2023年04月29日更新
SES業界のM&A動向!売却・買収事例31選と相場や売却メリットを解説!【2023年最新】
当記事では、SES事業の売却・M&Aに関する31個の事例を、SES事業の現状を交えながら紹介しています。また、売却・M&Aで買い手から高評価を得るポイントや注意点、相談先などの情報もまとめています。SES事業の売却やM&Aを検討されている方は必見の内容です!
目次
1. SES事業の概要
SES事業とは
SES事業とは、顧客となる会社へシステムエンジニアを派遣する事業のことです。委託元に技術者を常駐させ、ソフトウエアやシステムなどの開発・運用・保守・点検のサービスを提供します。SES事業会社は、自社でシステム開発などを行うとコストや時間がかかってしまう企業に向けて、必要な技術者を派遣させています。人を派遣するという点では派遣契約と同じですが、SES契約(準委任契約)という指揮命令権が違う契約を結んでいます。
準委任契約
SES契約では多くの場合、準委任契約のことを指します。準委任契約とはクライアントにエンジニアとしてシステム開発・ソフトウェア開発・インフラ環境構築などを行うために客先に常駐し、IT技術のサービスを提供します。指揮命令権はエンジニアが所属する企業側にあるため、常駐先であるクライアント側が指揮命令をすることはできません。準委任契約の目的は業務を遂行することのため、報酬は労働力に対して支払われます。
請負契約
準委任契約と同様に、客先に常駐し、IT技術のサービスを提供し、指揮命令権はエンジニアが所属する企業側にあります。準委任契約との違いは、準委任契約は業務の遂行を約束しているのに対し、請負契約は成果物の完成を約束しているという点です。
派遣契約
派遣契約はスキルを持つ人材を派遣企業が他の企業に派遣する契約業態のことを指します。
準委任契約との違いは指揮命令権がどこにあるかです。準委任契約では所属する企業側にあるのに対して、派遣契約では派遣先企業であるクライアント企業に指揮命令権があります。
SES企業のビジネスモデル
SES業界では主に2つのビジネスモデルがあります。
自社エンジニアの常駐
自社のエンジニア社員をクライアント先に常駐させるモデルです。給料、交通費などを支払うことで社員を雇っているため固定費などは高騰しやすいです。サービスの品質が安定しやすい特徴を持っています。
パートナー企業・フリーランスとの協業
パートナー企業のエンジニアやフリーランスのエンジニアといった自社のエンジニアではないエンジニアと協業し、クライアント先に常駐してもらうモデルです。エンジニアの報酬は費用は外注費として計上します。自社でエンジニアを抱えるのに比べ固定費を抑えることができる特徴を持っています。
2. SES業界の現状と課題
SES業界では、どのような動きが見られるのでしょうか。ここでは、SES事業の売却・M&Aに生かせるように、SES業界の現状・課題を取り上げます。
SES業界の現状
経済産業省が令和4年に発表した「企業活動基本調査速報」によると、SES業が含まれるソフトウエアの売上高は2019年度は18兆1,827億円、2020年度で18兆5,713億円でり、市場規模は拡大しています。
市場規模と同様に経済産業省の「企業活動基本調査速報」でSES業界(ソフトウエア業)の企業数を見てみると、2019年度は1,417社、2020年度は1,450社と0.8%増加しました。従業員数は、2019年度の58万8,832人から2020年度には60万6,252人と増加しています。
コロナ禍により業績不振等に陥りIT投資の中止や先送りをした中小企業もありましたが、大企業の多くはテレワークに向けた環境整備やデジタル化の必要性実感しIT投資を実施したことが要因と考えられます。
今後もデジタル化や事業の変革の必要性から堅調に推移してくことが予測できます。
参照:経済産業省「企業活動基本調査速報(2020年度実績)」
経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課 参考資料 (IT人材育成の状況等について)
SES業界の課題
SES業界の課題は主に2点です。
IT人材の不足

経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課(IT人材育成の状況等について)
出典:https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/daiyoji_sangyo_skill/pdf/001_s03_00.pdf
