小売業界のM&A・事業承継動向!会社売却のメリットや成功のポイント・事例を徹底解説【2024年最新】

企業情報本部長 兼 企業情報第一本部長
辻 亮人

大手M&A仲介会社にて、事業承継や戦略的な成長を目指すM&Aを成約に導く。M&A総合研究所では、経営者が抱える業界特有のお悩みに寄り添いながら、設備工事業や建設コンサルタント、製造業、医療法人など幅広い業種を担当。

本記事では、小売業界の動向やM&A・売却(譲渡)・買収・事業承継について事例を交えながらまとめました。また、M&Aのメリットや売買の相場、M&Aを成功させるポイントなども解説します。小売業界でM&Aを検討している方は必見です。

目次

  1. 小売業界の現状
  2. 小売業界のM&Aの動向
  3. 小売業界のM&Aメリット
  4. 小売業界のM&Aの相場価格
  5. 小売業界のM&A成功ポイント
  6. 小売業界のM&Aの流れ
  7. 各種商品小売業のM&A事例
  8. 織物・衣服・身の回り品小売業のM&A事例
  9. 飲食料品小売業のM&A事例
  10. 機械器具小売業のM&A事例
  11. その他の小売業のM&A事例
  12. 無店舗小売業のM&A事例
  13. 小売業界のM&A・売却・買収のまとめ
  14. 小売業業界の成約事例一覧
  15. 小売業業界のM&A案件一覧
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  • 小売業のM&A・事業承継

1. 小売業界の現状

ここでは、小売業界の現状を解説します。

小売業界の市場動向

経済産業庁 「2023年 ⼩売業販売を振り返る」

経済産業庁 「2023年 ⼩売業販売を振り返る」

出典:https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikeizai/pdf/h2amini166j.pdf

経済産業省の調べによると、国内⼩売業の商業販売額は2020年が146兆4570億円(前年⽐3.2%減)、2021年が150兆4620億円 (前年比 1.9%増)、2022年は154兆4020億円(前年⽐2.6%増)、2023年は594兆500億円(前年比1.6%増)となりました。

2020年は新型コロナの影響を受けて前年から減少したものの、翌年からは微増傾向に転じています。その要因としては、コロナ禍の制限が解除され2022年後半からインバウンド需要が復調しつつあること、消費回復の傾向がみられることなどが挙げられます。

小売業における企業数の推移

中小企業庁「中小企業白書2020年版」

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_1.html

業種別中小企業数の増減率の推移

中小企業庁「中小企業白書2020年版」

出典:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2020/chusho/b1_3_1.html

総務省・経済産業省の「令和3年経済センサス‐活動調査」によると、 小売業を手掛ける事業者数は880,031者です。

また、中小企業庁の2020年版「中小企業白書」によると、企業数は年々減少傾向にあります。直近の2016年では、359万者です。その内訳は、小規模企業が305万者、中規模企業が53万者です。

1999年を基準とし、規模別に増減率を見ると、いずれの規模も企業数に減少が見られます。特に小規模企業の減少率が最も高いでしょう。

業種別の増減率を確認すると、1999年と比べて、小売業は減少率が高いことがわかります。日本全体の人口減少に伴い、今後も企業数の減少傾向は変わらないといえるでしょう。

参考:総務省・経済産業省「令和 3 年経済センサス‐活動調査 産業別集計(卸売業,小売業に関する集計) 」

増税などの社会情勢の影響を受けやすい

小売業界は、社会情勢の影響を受けやすい業界だとされています。当然ですが、個人の消費・購買意欲がそのまま影響するためです。小売業界が影響を受けやすい最たる要素は、増税だといえます。

消費税が増税する前の2014年4月には「駆け込み需要」が起こったため売上高が上がりました。しかし、増税後には大きく売上高が減少し、その後1年以上マイナス傾向でした。

コンビニエンスストアや百貨店も同様に、1年間における売上高でマイナス基調を記録したことから、小売業界は全体的に増税など社会情勢の影響を受けやすいといえます。

人口減少の影響も受ける

矢野経済研究所「2030年の小売市場に関する調査を実施(2023年)」のよれば、2022年における国内の小売市場規模は133兆8000億円(見込み)です。

アパレルなどの一部事業ではまだ需要が回復したとはいえませんが、コロナの制限解除によるインバウンド需要や消費回復により、小売市場規模は引き続き拡大すると予測されます。

ですが、小売市場は国内人口の増減が大きく影響するため、中長期的には徐々に縮小する可能性が非常に高いです。同調査では、国内の小売市場規模が2030年には114兆9770億円(2022年比で約14%減)と予測しています。

参考:矢野経済研究所「2030年の小売市場に関する調査を実施(2023年)」

今後は少子高齢化の影響も増加する

問題は人口減少だけではありません。今後は少子高齢化の影響も深刻化していく見込みです。高齢者は実店舗に直接足を運んで商品を購入するケースが多く見られます。将来的に、高齢者がさらに年を重ねて店舗訪問が難しくなった場合には、それまで確保できていた売上が減少してしまうでしょう。

