M&A業界の動向まとめ!現状、今後の予測もマップ形式で紹介【2022年最新】

取締役
矢吹 明大

株式会社日本M&Aセンターにて製造業を中心に、建設業・サービス業・情報通信業・運輸業・不動産業・卸売業等で20件以上のM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、アドバイザーを統括。ディールマネージャーとして全案件に携わる。

近年、国内のM&Aは増加傾向にあり、2022年の実施件数は過去最高となりました。今後のM&A業界はどのような動向が予想されるのでしょうか。当記事では、M&A業界の機能マップや業界マップを紹介しつつ、将来のM&A業界動向を解説します。

目次

  1. M&A業界の動向
  2. M&A業界の動向【2021年最新版】
  3. 業界別のM&A最新動向
  4. M&A業界の今後【2022年予測】
  5. 世界のM&A件数動向
  6. M&A業界の動向に関する相談ならM&A総合研究所
  7. M&A業界の動向まとめ
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1. M&A業界の動向

日本のM&Aは海外に比べると歴史が浅いものの、年々活発になっています。こうした日本のM&Aを支えているのが、M&A業界に所属する企業や専門家であり、主に企業間で行うM&Aを仲介・サポートして成功へと導く役割を担っているでしょう。

機能マップ

一口にM&A業界といってもさまざまな企業や専門家がおり、機能別に分類できます。

マッチング

マッチングとは、売りたい側と買いたい側の両者を引き合わせ、仲介・サポートを行う役割をさします。

M&A事業を担う多くの企業や専門家は、マッチングをメインにサービスを展開している場合が多いです。

例えば、M&Aに関連するアドバイスを行いM&A契約の成立まで導くM&Aアドバイザーや、資金融資だけでなくM&Aアドバイザーとしても企業をサポートする投資銀行が該当します。

ファイナンス

ファイナンスは、M&Aを行う際に必要な資金を融通する役割です。主に、投資銀行・一般的な銀行・ファンドが分類されます。

契約スキーム

契約スキームには、M&Aで取引を実行する際、合法的に節税するためのサポートを担う事業者が分類されます。

例えば、弁護士や税理士などの法律や節税の専門家や、FAS(ファイナンシャリー・アドバイザー・サービス)を提供する企業などです。

契約スキームに分類される企業や専門家のサポートを受けることで、売り手企業の最終的に残る金額が増える可能性が高まります。

DDバリュエーション

DD(デューデリジェンスバリュエーションとは、買い手が売り手に対して行う調査をさし、主に会計事務所や同様の業務を担うコンサルティング企業などが分類されます。

例えば財務データの調査では、仮に投資した場合、買い手にメリットがあるのか精査する役割です。

そのほかのデューデリジェンスには、法務・労務・ビジネス環境などを対象としたものがあり、あらゆる内情データからM&Aの必要性を検討します。

業界マップ

続いては、業界で活躍するM&A企業が、先ほど紹介したどのカテゴリーに分類されるのか、見ていきましょう。

M&A仲介会社・アドバイザー(マッチング)

業界マップでマッチングに分類されるのはM&A仲介会社・アドバイザーです。

実際に企業間のM&Aをサポートしているわけではありませんが、M&Aの普及やアドバイザー教育を目的とした日本M&Aアドバイザー協会も含まれるでしょう。

さらには、金融会社である野村證券や三菱UFJモルガンスタンレー証券などの証券会社系企業もM&Aのマッチングサービスを提供していて、業界マップのファイナンスとマッチングの両方に分類される場合もあります。

証券会社・銀行(ファイナンス)

業界マップのファイナンスに分類されるのは主として銀行です。証券会社もその役割を担うこともありますが、代表的なのは三井住友フィナンシャルグループや、みずほフィナンシャルグループなどがファイナンスに分類されます。

法律事務所(契約スキーム)

契約スキームに分類されるのは法律事務所が多く、大手弁護士法人でいえば、西村あさひ法律事務所やアンダーソン・毛利・友常法律事務所、森・濱田松本法律事務所などが挙げられます。