IT市場の拡大の一方で、IT人材は減少すると想定されています。IT 需要予測から推計されるIT人材需要との需給ギャップから2030年までのIT人材の不足数を推計すると、将来的に40~80 万人の規模で不足が生じる懸念があることも試算されています。
多重下請け構造の問題

公正取引委員会 ソフトウェア業の下請取引等 に関する実態調査報告書
出典:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220629_sw_03.pdf
多重下請け構造とは、クライアントから委託された業務が、元請け企業、2次請け企業、3次請け、4次請けのようにピラミッド型に何層にもわたって再委託されている構造のことを示しています。
公正取引委員会の「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」によるとエンドユーザーのニーズの多様化、プログラム言語 等から生じる専門性、1社だけでは必要な人員を確保できない等の理由から多重下請け構造が起きているとされています。
多重下請け構造の問題点としては、品質責任の所在がわかりにくくなることでプロジェクトで問題が発生した際の責任が曖昧であることや、末端階層の企業に行けば行くほど労働環境が悪くなったりする傾向がある点が挙げられます。
参考:公正取引委員会 ソフトウェア業の下請取引等 に関する実態調査報告書
3. SES業界のM&A動向
人材確保のため
人材不足はIT業界全体の問題であり、同業者だけではなく異業種によるIT企業の買収もありエンジニアのリソースを素早く獲得する目的でエンジニアが多く所属していたり優秀なエンジニアが所属しているSES企業を買収する動きがあります。
今後もデジタル化と人手不足は続くと想定されるため、人材確保のためにM&Aが活発に行われる考えられます。
コスト削減
海外の大手企業はプロジェクトの規模も大きくシステム開発費用が莫大です。SES企業をM&Aすることで自社でシステム管理・運用しコストを抑える動きがあります。
4. SES事業の売却・M&A事例31選
ここでは、SES事業の売却・M&Aについて、実際に行われた31の事例を取り上げて紹介します。
①アイフリークモバイルによるエスティーエーグループのM&A
アイフリークモバイルによるエスティーエーグループのM&A事例です。
コンテンツ制作やITサービス事業などを展開するアイフリークモバイルは子会社を設立し、2023年4月にゲーム関連のSES事業・e-Sportsの企画開発などの事業を展開するエスティーエーグループとの事業一部譲受けをしました。
この事例で、アイフリークモバイルは人的リソースを活用し、ゲーム業界発展にさらなる貢献を行うとしてます。
参考:子会社設立及び当該子会社への事業譲渡 並びにエスティーエーグループからの事業一部譲受けに関する 基本合意書の締結に関するお知らせ
②データセクションによるFabeeeのM&A
データセクションによるFabeeeのM&A事例です。
ソーシャルメディア分析・リテールマーケティングなどの事業を展開するデータセクションは、2020年7月にSES事業・受託開発などの事業を展開するFabeeeと資本業務提携しました。
データセクションはこの事例における最大の目的を音声解析AI事業の強化としていますが、同時にエンジニアリソースの確保も目指すとしています。
参考:資本業務提携に関するお知らせ~AIを活用した音声解析事業の展開を強化~
③夢真ホールディングスによるアローインフォメーションのM&A
夢真ホールディングスによるアローインフォメーションのM&A事例です。
主に建設技術者やITエンジニアの派遣事業を行う夢真ホールディングスは、2020年6月にSES事業を行うアローインフォメーションの株式を取得して子会社としています。
この事例で、夢真ホールディングスは育成力の強化を図るとともに、アローインフォメーションと顧客基盤の共有によって販路拡大につながるとしています。
参考:株式会社アローインフォメーションの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
④インフォネットによるスプレッドシステムズのM&A
インフォネットによるスプレッドシステムズのM&A事例です。
企業のWEBサイト構築・運用保守のサービスを提供するインフォネットは、2020年4月にフロントエンドエンジニアリングやディレクションの受託開発やSESを行うスプレッドシステムズの株式を取得して子会社としました。
この事例で、インフォネットはスプレッドシステムズの事業をサービスに組み入れて収入基盤を築くとしています。
参考:スプレッドシステムズ株式会社株式取得(子会社化)に関するお知らせ