現在の若い消費者は、実店舗だけでなくネットショップでも商品を購入します。若い消費者層を取り込めない小売店では、深刻な影響を受けやすくなるといえるでしょう。

インターネット通販に対するニーズが高まっている

販売額ベースで見ると回復傾向にある状態ですが、将来的に少子高齢化や人口減少などが深刻化すれば、市場縮小が急速に進行するおそれもあります。そこで、今後の動向を踏まえ小売業界では、インターネット通販の活用ケースが増加傾向です。

インターネット通販を活用することで、買い物に店舗まで行けない高齢者や共働き世帯などを取り込むことができます。そのため、今までよりも消費の拡大が期待できます。一方で、すでにインターネット専業の企業であるアマゾンや楽天などが小売サービスを展開しているため、競争が激化しています。

こうした状況の中で小売業界は、時代と消費者のニーズに応じた変革が求められていると言えます。

【関連】自動車小売業(ディーラー)のM&A・譲渡・売却の動向を紹介!事例や相場も解説!

2. 小売業界のM&Aの動向

小売業界でM&A・売却・買収を検討する際は、業界内の現状およびM&Aの動向を把握しておくことが大切です。以下の5つの項目に注目してみましょう。

①市場規模に対応するM&Aは活発

市場規模に対応するための買収や譲渡などのM&Aが活発です。もともと小売業・流通業は競争が激しく、企業の買収や売却が盛んに実施されてきました。

日本人は比較的、流行に敏感で移り変わりが激しいため、大手企業などは消費者ニーズの変化に適切に対応するべく、M&Aを繰り返しながらノウハウ・優秀な人材・情報など獲得していく必要があります。

②大手によるM&Aも多い

日本企業の99%は中小企業ですが、技術が発展している日本では、優秀な企業が非常に多く存在します。そこで近年では、大手企業が経営戦略の一環として、M&Aによる中小企業の買収に注目・注力している状況です。

もともと異業種に新規参入する場合などには、多くの費用・時間が必要になります。M&Aによる買収を行えば、短期間で人材やノウハウを獲得できるため、スムーズに事業の拡大・成長を図ることが可能です。

こうしたメリットに注目して、事業拡大のために戦略的なM&Aを行う大手企業が増えています。

③大手同士のM&Aも目立つ

ここ数年では、企業規模の拡大や事業発展のために、大手企業同士がM&Aする事例も多く見られます。たとえば、2013年にイオングループは、日本で初めて小売業界で1兆円を達成した大手企業「ダイエー」を買収して完全子会社化しました。

上記の事例のように、大手企業同士でもM&A・業務提携・資本提携などによって、お互いのノウハウや知名度を生かしながら、市場でのシェアを広めたり事業の発展を行ったりしている状況です。

④異業種への買収も増えつつある

小売業界では、異業種の買収事例も増えています。たとえば、ディスカウントストア業種に位置するドンキホーテホールディングス(現パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)が、2018年にコンビニ業界ファミリーマートの傘下「ユニー」を買収した事例などです。

そのほか、小売専門店や外食サービス業界の企業が、スーパーマーケット業やドラッグストア業に参入するケースも目立っています。このように、ノウハウや人材の獲得・顧客基盤の拡大につなげるなど、多くのメリットを求めてさまざまな企業がM&Aを実施している状況です。

⑤M&A件数の推移

2023年1-12月の日本企業におけるM&A件数は4015件と、過去最多を記録した2022年の4304件を289件(6.7%)下回り、2020年以来3年ぶりに減少しました。その一方、金額は17.9兆円で52.2%増加しています。

小売業界では、店舗展開を念頭に入れた同業種同士のM&A事例が複数の業種で見られます。今後も、業界の再編や、経営環境が厳しい業種などコスト削減の観点から、M&A件数は伸びる予想です。

上場企業M&A動向レポート『小売業版』

M&A総合研究所

出典:https://masouken.com/news_releases/435

機械器具小売業界のM&A動向については下記の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

【関連】機械器具小売業界のM&A動向!売却事例や案件情報を紹介!
【関連】M&Aの件数は1年でいくつ?2020年コロナ禍でのM&A件数| M&A・事業承継ならM&A総合研究所

3. 小売業界のM&Aメリット

ここでは、小売業界でM&Aを実施するにあたって、売却側・買収側それぞれの視点からM&Aのメリットを解説します。
 

売却側のメリット 買収側のメリット
  • 従業員の雇用確保
  • 後期者問題の解決
  • 売却・譲渡益の獲得
  • 大手との統合で安定した経営
  • 債務・個人保証・担保などの解消
  • 従業員・スタッフの獲得
  • 事業エリアの拡大
  • 新規事業へ低コストで参入
  • 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
  • 競争相手を減らす

売却側のメリット

売却側のメリットには、主に以下の5つが挙げられます。

  • 従業員の雇用確保
  • 後期者問題の解決
  • 売却・譲渡益の獲得
  • 大手との統合で安定した経営
  • 債務・個人保証・担保などの解消

従業員の雇用確保

M&Aを行うと、従業員の雇用を確保できます。たとえば、ベンチャー企業で業績がまだ安定していなかったり、老舗中小企業で後継者が不足していたりといった理由で廃業した場合、従業員を路頭に迷わせてしまうのは必定です。