ただし、このような大手弁護士法人では大規模案件や複雑な案件を扱っており、中小企業のM&Aには関与しないケースが多いです。

中小企業のM&Aでは、主に税理士法人が契約やスキームのチェックを行っているため、税理士法人も業界マップでは契約スキームに分類されます。

監査法人(DDバリュエーション)

DDバリュエーションには、監査法人や会計事務所が分類されます。例えば、財務などの企業調査を行っているKPMGジャパンやデロイトトーマツ、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)などです。

そのなかには監査業務だけではなく、マッチングサービスを付随して提供する企業・事務所もあります。

全体の件数動向

近年日本では多くのM&Aが行われており、2019年までの推移は8年連続で増加しており、2017(平成29)年以降は3年連続で過去最高値を更新中です。

M&A件数は、過去にはリーマン・ショックの影響で減少したものの、その後は順調に推移を伸ばしており、2019年には初の4,000件超えである4,088件のM&Aが成立しました。

なお、この数値は公表されている上場企業だけのデータであり、非上場企業も含めるとその数はもっと増えると考えられます。

全体の金額動向

日本企業同士のM&A(IN‐IN型)の金額は、2018年よりも2019年は増えています。一方、日本企業が外国企業を買収するM&A(IN‐OUT型)ですが、件数は2018年と2019年は同等ながら金額は減少しています。

外国企業が日本企業を買収するM&A(OUT‐IN型)の件数自体は、2019年の金額は大きく減少してしました。

2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響を受け、金額は14.7兆円と前年よりも17.2%減少しました。

IN-IN型は、件数は横ばいとなっている一方で、2019年の6.4兆円から3.3兆円で43.9%減でした。大規模なIN-IN型のM&Aが比較的に少なかったといえるでしょう。

最も影響を受けたのは、IN-OUT型の4.4兆円で、前年よりも大きく下回り、57.2%減でした。OUT-IN型は6.9兆円で、前年よりも4.8倍に拡大しています。この結果から、グローバル展開における日本企業の事業売却戦略の動きが活発化しているといえるでしょう。

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2. M&A業界の動向【2021年最新版】

中小企業の後継者不足は、日本の社会的な課題の一つとなっています。M&A市場は、経営者の高齢化にともなう後継者不在問題により、事業承継型のM&Aは年々増加傾向です。

しかし、2020年はコロナ禍の影響によって市場が縮小しました。ここでは、M&A業界における2021年の最新動向を解説します。

M&Aだけでなく上場も目立っている

M&A件数は、新規の上場企業件数と比較的近い相関関係があります。

帝国データバンクの調査によると、2021年の新規上場社数は125社と2007年以来14年ぶりに100社を超えました。

2020年に新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、新規上場を先送りとした企業が上場を果たしたほか、アメ リカの利上げ前の駆け込み上場が理由の一つと考えらます。

昨今、経営者の高齢化による事業承継のピークを迎えているなか、企業の内部留保も豊富であるのを考えてみると、今後10年間もM&A件数が増加していくと予想できるでしょう。

DX目的のM&Aにも積極的

事業承継型のM&Aの増加に加え、IT企業を対象にした買収案件が目立ち、デジタル化やDX(デジタルトランスフォーメーション)化への取り組みとして、M&Aを選択するケースも増加しています。

デジタル化やDX化とは、例えば紙の書類をデータ化するなどは、業務効率を上げるためのデジタル化です。会社内で複数のシステムを共有・活用し、担当者の業務軽減、生産性向上につなげるのがDX化です。

DXへの取り組みは大企業を中心に進められていましたが、昨今は人手不足に陥っている中小企業こそDXが必要ともいわれています。

企業では、最先端技術に対応できる優秀な人材が不足している現状もあり、IT技術に詳しい人材を確保するためにIT企業を買収する企業が増加傾向です。

DXを進めるうえで、社内にIT人材の確保するのが重要であるとの認識が浸透してきており、IT事業・会社のM&Aが増加しています。

事業再編に向けたM&Aも多い

経済産業庁が発表した「事業再編や新陳代謝の促進等による生産性向上と経営者保証に関する取組について」によると、事業再編を実施した中小企業は、伸び率を見てみると、実施していない中小企業に比べて、生産性が向上しているのがわかりました。