⑤FPGによるケンファーストのM&A
FPGによるケンファーストのM&A事例です。
グループで不動産・保険事業などを展開するFPGは、2020年4月にSI・SES業務などを行っているケンファーストの株式を取得して子会社としました。
FPGは高い技術を持つケンファーストを買収することでサービスなどを向上させ企業価値を高めるとしています。
参考:子会社の異動(株式取得)及び新規事業の開始に関するお知らせ
⑥クレスコによるエニシアスのM&A
クレスコによるエニシアスのM&A事例です。
複数のIT企業の親会社であるクレスコは、2020年2月にアプリケーションの開発などを行うエニシアスの株式と取得して子会社としました。
この事例によりクレスコは、エニシアスが持つクラウド事業を取り込んでグループとしての企業価値向上を図るとしています。
参考:株式会社エニシアスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
⑦TOKAIコミュニケーションズによるアムズブレーンのM&A
TOKAIコミュニケーションズによるアムズブレーンのM&A事例です。
個人と法人へネットワーク・データセンター・システム開発を提供するTOKAIコミュニケーションズは、2019年7月に子会社を通じてソフトウエアの受託開発・システムの運用保守サービスを提供するアムズブレーンの株式を取得しています。
TOKAIコミュニケーションズは株式の取得により、アムズブレーンを子会社としたとのことです。
参考:株式会社アムズブレーンの株式取得について
⑧インフォメーションサービスフォースによるITソフトジャパンのM&A
インフォメーションサービスフォースによるITソフトジャパンのM&A事例です。
トライアンコーポレーションの子会社でシステムエンジニアリングサービスを展開しているITソフトジャパンは、2019年3月にシステム開発事業を約15年行ってきたITソフトジャパンを買収しています。
この事例で、インフォメーションサービスフォースはITソフトジャパンの株式をすべて取得して子会社化しています。
⑨ITbookによるRINETのM&A
ITbookによるRINETのM&A事例です。
行政機関や民間企業などにITコンサルティングサービスを提供するITbookは、2018年8月に技術者の派遣と受託開発を手掛けるRINETを買収しています。
この事例で、ITbookはRINETの株式をすべて取得して子会社化しています。
参考:株式会社RINETの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
⑩データセクションによるKAGネットワークソリューションズのM&A
データセクションによるKAGネットワースソリューションズ(現・ディーエスエス)のM&A事例です。
さまざまなAIソリューションを提供するデータセクションは、2018年1月に金融システムの運用・保守やシステム運用の業務委託、常駐による開発などを手掛けるKAGネットワークソリューションズの株式を取得し、連結子会社としています。
参考: KAGネットワークソリューションズ株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
⑪インフォメーション・ディベロプメントによるテラコーポレーションのM&A
インフォメーション・ディベロプメントによるテラコーポレーションのM&A事例です。
システムの運営管理やソフトウエア開発などを手掛けるインフォメーション・ディベロプメントは、2017年7月に連結子会社のテラコーポレーションとの吸収合併を完了させています。
吸収合併では、インフォメーション・ディベロプメントを存続会社、テラコーポレーションを消滅会社としています。
なお、吸収合併の相手は連結子会社のテラコーポレーションのため、株式・金銭の交付は行われていません。
参考:連結子会社の吸収合併に関するお知らせ
⑫CEホールディングスによるシステム情報パートナーのM&A
CEホールディングスによるシステム情報パートナーのM&A事例です。
ITサービスを通じたヘルスケアの支援会社を束ねるCEホールディングスは、2016年11月に病院に常駐した医療情報システムの運用や医療情報システムの受託開発などを行うシステム情報パートナーの株式をすべて取得し、完全子会社としています。
参考:株式会社システム情報パートナーの株式取得(完全子会社化)に関するお知らせ
⑬アルプス技研によるパナR&DのM&A
アルプス技研によるパナVのM&A事例です。