そこでM&Aを行えば、従業員の雇用を買い手企業に引き継げるメリットがあります。

後継者問題の解決

後継ぎ不在による後継者難の問題は、老舗企業の経営者であれば誰もが頭を抱えます。そこで、事業譲渡や会社売却ができれば、買い手が後継者(新たな経営者)となり、事業承継が実現できるでしょう。

売却・譲渡益の獲得

創業者は自社のM&Aにより、売却・譲渡益を獲得できます。この利益は創業者利益と呼ばれており、売却や譲渡によりまとまった現金を獲得できる可能性があるでしょう。獲得した利益は、負債の返済・老後の資金・新事業への再投資資金などに活用できます。

大手との統合で安定した経営

企業規模が小さく資金不足などの問題があると、なかなか安定した経営を実現できません。しかし、大手企業とM&Aすると、潤沢な資金のもとで安定した経営が行えます。

売却側である中小企業からすると、たとえ業績を残していても、不安が尽きません。M&Aは、こうした不安を払拭してくれる経営戦略でもあります。

債務・個人保証・担保などの解消

多くの中小企業では会社の借入保証を経営者が負っていますが、会社売却の場合には、基本的に債務は買い手に引き継がれるので、債務・個人保証・担保などは解消されます。ただし、事業譲渡では債務が会社に残るので注意が必要です。

買収側のメリット

買収側のメリットには、主に以下の5つが挙げられます。

  • 従業員・スタッフの獲得
  • 事業エリアの拡大
  • 新規事業へ低コストで参入
  • 顧客・取引先・ノウハウなどの獲得
  • 競争相手を減らす

従業員・スタッフの獲得

自社の業務と同じ分野で、経験のある従業員・スタッフを確保することは難しいです。こうした悩みは大手企業も同様に抱いています。M&Aを行えば、買収側はリスクを回避しながら経験豊富な従業員・スタッフをまとめて獲得できるでしょう。

事業エリアの拡大

小売業界では、継続的な販売マーケットの確保が課題です。事業規模を拡大する際には、新エリアにおける取引先の開拓や新規顧客の確保が必要となります。M&Aでは相手企業の顧客基盤を取り込めるため、マーケットを確保できるうえに事業エリアを拡大できるでしょう。

新規事業へ低コストで参入

M&Aを行うと、高い技術やノウハウを取り込めます。新業種に参入する際にノウハウや既存の顧客を生かせば、低コストで参入可能です。

不確定な事業に多くの時間を使って動向調査を行い、費用をかけて新規参入するよりも、M&Aによりリスクを抑えながら新規参入を行う方が、新規事業の成功可能性も高まります。

顧客・取引先・ノウハウなどの獲得

もともと企業には強みと弱みがあり、企業それぞれの強みを生かして事業を行っています。M&Aは、強みを残しながら弱みを補える経営戦略です。これまで自社になかった技術・ノウハウ・取引先・顧客を統合して活用すれば、短期間での事業拡大・成長につながります。

競争相手を減らす

これまでライバルとして競い合っていた会社がM&Aによりともに成長・拡大を目指していくパートナーへと変わるケースもあります。これにより、必然的に競争相手が減少するでしょう。競争相手が少なければ、利益・顧客・取引先の確保につながりやすくなります。

  • 小売業のM&A・事業承継

4. 小売業界のM&Aの相場価格

小売業界のM&A・売却・買収相場は、中小企業から大企業まで会社の規模が幅広く、業種によっても価格相場は変動するため、一概にいくらとはいえません。それだけでなく、取引価額は非公表の場合が多いため、相場の実態はつかみづらいのが現状です。

小売業界の大まかなM&A相場

売却側が中小規模の小売事業者である場合、大まかなM&A相てであれば簡単な計算で求めることが可能です。「時価純資産+営業利益の数年数分(2〜5年程度)」に財務諸表の数字を当てはめることで計算でき、無形資産の価値(のれん代)は営業利益の数年分というかたちで反映させることができます。

実際のM&Aでは決める際は、ECサイト等の運営ノウハウや人材などの無形資産も加味したうえで価額交渉を行います。無形資産(のれん代)をどの程度評価するかは買収側によりますが、大まかな相場を考えるうえでは営業利益の2〜5年程度とするケースが多いです。

企業価値評価の手法

M&Aを行う際には、さまざまな評価方法があります。小売業界で採用される方法の一つに、取引事例法があります。取引事例法とは、対象会社に過去の売買がある場合に、その取引価額をもとに評価する方法です。過去に売買がない場合の算出方法には、コストアプローチ、インカムアプローチ、マーケットアプローチなどがあります。

  • コストアプローチ(時価純資産法など)
  • インカムアプローチ(DCF法など)
  • マーケットアプローチ(類似企業比較法など)