具体的な効果は、中小企業の販路拡大や利益率の向上につながるとしています。 企業の人手不足が深刻な課題となるなか、M&Aは中小企業の生産性向上の重要な手段といえるでしょう。

参照:経済産業省「事業再編や新陳代謝の促進等による 生産性向上と経営者保証に関する取組について」(令和2年)

M&A動向から見るPMIの手法

日本電産やSHIFTなどのようなM&Aを数多く実施している企業は、M&Aの統合プロセスであるPMIに対する明確なメソッドが確立しているため、経営も強固になっています。

日本電産は日本企業として早い時期から取り組み、国内外で60件以上のM&Aを実施し、成功へと導いてきました。2021年度は環境関連事業へシフトし、営業利益が3年ぶり過去最高を更新しました。IT企業のSHIFTも30社以上のM&Aを成功させ、事業拡大をしています。

中小企業庁の「中小PMIガイドライン」によると、実績が蓄積されているM&Aでは、PMIの取組が最も重要とされています。PMIの取組は、買い手と売り手が一体となって成長していくために、経営や業務などの面で一定程度のすり合わせが重要です。

参照:中小企業庁の「中小PMIガイドライン」(令和4年)

上場企業、スタートアップ、クロスボーダーM&Aは苦戦

上場企業、スタートアップ、クロスボーダーM&Aは苦戦する結果となりました。

通常、中堅・中小企業のM&Aは、年間の営業キャッシュフローに値するEBITDAのおおよそ5倍から6倍で取引されているのが現状です。

一方、上場企業のM&AはPERに30%上乗せしてM&Aが実施されているため、上場企業のM&Aは買収価格が高額のため、早期の投資回収が難しいです。

スタートアップM&Aは、サービス自体を買収するケースが多く、投資としてM&Aを実施し、その後に事業継続が難しくなったケースも見られました。

クロスボーダーM&Aは、日本は苦戦を強いられ、いわゆる欧米の売れ残り案件が多かった可能性もあります。しかしM&Aの市場環境は、新型コロナの影響を受けて買手市場となっていた環境が、2022年以降は売却側がより交渉力を持つ売手市場に代わると予想されています。

3. 業界別のM&A最新動向

M&Aはさまざまな業界で盛んに行われています。業界によって現状や動向などが大きく異なるでしょう。この章ではM&Aが盛んに行われている業界と動向を解説します。

調剤薬局

M&Aで最も注目を浴びているのは調剤薬局業界です。以前は医師が診療から調合まで行うのが主流でしたが、1980(昭和55)年代から処方と調合を分ける医薬分業が日本でスタートしました。

全国平均の処方箋受取率(医薬分業率)は1992(平成4)年の時点では14%と低く、70%を超えて一般化したのは昨今の話です。M&Aの増加に関わる調剤薬局が抱えている課題は、主に4つ挙げられます。

  • 収益の減少
  • 成熟市場
  • 薬剤師不足
  • 後継者不足

参照:厚生労働省「薬局・薬剤師のあり方、医薬分業のあり方(平成30年)」

収益の減少

調剤薬局の収益は、薬の販売と調剤で発生する報酬で成り立っています。売上を上げるには受け取る処方箋の数が鍵であり、病院の周辺に店舗を構えることが成功を左右するといっても過言ではありません。

各店舗を管理する指標には、処方箋の受付回数と集中率が存在します。病院の近くに設置された門前薬局は、処方箋の受付回数と集中率が高い傾向にあるのが常です。

ところが、2018年度に調剤報酬の改定が行われ、門前薬局や医療機関と賃貸借契約を結ぶ薬局は調剤基本料の引き下げ対象となってしまい、収益は減少状態にあります。

成熟市場化

調剤薬局は1990(平成2)年代からチェーン化が進行し、厚生労働省が調査したデータによれば、2019年時点の調剤薬局数は60,171施設と、コンビニエンスストアをしのぐほどの数に増えています。