技術者の派遣や設計の請負・受託開発を手掛けるアルプス技研は、2016年9月にいくつもの分野で技術者の派遣や設計・開発の受託サービスを提供するパナR&Dの株式をすべて取得し、子会社としています。
参考:連結子会社の再編(会社分割および吸収合併)に関するお知らせ
⑭トラスト・テックによるMTrecのM&A
トラスト・テックによるMTrecのM&A事例です。
2016年8月、国内外で技術・製造分野の人材派遣サービスを提供するトラスト・テックは、製造業分野の人材派遣サービスを手掛けるイギリスのMTrec Limitedの株式を取得し、子会社としています。
⑮ユビキタスによるエイムのM&A
ユビキタスによるエイムのM&A事例です。
組込み機器向けのコンピューターのソフトウエア開発などを行うユビキタスは、2016年4月にカーナビゲーションの開発などを手掛ける独立系のソフトウエア開発会社エイムの株式をすべて取得し、子会社としています。
参考: 株式会社エイムの子会社化のお知らせ
⑯アクロディアによるXioのM&A
アクロディアによるXioのM&A事例です。
スマートフォン向けのソリューション事業やアプリ・ゲームなどのコンテンツを提供しているアクロディアは、2016年3月にゲームソフトの受託開発・受託運営・共同開発などを手掛けるXioからゲーム事業を譲り受けています。
参考:ゲーム関連事業の譲受けに関するお知らせ
⑰アルゴグラフィックスによるNew System Service Co., LTD.のM&A
アルゴグラフィックスによるNew System Service Co., LTD.のM&A事例です。
製品設計・技術計算・ITインフラなどの問題解決を図るアルゴグラフィックスは、2015年2月にタイなどでITサービスを提供するNew System Service Co., LTD.の株式を取得し、子会社としています。
⑱フューチャーアーキテクトによるマイクロ・シー・エー・デーのM&A
フューチャーアーキテクト(現・フューチャー)によるマイクロ・シー・エー・デーのM&A事例です。
AIやデータ連携のサービス、セキュリティのコンサルティング、IT人材の育成事業など手掛けるフューチャーアーキテクトは、2014年12月にCAD技術を基礎としたシステムの受託開発を行うマイクロ・シー・エー・デーの株式をすべて取得し、子会社としています。
⑲アイティフォーによるアイ・シー・アールM&A
アイティフォーによるアイ・シー・アールM&A事例です。
民間の金融機関・ノンバンク向けに債権管理のシステム開発を独自で行うアイティフォーは、2014年7月に公的機関や行政に代わって税金・保険料の徴収などを行うアイ・シー・アールの株式を取得し、連結子会社としています。
参考:株式会社アイ・シー・アールの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
⑳DTSによるアートシステムのM&A
DTSによるアートシステムのM&A事例です。
情報システムの構築などを手掛けるDTSは、2014年4月に医療システム関連のITサービスを提供しているアートシステムの株式をすべて取得し、子会社としています。
参考:アートシステム株式会社との合併契約締結に関するお知らせ
㉑ジーダットによる連結子会社ジーダット・イノベーションのM&A
ジーダットによる連結子会社ジーダット・イノベーションのM&A事例です。
電子機器・電子部品の設計作業である、作業効率の改善や検証を行うツールを提供しているジーダットは、2013年4月に連結子会社のジーダット・イノベーションとの吸収合併を行っています。
ジーダットを存続会社、ジーダット・イノベーションを消滅会社とする取引で、簡易・略式合併のスキームを用いて吸収合併を終えているとのことです。
㉒セゾン情報システムズによるアプレッソのM&A
セゾン情報システムズによるアプレッソのM&A事例です。
システムの構築・運用やパッケージソフトウエアの販売・保守などを手掛けるセゾン情報システムズは、2013年3月にテータ連携のパッケージソフトウエアの開発・販売・サポートを行うアプレッソの株式を取得し、子会社としています。
参考:株式の取得(子会社化)に関する基本合意書締結のお知らせ
㉓伊藤忠テクノソリューションズによるシンガポール・マレーシアのIT企業のM&A
伊藤忠テクノソリューションズによるシンガポール・マレーシアのIT企業のM&A事例です。
コンピューターとネットワークのシステムの販売・保守・運用・管理やソフトウエアの受託開発などを手掛ける伊藤忠テクノソリューションズは2013年3月、伊藤忠商事とともにシンガポールITサービス企業CSC Automated Pte. Ltd.と、マレーシアITサービス企業CSC ESI Sdn Bhdの株式をすべて取得し、子会社化を図りました。