コストアプローチは、純資産価値をベースに客観的に企業価値を算定できる手法です。インカムアプローチは、会社の将来性から算出する方法で、最も多く採用されます。マーケットアプローチは、類似した企業や業界の株価などを基準に算出する方法です。

5. 小売業界のM&A成功ポイント

小売業界でのM&A・売却・買収を成功させるポイントには、以下の3点が挙げられます。

①事前準備を入念に行う・タイミングを誤らない

小売業界でM&A・売却・買収を成功させるには、事前準備を入念に行うことが重要です。M&Aを実施する際は、目的の明確化・リスク分析・統合後の経営戦略などを十分に練る必要があります。

いかなるタイミングでM&Aを行うのかという判断も、成功のカギを握る要素です。入念に準備を進めながら、最適なタイミングで交渉を進めましょう。

②統合プロセス(PMI)を実施しM&A後にスムーズな運営を図る

M&Aしたとしても、経営戦略が曖昧で事業が失敗してしまえば元も子もありません。組織の再編成・従業員への周知・顧客への告知などの統合プロセスを実施しながら、柔軟かつスムーズな運営を行って業績を改善していくことが肝要です。

PMI(Post Merger lntegration)では、統合後のリスク分析や・業績目標の策定だけでなく、経営方針も綿密に計画を立てて準備しておきましょう。

③M&Aの専門家に相談する

小売業界でM&A・売却・買収を行う場合、準備や調査は当然、大切ですが、個人の力や知識では限界があるため、自社だけで話を進めていくのはリスクが高いです。

小売業界でM&A・売却・買収を行う場合には、M&Aの専門家に相談しながら進めていくとよいでしょう。M&Aの専門家への相談・依頼により、M&Aを円滑に進められるだけでなく、リスクを最小限に抑えられます。

どのM&A仲介会社に依頼すべきかお悩みの場合には、M&A総合研究所にご連絡ください。M&A総合研究所では、小売業界のM&A・売却・買収に精通したアドバイザーが専任について、相談時からクロージングまでフルサポートします。

料金体系は、成約するまで完全無料の「完全成功報酬制」です(※譲渡企業様のみ。譲受企業様は中間金がかかります)。随時、無料相談を行っていますので、小売業界でのM&A・売却・買収を検討される際には、お気軽にお問い合わせください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所
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6. 小売業界のM&Aの流れ

M&Aの目的と方向性の明確化

M&Aの具体的な計画や戦略を考える前に、まず自社がM&Aを行う理由と目的を明確にしておくことが重要です。M&Aは事業の成長・発展など目的を達成するための手段ですが、最初に目的を明確にしておかなければ方向性や判断を誤る可能性もあります。

どのような目的でM&Aを行うのか、M&A後に自社(事業)がどう成長したいかによって、選ぶべきM&A相手先企業も変わってくるため具体的な行動を始める前にM&Aの目的・理由・方向性をしっかり確認しておきましょう。

M&Aの専門家へ相談

M&Aの目的・理由・方向性が明確になったら、次はM&A仲介会社などの専門家へ相談し、具体的な準備を進めていきましょう。M&Aは通常の事業運営と並行して進めていく必要があるため、専門家にサポートしてもらうことで負担を大きく減らし、成功確率をあげることができます。

M&A仲介会社など支援を手掛ける専門家にはいくつか種類がありますが、得意とする規模や業種・サポート範囲・手数料体系が異なるため、しっかり確認して決定することが重要です。

相手先企業の選定

アドバイザリー業務を依頼するM&Aの専門家が決まり業務委託契約を結んだら、M&A交渉を行う相手先企業の選定・M&A戦略の策定・使用スキームの決定などを進めていきます。

事前に担当のM&Aアドバイザーに相手先企業への希望条件を伝えておくと、ロングリストと呼ばれる候補先企業を複数社リストアップした資料を作成してくれるので、そのなかから交渉を希望する企業を絞り込む流れが一般的です。

ロングリストからさらに絞り込んだものをショートリストといいますが、絞り込みを行う際はM&Aで期待できるシナジーなども考慮して決定すると成功の確率を高めることができます。

そして、相手先企業がきまったらM&Aアドバイザーを通して交渉を打診し、双方が交渉に進む意向であれば秘密保持契約を締結してから企業概要書を提出し詳細情報を開示します。

秘密保持契約とは

秘密保持契約とは、知り得た相手の情報を本来の目的以外で使用しないこと、および第三者へ漏洩しないことを取り決める契約です。

M&Aでは売却側の詳細情報を買収側候補へ開示しますが、そのなかには財務情報・人事情報・技術やノウハウに関する情報なども含まれます。

これらは売却側にとって重要な秘密情報であり、第三者へ漏洩したり目的以外で使用されたりするような事態となれば、企業価値を大きく損なうおそれがあるものです。

秘密保持契約はそのような事態を防ぐとともに、契約違反が起こった場合の責任所在を明らかにすることを目的として締結し、万一違反があったときは売却側は損害賠償請求を行うことができます。