業界では積極的なM&Aが行われていることから、今も店舗数は増え続けている現状です。

しかし医薬分業の増加も落ち着き、昨今の調剤薬局業界は成熟市場化へと変化しています。市場の成長に伸び悩む時代に突入し、業界では大きな再編が望まれているところです。

参照:厚生労働省「令和元年度衛生行政報告例の概況」

薬剤師不足

人気職業ランキングでは上位の薬剤師ですが、薬剤師不足も課題に挙げられます。薬剤師1人あたり受け付け可能な処方箋は1日40枚であるのが制限です。

薬局を大きくするためには、多くの薬剤師が必要であるため、薬剤師の確保が大きな課題になっています。

薬剤師が不足しているのは、薬学部の在籍年数が変動したことが大きな理由です。2006(平成18)年に学校教育法と薬剤師法の改正が行われ、薬学部は4年制だったところが医学部と同じ6年制へと変わりました。

在籍の期間が延びたことから調剤薬局は人材を確保しにくくなり、特に規模の小さな薬局では難しい状態であるといわれています。

なぜならば、薬剤師が働く場は調剤薬局以外にも製薬会社・病院・大手ドラックストアなどがあるからです。

それらは、企業体力が高く採用費や教育費に大きくコストをかけられるため、中小規模の調剤薬局では人材確保が困難になっています。

後継者不足

調剤薬局だけの問題ではありませんが、経営者のほとんどは高齢化が進んでいます。しかし、さまざまな事情から後継者を確保できていない調剤薬局は少なくありません。

調剤薬局には、サービスの品質向上や多様化、人材・後継者不足などの課題があり、これらを解消する手段としてM&Aが有効です。

昨今は異業種が調剤薬局の分野に進出するケースも増え、参入するにあたって調剤薬局を買収しハードルを下げています。新しい付加価値をつけるためには異業種とのコラボも必要でしょう。

M&Aでチェーン化すれば人材を確保しやすく、さらに後継者探しや育成の手間を省ける点もメリットです。熟成している市場であるため、業界再編の手段としてM&Aは盛んに行われると想定されます。

IT

人気職業ランキングや成長業界ランキングで上位のITは、システムやアプリ・ソフトウェア・情報処理・通信インフラなど、情報技術を専門とした業界になります。

発展を続けるIT業界は多様化が続き、市場もさらに拡大すると予想されていますが、課題となっているのは人材不足です。

新しい技術の登場と需要が増えている背景から、全体で約20万人も足りないともいわれており、求人倍率も7倍以上になるデータ予測もされています。

そのため、効率的に人材を確保する手段としてM&Aが採用されており、最先端技術を持っている企業であれば、人材と同時に新技術を取得するのも可能です。

そのほか中小やベンチャー企業の場合は経営基盤を堅くする目的で売却したり、海外進出を狙って買収を行ったりするM&Aも多く見られます。

M&Aを活用されるケースが増えているものの、IT業界に特化したM&Aの専門家が少ない点が課題といえるでしょう。

不動産・建設・ビルメンテナンス

建設業界は東京オリンピック・パラリンピックの関連で大型の再開発がピークの頂点に到達しました。一時期は赤字受注の時期もありましたが、景気の回復や震災の復興などの需要で工事量が増え、好業績を維持しています。

不動産・ビルメンテナンス業界では、新築分譲マンションの供給で市場は続伸中です。しかし、人口や世帯数が下っている背景から、新築分譲マンションの需要は減る可能性が高く、将来、市場は伸びが不調になる可能性が懸念されています。

それでも、直近は不動産市場の好景気が続いているので、市場は伸び続けると考えられるでしょう。

不動産・建築・ビルメンテナンスは平均年収ランキング上位であり、さらに需要の続く業界ですが人材不足が大きな課題です。労働力に依存している業界であるため、人材の不足は経営に直接ダメージを与える要因になります。

工事量や管理戸数の拡大に対応できるよう、人材の確保や後継者不足の解消、競合との優位性を保持するなどの目的でM&Aを行う管理会社やゼネコンは増加傾向です。

食品

食品業界は製造業、卸業、小売業、外食業と多岐にわたります。所得水準の低下やデフレの長期化、消費増税、年金不安などの影響で消費者は節約意識が強く、競合も多いので企業側は価格競争が激しくなっているのが現状です。