参照:CSC Automated 社及び CSC ESI 社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
㉔日本エンタープライズによるand OneのM&A
日本エンタープライズによるand OneのM&A事例です。
保有する資産・権利を用いたクリエーション事業と受託開発をはじめとするITソリューション事業を展開する日本エンタープライズは、2013年3月に音声通信関連のソフトウエア会社・and Oneの株式を取得し、子会社としています。
参照:株式会社and Oneの株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
㉕ユニバーサルソリューションシステムズによる日本企業開発支援のM&A
ユニバーサルソリューションシステムズ(現・INEST)による日本企業開発支援のM&A事例です。
飲食店向けに端末を利用したサービスの開発・販売を行うユニバーサルソリューションシステムズは、2013年2月に起業家を支援するサイトを運営し、各種事業での人材採用をサポートしている日本企業開発支援と株式交換を行っています。
ユニバーサルソリューションシステムズを完全親会社、日本企業開発支援を完全子会社とし、ユニバーサルソリューションシステムズ:日本企業開発支援=1:17.2の比率で株式交換を終えています。
㉖三菱電機によるドイツ・KH-Automation Projects GmbHのM&A
三菱電機によるドイツ・KH-Automation Projects GmbHのM&A事例です。
三菱電機は、2013年1月に子会社のMitsubishi Electric Europe B.VとFAシステム事業を拡大させるために、ドイツ・KH-Automation Projects GmbHのすべての株式を取得しています。
三菱電機は、PA(プロセスオートメーション)の高い技術を持つKH-Automation Projects GmbHを買収し、FAシステムの事業領域を150億円にまで拡大させるとのことです。
㉗マーベラスAQLによるエンタースフィアのM&A
マーベラスAQL(現・マーベラス)によるエンタースフィアのM&A事例です。
オンラインゲーム・家庭用ゲームソフト事業や音楽映像事業などを手掛けるマーベラスAQLは、2013年1月にオンラインゲームの企画・開発・運営事業を展開するエンタースフィアの株式を取得し、子会社としています。
参考:株式会社エンタースフィアの株式取得(子会社化)に関するお知らせ
㉘フューチャーアーキテクトによる連結子会社ABMのM&A
フューチャーアーキテクト(現・フューチャー)による連結子会社ABMのM&A事例です。
AI・IoT・セキュリティのコンサルティングやIT人材の育成サービスなどを手掛けるフューチャーアーキテクトは、2013年1月に金融機関・自治体向けの管理会計パッケージを提供するABMとの吸収合併を実施しています。
フューチャーアーキテクトを存続会社、ABMを消滅会社としたことで、ABMは解散しています。
㉙システムディによるパブリック・マネジメント・コンサルティングのM&A
システムディによるパブリック・マネジメント・コンサルティングのM&A事例です。
特定の業種向けにアプリケーションパッケージの開発と販売を手掛けるシステム ディは、2012年12月にパブリック・マネジメント・コンサルティングから公会計事業の一部を譲り受けています。
参考:事業の譲受け・業務提携に関するお知らせ
㉚クレスコによるシースリーのM&A
クレスコによるシースリーのM&A事例です。
クレスコはIT関連の企業を束ねる持株会社で、2012年12月に社会インフラで用いられるソフトウエアや制御系のシステムの開発および新しい手法を取り入れたシステムの提供などを手掛けるシースリーの発行株式の70%を取得し、子会社としています。
㉛ジョルダンによるイーツアーのM&A
ジョルダンによるイーツアーのM&A事例です。
公共機関の乗り換え案内サービスを提供するジョルダンは、2012年11月にネットを通じた旅行商品の販売や国内外の旅行に関する情報の提供などを行うイーツアーの株式を取得し、子会社としています。
参考:イーツアー株式会社の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ
5. SES事業の売却・M&Aの相場