トップ面談

トップ面談は、売却側・買収側のトップ(オーナー経営者)の顔合わせを行い、経営理念や企業風土、互いの人柄、M&A後のビジョンなどを確認する場として設けられます。

M&Aの多くは面識がなかった企業同士で行うため、資料ではわからない部分を確認して信頼関係を築くことがトップ面談の主な目的です。そのため、具体的な交渉(価額・諸条件など)は一般的にトップ面談の場では行いません。

基本合意の締結

トップ面談後、売却側と買収側のどちらもM&A成立を目指す意向であればさらに交渉を進め、その時点で取り決めた譲渡価額・条件・手法などの内容にその内容を交渉に概ね合意したら、基本合意契約書を結びます。

基本合意書には、使用するM&A手法・価額・条件・クロージング予定日など締結時点での内容を記載しますが、一部事項(独占交渉権の付与など)を除き法的拘束力はありません。

買収側企業によるデューデリジェンス

M&Aのデューデリジェンスとは、買収側が売却側の実態を調査することです。買収監査とも呼ばれ、財務・法務・人事・財務などの各分野を専門家が調査し、買収によるリスクの有無および程度を確認します。

買収側がデューデリジェンスを行うのは、調査結果をもとにM&Aの実行可否や買収額の妥当性を見極めるためです。そのため、デューデリジェンスで売却側の法的リスクや大きな問題点がみつかった場合は、価額や条件の変更がされたりM&A交渉自体が中止となったりするケースもあります。

最終交渉・最終契約の締結

デューデリジェンスの結果から買収側がM&Aの実行を決めたら、最終契約に向けて細かな交渉を行います。デューデリジェンスの内容が最終交渉に反映されるため、発覚したリスクや問題点の度合いによっては条件の追加・変更や価額の引き下げなどもあることを覚えておきましょう。

そして、最終交渉の内容すべてに売却側と買収側が合意した時点で最終契約書を作成して締結し、これを以てM&Aは成立となります。注意すべき点は最終契約書の内容はすべてに法的拘束力があるということです。

そのため、最終契約書の締結後に売却側あるいは買収側が一方的に内容を変更したり、M&A契約を破棄したりすることは認められません。最終契約の締結にあたっては経営者(オーナー)自身がよく内容を理解・確認したうえで行うことが重要です。

クロージング


最終契約を締結してM&Aが成立したら、次は売却側の経営権(譲渡対象の経営権)を買収側へと移し、対価の支払い手続きを行います。この工程をクロージングといい、クロージング完了によって法的にM&Aの有効性が法的に認められる重要な手続きです。

ですが、クロージングはM&Aが成立すれば必ず実行されるというわけではなく、クロージングを実行するためには最終交渉で取り決めた条件(クロージング条項)を売却側が満たしていなければなりません。

そのため、最終契約の締結からクロージングまでは、前提条件を満たすための準備期間として一定期間を空けるケースが多いです。なお、クロージング予定日までに売却側が前提条件を満たせない場合は、スケジュールの延期や内容によっては取引中止となることもあります。そして、クロージング実行を以てM&A取引は完了です。

PMIの実行

クロージング完了後は、PMI(経営統合プロセス)の実行へと移ります。M&Aは契約の成立が成功ではなく、M&A前に期待していた効果(シナジーなど)が十分発揮させてこそ成功したといわれるものです。

PMIはM&A後の新体制を構築し、シナジーの最大化とリスクの最小化を図ることを目的として行います。PMIでは経営・業務・意識のすべてを統合するため、一気に進めるのではなく売却側と買収側が協力し時間をかけて丁寧に行うことが成功のポイントです。

7. 各種商品小売業のM&A事例

総務省「日本標準産業分類」では、取り扱う商品・サービス・形態などで小売業が細分化されており、各種商品小売業はそのひとつです。各種商品小売業は総合スーパーや百貨店などが該当し、衣食住に関係する商品をひとつの事業所で一括で小売する事業と定義されています。ここでは、各種商品小売業で行われたM&A事例を紹介します。

ミニストップによる関根酒店の吸収合併

ミニストップは、2024年3月22日の取締役会で、関根酒店を吸収合併することを決議しました。ミニストップを存続会社とし、関根酒店は消滅会社として解散します。

ミニストップは、コンビニエンスストア『ミニストップ』を展開し、フランチャイズ契約を通じて商品情報や経営ノウハウを提供しています。関根酒店は1954年に設立され、酒類小売を営んでいます。

この合併により、ミニストップはグループ経営の最適化、経営資源の効率化、事業基盤の強化を図り、持続可能な企業としてさらなる成長を目指します。

吸収合併(簡易合併)に関するお知らせ

イオンによるキャンドゥへのTOB

2021年12月、イオンはキャンドゥへのTOBが成立したことを発表しました。これにより、キャンドゥはイオンの連結子会社となります。キャンドゥ株を保有する同役員の資産管理会社も子会社化する予定です。友好的買収で、キャンドゥの名称もそのままです。

イオンは小売事業、ディベロッパー事業、金融事業、サービス事業、それらの関連事業などを行うグループの持株会社です。キャンドゥは、100円ショップ「キャンドゥ」を運営しています。