原料費の高騰が続いており、製造業ではコストが増加しています。業界によってM&Aの目的は異なりますが、製造業では後継者問題の解消や海外投資などを目的にM&A件数が増加しているようです。

卸業は、国内市場の縮小背景と流通コストの上昇に伴い、2019年は規模拡大を狙った同業者間でのM&Aが盛んでした。小売業界はコンビニ業界で再編を目的にM&Aが行われ、スーパー業は上位ランカーによるM&A攻勢が続くでしょう。

外食業では人手不足やコストの高騰、オーナーの高齢化など、さまざまな課題を抱えています。課題解決や成長を加速化させる狙いからM&Aが行われており、その傾向は続くでしょう。

物流

経済活動を支える物流業界は、大きく分けると輸送・運送を行う運送業と、保管を行う倉庫業で成り立っています。物流市場の6割はトラックによる運送事業が占めている状況で、中でも通販の利用が増えたことで宅配便貨物が伸長中です。

厚生労働省のデータでは、厚生労働省が公開している「職業別一般職業紹介状況[実数](常用/含パート) 」によると、「自動車運転の職業」における有効求人倍率は、2021年3月時点で2.21倍でした。

全職種平均の有効求人倍率である1.02倍と比べ、人材確保が難しい職種であるのを示しています。さらに人材の高齢化も根深い問題です。

他にも業界全体で赤字営業の傾向が続き、競走の激化から運送単価の低下、燃料費のコスト上昇による収益の低下なども課題に挙げられています。

この現状により、事業承継に厳しさを感じる企業は多く見られますが、物流の需要は加速すると予想されており、販売拡大やドライバーの確保を目的に業界でもM&Aが浸透してきました。

参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年3月分及び令和2年度分)について」

医療・介護

平均年収ランキングでは長年上位をキープしている医療業界は、患者へ医業を行う医師や関連のサービスの提供を行う事業です。

病院形態は複数に分類されますが、全て医療法人として病院・診療所数と病床数は医療法に基づき運営されています。

企業とは異なるため、M&Aの方法は合併や出資持分の譲渡、事業譲渡となり、出資持分の譲渡が選ばれるケースが多いです。

激務な業界ランキングで上位に入ることが多い介護業界は、超高齢社会により医療業界と合わせて需要の拡大が見込めます。

特に2021年3月時点で介護サービスの職業は3.44倍であり、人材が求められている職種であることはいうまでもありません。医療と介護のどちらも医師や介護職員が不足しており、介護にいたっては非正規職員に頼っている傾向が見られます。

他にも経営の赤字や施設の老朽化・設備導入に資金を回せないなどの理由により、既存事業の強化を狙ったM&Aが増加しており、介護業界では事業拡大を目的に異業種からの買収も増加傾向です。

参照:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年3月分及び令和2年度分)について」

製造

原材料の加工や組み立てにより製品を作る製造業は、機械や電子機器、衣料品など幅広い分野が存在します。その分野によって市場規模や需要、M&Aの動向は変わってきますが、大手企業のM&Aが増加傾向です。

昨今はグループでワンストップの製造を行う考え方が強まり、大手企業が中小規模の部品メーカーを買収するのが盛んになってきています。

業界変革に合わせて異業種とのM&Aも多いです。特にAIやIoTといったIT技術の導入に伴いM&AでIT業界を傘下に入れる製造会社も増えています。

事業を多角化させる製造業も増えており、ノンコア事業を売却しM&Aでコア事業に力を入れる企業も見られるようになりました。

小売・卸売

小売と卸売業はどちらも商品の販売を行う業界ですが、製造業と同じく商社や食品など幅広い分野があります。

小売業は主に個人や家庭消費を目的に商品を販売、もしくは事業者に対して産業用商品を少数か少額で販売する事業です。一方、卸売りは業務で使われる商品の販売や売買の代行を担う事業となります。

消費増税や人口減少などの現象を受け、市場の動向は縮小傾向です。その縮小に対応しようとM&Aが活発な傾向にあると考えられます。

大手企業は異業種への参入や事業拡大のために、中小企業を積極的に買収する傾向です。市場でのシェア拡大や事業発展のため、大手企業間でのM&Aも目立つようになっています。