SES事業の売却・M&A相場は、純資産と営業利益によって決定されるといわれています。そして、最終的には企業価値、事業価値の金額をもとに交渉をして、売買価格を決定するのが一般的でしょう。ここでは、実際のM&Aでの基準や売却価格のもとになる企業価値・株主価値の算出方法を紹介します。
実際のM&Aでの相場額の基準
一般的に会社・事業売却では、純資産と数年分の営業利益を用いて相場を算定します。SES事業の売却・M&A相場は、時価純資産額に営業利益の3~5年分を加えた額で決められます。
【SES事業の売却・M&A相場額の計算】
- 時価純資産額+営業利益×3~5年
SES業界では、他にも買い手企業によって、価格交渉の段階で売り手のエンジニアの「人数×価値単価」で算出した価格を買収価格として提案してもらえる可能性もあります。
売却価格のもとになる企業価値・株主価値の算出方法
SES事業・会社の売却価格は、業界内の競合の度合い、市場の成長性などをもとに算出した企業価値や株主価値を基準に決定するケースが多いでしょう。
企業価値の算出方法は、以下です。
- 企業価値=株主価値+債権者価値
企業価値をもとに、最終的な売却価格を決定します。株主価値は「株主に属するキャッシュフローの現在価値の合計額」であり、債権者価値は「債権者に属するキャッシュフローの現在価値の合計額」になります。
ただし、SES事業の売却・M&Aを行った際の相場は、技術者の数や提供するサービスによって異なるため、売却する事業ごとに価格は異なるといえるでしょう。相場額の幅は、おおよそ数千万〜数十億円程度といわれています。
SES事業の売却・M&Aを検討している場合は、同業者のM&Aを参考にしてみましょう。規模や従業員数、提供するサービスなどが似ている企業を探して、売却・M&Aの相場を把握しましょう。
6. SES事業のM&A手法
SES事業のM&A手法では、一般的に以下の手法が活用されます。
株式譲渡は、会社が発行済株式を売却し、支配権を譲渡する方法です。手続きで簡単で、資産や契約などを全て売却できるため、SES事業のM&Aには適している手法といえるでしょう。しかし、株式譲渡の場合、買い手側の負債も全て引き継ぐため、多額の負債を保有する企業は買い手が付きにくいケースが多いです。- 事業譲渡
しかし、事業譲渡の場合は、個別に従業員や取引先から同意を得る必要があるため、手続きに多くの時間や労力がかかるケースが多いでしょう。
7. SES事業の売却メリット
SES事業のM&A・売却メリットは、主に以下です。
- 事業承継の実現
- 譲渡利益の獲得
- 経営の安定化
①事業承継の実現
東京商工リサーチの2021年発表によると、経営者の高齢化・後継者不足を理由に休廃業・解散する中小企業のうち、休廃業する直前期の決算では、当期損益の黒字は56.5%でした。
政府の承継支援への取り組み強化もあり、少しずつ60代の事業承継が進みつつあります。しかし、70歳以上になると事業承継への時間的制約や、事業譲渡先も見つからないとの理由で業績が良くても廃業に追い込まれるリスクがあるでしょう。
会社を廃業すると、これまで培ってきた技術力を次世代に残せなくなり、エンジニアを解雇せざるを得なくなるケースも高くなります。M&Aを実行できれば、SES事業を行う会社に事業を承継してもらえるでしょう。したがって、会社を存続できるうえに、従業員を解雇せずに済みます。
②譲渡利益の獲得
SES事業のM&A・売却すれば、数年分の譲渡利益を得られるでしょう。多額の現金が入るため、それを元手に新規事業や主力事業に投資を行うことや、負債を返済するのも可能です。事業を整理して、老後資金を獲得するといった方法もあります。
M&Aを実行すれば、廃業する場合と比べ、会社経営をリタイアした時に、より多くの現金を手元に残せるといったメリットを得られるでしょう。
③経営の安定化
SES事業・会社を売却すると、買い手企業の傘下に入り、事業を運営します。規模の大きい企業へ売却すれば、企業が持つ資金力やブランド力、販売網などを活用し、SES事業の経営が安定できるでしょう。したがって、M&A後は安定的な事業運営が可能となり、事業拡大がしやすくなります。
SES事業の売却では、しばらくは前社長がそのまま経営を続行するケースも多いでしょう。多くの買い手企業は、SES事業を成功させるためには、従業員の力が不可欠であるのを理解して買収するため、待遇が以前よりも良くなるケースがあります。
8. SES事業を売却の際に高く評価してもらう5つのポイント
SES事業の売却・M&Aでは、どのような点が高評価のポイントとなるのでしょうか。SES事業の売却・M&Aでは、以下のような点が高評価を得るポイントとされています。
①各種言語・必要技術を習得した優れたSEがいる