  • 取得額:総額212億円(第1回公開買い付け価格は1株2,700円、第2回は2,300円)
  • M&Aの手法:TOB
  • M&Aの目的:イオンへのキャンドゥ出店、シナジー効果発現による企業価値向上

参考:イオン株式会社「株式会社キャンドゥ株式に対する公開買付けの開始に関するお知らせ 」

8. 織物・衣服・身の回り品小売業のM&A事例

織物・衣服・身の回り品小売業は、アパレル商品の小売を行う事業者やオーダーメイド洋服店など、衣服・呉服・帽子・服飾雑貨・小間物などを小売する事業者が該当します。

タビオによるナイガイとの資本業務提携

2023年10月31日、タビオはナイガイと資本業務提携契約を締結することを決定しました。

タビオは靴下の企画・製造・卸売・小売およびフランチャイズ展開を行っており、直営店も運営しています。一方、ナイガイは紳士・婦人・子供靴下、メンズアンダーウェア、パジャマ、エプロンなどの繊維製品の企画・製造・販売および輸出入を手掛けています。

両社は、高品質な靴下に価値を見出し、シナジー効果を見込める事業領域で互いの販売力、企画力、生産力、技術力を活用し合うことで、両社および国内靴下産業全体の発展に寄与すると判断しました。そのため、相互に株式を保有する資本業務提携を行うことを決定しました。

株式会社ナイガイとの資本業務提携に関するお知らせ

オンワードホールディングスによるウィゴーとの資本業務提携開始

オンワードホールディングスは、ウィゴーと資本業務提携を開始します。

オンワードホールディングスは純粋持株会社であり、アパレル関連事業やライフスタイル関連事業を展開する傘下会社を管理しています。一方、ウィゴーは衣料品や雑貨の企画・製造・販売を行っています。

今回の提携により、オンワードホールディングスはウィゴーの第三者割当増資を引き受け、ウィゴーの発行済株式総数の20.27%を保有する株主となります。これにより、両社はそれぞれの強みを活かして事業を拡大していくことを目指します。

株式会社ウィゴーとの資本業務提携に関するお知らせ ~両社のプラットフォーム相互利用を目的とした戦略的パートナーシップ~

9. 飲食料品小売業のM&A事例

飲食料品小売業は、食肉・鮮魚・野菜・果物の小売事業者やコンビニエンスなど、食料品および飲料品を扱う小売事業者が該当します。

ダイドーグループHDによるWosana S.A.の子会社化

ダイドーグループホールディングスは、ポーランドの清涼飲料製造・販売会社Wosana S.A.の株式を100%取得し、子会社化することを決定しました。

ダイドーグループは国内外の飲料事業、医薬品関連事業、食品事業を展開しています。Wosana S.A.はポーランド国内で果汁飲料やミネラルウォーターを製造・販売しており、自社ブランドのほか、大手小売企業のプライベートブランドや他社飲料ブランドの受託製造も行っています。

ダイドーグループは「海外での事業展開の拡大」を掲げており、今回の買収によりポーランド国内で安定した利益を生み出すビジネスモデルを獲得し、海外飲料事業の利益基盤を強化すると判断しました。

Wosana S.A.の株式取得(子会社化)に関するお知らせ

SANKO MARKETING FOODSによる海商の子会社化

2021年11月、SANKO MARKETING FOODSは海商の全株式を取得し、完全子会社化しました。SANKO MARKETING FOODSは、飲食店経営、水産業などを行っています。

海商は、民事再生手続き中の海商が会社分割して設立された会社で、新設会社の海商に承継された事業は、鮮魚・魚介類・海産物の小売・卸売業、水産物の加工業などです。

  • 取得額:非公表
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:飲食事業での商品強化と水産事業でのシナジー効果創出

参考:株式会社三光マーケティングフーズ「株式会社海商が会社分割により設立する新会社の 株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

10. 機械器具小売業のM&A事例

機械器具小売業には、テレビ・パソコンなどの電気機械器具(付属品や部品の小売も含む)、自動車・バイク・自転車など(修理を兼ねている小売も含む)の小売事業者が該当します。

ケーズホールディングスとサワハタキャリーサービスとの株式交換

2021年10月、ケーズホールディングスはサワハタキャリーサービスと株式交換の基本合意書を締結したことを発表しました。株式交換日は未定です(2021年12月現在)。

ケーズホールディングスは、家庭電化製品・関連商品小売事業とそれに付帯する工事・修理事業を行うグループの持株会社です。サワハタキャリーサービスは、一般貨物自動車運送業、業務用機器・家電製品メンテナンス業、電気工事業、産業廃棄物収集運搬業などを行っています。