サービス

サービス業は顧客に無形の価値をもてなす業種で、その分野は情報やモノ、快適性など多様です。具体的には外食や宿泊施設、広告、人材派遣、教育、放送などが当てはまります。

サービス業自体のニーズは増加の動向を見せており、市場規模の成長を期待できるでしょう。

分野によって課題は変わりますが、共通する問題は接客や営業を行う人材の不足です。企業体力の低い中小企業はスムーズな人材確保が難しいので、M&Aでカバーする動きが見られます。他にも供給力の強化やサービスの品質向上のためにM&Aを行う企業も多いです。

ゲーム

ゲームソフトやハード、アプリの開発と販売に携わるゲーム業界は、産業の中でも成長に期待できる業界です。「ファミ通ゲーム白書2021年」のデータによれば、2020年の国内でのゲーム市場は2兆円を突破し、ゲームアプリが1兆3,164億円と全体の約3分の2を占めました。

オンラインゲームやアプリゲームのシェアは、今後も伸び続けるでしょう。ゲームプログラマーは人気職業ランキング上位にランクインしており、人材不足の心配は少ないはずです。

ゲーム業界では、オンラインプラットフォームの参入を目的に大手企業のM&Aが盛んであり、なかでもゲームアプリは世界中で配信されているので、海外展開を視野に入れたM&Aの動向が目立ちます。

美容

厚生労働省の「令和元年度 衛生行政報告例」によると、美容所は25万4,422軒で過去最高を更新しました。その一方で、理容所は11万7,266軒と減少しました。

美容業界では、事業所数は年々増加傾向にあります。近年では以前から存在する付加価値型サロンと、施術メニューやサービスを一点特化した低価格サロンへの二極化が進行しています。

ネイル・エステ・まつげエクステ、男性専用脱毛サロンなど、他の美容サービスと協業し、相互集客を促進して売上を確保する理美容室も急速に拡大中です。美容業界の競争率は、今後も激化していくでしょう。

人口が減少に転じているにもかかわらず、年々増加している現実は、過当競争であるのが一目瞭然です。一方で、理容市場は経営者の高齢化が進んでおり、理髪店は淘汰(とうた)される傾向にあります。

美容業界は個人の経営者が多く、深刻な後継者不足に悩む経営者も多いです。その解決策としてM&Aが挙げられるでしょう。昨今は美容業界以外からの参入も活発化しているため、事業拡大を目的としたM&Aが行われると予想されています。

参照:厚生労働省「令和元年度衛生行政報告例」

エネルギー

エネルギー業界は近年、事業縮小が加速している傾向です。特にLPガス業界は、都市ガスやオール電化の需要が高まったことで市場が縮小され、LPガスの国内需要は1996年度1,970万トンがピークで、2015年度以降は1,400万トン程度で推移しています。

スマートエネルギーや再生可能エネルギーが世界的に普及する中、今後も減少が見込まれ、エネルギー業者間で消費者の奪い合いが起きているのが現状です。

事業縮小に伴い施策が必要となり、解決策としてM&Aが注目されています。近年、大手企業は海外市場でのシェア拡大を目的として、海外企業の買収を行っています。

参照:日本LPガス協会「第32回一般紙等エネルギー記者会懇談会(2020年)」

広告

これまでの広告はテレビや雑誌などのメディアが主流でしたが、減少傾向にあります。一方で、スマートフォンの普及に伴ってインターネット広告の需要が高まっているのです。

電通の「2020年 日本の広告費」の調査によると、2020年のインターネット広告費は2兆2,290億円と年々増加傾向です。アドテクノロジーといわれる技術が発展したことや、インターネットの利用者が大幅に増加したことが大きな要因でした。

そして、巣ごもり需要によるSNSやEC、動画配信サービスへの接触機会も増えるなど、引き続きプラス成長となる見込みです。

広告のデジタル化によって、インターネット広告を得意とする企業の譲渡が増加していくでしょう。大手広告企業の中には、M&Aによって世界進出に成功している企業も出ています。今後、広告業界でのM&Aも加速していくものと想定されます。

4. M&A業界の今後【2022年予測】

ここまでM&A業界内におけるマップ分類やM&Aが盛んな業界の動向を紹介してきました。将来的にM&A業界はどうなっていくのでしょうか。この章では、M&A業界の今後も解説します。

