業界の設備は非常に高額な物が多くあります。中には機材として希少価値があるものもあるようです。そうした設備への投資をM&Aを行うことで、購入やリースでまかなうよりも低コストで獲得できる可能性があるのです。
新規事業への参入
増益を目指している場合、事業の拡大は重要な要素です。M&Aにより事業を買収し、新規事業への進出をスムーズに行える可能性があります。自社にはないノウハウを買収した企業が保有していた場合は、新分野において非常に大きな財産になるのです。
経営基盤の充実による事業拡大
事業を買収すると、経営基盤が充実する可能性があります。経営基盤が充実すれば事業拡大のチャンスです。大きな事業展開を図る前にM&Aを行い、経営基盤の構築を図るといった方法もありでしょう。
外注コストの削減
自社ではまかなえない技術や人員的な問題で外注に発注していた業務を、自社で行える可能性があります。自社で開発などが行えれば大きなコスト削減となります。M&Aによる事業買収はいろいろなメリットがあるのです。
買収先のブランド力を活用
買収先に業界でメジャーとなっているブランドを抱えていた場合、ブランド力を獲得できます。M&Aの事例の中には、ブランドの獲得を目指して買収を行う事例が数多く存在します。ブランドを手に入れれば、その後の事業展開の大きなメリットになります。
5. CRO・SMO業界M&Aの手法
CRO・SMO業界におけるM&Aの手法とはどういった内容が多いのでしょうか。以下の一覧について簡単にですが、解説します。
- 株式譲渡による完全子会社化
- 株式交換による完全子会社化
- 会社分割による組織再編
- 合併や業務提携
①株式譲渡による完全子会社化
まずCRO・SMO業界におけるM&Aの手法として見られるのは、株式譲渡による完全子会社化です。完全子会社化を行うと、事業の全てを把握できます。株式譲渡にあたっては、買収企業は現金を準備する必要があります。
②株式交換による完全子会社化
完全子会社化のもう一つの手段として、株式交換による手続きが存在します。株式交換により買収する側が売却側の株式を100%保有し、子会社化する手法です。この場合、買収側の企業は現金を調達する必要はありません。
株式譲渡と株式交換の違い
株式譲渡と株式交換の違いは資金を調達する方法にあります。株式譲渡であれば現金が必要になるため、買収価格が増大すると困難な場合があります。一方で株式交換であれば現金を調達する必要性がなく、買収価格が増大したとしても株式で補える場合がほとんどです。
③会社分割による組織再編
売却側の一部事業を分社化して、その事業を買収して引き渡す方法があります。この手法であれば、買収側も売却側も組織の再編を行えるメリットがあります。
特に売却側はM&Aの対価として多くの現金を手にしている場合もあり、そうした場合は事業の再編に対して資金を充当するのも可能です。
④合併や業務提携
CRO・SMO業界がM&Aを行う手法の動向として見られる一つに、合併や業務提携があります。合併や業務提携によるメリットは、それぞれの会社の独自性を活かしながらシナジー効果が期待できる所です。
吸収合併の場合は、吸収された企業は消滅してしまいますが、それに伴う資産は引き継いでいかれます。業務提携の場合は、ノウハウや技術者の交流が盛んになると企業の価格もあがり、大きなメリットをもたらす可能性を秘めています。
買収後に統合するケースも
エムスリーが行ったM&Aのように、買収により一度子会社化を行った後に、吸収合併などで統合を行うケースもあります。どの手法においてもシェアの拡大やノウハウの吸収が行われます。
6. CRO・SMO業界M&Aの相場
CRO・SMO業界のM&Aの相場についてですが、結論から申し上げると決まった相場はありません。ただし、CRO・SMO業界のM&Aの動向を見ると、他業界よりは売却価格が高値に設定されている場合が多く、他業界よりは相場価格が高く設定されているようです。
それは、業界内で動く資金の額の大きさや、今後の業界が発展する動向を多いに秘めているために相場価格が高騰していると見られています。
7. CRO・SMO業界M&Aの成功事例
CRO・SMO業界のM&Aの事例3点を紹介します。ここで紹介した以外の事例については、インターネットなどで検索しても数多くの事例が一覧で見られます。興味があれば、事例一覧を探してみると良いでしょう。
事例①:アイロムグループのM&A
アイロムグループの子会社であるアイクロスは、2019年に福岡市に拠点のあるイベリカASIAの完全子会社でIBERICAの全株式を取得しました。
アイロムグループは、主に医師や企業主導治験や臨床研究、モニタリング業務の支援を実施しています。IBERICAは親会社イベリカASIAの全事業を新設分割によって承継した子会社であり、開発支援や大学との連携により高度な専門的な支援を行っています。
今回のM&Aによって、のCRO事業の拡大を目指します。またSMO事業や先端医療事業と連携し、開発支援体制のより専門性の高い構築を作ります。
事例②:エムスリーのM&A
M&Aによる事業拡大を展開しているエムスリーは、2018年にアメリカのカリフォルニアで事業を展開しているPRI社の全事業を買収しました。PRI社はカリフォルニアで治療施設を3つ抱えている医療機関です。特に新薬の分野において評判で患者の数は5万人を超えているそうです。
エムスリーのこのM&Aは、アメリカにおける自社販路のネットワークの拠点を確保した形であり、海外に展開を目指した事例といえるでしょう。
事例③:シーエーシーのM&A
シーエーシーは東京都にあるCRO事業を展開していたモスインスティテュートからCRO事業を2010年に取得しました。シーエーシーはこの事例により医薬品開発の分野において事業強化とサービスの向上を目指したとしています。
8. CRO・SMO業界と関係のある製薬業界のM&A
CRO・SMO業界と関連がある業界に製薬業界があります。実は製薬業界もCRO・SMO業界と同様に成長を見せている分野です。その理由もCRO・SMO業界と同様で、少子高齢化などの時代背景やジェネリック医薬品の需要などがあげられています。
また、製薬会社は他業種に比べるとM&Aが盛んに行われている業界です。新薬開発などで大きな売り上げた見込める分野だけに、今後も市場は安定的に伸びると見られています。
9. CRO・SMO業界M&Aのまとめ
CRO・SMO業界におけるM&Aについて解説しました。CRO・SMO業界のM&Aは、価格相場が他業界より高騰しているのがわかりました。これは医療業界が少子高齢化により発展を遂げているのに寄与しています。今後もM&Aの相場は変動していくと見られます。
CRO・SMO業界は今後もさらなる成長が見込まれる分野です。他の医療分野と合わせて発展を遂げていくと見られています。今後はCRO・SMO業界の在り方や業務の見直しなど、業界再編の動きも活発化すると予想されています。
また、CRO・SMO業界のM&Aにおけるメリットも一覧で紹介しました。一方で一覧からは見て取れないデメリットも数多く存在します。M&Aの手法や相場など不明な点が多い場合は専門家に相談すると良いでしょう。
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