  • 株式交換比率:未定
  • M&Aの手法:株式交換
  • M&Aの目的:配送・工事部門の安定・効率化

参考:株式会社ケーズホールディングス「当社と株式会社サワハタキャリーサービスとの 簡易株式交換契約締結に関するお知らせ」

11. その他の小売業のM&A事例

その他小売業とは、化粧品・医療品・文具・書籍・燃料・タバコ・中古品など、先に紹介したいずれの分類にも該当しない商品を小売りする事業者が該当します。

ニトリホールディングスとエディオンとの資本業務提携

2022年4月、ニトリホールディングスは家電量販店のエディオンの株式を取得し、資本業務提携を行うと発表しました。株式取得は5月13日の予定です。ニトリは、インテリア小売業などを展開する「ニトリ」や、ホームセンター「島忠」などグループ企業の持株会社です。

  • 取得額:約102億円(株式8.6%)
  • M&Aの手法:資本業務提携
  • M&Aの目的:商品ラインアップ拡充、EC・リフォーム事業などのシナジー創出と両社の企業価値向上

参考:株式会社ニトリホールディングス「株式会社エディオンとの資本業務提携に関するお知らせ」

アルコニックスによるソーデナガノの子会社化

2022年4月、アルコニックスは長野の金属加工メーカーであるソーデナガノの株式を取得し、連結子会社化することを発表しました。アルコニックスは、非鉄金属、レアメタル、レアアースなどの製造販売・輸出入を行っています。株式取得・子会社化は、11月30日の予定です。

  • 取得額:88億3,700万円(デューデリジェンス費用などを含む)
  • M&Aの手法:株式譲渡
  • M&Aの目的:グループ内のシナジーのさらなる向上、企業価値向上

参考:アルコニックス株式会社「株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」

シップヘルスケアホールディングスによるキングランの子会社化

2022年3月、シップヘルスケアホールディングスは医療・介護施設向けのカーテンリース・販売業を展開するキングランの株式を追加取得し、連結子会社化すると発表しました。シップヘルスケアホールディングスは、医療・保健・福祉・介護・サービスに特化した事業を展開するグループ企業の持株会社です。

  • 取得額:90億3,800万円(アドバイザリー費用などを含む)
  • M&Aの手法:キングラン代表取締役・松原氏からの株式譲渡(一部取得)
  • M&Aの目的:シナジー効果の創出とさらなる企業価値向上

参考:シップヘルスケアホールディングス株式会社「キングラン株式会社の株式取得に関するお知らせ」

カインズによる東急ハンズの子会社化

2021年12月、カインズは東急ハンズの全株式を取得し、完全子会社化すると発表しました。株式譲渡予定日は2022年3月31日です。カインズは、ホームセンターチェーン225店舗(2021年2月末現在)の経営を行っています。

東急ハンズは、住まいと住生活・手づくり関連商品の総合専門小売業として、東急ハンズ63店舗、ハンズ ビー20店舗、プラグスマーケット3店舗を経営している企業です。

  • 取得額:非公表
  • M&Aの手法:親会社である東急不動産ホールディングスからの株式譲渡
  • M&Aの目的:カインズの事業基盤を東急ハンズが活用することでシナジー効果が創出され、新たなDIY文化の共創により企業価値向上を図る

参考:株式会社カインズ「新たな DIY 文化の共創に向けて DIY 文化の共創に向けて カインズとハンズ、パートナーとして活動をスタート カインズとハンズ、パートナーとして活動をスタート 、パートナーとして活動をスタート 」

ジェイフロンティアによるAIGATEキャリアの子会社化

2021年12月、ジェイフロンティアはAIGATEキャリアの全株式を取得し、完全子会社化しました。ジェイフロンティアは、健康食品・医薬品などの通販・EC事業、医療プラットフォームサービス事業、調剤薬局の運営、広告代理店事業などを行っています。

AIGATEキャリアは医療人材紹介事業、営業人材紹介・派遣事業、コールセンター運営事業などを行っている企業です。

  • 取得額:4億円+2023年2月期のAIGATEキャリアの業績内容に応じて最大4億円
  • M&Aの手法:親会社AIGATEからの株式譲渡
  • M&Aの目的:新規事業である医療人材紹介サービス事業への参入

参考:ジェイフロンティア株式会社「AIGATE キャリア株式会社の 子会社化 についての お知らせ」

クスリのアオキホールディングスによる一二三屋の子会社化

2021年11月、クスリのアオキホールディングスは一二三屋の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。株式譲渡予定日は2022年3月1日です。同日に一二三屋を吸収合併することも合わせて発表されました。

クスリのアオキホールディングスは、医薬品・化粧品・日用雑貨などの近隣型小売業、調剤薬局事業などを行うグループの持株会社です。一二三屋は、福島県いわき地方で食品スーパー4店舗の経営などを行っています。

  • 取得額:非公表
  • M&Aの手法:代表者他2名からの株式譲渡後にクスリのアオキホールディングスを存続会社とする吸収合併
  • M&Aの目的:東北地区におけるドミナントの強化

参考:株時期会社クスリのアオキホールディングス「株式会社一二三屋の株式の取得(子会社化)及び吸収合併に関するお知らせ

ジェイフロンティアによるアルファランの子会社化

2021年12月、ジェイフロンティアはアルファランの全株式を取得し、完全子会社化しました。アルファランは、ダイレクトメールマーケティング事業、ウェブマーケティング事業、物流・フルフィルメント代行事業を行っている企業です。