事業承継M&A件数がより増加

今後、M&A市場はますます拡大していくと考えられます。なぜなら、後継者不足・人材不足に悩む企業が多くの業種で増加すると予想できるためです。

特に後継者不足は深刻であり、帝国データバンク発表による「全国・後継者不在企業動向調査(2021年)」によると、企業の後継者不在率は61.5%と、多くの企業が後継者不在問題を抱えていることがわかります。

後継者にふさわしい人材が見つかっても、経営者として育成するまでには最低5~10年要するともいわれており、その間に市場環境に変化が生じれば、企業価値が低下してしまうかもしれません。

こういった理由から、事業承継M&A件数は増加し、全体的な市場規模の拡大につながると考えられます。

後継者不足問題の深刻化

中小企業庁「中小企業・小規模事業者における M&Aの現状と課題」によると、経営者のうち、2025年までに70歳以上の経営者は245万人に達します。その内、約半数の経営者が後継者のいない状態になると予想されているのです。

帝国データバンクが発表した「全国・後継者不在企業動向調査(2021年)」の資料でも、国内のM&A市場は後継者不足の問題を抱える中小企業が増加しているなかで、脱ファミリー化が加速しています。

柔軟な発想や実行力のある若い世代を後任に将来を任せたいなど、後継者問題に対する経営者の心境も変化しているのが現状です。第三者へのM&Aや事業譲渡、経営再建併用の事業承継など、さまざまな支援メニューが全国的に整いつつあります。

参照:中小企業庁「中小企業・小規模事業者における M&Aの現状と課題」

支援機関の増加

昨今、公的機関やM&A仲介会社による支援が充実してきており、国内のM&A市場拡大の要因となっています。

中小企業など案件数が増え、公的機関である事業引継ぎセンターの成約実績も増加しています。中小企業基盤整備機構の「事業引継ぎ支援事業に係る実績について」によると、2020年度の事業引継ぎ成約件数は1,379件(前年度比 117%)と過去最高の件数となりました。

年間を通じた成約件数および相談者数はともに過去最高となり、事業承継は中小企業の重要課題であるのが改めて示された結果です。

中小企業や個人の取引が増加していることに伴い支援機関も増加してきており、誰でも相談しやすい形に変化してきています。

公的機関やM&A仲介会社などの支援・サービスが充実によって、国内のM&A市場はさらなる拡大が予想されます。

M&Aの認知度向上

以前は、M&A仲介会社や金融機関でなければ、M&Aの案件を取り扱っていませんでしたが、M&Aの認知度向上により、さまざまなM&Aマッチングサイトも登場しました。

M&Aマッチングサイトは仲介会社を利用するよりも安価に利用できるため、自社の希望する条件を入れることで手軽に案件を探せます。

個人でもM&Aが利用できるのが認知されるようになったことで、買い手からの需要が高まっています。将来的にもM&A市場は拡大するでしょう。

小規模M&A件数の増加

中小企業を中心とした小規模M&A件数が増えていますが、将来的にも増加すると予測できます。海外では最初からM&Aで他社に売却するのを目的に経営するケースも少なくありません。

日本ではまだそれほど一般的ではないものの、今後は日本でも小規模M&Aがさらに活用される可能性が非常に高いです。

起業家が会社設立の手間を省くために小規模会社を買収する場合もあり、起業家はコストを削減しつつ自分の会社を持てるようになるため、スタートアップとして有効な手段でしょう。

ネット活用による利便性向上

インターネットの普及によって、さまざまな産業・サービスの利便性が向上していますが、M&A業界でも同様に、多くの企業が積極的にネットを活用しています。

M&Aの問い合わせはホームページから簡単に行えるようになり、マッチングプラットフォームによって、M&Aの相手先企業を探したり直接交渉ができたりするサイトも増加傾向です。