1つ目に挙げるSES事業を売却・M&Aの際に高く評価してもらうポイントは、各種言語・必要技術を習得した優れたSEがいることです。
買い手ごとに、開発に必要な技術者は異なります。事業を広げたり提供するサービスの種類を増やしたりと、買収の目的には違いが見られます。
SES事業の売却・M&Aでは買い手が求めるプログラミング言語を習得していたりAIやIoT、ビッグデータなどの先端技術を保有していたりすると、自社の評価を高められるといえます。
②過去の実績として海外企業とも仕事をしている
2つ目に挙げるSES事業を売却・M&Aの際に高く評価してもらうポイントは、海外企業と仕事をした実績があることです。
買い手のなかには、国外に事業領域を広げて海外への進出を計画している企業も存在します。海外企業とともにSES事業を行っている会社を買収すれば、海外進出でのリスクや費用を軽減できるといえるでしょう。
SES事業の売却・M&Aでは、海外企業と仕事をしていることが高い評価を得るポイントといえます。
③専門的な知識を有したSEを保有している
3つ目に挙げるSES事業を売却・M&Aの際に高く評価してもらうポイントは、専門知識を有するSEが在籍している点です。
SES事業といっても、会社ごとに専門分野が異なります。例えば、ゲーム・医療・建設・旅行・金融など、技術者の派遣先には違いが見られます。SES事業の売却・M&Aでは、買い手が求めるSEを抱えていると高い評価を得られるといえるでしょう。
④多くのSEを保有している
4つ目に挙げるSES事業を売却・M&Aの際に高く評価してもらうポイントは、多くのSEを保有している点です。
買い手側は、事業の拡大・サービスの拡充・自社開発などのためにSES事業の買収を選択しています。
その理由は、IT業界における技術者の不足と競争の激化です。このような現状からSEの確保が難しく、優秀な人材が離職したり他社に引き抜かれたりといった事態に直面することも珍しくありません。
買い手は、一度の買収で経験と知識を有するSEを獲得することを狙いとしています。買収で多くのSEを確保できれば採用や育成に注ぐ時間・労力を省くことが可能だからです。SES事業の売却・M&Aでは、多くのSEを抱えていることが高い評価を得るポイントといえるでしょう。
⑤特許を保有している
5つ目に挙げるSES事業を売却・M&Aの際に高く評価してもらうポイントは、特許を保有している点です。SES事業会社は、他社との差別化を図るために独自で開発した技術を保有しています。
システム開発や知的財産の管理、AI・IoTに代表される先端技術などのサービスを提供する場合、企業によっては提供する製品やサービスに特許が用いられていることがあります。
つまり、事業展開に必要な技術を自社で開発するには、特許取得のために多くの手間・時間・コストを要するといえでしょう。そこで、買い手はSES事業を買収することで、少ない手間・時間・コストで、必要な著作物・特許を獲得しようとします。
SES事業の売却・M&Aでは、買い手が求める特許を保有していると高く評価してもらえるといえるでしょう。
9. SES事業の売却の注意点
SES事業の売却・M&Aでは、どのような点に注意をすればよいのでしょうか。SES事業の売却・M&Aを成功させるには、以下に挙げるポイントを押さえて、交渉や成約に臨むようにしましょう。
売却・M&Aの準備期間を十分に取る
SES事業の売却・M&Aで気をつけたいポイントは、売却・M&Aの準備期間を十分に取ることです。
売り手には、SES事業の財務状況を改善させたり技術者の離職率を抑えたりと、事業の磨き上げや労務管理の徹底などが求められます。
売却・M&Aを行う時機を見極めることも大切です。買い手を探し始めても、条件に見合った候補がすぐに現れてくれるとは限りません。SES事業の売却・M&Aを行う場合は長い準備期間を設けるようにしましょう。
自社の強みを明確にアピールする
自社のSES事業を正確に把握していなければアピールするポイントを誤ってしまい、売却・M&Aの機会を逃す事態が想定されるでしょう。
売却・M&Aを進める場合はM&A仲介会社などの専門家と協力して自社の強みを把握しておけば、自社の長所を買い手に伝えられ売却・M&Aを成功できる確率が高くなります。
売却・M&Aの目的や条件をきちんと決めておく
売却・M&Aの目的や条件に応じて、交渉の進め方は異なります。
例えば、不採算事業の切り離しなら早い時期に売却・M&Aを済ませる必要があるでしょう。
譲渡益の獲得による新規事業への転換や後継者不足による事業の継続なら、希望する譲渡額・雇用の継続などの条件を受け入れてもらうために、じっくりと買い手を探すことが求められます。