  • 取得額:非公表
  • M&Aの手法:代表者からの株式譲渡
  • M&Aの目的:アルファランのマーケティングノウハウを獲得し事業拡大・競争力強化を図る

参考:ジェイフロンティア株式会社「株式取得(子会社化)に 関する 基本合意書締結の お知らせ」

ジェイフロンティアによるシーディとバイオセーフの子会社化

2021年11月、ジェイフロンティアはシーディとバイオセーフの全株式を取得し、完全子会社化しました。シーディの代表者がバイオセーフの100%株主です。シーディは、医薬品などのECサイト運営事業、医薬品卸販売事業、調剤薬局運営事業などを行っています。

バイオセーフは、シーディが販売するオリジナル医薬品などの企画・開発・製造を行っている企業です。

  • 取得額:シーディ1億6,127万7千円、バイオセーフ3,872万3千円
  • M&Aの手法:シーディは代表者他3名からの株式譲渡、バイオセーフは100%株主からの株式譲渡
  • M&Aの目的:顧客基盤の拡充とオリジナル医薬品の開発力強化・開発スピード向上

参考:ジェイフロンティア株式会社「株式取得(子会社化)に 関する 基本合意書締結の お知らせ」

ジェイフロンティアによるmy’s(マイズ)の子会社化

2021年11月、ジェイフロンティアはmy’s(マイズ)の全株式を取得し、完全子会社化することを発表しました。株式譲渡予定日は2021年12月28日です。my’sは、パーソナライズ化粧品の企画・EC販売を行っている企業です。

  • 取得額:非公表
  • M&Aの手法:代表者からの株式譲渡
  • M&Aの目的:化粧品分野への本格参入

参考:ジェイフロンティア株式会社「株式会社 my’s の株 式 取 得 ( 子 会 社 化 ) に 関する 基本合意書締結の お知らせ」

コンドーテックによる栗山アルミの子会社化

2021年11月、コンドーテックは栗山アルミの株式75.7%(議決権ベース)を取得し、子会社化しました。コンドーテックは、金物小売業、産業資材・鉄構資材の製造・仕入・販売業、電設資材の仕入・販売などを行っています。

栗山アルミは非鉄金属の押出、アルミ押出型材などの製造開発、型材・板材・ステン レスなどの加工、アルミニュームの表面処理加工などを行っている企業です。

  • 取得額:非公表
  • M&Aの手法:複数の個人株主からの株式譲渡
  • M&Aの目的:今後の需要増加が見込まれるアルミ商材の製造部門獲得

参考:コンドーテック株式会社「栗山アルミ株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ」

12. 無店舗小売業のM&A事例

無店舗小売業は、文字通り店舗を構えずにカタログやインターネットなどによって商品の宣伝・販売を行う事業者です。通信販売事業・EC事業のほか、自動販売機による物販事業も無店舗小売業に該当します。

アクサスによるノースカンパニー、ハイブリッジ、コスメバンクの株式取得

アクサスホールディングスは、連結子会社アクサスが、ノースカンパニー、ハイブリッジ、コスメバンクと株式譲渡契約を締結し、3社を子会社化することを決定しました。これにより、異動後の議決権所有割合は全ての企業で100%となります。

アクサスホールディングスは化粧品、生活雑貨、スポーツギア、アウトドアギア、酒類などの小売および輸入卸事業を展開し、アクサスはこれらに加えて不動産賃貸事業も行っています。一方、ノースカンパニーとハイブリッジは無店舗小売業(EC)、コスメバンクは輸入化粧品の成分検査を行っています。

このM&Aにより、アクサスホールディングスはEC事業を強化し、リアル店舗とECの双方で消費動向のマーケティングデータを収集、AI解析を活用してマーチャンダイジングに活かす計画です。また、仕入れ業務の一本化によるコスト削減や売れ筋商品の相互展開で、グループ全体の企業価値向上を目指します。

当社連結子会社による株式取得(孫会社化)に向けた株式譲渡契約締結のお知らせ

13. 小売業界のM&A・売却・買収のまとめ

小売業界は流行や社会情勢など時代の変化に影響を受けやすく、近年はインターネット通販に対するニーズが高まっています。事業エリアによる収益向上・事業成長スピードの加速・顧客やノウハウの獲得を目的とする買収が活発であり、異業種からの新規参入を目的とするM&Aも多いです。

小売業界は社会情勢の変化などによる影響を受けやすいため、今後は人口減少や少子高齢化の影響も少なからず及ぶでしょう。そのため、競争力強化や経営安定化、中小企業においては事業承継目的でのM&Aが増えると考えられます。

M&Aを成功させるためには戦略的に進め、実施タイミングを逃さないことが重要です。小売業界のM&Aを成功させるには専門家のアドバイス・サポートが有用なので、実施を検討したら早めに相談することをおすすめします。

14. 小売業業界の成約事例一覧

15. 小売業業界のM&A案件一覧

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