今後、ネット活用による利便性はさらに向上し、M&Aはより身近になって件数が増加していくと考えられます。

スタートアップ、クロスボーダーM&A、スモールM&Aがトレンド

日本ベンチャーキャピタル協会の発表によると、スタートアップによる資金調達金額は、2013年に800億円程度でしたが、2021年には約8,000億と10倍へと拡大しました。今後、投資を受けた企業はEXITの出口戦略としてM&Aを選択するケースは増加するでしょう。

アメリカではスタートアップの9割程度がM&Aによる出口戦略を行っているため、国内でもスタートアップ企業がさらなる成長のためにM&Aを実行する傾向が増加する予想です。

クロスボーダーM&Aは、国内を主たる事業基盤としてきた企業も含め、クロスボーダーM&Aの裾野が一層拡大しています。アジアにおける世界のGDP比率が高まっていくなか、東南アジアのM&Aは国内市場が縮小している日本企業にとっても早期から挑戦すべきものと認識されています。

スモールM&Aは、年商1億円以下、数百万円程度で売買が可能な小規模M&Aです。M&Aマッチングサイトの活用などにより、多くの小規模M&Aが成約している要因となっているでしょう。

中規模M&Aよりもコスト面で制約のあるスモールM&Aでも、可能な限りリスクを回避し、専門家のスポット支援と利便性向上、地域金融機関における経営支援事業の促進などの取組みなども政府によって計画されています。

5. 世界のM&A件数動向

ここでは、アメリカ、アジア・環太平洋、世界全体のM&Aの推移を紹介します。

アメリカの動向

デロイトトーマツの調査によると、米国のM&Aマーケットは2019年上期に、前年同期比で件数は減少傾向でしたが、金額ベースでは上昇しました。アメリカの経済は堅調で、金融緩和による金利水準の低さもあり、M&Aが活発化しました。

CFIUS(Committee on Foreign Investment in the United States:対米外国投資委員会)による審査の強化や、米中貿易戦争の影響もあり、中国企業による買収が2017年以降減少し、2019年上期では欧州企業による米国企業へのインバウンド投資が目立っていました。

アジア・環太平洋の動向

EYストラテジー・アンド・コンサルティングが2020年12月に発表した資料によると、新型コロナウイルス感染症の流行下の中で、欧米やその他のM&A市場が軒並み前年比二ケタ減となりました。

対して、アジア・パシフィック地域は同8%減と、回復力の強さを示したのです。アジア・パシフィック地域のM&Aは、国内の業界再編やテクノロジー案件にけん引される形で、2020年第3四半期は、過去最高の業績を上げました。

アジア・パシフィック地域内のM&A活動が、より急速に回復しつつあり、欧米に比べて、アジア・太平洋地域がコロナのダメージからいち早く回復しているのが伺えます。

世界全体の動向

EYストラテジー・アンド・コンサルティングが2020年12月の発表によると、世界のM&A案件数は、2020年上半期に4分の1近く(23%)減少しました。アジア・パシフィック地域では、第1四半期で20%下落しています。

しかし、新型コロナウイルス感染症の世界的流行から、M&Aがどの程度回復したかは、アジア・パシフィック地域とその他地域との間に乖離(かいり)が生じました。

アジア・パシフィック地域では、案件数減少が前年比8%であるのに対して、米州(南北中米)では前年比20%減、EMEIA(欧州、中東、インド、アフリカ)では前年比15%減と、アジア・パシフィック地域以外が厳しい状況であるのがわかります。

6. M&A業界の動向に関する相談ならM&A総合研究所

M&A総合研究所は主に中小・中堅規模のM&A案件を扱っており、さまざまな業種で成約実績を有しております。案件ごとにアドバイザーがつき、クロージングまでサポートいたしますので、スムーズなM&Aが可能です。

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7. M&A業界の動向まとめ

当記事では、機能マップや業界マップ、各業界のM&A動向、今後の展望をご紹介しました。機能マップや業界マップはM&Aをサポート・仲介を担う企業の得意分野がわかります。

M&A業界は時代の動向で変化が見られますが、将来的にはM&A件数の増加によって市場規模は拡大する予想です。市場規模が拡大されていけば多くの企業・専門家が参入してくるでしょう。

M&Aに特化した企業であれば、各業界におけるサポートも可能です。どのマップに分類されている企業にするか、サポート内容などをよく把握して見極めましょう。

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