したがって、SES事業の売却・M&Aでは交渉にかけられる時間や必要なコストを明確にさせるために、自社の目的や条件を決めておくことが必要であるといえるでしょう。
従業員への情報公開は売却が決定してからする
M&Aに際して、会社の環境が変わるのを嫌がって退職してしまう従業員も少なくありません。
従業員が仕事に集中できるよう、経営者は適切な時期を見計らって、今後の予定などをしっかりと説明しておきましょう。
M&A後に待遇が悪化してしまうと、良い職場を求めて従業員が大量に離職してしまうことも考えられます。売り手・買い手がきちんと話し合い、待遇を悪化させないよう最大限に配慮することが大切です。
デューデリジェンスの準備を徹底する
M&Aに際し買い手側は想定外の負債や訴訟リスクを抱えた企業の買収はリスクが高いです。そのため、買い手側はリスク抽出のためにデューデリジェンス(企業内監査)を入念に行います。
デューデリジェンスの結果によっては希望条件に近い形で合意できるかどうか大きく左右されます。
後に簿外債務が発覚するなどのリスクやトラブルを防ぐためにも事前に対処してマイナス要素をできる限り減らしておくことが大切です。
そのためにも、事前に専門家と協力して資料を準備しておくことが重要です。
10. SES事業の売却・M&Aの相談先
SES事業の売却・M&Aを検討している場合、どこに相談を持ち掛ければよいのでしょうか。SES事業の売却・M&Aの相談には、以下のような候補があります。
①金融機関
1つ目に紹介するSES事業の売却・M&Aの相談先は、金融機関です。取引のある企業から売り手にふさわしい候補を紹介してくれます。ただし、金融機関は売り手よりも買い手の利益を優先することがあります。
地方の金融機関では紹介できる案件を地元の企業に限定していることが多く、他県の企業はほとんど取り扱っていないのが現状です。希望額よりも低い譲渡額を提示される・短期間で候補となる買い手が見つけられないなどの可能性もあります。
②公的機関
2つ目に紹介するSES事業の売却・M&Aの相談先は、公的機関です。商工会議所などに窓口を設けている事業引継ぎ支援センターでは、買い手候補の紹介以外に買い手企業が見つかっている場合の譲渡手続きサポートやセカンドオピニオンを行っています。
しかし、事業引継ぎ支援センターではM&A仲介会社と比べて、取り扱っている案件の数が少ないとされています。
買い手候補が見つからない場合は民間の支援会社を紹介されてサポートが行われるため、相談から買い手候補の紹介までに時間を要することも考えられるでしょう。
③M&A取り扱い士業
3つ目に紹介するSES事業の売却・M&Aの相談先は、M&Aを取り扱う士業です。会計事務所や税理士事務所のなかにも、M&Aの仲介サービスを提供している会社があります。
自社のネットワークや提携先から買い手候補を紹介し、会計・税務の専門知識を生かしてデューデリジェンス・株価の算定・譲渡契約の手続きなどを行ってくれます。
④マッチングサイト
4つ目に紹介するSES事業の売却・M&Aの相談先は、マッチングサイトです。必要な情報を登録するとサイト上で買い手候補の検索、メッセージのやり取りや交渉が行えます。
日々の業務に追われて買い手を探す時間がない人は、空き時間にマッチングサイトを利用して買い手を探してみましょう。
⑤M&A仲介会社
5つ目に紹介するSES事業の売却・M&Aの相談先は、M&A仲介会社です。経験と知識を有した専門家が仲介のサポートを行っています。
提供するサービスには、対象企業の紹介・スキームの提案・適正な譲渡価格の提示・交渉や手続きの代行・セカンドオピニオンなどです。
自社にM&Aの専門家を置いていない場合には、M&A仲介会社に相談してみましょう。売却・M&A後に発覚する賠償請求などを回避したいなら、実績と専門知識を備えたM&A仲介会社の利用をおすすめします。
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11. SESの売却・M&Aのまとめ
SESの売却・M&Aについて、過去に行われた30事例を中心にSES業界の動向や相場、積極的にSES事業を買収する企業などを取り上げました。
SES業界では今後も人材不足が続くと予想されているため、人材確保のためにM&Aが行われるといえるでしょう。SES事業の売却・M&Aを検討している人は、紹介したSES事業を積極的に買収する会社から企業が求める条件を把握して、自社の売却・M&Aを成功させましょう。
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